野本信正議員の一般質問に対する答弁(要旨)

2010.6.23

【熊谷市長】

○ 政治倫理について

 5月29日の会は市長就任1周年を迎え、これまでの取り組み状況や今後の市政の方向性を報告するために後援会が開催したもので、倫理に反するものではない。後援会事務所は中央区神明町で、経費は家賃月8万円、職員の手当20万円、その他経費が2〜3万円程度だ。政治資金パーティーとしたのは、収支が明確になるので透明性から適している。市長就任以来、マニフェストの実現に取り組んできた。今後も真摯に市政運営に取り組む。

○ 商店街の振興と市民生活について

 商店街の解散で電気が消えた商店街街路灯は、経済部・町内自治会と協議し、安全安心な街づくりの観点から、電灯料負担は困難だが、何らかの解決策を見出す必要があるので、他政令市の状況を参考に調査研究していく。

【総合政策局長】

○ 外郭団体の実態と今後について

 現在、株式会社を除いた全17団体のプロパー職員数は、H22年4月1日時点で477人いる。仮に全て定年退職とし、採用者なしとして5年後は460人、10年後は397人、15年後は332人となる。団体数では、見直し指針以外の団体は廃止等の方針を決めていないが、各団体の効率性や自主自立の視点から不断の見直しを行うことにしている。これまで、本来行政が行う事業や間接的に関与すべき事業等をより専門的・効率的に実施するため外郭団体を活用してきた。外郭団体は、市との連携が必要であり、多様な市民ニーズに迅速・柔軟・効率的対応が求められるため、団体からの要請で、公益的法人等への公務員の派遣に関する法律に基づき、経験ある職員を派遣している。外郭団体への派遣職員は条例定数外だが、定員の適正化では外郭団体派遣職員も含めた職員数で削減を図っている。市の委託事業見直し等で事業規模が縮小した外郭団体は、統廃合することで事業実施体制強化が図れたり、基本財産など資産の統合で経営基盤が強化され、経費削減などの効果もある。団体の設立目的が類似したり事業領域の関連性が強い団体は、統廃合など団体の在り方を検討していく。市の委託事業や補助事業は、市民に不可欠なサービスなのか、「公共性」や「行政関与の妥当性」「目的達成度」などを評価し、市民にとってなにが優先順位の高い事業なのか検討して見直している。プロパー職員の雇用と権利は、基本的に外郭団体が使用者として対応するが、市でも必要な支援を行っていく。「外郭団体指導要綱に基づき、所管局が外郭団体の事務事業の執行状況や経営状況を把握し、公益法人制度改革によって公益法人の認定を目指す団体には、市として法律的・政策的な助言等の支援を行っている。外郭団体職員の給与体系は団体自らで決定すべきだ。業務の縮小に伴い、プロパー職員が他の外郭団体に転籍する場合は、市が設置者・指導監督者として、団体間の総合調査など必要な支援を行っていく。これまでの例でも、退職金相当額を転籍先の団体に引き継ぐなどの処置がとられている。指定管理者選定結果で、当該団体の統廃合も含め、あり方の検討が必要になる。指定管理者の募集は原則公募だが、施設設置目的・機能・業務特性から相応しい指定管理者が限定されたり、施設の在り方の再検討が必要な特段の事情がある場合に限り、条例に基づき公募しないことになる。

【保健福祉局長】

○ 高齢者施設の問題について

 社会福祉法人徳和会への改善措置命令後、6月2日と14日に入所者の様子や職員の仕事ぶりを確認してきたが、日常の介護や業務に特段の支障はなかった。施設職員にも聞き取りを行ったが、若干の動揺はあるが、今後の改善への期待が大きいと感じた。
 内部告発は、どこの・何の金額を指しているのか判然としないが、剰余金はH20年度末で預金約1億1千万円、有価証券約1億3千万円計上されている。このうち預金は、当座の施設運営資金として、ある程度の額の確保が必要だが剰余金の存在自体は、すぐに問題になるものではない。有価証券は外貨建て債券で運用され、理事会で審議されていない手続き上の問題はあるが、法人外部への流出は認められなかった。改善措置命令の中で報告を求めた635万円は、使途不明金のことで、剰余金ではない。市の調査ではこれ以上の使途不明金は認められなかった。剰余金は資金運用に回されており、外部流出は認められなかった。「九州温泉視察会計報告」のメモとカード利用代金明細書で、視察の事実を確認した。視察目的は「温泉付きデイサービス事業のための視察」と当時の理事長から説明されたが、明らかに不適切とまでは認定できなかった。他の視察では、20年度中に確認された限りで、伊豆大島・北海道・岐阜などへの出張が合わせて10回以上行われていた。旅費交通費のカード利用代金明細書や旅行命令簿等の関係帳簿が保存されておらず、出張回数・費用額の合計は確認できなかった。H19年度の出張費用も関係書類がなく、出張回数・費用額とも不明だった。時間外勤務手当が支給されていないケースがあり、職員の時間外勤務の実態を確認の上、適正な手当の支給を文書で指導した。入所者の喘息発作時に使用期限を過ぎた吸入薬の使用が確認されたが、医師の判断と責任で使用するのは、法に抵触はしない。介護保険の不正請求は、一部不適切な請求の疑いがあり、県と調査をしている。施設職員が多数入れ替わり、介護体制が整わず、定員50人分のサービス提供ができていなかったものだ。建設時に多額の補助金が投入され、開設後の運営費も介護報酬等で賄われており、適正な運営が行われていないことは遺憾である。これまで再三、市が指導したにもかかわらず改善はみられず、断固とした措置を取った。虐待問題も改善措置命令の中で改善は求めたが、損害賠償については当事者間で解決すべきだ。理事会と評議員会は6月11日と15日に開催され、理事長と一部理事の解職、常勤医の解嘱、新理事長の選任等が行われている。法人で改善への話し合いが行われており、6月25日の期限までに改善報告書が提出されるかを注視している。

○ 不正経理について

 社団法人の老人クラブ連合会の職員が、自販機の収益金等自主財源を着服したもので、当該社団法人の問題だが、補助事業が適正に執行されるよう指導していく。

○ 市営墓地について

 墓地を供給しているC地区は造成が完了しており、芝生墓地への変更は納骨堂を埋設し直し、排水管を敷設換えるのに多額の工事費用がかかるので難しい。A地区は、H30年度からの供給開始を目指している。新形態墓地は、今後実施設計・地元説明会を行い、25年度募集を目指したい。使用料は建設に要した費用や他都市の状況を踏まえて決める。

○ 墓地建設について

 お寺の建築が許可されれば、宗教法人法の規定で登記された事務所なら、その境内と隣地に檀信徒墓地を設置できる。専修寺も同じだ。「墓地等の経営許可に関する事前協議実施要綱」で、墓地を必要としている檀信徒名簿の提出を義務付けている。その場合、檀信徒は専修寺を包括する宗教団体の真宗高田派に限られる。提出された名簿で、檀信徒であることや墓地購入を希望しているかを本人に確認することにしている。こうした行為は個人情報保護条例上、特に問題はない。「墓地等の経営の許可等に関する条例」第8条で、営利目的の許可は認めていない。

【財政局長】

○ 不正経理について

 全庁調査には1,100社以上ある納品業者について行うことになり、膨大な時間がかかる。納品業者には帳簿の提出・整理など多大な負担を強いることになるので、取引額が多い112社をH19年度対象に調査したものだ。これで調査対象金額の72%がカバーでき、H15年度から19年度を対象に会計検査した結果、同様の状況だったので調査と算出方法には合理性があった。会計検査院の実地調査では、私的流用の事実は判明しておらず、市独自の調査でも突合作業を行い、全備品の現物確認ができたので、私的流用はなかったと判断した。

【都市局長】

○ 墓地について

 許可に必要な信者範囲は、浄土真宗高田派には限定されず、寺院からの信者名簿で信者と判断している。信者名簿と反対署名簿の照合は、各名簿の収集目的が異なるので、個人情報保護条例の「実施機関は個人情報を取り扱う事務の目的以外に個人情報を当該実施機関の内部で利用してはならない」との規定に抵触することになる。信者名簿記載の信者はその住所地に居住していることを確認している。市の開発審査会基準では、1案件の寺建設許可申請ごとに、市街地調整区域内に50戸以上の信者の居住が必要になる。一般的には異なる寺の信者が重複することはあり得ないことから、1つの敷地内に10刹の寺の建設申請の場合は、500戸以上の信者が必要となる。
 本件の申請は、墓地建設ではなく寺建設に関する申請なので、技術基準に適合し、寺建設の立地基準も認められるので、法に基づき許可せざるを得ない。墓地建設反対の住民の願意は、申請者に対し、寺建設だけが目的であることの説明を行うよう行政指導していく。
 10刹の寺建設には500戸の信者が必要で、建設予定地1Km以内の市街化地要請区域内の既存戸数は約300戸なので、現状では申請に必要な信者名簿を揃えるのは難しいと考える。住民説明には誤解を与えないよう申請者に指導する。非営利かどうかは、現段階では判断できない。」

○ 緑区のコミュニティバスについて

 土気23地区町内自治会連絡協議会が計画する循環バスは、地域活性化と地域の利便性向上のため自主的に具体策が検討されているものだ。京都市や神戸市では行政がPR活動やバス折り返し場の提供など側面的支援を行っている。これらを参考に支援策を検討していく。市原市のコミュニティバスは、住民を主体に、最も効率的で効果的な運行形態のコミュニティバス運行に市が補助し、現在2路線が運行中だと聞いている。千葉市では、運営主体や運営方法などコミュニティバスの在り方を今年度設置予定の「総合交通政策会議」で有識者等から意見を聞き検討していく。コミュニティバス運行の運行は、利用者の利便性向上につながる。今後、調査研究していく。運行基準は、路線の完全撤退で発生する交通不便地域への対応を優先にコミュニティバスを導入している。減便などの路線バス対応は、「地域住民の手で守る」意識づくりが必要だ。運行基準の改定は今後の検討課題だ。

【経済農政局長】

○ 商店街の振興と市民生活について

 商店街街路灯が消えているとの近隣住民からの情報で、H20年2月、当該商店街を訪問した。会員等からの聞き取りで、街路灯はH19年10月から消えており、商店街組織が解散し、街路灯が放置されていることを確認した。商店街振興等の観点から解散した組織の再結成等の働きかけを行った。安全・安心の観点から何らかの対策が必要だが、商店街街路灯は商店街が所有しており、組織の再結成等の支援が望ましい。昨年度、商店街街路灯にエコ型電球を導入し、電灯料負担軽減を行った。支払い困難な団体が出ることを抑制できる。専門家による商店街再生や経営改善に係るアドバイスを行い、各種補助メニューの活用で活動基盤の強化に向けて支援に努める。H17年度に補助限度額上限を撤廃しており、町内自治会等の防犯街灯とは設置目的が違うので補助率の引き上げは考えていない。昨年度は、商店街の電灯料負担軽減と補助率引上げに代わる、全額補助の「エコ型電球導入事業」を実施している。例年実施の意見交換や商店街訪問で、商店街の厳しい現状を踏まえ、商店街の活性化と運営基盤強化への取り組みに対し支援を行うなど商店街を応援していく。

【建設局長】

○ 緑区の道路交通の改善について

 都市計画道路の塩田町誉田町線、瀬又線、越智町土気町線は、中央区と緑区を横断する一連の主要幹線街路で、土地区画整理事業により既に約57%が完成している。塩田町誉田町線の塩田地区・誉田地区、越智町土気町線の大木戸工区の整備を進めているが、これが完了すれば整備率は73%となる。越智町土気町線の越智工区は当面休止しており、瀬又線は整備着手時期が未定で、全線開通には長期間を要することになる。
 外房有料道路は、誉田区間と茂原区間に区分され、誉田料金所と大野料金所の2か所で、それぞれ普通車310円徴収していたが、H19年4月から大野料金所に統合し、有料道路区間の14.3Kmの料金を一律300円にし、料金徴収期間をH25年度から10年間延長して採算を図るものだ。利用出入口で料金徴収の有無が生じるが、利用者は走行時間などを考慮し通行している。料金所を移動すれば料金徴収が減少し、償還計画に支障が出るので千葉市は減収分を負担する必要が出てくる。全線一律300円に値下げされることで千葉市はH23年から12年間で12億円を限度に負担することになっている。移動することで新たな負担が生じることになるので、県との協議は考えていない。割引で交通量の増加は期待できるが、計画通り償還するには交通量の大幅な増加が必要となり、償還期間にも影響が見込まれるので割引の要請は難しい。

【こども未来局長】

○ 緑区の子どもルームについて

 子どもルーム未設置小学校区数は、5月末で全小学校区120か所中13か所だ。ルームの整備は、4月に策定した「支援行動計画・後期計画」では、H26年度までに全小学校区への設置を目標にしている。越智小地域では、近隣に子どもルームが設置されていらず、地域の方々からルームの設置を要望されていることは把握しており、早期設置の必要性は認識している。今後、財政状況を踏まえ検討していく。

【教育次長】

○ 不正経理について

 関係書類の調査や購入消耗品の現物確認・関係者からの聞き取りの結果、私的流用はなかったと判断した。