小関としゆき議員の反対討論

2010.6.25

 今議会に提案された議案32件、そのうち結論の得られた31件中、13件に反対し、発議第22号と請願9号・10号・11号・12号が不採択になったことについて討論を行います。

 議案107号・108号の専決処分について
 国民健康保険事業特別会計の収納率が予算の見込みを大きく下回ることや、収支不足分の36億6,989万円を一般会計から繰り入ることをやめたことで、平成21年度は75億4,000万円の収支不足となり、繰り上げ充用を行なうための専決処分です。保健消防委員会では、「国保会計の今後は」「健全化についてどのように考えるのか」など深刻な議論になりました。いま、国保会計は重大な問題を抱えています。全国の市町村国保は、半分近くが赤字であり、破たん寸前とまで言われています。
 国民健康保険は社会保障制度です。国保法第1条では「この法律は国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」とあります。国保は他の医療保険に入れない人が最後に入る医療保険であり、高齢者、低所得者、仕事を失った人などに医療を保障する制度です。
 今、問題になっていることは、国庫負担が削減されていることです。国保会計全体に占める国庫負担率はかつて57.5%あったものが、今では25%にまで低下しています。そのために、市町村独自の繰り入れが増大し、保険料も大幅に引き上げられてきました。政令市の中でも横浜市・大阪市・札幌市などは、被保険者への影響を考慮し繰り入れを行なっています。千葉市も一般会計からの繰り入れを実施して、市民の負担軽減を行うべきです。
 すでに広く言われていることですが、先進国では医療費の窓口負担は原則無料です。日本では保険料が高いうえに、窓口での3割負担は重すぎます。負担の重い医療費を軽減すれば、その分消費にお金がまわり、内需が拡大して景気対策にもなるのではないでしょうか。
 今回、一定の保険料軽減策がとられていますが不十分です。国保法44条に基づく医療費の負担軽減をさらに進めるべきです。

 議案121号・千葉市都市公園条例の一部改正について
 
これは「受益者負担の適正化」を理由に、公園の施設利用料を値上げするものです。
 市が「受益者負担率」なるものを独自に設定していますが、法的な根拠はなく認められません。

 議案124号・千葉市コミュニティセンター設置管理条例の一部改正と議案125号・千葉市土気あすみが丘プラザ設置管理条例について
 この条例は、指定管理者の公募に合わせてコミュニティセンターやあすみが丘プラザの諸室等の有料化や、利用料金の値上げを行なうものです。
 コミュニティセンターは年間約170万人の市民が利用しています。多くの市民が利用する公共施設の値上げについて、「決まったら速やかに周知に努め、きめ細かく丁寧に利用団体へお知らせする」とのことでした。「きめ細かく丁寧に説明をする」のは、値上げする前に行うことであり、市のやり方は本末転倒ではありませんか。

 議案126号・千葉市民会館設置管理条例の一部改正、議案127号・千葉市文化センター設置管理条例の一部改正、議案128号・千葉市文化ホール設置管理条例の一部改正について
 これらも「受益者負担の適正化」を理由にした値上げであり、認められません。9月には指定管理者の募集が予定されています。こうした文化施設での指定管理のあり方が問われています。地域での文化・芸術活動を支援するのは行政の役割です。「千葉市文化芸術振興計画」を持つ千葉市が、市民の文化・芸術活動を困難にするような冷たい対応でいいのでしょうか。

議案129号・千葉市勤労市民プラザ設置管理条例の一部改正について
 この施設は、勤労者の文化の向上・健康の増進を図る施設です。市内で働く勤労市民を応援することが一番に求められています。雇用問題が大変な時に、なにも値上げをすることはないと思います。

 議案130号・千葉市スポーツ広場設置管理条例の一部改正、議案131号・千葉市ポートアリーナ設置管理条例の一部改正、議案132号・千葉市体育施設設置管理条例の一部改正、議案133号・青葉の森スポーツプラザ管理条例の一部改正について
 今回の値上げは、小学生・中学生・高校生にまで、「財源の確保と受益者負担の適正化」を押し付けるものであり、さらに高齢者、障害者への減免規定をつくらないままに実施することは、とても認められません。今回の議案は、公共施設使用料・利用料の値上げが多くを占めています。これらは、「千葉市公共施設使用料等設置基準」に基づくものですが、この基準は3人のパブリックコメントを参考に決めたとのことです。これではとても値上げに対する市民の理解は得られません。年間約464万人の利用者があり、地域に根差した公共施設は、草の根の文化を育んできました。もっと多くの利用者の願いに耳を傾けるべきです。情報公開・説明責任・市民参画を保障しないで、強引に値上げすることは許されません。
 熊谷市長は就任以来、ごみ収集回数を3回から2回に減らす際も周知不足が問題になりました。また、当初予算で市民福祉を大幅に切り下げた際も事前に周知相談することなく強行しました。そして、今回の利用料の有料化・引き上げの問題です。
 このように市民に対して、丁寧な説明や相談をせずに、一方的に押し付けるのが市政運営の特徴となっています。これは、「市民がパートナー」という市長のマニフェストに反するばかりか、民主主義に反するやり方であり、厳しく批判をするものです。
 今議会に提案された、施設利用料の有料化と値上げによる影響額は1億8千万円となります。一つひとつの値上げ額や新設料金は多額ではなくても、利用回数が多ければ支払額はかなりの負担となります。貧困と格差が広がり、収入減と負担増で市民生活は厳しさを増しています。熊谷市長の当初予算での大幅な福祉切り下げによって、市民負担が一層増大しているもとで、さらに今回の有料化や値上げは、文化・芸術・スポーツなど、市民のささやかな楽しみや交流の機会を「受益者負担」などといって奪うようなことは中止すべきです。「財政難」は、市民の責任ではありません。今こそ、以前からわが党市議団が提案してきた、千葉駅西口再開発など10億円以上の公共事業の抜本的見直しを実施し、不公平な県支出金の是正などを行なうべきです。

 発議第22号・千葉市国民健康保険条例の一部改正について
 この条例提案は、国民健康保険料を滞納する世帯の高校生世代までの子どもたちに正規の保険証を交付するものです。
 審議した保健消防委員会では「現状、そして今後の方向性について」質問があり、執行部は「子育て支援や、高校進学率が約98%の状況を考え、平成23年8月から期限1年の保険証を交付したい」と答弁しました。ある委員は、システム改修費に
 163万円必要になるから賛成しかねるとのことでした。
 日本共産党以外の反対によって不採択になったことは極めて残念です。直ちに交付を求めたいところですが、来年8月から保険証が交付されることは一歩前進であると考えます。今後は、高齢者・障害者世帯、そしてすべての世帯に対し、無条件に正規の国民健康保険証を交付すべき時代になると申し上げておきます。

 請願第9号・子ども医療費無料制度にかかる通院医療費の助成拡大についてと請願第10号・子どもの医療費無料制度にかかる窓口自己負担金完全無料化についての請願について
 千葉県は今年12月から小学校3年生までの医療費助成を実施します。それにともない、千葉市でも「助成年齢を小学校3年生まで引き上げる」ように求める請願の内容は、当然のことです。また、医療機関の窓口での「200円の自己負担金をなくし、完全無料にする」請願は、「窓口負担がある千葉市と他市との違いに驚いた。」との声を率直に受け止めるべきです。「安心して子どもを育てたい」との切実な願いに応えず、財政難を理由にした先送りのくり返しでは、「子育てしやすい千葉市」の実現は遠のくばかりです。

 請願第11号・子宮頸がん予防ワクチン接種の市独自助成を求める請願について
 子宮頸がんは、20歳代の女性で、乳がんよりも発症率が高いがんとなっていますが、ワクチンで予防できる唯一のがんでもあります。日本で認可された同ワクチンは、3回接種を行うため、接種費用が高額になることから公費助成を求めたものです。
 他の委員からは、「予防ワクチンの承認に取り組んできたので、請願の内容は理解するものの、現時点では公費助成は国に働きかけていく段階だ」とか、「費用が高額であることや該当年齢の子どもたちへの丁寧な性教育が必要であり、現段階では賛成しかねる」などの意見があり、不採択となりました。
 公費助成については、県内でも成田市や浦安市で実施しており、日本産婦人科学会や日本小児科学会からも求められています。千葉市でも同ワクチン接種の公費助成が必要です。一般質問でも、複数の議員が質問し要望していることをみれば、その必要性は明らかです。千葉市でも、子宮頸がん予防ワクチン接種の独自助成を行うよう求めておきます。

 請願第12号・公共施設の料金の新設・改定の中止を求める請願について
 
最後に、公共施設の料金の新設・改定の中止を求める請願が不採択になったことは遺憾であることを述べて討論を終わります。