佐々木ゆうき議員の一般質問と答弁(要旨)

2011.6.21

写真<佐々木ゆうき議員>

1. 災害対策について

 液状化対策についてうかがいます。

 東日本大震災では、液状化現象による地盤の崩壊が起こりました。地盤工学会では、「東京湾岸お台場から千葉市まで被害面積が42平方キロメートルを超え、世界最大規模の液状化」と報告されています。美浜区もほぼすべての地域で被害を受けました。磯辺の方からお話を伺うと、「家が傾いていて気分が悪くなる」「親を介護するのも大変」「道路との境界線が定まらない限り、駐車場も直せない」「被災した住宅には住めないので、新たに家を借りた」など、住民の方々から多くの声が寄せられました。そこで伺いますが、

 1つに、被災された住民の方々への健康診断等の勧奨を進め、十分なケアを市として取り組むべきではないですか。

 2つに、生活道路については、住宅の再建も同時に進めなければなりません。生活道路の復旧の見通しと、市民への説明について、また液状化対策についてはどのように行なうのか、伺います。

 3つに、新たに住宅を借りる際の住民への支援として、家賃補助を創設すべきと考えますが、見解を伺います。

 4つに、液状化現象で大きな被害を受けた美浜区は、市が埋め立てした地域と県企業庁が埋め立てた地域に分けられますが、埋め立てし分譲した事業主体として、千葉市は液状化について、どのように考えるのか。

 5つに、県が事業主体となった埋め立て地域について、千葉県の説明会を開くことなどを申し入れることを求めますが、見解を伺います。

 次は、津波対策についてです。

 今回の震災では、千葉市でも93センチの津波が到達しました。千葉県が策定した「津波避難計画策定指針」では、その策定趣旨の背景で、「過去にも津波により大きな被害を受けた」「人的被害を軽減するためには、行政と住民等が迅速かつ的確に行動することができるようにしておくことが必要」としています。しかし、東京湾内への津波予測では、「湾内は埋め立てが進み、高潮対策として5メートル程度の高さの堤防等が整備されているため、津波は入らず、浸水予測は行なっていない」とのことです。

 1つに、千葉市においても、津波対策を早急に検討することが必要ではないですか。

 2つに、千葉市の地域防災計画では、美浜区などの沿岸部の41箇所の防災無線で住民に警報を知らせることになっていたが、実際には流れませんでした。その原因について改めてお聞きします。

 3つに、市の地域防災計画には、第1章・地震対策計画 第1節・応急活動体制第5・「津波体制」で、津波に対する配備体制・情報の受伝達等が記載されていますが、実質的な津波対策が確立していなかったのではないですか。

 4つに、津波ハザードマップを作成し、津波対策に取り組むことを提案しますが、見解を伺います。

 次に、避難所・避難場所についてうかがいます。

 学校や公共施設など避難所となるべき施設でも大きな被害を受け、また、学校では下校時間帯ということもあり、児童・生徒の保護対策が統一したものではなかったようです。帰宅が困難な保護者の方もいましたので、保育所では子どもたちを帰宅されるまでの間、保育に務められていたことについても伺いました。

 1つに、災害時における市民への避難所の周知について、今後どのように取り組むのか。

 2つに、広域避難場所となっていた公園について、大規模な火災が発生したとき、輻射熱や煙などから身を守るという指定されていますが、今回の震災で、美浜区では稲岸公園で液状化が起こり、周辺住民に不安を与えていました。今後の広域避難場所については、耐震化や液状化対策を早急に進めるべきと考えますが、見解を伺います。

 3つに、学校での今回の震災をめぐる対応について、今後の対応や生かすべき点について明らかにしてください。

 次は、住宅リフォーム助成制度についてです。

 住宅リフォーム助成制度は、市内中小建設業者への発注を前提にしている制度であり、比較的小規模の工事であり、業者が柔軟な対応ができるのもこの制度の利点でもあります。

 まずは、災害対策に関わって、耐震改修助成制度について伺います。震災が起きる前に耐震改修を行なったという方のお話を伺う機会がありました。耐震改修を行なっていた結果、建物には特に被害はなかったそうです。

 1つに、千葉市耐震改修促進計画に基づく、住宅の耐震化率の進捗状況について伺います。また、計画の目標達成の見通しについても伺います。

 2つは、耐震改修助成制度の助成件数の予算を増やすことと、耐震改修によって被害のなかった住宅などを調査し、災害に強い住宅にする同制度のPRを進めるべきではないですか。

 次に、住宅リフォーム助成制度についてですが、栃木県鹿沼市では、震災で被害を受けた住宅の修繕についても対象としていることから、千葉市において住宅リフォーム助成制度を創設し、これまでの耐震診断・改修とあわせて、住宅の修繕もできるようにするべきではないかと考えますが、市の見解を伺います。

<保健福祉局長の答弁>

 被災住民の方々へのケアは、被災直後の11日と12日に美浜区内7か所の避難所で、保健師が健康状況の確認、相談を実施した。その後も不眠や健康不安などの相談に応じ、必要な支援を行ってきた。今後、家庭訪問も含め支援していく。

<建設局長の答弁>

 道路復旧は、現在、工事発注のための詳細設計を行っている。7月から順次工事に着手する予定だ。なお、道路の高さや開削を伴う下水道工事等、地元との調整が必要な所は提示案が出た時点で、復旧方法や工程等の説明を行っていく。生活道路は、下水道・水道・ガスなど地下埋設物が多く、限られた幅員での施工になり、液状化対策の実施は困難だ。

<都市局長の答弁>

 市は、被災した市民に市営住宅を無償で提供しており、住宅が全壊・大規模半壊などの被災者に支給する国の「被災者生活再建支援制度」は、新たに住宅を借りる場合に限度額の範囲内で加算金として50万円支給される。被災者には、「住宅再建支援金制度」「災害援護資金貸付」「住宅建築資金金利補給制度」などの支援を講じており、新たに住宅を借りる市民への家賃補助制度は考えていない。

<財政局長の答弁>

 市は、S44年に県からの委託で埋め立て造成工事を実施し、S56年に完了した。施工には、当時の法令に基づき適正に行われたものだ。

<総合政策局長の答弁>

 県が事業主体で埋め立てた地域の説明会開催については、県企業庁によれば震災後、被災地域の住民や企業からの問い合わせ等に、現地確認含めて随時対応し、今後も適切に対応するとのことなので、注視していく。

<市民局長の答弁>

 国への予算要望で、東京湾での地震発生時の津波シミュレーションの再検証含む調査研究の推進や結果の公表を要望しているので、国の調査研究や検討結果を見て市の津波対策を検討する。

 美浜区などの沿岸部41か所の防災無線で、住民に警報を知らせることができなかった原因は、警報の自動放送システムが更新工事中だった。また、地震発生時には総合防災課職員が通常業務のため庁舎外での仕事があり、事務室にいた職員は被害状況の収集・災害対策本部の準備作業に追われ、人員不足から手動での放送もできなかった。地震発生時から職員がどう行動したのか、計画通り動けたのかどうか、計画に問題はなかったのかなど、初動態勢の検証を行っているので、より実質的な津波対策を実施していく。津波ハザードマップ作成は、津波の浸水予測地域の設定が必要で、国の調査研究と検討結果を注視し検討していく。

 災害時に市民への避難所の周知は、市政だより・ホームページ等で周知するとともに、自助・共助の観点から、住民による地域防災マップの作成、住民の自主防災活動の中で周知できるよう出前講座等に取り組む。広域避難場所の耐震化や液状化対策は必要だと考えるが、国への予算要望で、液状化対策での調査研究と結果の公表を要望しており、国の状況に留意し対応していく。

<教育次長の答弁>

 今回、児童生徒の下校について、各学校に対応の違いが出た。電話が通じにくく、長時間、保護者と連絡がつかないなど混乱があった。今回の課題を踏まえ、教育委員会は非常時に学校が適切に対応できるよう、児童生徒を校内に保護し、保護者に引き渡す際の判断指針を各校長に示した。保護者への連絡手段も、今回の教訓を生かして適切なあり方を検討したい。

<都市局長の答弁>

 H20年度に国が実施した「住宅・土地統計調査」を基に、H22年9月時点で推計すると、住宅の耐震化率は84%になる。市の耐震改修促進計画では、H27年度までに90%が目標だが、住宅の建て替えが進まない状況にあり、このままでは目標達成は難しいと見込まれる。今回の大震災で関心が高まっている機会に、周知・啓発に努める。耐震改修助成制度への予算増額は、耐震診断や改修希望者には予算の範囲内で対応できているので、申請状況に応じて検討したい。制度のPRは、耐震改修した人の中から抽出し、震災後に聞き取りして被害がなかったことを確認しているので、今後も制度の周知に努める。被災住宅の再建は、国の生活再建支援制度や県の住宅再建支援制度、市の住宅建築資金利子補給制度を活用することが第一だ。住宅リフォーム制度は、国・県・政令市の動向を見て、施策の優先度を検討したい。

<佐々木ゆうき議員>

 国の被災者生活再建支援法の基準変更・適用拡大と合わせ、県の制度もできました。しかし、家屋の修復と地盤改良の工事費は膨大となり、宅地の耐震化は困難が生じています。ある市民の方からは「また地震が起き、液状化したらどうすればよいのか。いま家を直せば良いのか。先が見えず不安」と言っておられました。新たにローンを組むこととなれば、生活再建どころかマイナスからのスタートとなります。市独自の支援制度の創設を行い、市民の住宅再建を支援し、負担を軽減すべきということを強く求めておきます。健康については、保健師の家庭訪問により支援をするということですが、人員増で体制をつくり、より丁寧な対応を要望します。

 液状化発生メカニズムとその対策について、国の対応待ちにならず、千葉市独自で、地盤・地質の状況を系統的にボーリング調査し、その状況について市民に知らせるべきではないですか。

<市民局長の答弁>

 公共施設の建設時の調査で約2,000本のボーリングデータがあり、これを基に作成した液状化危険度予測マップをH21年6月に公表した。液状化のメカニズムと対策には、ボーリングデータを基にした新たな調査研究を高度な専門的知識で行うことが必要だ。国に予算要望として、調査研究と結果の公表を要望しているので、その結果を待って対応を検討する。

<佐々木ゆうき議員>

 新たな調査研究が必要ということですが、埼玉県久喜市では民間に調査を依頼し、液状化被害について、その調査結果を公表しています。震災で液状化被害が発生した埋め立て地について、復旧・補修のための調査にとどめないで、研究機関や民間企業等にも協力を要請して埋め立て地の調査を行うべきではないですか。

<市民局長の答弁>

 施策の推進や地域の課題解決へ知的・人的・物的資源の活用に関し、協定を締結している千葉大や他の市内にある大学と液状化の調査研究に関し、大学の知的資源を活用できないか調査・研究していく。

<佐々木ゆうき議員>

 千葉市は、大学などの研究機関を有していますから、当然、連携が必要になってきます。有識者を交えた液状化に関するプロジェクトチームを設置し、今後の液状化対策に取り組むことを提案します。

<市民局長の答弁>

 国土交通省では、各学会や研究機関の有識者を交えた液状化対策技術検討会議を設置し、技術事項の検討がされており、市としては独自のプロジェクトチームを設置して対策に取り組むことは考えていない。

<佐々木ゆうき議員>

 なかなか市として踏み込んだ対応ができないことはわかりますが、美浜区には、千葉県環境研究センターがあることから、こうした関係機関・研究機関と連携した液状化の分析と地質調査などを積極的に行なうべきではないですか。

<市民局長の答弁>

 県環境研究センターは、今回の大震災での液状化被害状況や千葉市のボーリングデータなどを公開しているので、分析データの活用は検討していく。

<佐々木ゆうき議員>

 詳細な分析・考察がされているので、活用していただきたいと思います。家の傾きや地盤改良には1,000万以上となります。支援法の枠では300万円であり、住民負担は厳しいです。自治体が最大限被災されたみなさんに寄り添うことが必要です。そのためにも国や県、自治体、有識者、市民を含め液状化対策や美浜区のまちづくりをどう進めていくのか、知恵と力を合わせることが必要であるということも述べておきます。地域防災計画の見直しにあたり、同計画の「地震被害想定」の地盤関係の項目に、「急傾斜崩壊危険箇所」だけではなく、「液状化発生箇所」を加えるべきではないでしょうか。

<市民局長の答弁>

 現行の地域防災計画の被害想定は、東京湾北部地震マグニチュード7.3を想定している。想定した建物被害は、ハザードマップ作成時の検討資料で、全壊建物が15,913棟だが、液状化被害の324棟も含まれている。液状化の危険度には段階があり、市内全域に広く分布しているので、急傾斜地のように箇所数で表記が難しく、ハザードマップとして図表の形で掲載するよう検討する。

<佐々木ゆうき議員>

 その点では、市民に分かりやすい掲載の仕方を求めておきます。隣接する習志野市では、液状化被害に対応するための「復興計画」の策定を決めました。千葉市においては、地域防災計画の見直しについて液状化対策について明確な対策や項目の見直しを図ることを求めますが、見解を伺います。

<市民局長の答弁>

 地域防災計画での液状化対策は、地震発生前の被害軽減策で技術的な地盤の液状化対策を示しているが、地震発生後の対策はない。液状化の被害対応で、噴出した土砂の処理や沈下での雨水浸水の対応、避難所の開設、運営の方法など新たな対応が必要となっているので、被災後の対応も明確化し、見直しする。

<佐々木ゆうき議員>

 ぜひ、被害への迅速な対応が取れるようにしていただきたいと思います。国交省は、耐震化事業の推進のために、新潟県中越沖地震で地盤の被害があったことを受け、今後発生が懸念されている首都直下型地震に対応するために、2006年に「宅地造成等規制法」を改正されました。この唯一の事例として、柏崎市山本団地が取り上げられています。これは、造成された道路を含む宅地等の安全性の確保を図るため、「造成宅地防災区域」の指定を受けて災害防止措置する場合に、国の補助金と融資が措置されるというものです。しかし、この対象には埋め立て地は含まれていません。2次的な液状化被害を防ぐためには、地盤改良についての国のあらたな財政支援の枠組みが必要だと思います。5月2日の参議院災害対策特別委員会で、わが党の田村智子参院議員が、「宅地造成規制法」を傾斜地などの造成地以外にも適用すべきとの指摘に、国交省は「必要な対策を積極的に進めたい」と答弁されています。こうした国会での議論を踏まえて、千葉市として国に対して、宅地耐震化事業の対象に、埋め立て地も含めることができないのか調査・研究を働きかけ、液状化を含める基準の緩和を求めるべきと考えますが、見解を伺います。

<都市局長の答弁>

 国で必要な対策を進めることになっているので、県と連携を密にし動向を注視したい。

<佐々木ゆうき議員>

 国の動向もありますが、市自ら率先して災害に強いまちづくりを進めることを求めておきます。

 次に、津波対策についてです。

 津波ハザードマップの作成の提案に対して、「国の調査研究と検討結果を注視する」との答弁です。横浜市では1.6メートルの津波が観測され、「2012年を目処に横浜港の港湾計画の改訂で、地震や津波などの防災対策について検討していく」とのことです。平成21年4月2日に国交省が公表した中央防災会議の大規模水害対策に関する専門調査会報告では、埋立地の美浜区は、東京湾の満潮時に高さ3mの高潮が来襲した場合ほぼ全域が浸水すると想定しています。実質的な津波対策については、「職員の行動や計画通りの動き、計画そのものの問題がなかったのか、検証を行なっている」とのことですが、中央防災会議や県の指針に基づいたもので、被害想定までされていません。地域防災計画見直しまでの間、今回の震災の被害と学識経験者の知見を踏まえて、現計画の適切な運用を求めます。お答えください。

<市民局長の答弁>

 地域防災計画では、津波の高さは50センチと想定していたが、五井沖の験潮所では最大93センチの津波を記録した。防災計画の見直しまでの間、津波警報や避難指示・勧告などの情報を、あらゆる手段で市民に伝達し、県・警察・海上保安部など関係機関との非常時連絡体制を再確認し、対応が遅れないように努める。

<佐々木ゆうき議員>

 それらを含めて万全な対策を求めます。津波からの避難場所についてですが、現在の地域防災計画では、津波の「避難場所については、原則として高潮対策に準ずる」とされていますが、埋め立てであり平坦な美浜区については、小学校や高校など学校施設や公共施設に避難する住民の受け入れ体制は確保されていますか。

<市民局長の答弁>

 高層建物への避難場所確保対策で、公共施設を津波避難場所に指定することも検討する。美浜区も学校施設、公民館、コミュニティセンターなどを避難場所に指定し、津波避難時の対応計画を至急検討する。

<佐々木ゆうき議員>

 公共施設などについては分かりました。千葉県の「津波避難計画策定指針」では、市町村長は、避難困難地域の避難者や避難が遅れた避難者が緊急的・一時的に避難するために…津波避難ビルを指定または設定します。」として、対象を津波の浸水深が3mの場合はホテル・マンション等を想定して、これらの所有者や管理者に理解と協力を求める事とされています。そのような事前準備を千葉市として進めるのか。民間事業者やマンション管理者との協議を進めることが必要と考えますが、お答え下さい。

<市民局長の答弁>

 高層オフィスビル民間事業者や高層マンション管理者に、地域住民が主体的に避難できるよう呼びかけを検討する。

<佐々木ゆうき議員>

 今後、津波の想定を踏まえ、市民の命と安全を守ることができるよう要望します。

 答弁では、住宅リフォーム助成制度についてはこれまでの答弁と変わらないようです。すでに、330を超える自治体で制度が実施されていますから、すぐにでも検討に入るべきと求めておきます。震災後に、耐震改修への関心が高まっていますし、答弁でも被害がなかったということが言われていますから、同制度の充実が必要と考えます。東京都新宿区では、木造住宅については限度額300万円まで補助しています。同制度の補助額の充実について検討すべきと考えますが、お答えください。

<都市局長の答弁>

 市の補助限度額は、他政令市と比較しても遜色はない。限られた財源の中での限度額であり、引き上げは考えていない。

<佐々木ゆうき議員>

 他市と比較しても差がないとは言っても、改修内容によっては費用がかかるものもありますから、限度額の引き上げを求めるものです。分譲マンションでも壁に亀裂が入るなどの被害を受けたところがあります。同じく新宿区では、分譲マンションなどの非木造住宅への助成を行っています。千葉市も耐震診断だけでなく、分譲マンションへの耐震改修の助成も行なうべきであります。お答えください。

<都市局長の答弁>

 分譲マンションに関し、H22年度に「マンション再生合意形成支援制度」を創設し、マンション再生へ管理者組合の合意形成など支援しており、耐震改修の課題なども調査し、他都市制度も参考に検討していく。

<佐々木ゆうき議員>

 住民の命と安全を守るのが自治体の仕事であります。千葉市の耐震改修助成制度の充実を求めておきます。

<佐々木ゆうき議員>

2.特別養護老人ホームの整備について

 美浜区には現在、65歳以上の方が約2万7千人。老後も安心して暮らしたいと願っています。美浜区の特別養護老人ホームは2箇所のみ、待機者は、4月1日現在、市全体2,043人、美浜区でそのうち228人となっています。また要介護認定を受けている方は約3千人。認知症の方のグループホームは1箇所18人分であり、老人保健施設はありません。市内の整備場所に偏りがあることや美浜区の高齢化の状況から、早急に特養ホーム等の整備が求められます。学校統廃合により、学校跡施設の活用が地域住民の大きな関心事となっています。また、先月5月14日に、幸町2丁目総合福祉ネットワークづくり主催の「よりよい街づくりフォーラム」に参加をしました。千葉幸町団地のセンター地区は、金融機関や医療機関、保育所、公民館など生活に密着した機能を有する施設が集中している場所です。この地区への高齢者福祉施設の誘致に地域として取り組まれています。

 1つに、美浜区における特別養護老人ホームの整備の必要性について、市の認識を伺います。

 2つに、学校施設を活用した特別養護老人ホームについて、検討はなされているのか。

 3つに、千葉幸町団地における高齢者福祉施設の誘致と、その協議に向けた取り組みについて明らかにしてください。

<保健福祉局長の答弁>

 美浜区での特養ホーム整備の必要性は、区内に2施設が整備されているが、区内の要介護者数や待機者の状況から、整備の必要性は認識している。校舎や跡地を特養ホームに活用した事例は他都市でも多くあり、整備用地確保が難しい地域では一つの手法だ。美浜区の学校統廃合で跡地活用が検討されるときは、可能性を関係部局と協議していく。幸町団地での取り組みは、UR都市機構と誘致について意見交換を進めているが、今後、施設規模や整備への具体的スケジュールを協議することにしている。

<佐々木ゆうき議員>

 高齢者福祉施設をつくれば、待機者を減らすことができます。さらにはそれにかかわる施設職員も確保することから雇用が増やすことにもつながります。品川区では、使用されなくなった既存の校舎をすべて活用して、特養老人ホーム等を整備しました。千葉市は、美浜区における特別養護老人ホームの整備の必要性については、認識をされているとのことです。

 現在の介護保険事業計画では、2011年度までの特養老人ホームの整備について、210人分の目標が掲げられていますが、次期計画では、いつまでに何箇所、何人分増設するのか、高齢化に対応できる計画の具体化が必要ではないですか。

<保健福祉局長の答弁>

 次期介護保険事業計画の事業期間はH24年度からH26年度だが、特養ホームの整備量は今後の高齢化や待機者の状況、介護保険料への影響など見極めて決める。

<佐々木ゆうき議員>

 ぜひ、美浜区への特養老人ホームの整備計画を盛り込むよう求めておきます。紹介した品川区のような経験に学び、既存の校舎を活用した特養老人ホームの整備を進めるべきではないですか。また、既存校舎を活用して整備を進めるにあたって課題は何か、お答え下さい。

<保健福祉局長の答弁>

 品川の例は承知しているが、校舎の活用では浴室やエレベーターなどの設備・整備・バリアフリー化が必要で、大規模な改修費を要し、採光などを考えての居室配置が難しいなどの課題がある。

<佐々木ゆうき議員>

 課題解決のために取り組まれることを要望します。

 次に、千葉幸町団地のセンター地区における特養老人ホームの整備の見通しについてと、UR都市再生機構との協議内容について、意見交換会をおこなったとのことですが、UR都市再生機構からどのような意見が出されたのか。また課題について明らかにしてください。

<保健福祉局長の答弁>

 UR都市機構から、センター地区全体の整備スケジュールや特養ホーム整備予定地、面積、土地に関し有償貸付が前提などの提示があった。借地料の額によっては、業者の参入にも影響がある。

<佐々木ゆうき議員>

 借地料については、URとの間で引き下げなど検討していただいくなど協議していただくこと、地域に根ざして、コミュニティの中心を担ってきた学校施設での整備や、地域の中心となる地区への特養老人ホームなどの高齢者福祉施設の積極的な誘致を求めておきます。

<佐々木ゆうき議員>

3.国民健康保険制度について

 これまで日本共産党千葉市議団は、市民の命と健康を守るために国民健康保険制度の改善、滞納者からの保険証の取り上げや高すぎる国民健康保険料の引き下げを求めてきました。全日本民主医療機関連合会が、今年3月2日に発表した2010年国民健康保険など死亡事例調査報告では、経済的理由で受診が遅れ、死亡したとみられる事例が71件あり、05年の調査開始以来、過去最高になったと発表しています。国保料を払えば生活できない、社会保障制度が生活を破壊する本末転倒の事態です。千葉市はこの間、滞納世帯に占める資格証明書交付率が政令市の中でトップだったのが、今年の3月末現在で、2,932世帯と毎年減少してきています。

 1つに、資格証明書交付数を減らしてきた千葉市の主な取り組みについて明らかにしてください。あわせて、短期保険証の交付の状況についても明らかにしてください。

 2つに、国に対して、資格証明書の義務化をやめるよう求めるべきではないですか。

 次に、差し押えについてです。国保料に関する差し押さえは、09年度14件だったものが、昨年度は108件となっています。他市では、これまでに積み立ててきた学資保険・教育保険などを差し押さえしている事例があります。子どものために保険をかけている世帯から、問答無用の差し押さえがあってはなりません。

 1つに、千葉市は、生活状況の把握や確認なしに差し押えをしていませんか。

 2つに、差し押えられた滞納世帯について、所得状況を調査された上での対応をされているのか、伺います。

<保健福祉局長>

 H21年度から、資格証明書の対象世帯でも医療が必要で、一時的に医療費の支払い困難な場合は、申し出れば短期保険証を交付している。納付誓約の実績があれば、納付意思を確認して資格証明書対象から除外しているので、交付世帯数が減少したものだ。短期保険証の交付状況は、資格証明書から移行した世帯が増えており、22年8月の保険証更新時で20,359世帯だ。前年同月比で3,206世帯増加している。資格証明書は、納付資力があるのに納付せず、長期滞納の世帯に接触の機会を設けるために有効であり、義務化をやめるよう国に求めることはしない。

 対象者に、督促・催告し、納付相談の中で収入や資産確認して、生活状況に応じた納付計画を立て、生活困窮など納付困難な場合は、滞納処分の執行停止措置をとるが、度重なる催告にも応じない場合は、財産調査で差押えすることもある。差押え後、納付相談されたら差押えの解除など状況に応じた適切な対応を図っている。

<佐々木ゆうき議員>

 国保料の滞納世帯に対する差し押えは、「督促、催告を実施し、相談の中で収入や資産の確認をし、生活状況に応じた納付計画を立てていただいている」「生活困窮など納付が困難である場合に滞納処分の執行停止を措置する」「催告にかかわらず納付相談に応じない場合は、財産調査を行ない、差し押さえを行なうこともある」との答弁です。差し押えについて、厚生労働省がまとめた「国保料・税滞納処分実施状況」によれば、昨年度、市町村が実施した差し押え世帯数は18万2,588件で、前年度比11.1%増と高い伸びが続いている状況です。昨年1月に、千葉県内で長生村から引っ越した77歳の男性が鴨川市のアパートで孤独死した事例、年金を差し押さえられ、困窮状況を取り合ってもらえず、長生村では、財産を調査することなく、差し押えを実行したというものです。千葉市は、こうした全国的な事例を調査した上での対応なのか。強権的な取り立てとならないように丁寧な対応を求めます。お答え下さい。

<保健福祉局長>

 度重なる催告にも応じない世帯が対象であり、差押え後でも納付相談があれば世帯の状況に応じて対応している。

<佐々木ゆうき議員>

 適切な対応をしているとのことですが、他市ではどうでしょうか。大阪市では、国保滞納世帯に対して、滞納額以上の財産または一定以上の財産が判明した場合は差し押さえ予告書を作成し、全額納付がなければ差し押さえを執行することとなっているようです。千葉市における差し押えの処分の内訳と金額について明らかにしてください。また、学資保険が含まれるか明らかにしてください。

<保健福祉局長>

 差押え件数は、昨年度108件、金額は2,822万3,559円だった。内訳は、預貯金81件、1,929万2,524円。生命保険等が23件、780万1,973円。給与が4件、112万9,062円だった。学資保険は生命保険等の中に含まれている。

<佐々木ゆうき議員>

 いま答弁された、学資保険を差し押さえるのは、子どもの未来を奪うものではないでしょうか。学資保険についての取り扱いについては、その対象から外すことも検討できないのか。子どもの教育・進学のためという目的で掛けている学資保険を差し押さえることは行政がやってはならないと考えますが、お答え下さい。

<保健福祉局長>

 差押えにあたり、事前に文書で予告し予告後も納付相談に応じている。差押え後も一定期間猶予し、納付相談があれば生活状況を確認しながら丁寧に対応する。

<佐々木ゆうき議員>

 丁寧な対応をするということですが、学資保険の差し押さえは、子どもの学ぶ権利を奪うものであり、住民の暮らしを守る自治体のあり方が問われます。国民の命と健康をまもる公的医療保険が、高すぎる保険料によって暮らしを脅かし、貧困に苦しむ人を医療から排除するものであってはなりません。

<佐々木ゆうき議員>

4.美浜区の諸問題について

 黒砂橋交差点改良についてうかがいます。

 新港横戸町線の開通にともない、幸町と高洲との間の黒砂水路に架けられた黒砂橋は、高洲側から新港地区へ右折するための工事が行なわれる予定とのことです。一方、山側の歩道は狭く、幸町団地に住む方や周辺の方から「安全に自転車も歩行者も渡れるようにしてほしい」との声が寄せられています。今年1月17日、地域の方々と一緒に、山側の歩道についても改善をするよう千葉市に対し、要望しました。その場で、「山側の歩道を今よりも75センチ拡幅し、勾配も緩やかにする」「信号の支柱も通行の妨げとなっているのが確認できたので、県警と協議する」とのお話がありました。そこで伺います。

 1つに、黒砂橋交差点改良の進捗状況と今後のスケジュールについて伺います。

 2つに、山側の歩道の拡幅にあわせて、勾配について具体的にどのように改善されるのか。

 3つに、歩行者や自転車通行の妨げとなっている信号機の支柱については、県警との協議はどのように進めているのか伺います。

<建設局長の答弁>

 黒砂水路の黒砂橋は、高潮の影響を受ける場所にあり、防潮堤を阻害せず、バリアフリー対応の歩道橋構造を県港湾事務所と協議した結果、歩道橋の高欄に高潮対策機能をもたせる計画案で了承を得た。今後のスケジュールは、今年度詳細設計を実施し、県港湾事務所と施工協議を行い、H24年度から新設工事に着手し、工事完了後に黒砂橋交差点の改良工事を実施し、H25年度内完成を目指している。橋梁の歩道部の高さを車道と同じ高さにすることで、接続する歩道との勾配を緩くし、歩行者や自転車が通行しやすくする。道路を跨ぐ大規模な門型支柱であり、今年度実施する詳細設計で歩行者動線を検討して県警と協議していく。