もりた真弓議員の一般質問と答弁(要旨)

2011.6.21

写真<もりた真弓議員>

 日本共産党千葉市議団のもりた真弓です。

 3月11日の東日本大震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被害にあわれたみなさんに心からのお見舞いを申し上げ、被災地の一日も早い復興をと願うものです。それでは、一般質問を行ないます。

1、子どもの安全と災害時の対策について

 子どもの安全と災害時の対策についてです。

 東日本大震災から3か月を経過しました。千葉市では今回の地震発生時に、子どもたちを預かる公的施設はどのような役割を果たしたのか、他の議員と質問が重なった部分は多少割愛しておたずねします。

 はじめに学校についてうかがいます。震災当時と、その後についてです。災害発生時に、保護者と連絡の取れない状況や、情報が十分でなく、先生方が引率して集団下校した学校や、保護者への引き渡しまで待機させた学校など、学校間で違った対応がされたとのことでした。

 1つに、学校間で下校の対応が違ったことで、保護者の戸惑いや混乱はなかったのかうかがいます。

 2つに、福島第一原発事故にともなう、土壌汚染やプール・給食の安全など、千葉市への放射能の影響を心配する声がありますが、市民からはどのような要望が寄せられているのかうかがいます。

 つぎに保育所についてうかがいます。

 地震発生時、保護者とも十分連絡のとれない中、子どもたちを落ち着かせ、安全に引き渡すまで預かるのは本当に大変だったと思います。

 耐震不足だった7ヶ所の公立保育所の改築を21年度までに済ませていたことは、小・中学校施設の被害に比べて少なく済んだことにつながりました。被害を受けた保育所施設の改修とあわせて、施設の耐震化を終えていない保育所は、早急に対策を取らねばなりません。

 また、0歳から未就学までの幼い子どもたちを預かる施設として、外あそび、特に所庭や砂場、公園への散歩など子どもたちの活動範囲に対する放射線の不安はぬぐえません。子どもの安全を第一とする保育所についてうかがいます。

 1つに、今回の震災を受け、災害時の対応や保護者との連絡体制など、今後見直すべきところはあったのかうかがいます。

 2つに、保育所施設の耐震化の進捗状況については、わが会派のあぐい武夫議員の一般質問の答弁にあったように、公立保育所は全施設改修が済み、民間は残り一ヶ所とのことでした。保育園名と具体的な耐震計画についてうかがいます。

 3つに、保育所施設には放射線量の基準値がないとのことですが、どう対応しているのかうかがいます。

 子どもの安全の最後に幼稚園についてうかがいます。

 多くの幼稚園では、地震発生時刻が午後2時のお迎え後ということもあって、大きな混乱はなかったと思われますが、千葉市が委託して長時間の預かり保育を行なっている幼稚園は、この4月から受け入れ体制を拡充しています。幼稚園での災害時の対策についておたずねします。

 1つに、千葉市として、幼稚園の災害時の避難・誘導など緊急時の対応にどうかかわっているのかうかがいます。

 2つに、長時間の預かり保育を実施している幼稚園での、今回の震災時の対応状況についてうかがいます。

 3つに、被災した市内幼稚園の状況と、耐震改修のされていない幼稚園がいくつあるのかお示しください。

 4つに、幼稚園に対しての県の耐震対策が決められたが、千葉市として幼稚園への働きかけなどはするのかうかがいます。

2、教科書問題について

 今年の3月に、日本の侵略戦争を美化する教科書が文部科学省の検定で合格しました。これから8月にかけて、各地の教育委員会が教科書を選ぶ採択の手続きに入ります。

 千葉市でも先日17日から美浜区の教育センターと市民会館で教科書展示会が開催されています。そこでうかがいます。教科書の選定についてですが、どんな視点で学校用教科書を採択するのかうかがいます。

3、 花見川区の諸問題について

 はじめに学校適正配置についてうかがいます。

 千葉市は「第2次学校適正配置」に基づいて、美浜区・若葉区に続いて、花見川区の花見川地区の学校統廃合を進めつつあります。今年2月25日、26日の両日に渡り、地元説明会を開いた後、6月26日には保護者や地域代表者などから構成される「地元代表協議会」が発足し、第1回の会議が開かれることになっています。花見川地区の学校適正配置は、花見川団地の第一小学校・第二小学校・第三小学校そして、第四小学校と第五小学校を統合した花島小学校、だいぶ離れた地域にある柏井小学校の五つの小学校を2校に、そして第一中学校・第二中学校の二つの中学校を1校にする計画です。そこで、おたずねしますが、

 1つに、2月に開いた地元説明会では、住民からどんな意見が寄せられたのかうかがいます。

 2つに、花見川地区の考え方についてですが、柏井小学校地域を含めている理由はなにか、うかがいます。

 3つに、第1次学校適正配置で花島小学校への統合となった際、地元自治会や住民からの要望にはどんな事項があったのか、お示しください。

 つぎに特別養護老人ホームについておたずねします。

 高齢者の施設、特に経済的負担の少ない特別養護老人ホームを望む声は切実です。花見川区には4ヶ所の特別養護老人ホームがありますが、第一回定例議会でわが会派の中村きみえ議員が指摘したとおり、地域的に偏っています。花見川区畑町には、これまで障害者の方が生活しながら仕事に通っていた「通勤寮」がありましたが、現在は別の場所に転居し、この3月末には、千葉県が借りていた土地が返還され、国有地として約5,500平方メートルの空地となっています。この間、「特別養護老人ホームを畑通勤寮跡地に造ってもらいたい」と多くの住民のみなさんから要望をいただき、3月末には高齢施設課を通して市長宛の請願署名を第一次分として提出しています。

 その後、国有地の件で、国の管財課へと働きかけていただいていると聞いていますが、現状はどうなのか、また、同時に提出した検見川送信所周辺に特養ホームの建設を求める件について、あわせてうかがいます。

 1つに、中村きみえ議員の質問のあと、国有地となった旧畑通勤寮跡地の活用についてはどのように取り組んだのかおたずねします。

 2つに、検見川送信所周辺の特養ホームの活用に関する市の考え方と今後についてうかがいます。

 最後に、道路拡幅と公共交通網についておたずねします。

 花見川区こてはし台の1丁目から6丁目までと、横戸台の地域は八千代市や佐倉市に近い地域です。拡幅を求めている道路は、横戸町23号線です。この間、車がすれ違うための退避場所などは整備されているようですが、さらに改善を進めるためにおたずねします。横戸町23号線を拡幅することで、どのような効果が考えられるのかうかがいます。

 以上で1回目の質問を終わります。

【一問一答】

1、子どもの安全と災害時の対策について

<教育次長の答弁>

 児童生徒の下校のさせ方、保護者への連絡方法や引き渡しで学校間に対応の違いがあったので一部の保護者から意見があった。学校の校庭、プールの水や給食の食材等で放射線量の測定要望があった。

<もりた真弓議員>

 学校での避難状況をおたずねしました。一部の保護者から意見があったとのことですが、緊急時の対策は学校ごとにあるのでしょうか。

<教育次長の答弁>

 学校の防災計画は「学校震災対応マニュアル」に基づき、各学校で地域の状況に合わせ作成している。改めて6月に各学校へ「児童生徒を保護する場合の指針」を周知したが、今回の教訓から緊急時の対応に生かすことにしたものだ。

<もりた真弓議員>

 各学校が地域の実情に合わせて作成しているとのことでしたが、あまり周知されていなかったのでしょうか。うかがいますが、下校後の受け入れ先である子どもルームとの連携はされていたのでしょうか。

<教育次長の答弁>

 今回の震災時で、児童の安全確認や保護者への連絡、引き渡しなど学校と子どもルーム指導員間での連携は、多くの学校で図られていた。

<もりた真弓議員>

 震災当日、下校の方法が学校によって違ったことで、子どもルームでの対応には少なからず混乱が生じたときいています。今回の教訓を踏まえて、緊急時の対策に生かせるよう「学校が児童生徒を保護する場合の指針」をこの6月に周知したとのことですから、特に複数の学校から児童が帰ってくる子どもルームとは、細かいところまでの打ち合わせを行い、意思疎通を図るよう求めておきます。

 つぎに、行事についてですが、震災直後は卒業式・入学式の日程変更等もありました。また、校庭が使えない学校は運動会なども春から秋へと延期しているとのことです。おたずねしますが、

学校内の日程調整だけでは変更できない、小学5年生が予定している「移動教室」や、6年生の「農山村留学」などは通常と同じように実施できるのかうかがいます。

<教育次長の答弁>

 移動教室、農山村留学は安全に配慮し、各学校の計画内容に沿って実施している。利用予定の施設が被災者を受け入れたことで、一部の学校では宿泊場所を変更して実施した。

<もりた真弓議員>

 つぎに、給食についてですが、放射能の影響を心配する家庭では、お弁当を持参し牛乳の摂取などを控えていると聞いています。給食に不安を持っている保護者にどう対応するのか、また、食材の調達に支障はないのかうかがいます。

<教育次長の答弁>

 給食に不安を持つ保護者には、弁当持参を認めるなど柔軟な対応を図っている。食材は、千葉県や各都道府県が農産物の安全確認に、放射性物質検査を実施し、その結果で出荷制限など必要な措置を取っている。市としても市内に流通する食材や市場に流通するものは安全と認識している。学校では食材納品時に、改めて栄養士から産地確認を行うなど安全確保に努めている。

<もりた真弓議員>

 つぎに、プールについてですが、水泳指導の開始状況とプール管理について、今後の放射線の対策についてうかがいます。

<教育次長の答弁>

 水泳指導を開始しているが、今年度は例年以上にオーバーフローやプール水の入れ替えをこまめに行い、水道水の放射性物質等の情報を把握し、児童生徒の水泳学習に注意を払っていく。

<もりた真弓議員>

 保護者の不安が大きい放射線については、放射線量の調査などを行い、情報を正確に公開することを求めます。

 つぎに、児童生徒の教育環境についてですが、昨年の夏は猛暑で熱中症も発症し、いくつもの自治体で小・中学校の普通教室へのエアコン設置が進められました。電力不足による節電なども推奨されていますが、健康を害するような無理な節電は考えなければならないと思います。学校での夏の暑さ対策はどうするのかうかがいます。

<教育次長の答弁>

 H16年度に全普通教室に扇風機を2台設置した。また、ゴーヤなどつる草での緑のカーテン設置や校庭・教室周辺への水撒きなどで対応する。

<もりた真弓議員>

 福島県内の学校では子どもの被曝量を抑えるために、窓を閉め切って授業するなど、夏場の暑さをどう乗り切るか大変苦慮しているようです。原発事故の収束が不透明で、今後千葉市の子どもたちへの影響も無いとはいえません。万が一、窓を閉め切るような事態が起きた場合はどう対処できるのでしょうか。

<教育次長の答弁>

 窓を閉め切る事態には、児童生徒の体調を最優先に考え状況に応じた対応を図る。

<もりた真弓議員>

 エアコンを使用している議場でも、室温設定が高くなると汗だくです。学校で授業している児童生徒は、いくら暑くても扇風機と緑のカーテンです。放射能に限らず光化学スモック警報の発令などで窓が開けられなければ、体調不良の子どもたちが続出しないか今から心配です。

 設定温度を高めにすることは大前提ですが、電力不足を理由に学校のエアコン設置を遅らせることは、教育環境の整備を怠ることになるのではないでしょうか。学校の普通教室へのエアコンの設置を求めますがいかがですか。

<教育次長の答弁>

 校舎や屋内運動場の耐震化を最優先に進めており、エアコンの設置は予定していない。

<もりた真弓議員>

 耐震化は当然進めていただかないと困りますが、そのためにエアコンを設置できないというのであれば、何かもっと工夫があってもいいのではないでしょうか。消防庁の調べでは、昨年7月から9月に、熱中症の疑いで救急車が搬送した人は、全国で5万3,843人にのぼり、高齢者を中心に亡くなる方が各地で相次ぎました。かつて熱中症は、炎天下、屋外での農作業やスポーツなどをする人、溶鉱炉など高温の作業所で働く人に多いといわれていました。しかし、最近は屋内でも、窓を締め切り、換気を行わなかったなどで、熱中症にかかる例が珍しくありません。

 電力の浪費を防ぐ対策はもちろん必要ですが、そのために必要な暑さ対策を行なわず、熱中症で健康を損なうなどというのでは本末転倒です。埼玉県熊谷市では、水につけるとひんやりする素材のクールスカーフを全小学生と単身の高齢者に配布し、消防職員が市内16中学を回り、2年生約1,800人に熱中症予防と応急処置の講習会を開くとのことです。千葉市でもこうした熱中症予防の対策を取るよう求めます。

保育所について

<こども未来局長の答弁>

 保育所では、電話等の通信手段がほとんど繋がらない状況で、保育所と市の間で児童の安否確認や被害状況などの連絡、保育所と保護者間での連絡に大きな支障が生まれた問題があり、見直しが必要だ。改築の必要な保育園は中央区の千葉寺保育園で、市としても子どもの安全な保育環境の観点から早期改築の必要性は認識している。運営者の社会福祉法人と協議中だ。厚労省からH23年4月19日付や6月6日付で通知が出されている。その中で、保育所を含む児童福祉施設も学校と同様の対応を図るとされており、その「基準」は、市としても参考にすべきものだ。先に実施した市内保育所・小学校等20か所での空間放射線量率の測定結果は、専門家から「外遊びを心配するほどの値ではない」とされている。

<もりた真弓議員>

 保護者との連絡手段はだいぶ混乱したとのことでした。帰宅困難となって迎えに来られない家庭は何件あったのか。当日の対応についてうかがいます。

<こども未来局長の答弁>

 公立保育所28か所では36人の児童を深夜まで、うち10か所18人は翌朝まで、民間保育園では22か所で96人を深夜まで、うち16か所44人は翌朝まで預かった。地震当日の対応は、地震発生直後、各保育所・園では、児童を所庭・園庭に一時避難させた後、余震が続く中、児童の安全確保を優先し、一人の怪我もなく保育・保護を継続した。

<もりた真弓議員>

 深夜までが132人、翌朝まで62人と決して少なくない子どもたちが保育所で保育・保護されました。対応にあたった職員も大変だったと思います。うかがいますが、保育所で子どもたちと宿泊した職員など翌日以降の勤務に支障は出なかったのでしょうか。

<こども未来局長の答弁>

 震災翌日以降は、一時利用児童は減少したが、余震も続く中、安全な保育を継続できるよう職員配置と職員の体調に配慮して大きな支障もなく保育を実施した。

<もりた真弓議員>

 震災当日が金曜日で、翌日が土曜日だったため対応もできたのだと思います。普段から十分な職員配置は必要かと思います。

 つぎに、放射線量の件ですが、今回千葉市内で平均的に行なった「空間放射線量率」の測定方法は「周囲1m以内に、木や建物等がない場所」とのことでしたが、子どもたちの遊びの内容や活動範囲を考えれば、草や木の陰、砂場や土いじりなどに対する、もっと詳しい調査が求められるのではないでしょうか。保育所にあわせた放射線量率の測定が必要ではないでしょうか。

<環境局長の答弁>

 原子力災害対策本部から示されている校舎・園庭での測定の高さは、50センチとなっている。

<もりた真弓議員>

 厚労省からの福島県内の保育園等へだされている通知は「暫定」もしくは「当面」との文面で表されており、学校と同様の対応を図ることとされているようです。年齢や活動範囲、行動も含めて、保育所などへの個別の対応は必要になると考えます。

幼稚園について

<こども未来局長の答弁>

 私立幼稚園の指導監督権限である県が、各幼稚園にH22年3月「安全管理の手引き」を配布し、災害時の避難や地震への備えなどを検討するよう指導している。各幼稚園では、災害を想定し避難などの防災訓練を実施し、その際幼稚園からの要請で市の消防職員が実施指導している。

 長時間の預かり保育を実施する10園は、地震当日午後7時時点で一人の児童にも被害がなく、1園を除き、全ての児童の保護者への引き渡しを確認した。残り1園も当日午後9時50分までに全児童の保護者引き渡しを終えた。長時間預かり保育実施を実施していない美浜区の1園も保護者が帰宅困難のため、翌日の午後5時まで児童を預かり、無事保護者へ引き渡した。

 被災状況は、市内92園の私立幼稚園中、市が把握しているのは美浜区を中心に23園で、園庭の液状化や給排水管の損傷、建物の壁の亀裂などの被害があった。幼稚園の耐震改修事業は、県の所管であり、耐震改修されていない幼稚園数は把握していない。県は、5月補正で都道府県が実施主体である国庫補助事業を予算化している。市としても、各幼稚園がこの制度を活用し耐震対策が促進されるよう制度の周知に努める。

<もりた真弓議員>

 幼稚園でも92園中23園が被災したとのことでした。また、幼稚園の耐震改修事業は千葉県の所管とのことで、耐震改修が済んでいない施設の把握はされていないようです。幼稚園でもしものことがあった時、救援や災害復旧に当たるのはどこですか。

<こども未来局長の答弁>

 県から示された「安全管理の手引き」で作成した「危機管理マニュアル」に従い、各幼稚園で安全確保や避難を行うが、救援が必要な場合は警察・消防署等に要請することになる。災害復旧では、私立幼稚園施設整備を所管する千葉県が「災害復旧支援補助」等の事業を活用し、各園が行うことになる。

<もりた真弓議員>

 救援が必要なときは警察や消防など地元で対応するとの答弁です。それなら、なおさら幼稚園の耐震改修の状況について、千葉市と千葉県が情報を共有しておくことが必要と考えますが、いかがですか。

<こども未来局長の答弁>

 児童の安全確保の観点で、各幼稚園の耐震対策が促進されるよう、今後も補助制度の周知に努め、県にも情報を共有するよう要請していく。

<もりた真弓議員>

 幼稚園に通っている子どもは千葉市の子どもたちですから、どこの所管だと区別せずに、市も責任を持って普段から県と連携を図る必要があると思います。

 子どもの安全と災害時の対応についてですが、災害時などの非常事態に対応し、どんな場合でも子どもの命を守ることは行政の責任です。施設の耐震化を進めることはもちろんですが、特に、子どもへの放射線の影響は最大限排除されなければなりません。原子力災害対策本部の示した測定の高さでは、お母さんたちに安心してもらうことはできないのではないでしょうか。いかに子どもの被曝を防ぐか、真剣なその思いに応える対応が求められていると思います。

 これまでとは全く違う観点で、子どもの安全をとらえなければならない状況といえます。子どもの被曝を防ぐため、千葉市でも測定機器を増やしこまめに調査を行なうなど、効果のあるものは積極的に取り入れ対処することを求めておきます。

2、教科書採択について

<教育次長の答弁>

 教育基本法と学習指導要領での教育の目標や内容に即したものとして文科省の検定に合格した教科用図書の中から、国や県の採択の通知や市の教育施策、児童生徒や地域性への適合等を勘案し公正・適正に採択する。

<もりた真弓議員>

 教科書は子どもの学習の土台であり、学校教育の要の教材です。うかがいますが、教科書の選定委員の構成と採択までの手順をお示しください。

<教育次長の答弁>

 教科用図書選定委員会は、教育次長、学校教育部長、小・中校長会長、市教育研究会長、特別支援学校長、中高一貫教育校長で構成。市PTA連絡協議会長、市子ども会育成連絡会長にも出席を求め、選定に関する保護者や地域の意見を聴取している。選択手順は、教科に関し経験豊かな校長や教員の専門調査委員会で、対象の教科用図書を調査研究した結果を選定委員会に報告する。

選定委員会は、その結果を踏まえた選定に関して教育委員会に報告する。教育委員会は、全教科用図書に目を通し、選定委員会の報告を参考に、自らの識見に基づき公開の会議で採択する。

<もりた真弓議員>

 教科書選定委員は7名で、そのほかに2名を加えた9名とのことです。続いてうかがいますが、教科書展示会の会場数や時期、閲覧期間・時間帯は何を基準に決めているのですか。

<教育次長の答弁>

 教科書展示会の時期や期間は「法」や「規則」で定められている。今年度は、6月17日から14日間開催するよう通知されている。

<もりた真弓議員>

「教科書の発行に関する臨時措置法」と「同法施行規則」で定められているとのことです。それでは、過去、閲覧者の人数は何人だったかうかがいます。

<教育次長の答弁>

 H20年度は171人、21年度は218人、22年度は216人が閲覧している。

<もりた真弓議員>

 例年、あまりたくさんの方が閲覧しているとはいえません。それでは、閲覧者の意見などは参考や検討など、採択に反映されるしくみかうかがいます。

<教育次長の答弁>

 閲覧会場ではアンケートを実施し、記載された内容は教科用図書選定委員会に報告している。

<もりた真弓議員>

 教科書展示については2週間との通知があるとのことでした。千葉市は教育センターで朝9時から夕方5時まで、市民会館で朝9時半から夕方4時半までですが、佐倉市では午後9時まで開場しています。5週間の閲覧期間に改善しているところもあります。現役の先生方の日程を考えれば、土日はまだしも、平日の時間にどのくらいの先生方が閲覧に来られるでしょうか。閲覧場所、閲覧時間の延長も含めて検討されてはいかがでしょうか。うかがいます。

<教育次長の答弁>

 より多くが閲覧できるよう閲覧場所は、交通の便が良く、平日昼間は閲覧できない人のため土日も開催している。閲覧場所の増加や時間延長は、国・県との協議が必要のため難しい。

<もりた真弓議員>

 大変残念な答弁です。教科書採択は、何よりも各教科を教えている先生方が「子どもたちの学習にとってもっとも良い」と考える教科書を選ぶことが基本です。昨年度の教科書展示会の閲覧者の内訳は、216人中、学校関係者が75名、教育委員会関係者が36名、一般の閲覧者が105名とのことでした。文部科学省や県教育委員会からの通知である2週間は不十分ではないでしょうか。平日の閲覧時間の設定ももっと遅い時間まで延長しなければ、授業はもちろん、部活動などの顧問をしている先生方は、忙しくて見に来られないのではないでしょうか。

 今、教科書採択に関する請願や陳情が各地で提出されていますが、「自由社」と「育鵬社」の教科書は歴史を歪曲し、基本的人権を定めた日本国憲法を敵視する立場です。国際紛争は話し合いではなく、軍事力で解決するのが当然だと教える教科書を子どもたちに学ばせたくありません。「愛国心」についても「何を持って愛国心とするのかなどを法令で定めることは、思想信条の自由から言って不可能」と文科省の担当官も述べざるを得なくなっています。特定の価値観を子どもに植え付けることは、憲法違反であり、現在の「教育基本法」に照らしても許されないやり方ではないでしょうか。また、展示会場の市民会館に行っても、ロビーに「教科書展示会」の張り紙やお知らせもなく、閲覧時間の延長もせず、多くの教員や市民が閲覧できないような展示会のあり方は改善し、あらためることも求めておきます。

3、学校適正配置について

<教育次長の答弁>

 「通学距離を定めた法律は」「通学路の交通状況を確認し検討を」など、通学時の安全確認への意見や「地元代表協議会でない人はどのように意見を伝えるのか」「声を出せない人の意見を聞く場も必要」など、住民の意見反映に対する意見が寄せられた。地域コミュニティと通学区域は密接な関連がある。第22地区町内自治会連絡協議会エリアの花見川第一中学校区・第二中学校区の枠組みで、子どもたちのより良い教育環境を話し合うため、柏井小学校も含め協議していく。

 花島小学校統合の際の要望事項は、児童への心のケア・交流事業を進める。両校の長所を受け継ぐよう、関係者の声を取り入れる検討機関の設置。学校の跡地利用は、現施設を撤去せず活用できるよう、子育て支援施設、高齢者施設、生涯学習施設など利用できる施設に整備するなどの要望が来ている。

<もりた真弓議員>

 説明会参加の住民のみなさんから、安全とはいえない遠距離を通学路とすることや、一部の人の意見だけでことが進んでしまうのではという不安も含め発言があったとのことでした。説明会での住民の声にどう応えたのでしょうか。

<教育次長の答弁>

 多くの住民の意見を聞くため、先月「柏井小保護者、柏井地区未就学児保護者対象学習会」を開催した。

<もりた真弓議員>

 柏井小学校に通わせている保護者と、これから小学校へ入学予定の保護者向けの学習会が先月行なわれたとのことです。この学習会には63名が参加されたようです。出された意見をまとめた資料を見せていただきましたが、統廃合に賛成との意見はひとつもありませんでした。うかがいますが、住民の理解が得られた上で、地元代表協議会がスタートしたとの認識かうかがいます。

<教育次長の答弁>

 今年2月の地元説明会、H20年12月から30回以上の地域関係者や町内自治会、保護者などを対象に事前説明を行ってきた。

<もりた真弓議員>

 地域関係者や町内自治会、保護者を対象に30回以上の事前説明会を行なってきたとのことですが、何回説明を重ねてもそれが地域で理解されたとはいえないのではないでしょうか。うかがいますが、柏井小学校がなかった時の、花見川団地までの通学方法をお示しください。

<教育次長の答弁>

 詳細は把握していないが、当時の資料では、電車とバスでの通学や片道40分かけ通学していた。

<もりた真弓議員>

 通学方法の詳細を把握されていないとのことですが、京成大和田駅まで歩き、京成八千代台駅で降り、そこから花見川団地行きのバスへと乗りかえて、団地内の小学校へと通ったそうです。

 写真は花見川にかかる弁天橋近くの写真です。横戸町の子どもは見通しの良くない狭い道路脇を通学することになります。道路がゴルフ場に沿って蛇行している上に交通量も多く、特に、登校時間帯は、通勤時間と重なるため、小学生・中学生ともに危険と隣り合わせです。仮に、電車を利用することになっても、京成大和田駅までは狭い歩道を歩くことに変わりありません。電車・バスを乗り継いで通わせる親御さんの心配は大変に大きいと思います。

 これは、旧花見川第五小学校の校舎です。この校舎の隣に、統合された花島小学校が建っています。当初、空き施設となった第五小学校には、子どもルームやシルバー人材センター、アーティストインキュベート施設(芸術家を育成・支援する施設)、フィルムコミッション・ロケ地、文化財保管倉庫、教育センター分室などなど、様々な予定がありました。しかしその後校舎の耐震化に問題が見つかり、地域住民に2011年に利用される予定だった計画は全く動かないままです。

 旧花見川第五小学校の校舎の耐震化の見通しについてうかがいます。

<教育次長の答弁>

 工事には多額の費用がかかり、市の財政状況を見極めながら引き続き、工事着手の時期を関係課と検討していく。

<もりた真弓議員>

 耐震化の予定が立たず校舎はそのまま放置されているということです。関係課と検討するとのことですが多額の費用を必要とするとのことですから、ここ何年かで工事着手があるかは厳しいのではないでしょうか。2月の説明会の場では、統廃合に理解は得られていないと感じました。もともと地元から統廃合の希望が出されたわけではなく、その後、柏井小学校地域で一回しか説明会も行なわれていません。通学路問題も校舎の跡施設利用も明らかでない状態で、地元代表協議会がスタートしていいのでしょうか。今後の運営も含めて、住民の意見が十分反映されるのか疑問です。地元代表協議会での協議内容に、常に住民の意見が反映されるよう強く申し上げておきます。

4、特別養護老人ホームについて

<保健福祉局長の答弁>

 畑通勤寮跡地への特養ホーム設置は、今年3月30日に、関東財務局千葉事務所に赴き、当該跡地に特養ホーム整備について協議を申し入れた。今回の震災で、一定面積以上の土地は仮設住宅や資材置き場での活用もあり得るので、今は具体的な協議は難しいとの回答だった。6月2日に再度申し入れたが、状況は変わっていないとのことだが、今後も具体的協議を求めていく。

 検見川通信所周辺への特養ホーム設置は、検見川稲毛土地区画整理事業区域内の土地であり、その利活用の中で候補地としての可能性を見極めたい。

<もりた真弓議員>

 この旧畑通勤寮のあった地域は、スーパーやコンビニ、ファミリーレストランや回転寿司などの店舗や、中層の団地と戸建て住宅の広がる便利な場所で、バス通り沿いというまちなかに、かなりのスペースを有するところでもあります。バスや車などで通りかかる人からも、いったい何ができるのかと注目されている場所です。うかがいますが、畑通勤寮跡地の国有地に、特養ホームを建設することについての、市の考え方をうかがいます。

<保健福祉局長の答弁>

 特養ホームの整備量は美浜区に次いで少なく、整備の必要性は認識している。この跡地の面積は約5500平方メートルで特養ホーム整備には十分な広さがある。引き続き協議していく。

<もりた真弓議員>

 花見川区での特別養護老人ホームの必要性は認識されているとのことです。施設を整備するだけの十分な広さもあるとのことです。関東財務局管財課との協議が始められた場合の、具体的な手順とおおまかなスケジュールについてうかがいます。

<保健福祉局長の答弁>

 特養ホーム整備用地としての活用について協議を進め、可能になった場合は用地を売却するか賃貸するかの処分方法、その対価などの条件を協議することになる。

<もりた真弓議員>

 わかりました。住民の強い希望と期待に応えて、特養ホームの早期の実現を重ねて要望しておきます。

6、道路の拡幅について

<建設局長の答弁>

 拡幅による効果は、歩行者や自転車などの通行の安全が確保され、地域の人の交通利便性が向上すると考える。

<もりた真弓議員>

 横戸町23号線のこてはし台、横戸台側の入り口です。途中、すれ違えるようにしたところです。過去、横戸町23号線の拡幅についての質問は、議会で何回取り上げられていますか。

<建設局長の答弁>

 データベース化されたH3年以降を確認したが、定例会での一般質問は17回だ。

<もりた真弓議員>

 平成3年以降データベース化されてからの質問で17回、それ以前は昭和63年の6月議会から私の前任のやなぎだ前議員が質問しています。横戸台団地の開発に伴って、また横戸町78号線の道路整備が完了した際など、事あるごとにくり返し取り上げられてきました。鶴岡市長の時代には、予算議会の生活道路の整備の項目で「横戸町23号線ほか、路線」といった形でも何度か発言がされています。この間、地元のみなさんへの歩道位置の変更について、地権者から了解を得られているとのことですから、あとは用地取得に向けて交渉を進める予定とのことです。一刻も早く進めることを要望いたします。公共交通網の問題ですが、横戸町23号線の拡幅後は、循環バスについて京成バスに求めるのかうかがいます。

<建設局長の答弁>

 循環バスは、道路拡幅の進捗状況や地元からの要望を踏まえ、バス事業者に要請していく。

<もりた真弓議員>

 昭和63年から数えれば、かれこれ24年越しの要望です。地元の方からは、高齢化する不安が多く出されていて、花見川北部地域の交通事情改善は待ったなしです。住民の安全対策と高齢者の足の確保対策を含め、横戸町23号線の早期の拡幅を求めて、一般質問を終わります。