野本信正議員の議案質疑および答弁(要旨)

2011.6.13

写真議案第112号専決処分について(国民健康保険事業特別会計補正予算)

<野本信正議員>

 繰上充用専决処分についての原因は説明資料によれば、制度的に財政基盤が脆弱であるから、法定外の一般会計繰入金で収支不足を補填してきたが、一般会計の財政状況も厳しいことからH21年度、22年度の繰入を見送ってきたこと。また、保険料の収納率が予算の見込みを下回ったと説明している。
 最初に、保険料の収納率が予算の見込みを下回った理由は何か。予算の見込みが甘かったのか。それとも披保険者の所得が落ち込むなどの原因があったのか。

<保健福祉局長答弁>

 国保料の収納率は、予算で被保険者数、世帯数と所得を推計し、賦課総額を求め、徴収努力で確保すべき収納額を定め、目標収納率を設定している。しかし、景気の低迷で所得低下や失業者の新規加入など、特別徴収嘱託員の訪問徴収、高額滞納者への滞納処分など、対策を強めたが目標に達しなかった。

<野本信正議員>

 保険料収納の推移と最近の傾向、特に滞納が増えている原因は、不安定雇用、派遣切り、収入の激しい落ち込み、自営業者の営業不振、退職して無職で収入の少ない人の増加など披保険者の所得が大きく減収するなどがあり、収納が落ち込む原因になっているのではないのか。
 このことは、千葉市のみならず社会現象ではないのか。東日本大震災の影響で益々厳しくなっていくのではないのか。

<保健福祉局長答弁>

 H15年度から19年度は、ほぼ横ばいだが、20年度に収納率が高かった75歳以上が後期高齢者医療制度へ移行し、約5ポイント低下、その後2年間はさらに低下傾向だ。22年度の現年度分保険料徴収率は、前年度をわずかに上回っている。最近の収納率低下は、全国的な傾向であり、東日本大震災の影響も懸念されている。

<野本信正議員>

 2人世帯の保険料で、医療分・支援金分・介護分を含めた合計の保険料、年間所得100万円。年間所得200万円。年間所得300万円。年間所得400万円の保険料を示されたい。

<保健福祉局長答弁>

 2人世帯の場合、年間保険料は介護保険分を合わせて、年間所得100万円の世帯で12万7170円、200万円の世帯で23万8380円、300万円の世帯は33万3780円、400万円の世帯は42万9180円になる。

<野本信正議員>

 年間所得200万円の保険料23万8,380円。この家庭は保険料以外に、所得税と市県民税約16万円、高熱水費約24万円、住宅の家賃約48万円、車のローン約24万円、など支払うと、年間135万円ぐらいの支出になり、残りのお金で生活することになる。23万8,380円の保険料は、絶えきれなく重い負担だと思わないのか。このように高すぎる保険料が、滞納者の増加する原因であるがその認識は。

<保健福祉局長答弁>

 国保の保険料は、前年度の所得で保険料を算定しているので、所得に応じた保険料だが、被用者保険などと比べると一定以上の所得世帯にとって、負担感があるものだ。昨年度の保険料改定で、低所得世帯には軽減を拡充し、約31%の世帯が実質的に保険料が安くなっている。前年度と比べ所得が2割以上減少した世帯は、申請で保険料減免措置を講じるなど所得に配慮した保険料にしたので、保険料額が直ちに滞納者増加の原因とは考えていない。

<野本信正議員>

 高すぎる保険料に対して、「被用者保険などと比べると、負担感がある」と微妙な答弁である。ちなみに市職員の共済健康保険と比べて、どのくらい差があるのか答えられたい。
 国民健康保険は「高すぎて支払い困難な料金」だと答えるべきではないのか。

<保健福祉局長答弁>

 市職員では、同じ保険料世帯の年間所得は390万円だ。国保は、相互扶助の保険制度であり、給付と負担の公平を保つ必要がある。所得に配慮し一定の負担を求めるのはやむを得ないことだ。

<野本信正議員>

 被保険者の所得が減収している実態を把握しているのか。千葉市には世帯ごとの所得を把握しているデータはないが、税務部で整理している課税標準額段階別市民税納税義務者数調のデータが参考になる。平成22年度の納税者全体に占める、所得100万円以下は31.2%、所得100万円を超え200万円以下は28.5%、所得200万円以下の合計59.7%。H12年は52.2%であったから、10年間で7.5%も増えている。所得300万円以下では76%になる。このように市民の所得、被保険者の所得が減収していることを把握しているのか。このことが、保険料を払いたくても払えない原因になっていると思わないのか。

<保健福祉局長答弁>

 国保被保険者1人当たりの所得は、H21年度と22年度の比較で約8%減少し、加入世帯全体に占める所得200万円以下の割合は約65%に達している。会社都合での離職者には、所得を70%減額して保険料を算定しており、所得低下が保険料未納に直結しているとは考えていない。

<野本信正議員>

 今の答弁は、「所得の減収が保険料を払えない原因」との質問に対して、「所得の低下が保険料の未納に直接繋がっているとは考えていない」と断言している。それならば収納率が低迷している原因は何か。明確な答弁を。

<保健福祉局長答弁>

 滞納分の収納が下がり、22年度は保険料改定で減額措置があり、収納率では21年度をわずかに上回ったので、所得低下が直接の原因ではない。

<野本信正議員>

 答弁に整合性がない。一回目の質問で収納率低下の原因を聞いたら、「景気の低迷による所得の低下や、失業者の新規加入もあり」と、所得の低下が原因だと答えている。5回目の質問には、「所得の低下が保険料の未納に直接繋がっているとは考えていない」と答え、整合性のない答弁は撤回すべきだ。

<保健福祉局長答弁>

 1回目の答弁では当初予算との比較で、保険料の所得割の徴収額が減少したことが影響したと答えたもの。

<野本信正議員>

 熊谷市長は、H22年度国民健康保険料の値上げ、料金改定を行った。H21年度とH22年度の収納状況を示されたい。料金改定によって収納率は低下したのではないのか。

<保健福祉局長答弁>

 滞納繰越分はH21年度が15.7%、22年度が15.4%で、0.3ポイント低下したが、現年分収納率では21年度が85.6%、22年度85.7%と、0.1ポイント増加しており、保険料改定が収納率低下の原因とはいえない。

<野本信正議員>

 低下していないと言うが、収納率が予算の見込みを大きく下回ったことじたい、料金改定の影響が出ている。法定外の一般会計繰入金で収支不足を補填してきたが、一般会計の財政状況も厳しいことから、H21年度、22年度の繰入を見送ってきた。法定外繰入金の推移を示されたい。

<保健福祉局長答弁>

 過去5年間の推移は、18年度44億2954万円、19年度33億3705万円、20年度39億3724万円で、21年度と22年度は繰り入れていない。

<野本信正議員>

 法定外繰入金をH20年度並みに40億円繰り入れていれば、H21年度、22年度、各40億円で合計80億円が国保会計の歳入となり、119億円余の収支不足は39億円になっていた。
 仮に80億円の捻出を、基金からの借入で賄った場合、決算の健全化判断比率の一つ、実質公債費比率への影響は、H21年度決算に置き直すと何ポインになるのか。

<財政局長答弁>

 21年度決算を基に策定した「公債費負担適正化計画」で、今後の経済成長は見込まず、市税や交付税の増加もない前提で、21年度と22年度に40億円ずつ基金から借入れ、計画期間中は返済しないとして試算した場合、最大1ポイント程度上昇する。

<野本信正議員>

 提案されている繰上充用額の累積収支不足119億7,000万円は、決算の健全化判断比率の中で連結実質赤字比率への影響は、H21年度決算に置き直すと何ポインになるのか。
 なお、連結実質赤字比率が発生したことにより、千葉市の財政にどんな評価がされるのか。H21年度の政令市での発生状況について。

<財政局長答弁>

 影響は、21年度決算で置き直したら2.2ポイント上昇する。評価としては、国保事業の赤字が多額で、市全体の財政運営の大きな課題であることを示している。21年度は政令市中、京都で比率が発生している。

<野本信正議員>

 市長が最も気にしている財政健全化の視点から見て、健全化判断比率の中で、基金からの借入れなどによる実質公債費比率の上昇を選ぶのか、それとも国保会計への繰入を行い、連結実質赤字比率の上昇をストップさせるのかが、問われているのではないか。

<財政局長答弁>

 両比率とも財政状況を判断する重要な指標で、どちらかを抑えるというのではなく、両比率が自主的な財政の健全化が求められる「早期健全化基準」を越えないよう努める必要がある。

<野本信正議員>

 日本共産党市議団は、社会保障の要の一つであり、市民の命と健康を守る国民健康保険を維持していくために、実質公債費比率が多少アップしても、一般会計からの繰入金をH20年度並みに繰り入れるべきだと主張するが、答弁を。

<財政局長答弁>

 一般会計からの繰り入れは、保険料の徴収対策強化や保険給付費の削減など、国保事業としての収支改善努力が前提だが、収支不足額の累増は市の財政運営の大きな課題である。H23年度の一般会計当初予算は、厳しい財政状況から国保会計の単年度収支不足相当額約23億円の繰入を計上した。今後も、国保会計の健全化は重要であり、収支改善に取り組み、国保に対する市民負担の在り方や市の財政状況を考慮し繰入をしていく。

<野本信正議員>

 市町村国保の運営が困難に陥っている最大の原因は、国がその責任を果たしていないからであり、市長も、我々議会も政府に国保制度の抜本的改善を求めている。
 市町村国保に対する国庫負担の推移について尋ねるが、医療費への定率国庫負担は、1984年に45%から38.5%に下げられた。過去10年間の医療費国庫負担率を45%で計算した時の特別会計の収支はどうか。

<保健福祉局長答弁>

 医療費の額に応じて交付される医療給付等負担金の交付率は、S59年に実質的に引き下げられたが、退職者医療制度の導入で被用者保険が国保の医療費を一部負担することになった。その後も後期高齢者医療制度に合せ、前期高齢者交付金が交付されるなど財源構成が大きく変化している。制度改革の要因を加味せず、総医療費に45%を乗じた額と総医療費の7割分に38.5%を乗じた額を比較すると、45%の方が1.67倍となり、増額分は10年間分の累計で685億4000万円だ。

<野本信正議員>

 ただ今の答弁で明らかのように、医療費への定率国庫負担を、1984年の水準45%で計算すると、現在の1.67倍になる。その負担額は10年間の累計は685億4,000万円の答弁だった。国庫負担を38.5%から45%に戻すと、1年間で68億5400万円増額、2年間分で137億800万円になる。専決処分したH22年度決算見込繰り上げ充用額119億5,570万円は、国庫負担を38.5%から45%に戻すと、2年分の国庫負担金でゼロにできて、さらに保険料の引き下げも可能になる。
 質問するが、医療費への定率国庫負担45%に戻せば国保会計は維持できる。市長は国に国保の抜本的改正を求めるとしているが、広域化では被保険者の負担が増えて、国の責任が大幅に後退するのではないのか。

<保健福祉局長答弁>

 市町村単位で運営する国保は、年齢構成や所得構成に差異があり、市町村ごとに保険料算定方法が異なり、財政状況が不安定などの構造的問題がある。国保の広域化は、現状を改善し、将来、地域保健として一元的運用を図る観点からのものだ。改革には地方の負担増にならないよう要望しながら、国の動向を注視していく。

<野本信正議員>

 国民健康保険法第1条社会保障、憲法25条国民の生存権を守る社会保障の根幹国民健康保険法第4条、国および県の義務。医療費への定率国庫負担45%に戻すことを柱とした抜本的改正を求めるべきであるが、どうか。

<保健福祉局長答弁>

 国が「社会保障と税の一体改革」の中で、医療保険全体の改革を議論しており、その中で検討すべきものだ。

<野本信正議員>

 政府に広域化ではなく、医療費国庫負担率を45%に戻すことを市長と議会が一緒に要求していく事が必要ではないのか。

<保健福祉局長答弁>

 国保は市町村ごとに差異があり、広域化を含めて財政基盤強化などの改革では、地方負担にならないよう国に求めていく。

議案第114号千葉市一般会計補正予算、議案第115号千葉市下水道事業会計補正予算

<野本信正議員>

 合せて96億円の補正予算だが、臨時議会での補正予算などと合わせて、災害対策予算の合計と、今後の見通しについて。災害復旧と被災者支援に分けての説明も求める。

<財政局長答弁>

 災害対策の予算合計は、補正と既定分も含め全体で108億円で内訳はインフラや公共施設の復旧費用は約89億円、被災者支援に約11億円、その他電力供給不足への対応など約8億円だ。今後の見通しは、今回の補正で、今見込まれている震災対策予算を追加したので、これからは被災者支援や電力供給不足への対応などさらに予算が必要になった時に対応する。

<野本信正議員>

 公共施設の復旧は、臨時議会の時10月ぐらいまでと答えていたが、その後の見通しについて。

<市民局長答弁>

 復旧状況では、稲毛海岸公園、市営住宅、美浜消防署打瀬出張所、アクアリンクの温浴施設の完了は今年度末までかかるが、本庁舎、区役所、保健福祉センター、美術館など他の施設は10月末までに復旧が終わる予定だ。高洲市民プールは今夏のプール供用期間までに復旧できず、今年度の利用を休止する。

<野本信正議員>

 工事の促進と、地元業者への発注はどのように進めるのか。指名競争入札も含めて実施するようだが、着工までの時間を短縮して復旧を促進すること。特定業者に集中することなく、地元業者の多くに仕事が発注されるように工夫することなどについての取り組みは。

<財政局長答弁>

 特例措置で設計金額が250万円を超え1億円未満の案件は指名競争入札で執行し、総合評価落札方式を適用しないことで、最大約6週間入札手続きに要する期間を短縮し、早期着手・早期復旧に努める。指名は、可能な限り市内業者を選定し、施工実績や受注状況などを考慮して、受注が偏ることがないよう公平性確保に留意する。美浜区で施工の復旧工事の前払い金上限を40%から50%に引き上げ、工事の円滑な進捗を図る。

<野本信正議員>

 太陽光発電設備設置助成を追加することは時期に適っていると思う。私どもも要望してきたが、希望者が助成件数を上回った時は予算を増やすべきだが。

<都市局長答弁>

 7月予定の募集で希望者が上回った場合は、公開抽選で助成対象者を決定し、その状況を踏まえ市民の潜在的需要があると判断した場合は、対応を検討する。

<野本信正議員>

 被災者生活再建支援について、千葉市の被災者全体数とその中で、被災者生活再建支援法の対象となる戸数はどの程度なのか。

<市民局長答弁>

 5月23日現在の「罹災証明」の申請件数は1433件、今後の想定増加分を加えた数は、全体で1616件で、そのうち被災者生活再建支援法の対象件数は全壊14件、大規模半壊247件、合計289件見込んでいる。

<野本信正議員>

 国制度の対象外の戸数は何件あって、そのうち千葉県制度で予算計上した800件は何パーセントになるのか。

<市民局長答弁>

 国制度の対象外となる件数は、1616件から国制度の対象289件を引いた1327件を見込み、そのうち千葉県制度の対象件数の割合は約60%となる。

<野本信正議員>

 住宅再建支援、災害援護貸付、住宅建築資金利子補給、災害見舞金の予算が計上されているが、被災者の生活再建の費用がどのくらい必要で、そのうち市の支援は何%ぐらいになるのか。

<市民局長答弁>

 生活再建支援費用は、被害状況と補修方法等で異なり算定はできないが、一般的には数100万円は必要となる。市の支援は最高で、住宅建設資金利子補給が5年間で約50万円、災害見舞金5万円だが、市の支援割合は算出できない。

<野本信正議員>

 補正予算は国の制度と県の制度だけである。千葉県内では浦安市が液状被害について支援し、船橋も実施している。新聞報道によれば市長は「自治体間に救済の格差が生じることは適切ではない、残念だ」との発言をしたようだが、適整を欠く発言ではないのか。

<熊谷市長答弁>

 4月28日に県内16市の連盟で「東日本大震災による液状化被害への対応に関する要望書」を国・県へ提出、国の被害認定基準の見直しや県独自の取り組みを前提に「格差は適切ではない」と基本的考えを述べた。新聞報道でもあるように各自治体それぞれの判断だとも言った。

<野本信正議員>

 「自治体間に救済の格差が生じることは適切ではない」ということは、国の支援事業の基準が、全国どの自治体でも格差があってはならい。千葉県の支援事業の基準が、県内どの自治体でも格差があってはならい。という事ではないのか。

<熊谷市長答弁>

 国や県内で支援基準に格差があってはならないのは当然のことだ。県内16市の要望を受け、国の被害認定基準見直しや県独自の取り組みの中で、格差は適切でないと言ったものだ。

<野本信正議員>

 それを踏まえて各市町村が独自の支援策を講じる事は自由であり、「頑張っている」と評価される事はあっても、「県内の格差が生じるのは残念だ」と言われる事ではないと思う。なぜ残念なのか。千葉市が実施しないのに、他市が行う事は残念という事か。

<熊谷市長答弁>

 本市が実施せず他市が実施するからということではない。

<野本信正議員>

 「支援はしたいが県庁所在地の千葉市が対応すれば他市にも相当な影響を与え、適切でない」と本当に語ったのか。大震災の未曾有の大被害について、可能な限り支援するのが地方自治体の責務である。そのため独自支援に最大限努力して、県庁所在地の千葉市が範を示す事が問われているのではないのか。

<熊谷市長答弁>

 自治体間での格差は適切ではないとの基本的立場を述べたものだ。被災した県内自治体と連携し、全力で被災者の生活再建に努力していく。

<野本信正議員>

 熊谷市長は、神戸で大震災に被災したことを幼稚園振興大会でのべて、この経験を生かし、防災対策に取り組むことを参加者に述べていた。被災者生活再建支援について千葉市独自の取組に努力して、千葉県内の自治体をリードすることが必要と思うが。重ねて市長の見解を求める。

<熊谷市長答弁>

 大地震、大津波での広域的で甚大な自然災害に原子力災害も加わった複合災害で、国が責任を持つべき災害である。指定都市市長会や9都県市首脳会議等で、被災者支援強化等を要請しているが、今後も被災者の生活再建が図られるよう取り組んでいく。

議案第119号千葉市基本計画について

<野本信正議員>

 議会に提案した計画案は何月何日に決定し製本したのか。3・11東日本大震災を踏まえて、震災・地震対策を基本計画にどのように反映したのか。

<総合政策局長答弁>

 5月24日の庁内本部会議で最終的な審議を行ない、調整を経て6月1日に議案として決定、製本した。方向性4の政策のタイトルに「安全で快適」の言葉を加え、「現状と課題」「施策展開」で、市の被害状況やライフライン遮断の記述や地域コミュニティの重要性、液状化対策、情報伝達手段の確保などを加えた。方向性1では、想定される電力不足などから効率的なエネルギー利用で省エネ化促進を追加した。区の基本計画では中央区・花見川区・稲毛区・美浜区の「現状と課題」「施策展開の方向性」で、大震災での被害状況や震災時の帰宅困難者への支援体制確立の記述を加えた。

<野本信正議員>

 地域防災計画の見直しが必要だが、3・11東日本大震災を踏まえての見直しが盛り込まれた計画になっているのか。

<総合政策局長答弁>

 すでに防災計画の見直しに着手しているが、防災対策や防災体制等の強化を加えた。

<野本信正議員>

 原子力発電所の事故による放射能被害が拡散している時、その対策と市民の安全を守っていく方針や計画となっているのか。パブリックコメント18人(人口96万人)。市民は大変心配している。南関東直下型地震、津波、放射能被害、その声を広く集約すること。

<総合政策局長答弁>

 今後も高い災害リスクは存在するので、防災対策・体制を充実し災害に強いまちづくりを進めていく。

<野本信正議員>

 災害に強い街づくりと、福祉の充実は一体である。災害から住民の命や暮らし守ためには、学校や保育所・住宅などの耐震化を初めとしたハード面の対策強化と、医療、介護、福祉、子育て支援などのネットワークが欠かせない。市が責任を持って進めることが必要である。これら防災と福祉の街づくりをめざす計画になっているのか。

<総合政策局長答弁>

 学校や保育所など公共施設や住宅、下水道など計画的な機能更新や整備を進め、生活基盤の充実で安全なまちづくりを進めている。平常時も災害時も重要な医療・介護・福祉等地域福祉に関わる主体間や行政の連携を強化し、支えあう地域福祉社会を目指す。

<野本信正議員>

 千葉市の財政危機に対して市長は、政令市移行に伴う基盤整備など大規模プロジェクトなど進めてきた結果であると述べている。これからの街づくりの計画は、これら大型開発の大胆な見直しが必要だが、そんな計画になっているのか。
 すべて国の上位計画を忠実に実行し、その結果が政令市ワースト1の財政危機に陥った。この原因を取り除く計画にしないと計画の理念・ビジョンは実現しない

<総合政策局長答弁>

 厳しい財政状況や今後の展望を十分踏まえて取り組む必要があり、行政改革推進プランや財政健全化プラン等と連携し事業の見直しに不断に取り組むことにしている。

<野本信正議員>

 進行中の大型開発、蘇我臨海開発、千葉駅西口再開発の今後数年間の事業費、約463億円などを大胆に見直す計画にすべきではないのか。

<総合政策局長答弁>

 大型開発の進捗状況や事業効果を勘案し、すでに最大限の見直しを行なった。新計画では都心の魅力向上やにぎわいづくり、地域経済の活性化に向け、計画的に進めることにしている。事業実施にあたっては、社会経済状況を十分勘案し必要に応じて見直していく。

<野本信正議員>

 財政健全化を強調する余りその枠の中の計画となり、大震災の影響で経済が失速することと重なり、元気のない計画になってしまうことはないか。

<総合政策局長答弁>

 財政状況から大きな投資は困難だが、これまでの行政による取り組みだけでなく、市民・団体・企業等の主体と連携・協力し、将来に魅力と活力あるまちづくりを進めていく。

<野本信正議員>

 議会ではじめて、新基本計画策定調査特別委員会が3月に審査、この内容を含めて計画が策定された。6月議会で議決するのは、大震災で流れたので委員会の審査無しで、いきなり議決することになる。議会の審査が省略されている。これは議会軽視だ。大震災を踏まえての新基本計画審議会も開かれていない。大震災、津波、液状化、放射能汚染など広く市民の声を聞くことが必要だ。特に市議会の特別委員会は、「時間がないのでともかく議決だ」は、これは議会軽視である。大震災で開会できなかった議会の審査を保障するために、9月議会まで議決を延ばすべきだ。

<総合政策局長答弁>

 特別委は開催されなかったが、全議員に計画案を送付し、パブリックコメント期間中と並行して意見を出してもらうことになっていた。新基本計画に基づき策定する第1次実施計画は、H24年度からのスタート予定で、スケジュールの関係から今議会での議決が必要だ。