小関としゆき議員の討論

2010.9.6

 日本共産党千葉市議団を代表して、討論を行います。

議案第148号・一般会計補正予算について

写真 議案第148号一般会計補正予算の特徴は、小規模福祉施設スプリンクラー設置補助事業や緊急雇用創出事業など前進面はありますが、極めて小規模の予算のため、不況と収入減で厳しい生活の市民の願や猛暑対策、干ばつ対策、行方不明高齢者対策、円高への施策など、緊急課題に少しでも応えようとする中身がないことであります。

 予算総額16億5,135万円は、昨年H21年度第3会定例会補正予算58億5,917万円の3分の1しかありませんし、その内訳も、市税還付金10億7,000万円を除くと5億8,135万円しかありません。総務委員会で、この指摘に対する財政当局の答弁は、「昨年度は国の経済対策があったが、今年度はないので小規模な補正となった」とのことでした。

 それ自体は、国民生活そっちのけで「内部抗争」「権力闘争」をしている民主党政権の責任であります。併せて補正予算の財源内訳を見ると、国・県補助金と市債が中心で、一般財源は繰越金6,900万円のみであることから、熊谷市長は、深刻な市民生活支援や緊急課題に真剣に取り組む補正予算にすべきであることを指摘しておきます。

継続審査議案123号について

 いきいきセンターのお風呂利用者から、一回につき100円の使用料の徴収を共産党以外の会派の賛成で決定したことは遺憾であります。もともと、熊谷市長が財政危機を理由に、公共施設の利用料値上げと新設を、受益者負担の名のもとに利用者や市民の声を聞かず、一方的に決定したことが原因でした。

 第2回定例会で継続審査を主張した自民党は、付帯決議を付して賛成に回ったことは説得力に欠けるものです。いきいきセンターのお風呂利用者や市民の中には、少ない年金で必死に暮らす人などが多く、収入の少ない高齢者が、無料で入浴できたことから、健康を守り、交流できる場として活用されていました。有料になることで、このささやかな楽しみが奪われる市民のことを真剣に考えてほしいものです。

 継続審査議案123号に反対して、無料を継続するよう主張したのは、わが党だけであり、このままでは来年4月から有料になってしまいます。

 老人福祉法の基本的理念は「老人は多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるもの」としています。この際、減免基準を作り「非課税の人は無料にする」などの実施を強く求めておきます。

議案153号・千葉市ハーモニープラザ設置管理条例の一部改正について

 指定管理者の募集手続きの変更と利用料金制度の導入に伴い、利用料の上限を定めるものであります。ハーモニープラザをこれまで非公募としてきた理由について、「公の施設、行政機関、福祉関係の事務局が置かれている総合施設であり、横断的かつ適正な管理運営を行うため、施設間相互の有機的連携が必要なことから非公募とした」と答えています。こんな厳密な規定の上で、ハーモニープラザ管理運営共同事業体に管理を任せてきたのだから、民間の企業などが指定された場合、運営に支障をきたす懸念があると思い、質問したわけです。当局は、「その心配はない、千葉市の公の施設に係る指定管理者の選定等に関する条例に添って公募する」と答えていますが、それでは今までの説明の信憑性が問われることになります。

 結局、来年度一斉に行われる指定管理者の更新・公募に間に合わせ、ハーモニープラザも「外郭団体見直し」の指針に添って、再編のレールに乗せて、行政の責任を回避していくための条例改正だと疑われることには賛成できません。

議案155号・千葉市廃棄物の適正処理及び再利用等に関する条例の改正について

 私どもは、ごみの分別・排出ルールを守らない者に対する指導強化体制が必要なことは認めています。しかし罰則・過料を科すことについては納得がいきません。

 千葉市一般廃棄物(ごみ)処理基本計画をH19年度に策定し、「焼却ごみ3分の1削減をビジョン」とした取り組みがされて、3年間で5万3千トン削減されるなど、この間、行政と自治会はじめ住民が一体となって取り組んできたことが、計画を前進させてきました。

 続いて、H21年5月から不適正排出ごみの取り残し強化に取り組んできましたが、その取り組みが十分進んでいない中で、H22年1月14日に当局は、ルール違反者に対して、罰則・過料を科すことを廃棄物減量等推進審議会に諮問しています。これは、「罰則先にありき」で進めてきたことを示していると思います。日本共産党市議団は、本条例には次の問題点があることを指摘します。

 1、ルール違反者に対して十分な努力をしないまま、初めから罰則・過料を科すことを決めていた。

 2、千葉市は、横浜市に続き全国の自治体で2番目の罰則・過料の条例制定である。

 3、ごみの減量適正処理は、住民と協力してこそ達成できる事を理念とする「千葉市廃棄物の適正処理及び再利用等に関する条例」との整合性がない。

 4、「不適正排出ごみの取り残し」「ルールを守らない市民」に対して、罰則・過料を科すことなく、努力している全国1,750のほとんどの自治体のように、住民と粘り強い共同がなぜできないのか。

 5、条例改正に伴うゴミ減量の数値が出ていないことや、この事業を進めるための費用が人件費を除いて300万円余りかかること。

 6、横浜市の2年間の実績は、ステーション調査11万5,676件、指導数8,585件、勧告数38件、命令数4件、過料数は2件であるように、調査・指導・勧告・命令で大方解決している。

 以上の内容を踏まえて、千葉市の条例改正の運用を「調査」「指導」「勧告」「命令」までにとどめることを重ねて要求するものです。

議案157号・千葉市学校給食センター設置管理条例の一部改正について

 新港学校給食センターが10月1日から供用開始になり、かわりに、こてはしの給食センターがー当分の間休止されるとのことです。

 新港学校給食センターは大宮に続いて、PFI方式による市内2箇所目の給食センターとなります。大宮の給食センターと同様に1日最大10,000食まで対応でき、20校に給食を提供しますが、生徒自身が管理できるとの認識でアレルギーへのきめ細かな対策はありません。11台の配送車を使い、遠くの学校でも最大30分で届けるとのことですが、移動コストに問題は無いのか、生徒の食べる時間は充分か、など大規模化による不安は残ります。

 食の安全と食育の観点から、PFI事業による学校給食センターには賛成しかねます。

議案第161号・市道路線の認定及び廃止について

 今回の反対の理由は、市道路線の認定調書・整理番号44番、大森町701号線の認定についてです。この路線に伴う開発行為については、地域住民からも大きな反対がありました。ここの土地は、本来ならば宅地開発指導を受けて、市民の快適な宅地を造成することが求められていました。当初は、駐車場として開発され、その後ミニ開発が進められ、現在は多くの住宅が建設されています。法律の隙間をついての土地開発は、近隣住民に対する説明不足などからトラブルが生まれます。道路幅の問題や開発に対する不安などから、良好な住環境が脅かされています。

 このようなケースは県の指導となりますが、厳しい指導が求められます。今後、こうした案件については、規制を強化するよう求めておきます。

発議26号「千葉市子どもの権利条例制定検討委員会設置条例」の制定について

 すべての子どもには幸福を求め、自分自身の人格や能力を発達させることを求める権利があります。

 「子どもの権利条約」は世界中で批准されていますが、日本の子どもの3割は「孤独感」を訴え、児童虐待、いじめ、不登校、暴力など子どもの人権が脅かされている事態が進行しています。日本では、子どもの権利条約が批准されましたが、条約を狭く解釈しようとするなど「子どもの権利」に対する理解が不十分で、「大人の立場からしか見ない考え方」があることも事実です。

 常任委員会でも「権利だけ主張することになる」「子どもは親が家庭でしっかり育てるもの」「権利擁護にせばめられてしまうのはどうなのか」との否定的意見や、「親が子どもの権利を尊重しているかと言うとそうでないこともある」「いじめ・不登校・自殺などの現状に、何らかの手立てが必要との思いには賛同」「重要な問題」などさまざまな意見が出されました。

 意見は違っても「子どもの人権を守る」、「子どもの最善の利益を考える」という広い認識に立って、検討委員会の設置をするべきと求めましたが、「子どもの権利」の捉え方の違いや、審議する機関が常設されているなどの理由で否決となったことは残念です。

請願13号「子どもの通院医療費を、県と同様に小学校3年生まで無料にすることを求める請願」について

 千葉県はこの12月から、子どもの医療費助成を通院・入院ともに小学校3年生まで実施することを決めており、千葉市でも小学校3年生までの子どもたちの医療費助成が拡大されると考えるのは当然です。

 前回6月議会にも同じ趣旨の請願が出されていましたが、残念ながら不採択でした。今回、小3までの医療費助成を求める請願が2本出されたのは、「なぜ県内で千葉市だけが助成対象を拡大しないのか」千葉市でも子どもの医療費助成を拡充するよう強く求める声がさらに広がった結果に他なりません。

 請願13号も18号も趣旨は同じでありながら、財政難で厳しいことを理由に「ただちに」との言葉をとらえ、請願13号だけに反対したことは納得できません。子どもの医療費助成の拡充を求める市民の理解も得られないものです。

請願14号・子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成を求める請願

 子宮頸がんワクチンは認可がされ、接種が始まりましたが、1回接種で1万5千円となり、3回の接種では4万円から6万円の負担となるために、政令市の一部や県内の自治体で、一部公費助成や全額助成が進んでいます。

 ある委員からは、「厚労省がワクチン接種の予算要望をしている。国が行うべきもので、市独自という項目には賛成しかねる」と。またある委員は、「ワクチン接種は完全じゃない。お金があってもなくても受けられることは大事だけども、健診がおろそかになる心配がある。財政が厳しいので慎重に行なうべきで賛成できない」と反対しました。

 地方自治法第1条の「住民の福祉の増進を図る」に照らし、女性の命と健康、人権を守るためには、国の動向待ちにならず、千葉市として速やかに公費助成を行なうべきです。

 以上申し上げ討論を終わります。