日本共産党が提出した意見書

平成23年第3回定例会
No.1

 (提出年月日)平成23年8月22日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

福島県以外の学校・幼稚園・保育所等における放射線量の安全基準値及び対応策の早期設定を求める意見書(案)

 東京電力福島第一原子力発電所で発生した事故により、千葉県内でも大気等への放射能汚染が広がっている。
 本市でも20カ所の空間放射線量率を測定し結果を公表しているが、放射線量の安全基準が明確でないため、市民からは放射能の影響を心配する声が数多く寄せられている。
 文部科学省は5月27日、「福島県内における児童生徒等が学校等において受ける線量低減に向けた当面の対応について」を発表し、「今年度、学校において児童生徒等が受ける線量について、当面、年間1ミリシーベルト以下を目指す」とする新たな目標を設定したが、これは福島県内の児童生徒等への当面の対応を示したものであり、福島県以外の学校・幼稚園・保育所等における放射線量の安全基準値や対応策等については、いまだに示されていないのが現状である。
 今回の原発事故の収束には、まだ長い時間が必要である。未来を担い、生きていく子供たちが、学校等で安全に安心して生活できるよう、不安を解消しなければならない。
 よって、本市議会は国に対し、下記の事項について強く要望するものである。

  1. 福島県以外の学校・幼稚園・保育所等における放射線量の安全基準値を早急に策定し、公表すること。
  2. 安全基準値を超えた場合の対応策・マニュアルを示すとともに、その対応策等に要した費用は、国の責任で全額負担すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成23年 月 日

千 葉 市 議 会


平成23年第3回定例会
No.2

 (提出年月日)平成23年8月22日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

原子力行政における規制機関の独立と明確な役割設定を求める意見書(案)

 東京電力福島第一原子力発電所の事故原因究明のため派遣された国際原子力機関(IAEA)の調査団は、6月の報告書で「日本の複雑な体制や組織が緊急時の意思決定を遅らせる可能性がある」とし、原子力行政に関する我が国の体制に懸念を表明した。また、1995年に承認された「原子力の安全に関する条約」の第8条には「締約国は、規制機関の任務と原子力の利用又はその促進に関することをつかさどるその他の機関又は組織の任務との間の効果的な分離を確保するため、適当な措置をとる」と定められている。
 我が国における原子力の規制機関としては、原子力安全・保安院、原子力安全委員会が挙げられるが、前者は推進機関である経済産業省に属しており、独立性が担保されていない。後者についてはある程度の独立性が担保されているが、その権限は、内閣総理大臣を通じての関係省庁への勧告権と、関係省庁への情報開示請求権にとどまっている。つまり、現在の体制において推進機関と規制機関が対等な権限を有しているとは言えず、日本は第8条に違反する状態となっているのである。
 以上のことから、我が国における原子力行政の安全対策は不安定なものとなっており、このことが今回の事故において、危機収束に向けた足並みの乱れを生じさせた一因であると考えられる。
 原子力発電所それ自体の是非については国民の合意形成が待たれるが、現に存在する原子力発電所の安全対策の観点から、国際的な水準に見合った体制づくりが必要とされている。
 よって、本市議会は国に対し、条約違反状態からの脱却と原子力利用への安全対策の一環として、原子力利用に関する規制機関の独立性を担保すること、また、規制機関としての役割を効果的に発揮できるような権限の付与、立法措置を速やかに実施するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成23年 月 日

千 葉 市 議 会


平成23年第3回定例会
No.3

 (提出年月日)平成23年8月22日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

「社会保障・税一体改革成案」の抜本的見直しを求める意見書(案)

 6月30日に政府・与党より出された「社会保障・税一体改革成案」では、社会保障の財源として「消費税収を主要な財源として確保する」とし、「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げ」ることを明記している。
 本成案は、東日本大震災以前より継続して審議されているものであり、被災者の存在を前提としてはいない。生活再建のめども立っていない状況での消費税増税は、被災者支援を真っ向から否定するものとなり得るのである。
 また、本成案においては「消費税収については、全て国民に還元し、官の肥大化には使わないこととし、消費税を原則として社会保障の目的税とする」と明記されている。しかし、いかに使途を明確にしようとも、目的税という性質上、所管する官庁の専有財源となることは必然であり、官は肥大化する。さらに、将来的に社会構造が変化し、引き上げられた税率の合理性が失われたとしても、既得権益化した専有財源を廃止することは困難なものとなるおそれがある。
 消費税の最大の問題は、低所得層ほど負担が重い逆進性である。これに関して本成案では「いわゆる逆進性の問題については、消費税率が一定の水準に達し、税・社会保障全体の再分配を見てもなお対策が必要となった場合には、制度の簡素化や効率性などの観点から、複数税率よりも給付などによる対応を優先する」としている。これは、本成案が消費税の逆進性を解決していないことのあらわれであり、同時に本成案の不完全さを物語るものである。
 よって、本市議会は国に対し、被災者支援、将来への危惧、制度設計の不備という多面的な根拠に基づき、「社会保障・税一体改革成案」に反対し、内容の抜本的な見直しを強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成23年 月 日

千 葉 市 議 会


平成23年第3回定例会
No.4

 (提出年月日)平成23年8月22日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

公的責任を後退させる「子ども・子育て新システム」の実施に反対する意見書(案)

 現在、国において検討されている「子ども・子育て新システム」は、市町村の役割を「保育の必要性の認定」にとどめており、児童福祉法第24条に基づく市町村の保育の実施責任を大幅に後退させるものとなっている。保育の実施義務の喪失という公的責任の後退により、保育施設入所に伴う責任はすべて保護者に帰することになり、直接契約に伴う経済的理由から入所を断念するなど、入所を抑制する事態が想定される。
 また、新システムでは「多様な事業主体の参入を認める」としている。これにより営利企業が事業主体となった場合、採算性を第一義とする保育サービスにより、保育の質の低下が懸念され、採算性を理由に保育事業から撤退するおそれがある。
 待機児童の問題が取りざたされる中、その解決を棚上げにした新システムの検討に入ることは国としての責任の放棄であり、子供、保護者を不安定な保育環境に追いやることは看過できるものではない。
 よって、本市議会は国に対し、公的責任を後退させる「子ども・子育て新システム」の実施に反対し、下記の事項について強く求めるものである。

  1. 「子ども・子育て新システム」の導入を見合わせること。
  2. 改革案の作成に当たっては、児童福祉法第24条等、公的責任の維持を念頭に置くこと。
  3. 事業主体の外部からの参入に当たっては、保育の質の維持・向上、保育事業の継続等に関して拘束力を持った法整備、指定基準の設定を行うこと。
  4. 待機児童の解消を最優先課題とし、保育所の増設等、現行制度においても可能な方策により、可及的速やかに対策に取りかかること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成23年 月 日

千 葉 市 議 会


平成23年第3回定例会
No.5

 (提出年月日)平成23年8月22日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

医療制度改革の方針転換を求める意見書(案)

 平成22年12月、高齢者医療制度改革会議によって出された「高齢者のための新たな医療制度等について(最終とりまとめ)」は、この先増大が見込まれる医療費について「負担増を伴わざるを得ない」としている。
 しかし、国保財政逼迫の主な要因は、高額な保険料を「払いたくても払えない」加入者の増大による徴収率の低下、未納世帯の増加である。つまり、立て続けに行なわれた保険料の値上げという負担増こそが国保財政逼迫の原因であり、それを「負担増」によって解決するというのは非現実的であると同時に、より一層の逼迫が懸念される。
 また、最終とりまとめによって提言されている「広域化等支援方針」では、市町村に対し、「法定外一般会計繰入・繰上充用の段階的・計画的な解消に向けた取組」を求めているが、医療制度の本来の目的は、それを必要とする国民への医療の実施であり、国保財政の健全化を主たる目的としている最終とりまとめは、その制度設計において多大な欠陥があると考えられる。同様に、広域化後に想定される財政リスクに対する軽減策として「財政安定化基金」の創設が掲げられており、その財源は「国:都道府県:保険料=1:1:1の割合で負担する」とされている。新制度下での保険料、徴収率も不透明なまま、財源として「保険料」を明記し、かつ、その比率を固定化することは、財政健全化の観点からも危険性が指摘される。また、公費負担の比率設定にも明確な根拠はなく、ここでも制度設計の欠陥が見られる。
 よって、本市議会は国に対し、医療制度の本来的な運用を求める立場から医療制度改革の方針を転換するよう、下記の事項について強く求めるものである。

  1. 被保険者の負担増を要せずとも、適正な医療の実施が行えるよう、医療制度改革案における国庫支出金を大幅に増額すること。
  2. 法定外一般会計繰入等に見られる地方自治体の努力を否定するのではなく、地方自治体の負担軽減も念頭に置いた改革案の創出に努めること。
  3. 医療制度改革の目的を、財政の健全化から全国民への適正な医療の実施へと切りかえること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成23年 月 日

千 葉 市 議 会


平成23年第3回定例会
No.6

 (提出年月日)平成23年8月22日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への交渉参加の取りやめを求める意見書(案)

 5月17日、政府は、当初6月をめどとしていた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への交渉参加見送りを閣議決定したが、同27日、菅総理はG8サミットでの日米首脳会談で、「できるだけ早期に判断したい」旨を、オバマ大統領に伝えている。
 そもそも、TPP参加による弊害は、食料自給率の低下、第一次産業の荒廃、食の安全の崩壊等、数多く指摘されている。加えて、原発問題に起因する放射能汚染による日本産品への風評被害については、その沈静化の見通しが立っておらず、現状において日本産品を完全な自由貿易市場に置くことは、不公平な競争へと駆り立てることになる。
 また、世界的な食糧不足が懸念される中、食糧は投機先の一つとなっている。結果、国際連合食糧農業機関(FAO)が計算、発表している食料価格指数は、1990年を100ポイントとして、本年1月には230ポイントに達し、同指数史上最高数値を記録している。このように食糧不足が懸念される中、食糧輸出国の中には、ロシア、ウクライナ等に見られるように、輸出制限措置をとり行う国々も出始めており、食糧を輸入に依存する体制の危険性が高まりつつある。
 一方で、主に工業製品の輸出関連企業が、「国際競争力の強化」を掲げTPPへの参加を促しているが、これも史上最も高い水準で推移している円相場の問題を解決しない限り、TPPへの参加をもって「国際競争力の強化」が実現できるとは考えにくい。
 このように、我が国のTPPへの参加は、以前にも増して国益を害する可能性が高まっている。また、その交渉は国際的なものであり、結論を先延ばしにする政府の対応は、国策としても好ましいものとは言えない。
 よって、本市議会は国に対し、国益にかなわない経済連携協定であるTPPへの交渉参加を取りやめると同時に、国際社会に対し、広くその旨を公表することを強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成23年 月 日

千 葉 市 議 会


平成23年第3回定例会
No.7

 (提出年月日)平成23年8月22日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

「ポリオ不活化ワクチンの早急な導入等についての意見書」(案)

 予防接種後進国といわれる日本では、海外で標準的に使われているポリオ(急性灰白髄炎)の「不活化ワクチン」が未承認のままである。
 ポリオ生ワクチンは、短時間に大勢に接種出来るなど、流行国で一気に病気を防ぐという点で大変すぐれたワクチンだが、まれにおなかの中で増殖しているうちに毒性(病原性)が強まってしまうことがあり、これまでも問題視されてきた。この30年間、日本で自然発生患者は発生していないが、ポリオの生ワクチンによるまひ患者は、毎年2〜3人出ていると厚生労働省も明らかにしている。特に危険なのは、人体内で変性して強毒化したポリオウイルスから二次感染・三次感染し、ポリオ再流行を引き起こしかねないことである。国内でも、免疫獲得率の低い世代が親になって、わが子からの感染が懸念されている。
 個人輸入し、不活化ワクチンの予防接種を始めている病院も一部にはあるが、接種に必要な3回分の費用は1万3千円〜1万8千円にもなり、費用負担が大きいといわざるを得ない状況である。
 ポリオワクチンを生ワクチンから不活化ワクチンに切り替えれば、被害は完全に防ぐことができるため、日本医師会や日本小児科学会も、ポリオ不活化ワクチンの早期導入と、任意ワクチン接種の公費助成を求めている。厚生労働省も、早ければ来年度に不活化ワクチンを導入するとの見通しを示した。
 よって、本市議会は国に対し、「来年度」を待たずに国が責任を持って、早急に導入するよう求めるものである。

  1. 予防接種制度におけるポリオ不活化ワクチンを、早急に導入すること。
  2. ポリオ不活化ワクチンの生産体制が整うまでは、緊急輸入すること。
  3. 必要な予防接種はすべて定期接種に位置づけ、ポリオ不活化ワクチンも含めて自己負担の無いよう助成すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成23年 月 日

千 葉 市 議


平成23年第3回定例会
No.8

 (提出年月日)平成23年8月22日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

公設公営保育所への安定財源を求める意見書

 日本の保育制度は、戦後の混乱期に、市町村の保育実施義務・最低基準の設定と改善・費用の公的負担を明確にして、児童福祉として位置づけ、企業参入も永続性などを理由に認めなかった。この法の精神と経済発展・国民の意識向上などが相まって、保育の実施水準は市町村で改善が進んだ。
 しかし、国は、最低基準をいっこうに改善しないばかりか、国庫負担割合を8割から7・5割へと削減させたため、市町村の保育水準と国の基準との乖離が大きくなり、市町村の超過負担が大きく膨らんだ。さらに国は、負担金から補助金・交付金へと、また、公設公営保育所は一般財源化で、保育所運営費などがどれだけ入っているのかがわからない制度とした。
 そのため、公設公営保育所の運営が困難となり、非正規職員が急激に増え、全県で3分の1を超えるまでになっている。過半数を超えている市町村も少なくはない。このことは、公設公営保育所の保育者集団の機能に大きな影響を与え、保育の質にも構造的な悪影響を与えているものと思われる。
 今一番大きな問題は、待機児解消だが、県内の保育所の6割強を占める公設公営保育所が老朽化や民営化などで減らされていく中、定員超過入所を際限なく続けても、民間保育所だけでは待機児を解消することはできない。また、子どもの少ない地域では、採算が取れないため企業や民間の保育所は進出せず、公設公営保育所で対応するしかない。
 待機児解消は、現存する公設公営保育所の維持や無認可保育所の保育環境の改善なくしては実現できず、公設公営保育所の整備なくして待機児解消はできない。
 また、災害時などに営利企業が採算を度外視してまで保育所経営を継続することは考えられず、公的に責任を持つ公設公営保育所がなければ、災害時の保育は実施できないことは明らかである。そのためには公設公営保育所が存続できるよう安定財源を確保することが必要である。
 よって、公設公営保育所への安定財源を求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成23年 月 日

千 葉 市 議 会