中村きみえ議員の代表質疑に対する答弁(要旨)

2010.9.3

【熊谷市長】

○ 市長の基本姿勢について

 私は増税ありきとは考えていないが、今後社会保障を含めた国民の負担の在り方や国と地方の財源配分なども含め、国政の場で論議した上で財源確保のためには景気変動を受けやすい法人税課税や所得税から消費税へのシフトも一つの方策だと考えている。実施には課税対象や低所得層への配慮などは必要不可欠だ。普天間基地問題は、在日米軍基地であり、日米両国の問題だから見解を述べる立場にはない。議会制民主主義では、選挙で民意が公平に反映されることが重要だ。経費削減だけでなく選挙制度の在り方も含め、有権者の意見も聞きながら国会の場で論議すべきだ。

 H21年度の予算は、基本的に民主主義のルールで可決された予算であり、尊重して執行すべきものだ。議員当時に提出した組み替え動議の項目は、マニフェストの取組事業に位置づけ推進している。モノレール整備の執行停止、蘇我スポーツ公園整備の見直しのほか、雇用創出や子育て支援など必要な施策に取り組んできた。それが反映された決算となっている。厳しい財政状況を念頭に、危機意識を持って予算執行に取り組んできたが、今後も市民生活に配慮しつつ蘇我臨海開発などの公共事業見直しを含めて財政再建を推進する。

 今回の決算は、大型開発事業推進の財源として市債や債務負担行為に依存したため、将来負担の増加につながった。深刻な財政状況を踏まえ、モノレールの延伸凍結、蘇我スポーツ公園整備の縮小、幕張町215号線整備の見直しなどを行った。財政再建に向けた財政健全化プランの項目を推進し、市民生活に真に必要な施策は着実に実施し、福祉向上に努めていく。

 地域主権改革は、国と地方の関係を抜本的に転換し、地域住民が自らの判断と責任で地域の諸課題に取り組み、基礎自治体として自主的・自立的に行財政運営が行えるよう改革するもので、憲法の「地方自治の本旨」を具現化するものだ。橋下府政や河村市政が進める大胆な改革は、地方自治の在り方について、地域住民の関心を高めていることは評価するが、多くの衝突を介して進めており、その手法や進め方には様々な意見があると思う。保育の設置基準では、千葉市の保育は質の確保へ乳児室は国基準の1.65平方メートルを上回る3.30平方メートルにしている。保育士の配置も2歳以下の児童で国基準の児童6人に1人の保育士配置に対し、児童5人に1人の保育士配置として、施設面・職員配置面ともに国基準を上回り、良好な保育を実施している。今後も保育の質向上や児童の安全確保に努める。

 市民対話会は、私の考えを率直に伝え、市民と直接意見交換して市政に対する理解を深め、意見を市政に反映させることが目的だ。今回は、実質公債費比率25%を超えないよう、厳しいここ数年を乗り超える必要がある。厳しい財政状況を市民に正しく理解してもらう上で、財政危機の克服へ一緒に取り組んでいくためのものだ。参加者からは「良くわかった」「これからも続けてほしい」などの意見があった。今後も市政を身近に関心を持てるよう進めていく。外部評価では、これまでの内部評価にはない見直しの視点をもらい、これら見直しの視点を全庁に徹底して評価シートを見直しつつ、事務事業の整理合理化を進めていく。

 大規模公共工事の見直しは、マニフェストの取組事業行程表で、モノレール延伸見直し、蘇我スポーツ公園整備縮小など6事業の見直しを行った。策定中の新基本計画では、現在の厳しい財政状況や今後の展望を基本認識として共有し、行政改革と財政健全化を強化しながら計画を推進していくことにしている。今後、大規模公共工事は、この考え方を踏まえて議会や市民の意見を聞きながら検討していく。

 補助金については、対象団体の関係者から多くの意見が寄せられ、公開ヒアリング前に外部評価員に、その全文を配布するなどしており市民意見を考慮して行った。公益性・補助効果等の観点から検証したが、今後外部評価員や市民からの意見を参考に問題解決への方向性などを総合的に検討し、適正化を図っていく。

 地元業者の育成や市内雇用の確保等の観点から、特養ホームの整備や公共施設の耐震化など地域経済活性化に資する事業は、公共事業予算全体の中で配分していく。

○ 東京大学緑地植物実験場について

 東大から移転計画の説明を受けた際や要望書提出の機会を通じて、地元への説明を要望してきた。今後も説明会の開催を要望していく。土地の購入は、内部での試算では8月現在の土地購入価格は約48億円で、取得するには多額の財政支出になるので購入は考えていない。市としては今後も存続を求めていく。

【藤代副市長】

○ 千葉国体の安全について

 共産党市議団からの要望書を受け取ったその日に、県に伝えてある。市としては県の動向を注視していく。

○ 地上波デジタル対策について

 これまで無償チューナー配布対象世帯はNHK受信料全額免除世帯に限られていたが、このほど総務省の来年度予算概算要求で、地デジチューナーとアンテナの支援対象を住民税非課税世帯まで拡大するとされているので、市としてはその動向を見守る。市としては、地デジ普及率やチューナー無償配布申込数は4,039件だとNHKから聞いて把握している。地デジへの円滑な移行のためには、国の支援策の周知などを市民に伝えることが重要なので、市政だより等で周知に努める。

○ 国民健康保険について

 自立支援医療費等の公費助成や心身障害者医療費助成等の市単独医療費助成受給者は、届け出てもらい、被保険者証を交付している。資格証明書が交付された世帯も医療が必要で、一時的に医療費の支払いが困難な場合や特別の事情がある場合は、申し出れば被保険者証を交付している。

○ 子どもの貧困問題について

 子どもの貧困は、国の調査では一人親家庭の相対的貧困率は54.3%だが、千葉市では「母子・夫子家庭等医療費助成」や「就学援助」等の経済的支援、各種相談制度等を活用して子どもの成長に貧困の影響が生まれないよう努めている。独自の貧困状況の把握は重要であり、国や先進都市の取り組み内容を調査研究する。

 国が検討中の「子ども・子育て新システム」は、幼稚園・保育所・認定こども園の垣根を取り払い、新たな指針で幼児教育と保育を一体的に提供するもので、子どもに質の高い幼児教育と保育を保障する基本理念には意義がある。具体的内容が明らかになっておらず、国の動向を注視したい。

 「待機児童解消アクションプラン」で、認可保育所の整備と保育ルームでの3歳未満児受け入れ促進を検討し、待機児の解消に努める。千葉市は、国や都市再生機構、県企業庁から土地の無償貸与等で保育所を整備している。今後も土地の有効活用へ関係機関と協議し、国有財産の福祉施設への活用に関し、国の動向を注視したい。

【徳永副市長】

○ 住宅基本条例の制定について

 H20年3月に策定した「住生活基本計画」の基本目標で6つの基本方針を設定し、具体的施策を展開しているが、社会情勢の変化を踏まえ住宅政策審議会の答申を受け、H23年度に基本計画を改定する予定だ。住宅基本条例は住宅政策の基本的な方針を示すものであり、条例化の必要性を審議会の意見を得て、今後調査研究していく。

○ アスベスト含有が懸念される再生砕石について

 市内での再生砕石利用状況は、市発注道路工事でH19年度に約7万8千?、H20年度は約5万9千?、H21年度は約5万2千?だった。駐車場は各施設の付帯設備として整備しているので一元的な情報はなく、早急に全庁的な実態調査を行い、安全対策を検討する。解体現場での適正処理状況は、建設リサイクル法に基づき、H14年から立ち入り検査を行っているが、さらに分別の指導を徹底したい。

【総務局長】

○ 国際交流について

 外国人市民が住みやすい千葉市になるよう「外国人市民懇談会」を年2・3回開催し、意見・要望を聞いている。7月に開催した懇談会では、地域社会で生活する際のトラブル回避に必要なことを議論した。これを基に中央区で外国人登録した市民に、生活習慣習得のためのオリエンテーションを実施した。今後も他の区での実施や問題点・課題を整理していきたい。市営住宅入居時の中国語での説明会や防災ボランティアの研修等で、地域連携コーディネーターの活用を図っている。市の国際交流協会では、ボランティアがマンツーマンで日本語学習支援を国際交流プラザで実施している。ホームページで市内日本語教室の団体を紹介し、H21年度は支援団体等で日本語指導に取り組み、意見交換を実施した。今年度は、外国人児童・生徒支援へボランティアの育成と支援体制確立に取り組み始めた。学校では、日本語指導協力員を編入したばかりの外国人児童・生徒がいる学校に派遣し、日本語指導と学校生活適応指導を行い、必要に応じて翻訳・家庭訪問・保護者との相談を行うなど支援に取り組んでいる。

【市民局長】

○ 公共料金の値上げについて

 コミュニティセンターの利用時間を午前・午後・夜間の4時間単位を基本にしているが、来年4月からの有料化で、利用者負担に配慮し多くの市民が利用できるよう2時間単位を基本にしたものだ。必要に応じてこれまで通りの4時間単位も可能としている。コミュニティセンターはサークル等の団体の活動のための施設なので、1時間単位の利用は想定していない。

【保健福祉局長】

○ 介護保険について

 特養ホームの待機者で低所得者の実態として、待機期間までは把握していない。千葉市は、国の指針に基づきユニット型個室を基本に整備を進めているが、多床室とユニット型個室の合築を認めるなど実情に応じた柔軟な施設整備ができるよう国に要望している。

【建設局長】

○ 集中豪雨・ゲリラ豪雨などへの対策について

 いつ、どこで発生するか、降雨の規模も予測は困難であり、事前対策は難しい。被害が心配される場所の改善では、公的施設の整備だけでは対応に限界があり、生活に影響のある床上浸水等の被害軽減を優先して行っている。新たに被害が心配な場所の改善は、場所も被害も想定できないので対応は難しい。H18年度から道路冠水が発生する箇所に、排水枡の位置がわかる表示ポールを設置し、地元自治会にごみ掃除や市への連絡などの協力をお願いしている。「下水道事業中長期経営計画」では、40年ほど経過したものからカメラ調査を実施し、その結果で老朽度に応じリニューアル時期を判断することになる。

【教育長】

○ 教科書採択について

 国では、教育基本法や新学習指導要領の趣旨を踏まえた「教科書改善に当っての基本的な方向性」を参考に、十分調査研究して適切に採択することが必要だとしている。千葉市は、これまで関連法令に基づき、教科書用図書専門調査委員会や選定委員会を設置し、調査研究の上で教育委員会会議で公正・適正に採択してきた。来年度の中学校教科用図書に限らず、今後も十分研究し児童生徒に最も適切な教科書を採択するよう努める。千葉市は、歴史教育に限らず、全教科で学習指導要領に基づいて指導している。中学校の社会科歴史分野では、昭和初期から第2次大戦終結までの取り扱いは、国際協調と国際平和の実現に努めることの大切さに気付かせるようにと示されており、その主旨に基づき指導することが肝要だ。「教科書用図書の無料措置に関する法律」で、義務教育で使用する教科書の採択は、都道府県教育委員会の指導・助言・援助の下で、市町村教育委員会が行うことになっている。千葉市は市の児童生徒に最も相応しい教科書を採択しており、これを尊重すべきと考える。

○ 中学校夜間学級について

 H12年度の国勢調査での数値では、15歳以上の義務教育未終了者は市内に619人いるとされており、これを参考値としている。H22年8月現在、就学年齢を過ぎたちばしに外国籍生徒6人が千葉市から市川市立大洲中学校夜間学級に通っている。千葉市でも設置することで、周辺自治体への影響は考えられるが、大洲中学校のような2部学級としての夜間学級設置は考えていなあい。生徒の卒業は学校長の判断で認定されるものであり、これまで適切な卒業認定が行われてきている。卒業後も義務教育段階の学習を希望する人など多様な教育ニーズには、検討会議を設置し対応策を検討していく。