ふくなが洋議員の代表質疑に対する答弁(要旨)

2010.3.2

【熊谷市長】

○ 国政と市政との関係について

 首相と党幹事長が政治と金の問題で疑惑をもたれることは、大変遺憾だと思う。この問題で、国政が停滞しないよう願っている。鳩山首相が企業・団体献金禁止を主張している具体的内容は明らかではないが、私自身は企業・団体・個人のどんな献金であっても、国民・市民の利益に反しないよう透明性が担保できる制度が必要だと思う。
 現在の経済情勢は、リーマンショックをきっかけにした世界的な金融危機による景気の後退と円高などの影響で、依然として厳しい状況だ。このような中で、国の緊急経済対策の推進と新成長戦略の実施で、早期回復が図れると期待している。「持続的回復へ向けたシナリオ」は、景気の牽引力と下押し要因を踏まえた的確なものだと考える。千葉市でも設備投資を促し、生産の増加につながるよう支援し、個人消費拡大につながるよう努めたい。
 国の一般会計予算では、社会保障関係費は27兆2,686円で、前年度より9.8%、2兆4,342億円増額し、子ども手当や医療・介護再生へ診療報酬改定、新型インフル対策、がん・肝炎対策、介護労働者の待遇改善などの強化策。また、障害者自立支援法に代わる制度ができるまで、低所得者へのサービス無料化が盛り込まれていて、一定評価できるものだ。
 国での政権交代で、「事業仕分」など税金の無駄遣いの洗い出しが行われ、無駄を排して財源を確保して、有効活用に努めるよう期待している。
 消費税は、広く公平に国民に負担を求める税として、間接税の枢要だ。地方に配分される地方消費税交付と地方交付税の原資だ。今後、安定した財源の確保には、法人税や所得税から消費税へと税源のシフトが必要だ。
 これまでの構造改革路線での行き過ぎた自由競争で、様々な歪が生まれた。今後は国民・市民の暮らしを重視した施策の推進が必要だ。
 企業の内部留保は、生産設備などに再投資されるべきで、現在の経済情勢では企業の継続・安定性のため、相当程度必要なものだ。

○ 無駄な大型開発や国の負担金について 

 鶴岡前市政では、右肩上がり時代の延長線上で、継続・拡充を主に施策が展開され、歳出規模の拡大とその財源に、市債や債務負担行為、基金の借り入れに依存した結果、借金償還が増え、今日の危機的な財政状況がもたされたものだ。経済情勢の悪化で市税収入が大幅に減少し、生活保護など扶助費が増大したことで、過去最大の収支不足状態となったものだ。
 大型開発事業は、過去の約束から経済合理性だけで判断できない事業があるが、早期供用開始が可能なもの以外は極力、事業規模を縮小する見直しを行った。この中で、西口再開発の駅前広場や千葉港黒砂台線整備は、事業が進捗していて、引き続き進めることで供用開始が可能であり予算化した。西口再開発のA棟整備や蘇我スポーツ公園整備は、過去の協定があり予算化した。
 実質公債費比率25%を超えることでのイメージダウンを考えたら、何としても避けたい。だから「脱・財政危機」宣言を発して市民に知らせているし、予算編成過程の公開もしている。財政の情報公開も引き続き推進する。健全化判断比率を全国一律の指標で縛りをかけるのは問題だ。国には、団体の規模・財政力に応じた基準に見直すよう働きかけている。
 国直轄事業負担金制度は廃止すべきと考えている。これまでも国に意見を言っているが、国も段階的廃止を言っており、この動きを注視したい。
 経緯事業負担金は、協定の範囲内で負担していく。一方、県補助金は県・市間で協議してきた。新年度予算で子ども医療費助成への補助金が、定額1億円から1/6の定率補助となり、2億1千万に増額された。まだ不公平な扱いがあり、適正化へ協議していく。
 上下水道料金の一括徴収は、事務レベル協議を行っているが、県は実施の意思がない。知事とのトップ交渉で働きかけたい。

○ 国民健康保険料の値上げについて

 所得110万円の2人世帯でも保険料が上がるのは、保険給付費が増大する中で、皆保険制度維持のため、自主財源の確保が必要だ。改定では、低所得世帯への軽減割合を広げ、市独自の軽減措置で、所得200万円未満の世帯の負担を極力少なくする配慮を行った。国保は、国庫支出金などの公費と保険料を財源に運営するものだ。負担の公平の観点から保険料は重要な財源であり、滞納者に無条件で保険証の交付はできない。一般会計からの繰り入れは、予算編成で検討したが当初予算では見送った。市の財政状況を見ながら決算で対応していく。国へは制度の抜本的改善を強く要望していく。国で後期高齢者医療制度に代わる制度で検討されており、動向を注視している。高齢者の医療費無料化は、他の年齢層の負担になるので要望の考えはない。子どもの医療費は中学卒業までの入院費助成を行う。

○ 下水道料金の引き上げについて

 下水道料金の値上げは、今後11年間の下水道運営の在り方や収支見通しを策定したが、資金収支不足の解消のために使用料の改定を行うもので、経営の責任放棄ではない。市民生活への影響などを考慮し平均1.90%の改定を行う。今後は、算定期間ごとに全市的判断で決定していく。
 経営計画の見直しは、外部有識者での検討委員会を設置し、公募の下水道モニターへの説明会やアンケート調査を実施した。収支不足の解決策を市民から意見を募集するなどの手続きを実施中だ。計画の見直しはしない。老朽化下水管対策は、耐用年数を迎える管渠をカメラ調査し、老朽化状況で優先的に対策を施し、健全な管渠の延命化を図るなど効率的な改築更新に努める。

○ 保育料の値上げについて

 年齢移行での保育料軽減は、年度途中に3歳になった児童は、翌月から3歳児以上の保育料を適用しながら保育内容を変えずにきたが、国が新年度から年度途中入所も含め、4月時点の年齢を年度間の適用とするため国の制度に合わせることにした。待機児童解消策で、小規模保育所等の整備に取り組み、12か所514人の受け入れを拡大した。新年度から新たな計画を策定し、解消に努める。施設基準緩和は、国の最低基準を上回る基準にし、保育の質確保に配慮した整備を進める。本市では、保育所内で調理し提供しており、アレルギーや体調不良などの児童にきめ細かな対応を図っている。食育の観点から子どもたちが調理の様子を見たり、保育所で栽培した野菜を調理するなど、調理室の活用は必要であり、給食の外部搬入は考えていない。国の最低基準を上回る設備基準や職員配置で保育に取り組んでおり、今後も質の向上に努めていく。

○ 地域経済活性化について

 地元中小企業への発注は、入札参加資格要件で市内中小企業者を優先し、発注にあたっては、分離・分割発注等で可能な限り受注機会の確保に努めているが、事業量や内容は年度で変動するため、目標値の設定は難しい。分割発注は、価格面、数量面、工程面等から分離・分割発注が適切かどうか検討の上、受注機会の確保で育成に努める。小規模修繕発注制度の導入は、対象業務の種類や金額、登録申請書類の簡略化など課題の整理を行っている。次回の業者登録時に制度導入ができるよう検討していく。
 新年度で、新たな融資メニュー「空き店舗活用支援資金」を創設し、店舗物件情報をホームページに掲載している。既存の空き店舗対策も補助期間を支給開始月から年度末までだったが、12ヶ月間とし利便性を図る。地域連携活動事業も同一事業への補助回数を3回から5回に見直し、支援を強化する。予算は、1,400万円で前年度比220万8,000円増となっている。
 2月17日に厚労大臣が審議会に派遣法改正についての諮問を行ったので推移を見たい。市独自の雇用確保は、国の緊急雇用創出事業臨時特例交付金を活用し、新年度で388人の雇用を図るが、自治体が直接か事業委託での雇用を図り、失業者の就業機会を確保するものだ。国の雇用調整助成金利用状況は、昨年末で大企業2,556事業所42万1,827人、中小企業7万9,284事業所144万3,481人となっている。すでに要件緩和や支給迅速化等が行われているので、推移を見守りたい。

○ 市長のマニフェストと予算の関係について

 少子高齢化や人口減少の時代の中、予算編成では未来の希望・活力確保に取り組んだ。必要なサービスを将来も確保するための財政再建が重要課題だ。そのため、等しく手厚いサービスを行うのではなく、真に必要な人へピンポイントで予算化することが大切だ。今回の事務事業見直しでは、影響が少なく事業効果が薄い事業や他で代替え出来る事業を見直した。そして、周産期医療センター整備、介護スタッフ確保事業、子ども医療費助成の拡充、保育所待機児童484人分の解消、教材教具の充実、中小企業金融対策の拡充など、予算を優先的に配分した。公共料金は、低所得世帯に配慮し、受益者負担の適正化や事業の安定維持へ見直したものだ。マニフェストでの財政再建と市民の命と幸せを大事にする約束は守れた。

○ 総務・企画・市民行政について

 永住外国人の参政権問題は微妙な問題だ。日本としての海外戦略があって初めて参政権付与が検討できるもので現時点では時期尚早だ。
 県内水道経営検討委員会の提言は、将来にわたり安全・良質な水を安定・効率的に供給することを目的に、県内各水道事業体を統合・広域化への手順や条件等を示したものだ。各市町村が水道の経営に参画することが条件であり、水道料金への影響や財政負担等を把握検討の必要があるが、千葉市の水道行政を考える上では重要な提言だ。
 住基ネットシステムは、情報提供を行う行政機関の範囲、利用目的の限定、操作者の限定など不正利用防止対策、専用回線の利用、通信データの暗号化やファイアウォール設置など外部侵入防止対策等、制度面・技術面で様々なセキュリティ措置が講じられている。H14年の稼働移行情報漏洩や障害が一度もなく、信頼できるシステムだ。

○ 公立病院のあり方について

 両市立病院は二次病院として地域の診療所からの紹介患者を受け入れる必要があり、多くの診療科と高度な検査や入院治療を行い、専門性の高い良質な医療提供が求められる。また、少子高齢化に伴う医療課題への対応、高度・専門・特殊医療の取組、地域医療機関と連携した救急医療の提供、災害時の医療拠点機能を担う役割を果たしていく。
 両市立病院は、内科・小児科・産婦人科・外科・整形外科の二次医療機関として、休日・夜間の救急患者を受け入れている。青葉病院は、救急医を配置し重症患者を受け入れ、海浜病院は夜間救急初期診療部を設置して、平日は午後7時から、土日・祝日は午後6時から、いずれも翌日午前6時まで毎夜間、内科・小児科の初期診療を行なっている。両病院は、高度・専門・特殊医療などを提供し、対応できる医療体制を整えておくことは公立病院の使命だが、経営面では不採算も多く一般会計から繰り入れている。地域医療機関との連携は、両病院内に地域連携室を設置し、紹介患者の受入や紹介医療機関への入院後の経過報告、症状が落ち着いたらかかりつけ医への逆紹介など行っている。海浜病院では、診療所等の医師が紹介患者について病院を利用し、主治医として診療するオープンシステムを実施、両病院では病院の主治医の了解で診療するセミオープンシステムを導入している。医薬品の共同購入は、H18年度から両病院でジェネリック薬品の推進のため目標値を決め利用拡大に努めている。両病院では、ホームページで各診療科の特長などを紹介し、病院広報紙では病院トピックスはじめ、疾病の予防対策や正しい服薬方などを紹介している。出前講座では、院長や診療局長が公民館等へ出向き「上手な病院のかかり方」の講義を行い、質問にも応えている。今後も両病院の現状や課題などの情報提供へ、媒体のあり方など検討していく。両病院は地域の中核病院として困難な患者を受け入れるのが役割であり、風邪など軽微な症状は一般診療所で受診するよう求めることが必要だ。病院は医師・看護師・臨床検査技師など様々なスタッフの連携でチーム医療を推進しており、今後も充実に努める。

【藤代副市長】

○ 多重債務問題について

 庁内では、関係課での「多重債務者支援庁内連絡会議」で、多重債務者掘り起こしや情報の共有に努め、啓発街頭キャンペーン実施など連携協力を図っている。弁護士による多重債務特別相談を月2回実施し、問題を抱える市民への支援を行っていく。改正貸金業法は、ヤミ金融への罰則強化、貸金業の取立規制の強化、貸金業参入条件の厳格化を順次行い、最終段階で返済能力を超えた貸付の禁止や上限金利引き下げを図るものだ。市民には市政だより、暮らしの情報誌やホームページを活用して周知を図っていく。市としては、多重債務解決を最優先し、相談窓口での丁寧な事情聴取、具体的解決方法の検討や助言ができる相談体制の充実、弁護士・司法書士など専門機関の紹介に取り組む。「多重債務者支援庁内連絡会議」は、国が策定した「改善プログラム」を踏まえ、連携して取り組むことが目的であり、各課の役割や消費生活センターの役割を明確にして支援策を推進している。
 中小企業へのセーフティネット保証である「緊急保証制度」が延長され、「景気対応緊急保証制度」として原則全業種が利用できるようになった。本市の融資制度でもセーフティネット保証に対応した融資メニューで、融資枠を確保し資金繰りを支援している。市民へのセーフティネット貸付制度を必要に応じて紹介するが、新たな貸付制度は今後の研究課題としたい。

○ 保育所待機児童解消について 

 公立保育所の改築は、「公立保育所のあり方」の見直しの中で、改築手法を含め検討する。待機児童対策では、保育需要の推計を保育所利用意向調査の結果に基づき、潜在的な保育需要も反映させて、新たに「アクションプラン2010」を策定した。これまでの民間保育園新設や、定員増・分園設置、幼稚園の活用や保育ルーム拡充など、既存施設の有効活用で取り組むことにしている。

○ 高齢者福祉施設について 

 宅老所は、在宅で生活する認知症高齢者等を支え、地域で一定の役割を果たしているものだ。しかし、宅老所は施設設備や運営に関する法的位置付けがなく、本市では、通所中心に訪問介護や必要に応じて宿泊を同一事業所で行う「小規模多機能型居宅介護事業所」の整備を促進したい。

○ 旧市立病院の跡地利用について 

 H15年に青葉病院へ移転した後、土地の一部を駐車場に利用。建物は各課の資材保管場所に利用する他、一時的に障害児施設の仮施設に活用した。今後の活用は、建物の老朽化が著しく解体経費も莫大であり検討課題となっている。今後、地域の特性などを踏まえ全庁的な検討を行う。

○ 生活保護行政での貧困ビジネスについて 

 貧困ビジネスに対する提訴は、社会福祉事業に関し不当な営利を図ることを禁じている社会福祉法の理念に照らし、被保護者への保護費から不当な利益を得ることは、制度への国民の信頼を揺るがすものであり、推移を注視したい。無料低額宿泊所に対しガイドラインを制定、施設への立入調査での指導、新たな施設の開設届けは受理しない方針などで対応してきた。昨今、実態が無料低額宿泊所と同様な無届施設も現れ、ケースワーカーの訪問調査で実態把握に努め、不適切な処遇があれば事業者へ個別に改善を申し入れている。現行の社会福祉法や生活保護法では、施設や事業者への指導に限界があり、国では「検討チーム」を設置して、許可制にする法改正の検討を今年度内に結論を出すと聞いている。その結論を見極めて対応したい。

【福永副市長】

○ PM2.5について

 H12〜H16年度の間、山王地区と市役所前で試験的に調査した結果、1週間ごとの平均値は概ね15から37マイクログラムパー立方メートルだった。この結果は、公式な測定法や期間が定められていない中で、独自に実施したもので、環境基準に当てはめられるものではない。今後は、H22年度に自動測定機を設置し、常時監視を実施する予定だ。千葉市は、ディーゼル車対策で自動車NOx・PM法や県の条例に基き、低公害車導入費補助など広域的な視点に立った対策に取り組んでいる。その結果、浮遊粒子状物質は、この数年環境基準を達成している。今後、PM2.5の常時監視結果から、国に必要な対策を働きかけ、9都県市の共同で低公害車使用の促進へ流入車対策に取り組むなど推進していく。子どもの喘息患者数は、H10年度で3,356人、H21年度は6,384人だ。対応は、日本小児アレルギー学会策定の「治療・管理ガイドライン」を活用し、児童生徒の重症度やコントロール状態を把握して、宿泊行事や運動会等に適切に対応している。専門医での保護者対象の講演会や養護教諭対象の研修会を開催し、子ども達が安心して学校生活が送れるよう努めている。公害健康被害予防事業で「喘息小児水泳教室」「喘息児キャンプ」を実施している。入院や継続的な治療が必要な子どもには、医療費を助成し、アレルギー相談や小児喘息教室を実施し、予防にも取り組んでいる。  

○ 地球温暖化対策について

 25%削減の具体化は、国の方針を踏まえ策定中の「温暖化対策実行計画」の中で検討する。自然エネルギーは、技術開発の進展状況や地域特性などを勘案し、利用拡大に向け計画に盛り込んでいく。「対策実行計画」の策定のため先進的な事例を参考に、中期・長期の目標設定や効果的な対策を検討していく。県・市・事業者の三者で締結した「公害防止協定」は、地球環境保全を追加した新たな「環境の保全に関する協定」として締結し、地球温暖化対策に努めることにしている。昨年12月には「対策実行計画」策定に向け、JFEスチールや東京電力と意見交換会を実施した。実効ある取り組みを検討していく。

○ 市内中小企業への支援について

 工場・機械などの設備投資は、現行の中小企業資金融資精度で、低利融資や利子補給を実施しており、固定費補助はできない。
 環境・福祉分野は、市の事業環境整備構想の中に新事業創出重点4分野に位置づけており、産業振興財団の産学協同研究促進事業やビジネス交流会事業、医療福祉分野の拠点施設の千葉大亥鼻イノベーションプラザを通じて、新技術・新事業創出を支援している。新年度では産学連携や知的財産権活用を支援する「資金融資制度」を創り、環境・福祉事業の事業者への支援を強める。
 新年度の農政部予算の減額は、いずみグリーンビレッジ事業が終了し7,300万円が減り、土地基盤整備事業の債務負担償還額の減が主なものだ。緊急性・必要性の高い事業予算は確保している。
 農業後継者の施設整備の負担軽減や農業経営・栽培技術等の講習を助成してきた。新年度は、新たに後継者や新規就農者を指導する地域リーダー育成事業を追加したので、生活保障はできない。
 農政センターは、営農指導の拠点施設として優良種苗供給や各種実証展示試験を行い、農業生産団地育成に役割を果たしてきた。付加価値の高い特産品開発や新品種育成に取り組み、農業従事者の高齢化や兼業農家に対応した少量多品目栽培技術を普及指導している。

○ 千葉駅改良・駅ビル建て替えについて

 JRは、建て替え実施計画の段階であり、費用の算出はしていないとのことだ。駅・駅ビルはS38年に建築され老朽化が進んで、耐震補強が必要なため建て替えるものだ。内容は、地上7階、地下1階、延べ床面積約7万平方メートルの建築物だ。現在1階のコンコースを3階に上げ、東口から西口まで同じフロアになる。この階から弁天・新町方面やモノレール駅へ直接連絡でき、利用者の利便性が向上することになる。環境対策とバリアフリーは、LED照明導入や屋上緑化など環境に配慮し、エレベーターやエスカレーターでのバリアフリー化で体の不自由な方も容易に移動可能となる。JRとしては、保育園設置は検討の段階で、内容は今後調整するとしている。多くの市民が利用する施設であり、市民・利用者の意見要望を聞き利便性の高い施設への要請を行っていく。
 西口再開発事業のA棟は、ホテルや事務所が入居する予定で、駅ビルは商業施設が主体なことから、お互いの相乗効果があると考える。これらが完成すれば、駅周辺での商業活性化が図られ、中心市街地内の拠点施設である「きぼーる」と各商店街との回遊性を高め、全体の活性化につなげたい。
 駅ビル3階コンコースから地上に降りずに移動可能なモノレールへの乗換え通路や弁天方面連絡通路の整備をJRに要請した結果、一体的に整備することになった。エレベーターの設置でバリアフリー化され、JRやモノレールの利用が用意となる。通路の詳細計画や工事中の対応などを協議し、市民の利用しやすい駅になるよう調整していく。

【保健福祉局長】

○ 高齢者・障害者の犯罪について

 県警が把握している数値では、H20年の市内検挙人数は2,947人で、うち高齢者は411人、全体の13.9%だ。窃盗犯220人53.5%で最も多く、うち198人が万引きである。高齢者犯罪の背景は、単身で経済的に不安定な高齢者が増え、高齢者特有の心身上の問題や疾病があり、生活指導が困難などが挙げられる。犯罪の予防には、高齢者の生活の安定と地域での孤立を防ぐことが重要だ。つながりの薄い一人暮らしの高齢者を見守る支援や就労支援、生活困窮者への生活保護適用など福祉施策が犯罪抑止にも繋がる。
 市内での障害者犯罪件数は不明だが、H18年の法務省特別調査では、規模の大きな刑務所に収容される受刑者27,024人中、疑いがある者も含め知的障害者は410人、うち犯罪動機が「困窮・生活苦」は36.8%だ。再犯期間が3か月以内は32.3%、1年未満が60%あり、出所後円滑に社会生活に移行できる支援がなく、再犯リスクが高くなっている。知的障害者の犯罪防止への特段の取り組みはないが、国で刑務所退所後、自立生活が困難な人に保護観察所とともに、福祉サービスが利用できるよう「地域生活定着支援センター」を整備し、社会復帰支援を促進している。千葉県は新年度中の設置を目指し準備を進めているが、本市としても出所後の福祉サービスの利用や障害者手帳の発給、社会福祉施設への入所支援などで支援していくために、関係機関との連携を密にしていく。

○ 高齢者虐待について

 千葉市は、H18年度に「高齢者虐待」防止連絡会」を設置し、19年度には「虐待防止マニュアル」を作成して、予防・早期発見・再発防止に努めている。虐待の実態は、20年度に虐待の相談通報が139件あり、調査の結果、虐待と判断したのは90件、うち最も多かったのは身体的虐待で69件だ。虐待の背景は、希薄な家族関係や近隣関係、介護に関する知識不足や介護の長期化などが考えられる。高齢者虐待の予防には、家族を含む市民の理解や意識を高め、相談窓口の周知が重要であり、啓発用パンフを作成し配布している。虐待が発生した場合、虐待者と被虐待者の分離が有効であり、緊急の受入先に和陽園の養護老人ホームのベッドを1床確保している。
 介護殺人は、老老介護での精神的・肉体的負担、経済的負担、周囲の無関心などが背景にある。介護家族に、介護の基本的知識や技術、制度やサービスの利用法を周知したり、介護を地域の問題として捉え、支えあう状況をつくり出すことが重要だ。

【都市局長】

○ 市営住宅について

 宮野木町第1団地第2期建て替えを推進し、空家住宅の修繕方法を工夫して供給戸数を増やしていく。

【消防局長】

○ 消防行政について 

 共同指令センターは、最新の情報通信技術を導入した指令センターを共同で設置し、119番通報の受付から出動指令等、一連の業務を共同で行うもの。整備費用の節減や人員の有効配置が可能となるが、消防隊・救急隊の出動体制は従来と変わりはない。加入電話と携帯電話での通報時に、通報場所の住所・地図が表示されるシステムを導入し、目標物や電柱番号などの情報から住所を特定する技術も導入する。指令システムは通報者と指令センターや管轄消防本部の三者が同時に通話できる機能もあり、発生場所の特定に支障はない。
 消防ヘリコプターの出動件数は、H21年中で345件、うち災害出動は64件、内訳は火災50件、救急9件、救助5件だ。操縦訓練や消防隊・救助隊員等の連携訓練で281件出動した。ヘリコプターの機動性や特性を有効活用し、高層建築物火災時の人命救助、水難救助や林野火災時の空中消火、救急患者の広域搬送、地震・風水害等の大規模災害時の早期状況把握や人命救助等に活用される。
 他都市への応援出動は、県内52件、県外4件だ。主な出動はH7年の阪神淡路大震災、H9年の茨城県緒川村林野火災、H16年の新潟中越地震に出動した。本市のヘリコプターは、緊急消防援助隊として登録されており、国内の大規模な災害時には消防庁長官等からの要請で出動することになる。耐用年数は、基準年数はないが機体やエンジンは10年毎の耐空検査や法定点検でエンジンの大規模なオーバーホールが必要だ。経年劣化等で安全を確保するため、多額の修繕費が必要となり、20年を目途に更新を検討している。維持管理経費は、修繕料・燃料費・その他経費で、2機で例年約9千万だ。H20年度はH10年度に導入した2号機の機体の耐空検査があり、約2億円となった。国や県からの支援は、他都市の状況を研究し実施したい。
 昨年の消防艇の出動件数は68件で、内容は火災、救助などの災害出動が5件、訓練・警備や港内調査など災害出動以外で63件あった。千葉港は特定重要港湾で、経済や物流の中心として発展し、H20年中の貨物取扱量は全国2位を占め、入港船舶の大型化や船隻数も増加傾向で、成田空港への燃料輸送基地も含めた石油コンビナート地域を有しており、この港湾地域での各種災害から千葉港の安全を守るため、消防艇の役割は重要だ。他都市への応援は、H9年に横浜市本牧沖でのダイヤモンドグレース号の油流出事故、H17年の市原市姉ヶ崎沖の船舶火災へ応援出動した。耐用年数は、概ね20年を目安としている。定期検査は、整備状況によるが概ね4週間から5週間の日程を要し、その際、大規模災害が発生したら東京都、横浜市。川崎市、市川市間で締結している協定で、応援要請し、緊急消防援助隊を要請することになっている。
 消防団器具置場は、地域の災害活動時の拠点、情報収集・伝達、住民の避難・誘導、救出・援護でも消防団活動には不可欠だ。当該器具置場は、小型動力ポンプなど消防団が使用する消防活動資機材の置場として建築したため、トイレのない施設があるが、老朽化した施設から順次建て替えし、併せてトイレも計画的に整備していく。

【教育長】

○ 学校適正配置について 

 学校適正配置は、少人数学習など小規模のメリットを生かしながら、子どものより良い教育環境整備と教育の質の充実のため推進している。進めるに当たり、地元説明会だけでなく個別に説明会や意見交換会等を行ない、保護者や地域住民の質問や意見・要望に応え、地元代表者会議では様々な課題を審議し、その内容を各委員を通じて、所属団体の意見を吸い上げ協議するなど、「実施方針」に基き慎重に対応している。市長発言との相違はない。

○ 児童生徒の暴力行為について 

 暴力行為の実態は、H19年度で412件、20年度429件発生し17件増加している。増加の背景は、自分をコントロールする力の不十分さやコミュニケーション能力不足、規範意識の低下、特別に支援が必要な児童生徒の増加、家庭の教育力低下など様々な要因が複雑に絡み合ったものと考える。学校生活での問題行動を防止するには、小学校入学段階から基本的な生活習慣や学習習慣を身に付けさせることが重要だ。小学1年から3年生に、本市独自の少人数指導教員を配置し、きめ細かな指導に当たり、特別に支援が必要な児童生徒には特別支援教育指導員の配置や学校訪問相談員の派遣で、状況に応じた対応や校内支援体制の整備を図ってきた。子ども同士、教師と子どもの好ましい関係作りが大切であり、学校では規範意識やコミュニケーション能力の向上を図り、独自の「指導の課題と方策」で、教職員の指導力向上と生徒指導体制の充実に努めている。暴力行為には、教職員一体で問題行動を早期に発見し、関係機関との連携で毅然と対処するよう指導している。
 教育委員会はこれまでも学識経験者や学校関係者等をメンバーに「調査研究委員会」を設置、実践事例に基き、いじめや不登校など問題行動への対応策をまとめ、その成果を学校現場に周知してきた。問題行動等には、関係職員での「指導特別対策委員会」を定期開催し、学校への具体的支援策を協議している。重大・深刻な問題には、教育委員会職員が出向き、PTAや保護者会代表、青少年育成会など地域の関係者、青少年補導センターなどの関係機関一体で会議を開き解決に努めている。

○ 子どもの権利条約について 

 本市では人間尊重の教育を基調に、子どもたちの個性を生かした学校づくりを推進しており、生き生きとした学校生活を送っているが、中には友人関係やいじめ等に悩み、不登校に陥るケースもあり、中学校へのスクールカウンセラー配置など教育相談体制の充実に努めてきた。近年は、家庭の教育力低下で虐待や非行など、学校だけでは解決できない問題も増え、地域関係者や児童相談所など福祉関係機関等との連携で問題に対応している。
 4月に「こども未来局」が設置されるが、児童虐待、DV、非行などを統合して担当する「こども家庭支援室」を設置する。児童相談所や青少年サポートセンターなどが、学校・警察・医療機関等を含めた関係機関と連携して、迅速・適切な対応ができる、子どもの人権を守る体制の強化が図られる。子どもをただ守るだけの存在ではなく、一番未来を持つ市民と考えて、社会への参画と自覚を促すことで、希望と責任と自己肯定感を育めるよう取り組む。