日本共産党が提出した意見書

平成23年第4回定例会
No.1

 (提出年月日)平成23年11月10日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

庶民に増税、大企業に減税の「復興増税」をやめるよう求める意見書(案)

 東日本大震災からの本格的な復旧・復興事業を盛り込んだ平成23年度第3次補正予算が成立した。そのための復興債は11兆5,500億円の発行規模となり、その財源は臨時増税で賄う予定だとされている。
 しかし、その内容は、サラリーマンや自営業者など庶民は25年間で約9兆円の増税となるのに、大企業は25年間で約20兆円の減税になるものである。「負担を分かち合う」と言いながら、負担増は日々生活に苦労している庶民だけで、膨大な内部留保を抱える大企業には負担どころか減税になるのでは、とても民主主義社会の税収と言えるものではない。
 「復興財源」のはずが、仮に10年間で見れば、大企業減税の財源に庶民からの増税分が充てられることになり、復興のための財源確保どころか、計算上では約2兆円の借金を抱えることになるのである。
 大企業減税と大資産家向け証券優遇税制の延長を中止すれば、年間1兆7,000億円、10年間で17兆円もの財源が確保でき、庶民への増税は必要なくなるのである。
よって、本市議会は国に対し、「復興増税」の名による道理のない庶民増税はやめるよう強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成23年  月  日

千 葉 市 議 会


平成23年第4回定例会
No.2

 (提出年月日)平成23年11月10日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

民意が反映される比例代表中心に選挙制度を改革するよう求める意見書(案)

 衆議院の選挙制度に関する各党協議が開始されたが、これは最高裁判所で「違憲状態」とされた衆院での「1票の格差」を解消することが課題となっている。憲法が定める「法の下の平等」の原則に照らし、最高裁は、小選挙区比例代表並立制を前提にした「1人別枠方式」が格差拡大の「主要な要因」だとして、廃止を求めたのである。
 小選挙区制の導入から17年が経過し、その反民主主義的害悪は明らかとなっている。小選挙区制は議席に結びつかない大量の「死に票」をつくり、大政党に有利で小政党に不利な、民意をゆがめる非民主的な制度である。選挙区が小さくなれば、地縁・血縁や金権で選挙結果が左右されやすくなるなど、政治の劣化も大きな問題である。小選挙区制は「一番悔いを残している」、「失敗した」とか「政党の堕落、政治家の資質の劣化が制度によって起きたのではないか」などと、当時、制度を推進した元自民党総裁などが公然と語る事態である。
 「1票の格差」を解消し、民主的な選挙制度を目指すなら、得票に応じて議席が配分され、民意が直接議会構成に反映される比例代表中心に制度を改めることが必要である。
 よって、本市議会は国に対し、民意が反映される比例代表中心に選挙制度を改革するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成23年  月  日

千 葉 市 議 会


平成23年第4回定例会
No.3

 (提出年月日)平成23年11月10日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

環太平洋経済連携協定(TPP)への参加をやめるよう求める意見書(案)

 環太平洋経済連携協定(TPP)参加をめぐって、重大な局面を迎えている。野田首相は、TPPのもたらす影響について国会で十分議論することもないまま、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議で、TPP参加交渉に向け「関係国と協議に入る」との重大な表明を行なったのである。これに対し、アメリカは「すべての品目、サービスを交渉のテーブルに乗せるという野田首相の発言を歓迎する」と発表した。ところが野田首相は、アメリカの発表に「そんなことは言っていない」と否定しながら、訂正を求めることもせず、「国益を損ねてまで交渉に参加するつもりはない」、「すべての物品、サービスを対象にするとは言っていない」などと、「二枚舌」で国民の不安や批判をそらそうとしている。しかし、野田政権発足に当たり「高レベルの経済連携協定の実現」を方針とし、TPP参加のオーストラリアとの経済連携協定(EPA)を推進していることなどを見れば、同政権が参加を目指していることは明白である。
 TPP参加は、全国の農林水産業に壊滅的な打撃を与えるのみならず、農林水産業食品の安全や医療・公共事業、労働など国民生活のあらゆる分野に甚大な被害をもたらすものであり、国民の反対は大きく広がっている。
 千葉県では、全国第3位の農業産出額(2008年度)が壊滅的な影響を受けることが明らかになっており、本市でも農林水産省の算出法で試算すると米・落花生など7品目、23億6,000万円減少することになる。
 3月には、千葉県農業協同組合中央会などが「TPP参加阻止千葉県民集会」を開催した。これらを受け、千葉県議会では、TPPへの参加をしないよう求める意見書を可決している。
 今、東日本大震災からの一日も早い復旧・復興に国の総力を挙げた取り組みが求められているときに、TPPへの参加が農林水産業を生業とする被災地の復旧・復興の大きな妨げとなり、被災者にさらなる苦しみを強いることは言うまでもない。
 よって、本市議会は国に対し、TPPへの参加をやめるよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成23年  月  日

千 葉 市 議 会


平成23年第4回定例会
No.4

 (提出年月日)平成23年11月10日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

停止中の原子力発電所の再稼働はやめるよう求める意見書(案)

 野田首相は国連本部の原子力安全首脳級会合で、「(東京電力福島第一原発の)事故は着実に収束に向かっている」、「日本は原子力発電の安全性を世界最高水準に高める」、「(新興諸国等の)高い関心にしっかり応えていく」などの演説を行った。さらに、国会の所信表明演説でも、定期点検等で停止中の原発は、「安全」が確認できれば再稼働を認めることも表明している。
 福島では、今も数万の人たちがふるさとに戻れる見込みも立たず、排出された放射性物質で、住民は長期間にわたり被曝の危険にさらされることになる。また、事故を機に世界では原発からの撤退を求める声が起こっているのであり、「事故の重大性についての認識はあるのか」との厳しい批判が起こっている。
 原発の再稼働については、いまだ重大事故の原因が明らかにされておらず、国際原子力機関(IAEA)への9月の政府報告書でも「地震による影響の詳細な状況についてはいまだ不明の点も多いことから、今後、現場での実態調査等のさらなる調査・検討を行って、評価を実施する」とされていて、再稼働が問題になるようなときではないはずである。
 また、「ストレステストを実施」し「安全性を確保しながら」としているが、安全を評価するのが、「やらせ」を主導した原子力安全・保安院、そして緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)のデータを事故後2週間隠し続けた原子力安全委員会では、とても国民の信頼を得られるものではない。
 一たび重大事故が起これば、取り返しのつかない事態となる原発が、「このまま世界有数の地震・津波国の日本に存在していいのか」も含めて、国民的論議が求められている。事故収束の展望も安全の保障もないまま「再稼働」だけが先行することは許されるものではない。
 よって、本市議会は国に対し、停止中の原子力発電所の再稼働はやめるよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成23年  月  日

千 葉 市 議 会


平成23年第4回定例会
No.5

 (提出年月日)平成23年11月10日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

年金支給開始年齢の引き上げはやめるよう求める意見書(案)

 政府与党は、6月に取りまとめた「社会保障・税一体改革成案」で、年金支給開始年齢の引き上げを検討するとしていたが、厚生労働省は10月、その具体案を社会保障審議会年金部会に提示し、検討を開始したとされている。
 政府はこれまでも年金額引き下げ、保険料値上げ、支給開始年齢引き上げなど繰り返し改悪してきたが、老後の安心を保障するはずの年金に、国民は「老後の生活設計が立たない」と不安を増大させているのである。
 現在、1994年の年金改悪で、厚生年金定額部分の支給開始年齢が引き上げられ、男性は2013年度に、女性は2018年度に60歳から65歳への引き上げが完了しようとしているところである。さらに、2000年にも改悪されて、厚生年金報酬比例部分についても60歳から65歳への引き上げが始まるのである。
 しかし、今回の厚生労働省案では、報酬比例部分の引き上げペースを早め、厚生年金・基礎年金ともに支給開始年齢を68歳まで引き上げようとするものである。これらが実行されれば、老後の暮らしに大きな影響を与えることになり、若い世代にとって将来への不安・年金への不信が強まることは明らかである。保険料値上げ、支給開始年齢引き上げ、年金額引き下げでは、高齢者も現役世代も不安・不信に陥るだけである。
 安心・安定した年金制度にするため、正規雇用をふやして年金の支え手をふやす。年金積立金は、無謀な投資ではなく計画的に年金給付へ回す。大企業や高額所得者には応分の負担を求める。安心して子供を産み育てることができる社会をつくることこそ必要なのである。
 よって、本市議会は国に対し、年金支給開始年齢の引き上げはやめるよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成23年  月  日

千 葉 市 議 会


平成23年第4回定例会
No.6

 (提出年月日)平成23年11月10日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

原子力エネルギー政策を転換し自然エネルギー利用の促進を求める意見書(案)

 東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の深刻な事故は、原発の危険性を国民の前に事実をもって明らかにした。
 現在の原発技術では、莫大な放射性物質を完全に閉じ込めておくすべがないのである。一たび外部に放出されたら、抑える手段がなく空間的にどこまでも広がり、時間的にも将来にわたって被害は続き、地域の社会的な存在を丸ごと破壊してしまうことになる。また、原発の稼働で生まれる使用済み核燃料を安全に処理する技術も確立されておらず、既に日本中で1万トンを超える使用済み核燃料が貯蔵されているのである。
 世界有数の地震・津波国である日本に、こうした原発が数多く存在することは、国民を常に危険にさらすものであり、極めて重大な問題である。
 よって、本市議会は国に対し、原子力エネルギーに大きくゆだねる政策を抜本的に転換し、自然エネルギー利用の促進を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成23年  月  日

千 葉 市 議 会


平成23年第4回定例会
No.7

 (提出年月日)平成23年11月10日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

安全・安心な国民生活実現へ防災・生活関連予算の拡充と国土交通省の出先機関存続を求める意見書(案)

 本年3月の東日本大震災、7月末の新潟・福島豪雨被害、台風12号及び15号による災害等、近年全国各地で数多くの自然災害が発生している。とりわけ、東日本大震災では、東北地方を初め関東地方でも茨城県・千葉県にも大きな被害が発生した。また、国民の安全・安心な暮らしの実現へ、社会資本の整備・管理を国の責任で実施することは憲法上の責務である。しかし、現在、政府・財界が推し進めている「地方分権(地域主権)」、「道州制導入」は、憲法・地方自治法で規定された団体自治及び住民自治が基礎となる地方分権(地域主権)の実現に向けたものではなく、国の役割とりわけ憲法が保障する国民に対する責任を放棄するものであり、国土の均衡ある発展にも影響を及ぼしかねないものである。
 一方、関西広域連合、九州地方知事会ともに、平成23年5月26日に移譲機関として「経済産業局、地方整備局、地方環境事務所」の受け入れを提示した。また、九州地方知事会は出先機関を「丸ごと」受け入れるとも発表している。「直轄国道、直轄河川は原則としてすべて地方に移管し、国に残す事務は全国ネットワークとしての高規格幹線道路網の整備(高速自動車国道、一般国道のうち自動車専用道路)等に限定する」としており、これらが進められれば、地方と都市の地域間格差及び防災面への不安が拡大するとともに、行政サービスの低下を招くことになる。さらに、「地方分権(地域主権)」も「道州制導入」も国民の間では全く議論になっておらず、これらを強引に推し進めることは主権在民の原則を頭から否定するものである。憲法第25条では、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とし、国の社会的使命が規定されている。国民の生命と財産を守るための社会資本の整備・管理は、この憲法の規定を実現するものであり、国の責任ある執行が求められている。
 よって、本市議会は国に対し、国民の安心・安全な暮らしを実現するため、下記の事項について強く求めるものである。


  1. 「地方分権(地域主権)」は、拙速に結論を出すことを避け、国民生活に対するメリット、デメリット等の情報を事前に開示し、十分な時間を確保した議論を経た後に結論を出すこと。
  2. 防災、生活・環境保全、維持関連公共事業予算の確保・拡充を図ること。
  3. 現在、直轄で整備・管理している道路・河川行政は、国の責任を明確にし、安易な地方整備局、事務所、出張所の廃止や地方移譲は行わないこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成23年  月  日

千 葉 市 議 会