野本信正議員の代表質問に対する答弁(要旨)

2010.12.8

【熊谷市長】

○ 国政の動向と地方政治について

 私は、地方財源確保、一括交付金に伴う総額確保、子ども手当の地方負担解消、地方税源拡充強化など指定都市市長会を通じて、機会あるごとに要請して来たし、今後も適切に意見を述べていく。子宮頸がん等ワクチン接種は、今後国から示される具体的な事業内容を踏まえ、H22年度中の実施に向け準備を進めていく。

 地方主権改革で国の義務づけ・枠づけが廃止・縮小されることは、住民に最も身近な基礎的自治体が地域の特性に応じ、企画立案から管理執行まで自らの責任で、自主的・総合的に決定できるようになる。これは地方自治の本旨を具現するものだ。

 地方行財政検討会議では、首長の権限に対し、議会が責任を有する「融合型」、議会と首長の役割・責任を明確にする「純粋分離型」など、いくつかの選択肢があり、地域住民自らが選択することなどが検討されている。自治体の基本構造にかかわる問題であり、議論は簡単ではないが議会の権限を弱めたり、住民自治の縮小になる方向では議論されていない。私としては、議員を執行側に組み入れることは、二元代表制にとってふさわしくないと考える。名古屋市政の問題はその地域の住民が判断すべきである。個人的には、市長が議員のリコールを先導することは好ましくないと考える。この改革は、地域住民が自らの判断と責任で地域の諸課題に取り組めるよう、基礎自治体が住民の暮らしに関わり、自立的な行財政運営ができるようにする改革であり、地方自治の本旨の具現化だ。千葉市の行革プランではこれらを「地域主権改革の進展」として記載している。

○ 熊谷市長の1年半について

 市政執行では、マニフェストに基づき「市民の命と幸せを大事に」「未来への投資で全国の誇れる県都」の実現へ、医療・介護、子育て支援、経済活性化など将来の活力を優先的に取り組む分野、都市の魅力を高める施策に重点的に予算配分してきた。厳しい財政状況の中で、市の事業を総点検し、市民生活への影響がないよう配慮しながら、効果が薄れた事業や他の事業で代替できるものは見直した。公共料金も低所得世帯の負担に配慮し、受益者負担の適正化の観点で見直した。関係者から見直しが早急だとか、説明が不足だなど意見もあるので、今後あらゆる機会に説明していく。市民との協力でマニフェストの公約実現に取り組んでいく。

 敬老事業は、平均寿命が延び高齢化が進展し、超高齢社会を目前に、これまでの内容の継続が困難になっている。高齢者を敬う気持ちは大切だが、事業を継続させるために見直したものだ。

 いきいきプラザ入浴料は、障害者と付添1名は減免するが、市民税非課税者は他の施設との整合性から減免はできない。

○ 来年度予算編成基本事項とアクションプランについて

 蘇我臨海開発と千葉駅西口再開発事業は、既にマニフェストに関する取り組みの進捗状況や事業効果を勘案し最大限の見直しを行いアクションプランに位置付けている。今後、社会情勢を勘案して必要な見直しを行っていく。文化芸術立国のため文化活動の重要性を訴えて国家予算に占める文化予算の割合の増額を求めていることは承知している。私も、ゆとりと潤いが実感できる豊かな地域社会の実現に大きな役割を担っていると認識しているが、外部評価委員からの意見で、東京フィル提携と舞台芸術鑑賞の2事業は休止・廃止したものだ。しかし、地域での自主的活動を促進させ文化芸術の裾野を拡げるよう努める。

 障害者住宅改造費助成への所得制限導入は、低所得者に配慮しながら応能負担の原則により所得制限を設けるものだ。高齢者福祉事業も外部評価の結果から効果が乏しいものや社会情勢に合わないものを見直した。老人つどいの家は近年、利用者の減少傾向や居室提供者が高齢化し継続が困難になるなどの状況を考え、廃止することにした。

 子どもの医療費は、財源が確保されたら小学3年まで拡大する請願が全会一致で可決されている。県内では今年12月から千葉市以外の全市町村で最低でも小学3年まで拡大され、早急に千葉市としても解消すべきだ。来年度の予算編成の中で財源確保と併せて、23年度中の早い時期に小学3年まで拡充できるよう検討していく。小学校卒業までの拡大は、まだ県の明確な方針は出されておらず、実施には約10億2千万円の財源確保が必要なため難しいが、県の動向を注視したい。子どもの医療費単独補助金を定額の1億円から定率6分の1に改善させたが、他市町村の2分の1と比べまだ不公平な状況だ。引き続き改善のための協議を行う。75才以上の医療費負担無料化は、安定した医療保険制度を維持するためにも困難だ。

 千葉駅西口再開発事業は、JR千葉駅のリニューアルと併せて中心市街地の活性化を図るもので、税収増も見込めることから、早く事業を完了させたい。B棟整備は、社会経済状況を見ながら検討していく。事業の緊急性・必要性から大型開発事業の適切な見直しを行い、医療・福祉向上など未来への投資を優先的・重点的に実施していく。

 県補助金の改善で、H22年度は副知事と副市長を窓口に検討を進め定額制から定率制に改善でき、1億1千万増額できた。今後も要望を続けていく。

 臨時財政対策債は、これまでも発行可能額全額を発行してきた。今後も国の財政計画に留意しながら活用していく。リース方式は、OA関係備品や車両などで活用し、保育所や学校建替時の仮設校舎など暫定施設にも導入しており、今後も可能なものに活用していく。

 少子高齢化と近い将来の人口減の時代の中で、未来に希望を持ち将来の活力を確保するために、必要なサービスを確保するには財政健全化が最優先課題だ。健全化の道筋を明確にし、市民福祉・サービスを選択し集中の観点から実施していく。

○ 外郭団体経営見直し指針と指定管理者の更新について

 外郭団体の業務が縮小した場合の団体職員の雇用は、基本的に各団体が対応するが、市は設置者・指導監督者であり、団体職員が他の外郭団体へ転籍する場合の総合調整などの支援を行う。

 外郭団体へ派遣している市職員の引き上げは、団体職員の人員に配慮しながら転籍を支援していく。外郭団体が指定管理者になっている施設の非公募化は困難だ。

○ 国民健康保険について

 国保は現在の市町村単位での財政運営では、年齢構成や所得に差があり、保険給付は全国共通なのに保険料は市町村ごとに算定方式が違うため財政が不安定だという構造的問題がある。国保の広域化は、この現状を改善し、地域保健として一元的運用を図る観点からのものなので、中止を求めることはしない。一般会計からの繰り入れは、国に国庫支出金の増額や制度の抜本改善を求め、全国一律の施策で地方に負担が生じないよう要請している。国保事業は本来、保険料や国費で運営すべきものだが、収支不足に係わり新年度では検討したい。

【藤代副市長】

○ 循環型公共事業・循環型経済対策について

 特養ホームの整備は、国の「介護基盤緊急整備特別対策事業」を活用し、2施設の上乗せ整備を進めているところだ。そのことで新たな雇用が創出され、経済効果も一定もたらされた。これからも待機者解消へ整備を進める。

○ 公契約条例の制定ついて

 庁舎等の管理業務従事者の賃金は把握していない。業務委託契約の入札時に、最低制限価格を設け、積算内訳書を提出させ、極端な低価格入札の抑制と契約時に品質確保や最賃法など労働関係法の遵守する誓約書の提出を求め、従事職員の労働条件が確保されるよう指導している。

 公契約条例の制定は、賃金などの労働条件は、最賃法など法令の定めがあり、民間企業等への影響もあるため、当面は、野田市での実施状況や国の動向を注視していく。

○ 家具転倒防止金具取り付けについて

 家具転倒防止金具は、地震に対する備えとして大きな効果があり、毎年市政だよりの防災特集で、タンスや冷蔵庫など家具に合った金具取り付けをわかりやすく紹介するなど、家具転倒防止金具の必要性と効果を広く啓発している。取り付け困難な市民に対し、災害時応援協定を締結している建設関連団体に呼びかけ、取り付けが促進されるシステム作りを検討していく。

○ 保育所の待機児童と施設建替えについて

 国では市町村の関与のもとで、保護者が施設を選択し契約する「公的保育契約制度」の導入や正当な理由がない場合応諾しなければならない「応諾義務」の導入などが検討されている。

 こども園の利用料も、国で「すべての幼児教育・保育を必要とする子どもに対し、幼児教育・保育を受ける権利を保障する」考えから、低所得者への配慮や支援の必要が検討されている。国の幼保一体給付としての「こども園」は、必要な給付の保障責務や利用者支援についての市町村の責務の明確化などが検討されている。しかし、新システム制度の詳細が定まっておらず、国の動向や情報収集に努め適切に対応していく。老朽化した保育所の改善は、国の「新システム」の議論を見つつ、当該保育所の敷地状況や児童数の推移、費用対効果、移築の必要性、子どもへの影響などを踏まえ、リース方式も含め検討していく。

【徳永副市長】

○ 住宅リフォーム助成制度の制定について

 補助制度の効果は、新たな住宅リフォーム工事が創出され市内関連業者の受注機会増加に繋がり、一定の経済効果が期待できる。事業効果や地域経済活性化にどれだけ有効か、実施している他自治体を十分調査したい。千葉市では、耐震化・省エネ・バリアフリー化促進の補助制度を実施しており、一定の効果が出ているので、住宅リフォーム助成制度は優先度検討したい。もし実施する場合は、国の交付金は裕子に活用したい。

○ 墓地の造成について

 開発は、都市計画法で法に適していれば「開発許可をしなければならない」とされており、認めたものだ。開発許可後も宗教法人には、寺院建設後も周辺住民に理解を得るよう行政指導している。許可申請時に「墓地建設か寺院建設か」聞いたら「寺院建設だ」と明言している。周辺住民への説明でも住職が立ち会い「墓地建設ではない」との説明をしている。許可時にも該当法人の代表から再度「墓地建設はない」と確認している。そのため確約書の提出までは求めない。

○ 千葉市農業の発展について

 農水省はTPP参加による影響を19品目対象に試算したが、千葉県は米や畜産品など8品目を農水省の算出方法で試算し、農業産出額の3分の1が減少するとしている。千葉市では、7品目が対象と考えられ、ほぼ県同様の割合で減少すると見込まれ、特に畜産関係は大きな影響がある。

 食料は人間の生命維持に不可欠であり、生産・供給する農業は将来にわたり維持発展させなければならないものだ。市民に新鮮で安全安心な食料を提供するため、農業生産環境の整備を進め、生産性向上を図り、新規就農者や定年帰農者の研修や農業に参入を希望する法人を支援し、農業の担い手確保に努める。政府はTPP参加判断を先送りしつつ、関係国との協議を開始する方針を表明している。合わせて国内農業改革を進める考えも明らかにしている。全国農業協同組合中央会は、日本のTPP参加に断固反対を表明している。国内農業が持続的に発展できる体制の整備が必要であり、国の動向を注視していく。

 新規就農者には、農家研修と実地研修の2年間、研修奨励金として五万円交付している。また、農業機械の無償貸出しや栽培技術・経営指導などの支援を行い、就農後は定期的な巡回指導や施設・機械の導入助成、制度資金の利子補給などの支援体制を整えており、この体制を継続していく。

○ 浸水被害対策について

 床上・床下浸水や道路冠水の発生地域の傾向は、H19年度からH21年度までの3年間に水害は527件発生している。地域別では最も多いのは中央区の239件で、市全体の42%を占め、港町・春日・松波・椿森が主である。2番目は稲毛区で121件発生し全体の21%、主に園生町・轟町・作草部町、次は若葉区で110件、花見川区75件、緑区16件、美浜区11件発生している。

 殿台町隣地の開発行為での、雨水排水は都市計画法に基づき接続協議後、千葉市の審査基準等の審査を経て許可したものだ。現地確認の結果、基準に適合した施設であり、開発事業者に改善を求めるのは難しい。

【財政局長】

○ 小規模修繕登録制度について

 小規模修繕登録制度は、厳しい経済情勢を踏まえ市内零細業者の保護・育成、学校や公民館・保育所など、公共施設での小規模修繕の受注確保について検討しており、登録条件や必要な事務手続きの検討を行っているところだ。制度の検討内容は、工事・物品等入札参加資格者名簿との重複登録で、競争性確保の観点から施設修繕内容に見合った業者数が確保できるか。対象の修繕額はこれまでの実は、績を勘案しながら、他市の状況も参考にする。必要な手続き書類は、できるだけ多くの業者が登録できるよう書類の簡素化を図りたい。登録予定時期は、H24年度からの新たな「工事・物品等入札参加資格者名簿」の申請をH23年10月頃から開始する予定なので、参加業者の事務負担等を考慮し、同時期の登録が適当だと考えている。

【建設局長】

○ 下水道本管・汚水管マンホールからの雨水吹き出しについて

 吹き出しの原因と場所は、千城台西小学校、都賀の台、みつわ台、さつきが丘地区の4か所で、原因は地下に浸透した雨水が汚水管の継ぎ目や宅地内の取り付け管接合部から侵入したものだ。

 対策は、千城台西小学校付近では、テレビカメラで管路調査を実施し、その調査結果で対策を検討する。都賀の台地域は、H14年度からの管路調査を基に、H15年度から管路補修工事を実施しているが、さらに調査し対応を検討する。

○ 国道51号線北千葉バイパス木更津方面へのアクセス道路について

 直轄国道の安全性向上と交通の円滑化へ、千葉国道事務所と市内の道路のあり方検討会を開催している。この中で、H20年度に大型車の交通量が多い国道51号線の安全対策として、木更津方面とのアクセス道路の必要性を検討。H21年度から国への重点要望を行っている。今検討されている地域には貝塚などの文化財があり、影響がないルートや既存道路との接続構造などを調査・検討している。今後、早期事業着工できるよう国へ要望していく。

【教育長】

○ 学校適正配置について

 H22年5月1日現在の児童生徒数で35人学級編制をした場合は、市全体で小学校102学級増、教員数112人増、中学校は61学級増、教員数75人増となる。30人学級編成を実施した場合は、小学校370学級増、教員410人増、中学校で162学級増、教員数212人増となる。基本的に1学級増に対し、教員2人増となる場合もある。

 千城台地区では35人学級編成の場合、千城台東小は1学級増の教員2人増、千城台西小は2学級増と教員2人増、千城台南中は1学級増で1人増、千城台南小・北小・旭小・千城台西中では増減はない。30人学級編成の場合は、千城台東小は4学級増の教員5人増、千城台西小・北小・千城台西中・南中は各3学級増で3人増、千城台旭小は1学級増の2人増、千城台南小は増減はない。

 花見川地区では35人学級編成の場合、花見川一小・花島小は各1学級増で1人増。花見川一中は2学級増で3人増、花見川二中は学級数の増はなく1人増、花見川二小・柏井小は各増減がない。30人学級編成の場合は、花見川一小は3学級増の3人増、花見川二小・花島小・柏井小は各1学級増の1人増、花見川三小は2学級増で2人増、花見川一中は2学級増で3人増、花見川二中は学級数の増減なしで1人増だ。

 今後、学級編成基準の改正等が行われたら、新たな学級数の推計結果で適正配置対象校の見直しを図るとともに広く周知していく。地元代表協議会が設置され協議が進められている幸町・磯辺・千城台地区の適正配置対象校は、仮に35人学級編成が実施されても適正規模にはならず、地元代表協議は継続する。

 高洲・高浜地区の協議会は、高洲一中と高浜中の統合について、高洲一中が今後も適正規模が維持できること。今年度8学級の高浜中は高浜二小と三小の統合で学区が広がり、生徒数の増加が見込まれることから協議会を一時的に休止し、今後の生徒数の推移を注視することにした。

 情報提供と意見聴取は、協議会委員の責任で行うのが基本だが、教育委は地元協議会からの要望で説明会を行うなど、保護者や住民に協議状況を報告し、意見を聞いてきた。今後も協議会との調整を図り、広く周知に努め、子どもたちのより良い教育環境整備と教育の質の充実を図る。