中村きみえ議員の条例提案理由の説明

2011.6.9

写真 発議第6号、千葉市公契約条例制定検討委員会設置条例の制定について提案理由の説明をいたします。

 今回の条例提案は、市が行う契約において適正な労働条件を確保し、事業の質の向上を図ることを目的とする条例の制定について調査検討を行うため、千葉市公契約条例制定検討委員会を設置しようとするものです。

 委員会では、制定に関する事項やその他、市長が必要と認める事項について、学識経験者や関係団体の代表者、公募の市民やその他、市長が適任者と任命する者が審議します。

 東日本大震災発生後、長引く不況に追い打ちをかけ、地域経済はますます疲弊し、賃金カットに拍車がかかっているようです。建設業では、入札価格の「安値競争」から採算割れ入札されるようになり、公共工事労務単価は、ここ10年で3割近く低下をし、民間工事の賃金を引き下げへと足を引っ張る状況となっています。しかも、2次受け、3次受けと何層もの下請けで、現場で働く労働者の賃金は、下請けにいくほど、低くなっています。発注元が倒産し苦しんでいるという話も伺いました。

 民間委託や指定管理の職場では一般競争入札で業者が変わるたびに解雇され、解雇されなくても労働条件が引き下げられ、200万円以下の不安定な労働が広がり、自治体が官製ワーキングプアーを大量に生み出す推進役となる状況があるようです。

地元の業者に仕事の確保が必要で、低入札についての歯止めをかけ、賃金カットを抑制していくことが求められています。

 公契約条例を2009年9月に野田市が、貧困と格差が拡大し官製ワーキングプアーが社会問題となるなか、公契約にかかる業務の質の確保と適正な労働条件の確保を目的として制定されました。市が実施する公共事業や業務委託について、下請けも含めて従事する労働者の最低賃金等を市長が定め、これを守らせることで目的の達成を図るというものです。

 野田市では、条例制定後、1年で個人事業者などに対象者を拡大し、業務委託の対象の拡大、職種別賃金の設定を可能にし、適正な請負権確保、継続雇用への努力義務など改正をしながら、対象となる案件を拡大しています。この条例が制定されたことにより、千葉県の最低賃金よりも100円高くなり、月換算で8000円の賃上げにもなったと喜ばれています。

 一人親方の場合は対象外となる問題や最低賃金の額の設定が低い問題や、業者が条例違反した際、公契約を打ち切られた時の労働者保護など、まだ課題は残されているようです。しかし、こうした条例を制定する際に先進市の例を参考にしながら千葉市にあった条例となるように検討することが求められていると思います。

 川崎市では2011年4月1日に施行された契約条例の一部改正では、議会案件に係る予定価格6億円以上の特定工事請負契約と予定価格1000万円以上の業務委託契約について定めることが示されています。

 千葉市の場合は、検討委員会で具体化を図ることになると思います。

 国が「公契約法」を制定することが重要ですが、自治体として住民の暮らしを守るために地方自治権を発揮して公契約条例検討委員会の設置を求める条例の制定を求めるものです。