ふくなが洋議員の一般質問に対する答弁(要旨)

2010.9.16

【市民局長】

○ 地震ハザードマップについて

 地震ハザードマップは、中央防災会議や県の「地震被害想定調査」を踏まえ、マグニチュード7.3の東京湾北部地震とマグニチュード6.9の千葉市直下地震を想定し、揺れやすさや地域の危険度などを50mメッシュ単位で予測している。市民への公表で、家具転倒防止金具の取り付けや家屋の耐震補強、避難路の事前確認など大地震への備えが促進される目的で作成した。費用は、作成費用約530万円、印刷や折り込み代など約285万円、合計約815万円だ。活用は、新聞折り込みとポスティングで市内全戸に配布し、市政出前講座・防災リーダー養成講座などで配布して周知している。地域ごとに想定される揺れの程度や建物の全壊率などを5段階で識別でき、「改めて防災への備え」が意識できると好評だ。H21年6月の公表時からハザードマップを保有し、現在も30%が活用している。被害軽減への貴重な資料であり、さらに周知に努める。揺れやすい濃い色で表示された危険地域は、計測震度が6.25〜6.5と予測される地域だ。

○ ゲリラ豪雨について

 8日に発生した大雨による被害は、床上浸水88か所・被災家屋 棟、床下浸水91か所・被害家屋 棟、道路冠水などが169か所で発生した。発生原因は、台風9号が15時40分に熱帯低気圧に変わったが、17時から18時までの1時間で675mmの驚異的な降雨があり、千葉港の満潮時間が17時25分と重なったため、市内各地で多くの浸水被害となったもの。一般的にゲリラ豪雨の予測は困難とされ、気象庁が発表する気象注意報や警報を安全・安心メールで自動送信し、銚子気象台と県が共同で発表する土砂災害警戒情報は、安全・安心メールの外、広報無線でも知らせている。ホームページ上にも「災害情報発信サイト」を開いている。河川の氾濫、浸水対策、がけ崩れへの対応は、気象庁の情報や民間気象情報会社が提供する情報を基本に、市内の被害状況で「地域防災計画」による配備体制をとることになる。河川氾濫対策では、坂月川と勝田川で段階的に改修を進め、浸水対策では、2年前までの床上浸水等の被害地域を対象に浸水状況を検証し、その結果で軽減策を検討する。深層崩壊への対応は、本年8月に国土交通省発表の深層崩壊推定頻度マップによると、千葉市は発生が低い地域とされているが、総降雨量が400mmを超えると発生が増えると指摘されており、迅速な情報提供に努める。県が公表している急傾斜崩壊危険個所では、美浜区以外の5区に292か所存在している。土砂災害防止法では、急傾斜地の崩壊・土石流・地滑りを土砂災害の発生原因と定めており、県が指定する土砂災害警戒区域は美浜区以外の5区で122か所予定されている。危険個所の点検は、毎年6月の土砂災害防止月間で点検している。県が指定した24か所の急傾斜地崩壊危険区域のうち18か所で崩壊防止工事を完了、6か所で工事を進めている。
 まちづくりには、安全・安心への配慮は不可欠だ。大災害の発生時には、地域の共助の精神を期待している。そのため、自主防災組織の結成や地域防災力向上へ活動支援に努めていく。
 区ごとの被害状況は9月14日15時の集計で、道路冠水は中央区43か所、花見川区49か所、稲毛区50か所、若葉区21か所、美浜区7か所だ。床下・上浸水被害戸数は、中央区21棟、花見川区17棟、稲毛区130棟、若葉区6棟、美浜区3棟だ。車の被害状況は詳細不明だが、全市で36件報告されている。
 被害市民に対する支援策は、「災害見舞金支給要綱」で住家の床上浸水には30,000万円の見舞金を支給する。床下・上浸水家屋への消毒や廃棄物処理には迅速に対応する。
 草野下水路があふれた時間は、9月8日の17時20分ごろで、床上浸水は17時50分ころと推定される。浸水が解消したのは同日の18時45分ころだ。
 被災住民への説明や要望を聞く機会は、各所管の調査・検証で発生原因が判明するなど今後の進捗状況で検討していく。

○ 地震災害の事前想定について

 地震被害予測システムは、地震計で計測された震度データから市内の地質データを基に、家屋の倒壊・出火・液状化の危険性を予測するもので、応急対策上効果はあるが、費用対効果の点から導入は考えていない。食糧は、「市地域防災計画」で想定する避難者、約195,000人の2食分を整備基準にし、毛布など応急活動に必要な資機材の計画的整備、他都市や民間事業者と災害時の応援協定や覚書を締結し、それに基づいて対応していく。賞味期限まぢかの食糧は、市内の小学校への配布や各種イベント参加者に配布し防災意識啓発に活用している。市の「災害時要援護者支援計画」と「地域防災計画」では、市民からの意見を基に要援護者の支援の際の配慮や避難所での授乳室など女性への配慮等を反映させた。地域の状況は常に変化しており、状況に即した計画になるよう努める。
 H15年9月の中央防災会議専門部会の報告書では、東海・東南海・南海の3連動地震の被害想定を建物全壊が約90万棟、死傷者約2万5千人に及ぶとされている。今月1日の総合防災訓練では、3連動地震を想定したが、本市の震度は4以下と想定された。しかし、最強震度を6強と想定している「市地域防災計画」に基づいた対応を図っていく。
 飲料水を含め災害時の生活必需品確保は、市民各自で備えることを基本にしながら、市では給水体制を各中学校区に1小学校を選定し、合計56校に1時間当たり4,500リットルの給水能力がある非常用井戸を整備している。防災備蓄品は、食糧・簡易組立トイレ・毛布・救助用資機材などであり、おむつや衛生用品は各家庭で備えてもらうことになる。市では確保していない。

○ 千葉市ボランティア保険について

 各地域で住みよい街づくりのため、環境美化活動や青少年健全育成へのスポーツ・レクリエーション活動、高齢者や体の不自由な方への援助活動などが行われている。ボランティア活動補償制度は、こうした活動を支えるボランティアや指導者が安心して活動できるよう一定の補償をするものだ。内容は、千葉市に活動拠点を置き、ボランティア活動を行っている団体と指導者、従事者を対象に、傷害補償と損害賠償責任補償するもので、市が一括し加入手続きを行っているので、ボランティア個々が契約手続きや保険料支払いの必要はない。補償は傷害補償で死亡補償金が1人500万円、後遺障害補償金1人15万円から500万円、入院補償金は1日3,000円となっている。損害賠償責任補償は、1人6,000万円、1事故につき2億円で、財物賠償と保管物賠償はともに1事故100万円が限度だ。契約保険会社は日新火災海上保険KKの代理店、KKコンパス保険だ。これまでは深刻な事故事例はない。裁判になった事故事例もない。最も多い事例は、防犯パトロール中の傷害事故だ。その他、地域の清掃活動や草刈り等での転倒や裂傷、夏祭り等の行事準備中の傷害事故などだ。補償の対象がボランティアや指導者となっているが、民間の保険は市が補償しない行事参加者まで補償する制度があるなど、その活動にあった補償内容、補償額を選択できる。民間との保険の併用で補償内容がより充実できる。本市のボランティア活動補償制度は、安心してボランティア活動を行うため一定の補償を行うもので、これまでの状況から見て適切な補償だと考えている。

○ 多重債務問題について

 H21年度の多重債務相談件数は361件、20年度435件より74件減少している。22年度は8月末までで126件で、「改正貸金業法」に係る相談は6件だ。内容は「事業資金も総量規制の対象か」「ヤミ金の返済が困難になった」などの相談があった。金融庁の「多重債務者相談マニュアル」に基づき、丁寧な聞き取りで状況に応じた助言を行っている。問題解決へ法律の専門知識が求められ、県弁護士会と連携を図り、H21年度から実施回数を増やし、毎月第2・第4木曜日の2回、弁護士同席の多重債務者特別相談を実施し、債務整理などの支援に努めている。本年5月からは、県主催の「多重債務問題対策本部」のメンバーとして参加し、連携を図っている。「市政だより」に記事を掲載し、消費生活センターのホームページやリーフレットの配布で周知している。くらしの情報誌「いずみ」でも特集し知らせている。多重債務問題を抱える市民の把握と支援へ、H19年12月に庁内の関係部局の所属長で構成する「多重債務者支援庁内連絡会議」を設置し、多重債務者の掘り起こしを目的に構成員の各所管で相談を受け、消費生活センターに相談するよう指導している。他の所管から引き継いだ相談件数はH19年2件、H20年13件、H21年35件あった。相談の状況で、「多重債務者特別相談」を活用し、助言・支援を引き継いでいる。買い物症候群など精神面の相談は、各区の保健福祉センターの相談窓口や市こころの健康センターの「精神保健福祉相談」を案内している。

【環境局長】

○ 地球温暖化対策について

 2020年の削減目標は、昨年9月に当時の鳩山首相が国連で25%削減を表明している。この削減目標に向け環境大臣案として国内排出量取引制度、地球温暖化対策税、住宅・建築物省エネ基準の義務化、温室効果ガスの「見える化」など、温暖化対策に係る中長期ロードマップを公表した。環境省は、来年度予算の概算要求で、新規事業に温暖化対策に係る中長期ロードマップ精緻化検討費を盛り込んでいる。千葉市は、22年度の温室効果ガスを17年度比12%削減を目標に、廃棄物処理施設、公用車の排出削減、節電、節水などエコオフィス活動で、全庁的に削減に取り組んでいる。その結果、20年度の温室効果ガス排出量は25万4千トンで、17年度比3.2%削減された。再生可能エネルギーの導入に努め、中央図書館ほか25か所で計360KWの太陽光発電設備と稲毛海浜公園には10KWの風力発電設備を導入した。今年度は花園中と総合保険医療センターに、それぞれ20KWの太陽光発電設備を整備する。今後も施設の設置や大規模改修にあわせ、再生可能エネルギー設備の整備を図っていく。
 屋上・壁面緑化、緑のカーテンなどの取り組みは、ヒートアイランド現象の緩和効果があり、地球温暖化対策として「地域推進計画」に位置づけ推進している。消費生活センターや生涯学習センター等で屋上緑化を実施している。
 国が公表した2008年度の排出データでは、JFEスチールKK・843万トン、東京電力KK・14万トンだ。東京電力の排出量は総排出量702万トンから電気使用者が排出したとみなす688万トンを差し引いたものだ。現在、大規模排出源への規制はないが、各企業は京都議定書の削減目標の実現へ、「日経連」の自主行動計画に基づき温室効果ガス排出削減に取り組んでいる。市としての大規模排出事業者対策は、次期計画策定の中で検討しているが、「公的削減協定」は、広域的な視点での検討が必要であり、国の動向を注視したい。

○ 廃プラ公害病対策について

 家庭からの容器包装等の廃プラスチックは、可燃ごみとして収集し、清掃工場で焼却処分している。ペットボトルは、資源物として収集し、圧縮梱包処理を民間施設に処理委託後、日本容器包装リサイクル協会を通じて再商品化を図っている。この民間施設の従業員から健康被害報告や周辺住民からの苦情は受けていなあい。千葉市は、大気汚染防止法で市内6地点にベンゼン等有害19物質の大気汚染モニタリング調査を毎月実施しているが、いずれも環境基準や健康リスク低減のための指針値を下回っている。

【保健福祉局次長】

○ 高齢者の人権について

 高齢者の行方不明問題の背景は、核家族化の進行など世帯構成が変化し、高齢化の進展で一人暮らしや高齢者世帯が増加して、家族・親族間や近隣との人間関係が希薄になり、高齢者が地域社会から孤立する状況にあるからと考える。高齢者だけでなく、人と人が緊密に連携し、支え合う地域社会の構築が重要だ。
 高齢者の犯罪は、生活困窮など経済的な問題と社会的な孤立や生きがいの喪失などが原因だ。高齢者の見守り支援とともに、高齢者に就労機会を提供するへシルバー人材センターやいきいきプラザなどでの生きがい事業など、様々な福祉施策を推進し、社会との関係性を保つことが犯罪抑止にもつながる。
 あかいの郷問題は、前理事長を解任し、理事・評議員を刷新するなど、改善に向けた取り組みが行われている。一方で、職員の離職防止策、使途不明金の原因究明などは、まだ改善は十分ではなく、改善期限を11月30日まで延長する行政処分を行い、毎月、改善状況の経過報告を提出させている。入所者は、日常の介護に問題はなく、通常のサービスが提供されている。改善措置命令後、虐待は確認されていない。職員の待遇改善は、労働条件改善へ社会保険労務士に委託し、定期的に職員との協議を進め、改善への取り組みを行う。未払いの時間外勤務手当は、近日。支給すると聞いている。市内の他の老人福祉施設ではこのような問題は確認されていない。この事案は、重要で深刻な問題があり、市として法人を処分し、他の法人にも適正に運営するよう緊急に通知した。原因は、理事長・理事会・評議員会の相互牽制機能の欠如と一部役員の独善的な経営姿勢が引き起こしたものだ。今後、当該法人はもとより、各法人・施設に対し役員会が相互牽制機能を発揮し、協力して入所者サービス向上に努めるよう指導していく。
 特別養護老人ホームは、待機者が多く入所が難しく、有料老人ホームは入居費用が高額なためほとんどの低所得者は入所できない問題がある。生活支援ハウスは、60歳以上で独立した生活に不安な人に住居を提供し、各種相談・助言を行う施設だ。ケアハウスとの違いは、一時金の支払いがないこと。原則自炊であること。利用するのに市への申請が必要ないことなどがある。設置には、介護保険制度の導入で特別養護老人ホームから退所せざるを得ない人の受け皿として整備されたが、制度移行後、5年の経過措置期間が終了したので、新たな整備は考えていない。宅老所は、法的位置付けがなく、整備は困難だ。高齢者施設の個室化は、プライバシーの確保やきめ細かなケアが可能などのメリットがある一方で、費用負担面から低所得者には利用しにくいなどのデミリットもある。特養ホーム待機者への対応は、今年7月1日現在、待機者は2,017人おり、特養ホームの新設や増床での整備と認知症高齢者グループホームなども積極的に整備していく。

【建設局次長】

○ ゲリラ豪雨について

 千葉駅エレベーターは、豪雨で雨水が地下通路から機械室に流入したことが原因で停止した。3基のうちクリスタルドーム側が翌日9日夜に、他の2基は11日夕方に復旧した。エスカレーターは、修理工事を発注し交換部品を作成中で、来年2月頃に稼働の予定だ。
 水門管理の捜査基準は、県の水防高潮・震災等実施要綱で操作している。草野排水機場の水門は、潮位が2.5mを超えると予測された場合に水門を閉鎖する。今回の満潮時の潮位は2.09mの予測のため水門は開放していた。海上保安庁の当日データでは潮位が2.32mだった。