ふくなが洋議員の一般質問と答弁(要旨)

2011.6.23

写真 通告に従い一般質問を行います。

 最初に震災対策について伺います。

 1つは、復旧に向けての取り組みについてです。

 今回の東日本大震災から何を学んだのかが問われます。千葉市は液状化などで美浜区を中心に大きな被害が出ました。一方千葉市は被災地に市職員をはじめ多くの市民が支援活動に取り組んできました。そこで伺いますが千葉市としてこの大震災は何であったのか、被害の把握・情報伝達・支援体制などどのように取り組まれ成果・教訓・課題・対策などについて基本的な見解を伺います。あわせて反省すべき問題についても伺います。

<市民局長の答弁>

 災害対策本部を本庁8階以外にも設置できる準備を事前にして置くべきだったことや、多くの帰宅困難者が発生したことに、企業等へ帰宅せず会社に留まるよう要請・周知すべきだったなどの反省がある。

<ふくなが洋議員>

 次に近く来ると予想される余震への対応について先の地震から何を学んだのか、どのような具体的な対策を立てているのか伺います。

<市民局長の答弁>

 地震災害は、単に家屋等の崩壊だけでなく複合的災害も同時に発生する認識を新たにした。その対策は、市としてやるべきもの、できるものを地域防災計画で対応を強化し、他自治体等と連携すべきもの、9都県市の連携強化などを講じること。離れた都市間でカウンターパート方式での相互応援協定締結など広域的な取り組みを進めていく。避難所の運営や災害時要援護者支援などでは、自治会や自主防災組織など地域力強化にも取り組み、実施にあたっては常に有事を想定し対応していく。

<ふくなが洋議員>

 こうした答弁に基づき改めて震災対策について伺います。

 地域防災計画の見直しについてです。今回の大地震で防災計画の見直しは緊急の課題です。防災計画は必要な計画であり、マニュアルとあわせた活動が求められます。そこで伺いますが、災害時要援護者避難支援体制についてです。わかりやすく言えば高齢者・障害者・子どもなど弱者の立場での避難支援体制について千葉市の対応について伺います。

<市民局長の答弁>

 千葉市災害時要援護者支援計画によるモデル事業をH22年度に47自治会で実施。個別計画での地域支えカードが41自治会で作成され、今回の震災では地震発生後2時間で要援護者の安否確認を完了させた自治会もあった。23年度はモデル事業で新たに各区4自治会、合計24自治体を予定したが、地域での支援体制の必要性が高まっており、多くの自治会へ働きかけ拡大していく。

<ふくなが洋議員>

 避難場所を身近なところに設置することについて伺います。高齢化のなかで避難場所が遠くで歩けないとの相談があります。その点では自治会館・公民館など公的な施設等歩いて行かれる避難場所にすることが必要ですがお答えください。

<市民局長の答弁>

 市が指定した避難場所・避難所、広域避難場所以外の公園、空地などは、各地域の特性を生かし、市民の自主的判断で一時的に身の安全を図る場所、身近な防災活動拠点として活用することになっているので、地域で話し合い、自助・共助で地域の一時避難場所として、地域で防災マップを作成し共有化を図ってほしい。

<ふくなが洋議員>

 知らない人とではなく地域の人と連携して避難をすることが大切ではないでしょうか見解を伺います。併せて防災訓練も大規模なものではなく町会ごとに行うことが必要です。今年から防災訓練は自治会単位で行う方が効果は高いし、有効ではないでしょうか。

<市民局長の答弁>

 災害時に保護が必要な人の安否確認や避難の際の支援、避難所での生活などを考慮すると大切なことで、自治会や自主防災組織の結成促進に努めている。町内自治会単位で結成された自主防災組織には、訓練等の活動に助成している。昨年度は、681の組織が市の実施した訓練とは別に避難・消火・救出救護訓練を実施した。

<ふくなが洋議員>

 千葉市の地震のハザードマップは大変参考になります。今回の地震でハザードマップはどのように機能したのかまず伺います。

<市民局長の答弁>

 地震ハザードマップは、市の耐震改修促進計画の一環で、市民の地震への防災意識向上と建物の耐震化促進のため、東京湾北部地震を想定して各区で作成、H21年6月に新聞で配布。ホームページでも公開しているので、今回の震災でも機能したと考える。今回、避難の際に歩行等の傷害になる建物の倒壊はないが、避難場所への避難路を決定する参考にもなるものだ。

<ふくなが洋議員>

 そこに水・食料の確保、井戸水・備蓄品・医療支援など示して、さらに活用しやすくすることを提案します。

<市民局長の答弁>

 地震ハザードマップに様々な情報を掲載するのは、紙面の大きさや見やすさから難しいが、地域で防災マップ作成の際は、地震ハザードマップや区ガイドマップに掲載している防災関係情報や水・食料確保、医療支援、避難路確保など地域の特性を生かして書き入れ活用できるよう支援していく。

<ふくなが洋議員>

 地域のコミュニティを優先した防災計画にして、弱者に必要な支援ができるようにするべきではありませんか。

<市民局長の答弁>

 現行の地域防災計画でも地域住民が主体に、災害時要援護者支援を行うことを基本にしている。市の要援護者支援計画の「支えあいカード」を地域で作成する支援に取り組む。

<ふくなが洋議員>

 市役所の防災機能について伺います。

 大震災で市役所機能が破壊されて行政実務ができない自治体がたくさん出ました。市役所機能が破壊されることはあまり相定されてこなかったと思います。そこで伺いますが、こんどの震災で壊滅的な打撃を受けた自治体から千葉市は何を学んだのか最初に伺います。

<市民局長の答弁>

 市役所など施設の被害や職員の被災も想定し、住民による避難所運営など地域の力を生かした対策と、継続すべき事業や新たに発生する事業を絞り込んだ事業継続計画を策定すること。他の自治体とカウンターパート方式で相互応援を行うなど、広域的対策を講じておくなどがある。

<ふくなが洋議員>

 写真にあるように大船戸市役所は高台にあり大きな被害にはなりませんでした。市役所では復興会議やまちづくりの会議が開催されています。しかし漁港周辺は甚大な被害になっています。

 陸前高田市の市役所は壊滅的な被害であり、市内の被害も目を覆うばかりです。釜石市は市役所の1階と地下は大きな被害を受けましたが2階3階で業務をこなしています。周辺はこれも大変な被害です。千葉市では市役所本庁・区役所をはじめ公的な施設は防災拠点となり市民生活を守る防波堤になる必要があります。そこで伺いますが、これらの施設が防災拠点となっているのかお答えください。

<市民局長の答弁>

 現行の地域防災計画では、必要不可欠な災害復旧対策を単独で講じるための現場活動拠点に区役所等を位置付けている。

<ふくなが洋議員>

 次に自然エネルギーについて伺います。

 原発問題で自然エネルギーの本格的な導入と低エネルギー社会に向けて全力で国も地方自治体も取り組まなければなりません。そこで伺いますが、福島原発の事故があり、原発に対する自治体の対応も問われています。千葉市は原発問題・エネルギー問題についてどのような見解をもつのか伺います。

<環境局長の答弁>

 福島第一原発事故で、国が策定したエネルギー基本計画見直しが進められているが、原発問題は慎重な議論が必要なので国の動向を注視する。

<ふくなが洋議員>

 写真で紹介した梼原町は、人口4,625人の町ですが、自然エネルギーに取り組んで電力自給率を27%にして、さらに高めるように頑張っています。そして、自然ネルギー開発を通じて新しい仕事と雇用を生み出して、これまで「自然環境グランプリ」「明日への環境賞」「サステナブル建築賞」など数々の表彰を受けています。千葉市は、梼原町とは自然条件が異なりますが、千葉市にあった自然エネルギーへの取り組みをさらに強化をするべきではありませんか。

<環境局長の答弁>

 自然エネルギーの促進へ、住宅や公共施設への太陽光発電設備の導入や熱利用の普及・拡大に努めている。今年度は、住宅用太陽光発電設備助成の応募が多く、節電の促進のため100件の追加補助を行う。8月2日、千葉市で開催の「9都県市再生可能エネルギー活用セミナー」でも、本市の取り組みを紹介する。

<ふくなが洋議員>

 千葉市にあった自然エネルギーを活用を図る市民・企業・専門家の参加で自然エネルギーの本格的な導入と低エネルギーの千葉市に向けた取り組みを行うべきではないか伺います。

<環境局長の答弁>

 市民・事業者で構成する「市地球温暖化対策地域協議会」で再生可能エネルギー分科会を設置し、東京ガスと共同で太陽熱利用の給湯設備モデル事業の実施や地球環境保全セミナー開催など、省エネに向けた普及啓発に取り組んでいる。

<ふくなが洋議員>

 次に放射能汚染について伺います。

 原発事故はさらに大きくなっています。私は環境の面から伺います。緊急の課題は原発を安定させて、これ以上の汚染を出さないことであり、国内の英知を集めさらにひろく世界的な協力を得て全力で対応すべきと考えますが見解をお聞きします。

<環境局長の答弁>

 現在、国では国内の原子炉プラントメーカーはじめ、フランス、アメリカの民間会社から技術的支援を得て、事態収拾に取り組んでいる。

<ふくなが洋議員>

 被ばくを避けるために適切な避難・被ばくの可能性のある地域の全住民の健康のフォローそして生涯にわたる健康調査が必要ではないですか。

<環境局長の答弁>

 市内の大気、水道水、食品等の放射能検査では、いずれも暫定規制値を下回り、現時点では、市民の被ばく線量の測定は必要ない。なお、放射線の被ばく線量測定や健康調査などは、対象地域や対象者の選定、被ばく線量の測定方法、問診項目や検査等の統一基準を国は作成すべきだ。

<ふくなが洋議員>

 今回の原発事故は人災であり、東電に重大な責任があります。その点で加害企業の東電は責任を負わなければなりません、見解を伺います。

<環境局長の答弁>

 原発事故被害者への賠償のため、国は東電の経営や資産内容を調査する第三委員会を設置し、調査している。本市もその推移を見守りたい。市の放射線測定等に要した費用や今後必要な経費は、全額国が負担するよう9都県市で要望した。

2、毒ガス弾の処理施設について

<ふくなが洋議員>

 次に、毒ガス弾の処理施設について伺います。

 この問題は今年の3月議会で質問を行いました、その後の問題について伺います。今年の4月23日・6月4日環境省が千葉市稲毛区の長沼原毒ガス弾処理に関する住民説明会を行いました。参加者から納得・理解は全く得られておりません。全国的に処理施設の例がほとんどないことと併せて毒ガス弾の処理については複雑な背景があります。そもそも毒ガス弾の製造工場について戦時中はもちろん戦後も「極秘」扱いでした。それは国際法で使用を禁止されて毒ガスの実態が暴かれることを関係者は恐れていたからです。そこで伺います。そもそも、この毒ガス弾はどこで製造されて現在長沼原にあるのか。国際法で使用禁止の毒ガス弾はなぜ製造されたのか、これまで国内のどこで処理をされているのか、担当部署はどこだったのか伺います。

<環境局長の答弁>

 H15年、環境省が調査した「旧陸軍ガス弾等の全国調査」では、化学弾がどこで製造されたかは確認できなかった。これまでの国内での処理状況は、北海道・屈斜路湖で北海道と防衛省が、福岡県・苅田港では国土交通省が処理している。

<ふくなが洋議員>

 旧日本軍の毒ガス弾は何発製造されて国内のどこに保管され処理をされたのか。日本軍の証拠隠滅・米軍など連合軍の命令での処分があるようですが稲毛区の毒ガス弾はどちらなのか、また稲毛区長沼原の毒ガス弾の実態調査を行うべきではないのか。

<環境局長の答弁>

 国の調査では、終戦時の情報で、生産・保有状況は34か所、廃棄等は44か所の地域とされている。長沼原の化学弾製造や廃棄状況は不明だ。終戦後、年数が経過しており、更なる実態調査は困難だと聞いている。

<ふくなが洋議員>

 処理施設の入札について伺います。私は3月議会でJFEエンジニアリングが落札すると申し上げました。その結果は、入札企業名、落札価格について伺います。また不自然なことはなかったのか。

<環境局長の答弁>

 環境省が今年3月25日入札し、JFEエンジニアリングが14億円で落札したと聞く。応札業者は公表されていない。入札は厳正に行われたと聞く。

<ふくなが洋議員>

 まず、毒ガス弾処理についての経緯について、市民への説明責任を果たさないと市民理解は得られないのではありませんか。

<環境局長の答弁>

 H19年8月に化学弾の発見以来、国・千葉県・千葉市・四街道市での現地連絡協議会で、発見の経緯、調査の実施、砲弾の回収状況など作業の節目ごとに住民説明会を開催した。回数は、長沼原地区で5回、蘇我地区で3回実施した。

<ふくなが洋議員>

 先日議会で建設場所であるJFE工場の先の県有地の視察を行いました。環境省の方も説明に来られました。そこで伺います。東日本大震災級の地震に耐えられるのか。液状化・津波に耐えられるのか。

<環境局長の答弁>

 設置する無害化処理施設は、強固な平板基礎で液状化での不同沈下に対応した構造だ。津波対策では、予定地に高さ4.9mの護岸堤防があり、今回の震災や歴史的に想定される津波に対し安全が確保されている。

<ふくなが洋議員>

 現在、旧日本軍福岡県の苅田港に遺棄した毒ガス弾処理施設が稼働しています。これは平成12年11月21日に、苅田港で潜水作業中に爆発物18個が発見されたことから、この地域で処理事業が始まりました。平成15年から平成22年度は30発の処理を含めて何と2,953発が処理をされています。写真でもわかるように厳密に処理が行われています。処理方法は、制御爆破処理か過熱燃焼方式の違いがありますが、千葉市の処理施設と規模・内容に大きな違いはないと考えます。そこで伺いますが、ここでは国土交通省が処理を行っています、なぜ千葉市は環境省なのか、防衛省はなぜかかわらないのか。

<環境局長の答弁>

 科学弾の処理は、H15年の閣議で国有地は所管省庁、それ以外は環境省と決定され、科学弾等が発見されたら防衛省と協力し、警察庁・消防庁と連携して処理するとされている。千葉市での場合は、民間研究農場であり、環境省が所管することになった。

<ふくなが洋議員>

 住民説明がおざなりではないのか、まず処理施設建設ありきで市民理解を得ようとしていないのではないか。

<環境局長の答弁>

 無害化処理へ、昨年12月19日、今年4月23日、6月4日と3回の住民説明会を開催した。6月の説明会では、現地視察も行なった。今後も作業の節目ごとに説明会を開く。

<ふくなが洋議員>

 有機ヒ素の処理問題ですが、無機ヒ素に変えることはできても、ヒ素そのものを無毒化はできません。最終的にヒ素をどのように処理をするのか。

<環境局長の答弁>

 処理後のヒ素を含む廃棄物は、法律にのっとり産業廃棄物として適正に処理すると聞く。

3、緊急設置電源について

<ふくなが洋議員>

 次は、緊急設置電源についてです。

 東電は千葉火力発電所内に新規電源を設置して電力の供給を行うとしています。そこで伺います。今回の出力33万キロ・ワット3台のガスタービン発電で千葉市への環境にはどのような影響を与えるのか。

<環境局長の答弁>

 使用される燃料は、LNGであり、硫黄酸化物や煤塵は発生しない。窒素酸化物は、大気汚染防止法の基準より下回るので、予測結果からも環境への負荷は少ないが、稼働中の施設に適用される協定値を超えるので、早急に排煙脱硝装置の設置を求める。

<ふくなが洋議員>

 新規電源設置での問題では、地球温暖化対策はどのように行われるのか。環境アセスメントは震災復興として特例を設けるとしても、再生可能エネルギー発電、天然ガス・都市ガスに限定し、それ以上は認めないことを求めます。

<環境局長の答弁>

 今回のガスタービン発電施設は、LNGが燃料なので二酸化炭素の排出量の少ない施設だ。この施設は、緊急設置施設であり、排熱を再利用するコンバインド化はされないので、省エネの視点から更に熱効率向上を図るよう求めていく。

<ふくなが洋議員>

 コンパインドサイクルでない旧型LNG発電は最新型LNG火力に更新を求めること要望します。公害運動で問題になるのは、利権を求めて企業・政治家・御用学者の文字通りの政管財の癒着があり、政治家に多額な献金をする御三家は電力・鉄鋼・自動車です。それは公害を引き起こした御三家でもあります。東電はあおぞら裁判の被告企業だと訴えられなかったことは残念です。

4、高齢者問題について

<ふくなが洋議員>

 次に、介護保険制度について伺います。

 現在、国会で2012年度の制度改革に向けて介護保険法改定案が審議されています。介護保険制度が実施されて10年になります。当初の理念であった「介護の社会化」は介護給付費の適正化で必要な人に必要な介護が受けられない実態があります。そこで伺います。介護保険の改定は軽度者を介護保険から外そうとしているのではないか。目的は公費の抑制、医療保険より安上がりの介護保険へ向かい「医療から介護へ」「入院から在宅へ」の流れで利用者にはサービスの低下につながるのではないか。

<保健福祉局長の答弁>

 高齢者の増加に伴い、介護給付費の増が見込まれ、一定の保険料負担は避けられない。急激な保険料の上昇を抑えるため、法を改正しH24年度限りだが都道府県の財政安定化基金の一部を取り崩すことにした。介護保険制度は、介護を社会全体で支える仕組みとして、サービス向上目指し、民間事業者やNPO法人も含めた多様な主体のサービス提供が図られている。

<ふくなが洋議員>

 ペイ・アズ・ユー・ゴ―原則が介護保険の見直しの原則となっているといわれます。この原則についてわかりやすく説明をいただきたい。あわせて千葉市の対応について伺います。

<保健福祉局長の答弁>

 昨年6月の閣議決定で「財政運営戦略」として示された「施策の新たな導入・拡充の際は原則として恒久的な財源を確保する」とした考え方だ。安定的に制度を運営し、高齢者の暮らしを支えるために、財源の問題は重要な課題だ。

<ふくなが洋議員>

 介護保険の改定は軽度者を介護保険から外そうとしているのではないか。また、利用者にはサービス低下につながるのではないですか。

<保健福祉局長の答弁>

 今回の改定は、地域で暮らし続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援サービスを切れ目なく提供する「包括ケアシステム」の構築をめざすもの。単身・重度者の要介護者に対応できる24時間サービスの創設や利用者の状態に合わせ、見守り・配食を含めた介護予防・日常生活支援総合事業が導入され、利用者にきめ細かなサービス提供が可能になる。

<ふくなが洋議員>

 介護保険10年で利用させない、利用できない制度になっているといわれます。特に家族の介護負担は減らず深刻な社会問になっています。そこで、先日のNHKテレビでも放送されたようですが、年老いた親が障害のある子どもの介護を続ける「老障介護」の広がりの問題です。

 以前は、親なき後の障害をもつ子どもの問題と言われていました。この問題は共同作業所の全国組織である「きょうされん」が2010年12月に「家族の介護状況と負担についての緊急調査」を行い、その衝撃的な内容が明らかになりました。

 最行齢介護者の実態では94歳の父親が58歳の精神障害の娘を介護している。ついで93歳の母親が知的障害の72歳の息子を介護していることが明らかになりました。この報告のまとめでは、親の介護負担は限界に達している。子どもが成人に達しても「親が支えるもの」という考え方を法律や制度・行政から払拭して、本格的に「介護の社会化」を公的制度として確立しなければならないとしています。そこで伺います。老障介護の千葉市での実態について示してください。

<保健福祉局長の答弁>

 老障介護の千葉市での実態は把握していないが、障害者手帳の所有者や福祉サービス利用者で、65歳以上が増えている傾向にある。H21年度に実施した実態調査では、知的障害者の3割が親の介護を受けていること。障害者相談員から、保護者の高齢化に伴う相談が増えていると聞いており、介護する側の高齢化は確実に進んでいる。

<ふくなが洋議員>

 老障介護問題は老老介護と並んで実に深刻な事態です。この10年間で高齢者世帯における介護無理心中は400件を超えており、介護保険制度が施行されてからも増大し続けています。そこで伺います。老障介護問題が何故深刻あり、行政の手が行き届かないのか。

<保健福祉局長の答弁>

 障害者の保護者は「最後まで支えなければ」と強い思いがあり、自ら高齢で体力的・精神的に限界まで介護を続ける傾向があり、社会から孤立してしまうのが老障介護の深刻な点だ。民生委員や相談機関にも相談がなく、行政の手が届きにくくなっている。

<ふくなが洋議員>

 老障介護問題の解決に向けて「介護の社会化」が求められますが千葉市の対応についてお答えください。

<保健福祉局長の答弁>

 民生委員や障害者相談員等の情報で、介護保険や福祉サービス利用を勧め、支援につなげる必要がある。民生委員や障害者相談員に、老障介護問題や障害者をかかえる親の気持ちを理解してもらい、情報提供や地域の見守りで支えあい体制を進める。

<ふくなが洋議員>

 次に、高齢者施設についてうかがいます。

 老老介護・老障介護は深刻な問題です。住み慣れた地域に高齢者施設を市内に建設することを求め、中央区では旧市立病院跡地での特別養護老人ホームの建設が急がれるのではないか。

<保健福祉局長の答弁>

 旧市立病院跡地は、既存建物の解体や土壌汚染調査に多額の費用がかかるなど課題があり、跡地利用の検討の中で整備の可能性を探る。

5、障がい者問題について

<ふくなが洋議員>

 最後に障がい者問題についてお尋ねします。

 「千葉駅の駅舎・駅ビルが生まれ変わります」とJRが発表して以来、障害者の人達が「利用しやすい千葉駅を考える懇談会」を発足し、切実な要望意見が出されています。そこで伺います。

 障害者団体との協議を重ねて利用しやすい千葉駅にするべきではないか。

<都市局長の答弁>

 JRは「ガイドライン」を踏まえ新駅舎等を整備することにしているが、障害者が利用しやすいものになるよう意見を聞くことを市として要望していく。

<ふくなが洋議員>

 工事完成までには点字ブロックなど統一されたものにするために設計の段階から視覚障害者の意見を反映させる。千葉駅のトイレでは事前に意見を聞いて設計に活かしてほしいなどの声を実現させるために千葉市はどのように考えるのか。

<都市局長の答弁>

 点字ブロックやトイレ等は、ガイドラインに基づき整備されるが、利用者の意見を聞くようJRに要望していく。

<ふくなが洋議員>

 ホームに駅員の配置、行き先の案内放送、点字ブロックの凹凸をはっきりさせる。車椅子が通れる改札口になど要望への対応についてはどうか。

<都市局長の答弁>

 JRにはこれまでも誰もが利用しやすい駅になるよう要望してきているが、バリアフリー化についても引き続き要望する。

<ふくなが洋議員>

 多目的トイレを障害者優先にし、電車からの渡り板が自動的に降りて介助なしでも乗車できるようにするべきではないか。

<都市局長の答弁>

 JRに利用実態を把握して適切に対応するよう要請する。介護なしでの乗車は、JRとして駅員での対応を継続すると言っている。

<ふくなが洋議員>

 次に、障害者基本法についてうかがいます。

 現在、国会で障害者基本法改正が国会で議論されています。2006年の国連総会で採択された障害者権利条約は「21世紀の最初の人権条約」と言われています。これまでも障害者基本法については「障害者抜きに改正を決めないで」この精神で改正が行わなければなりません。障害者の住みやすい社会は誰もが人間として尊重される優しい社会です。高齢化迎え誰もが障害を持ちうることを多くの人が感じています。そこで伺います。千葉市は当事者である障害者の意見を聞いて障害者基本法の改正を行うべきと考えないのか。

<保健福祉局長の答弁>

 障害者基本法の一部改正では、理念が目的規定に明記され障害者やその家族が過半数の「制度改革推進会議」の意見を踏まえて見直すものだ。

<ふくなが洋議員>

 次に、成年後見制度についてうかがいます。

 千葉市の成年後見センターは、ハーモニープラザの中にありますが、非常に狭くて業務が十分できないと思います。もっと市民が相談しやすく仕事がしやすい場所を考えるべきではないか。

<選挙管理委員会事務局長の答弁>

 成年後見センターは、制度の普及・啓発や各種相談に的確に対応するための拠点として、H22年4月に設置した。現在、多少の手狭感があると承知している。今後、高齢化の急速な進展で、利用者の増加が見込まれるので、活動スペースの確保が必要となることから、市民が相談しやすい場になるよう工夫したい。

<ふくなが洋議員>

 成年後見での選挙権の問題です。制度の利用で選挙権が失われる問題について千葉市の考えを伺います。また市内で街頭する人は何人いるのか。社会参加を大切にすることは根本問題であり、公選法の不備ではないのか法改正を国に求めるべきではないのか。

<選挙管理委員会事務局長の答弁>

 成年後見人制度は、「主に財産管理のための制度であり、選挙権の行使を失う現在の公選法規定は、法の下の平等を保障する憲法に違反する」との訴訟が起きているので、行方を見守りたい。

 4月の統一地方選での選挙人名簿登録者数76万6,128人に対し、市内の該当者は741人だ。選挙は選挙人が自由に表明する意思により公明・適正に行なうべきものだ。選挙権・被選挙権の行使は、政治的権利への本人の判断能力程度が重要であり、被後見人となった人の中には、自らの意思で選挙権行使が可能な場合には、投票できるよう制度の改正が必要だ。指定都市の選挙管理委員会連合会に働きかけているところだ。