中村きみえ議員の代表質疑

2010.9.3

1.市長の基本姿勢について

写真 第1に、参議院選挙結果の認識についてうかがいます。

 1つは消費税問題についてです。

 先の参議院選挙は、政権交代後初の選挙で、最大の争点は消費税増税10%でした。菅首相は最大の敗因だと述べ、民主党政権に国民から厳しい審判が下されました。同時に自民党政権への復帰を求めていない結果となりました。市長は、10年3月議会の我が党福永議員の代表質疑の答弁で、「直接税から間接税にシフトする。ヨーロッパを中心にわたしはこちらの方向が正しい」と消費税増税を肯定するかのような発言をされました。消費税増税についてご自身の見解を求めます。

 2つに、普天間基地をめぐる問題です。

 菅首相はいち早く「辺野古移設」を決めた日米合意を結び、沖縄県民の声に背く立場をとっています。私どもは一貫して無条件撤去を求めてアメリカとの交渉を強く主張しましたが、こうした問題をどうとらえていますか。

 3つに、比例定数の削減をめぐる問題です。

 首相は、民主主義の根幹にかかわる国会議員の衆議院比例定数80、参議院40議席の削減を年内に議論し、とりまとめようとしていますが、議会制民主主義を破壊しようとする動きに対して見解を求めます。

 第2に、景気悪化、雇用破壊の影響についてうかがいます。

 まず、鶴岡前市長時代の09年度予算の評価についてです。

 09年度予算は鶴岡前市長が作成し、共産党は09年予算議会では、(1)国の新自由主義「構造改革」を認め、市民の生活悪化を食い止めることにはつながらず、緊急経済対策への取り組みが極めて弱い。(2)引き続く大型開発優先で、市民福祉、雇用、中小企業をあたためていない。(3)政令市ワースト1の財政危機の責任を認めず、財政の民主化が行われない。(4)市民の苦しみに応えず増税ありきとなっている。の以上4点について指摘してきました。

 1つに、市長の決算の認識についてです。

 平成21年度予算では、熊谷市長が議員時代、組み替え動議を提案しています。市長は、「甘い見通しのもとで進めてきた都市計画のツケを将来世代に先送りするものであり、認めることはできません」とし、組み替えしたものは、市政にどう反映されたのかうかがいます。

 2つに、決算にかかわる問題の認識についてです。

 私たちは決算について先にあげた4点が問題だと認識していますが、決算の審議にあたり、何を思い、教訓は何か、今後どう活かすのかうかがいます。また、蘇我臨海開発の見直しも含めて踏み込んで行うべきではないのかうかがいます。

 第3に、決算の特徴についてうかがいます。

 平成21年度の決算についてです。歳入では市税収入が3.3%の大幅な減収となり、定額給付金事業収入や中小企業金融対策預託金収入が増えたため、前年度比9.2%増加しましたが、歳出では義務的経費である公債費や扶助費の増加によって、投資的経費は減少し、市の裁量で行える事業が圧迫され、実質収支額は7億1,800万円となっています。経常収支比率は99.2%と昨年度より2.9%と硬直化し、事態は深刻です。起債制限比率も18.7%と昨年より2.3%上昇しています。

 基金残高では、市債管理基金431億7,900万円のうち、一般会計への貸付は202億円と、平成20年度よりも70億円も増額しています。その上、市債残高が平成20年度1兆808億8,800万円で、平成21年度末現在高は1兆786億2,200万円と20億円減ったものの、基金残高の状況も依然として厳しい実態にあります。

 平成21年度健全化判断比率については、実質赤字比率は発生せず、連結実質赤字比率は、0.44%となっています。実質公債費比率は、3か年で21.1%と平成20年度と比べ1.34%増加、単年度では23%と上昇し続けており、政令市の中でワースト1となっています。

 さらに、将来負担比率は、306.4%と平成20年度と比べて3.2%減少したものの、政令市の中でも最悪の事態となっています。

 このように、平成21年度の決算では将来負担比率は減少したものの、他の数値では改善傾向は見られません。

 1つに、千葉市は、財政悪化の原因は、政令指定都市としての基盤整備を行なったからだと主張しますが、前市長時代の5事業1,300億円にも上る大型開発事業を行い続けたために、千葉市財政が深刻な状況に陥ってしまったのではないのか。そうした認識があるのかどうかうかがいます。

 2つに、熊谷市長になってからモノレール事業を見直したものの、蘇我臨海開発、千葉駅西口再開発、新港横戸町線など大型開発事業を行い続けた結果、三位一体改革と併せて政令市最悪の財政状況となっているのではないですか。

 3つに、投資的経費では鶴岡前市長のもと、財政健全化計画に縛られて、単年度200億円までしか認められないために、市民生活に必要なサービスを抑制し、悪循環となったのではないかうかがいます。

 第4に、市政運営についてうかがいます。

 まず、地域主権についてです。

 その1は、基本的な考えについてです。

 地域主権改革一括法が参議院で可決後、衆議院で継続審議となり、今後の行方が注目されています。この改革は、国の役割を外交や防衛などに限定をし、市町村数も700から800にすると明記し、道州制推進を表明しています。

 現行の憲法では、基礎自治体が、国と対等な立場で交渉することができると言われています。しかし、外交、軍事は国の役割という考えのもとでは、沖縄県民が米軍基地の問題について声を上げたり、基礎自治体が国に意見を上げることが違法行為とされてしまうのです。そこでうかがいますが、

 1つに、地方分権、地域主権と言いながら地方自治体を国の目下におこうとするもので、明治憲法時代に逆戻りするものとならないかうかがいます。

 民主党政権が進める地域主権改革の先行モデルとして大阪の橋下府政、名古屋市の河村市政が挙げられていますが、構造改革を推進し二元代表制の見直しを主張しています。

 2つに、市長は橋下府政や河村市政の改革について、どう評価しているのか見解を求めます。

 その2は、財源の在り方についてです。

 地域主権の中では、国が財源も含めて責任を負ってきたものを、極力はずし、各自治体に権限移譲はするものが、自治体の財政事情によって、提供するサービスの格差が生じかねない事態となってしまいます。例えば、千葉市では保育について「質は低下させない」と市長は主張していますが、自治体財政が厳しいもと、質を低下させないために職員配置や施設面積基準は現状維持できるとお考えですか。

 その3は、保育の設置基準についてです。

 保育所は今の基準でも2歳以上児は1人当たり1.98平方メートルで2歳児6人と保育士1人で約7畳のスペースで遊び、食事をして昼寝をするという狭い基準ですが、こうした基準もなくそうとしています。これ以上切り下げられたら子どもたちを安心して保育ができなくなってしまいます。こうした保育の質を低下させる改悪は、認められないと思いますが見解をうかがいます。

 つぎに、市長の財政危機への認識とそれへの対応をうかがいます。

 その1は、タウンミーティングについてです。

 09年度に市長とのタウンミーティングで、財政状況を理解する点は一歩前進したようですが、財政危機を強調するあまり、全体として市民が行ってほしい要望を受け止めて、その実現のために力を尽くすという本来の地方自治体としての役割を果たす立場になっているのでしょうか。

 7月・8月と全区で市長との対話会では、公共施設の利用について市長が「他の政令市では有料なのに千葉市は無料ということが多い」と説明をし、「有料化」している他市のように千葉市を「普通にしたい」という主旨の発言をされたようです。

 また、ある市民が、社会福祉には手をつけないと掲げながら、マッサージ券が出ない件を指摘すると、「選挙の際、他の候補者は75歳以上の高齢者に対し優遇すると言っていた。これでは市が倒産してしまう。もし、私の考えがお気に召さないのなら、他の候補者へ投票してください。」と発言され、「市がこのままでは倒産する」と何度も繰り返し発言をし、危機感をあおりすぎるのはいかがなものかと参加した市民の方は思ったようです。

 運営の在り方について、公平、平等に誠実に対応することが求められていると思いますが見解を伺います。

 その2は、事務事業評価についてです。

 平成21年度は、事務事業評価は、事業内容の精査をして、外部委員の意見を参考にし、市民が意見表明を述べる場があり、障害者へのガソリン代補助はそのまま見直されずに済みました。当事者でなければわからない実態を述べたことは外部委員にも説得力のある話でした。しかし、シルバー入浴事業をはじめ、はり灸マッサージ券の減額など事業の廃止、削減のために進められてきたように思います。

 市民は財政が厳しいという状況は分かっても、なぜ公共料金などの値上げをしなければならないのかきちんと説明責任を果たしてほしいと望む声が私どもの行った来年度予算要望のためのアンケートに多数寄せられています。

 1つに、今後も外部評価委員の意見を参考に事業の廃止・縮小を行うやり方を進めていくのですか。

 平成21年度決算では、蘇我特定地区整備5億2,700万円、新港横戸町線整備46億5,300万円、千葉駅西口地区市街地再開発には17億3,700万円が投入されています。今年度も蘇我、新港、千葉駅西口と28億5,700万円、平成23年度は3事業の合計で46憶5,600万円計画されています。

 2つに、事務事業評価対象とするものは、国の事業仕分けと同様、肝心の大型開発についてなんら検討する場もなく過ごされてきました。私たちがかねてより主張している「大規模公共事業見直し委員会」をなぜ拒み続けるのですか。

 3つに、財政悪化の理由として大型開発を続けてきたことが、財政危機を招いたことは明白で、抜本的な見直しをしない限り、打開策につながらないと考えますがどうですか。

 その3は、公共料金の値上げについてです。

 先の6月議会で、コミュニティセンターの有料化が、日本共産党以外の賛成で可決され、その後、コミュニティセンターでは来年度の利用について、2時間刻みで9時から11時、11時から13時、13時から15時と利用枠を2時間ごとに決めて、予約する提案がされています。市長との対話会の中でも意見が出されていますが、サークルなどの活動では、活動内容が2時間で前後1時間を準備の時間で、合計3時間とすることも多くあります。2時間単位では、2コマ分の予約を取らなければならず、実質的に3時間しか利用していなくても、4時間分の利用料を払わなければなりません。1時間刻みで利用時間分の料金を支払うのなら、サークルが利用しやすくなると思いますが、利用者の声をきちんと受け止め利用しやすくすべきではないかうかがいます。

 その4は、補助金についてです。

 補助金について73事業の候補のうち、26事業13団体についての補助金適正化のための公開ヒアリングを8月17日から20日まで開催されました。

 事務事業評価の際には、市民が意見を述べる機会がありましたが、今回は事前に意見募集をしたことにとどまっています。

 1つに、なぜ、市民の意見を表明する場を設けなかったのでしょうか。

 2つに、多くの意見が出された団体がありながら意見募集の表記は、A3の1枚にまとめたもので、出された意見をどこまで外部評価委員の目にとまり、その意見を考慮した上で、検討されたのでしょうか。

 行政側と外部評価委員とで事業内容について話し合いがおこなわれ、行政が言いにくい指摘についても、外部評価委員が代弁しているように見受けられる面もありましたが、事業が実際にどう展開しているのか当事者不在で、理解が不十分なまま、行われたように受け取れました。

 3つに、補助金の必要性を外部評価委員が判断したことに重きを置くのか、市民の声の受け止めはどう捉えるのかうかがいます。

 4つに、補助金カットは、所属団体の存続にかかわる場合もあります。関係者の声を聞き、実態に即した対応を求めますが見解をうかがいます。

 その5は、地域経済の活性化についてです。

 私どもは、市内業者に仕事を回し、市独自で雇用創出を主張し続けてきました。09年の予算では、市内雇用はわずか700人。市内で倒産廃業が相次ぐ中、地域経済の活性化は待ったなしの課題です。

 福祉型公共事業としては、保育所や特別養護老人ホームの整備、学校の耐震化対策などの実施で、地元業者に仕事が回り、雇用が確保でき保育所や特養ホームの待機者も解消できます。その上、子育てしながら働く人が増えれば、千葉市にその分税金を納める市民が増えます。財政危機だけ強調せずに、市民の願いである福祉型公共事業に先行投資をすることで、地域の活性化につながると思いますが、市の見解をうかがいます。

 つぎに、東大緑地植物実験所についてうかがいます。

 7月17日の早朝、東大植物実験地で43回目の観蓮会が、4,500人の参加で盛大に開催されました。色とりどり形も様々なハスが可憐に咲いており、一年で一度一目見ようとカメラで撮影する人でにぎわっていました。会場周辺には、東大植物実験地の移転反対などの看板をずらりと並べ、存続を求める署名活動では4万7千人が賛同しています。ハスが並んでいる手前の椿などの植栽の「根回し」が行われ、西東京市への移転整備が進められています。東大側から地元自治会に、観蓮会などが今後行えないと口頭で意向を伝えたようですが、正式な説明会は開催されないまま、今日に至っています。私が、6月に地元関係者と、文部科学省の担当者に会い、現状と今後についてのヒアリングを志位委員長秘書の国会控え室でうかがいました。

 東大は、独立行政法人化により合理化が進み、中期計画では植物実験所の土地を譲渡すると明記しています。大賀ハスは今から2千年以上前の古代ハスとも言われ、千葉県の天然記念物で千葉市の「花」として指定されており、「レンコン」のままでなければ純粋な大賀ハスの継承はできません。千葉市では国に予算重点要望で存続を求めていますが、大学側が売却の意向を主張しても土地利用計画の高さや用途を規制するのみで市が独自に購入しようとしません。

 1つに、千葉市では、文部科学省をはじめ東大関係者には、地元住民への説明会の開催を行うよう求めましたか。東大は、きちんと説明すべきと考えますが市としての見解を求めます。

 2つに、大都市税財政制度・地方分権調査特別委員会でも質問しましたが、市は東大が売却する際には、緑と水辺の基金を活用するなどして土地購入し、存続のために尽力すべきではないですか。

2.総務行政について

 1は、千葉国体の安全についてです。

 わが国のスポーツ祭典である千葉国体は、多くの県民やスポーツ愛好者が歓迎し成功を期待しています。暑い中で準備に取り組んでおられる関係者の皆さんのご努力に敬意を表します。

 さて9月25日の開会式に、航空自衛隊の「ブルーインパルス」の参加が自らのホームページで明らかになりました。千葉県の説明では開会式場のマリンスタジアム上空でいわゆるアクロバット飛行を行なう計画のようです。平和の象徴でもある国民体育大会に戦闘機でのパフォーマンスは必要ないと思いますし、何より重大なのは、このブルーインパルスが過去に大きな事故を多発していることです。1982年に浜松で墜落し、パイロット1名が殉職、周辺住民12名が負傷しました。その後も1991年と2000年にそれぞれ2機墜落し、合計5名のパイロットが殉職しています。

 開会式には全国から有力な選手、関係者、そして多数の観客が集まります。マリンスタジアム周辺には住宅が密集し、事故が起きたら取り返しがつきません。

 そこで、千葉市長としてこのような計画に反対し、千葉県知事にブルーインパルス飛行中止の申し入れを行なうよう求めます。

 2は、地上波デジタル対策についてです。

 テレビのアナログ放送を停止する「デジタル完全移行」が、2011年7月24日まで10か月余りとなりました。政府はテレビの買い替えやアンテナ設置などを終えるように求めていますが、このまま計画を進めればテレビ難民が大量に生み出されることになります。3月に発表した全国消費者協会連合会のアンケート調査では、「経済的負担が大きい」「多機能のデジタルテレビは年寄りには使いこなせない」「まだ使えるアナログテレビがもったいない」との意見が出されています。総務省が5月に公表した地上デジタル浸透度調査は、地デジのテレビやチューナーなどを保有する世帯が83.8%となっていますが、同じ調査で年収200万円未満の世帯では67.5%と平均を大きく下回っています。

 低所得者への無償チューナー配布は、NHK受信料を全額免除されている世帯に加え、8月30日の報道によれば住民税非課税世帯にも配布されるようですが、低年金の高齢者世帯にも広げるよう国に求めつつ、千葉市としても市民の実態把握はどうなっているのか、対策についてうかがいます。

 3は、国際交流についてです。

 共産党市議団は2010年2月議会において、千葉市外国人市民協議会設置条例を提案しました。千葉市の人口の約2%を占める外国人が約2万2,500人となり、言語や文化、生活習慣の違いなどから千葉市で住み続けられるようにするには、日本語の習得も合わせて、基本的な生活全般にわたってきめ細かいケアが必要になってきています。

 1つに、多様な国々から来た人たちの受け入れ体制も含めてトラブルの解決も含めて課題を認識し、対応することは必要です。条例は否決されましたが、提案した問題への取り組み状況をうかがいます。

 墨田区では、「すみだ国際学習センター」で外国人の日本語習得に向けての相談指導をきめ細かく行っており、子どもたちが学校に慣れるまで、ここで学んで早く良い環境が整うようにサポートしています。

 2つに、千葉市でも国際交流協会をはじめ、ボランティアの方が日本語教室などを開催していますが、こうした取り組みをより積極的に行ってみてはどうですか。

3.保健福祉行政について

 1は、介護保険についてです。

 介護保険法が施行され10年たち、重い介護保険料、利用者負担、特養ホームの待機者など「保険あって介護なし」の深刻な問題が生じています。

 7月1日現在、市内の特別養護老人ホーム待機者は2,017人と増加の一途をたどっています。今後高齢化社会を迎えるにあたって、施設整備を早急に行わなければなりません。待機者は、介護度をはじめ総合的に判断して入所の優先順位が変わる場合もあります。しかし、いざ入所できる番になり、利用料の説明がされ、費用が高くて払えず、多床室待ちする人も少なくないようです。ホテルコストと食費代がかさみ、月額14万円の負担です。低所得者には介護保険負担限度額認定で、月額7万円になりますが、経済的に豊かな人は個室が空き次第入所でき、低所得者は、多床室が空くまで、6年から8年も待機した方もいるようです。

 1つに、千葉市は、こうした長期間待機している実態を把握していますか。

 2つに、実態調査し、多床室を確保して、経済的な負担が厳しい低所得者への軽減策を図るべきですが、見解をうかがいます。

 2は、国民健康保険についてです。

 6月議会で、わが党が高校生への正規保険証の発行を求めて条例提案を行ない、来年の8月から実施の運びとなりました。しかし、まだ65歳以上の高齢者や障害者世帯に対して資格証明書が発行されていますが、正規の保険証を発行するべきではないですか。資格証明書が発行されているために受診を抑制し、命を落とすようなことがあってはなりません。直ちに正規保険証を発行するよう求めます。

4.こども未来行政について

 1は、子どもの貧困問題についてです。

 大阪市で、23歳の母親が3歳と1歳の子どもの育児放棄の結果、餓死する痛ましい事件が起こりました。子育てがつらい時に、周りにいる大人や行政関係者が把握をしていればこうした悲惨な事件は起こらなかったのではないかと思うと胸がいたみます。子どものいる家族の3割近くが生活保護基準以下の貧困にさらされていると指摘されています。子どもの貧困問題について、09年12月議会で、わが党のもりた議員が質問をしていますが、問題解決のために以下の政策を求めます。

 1つに、子どもの貧困率を把握し、その削減目標を掲げて、地域の実情に応じたきめ細かい削減計画を策定すること。

 2つに、「子どもの貧困根絶委員会」を設置し、1つめに掲げた計画を実行すること

 3つに、これらの問題解決のための必要な財政措置を講じること。

 4つに当事者や関係者が参加して問題解決のために力を尽くすこと。

 以上、市としての見解を求めます。

 2は、保育政策についてです。

 その1は、子ども・子育て新システムについてうかがいます。

 保育所の直接契約が実施されると、保護者の自己責任で施設を選ぶことになります。保護者が保育の必要度を行政から認定され、入れる施設を自力で探し、直接契約を結び、認定範囲外の利用は自己負担が生じます。そのため親は入所申請で混乱し、経済的格差で園に入れるかどうか差が付いてしまいます。その上、保育所では直接契約となるために、事務量が激増し、保育士が子どもと関わる時間が減り、自治体には保育の公的責任がなくなり待機児童などを把握しなくなるという悪循環です。保護者の自己責任で子育て施設が決定するという問題が生じてしまいます。

 このような子ども・子育て新システムを導入させてはならないと思いますがお答えください。

 その2は、待機児解消策についてです。

 8月1日現在、千葉市内では保育所の待機児は472名です。

 1つに、年度途中の入所希望は、ほとんど3歳未満児が多くなっていますが、保育所ではどこでも受け入れ体制が整っていません。積極的に行えるように補助を手厚くして、受け入れ体制を強化すべきと考えますがお答えください。

 市として4か年で2,400名ほどの待機児解消を目指していますが、応募する場合の土地の確保がネックになっている場合も多いとうかがっています。

 平成20年度末時点での財務省所管の普通財産は、千葉市内では国有地は、100万7千平方メートルあるとうかがっています。児童福祉施設として保育所などは法律の優遇措置として無償貸付が行われるようです。

 2つに、市として国に対しても働きかけながら土地の有効活用ができるように求めてはどうですか。

5.都市行政について

 住宅基本条例の制定についてうかがいます。

 川崎市では、すべての市民が安心し、ゆとりを持って共に住み続けられる活力ある地域社会の実現を政策の理念としています。基本理念として、(1)市民の住宅需要に適切に対応した良質な住宅の供給及び誘導、(2)市民及び事業者の参画及び協働による良好な住環境の形成、(3)高齢者、障害者及び外国人をはじめとする市民の居住の安定が掲げられています。とくに保証人が見つからない場合、市が指定する保証会社を指定し、入居を支援しています。「住まいは人権」の立場で、制定されている住宅基本条例について、ぜひ千葉市でも制定を求めますが見解をうかがいます。

6.建設行政について

 1は、集中豪雨・ゲリラ豪雨などへの対策についてです。

 1つに、全国各地で集中豪雨・ゲリラ豪雨などによる冠水、崖崩れ・土石流などの被害が出ている下で、千葉市の事前の対策強化を求めます。

 2つに、市内で過去に被害が発生した場所や、新たに心配される場所への改善は進んでいますか。

 3つに、排水升のゴミの掃除だけで冠水の未然防止に役立つと聞きますが、住民・自治会などと協力して徹底するよう提案しますがいかがですか。

 4つに大雨が降ると下水道汚水管に雨水が混入しマンホールが吹き出し、家庭内升に逆流して汚物が流れ出す箇所がありますが、原因究明と対策を取り、敷設後50年を目安にする下水道管のリニューアルを、45年ないし40年に早める必要がありますが見解を求めます。

 2は、アスベスト含有が懸念される再生砕石についてです。

 さいたまの市民団体が、再生砕石を敷いた駐車場など130か所を調査したところ、アスベスト含有が疑われるスレート片を採取し、40検体を抽出してNPO法人東京労働安全衛生センターで分析検査の結果、全ての検体からクリソタイルやクロシドライトが検出されたと報告されています。原因は、解体現場でスレート片が適正処理されないため混じること。被害の心配は砕石が運び込まれた時や車に踏まれて割れたり劣化してアスベストが飛散することが問題といわれています。

 1つに、千葉市での再生砕石の利用状況はどうですか。

 2つに、行政が発注した駐車場などのスレート片等の調査を行ない、安全対策を求めます。

 3つに、解体現場での適正処理の強化を提案します。

7.教育行政について

 1は、教科書採択についてです。

 2011年度に中学教科書採択が行われます。教育委員会の基本姿勢についてうかがいます。新教育基本法をうけて教科用図書検定調査審議会から教科書改善についての報告がなされ、新しい義務教育諸学校教科用図書検定基準が示されています。

 千葉市はこれを受けて、千葉市の児童・生徒にとって最も適した教科書を採択する視点から、「十分かつ綿密な調査研究を公正かつ適正に行う」と述べています。

 1つに、教育委員会は2011年度に、千葉市の児童・生徒にとって最も適して教科書を採択する視点から、十分かつ綿密な調査研究を行い、公正かつ適正に選んでいくのでしょうか。

 また、歴史教科書についてですが、本来、社会科教育は、子どもたちが社会の主人公となるため必要な知識を身につけ、自分で考え、行動する力を育てることが大きな目的です。日本国憲法前文は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意しここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と述べています。改定された新教育基本法でも、前文で「日本国憲法の精神にのっとり、わが国の未来を切り開く教育の基本を確立し」と述べ、教育の目的第1条に[平和で民主的な国家および形成者」と記述しています。日本の起こした戦争が侵略戦争であったということは、戦後国際社会の共通認識であり大原則です。

 2つに、それを否定したり揶揄する風潮は、単なる歴史観の違いにとどまることなく、平和と民主主義という今日の世界政治の根本を否定することになりますが、教育委員会の認識はいかがですか。

 山田宏前杉並区長、中田宏前横浜市長など「新しい歴史教科書」採択に熱心に取り組んできた人達が夏の参議院選挙に、「日本創新党」をたち上げて候補者を立てましたが惨敗しました。

 3つに、熊谷市長は当初「応援首長連合」に名を連ねました。その後脱退したそうですが、「新しい歴史教科書」採択の動きにはどんな立場を取っているのですか。

 2は、夜間中学についてです。

 戦後の混乱期でやむを得ない事情から義務教育を受けられず、勉強したいと願う人のため夜間中学が、1947年に大阪で、1951年に足立区でスタートしました。夜間中学は学校教育法施行規則によって位置づけられ、全国に36校、県内では市川市の大洲中学校1か所のみとなっています。千葉市内からも生徒が通っているようです。日弁連は「学齢期に修学することのできなかった人々の教育を受ける権利の保障に関する意見書」も国に提出されています。2000年10月の国勢調査では県内で4,906人が未就学者といわれております。そこでうかがいますが、

 1つに、千葉市内で未就学者は何人いると想定していますか。

 2つに、市内から市川大洲中に生徒は何人通っていますか。

 3つに、2次5計で見送っていますが、夜間中学を千葉市が設置することで、市内はもちろん周辺自治体からも潜在的な希望者を掘り起こすことができるのではないかと考えますが、見解を求めます。

 4つに、不登校などで卒業証書は渡し、卒業扱いになった生徒、いわゆる「形式卒業」をさせてしまっている実態について、千葉市ではどう対応していこうと考えているのかうかがいます。

<2回目>

1.決算の特徴について

 1つに、鶴岡前市長時代に、8年間で1,300億円もの大型開発を行なってきたために、経常収支比率は99.2%と硬直化は深刻化し、自由に活用できなくなっています。実質公債費比率は21.1%、将来負担比率が306.4%と深刻な財政になったことを熊谷市長は認識していますか。

 2つに、市長は、「モノレール延伸凍結、蘇我スポーツ公園整備の縮小などできる限りの整備を行なった」との答弁でした。財政健全化のプランでは、方針は出されていますが、肝心の大型開発についての抜本的な抑制を行なうという点については示されていません。大型開発について大幅な見直しをしなければなりませんが、実態は反省の上に立って、大幅縮小とはなっていないのではないですか。

 3つに、答弁では、市民福祉の向上に努めていくとありますが、高齢者福祉や国保、保育など予算が削減されてきていることは言行不一致ではないですか。

2.地域主権改革について

 地域主権改革について「地方自治の本旨を具現化するもの」と評価していますが、果たしてそうでしょうか。

 1つに、「地域主権改革」を口実に、保育所など福祉施設の施設基準や公営住宅の整備等に係る国の責任を縮小し、地方自治体任せにすることにならないのですか。

 2つに、自治体数を300程度にし、市町村合併を事実上強要していませんか。

 3つに、国の出先機関を原則廃止し、国の機関が実施している生存権、教育権、勤労権等にかかわるナショナルミニマムを破壊すると思いませんか。

 4つに、補助金・交付金などの一括交付金化について、公共事業だけでなく社会保障費や義務教育関係費まで広げようとしていることはどう思いますか。

 5つに、地方政府基本法を制定し、地方自治体の長と議会の2元代表制について議会の権限を形骸化し、首長の権限を拡大しようとしていることはどう考えるのですか。

 6つに、橋下府政では、大阪湾岸開発を進めるため府の福祉、教育予算を大幅に削り、市場化テストで税務窓口にはスイスの多国籍企業に、府立図書館は東京に親会社がある企業に引き渡すといった構造改革をすすめ、名古屋市の河村氏は、区役所は民営化すべきだと主張しています。その上、議会解散請求の署名まで開始しています。こうした地方自治の二元代表制を否定し、議会制民主主義を破壊する前代未聞の暴挙について首長としてあるまじき行為ではないのか、お答ください。

3.タウンミーティングについて

 1回目で指摘したように、「自分の政策を支持できない人は、ほかの市長候補を選べ」というのは、市長にふさわしくない発言だと思いますが、これについて取り消すのですか、それともそのまま認めるのか伺います。

4.千葉市の大型開発の見直しについて

 千葉駅西口の再開発では、大型開発の象徴でもあり、深刻な財政難に陥った原因を作りだしています。本来は、こうした財政危機を招いた原因を取り除かなければなりません。特定建築者の民間のビル建設が計画されていますが、簿価134億円と時価19億円となり、市はその分の合計115億円の損失を被っています。道路を含む損失は377億円にまで及んでいます。

 千葉駅西口再開発事業は、今年度予算で9億965万円に債務負担行為が28億円組まれており、B棟を含めた現事業計画では、平成23年度17億3,700万円、24年度74億4,000万円、25年度77億3,800万円で、4年間の合計が172億4千万円も注ぎこもうとしています。

 なぜ財政が厳しいと言いながら、これだけ多額の事業費を投入しなければならないのですか。歩道橋の整備はしたものの、都市計画決定してからいまだに空き地が広がっています。千葉市は市民生活が厳しい時に、当分凍結して対応すべきではないのかうかがいます。

5.地域経済活性化について

 地域経済の活性化策は、地元に福祉施設の建設を行なうことと同時に、身近な生活道路整備など、地域に福祉型公共事業を投資することが、効果的ではないですか。もっと積極的に実施することを求めます。

6.子どもの貧困問題について

 子どもの貧困は特にひとり親世帯で深刻な事態となっています。先日も5歳の保育園児を抱える母子家庭のお母さんが、都内のパチンコ店に勤務し1日3万歩も歩くとうかがいました。仕事は毎月流動的で収入の変動も激しくなっています。収入が増えれば国保、市県民税、保育料など納税し、児童扶養手当も引き下げられてしまいます。昨年度よりも仕事が少なくても昨年の実績で税金の請求がされ、毎月の生活のやりくりに困っているそうです。一生懸命働いてもなかなか貧困のサイクルから抜け出せず、もがいているこういう家庭がたくさんあるのではないかと思います。親子が幸せに将来に希望を持って過ごせるように、市として政策を立てて早急に対応すべきではないですか。