野本信正議員の議案質疑および答弁(要旨)

2011.5.17

写真議案第107号専决処分について

(野本議員)

 東日本大震災による被害の復興に係る経費の計上だが、市内の被害状況の概要と、そのうち補正予算13億2,000万円の事業内容の説明を。

(市民局長の答弁)

 被害状況だが、大きな人的被害はなかったが美浜区では液状化により900戸以上の住宅が被害を受けた。道路は約44km、橋梁は7橋、下水道管路が7kmに渡り大きな被害が発生した。その他、公園75か所、小中学校150校、保育所15か所など市内の多くの公共施設も修繕が必要な被害が発生した。

 補正予算では、被害が発生した道路や公共施設の復旧を迅速に進めるため、道路・橋梁の応急修繕や学校・保育所、QVCマリン球場の修繕を行った。

(野本議員)

 今後、第2回定例会で補正予算が組まれ、災害復旧がされるまでの予算規模と見通しについてはどうか。

(財政局長の答弁)

 今後の補正予算で、本格的な復旧への予算を追加する予定で、今回の補正及び既定予算での対応分も含め、現時点での概算では全体で86億円程度を見込んでいる。

(野本議員)

 美浜区が液状化などの被害により、災害救助法適用を受けたが、どんなメリットがあるのか。今回の補正予算と今後の災害復旧予算に国の補助金などの適用の見通しについて。

(保健福祉局長の答弁)

 メリットは、住宅が全壊し建替える際に300万を上限に給付される「生活再建支援制度」や最大で350万円貸付けされる「援護資金貸付制度」の対象になり、被災者の生活再建が円滑に進む。市にとっても避難所の開設、食品や飲料水の供給、被服や寝具、生活必需品などの給付に係る経費を国が負担することになる。

(財政局長の答弁)

 国は、被災団体の財政に支障がないよう、国費や地方債で財政措置するとしており、国庫負担金等や災害復旧債などで、相当程度財源確保ができると考えている。

(野本議員)

 政府は液状化対策の基準を変えて救済することや、震災復興に向けての支援を強めているが、千葉市として適切に対応することと、制度の改正、予算の増額などを強く求めていくよう指摘しておきたい。

 道路・橋梁施設の被害の概要はどうか。緊急災害出動を要請された、防災協定を結んでいる業界は大変な努力をされたようだが、その活動状況はどうだったのか。

(建設局長の答弁)

 道路は、美浜区中心に約44km、橋梁は歩道橋を含め7橋被災し、災害復旧事業費は約34億円見込まれる。

 業界の活動状況は、建設業協会の協力で地震発生当日から、液状化による噴出土砂の撤去や段差・陥没の処理等、応急工事を実施するなど早期に対応が図れた。また、国の査定を受けるための調査・設計資料作成を建設コンサルタント協会に協力頂いた。

(野本議員)

 主に美浜区などでボランティアに参加していただいた概要についてはどうか。

(保健福祉局長の答弁)

 第一次・第二次救援物資を市役所と各区役所で募集し、延べ814人が受付や仕分け作業に協力頂き、被災地に送ることができた。また、社会福祉協議会が災害ボランティアを募集し、美浜区内で4月23・24日に戸建て住宅敷地内土砂の片付けを行ったが、延べ168人の協力を頂いた。

(野本議員)

 児童・生徒などの安全にかかわる施設は緊急な対応が必要だが、その概要と学校行事や授業に影響する施設の概要についはどうか。

(教育次長の答弁)

 震災当日は、全学校から被害状況の報告を受け、翌日から2日間で現地調査を実施、給排水設備等の復旧と施設の修繕を行った。その後発生する余震での二次的な災害を防止するため、3月30日から4月5日まで再度、現地調査し要注意か所への立入り制限や応急修繕で危険回避策を講じ、児童・生徒や保護者の不安解消と安全確保に努めた。また、液状化で被害があった高洲第一中及び幕張西中で、屋内運動場に被害があったため、入学式を他校の屋内運道場で行うなどの影響があった。高浜第三小ほか4校で、校庭に亀裂・陥没等があり、高洲第三小ほか3校で屋内運動場の床がゆがみ、利用を制限したことから授業に影響が生じている。復旧までの間、各学校で創意工夫し教育活動に支障が出ないよう対応をお願いしている。

(野本議員)

 学校施設では180校中150校に被害が及んだが、復旧の見通しは。

(教育次長の答弁)

 補正予算で、液状化による校庭や屋内運動場など被害が大きかった美浜区内の小学校7校、中学校1校、高校1校の復旧・修繕が、7月中の完了を目指して進められている。その他の学校も予備費等の活用で教育活動への支障が早く解消されるよう復旧に努める。なお、学校施設の復旧は、国庫負担制度が適用されるので最大限活用したい。

(野本議員)

保育所の被害についての概要と復旧の見通しについては。

(こども未来局長の答弁)

 市内60か所の保育所の中で修繕が必要な被害があった保育所は15か所、美浜区8か所、中央区2か所、花見川区2か所、稲毛区2か所、若葉区1か所で、美浜区は液状化で大きな被害を受けた。主な被害は、外壁、床、トイレ、非常階段、所庭、給排水、ガス、電気など設備関係が被害を受けた。復旧の見通しは、11か所の保育所でライフラインに直結する電気・ガス・給排水の応急修繕は完了し、被害が大きく補正予算で対応する幸第一保育所他4か所も既に改修工事設計に着手しており、9月には全ての工事を完了する予定だ。良好な保育環境の回復に努めていく。

(野本議員)

 学校や保育所などの復旧が、数か月も先になることは重大なことだ。乳幼児や児童・生徒が生活する場所の復旧は最も急がれることであり、可能な限り前倒して、安全安心を確保するよう求めておく。

 瓦屋根の棟落ちがかなりあったようだ。千葉県東方沖地震の時は自治体から見舞金が出たが、今回はどうか。瓦屋根の棟落ちはかなり広範囲に広がっており、実態の把握と対策が必要だ。

(市民局長の答弁)

 現行の見舞金支給の要綱では、災害救助法の適用を受けた災害は適用除外であり、今回の大震災での被害は対象にならないが、今回は国や県でも様々な支援体制があることから、市としては全体の支援体制の中で判断していく。

(野本議員)

 千葉市は、公共施設の耐震診断・改修、橋梁の耐震対策、民間住宅の耐震診断・改修などに取り組んできた結果、減災にどれだけ効果があったのか。今後の教訓は。

(都市局長の答弁)

 耐震診断・耐震改修の考え方は、建築物の「倒壊等」の防止であり、建物の倒壊がなかったので一定の減災の効果はあったと考える。しかし、仕上げ材のひび割れ,剥離などがあり、地盤の液状化で部分的に使用できない施設もあるので今後の課題だ。

(建設局長の答弁)

 橋梁は、計画的に耐震対策や点検を実施してきた結果、小規模な損傷はあったが通行止めなどの大きな障害はなかった。今後も適切な管理に努める。

(野本議員)

 保育所などでは、家具転倒防止金具が取り付けられているが効果はあったのか。市役所庁舎は書棚などの転倒がひどかったようだが、転倒防止金具を取り付けてあった部屋となかった部屋の違いはどうか。

(こども未来局長の答弁)

 保育所ではピアノ、本棚など全ての大型備品に家具転倒防止金具を取付てあり、今回の地震で家具の転倒は発生しておらず、子どもの安全確保に効果があったと考えている。

(財政局長の答弁)

 庁舎内の被害報告では、ロッカー等の転倒が比較的多かった本庁6階以上では、転倒防止金具を設置したものもあったが、一定の効果はあった。地震被害は揺れの方向や力の強弱、ロッカーの設置状況で左右されるが、今後も適切な地震対策を指導していく。

(野本議員)

 市民から様々な意見や要望が寄せられたと思うが、市としていかに対応したのか。

(市民局長の答弁)

 最も多い要望は、液状化被害への支援要望だったことから、国や県に被害認定基準の見直しや新たな支援策を要望しており、5月2日に国の基準見直しが行われた。県でも独自の支援策が示されている。

(野本議員)

 市職員、消防職員など迅速に対応したが、今後地震災害に備えての教訓はなにか。

(市民局長の答弁)

 今回の地震では、帰宅困難者が大量に発生し、被害情報が輻輳したため災害対応が後手後手になった面がある。これらを今後の教訓にして、地域防災計画の見直しを全庁的に行い危機管理体制の強化を図る。

(消防局長の答弁)

 地震発生後、直ちにヘリコプター2機を出動させ情報収集に努めたので、市内の災害対応、県内応援、東北地方への消防援助隊派遣に消防局部隊を効率的に運用できた。そこで、仮に救援を受けることになった場合、多くの応援部隊との間で迅速な情報収集と運用を図る必要があると考えており、情報収集や部隊連携の修練度向上へ必要な機材整備に努める。

(野本議員)

 市職員は、それぞれ頑張ったことは市民も感謝しているが、市民の要求からすれば対応が不十分なこともあったようだ。これらについては、改善を急ぐことと必要な職員の充足が必要だ。ちなみに災害対策の最前線に立つ消防職員は、基準数に比べて89.3%、113人が不足している。これらの増員を求めておく。

 東北などの被災地から避難してこられた人への支援についてだが、一時避難施設への入居を行ってきたが、避難が長期化する場合、引き続き入居できる住宅の見通しは、また生活支援、仕事の斡旋など必要だがどうか。

(都市局長の答弁)

 現在、県外からの避難者が居住している住宅は市営住宅14戸、東電社宅12戸、個人提供住宅を含め、全体で40戸ある。入居期間は6か月だが今後の状況で期間延長を検討する。

(保健福祉局長の答弁)

 避難者への生活支援は、速やかに保健師が訪問し相談に乗るとともに布団・調理用品等、日常生活に必要な物品の提供、冷蔵庫・洗濯機など家電製品を社会福祉協議会の協力で提供する支援を行っている。今後も生活保護の相談や生活福祉資金貸付制度の周知など丁寧な対応を行っていく。

(経済農政局長の答弁)

 被災者への仕事のあっせんは、被災者受入施設のサイクル会館、ユースホステルを訪問し被災者からの聞き取りを行い職業相談等の窓口を紹介した。また、サイクル会館では、ハローワーク・県求職者総合支援センター・労働基準監督署が共同で相談会を開催し、2日間で8人の相談を受けた。

(野本議員)

 避難施設の確保について、若葉区千城台東千葉県企業庁職員住宅の90戸については、避難施設としての活用が求められてきた。千葉県は避難施設として活用を始めたようだが、現状についてと千葉市から要請も受け入れるよう求めるべきだ。

(都市局長の答弁)

 県が90戸のうち30戸を避難施設として募集し、3戸の入居が決まっている。本市も東電社宅18戸、雇用促進住宅4戸、民間提供住宅55戸、計77戸の提供が可能だ。

(野本議員)

 原子力発電所の事故により、福島から避難してきた人々や子どもたちが、学校で「放射能がうつる」など根拠のないことが言われたり、福島県と言うだけで一時避難を拒否したホテルがあったり、心を傷つけていると言われている。千葉市の実態と対応はどうか。

(市民局長の答弁)

 本市に避難された方々から、そのような不安や心配の話はないが、放射能被曝などの風評被害がないよう周知していく。

(教育次長の答弁)

 千葉市は今回、東北地方から避難してきた児童生徒を迎えるため、対応手引きを年度当初に作成し、全小中学校に配布した。各学校では、これに基づき児童生徒へ必要な指導を行った。日頃、相手を思いやる心や人とかかわる力を育んでおり、そのような実態は把握していない。

(野本議員)

 3月27日、千葉市花見川区の柏井浄水場東側施設で、乳児の暫定規制値である1キログラム当たり100ベクレルを超える放射性ヨウ素が検出されたことに伴い、千葉市は柏井浄水場からの水道水を使用している地域の乳児のいる家庭に、安全な水の供給を行ったが、その後水道水の安全は確保されているのか。

(水道局長の答弁)

 県水道局は毎日、各浄水場の放射線量を測定し、結果をホームページで公表している。放射線量が基準値を超えた場合は、取水を停止することにしている。柏井浄水場東側施設は、降雨時にも必要な対策を行い、安全確保に努めていると聞いている。

(野本議員)

 千葉市内の放射線量についてだが、稲毛区の日本分析センターが、地上1.5メートルで計測した放射線量を公開している。その数値について明らかにするとともに、人体に影響はないのか。そして、子どもたちとりわけ幼児の生活レベルで考えると、地上0.3メートルから1メートル以下で測定することが必要だ。千葉市独自での測定と公表を求める声が多く寄せられているが、その対応は。

(環境局長の答弁)

 日本分析センターは、震災後の16日以降、毎日測定結果を公開している。現時点では時間当り0.13マイクロシーベルト前後だ。この数値は、年間被ばく量の基準を1時間当りに換算した2.3マイクロシーベルトを下回っていて、健康に影響を与えるレベルではない。

 日本分析センターでは、人間の放射線被ばくを模擬できる地上1.5mで測定し、地表に堆積した放射能物質からの放射線量も含めた測定だ。文科省が示す校庭等利用目安は、地上0.5mで時間当り3.8マイクロシーベルトを超えることはないと聞いているので、千葉市独自の測定は考えていない。

(野本議員)

 震災被害の復旧に要する予算は100億円を超すようだ。地中に埋設されているライフラインなどの被害は、今後の調査で増えることも予想されるが、できる限り早い復旧が望まれている。必要な予算を計上して取り組むことを指摘しておく。

 今回、震災における千葉市美浜区の震度は0.5強だった。今、想定されている東京湾北部地震は震度6強であり、より大きな被害が出る心配もある。よって対策を急がなければならない。

 原子力発電所の事故による放射能被害の広がりは、市民に深刻な不安を与えている。私の指摘に対して、「稲毛区の分析センターによる測定結果で心配ない」との説明だった。

 これだけの説明で、市民の不安が消えることはない。千葉市が乳幼児、児童生徒の健康と未来を真剣に心配して、保育所・幼稚園、小中学校、養護学校など放射線量の測定、土壌のセシウムなどの積算量などを測定し、公表することを重ねて求めておく。

議案第108号専決処分(千葉市高州市民プール他34施設の指定管理者の指定)について

(野本議員)

千葉市体育施設設置管理条例第14条は、「議会の議決を経て指定管理者として指定するものとする」と規定している。第一回定例会において、議会は継続審査とした。議会が継続審査と決定した案件を専決処分したものだ。市長は、常日頃から議会の意思を尊重すると発言していることに矛盾するのではないか。議会の議決が得られないままの専决処分を避けるギリギリの努力がされていないのではないか。

(教育次長の答弁)

 継続審査となって以降、市長は臨時議会招集を予定するなど、専決処分を避ける努力を行ってきた。

(野本議員)

 指定管理者再指定の議案を第一回定例会に提出したことに無理があったのではないのか。当初予算審査が中心の第一回定例会は、提出された議案件数が105件あった。そのうち、指定管理者再指定の案件が37件もあった。さらに、議会選挙があるため通常の議会日程より、一週間以上少なくなっていた。慎重審査するには日程が短すぎた。こんな時に、指定管理者の指定について提出したことが、議決を経ない専决処分を招いたのではないのか。

(総合政策局長の答弁)

 指定管理者指定議案は、予算とかかわるので第1回定例会に提出したが、指定管理者候補への引継ぎ・準備期間、議会での審議を十分確保するために、次期からは原則として第4回定例会に提出する。

(野本議員)

 次に、外郭団体が指定されている施設ついては、指定管理者の指定を非公募にしていれば、議決を経ない専决処分に至らなかったのではないか。質問するが、日本共産党市議団は外郭団体の在り方について質し、外郭団体の在り方やプロパー職員の雇用を守るなど、外郭団体が指定されている施設の指定管理者は、非公募にするように提案してきたのに、市長がそれを受け入れなかったことが問われている。

(教育次長の答弁)

 市の「指定管理者制度運用指針」で、指定管理者の募集は原則公募としており、例外的に非公募とする場合は「相応しい者が予め限定される場合」に限っている。テニスコートやプールなど体育施設は、民間企業が経営する例もあり、民間にもサービスの効率的提供のノウハウがあるので公募した。

(野本議員)

 私が今指摘したとこについて、充分検討して提出されていなかったことが、「議会の議決を経て指定管理者として指定するものとする」との規定を軽視し、専决処分に至ったものであり遺憾である。結局、テルウェル東日本に指定することを最優先したのではないのか。

(教育次長の答弁)

 市長は専決処分を避けるために努力してきたもので、議会の議決を経る規定を軽視したものではない。また、「テルウェル東日本・スポーツクラブNASグループ」の指定は、「指定管理者選定評価委員会」の答申を尊重した結果だ。

(野本議員)

 次に、第1回定例会で、議会が継続審査と決定する過程での様々な問題点の指摘があったことを真摯に受け止めたのか。幾つかについて質す。

 その1は、総務省自治行政局長通知との関連だが、局長通知では、「指定管理者制度は公共サービスの水準確保という要請を受け果たす最も適切なサービスの提供者を議会の議決を経て指定するものであり、単なる価格競争による入札とは異なるものである」とある。

 千葉市高州市民プール他34施設の指定管理者の選定には、千葉市スポーツ振興財団とテルウェル東日本・スポーツクラブNASグループの競争となったわけだが、評価項目6点のうち、市民の平等な利用の確保など5項目の採点は、合計でスポーツ振興財団が上回っていた。しかし、管理経費の一項目だけはテルウェル東日本が上回り、総合得点でテルウェル東日本に決まったものだ。このことについて市長は「管理経費の配点割合を全体の1/3としていて経費縮減よりも市民サービス向上などが重視されている」「だから総務省通知の『単なる価格競争にしない』に合致している」と答えてきた。

 改めて質問するが、市民の平等な利用の確保など5項目の採点、全体の2/3を上回った点数を確保したスポーツ振興財団は、1から5までの合計で施設管理に優れていることを認めるか。

(教育次長の答弁)

 提案書の評価項目6項目のうち5項目の合計で、千葉市スポーツ振興財団の点数が上回っている。

(野本議員)

 テルウェル東日本は1から5までの合計で、施設管理についてスポーツ振興財団より劣っていることを認めるか。

(教育次長の答弁)

 5項目の合計で、「テルウェル東日本・スポーツクラブNASグループ」の点数は下回っている。

(野本議員)

 1から5までの合計で劣っていながら、管理経費の配点のみが上回ったため総合点で指定された。このことは、人件費が安いことで指定したものであり、単なる価格競争そのものだ。「経費縮減が1/3、市民サービス向上などが2/3の配分だから、市民サービス向上などを重視されている」との市長答弁は事実に反する。

 以上のように、総務省通知の「単なる価格競争による入札とは異なる」との指摘に明確に違反していることを認めるべきだがどうか。

(教育次長の答弁)

 この施設の指定管理者の選定基準は、全項目の合計得点で最終的に順位を決定するもので、単なる価格競争での選定にならないよう「管理経費縮減」の項目とその他「市民サービス向上」に関する項目の比率を1対2にしたが、他局の割合と比べても大差なく総務省通知の趣旨にも合致している。

(野本議員)

 つぎは、スポーツ振興財団の管理実績の4年間の評価についてだ。この問題点は第1回定例会で福永議員が質したが、H21年の指定管理者の自己評価、市による評価、H20年度、19年度、18年度も全く同じ文言だ。このことは毎年正確な評価をしてこなかったことだ。これを議会で認めたらチェック機能が果たせないなどの指摘があった。どのように受け止め、是正しようとしているのか。

(教育次長の答弁)

 指定管理施設の評価は、事業計画や管理運営の基準で業務が実施できている旨の評価結果を要約したものだが、詳細に記載すべきだった。今後、内容・表現等を精査し記載していく。今年度からは、選定評価委員会が管理状況の評価も行うので、一層の効率性、透明性の向上が図られる。

(野本議員)

 4年間、毎年一言一句も変わらない評価を書き続けてきたことは、極めてずさんであり、市民や議会を愚弄するものだ。しかも、指定管理者の再指定に当たってスポーツ振興財団だけでなく、数多くの管理施設で、同じ選定評価資料が4年間一言一句も変わらないことが指摘されていた。選定評価委員会が指定管理者を指定するに当たってのデータが、こんな程度のものであったこと、これを基に選定したことは指定の有効性が問われるのではないのか。

(教育次長の答弁)

 「選定評価委員会」での指定管理者選定は、「施設管理能力」などの「市民サービスの向上」に関する5項目と「経費の縮減」の観点で提案内容を評価しているので、適正な審査が行われている。

(野本議員)

 市民サービスが維持されているのかについて、スポーツ振興財団から転籍した31名の職員の、スポーツに係る資格はどんなものがあるのか。

(教育次長の答弁)

スポーツ振興財団から他の外郭団体へ転籍した職員で「スポーツプログラマー」や「体育施設管理士」など、スポーツに関する資格を取得した人もいる。

(野本議員)

 これだけの専門性が生かされて運営されていた千葉市高州市民プール他34施設が、テルウェル東日本の運営に変わったことにより、市民サービスに影響が出ていないのか。

(教育次長の答弁)

 「テルウェル東日本・スポーツクラブNASグループ」は、15の拠点施設にスポーツ指導員を配置し、高齢者・生活保護世帯等への利用料金減額などを実施している。7月からはインターネットを活用して24時間体制で利用受付を開始し、サービス向上が図られている。

(野本議員)

 スポーツ振興財団から転籍した31名の職員についてだが、希望する職場への転籍はどの程度活かされたのか。転籍した職員は、社会福祉協議会など8施設で働いているが、専門職員の能力がどのように活がされているのか。

(総務局長の答弁)

 外郭団体の統廃合や指定管理者の選定結果等に伴うプロパー職員の転籍は、プロパー職員の意向を確認し、希望する団体の面接を受けており、希望する団体に転籍できたと考える。転籍したスポーツ振興財団の職員は、サービス提供や施設の効率的運営の業務に従事してきたので、新たな職場でもその経験を活かせるものだ。

(野本議員)

 指定管理者再指定に関連して、外郭団体プロパー職員の転籍が行われたが、その全体像と今後の外郭団体の在り方が変化してきているのか。

(総務局長の答弁)

 今回の指定管理者の選定結果で、スポーツ振興財団と観光協会の2団体の転籍調整を行い、スポーツ振興財団職員は社会福祉協議会に15名、防災普及公社に5名、産業振興財団に3名、社会福祉事業団・保健医療事業団・住宅供給公社に各2名、シルバー人材センター・教育振興財団に各1名の計31名が転籍した。観光協会職員は、社会福祉事業団・保健医療事業団・産業振興財団・みどりの協会・防災普及公社に各1名の計5名転籍した。

(総合政策局長の答弁)

 昨年度の指定管理者の選定結果も踏まえ、外郭団体が担うべき事業を将来を見据えて整理し、外郭団体のあり方を検討していく。

(野本議員)

プロパー職員の雇用については、設置者の市が責任を持つ旨の市長発言の真意はなにか。

(総務局長の答弁)

 プロパー職員の雇用問題は、原則として外郭団体自らが対応を決めて取り組むものだが、外郭団体の設立経過や設置者としての責任を踏まえ、プロパー職員の雇用について可能な支援を行うとの考えから発言した。

(野本議員)

 地元経済などの問題についてだが、テルウェル東日本に変わった指定管理者のもとで、地元雇用は図られているのか。

(教育次長の答弁)

 スポーツ振興財団が雇用していた契約社員やアルバイト職員の優先雇用を行っており、運営スタッフ全体の78%は市民だ。

(野本議員)

 「テルウェル東日本・スポーツクラブNASグループ」の法人市県民税はどこの自治体に納められるのか。指定管理者全体で再指定後、市内と市外の割合は。

(教育次長の答弁)

 根拠法令に従い、それぞれの事業所等の所在地がある千葉市も含む自治体に納められる。市内業者は47で70.1%、準市内業者が17で25.4%、市外業者が3で、4.5%だ。