野本信正議員の一般質問

2011.10.3

写真 一般質問を行います。

 第1は、市庁舎の安全安心のための耐震対策と、分散・狭隘の解消を目指す効率的な市民サービスについてです。

 その1の質問は、千葉市役所本庁舎が、国の耐震基準から見て、大地震に耐えられる施設とするためには、建て替えないと絶対駄目なのか、それとも耐震改修をすれば当分の間OKなのか、についてであります。

 東日本大震災を受けて、庁舎の耐震性と狭隘の解消につていて市長は、5月17日の臨時議会の答弁で、「建設後40年も経過し老朽化の心配があり、対策本部を立てる際に通信インフラのこともあり、一日も早い建て替えが必要」と答えました。

 さらに「PFIか直営か」など手法にも言及する、突っ込んだ発言をしました。しかし、その後トーンをさげています。

 国土交通省がしめす「構造体の耐震安全性の目標」の、安全性の分類によれば、病院と防災拠点施設の目標IS値は、0.9であります。学校はIS値0.75、それ以外の一般公共建築物はIS値0.6が目標となっています。

 本庁舎の実態は、長辺方向は、一階から7階まではIS値0.6をクリアしていて、8階の一部が、0.55であって、わずかに下回っています。

 短辺方向では、1階から8階まですべて0.75以上で、IS値0.6をクリアしています。

 私は、建築部や専門家の意見を聞きました。「本庁舎の各階のIS値をすべて0.9以上に耐震改修をすることは可能か」の質問に対して、「耐震改修のみに限定するならば、構造的にIS値をあげることは可能」とのことでした。

 なお、耐震改修の考え方は建築物全体を対象とするため、「IS値が低い階のみならず、他の階の状況も併せて診断し、全体の耐震性を確保するものである」との回答でした。

 以上のように、耐震改修を行えば当分の間はOKであり、防災拠点施設としての使用も可能であることを確認するが、明快な答弁を求めます。

<財政局長答弁>

 改修で防災拠点施設として必要なIs値0.9以上の確保は技術的には可能だが、改修には新たに設置する筋かいで狭くなり、アスベスト除去処理など環境上の問題、老朽化した空調や給排水など大規模な改修など課題が多い。今後、課題解決へ検討していく。

<野本信正議員>

 答弁があったとおり本庁舎は耐震改修を行えば、IS値0.9以上の庁舎にできることが確認されました。

 そこで、災害に備えた公共施設耐震改修の優先順位についてですが、私はH13年の市庁舎整備議員懇談会の委員の一人として、次の発言をしました。「市庁舎の建て替えは学校や市民が利用する施設が安全に改修された後にすべき」ことを主張し、会議録にも残っています。あれから7年も経過しているのに、小中学養護校校舎耐震化率は77.6%、体育館は59.7%です。

 質問しますが、公共施設の耐震改修は市庁舎よりも学校を始め、子どもたちや市民が利用している施設などが最優先されるべきではないですか。もし、市庁舎の建て替えが必要であっても、子どもや市民の安全を確保して、最後の最後にするのが市長の姿勢、行政の立場ではないのですか。

<財政局長答弁>

 学校・保育所などの耐震化は、市有建築物の耐震化プログラムを作り、国の補正予算も活用して整備に努める。庁舎のあり方の検討も、財政状況を踏まえて緊急性や必要性の観点で事業を選択する。

<野本信正議員>

 つぎの質問は、市政全体の現状を判断した時に、庁舎建て替えの計画を「直ちに踏み込める環境にあるのか」「それとも市民生活に係る事業の緊急性が優先されるのではないのか」についてであります。

 共産党市議団は、防災の拠点として地震災害に耐えられる本庁舎の必要性は認識しています。併せて災害に強い街は、福祉の充実した街でないと市民の安全は守れません。東北地方の被災地を見ても、公立の病院が被災者の医療を守るために、スタッフが家族の被災を抱えながら懸命に努力し、保育所の保育士が身を挺してこどもを守るなど、福祉の充実が被災者をどれ程助けたことでしょう。

 千葉市は、保育所の待機児童427人、老人ホームの待機者1,945人、国民健康保険証の資格書発行3,119世帯、国保会計の赤字約120億円など、福祉の遅れは歴然としています。また、熊谷市長になってから、難病見舞金の削減をはじめ、市民福祉は次々にカットされ続けています。

 こんな状況であるのに、莫大な予算を伴う庁舎建て替えを優先できる環境にはないことを認めますか。

 そして市長は、保育所、老人ホームの待機者解消、国民健康保険会計への一般会計からの繰入、学校、保育所などの放射線量の全面測定と安全対策、液状化対策、必要なマンパワーの確保充実など、安心安全の対策こそ急ぐべきと思うがどうですか。

<財政局長答弁>

 財政状況は認識している。現在の本庁舎の活用で狭隘・老朽化などが解決できるか耐震性など構造面・機能面、改修費用などの検討を進める。市民生活の安全・安心の確保へ優先すべき事業に予算配分する。

<野本信正議員>

 共産党市議団は、本庁舎は直ぐに建て替えではなく、耐震改修で可能な限り長期に使用し、狭隘、分散の解消に努力することを求めています。そのために幾つかの提案をします。

 画面に見られるように、本庁舎一階の事務室カウンターは、ロッカーでふさがれていて、市民が来庁しても職員の顔が見えず、違和感があります。

 各事務スペースはいずれも狭隘で、ロッカーが林立していて、その上に書類が積み上げられており、地震の時には崩れてしまう危険な状態です。3・11では、たくさんのロッカーが倒れました。職員の生命を守るためにも改善が急がれます。

 提案ですが、倉庫の増設についてです。

 本庁舎の倉庫面積は約711平方メートルで大幅に不足しており、市役所駐車場の隅にプレハブを設置して賄うことを提案しますが、答弁を求めます。

 幕張第一保育所及び第二保育所などで使用しているプレハブは、10年のリース期間で、実際には20〜30年使える立派な建物です。保育所と同じグレードのプレハブ倉庫を、仮に約500平方メートル3棟を建設すれば、約1,500平方メートルの倉庫ができて、現有倉庫面積の2倍以上になります。5年間のリース代は、ひと月約375万円で賄えます。リース代は、実質交際費比率には影響しません。

<財政局長答弁>

 駐車場への倉庫設置は1つの選択だが、管理上の問題など課題もあり、文書の適正管理や倉庫の整理整頓でスペースの有効活用に努める。

<野本信正議員>

 中央コミュニティセンターは、6階の一部がIS値0.55と聞くが耐震改修を行って、安全な第二庁舎として整理して有効に活用することを提案します。

 4階から7階までの市民利用の施設を除く、千葉市の使用面積12,690平方メートルのうち事務所スペースは約46%で残りは会議室、倉庫などに使われています。

 本庁舎1階から8階までの事務室の利用率、60.24%に比べれば広げる可能性があります。

 ほとんど利用していない部屋の有効利用や、倉庫は地下一階のスペースを借り受けて移すことなどして、本庁舎並に利用率、60%並みに引き上げ、約1,746平方メートルの事務室を広げることを提案しますが、どうですか。

<財政局長答弁>

 コミュニティセンターの事務室配置、会議室や倉庫等の利用状況を見直し、事務室の拡大を検討する。

<野本信正議員>

 次の提案は、ツインビルの都市整備公社が使用していた事務室跡1,125平方メートルが空き室となっているので、この場所に中央コミュニティセンター10階を使用している行政委員会など726.6平方メートルを移動することです。

 行政委員会などは、本庁舎近くでなくても市民サービスに影響しないと思われます。また、現在7階の1,691平方メートルを使用している健康増進センターが、H24年度をもって閉鎖するので他に使えます。以上合計2,417.6平方メートルを事務室として利用することを求めますがどうですか。

<財政局長答弁>

 市組織の配置場所は、賃借料の有無などの経済性や事業執行の効率性などを検討している。ツインビル7Fの活用など、空き施設は民間への賃貸借なども含め有効活用を検討している。

<野本信正議員>

 以上、中央コミュニティセンターの整理で、1,746平方メートルと2,417平方メートルの合計約4,163平方メートルの事務室を増やせる可能性があります。

 次の提案は、分散の解消で、教育委員会を中央コミュニティセンターに移すことであります。ポートサイドタワーを教育委員会が使用していることは、市民が訪ねるのに大変な不便があるし、本庁とはるか離れていて連絡を取るのにも、議会に出席するのにも効率が悪いので改善が必要です。

 ポートサイドタワーで教育委員会が使用の事務室と会議室は、1,844平方メートルですから、中央コミュニティセンターを整理して約4,163平方メートルの事務室が活用できることになれば、教育委員会が移っても十分間に合うのではないですか。

<財政局長答弁>

 教育委員会がポートサイドタワーにあることで、会議や打ち合わせなどで非効率なことは認識している。中央コミュニティセンターへの移転の可能性を検討したい。

<野本信正議員>

 教育委員会のポートサイドタワー使用料は、年間約1億4,200万円で、この間17年で合計約24億円を負担しています。中央コミュニティセンターに移れば、この負担を節約きるのではないですか。

<財政局長答弁>

 設備機器の移設費など移転費用を除けば、移設で賃借コストは縮減される。

<野本信正議員>

 第2は、航空機の騒音と対策についてです。

 中央区や若葉区、緑区住民から、航空機騒音の被害についての対策を望む声が多く寄せられています。

 「2〜3分間隔で飛んでいてTVの音が常に聞こえない」「一日中ゴー、キーンと音を発てて自宅の上空を飛んでいる。特に大宮台は回転地点なのか、金属音がして頭痛と吐き気がしてひどすぎる」「事前に説明もなく受け入れできない。市長もこの若葉区の騒音の中に住んでほしい。なんで浦安市のように強く抗議しないのか」など、たくさんの苦情要望が寄せられています。

 昨年10月のルート変更後、南風の飛行ルートは、北・東からの飛行機は蘇我ルート、南・西からの飛行機は千葉港ルートで、千葉市若葉区上空にて旋回し、クロスして東京湾に向かうようになっています。

 この2ルートの距離は約4キロメートルのため、両方の騒音が聞こえる地域ができてしまったのです。しかも、北東からの飛行機と、南西からの飛行機が若葉区上空でクロスするため騒音は2倍になっています。

 住宅地の上空で旋回し、クロスするルートは、そこに住む住民の環境を全く無視した、異常なルートではないのか、伺います。また、住宅地の上空での旋回、クロスは落下物や万が一の墜落事故で被害などが心配されますが、どうですか。

 全国の飛行ルートの中で住宅地の上空で旋回し、クロスするルートは、千葉市以外に存在するのですか。こんなルートは拒否すべきではないですか。

<環境局長答弁>

 市の上空で交差するルートは南風好天時のルートで、南方面からの機はB滑走路、北方面からの機はD滑走路への進入ルートに乗せ、2本の滑走路に同時着陸させるためで、増大する羽田空港の需要に対応するものとなっている。航空機の交差には、管制業務規程で、水平飛行で高度差300m以上にて行うとされており、運行上の安全は確保されている。航空機からの落下物は、着陸時の車輪出しの時が多いので、市の上空は通過し海上で車輪出しを行うことになっている。着陸機の交差は、国内では例がないが、羽田の国際化に対応するため千葉県や関係する25市町での協議会で、国との協議で受け入れたものだ。

<野本信正議員>

 1日に通過する飛行機の数と騒音が連続し被害を及ぼす時間についてですが、H23年6月24日6時から23時までの17時間の飛行機数は、千葉港ルート373便。蘇我ルート139便の合計512便であり、2つのルートがクロスする地点での飛行間隔は2分弱となっています。

 騒音は1分近く継続するため、長時間、連続しての騒音被害に悩まされることになります。この実態が、住民が吐き気がしたり、神経的にまいってしまう原因の大きな1つだとは思いませんか。市は住民のこの実態を把握しているのですか。

<環境局長答弁>

 市民から電話や手紙などで苦情や情報が寄せられているが、ルート下での騒音実態調査などで市民生活への騒音の影響は把握していない。

<野本信正議員>

 航空機騒音被害を解消するため、うるささ指数「W値」による評価だけでなく、一機一機に対する高い騒音への対策が必要になっています。

 千葉市は市民に対して、「新たな飛行ルートにおける測定結果」を知らせています。航空機騒音評価のいわゆるW値が、千葉市役所51.8、大宮台小学校52.9、大巌寺小学校49.6を示し、基準値の70を下回っているからと説明しています。

 国や市が測定しているうるささ指数いわゆるW値、「加重等価平均感覚騒音レベル」この指数は、騒音状況の平均的な値を求めたものであります。

 毎日騒音被害に悩まされている住民は、高い騒音と低い騒音と合計し、割った平均的な騒音の被害を受けているわけではありません。

 航空機騒音被害を解消するため、関係自治体はW値による評価だけでなく、一機一機の騒音、その中での高い騒音に対する対策を、国土交通省に求めています。

 成田空港から離陸する飛行機の騒音被害解消に取り組む山武市と合併前の蓮沼村が、H10年政府に提出した意見書は、「騒音対策上の判断指標W値は騒音対策の施策構築上唯一ではなく一つの重要参考資料である」「真に被害住民の立場に立った対応を考えるなら例え一時の高騒音であっても、それが乳幼児、病人等の安眠安静を阻害するならば、最高音こそ重要であって、平均値などは無意味、無価値の謗りをうけるのは当然と思われる」というものです。

 蓮沼村は、13年も前から最高音こそ重要と指摘していることをどう思いますか。徳永副市長は14日の答弁で、「高音被害も視野に入れて、国土交通省と個別の交渉も」と答えましたが、さらに突っ込んで、飛んで来る飛行機、一機一機が暴露する騒音によって被害を受けている実態、静かな昼間にテレビが聞こえなかったり、とりわけ21時から23時の夜間睡眠を妨害される被害など、最も高い騒音が、住民に被害を及ぼしている実態を詳しく調査することを求めますがどうですか。

 この実態を正面から受け止めて、W値による評価だけでなく、最高音こそ重要であり、最高音の被害を解消することを国土交通省に強く求めるべきではないのですか。

 最大騒音レベルや単発騒音暴露レベルを併用した、新たな環境基準の設定を求めるべきですがどうですか。

<環境局長答弁>

 騒音の問題は、高い騒音を発する機種によって起こるので、当時の蓮沼村が提出した意見書は、W値だけでなく最高値にも着目すべきだと指摘したものだ。千葉市も平均値を超える航空機騒音の実態調査へ、6月にルート下で機種別測定を実施した。その結果を国交省に示し、改善策を求めている。H25年4月からの環境基本法での新たな基準では、騒音の大きさや回数を平均化せず評価する方法に改められる。

<野本信正議員>

 千葉市の航空機騒音被害は、WHO環境騒音のガイドライン、いわゆる指針値を超える騒音が観測されている実態を示し、国土交通省に被害解消を要求することが重要です。千葉市上空を通過する航空機の個々の騒音について、H23年4月から7月までの千葉市の測定結果によれば、クロスする測定地点、松が丘公民館では、測定回数20,659回で、うち60デシベル未満は7,143回、35%であります。60デシベル以上が断然多く13,516回、そのうち65デシベル以上2,406回、70デシベル以上90回であります。

 航空機騒音値60デシベル以上は、会話妨害など生活障害や睡眠障害をもたらすことが指摘されています。WHO環境騒音のガイドラインは、屋外・昼時間帯での「強い不快」の指針値を55デシベルからとしていますし、睡眠障害は45デシベル以上、夜間の最大騒音レベル60デシベルを超えていれば、睡眠妨害が毎晩生じてしまう可能性を示していると思います。千葉市の騒音の環境目標値は、住宅地における騒音が55デシベル以下となっています。

 以上のように千葉市の航空機騒音は、測定地点である松が丘公民館のデータだけみても、4か月の測定数値が、60デシベル以上が65%、70デシベル以上が90回も観測されていて、そのうち夜間の回数もかなりあることは、WHO環境騒音のガイドライン指針値を超える騒音が発生しているのであり、住民に健康影響を及ぼす極めて由々しい深刻な事態であることを認めますか。

<環境局長答弁>

 WHO環境騒音のガイドラインは、道路交通騒音、航空機騒音、建設騒音、近隣騒音などのあらゆる騒音の影響から、土地の利用状況など特定の環境条件と健康影響についてまとめたものだ。航空機騒音への環境基準は、航空機の騒音そのものであり、測定・評価方法が違うため直接評価はできないが、市の測定では70デシベルを超える数値も確認されたので、騒音の軽減を国交省に申し入れる。WHO環境騒音のガイドラインも参考にしていく。

<野本信正議員>

 WHO環境騒音のガイドラインの指針値を超え、千葉市の騒音の環境目標値もはるかに超える騒音が観測されていることを根拠にして、騒音被害をなくすように、国土交通省に真剣に要求すべきではないですか。

 航空機騒音の調査を50年間続け、住民の被害解消に取り組んでいる専門家のAさんは、60デシベル以上は「問題発生」、65デシベル以上は「うるさいと訴え」、70デシベル以上は「やめてくれの悲鳴」になると言っています。

 市内の被害住民の実感を分かりやすく表現していると思いますが、見解を求めます。併せて、市民に分かりやすい60、65、70デシベル以上の月別機数、及び最高騒音値の日時機種の公表を求めます。以上、答弁を求めます。

<環境局長答弁>

 騒音の実態を市民に分かりやすく伝えることは必要である。市が独自に実施している松ヶ丘公民館と宮崎小学校での7月の測定結果は、松ヶ丘公民館で測定機数6,961機中、60デシベル以上は4,853機、そのうち70デシベル以上は17機だった。宮崎小学校では4,651機中、60デシベル以上は3,115機で、そのうち70デシベル以上は19機だった。4月から6月までの70デシベル以上の機数は、松ヶ丘公民館が測定機数13,698機中73機、宮崎小学校が測定機数8,418機中72機だった。騒音発生はボーイング747や777型など大型機種によるものだった。市のホームページに結果を公表していく。

<野本信正議員>

 千葉市は国土交通省より、羽田空港拡張に伴う飛行ルートなどの説明を関係自治体と共に受けた結果現在のルートを承認しています。その後、市民からの苦情もあり、23年2月16日に関係市と共に国土交通省に対して、分散化などの改善を申し入れています。しかし一番の問題は、騒音被害を受ける住民に対して、事前の説明をしないまま、国土交通省に対してOKを出していることであります。

 こんな異常で、住民を騒音で苦しめるルートを事前に説明もなしに、住民の声も聞かずに決めてしまったのですか。その理由と根拠の説明を求めます。改めて、住民への説明会の開催を求めますが、明快にお答えください。

<環境局長答弁>

 現在の飛行ルートは、国交省がH17年8月から10月まで、千葉市役所本庁と各区役所の7か所に窓口を置き、飛行ルートや騒音予測図などの環境影響評価準備書を縦覧し、市民意見の募集を行い、9月には説明会を実施するなどの手続きを行ってのものだった。H22年10月の羽田D滑走路の供用開始については、市政だよりで市民に知らせている。改めての説明会は、国交省の手続きが終了しているのでできない。

<野本信正議員>

 浦安市は、市長を先頭に議会、町内自治会や市民と全面的に協力して、羽田空港滑走路の角度を変更させ、浦安市上空への進入方向を変更修正させました。飛行ルートを浦安市の住宅地に配慮し、さらに海よりに変更させたのです。

 この背景に浦安市は、将来予測、羽田空港D滑走路供用後、深夜などの飛行コースについて、住民に対する睡眠妨害の影響調査を3,000人の市民を対象に行ったそうです。その結果、深夜などに70デシベルを超える最大騒音レベルが発生することは、市民における睡眠妨害の不安が払拭できず、到底容認できないとしました。

 浦安市が、この調査結果を基に政府を動かし、ルートを変更させたことを学び、千葉市も被害住民と協力して、被害調査と国土交通省と交渉することを求めますが、お答えください。

 「広報うらやす」によれば、浦安市長は、良好な環境のため「訴訟も辞さない覚悟で望んだ」といっています。熊谷市長は、浦安市長の対応をどう思っていますか。「訴訟も辞さない覚悟で望む決意」はあるのか、毅然とした態度で改善を求めるべきではないですか。

<環境局長答弁>

 浦安市が申し入れた理由は、当初、陸からの距離1,800mと説明されていたが、1,800mを下回る距離での通過を一方的に示してきたことから、抗議したものだ。千葉市でも、飛行ルートの決定の際、騒音影響の軽減へ1,000フィート高度を引き上げや夜間の海上ルートを要請し、改善させている。しかし、新たなルートで運航を開始し、市民に影響が出ていることから、県や関係25市町の協議会で対策を求めているが、まだ明確な改善策が出されていないので、早急な改善策を求めていく。

<野本信正議員>

 熊谷市長が国土交通省に対して、飛行ルートの変更を求めることを要求します。変更のルートは、住宅街の上空を通過するのをやめて、海上ルートにすることです。

 現在、夜間は23時から朝6時まで東京湾ルートを飛行しているわけであり、昼間も同じ海上ルートに変更するよう要求すべきですが、どうですか。

<環境局長答弁>

 羽田の離陸機の現状から、海上ルートでの着陸便数は、管制業務処理規定に基づき、飛行の安全性確保のため時間当り13便以下とされており、海上ルートへの変更は難しい。

<野本信正議員>

 国交省を代表しての答弁のように聞こえるが、騒音被害から千葉市民を守る立場で臨むべきです。今の答弁は撤回して適切な答弁を求めます。

<環境局長答弁>

 国交省に対し、海上ルートに変更するよう求めていく。

<野本信正議員>

 飛行回数は、現在の39万回から、H25年度中には44万7,000回に増便、現状より15%、5万7,000便増える予定です。それだけ騒音被害をまき散らすことは許せないと思いませんか。

 私の質問で明らかになったように、(1)住宅地上空で旋回し、クロスするのは、全国で千葉市だけという異常なルート、(2)住民の騒音被害は平均値であるW値でなく一機一機の暴露する最高騒音であること、(3)千葉市の測定点で60テシベル以上65%、65テシベル以上11%、70テシベル以上90回もあること、(4)この実態はWHOガイドラインの、会話妨害・睡眠妨害になること、(5)昨年10月のコース変更を住民に何の説明も無しにOKし、騒音被害を押しつけていること、これだけの問題点があり、被害が広がっている騒音を解決する責任が熊谷市長にはあります。

 市長からの責任ある答弁を求めます。そして、千葉県と関係25市町連絡協議会での主張はもちろん、千葉市長先頭に、国土交通省へ海上ルートの変更など、断固要求することを求めますがどうですか。

<環境局長答弁>

 羽田の国際化に伴い航空機の発着回数が増える中、市の上空を通過する航空機の騒音対策は、県や関係市町と対応を求めているが、改善策が示されていない。市の測定データなど調査結果を提示しながら、国交省との協議を進めている。

<野本信正議員>

 最後に市長に提案ですが、騒音被害の最もひどい実態を自分の体で感じてみることが必要であります。

 冒頭紹介したように、住民の生の声で「事前に説明もなく受け入れできない。市長もこの若葉区の騒音の中に住んでほしい」と切実な声があります。

 この声は、若葉区はもとより、中央区でも、緑区でもみんなが思っています。市民の苦しみの実態を把握することは、トップの責務でありましょう。

 市長は、20時から23時の最も騒音の高い地域へ出かけられて、騒音被害を体感してもらいたい。約束できますか。

<熊谷市長答弁>

 浦安市長が先頭に、住環境を守るために種々対応している。航空騒音問題は、市民からの訴えもあるので、市としても重要な問題であり、再三にわたり国交省へ対策を要請しているが、改善策が示されてないので、国交省との個別協議の場を設置した。

 私としても、市民に大きな影響があることから、改善策が講じられるよう取り組んでいく。

<野本信正議員>

 第3は、家具転倒防止金具についてです。

 募集件数134件に対して、申し込件数40件29%と極めて低調だったのは、どこに原因があるのか検証して先に進まなければなりません。

 市政便りやホームページを見ても、何のことかよく分からない。改善が必要ではないですか。

 区役所の所管課はもとより、介護保険の窓口、社会援護課の窓口、防災を担当する窓口とか他の用事で来庁した時に、親切に知らせるべきではないですか。

 また、ヘルパーなど介護で働く人に協力を求めたり、老人会など高齢者の団体や障害者団体に知らせるとか、制度の目的を達成するための対応を幅広く、保健福祉局の方からすべきではないですか。徹底した改善を求めますがどうですか。

<保健福祉局長答弁>

 7月募集時の応募が低調だったので、年度内に再募集したい。その際は、分かりやすいチラシの作成や老人クラブや障害者団体への周知などで促進を図る。

<野本信正議員>

 申し込みの簡素化についてです。高齢者や障害者が、非課税証明など区役所や連絡所まで行くのは大変なのに、業者が行ったら区役所で代行は認めないと断られたケースもあります。申請者の了承を得て、役所が確認する方式を取ることを提案しますが、どうですか。

<保健福祉局長答弁>

 申請には、所得税非課税の確認が必要なので、確定申告書や源泉徴収票の写しがない場合は、市県民税の課税証明書を提出してもらい、職員が所得税を算出して確認している。課税証明は委任状があれば誰でも取得できるので、登録業者にも周知したい。

<野本信正議員>

 所得制限の緩和について、所得税が僅かに課税されていても駄目。年収200万円以下とかに改善するよう求めますが、お答えください。

<保健福祉局長答弁>

 この事業の登録業者を利用すれば比較的安価なので、生保世帯や所得税非課税世帯を対象にした。所得制限の緩和は考えていない。

<野本信正議員>

 金具の無料化についてです。僅かな年金者や生活保護家庭にとって、取り付けの家具が5か所の場合、1個150円から200円の金具が10個必要になります。合計1,500円から2,000円の自己負担は大変厳しく、取り付けを中止する原因にもなります。金具取り付けに必要な板などの負担が生じる場合もあります。この際、金具と取り付け板等は、無料にすることを提案しますが、どうですか。

<保健福祉局長答弁>

 家庭でできる防災対策は、それぞれの家庭で行うのが基本だ。高齢者や障害者の中には自ら取り付けるのが困難な人もいるので、その人たちを対象に助成するのが目的だから、取り付け費用以外の助成は考えていない。

<野本信正議員>

 再募集の時期及び期間、家具転倒防止対策事業の対象となる人数を何人と数えていて、その何パーセントを何時までに取り付けようと思っているのですか。

<保健福祉局長答弁>

 再募集は12月から3か月間程度を予定している。当初予算で見込んだ134世帯で執行できるように努める。

<野本信正議員>

 今回、高齢者や障害者に設置補助でスタートしたわけですが、市内ほとんどの世帯に設置されてこそ意義があります。高齢者や障害者以外は、補助がなくても設置を促すことが大切ですが、どのように実施していくのですか。

 大震災を踏まえて、重要な施策であることを認識し、先進自治体も参考にした取り組みを求めますが、どうですか。

<保健福祉局長答弁>

 転倒防止金具の設置促進は、市のホームページで分かりやすく紹介し、市政だよりや防災訓練、市政出前講座などの開催時に必要性と効果を啓発している。今後も引き続き取り付けを促進する。

<野本信正議員>

 実施要綱によれば「転倒防止金具の取り付けを図り、もって地震発生時における家具転倒による事故を防止し、高齢者及び障害者等の安全を確保することを目的とする」とした目的の達成のために、様々な努力をしたようには思えません。

 家具転倒防止対策事業の目的・理念が、市の側から市民に対して伝わる熱意や仕組みが稀薄だったと思いますが、どうですか。

 すなわち、「高齢者や障害者の安全を守るため一人でも多くの対象者に金具を設置してもらおう」と、多様な努力をすることがされていれば、もっと利用が伸びたのではないでしょうか、お答えください。

<保健福祉局長答弁>

 東日本大震災の教訓を踏まえ、多くの市民に転倒防止金具を取り付けてもらうことは重要だ。より一層周知に努める。

<野本信正議員>

 第4は、若葉消防署跡地の利用についてです。

 本年4月に、若葉消防署が金親町に新築移設し、千城台西町に跡施設がネーミングもそのままに、柵で囲まれて建っています。千城台の中心地であるために目立っていて、住民からは「何時までそのままにしているのか、不用心だ」「コミュニティセンターや公民館などの駐車場が不足しているので駐車場にできないのか」「千城台の中心一等地なので最も効果的で有効な利用が必要ではないのか」など、様々な声が寄せられています。市としてはどのような計画を持っているのですか。

<消防局長答弁>

 具体的な計画は持っていないが、市民から様々な意見があることは知っている。跡地の有効活用を市民の意見を参考に、財源としての活用も含めて検討していく。

<野本信正議員>

 建物の撤去は急ぎ、利用方法については地元の声や関係者の意見をよく聞いて、利用方法を提案し、それに対する意見もまた聞いて、最も有効な利用をすべきと思いますが、どうですか。

<消防局長答弁>

 建物の老朽化や耐震性を考えると他に利用するのは困難であり、撤去を検討している。跡地の活用は関係課と検討していく。