日本共産党が提出した意見書

平成22年第2回定例会
Y1

 (提出年月日)平成22年5月25日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

暮らしを支える行政サービスと人員の拡充を求める意見書(案)

 雇用問題を初め、医療・年金・貧困などさまざまな社会不安が増大している今、国・地方行政の役割はますます重要となっている。国民・住民の要求にこたえるためにも行政体制を拡充することが求められており、公務員の果たすべき役割も大きくなっている。こうしたもとで公務員の一律的な定員削減は行うべきではない。
 国民・住民の安全と安心を確保し、セーフティーネットを再構築するためには、公務に必要な人員を確保することが求められている。
 また、国が進めている「地方分権改革」は、国の地方出先機関を整理統合することで、単に公務員を減らし、地方自治体に国の責任を押しつけ、国が直接負うべき責任を放棄するものである。
 よって、本市議会は国に対し、下記の事項について強く求めるものである。


1 地方に犠牲を強いる「地方分権改革」は行わないこと。
2 暮らしを支える行政サービスの低下を招く国の地方出先機関の統廃合は行わないこと。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成22年  月  日

千 葉 市 議 会


平成22年第2回定例会
Y2

 (提出年月日)平成22年5月25日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

米軍普天間基地の無条件撤去を求める意見書(案)

 沖縄の米軍普天間基地撤去をめぐり混迷を続けていた政府は、ついに米国との間で、沖縄県名護市辺野古への基地移設で基本合意したことを公表した。しかし、これは沖縄県民と国民に対する最悪の裏切り行為である。
 「国外、少なくとも県外」への基地移設を訴え、総選挙で多くの国民から支持を得たのであり、地元の合意や国民の合意より米国との合意を優先する姿勢は、到底許されるものではない。
 米国本土では、法律で基地周辺に人が住むことを禁じている。しかし、普天間基地は沖縄県宜野湾市の中心部にあり、その周辺では3,600人余りの住民が、常に「世界で一番危険な基地」と隣り合わせに暮らしているのである。
 また、沖縄の米軍基地は、戦後、米軍の沖縄占領と同時に、住居や農地はもとより、学校や墓地までをブルドーザーで押しつぶし、不法・不当につくられた基地である。このことは、日本が独立国家・主権国家として問われている問題なのである。
 「沖縄に新たな基地はいらない」、「普天間基地の県外・国外移設を」の願いは、戦後65年、米軍による許しがたい事件や事故を経験した沖縄の苦難の歴史から出ているものであり、沖縄県民に「抑止力」として「基地の県内移設」を同意させることなどできるものではない。
 最近の北朝鮮の動きから「抑止力」を強調しているが、「抑止力」とは武力・軍事力で他の国を抑え込むことである。憲法では、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」としており、政治的・外交的な努力による解決こそが求められているのである。
 「沖縄の苦しみは、日本のどこへ移しても同じ苦しみ」である。県外の「移設」候補地とされた鹿児島県徳之島でも、島ぐるみで「拒否の意思」を示しており、日本のどこにも移設場所はないのである。
 よって、本市議会は国に対し、米国に沖縄県民と国民の願いを伝え、米軍普天間基地の無条件撤去を要求するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成22年  月  日

千 葉 市 議 会


平成22年第2回定例会
Y3

 (提出年月日)平成22年5月25日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

法人税減税はやめ、不公平な税制を改めるよう求める意見書(案)

 政府・与党内で、法人税減税の議論が高まる中、「経済の成長戦略」、「経済成長の復活」などの理由で、法人税率の引き下げを参議院選挙の公約として掲げる政党が相次いでいる。また、日本経団連も「成長戦略2010」を発表し、法人税率の引き下げや規制緩和の拡大が重要課題だと主張している。「日本の法人税率は高過ぎる」、「企業が海外へ逃げてしまう」との理由から、地方税を含めた「実効税率」を現在の40.69%から20%台にまで引き下げるというものである。
 しかし、「実効税率」は、理論上の税率であり実際の税負担率ではない。大企業は研究開発減税、連結納税制度、欠損金繰越控除制度、さらには企業がリストラするほど登録免許税が軽減される制度などさまざまな優遇税制によって、日本での実際の法人税負担率は国際的に見ても低いものとなっている。
 さらに、「実効税率」が低いと言われるヨーロッパでは、社会保険料の負担が大きくなっており、税と社会保険料をあわせた大企業の公的負担は、日本よりも1.2倍から1.3倍高くなっている。ヨーロッパに進出している日本企業は、現地で日本より高い負担をしているにもかかわらず、なぜ「日本では負担できない」のか、なぜ「企業が海外へ逃げる」ことになるのか、国民に納得できる説明がなされていない。
 その一方で、消費税増税の動きも強まっている。消費税率の引き上げをもって、法人税引き下げの財源にすることは許されない。消費税が導入されてから今日まで、国民が納めた消費税額は約224兆円と言われるが、同時に膨大な内部留保を抱えている企業からの税金は、法人税率引き下げ等により約208兆円の減収で、国民の消費税分がそのまま大企業の減税の穴埋めにされた計算なのである。
 大企業への行き過ぎた優遇税制を改め、企業の利益に応じた税負担を求めるのが民主国家のあるべき姿である。
 よって、本市議会は国に対し、大企業優遇の法人税減税はやめ、不公平な税制を改めるよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成22年  月  日

千 葉 市 議 会


平成22年第2回定例会
Y4

 (提出年月日)平成22年5月25日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

待機児童解消と保育制度の堅持・拡充を求める意見書(案)

 昨今の深刻な経済不況のもと、保育所への入所を希望する勤労市民は増加し続けている。しかし、申請しても入所できず待機する児童が全国で5万人近くにも及び、認可保育所への入所希望者は100万人いるとも言われている。
 こうした深刻な事態の原因は、保育分野での規制緩和、民間委託や民営化を掲げながら必要な保育所をつくらず、定員を超えた詰め込みや認可外保育施設で、待機児童を解消しようとしたことにある。
 千葉市では、若い世代が安心して子育てできる環境をつくるため努力はしているものの、保育所待機児童は4月1日現在324人となっており、国による抜本的な対策が求められているのである。
 よって、本市議会は国に対し、いつでもどこでも、安心して預けられる保育を実現し、子供を産み育てることができる環境をつくるため、下記の事項について強く求めるものである。


1 国の責任で緊急に保育所整備を行い、待機児童を解消すること。
2 児童福祉法第24条に基づく保育制度を堅持・拡充すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成22年  月  日

千 葉 市 議 会


平成22年第2回定例会
Y5

 (提出年月日)平成22年5月25日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

社会保障に対する国の責任を放棄する「地域主権改革」一括法案の廃案を求める意見書(案)

 今国会に提出されている「地域主権改革」一括法案には、「義務付け・枠付けの見直し」という名目で、福祉施設などについての国の最低基準を撤廃し、新たな基準を地方自治体の条例で定めることとする内容が盛り込まれている。
 例えば、保育所では子供1人当たりの保育室の面積や職員数、耐火基準、調理室や園庭の有無などの基準を地方自治体に任せるものである。
 国は、最低基準にかわって「ガイドライン」を示すとしているが、それは「参酌」すべき基準であり、地方自治体によっては基準が引き下げられる可能性がある。
 現在でも詰め込み保育が行われているところでは、基準が緩和されればさらに詰め込みとなるおそれがある。保育や介護の事業を展開している企業の中には、より一層の規制緩和を求め、新たなビジネスチャンスを拡大しようとしている。
 社会保障は、憲法に明記された国民の権利であり、国が責任を持つべきものである。保育所や特養ホームなどの福祉施設の最低基準は、国が法律で定めるとともに、そのための財源を国が保障すべきである。
 ところが、「地域主権改革」一括法案は、社会保障に対する国の責任を放棄するものであり、地方への責任転嫁と言わなければならない。
 よって、本市議会は国に対し、「地域主権改革」一括法案の廃案を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成22年  月  日

千 葉 市 議 会


平成22年第2回定例会
Y6

 (提出年月日)平成22年5月25日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

EPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)推進路線の見直し等を求める意見書(案)

 FAO(国際連合食糧農業機関)は先般、飢餓人口が10億人を突破したことを公表し、農林水産省が発表した「2018年における世界の食料需給見通し」では、「世界の食料は、穀物等の在庫水準が低く需要が逼迫した状態が継続する。食料価格は2006年以前に比べて高い水準で、かつ、上昇傾向で推移する。」と分析している。
 こうした事態は、これまでの自由貿易万能論の行き詰まりを示すとともに、今日の深刻な世界の食料問題を解決するためには、それぞれの国が主要食糧の増産を図り、食料自給率を向上させることの重要性を示している。そして、農産物の全面的な輸入自由化と生産刺激的な農業補助金の削減・廃止を世界に押しつけたWTO(世界貿易機関)農業協定路線や、これを前提にした2国間・地域間の協定であるEPA・FTA推進路線の見直しが強く求められている。
 日本では、自公政権が「EPA戦略」を打ち出し、メキシコ、タイ、フィリピンなどとの協定を発効させ、オーストラリアなどとの交渉を行ってきた。政権交代によって誕生した民主党連立政権は、日豪EPA交渉を継続するとともに、中断している日韓FTA交渉の再開に動き、さらに、日中韓FTAに向けた国家レベルによる研究を開始している。昨年末に閣議決定した「新成長戦略」では、2020年を目標にAPEC(アジア太平洋経済協力)の枠組みを活用したFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)を構築することを打ち出すに至っている。
 APECには太平洋に面するアメリカ、カナダ、オーストラリア、中国、韓国、ロシア、東南アジア諸国など、世界の主要な農産物輸出国を含む21カ国・地域が加入しており、仮に、この枠組みで自由化が実施されれば日本の農業は壊滅的危機に直面することは明らかである。
 政府は「農業に影響を与えないFTA交渉」を強調しているが、農産物輸出国のねらいは農産物関税の撤廃にあり、一たん、交渉が始まったら取り返しのつかない事態を招くことは避けられない。
 こうした輸入自由化路線は、国内の農産物価格の暴落を引き起こし、現在、政府が推進している「戸別所得補償」の政策効果を台なしにし、制度そのものを破綻させかねないものである。
 今、求められることは、食料をさらに外国に依存する政策と決別し、世界の深刻な食料問題に正面から向き合い、40%程度にすぎない食料自給率を向上させる方向に大きく踏み出すことである。
 よって、本市議会は国に対し、EPA・FTA推進路線を見直すとともに、日豪EPA交渉を中止し、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)による農産物の関税撤廃は行わないよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成22年  月  日

千 葉 市 議 会


平成22年第2回定例会
Y7

 (提出年月日)平成22年5月25日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

備蓄米買い入れと米価の回復・安定を求める意見書(案)

 「米戸別所得補償モデル事業」や「水田利活用自給力向上事業」の受付が4月から始まり、事業は動き出した。
 「米戸別所得補償モデル事業」に参加する農家にとっても、参加しない農家にとっても、最大の懸念は、米価の下落に歯どめがかかっていないことである。
 特に、政府が2月に16万トンの備蓄米買い入れを実施したにもかかわらず、米価がさらに下落していることは重大な問題である。下落の原因は、買い入れ数量の少なさに加え、12,900円台という異常な安値で買い入れた政府の姿勢にある。市場に「米価先安」のシグナルを発信し、「過剰感」を一気に広げてしまったのである。備蓄米の買い入れが米価の下落を招いたことは重大な失政と言わざるを得ない。
 米価の下落に歯どめをかけ、価格と需給を安定させることは、「米戸別所得補償モデル事業」の成否を左右することになる。なぜなら、今日の過剰感のある米の需給状況のままでは、「米戸別所得補償モデル事業」が、さらに米価を下落させる引き金となる可能性を否定できないからである。米価が下落すれば、制度上、さらなる財源の投入は避けられない。したがって、「米戸別所得補償モデル事業」の円滑な運営にとっても、また、米の再生産や食料自給率を向上させるためにも、下落した米価を回復させ、価格の安定を図ることは緊急の課題なのである。
 今、市場で問題視されているのは、せいぜい30万トン程度の過剰だが、もし現状を放置すれば、秋には過剰が雪だるま式に膨れ上がり、米価下落は「底なし」の状態になりかねず、直ちに対策をとることが強く求められているのである。政府は、今回の買い入れによって国産米による100万トンの備蓄を満たしたとしているが、その中身は、2005年産など主食には不向きな30万トン程度の米が含まれており、これらを主食以外の用途に振り向ければ30万トンの買い入れは十分可能である。
 よって、本市議会は国に対し、2009年産を含む30万トン相当の備蓄米を適正な価格で買い入れ、米価を回復・安定させることを強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成22年  月  日

千 葉 市 議 会