中村きみえ議員の反対討論

写真 共産党市議団の中村きみえです。

 会派を代表して、議案第163号及び議案第169号に反対し、また議案第170号から第175号に対して意見を述べ、発議第20号が否決されたことと、請願第8号及び第10号が不採択に対して討論を行います。

 議案第163号平成23年度千葉市一般会計補正予算及び議案第169号についてです。

 これは、南部蘇我土地区画整理事業について組合への金融機関への借入金の返済ができず、千葉地裁で和解勧告が出され、千葉市に対して3億5千万円を支出するかどうかが問われています。

 共産党市議団は、組合員の負担が軽減でき、すみやかに解決できることを望んでいます。組合員や現理事会には責任はなく、それ以前の事業そのものへの破綻した責任と原因がどこにあるのかを明らかにすることが第一だと考え、真相究明を求めてきました。

 今回議会では、3億5千万円もの公金を支出するにあたり、慎重な審議を行うためにも参考人を招致して委員会を2日に分けて実施したことは、千葉市議会では、初めてであり、大変意義あるものでした。参考人から陳述された内容は、仮換地を進めていく上での市の対応や蘇我町線によって事業への影響や賦課金の対応をめぐる問題なども指摘があり、今後の見通しについて議論を深めなければならないことが多々あると感じます。

 私どもは、参考人招致は、現理事長だけでなく破綻につながった前理事長の責任や事業を行った熊谷組、事業への指導をしてきた市の責任者として歴代の市長、都市局長、金融機関を対象に真相究明するべきだと主張しました。

 残念ながら、現理事長のみの招致となりましたが、当事者が発言する重みと課題の困難さは、全体の場に明らかにされ、まだまだ解明すべき問題があると痛感しました。

 昨日の一般質問でも銀行の貸し手責任について質したところ、当局は、「融資については組合と金融機関の問題であり、本四としてコメントすることはできませんとの答弁は責任の放棄です。

 市側に金融機関や熊谷組、当時の市の責任などを質しても、詳細な情報が、示されず今回議案についての可否を問うことになりました。私どもは、もっと議論を深めていくためにも継続審査を望みましたが、ほかの会派が反対したことで採決となり、賛成多数で可決したことは、残念でなりません。

 そして、今回の区画整理事業については、わが党はかねてより千葉市の指導監督責任や問題点はないのか質してきましたが、千葉市が適切に対応していると答弁していました。バブルがはじけて、保留地の価格が下がりましたが、その対応が十分行われずに破たんした責任が千葉市に厳しく求められています。

 自民党からは、1.区画整理事業地内の土地の状況を明らかにしその資産価値などを議会へ報告すること。2.和解案が実施されるよう組合への指導、3.仮に組合が和解案を履行できないときの金融機関の対応、4.事業清算後、仮に余剰金が発生した場合、千葉市へ自主的に寄付機として提供するよう啓発すること、5.和解案が履行され、住民監査請求が行われた場合、市長の責任で対応すること6.再発防止策を講ずることなど6点にも及ぶ付帯意見を述べていました。このことから考えても、今回の事業破たんに対してまだまだ解明されていない課題が山積していることを示していると思います。

 蘇我町線についても全体の蘇我南部土地区画整理事業費が、171億円に対し、約82億円と半数を占める工事費となり、この道路整備が本当に必要だったのかどうか問われます。

 質疑、都市建設の常任委員会の審議や一般質問で質しましたが、市の説明だけでは、到底納得できるものではありません。市民への説明責任を果たし、情報公開を行うべきです。

 以上のような問題がある中で、性急に結果を出すのでなく、解明すべき課題があります。継続してしっかり議論し尽くすべきだと主張しましたが、他の会派の反対されたため実現できなかったことは納得できるものではありません。

 次に議案第170号から175号については賛成ではありますが、一言申し上げます。

 公の施設を管理運営する指定管理者は、サービス向上を行うことは当然ですが、同時に管理経費の縮減が成立することには矛盾があると思います。5月の臨時議会で、わが党の野本議員が総務省の通知について示し、単なる価格競争ではないことを指摘し、改善を求めました。千葉市では、管理経費についての配点割合を、施設運営については3割、事業運営については全体の点数の2割を占めるように、以前の4割という高い配分割合は是正されたことは、一歩前進です。

 今回指定された事業者は、すべて継続して事業を担うことが提案されていますが、他社が管理経費を抑えて点数が高くなっていました。このことは、どんなに質の面で評価をしても安く提案した場合に、別の事業者となり得る可能性も示唆していると思います。人材育成をする施設などは継続して安定した雇用ができるように指定管理者ではなく委託も含めて検討することが今後課題ではないでしょうか。

 発議第20号「千葉市自然エネルギー導入検討委員会設置条例」についてです。

 今回提出した条例案は、千葉市における低炭素社会の構築に向けて、調査検討を行うための「千葉市自然エネルギー導入検討委員会」を設置するという内容です。目的は、「地球温暖化のためだけでなく、多くの市民が望む『原発に依存しない社会』をつくるためには、自然エネルギーの本格的導入とともに、省エネによる低エネルギー社会の実現」をめざすというものです。

 委員会での質疑の際に、当局からは「10月にプロジェクトチームを発足し、新年度から民間事業者の意向も聞き、再生可能エネルギーの導入に向けて調査し、導入計画の策定を検討していく」や、千葉市環境審議会の部会に専門部会を置き、原発事故を踏まえたものにし、主たる再生可能エネルギー、危険のないエネルギーの活用について議論する」と、当面の考えについて答弁されました。

 この答弁にたって、他の委員からは「環境審議会の部会と同じ委員会をつくることになる」との理由から、否決となりました。しかし、原発事故後に環境審議会が開催されたのは7月と11月の2回であり、7月の審議会では、放射能測定についての委員の方の意見がありましたが、「専門部会で検討」との結論です。原子力から自然エネルギーへのエネルギーの転換と、省エネルギー社会の取り組みは待ったなしの課題です。「原発をなくしたい」との世論の広がりは、政府の原子力委員会が9月に発表した「国民の意見の集計結果」でも、「直ちに廃止」または「段階的に廃止」は98.0%となっていることを踏まえれば明らかです。この課題解決のためにも、早急に、千葉市における自然エネルギーについて、調査・研究し、多くの市民による議論が求められます。

 あわせて、千葉市固有の自然エネルギーの検討、雇用の創出、地域の活性化を踏まえた対応が必要だということを述べておきます。

 請願第8号・介護保険の充実を求める請願と請願第10号・国民健康保険制度の充実を求める請願が保健消防委員会で不採択になったことについて述べます。

 請願第8号は、第5期介護保険事業計画の策定時期となっていることを踏まえ、介護保険料の引き上げを抑えるために積立金や基金を活用することや、介護予防・日常生活支援総合事業を導入しないことなど4項目を求めています。

 「総合事業」は基本的に導入するとのことでしたが、サービスの質や量の確保などに不確定な部分があり、ただちに導入することは難しいとのことでした。もし導入すれば、「支援が必要」と認定された高齢者が、本来受けられるサービスを取り上げられる可能性があります。

 介護保険は、導入以来、保険料が上がる一方で、介護サービスを受けられない状況が広がっています。「保険あって介護なし」との批判されるのも当然です。

 こうした事態を打開していくためにも、請願項目の実施が求められており、不採択されたことは遺憾です。

 請願第10号は、国民健康保険料が大きな負担となっていることを踏まえ、負担軽減のために、一般会計から国保会計に繰り入れることを求めるものです。

一昨年、昨年と一般会計から繰り入れがなかったために、国保会計は赤字がさらに増大し、引き続き繰上充用を余儀なくされました。こうした事態を踏まえ、今年度は繰り入れを行いました。

 ところが、今年と同様に、一般会計から国保会計に繰り入れることを求めた請願が保健消防委員会で不採択になったことは遺憾であり、到底理解できるものではありません。以上を申し上げ、日本共産党市議団としての反対討論を終わります。