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2011.9.15
【熊谷市長】 ○ 国政と市政の関係について 急激な経済・社会情勢の変化で、再度政策の優先順位や理由を国民に明らかにし、マニフェストの理念外は見直しが考えられる。日本は、大震災からの復旧・復興と原発事故の早期収束、世界経済危機への対応、財政再建や税と社会保障の一体改革など、喫緊の課題が山積みだ。政治的混乱を繰り返さず、国政の持続性を持ち現実的な政策実行ができるよう、与野党間の対話で安定した国政運営に期待する。 子ども手当など国の制度変更で、国民や地方への影響は大きい。制度導入の際の地方自治体の労力やコストを考え、短期間で見直して地方自治体に負担がないようにすべきだ。だから、大きな影響が出る制度は変更しないよう、与野党を超えた建設的な議論と協議で、責任ある制度設計を求めたい。 福島原発の事故で、原発の再稼働は国民の理解は厳しい。エネルギー政策は、市民生活や経済活動と密接に関係しており、国民への説明を行い、安全が確保されたら再稼働するスタンスだと理解する。 県内未加入市に加入を働きかけた者として、核兵器廃絶に向けた市民意識の喚起に取り組んでいる。昨年度から、千葉空襲パネル展で原爆写真パネルを展示し、千葉空襲写真誌を「考えよう平和の大切さ」に改訂し、原爆投下に関する資料やヒロシマ・ナガサキ議定書概要なども掲載した。今後も核兵器廃絶と恒久平和実現へ全庁的連携で事業展開していく。 ○ 決算の特徴について 少子高齢化や厳しい雇用情勢を背景に生活保護費が増加し、介護や子育て分野で新た財政需要が見込まれ、市民福祉予算が累積する中、選択と集中の観点で全の人に画一的サービスは行わず、支えが必要な人に予算を配分することを優先する。福祉サービスの維持・拡充に努めてきた。持続可能な福祉サービスを提供するよう考え努めていく。大型開発事業は、事業効果を検討し、早期供用開始が可能なもの以外は、事業規模を縮小する見直しを行った。 一般会計では、景気低迷で市税・税外収入が大幅に落ち込み、減収補填債を活用しても実質収支確保が難しため、一般会計の赤字決算回避のため国保会計への繰入を見送った。国保事業の健全化は大きな課題だ。保険料の減収対策、医療費抑制に努め健全化の取り組みを進める。 地域経済活性化への地元業者の役割は認識している。各種施策を推進しているが、住宅リフォーム助成の条例制定は考えていない。 ○ 災害に強いまちづくりについて 台風12号の被災自治体には、関西広域連合が支援しており、千葉市の支援は考えていないが、被災地の具体的ニーズが出され、支援の必要性が出たら市としての支援は行う。今回の台風は速度が遅く、長時間同じ場所に大量の降雨があり、地盤が緩み、各地でがけ崩れが発生した。ライフライン、生活道路の寸断で集落が孤立し、連絡が取れない事態だった。今後の対応策で検討すべき教訓がある。県の土砂災害警戒区域指定への協力、警戒区域内住民への情報伝達確保、避難路・施設の周知、ハザードマップの作成や避難勧告発令マニュアル作成など、警戒体制強化を図る。 原発事故により極めて広域的で甚大な影響がでおり、施設が大地震など自然災害や不測の事故発生にどんな対策で臨もうとしたのか検証し、今後に生かすことが重要だ。「やらせ」メールや安全神話は、原発という間違いが許されない技術を扱うものとして不適切だ。関係者の意識改革で、既成概念にとらわれず安全対策を積み上げる必要がある。エネルギー政策は、国民生活や経済活動に重要な影響があり、今回の事故から見直しが行われるものと考える。市としては、再生可能エネルギーの利用を促進し原発依存度を下げることに貢献したい。私のブログでの見解は、原子力に頼るエネルギー政策を転換し、再生可能エネルギーの比率を高めるとの主旨だ。「自然エネルギー協議会」は一企業が事務局を務め、事業全体のスキーム、再生可能エネルギーの全量買取制度の仕組み不明なので参加を見送った。事務局体制が変われば検討する。 今回のような大規模な災害では、公助だけでは対処できず、自助・共助・公助が一体で対応すべきことが明らかになった。地域防災計画を見直し、公助の強化策で指揮命令系統の明確化と意思決定の迅速化を図り、職員の初動態勢の見直しを行った。今後、見直しの内容を周知徹底し、被害想定の見直しや津波・液状化に関する国・県の動向を見ながら、地震のほか風水害・高潮対策など計画全般の見直しを行う。市民も非常時の備えや防災意識の啓発・知識の普及・自主防災組織や自治会組織の結成促進・避難所運営委員会や災害時要援護者支援体制構築など、自助・共助・公助が一体で対応できる体制の整備も見直す。原発事故は、被害が広域で災害対応や住民避難も広域になるので、地域防災計画ではなく危機事案対応計画を見直し検討していく。 防波堤・防潮堤の強度と構造は、県に聞いたら標準断面は1個の大きさが200キロから1トンの石積みで基礎を固めており、問題ないとしている。県と津波浸水予測図の作成で協議中だ。沿岸区域の市や事業所等で構成する水防対策の会議では、陸こう・水門・排水機場の操作、沿岸保全区域内の市民避難誘導について定期的に協議している。過去の海溝型巨大地震では、東京湾でも2m程度の津波があり、沿岸の戸建住宅地域は高台への避難が間に合わない場合や避難に支障がある方の一時避難場所に、小・中学校校舎を津波避難ビルとして指定できるよう協議している。県の津波浸水予測図の結果を見て、民間の避難ビルの指定も検討していく。 ○ 子ども・子育て新システムについて 7月29日に「中間とりまとめ」が決定されたが、給付設計や幼保一体化を中心の制度が示され、費用負担の在り方や地域の実情に応じた給付・事業提供の仕組みなど検討課題が明確にされたところだ。新システムの実施は、これらの課題を解消することが必須であり、安定的な恒久財源と適切な準備期間、制度の実施主体としての指定都市の権限拡大、新システム施行までの保育所待機児童対策に必要な財源確保などを指定都市市長会で国に要請した。制度の円滑な移行へ向け国と協議していく。新システムでは、保育の必要性の認定、入所斡旋・調整など総合的に市町村が関与することになっている。市は、保育の質の確保へ施設面・職員配置面で、国を上回る基準を定め、良好な保育を実施してきた。「中間とりまとめ」の指定制度導入は、保育の質向上への職員配置基準引き上げの検討や、国の指定基準に対する地方の裁量範囲の検討を明記しており、国の検討状況を注視し、適切に対応しながら国に要請・助言を行うなど、本市の保育の質の確保と向上に努める。 ○ ごみの有料化について 県内では34市町村、政令市では7市が有料化を実施している。家庭系ごみで札幌市がH21年7月から実施、前年度のごみ量35万5千tが、実施後は約28万4千tと20%削減した。新潟市はH20年6月の実施、前年度17万5千トンのごみ量が、実施後は14万6千トン、16.9%の削減となり有料化は減量効果がある。 古紙や布類の分別収集など市民・事業者の協力で焼却ごみは削減されているが、これからの削減幅は少なくなることを考え、分別・再資源化をさらに強めながらも、ごみ排出抑制と負担の公平化、減量への意識向上などに有効な「有料化」を基本計画に位置付けていきたい。市民・事業者・市が一体に循環型社会の構築へ施策展開してきた。自治体ごとの背景や地域性などで様々な形態があり、先進市を参考にしながら、千葉型をめざす。 【藤代副市長】 ○ 災害への対策について 職員「定員適正化計画」では、財政健全化への1つの取り組みで、必要な部署には増員しながら事務事業の見直しや民間機能活用で定員削減を進めており、見直しは考えていないが、災害時の救援や復興に支障が出ないよう配慮する。災害発生時は、役割の明確化や人員配置の不均衡解消など、地域防災計画の見直しで機能向上を図っている。 ○ 介護保険制度について 介護予防・日常生活支援総合事業は、要支援と非該当とを行き来する高齢者を想定し創設されたものだ。導入は市町村が判断することになる。現在、要支援者は介護保険の予防給付で、訪問介護やデイサービスが受けられるが、事業を導入すると、これまで予防給付でのサービスや配食、見守りなど生活支援サービスを総合的に受けられるようになる。今後、国の詳細な内容提示を受け、地域支援事業など予算面も見ながら導入の可否を検討していく。 これまで介護職員は、やむを得ない必要な処置として痰の吸引等の行為が認められてきたが、法改正で痰の吸引等を実施する必要な知識・技術の習得のための研修を受けた介護職員が、医師の指示下で行うことになるので安全性は確保される。 H23年度末までに介護療養病床を老人保健施設などへ転換・廃止する予定だったが、転換が進んでいない現状から、H29年度末まで転換を延長することになった。市は、転換で利用者が困らないよう事業者と協議していく。 ○ 特養ホームの増設について 真砂地区の学校統廃合に伴う跡施設の利活用は、全庁的に検討し特養ホームへの活用も含め検討している。 ○ 子どもの医療費助成制度拡充について 入院医療費は県の制度改正に先がけ、昨年10月から中学校卒業まで拡大した。通院医療費は今年8月から小学3年生まで拡大した。県の補助基準は小学校3年生までで、市独自に通院を中学卒業までに拡大すれば、更に7億8,600万円必要になり、現状では拡大は困難だ。窓口負担の増額は県の補助基準に合わせたもので、自己負担を無料にすれば、更に2億4,000万円必要で、制度の安定的運営からも自己負担は必要だ。H23年度の予算編成で知事や副知事と協議を重ね、議会各会派の要望活動などの結果、補助率1/6から1/4に改定された。千葉市は首都圏の政令市の最高水準であることから、さらに引き上げを求めるのは難しい。 【徳永副市長】 ○ 原発事故、放射能汚染への対応について 市内の放射線量率のばらつき具合の確認のため6月に独自に測定。各区の保育所・小学校など18か所で実施した。その結果、0.09μ?/hから0.24μ?/hで、ばらつき具合は少なく千葉大教授から、子どもの外遊びを心配する値ではないとの評価だった。8・9月には、7月測定の比較的高かった6か所で測定。8月は006μ?/hから015μ?/h、9月は006μ?/hから013μ?/hと低減傾向が確認されている。市への放射能調査に関する請願・陳情の審査結果を踏まえ、測定等を改めて検討していく。これまで行った保育所・学校・公園での測定結果は問題ない値だが、引き続き測定していく。放射線量率の測定結果や専門家のリスク評価は、ホームページや市政だよりに掲載している。9月18日には放医研から講師を招き放射線に関する講演会を開催する。 文科省の原子力損害賠償紛争審議会は8月、「東電が賠償すべき損害」の中間指針を示した。指針では、避難指示等区域外での検査費用は政府指示等や風評被害に関するもの以外は賠償対象にしていないが、比較的放射線量が高い地域で市町村独自に実施したモニタリング費用などは賠償の対象になることもあり、今後検討していく。 ○ 自然エネルギーの推進について H11年度から生涯学習センターや花園中学校など27か所の市有施設で、合計400kwの太陽光発電設備を導入してきた。福島第1原発事故以来、再生可能エネルギーの利用拡大の機運が高まっており、太陽光発電の有効な市施設に導入を図り、自給率向上につなげていきたい。 環境審議会に新たな地球温暖化対策実行計画の原案を諮問し、環境総合施策部会で審議・検討中だが、計画策定の中で国のエネルギー基本計画も踏まえ、千葉市にあった再生可能エネルギーの導入を図る具体的目標を示すことにしている。 太陽光発電を利用した外灯は環境に優しく管理費用が削減できメリットがあるが、導入コストがかさむため価格動向を勘案しながら、耐久性や他都市の動向を調査研究していく。「特別措置法」は成立したが、エネルギー電気の買取価格や買取期間など詳細が明らかにならず、動向を注視しながら検討していく。 ○ 新港清掃工場の溶融飛灰について 8月31日、環境省が8000ベクレルを超え、1万ベクレル以下の焼却灰等の処分方法について通知があった。通知では、「粘土混合土等で隔離層を設置して埋立てる」「長期間の耐久性がある容器で埋立てる」とされたので、基準を超えた溶融飛灰固化物の処理は、通知に基づいて検討する。排ガスの放射性物質測定は、8月22日に新港清掃工場、26日に北清掃工場、31日に北谷津清掃工場を分析調査した。3工場とも排ガスから放射性セシウム134.137は検出されなかった。 新港清掃工場で溶融飛灰固化物の撤去・保管作業にあたった労働者は、環境省通知で「8,000ベクレルの廃棄物の処分作業での安全基準1年間で1mmシーベルト未満」と比較し、大幅に下回るもので問題はない。新内陸最終処分場での埋立て作業員も、1日の作業時間から安全目安を大幅に下回るものだ。 ○ 液状化対策について 住宅被害認定基準の見直しや被災者支援制度の拡充を国や県に要望し、基準の見直しや住宅再建支援事業が創設された。市も住宅建築資金利子補給制度を創り支援しているので、新たな支援策は考えていない。被災地域の公共用地や宅地等の地盤改良は、国や県で検討が進められており、国交省でも公共インフラには施設の特性を踏まえた各技術基準の検討、住宅と宅地には工法やコスト削減方策など一体的な対策を検討しているところだ。千葉市も庁内にプロジェクトチームの設置や学識経験者や地元住民などで検討会を設置し準備に取り掛かっている。国が第3次補正予算で液状化への施策を具体化するとされており、国の制度が示されたら即対応できるよう準備を進める。 UR都市機構賃貸住宅を応急仮設住宅とすることは、URが県と協議することになっており、協議が整えば市としても協力する。 【教育長】 ○ 学校の放射能対策について 大震災後、教育委員会は「学校給食の対応」「プール使用」「親子除草作業」などについて、児童・生徒・保護者の心配軽減へ、適宜通知を行ってきた。現在の市内の空間線量率測定結果では、通常の教育活動が行える。しかし、心配の声に配慮して、夏休み明けで教育活動が始まる前に、教育環境整備について今回通知したものだ。保護者から教育委への電話やメールで寄せられた意見は約80件だった。要望内容は、より多くの地点で放射線量を継続して測定し、結果を公表すること。学校の除染を進めること。給食食材の検査を求めるなどだった。 ○ 就学援助について H22年度の申請件数は、6,133件で、98.3%の6,031人が認定され、前児童生徒数の7.9%、援助費は4億1,293万円だ。H20年度と比べ293人増加している。今回の市内震災被災者で就学援助申請は27件あり、全て認定されている。毎年、全児童生徒に「制度のお知らせ」を配布し、H23年度からは新たに入学説明会で、新1年生の全保護者に「申請書」を配布し、制度の説明を行うことで、申請しやすくなるよう改善している。教育委としては、援助費に係る財政措置の充実を国に要望しているが、実態に見合った財源措置を今後も求めていく。 ○ 教科書採択について 教科書の採択には、教育に関し経験豊かで教科書用図書に見識を持つ校長または教員からなる専門調査委員会で、対象の教科書用図書を調査研究し、その結果を選定委員会に報告している。選定委員会は、調査研究の結果を審議し、更に検討を加え教育委に報告している。したがって専門の教員の意見は反映されている。 【総務局長】 ○ 地上デジタル放送について 総務省の6月末時点の全国調査で、未対応世帯は0.54%、約29万世帯と推計しているが、千葉市内の数値は公表されておらず把握していない。若葉区と緑区の一部地域で地形的に電波が届きにくい22地区・559世帯が難視聴地域に指定されている。これらには、衛星放送で暫定的に代替策を講じているが、H24年春開業予定のスカイツリーでの送信開始で難視聴は解消するとされている。経済的理由などで地デジ移行困難な世帯へのチューナー無料配布申込件数は、千葉市で受信料全額免除世帯9,180世帯、市税非課税世帯490世帯となっている。臨時相談コーナーでの相談内容は、「アナログTVのままで地デジ放送の受信方法は」「アンテナ工事の費用は」「チューナーが手に入らない」など2,250件寄せられている。 【環境局長】 ○ 地上デジタル放送について 地デジ移行後の不法投棄の状況は、4月から8月まで251台回収したが、前年と比べ101台増えている。不法投棄の対応として、市政だよりで廃TVの適正処理方法を周知し、TV買換え時にPRしてもらうため、家電販売所へ依頼した。重点か所のパトロール強化や不法投棄禁止看板の設置などで未然防止に努めている。9都県市でもインターネットも活用し、廃TVのリサイクルを呼び掛けるバナー広告の掲載など啓発を行った。 【消防局長】 ○ 救急症病者の搬送について H22年度の救急出動は48,753件で、救急搬送傷病者は44,216人だった。医療機関への搬送照会は33,644人で、その内照会を4回以上行ったのは3,979人あり、11.8%だった。医療機関が受け入れに至らなかった理由は、手術中や他の患者の対応中、処置困難、ベッド万床が主なものだ。千葉県が策定した「基準」の中では、消防機関と医療機関との搬送受入れに関する傷病者の情報を調査分析し、継続的に見直しを行うと明記していることから、9月1日から10月31日までの間、県と医療機関とで医学的知見に基づき、問題点や課題の抽出を目的に調査が行われている。この調査結果を踏まえ、「基準」の運用に努めていく。市としても消防と医療機関との連携体制構築に向けた検討を行っている。この検討結果を踏まえ緊急傷病者の適切な搬送と受け入れの実現に努めていく。 |