佐々木ゆうき議員の条例提案主旨説明

2012.2.20

写真 日本共産党千葉市議団の佐々木ゆうきです。会派を代表して、発議第1号「千葉市がん対策推進条例」の提案理由の説明を行ないます。

今回の条例は、がんが市民の生命及び健康にとって重大な脅威となっている現状にかんがみ、がんの予防及び早期発見、それらに係る普及啓発並びにがん患者等の負担軽減を図ることにより、がん対策の総合的かつ計画的な推進に資することを目的とするものです。

 厚生労働省の人口動態統計における年間約100万人の死亡者数のうち、死因の第1位は、がんによるものです。

 がん対策については、国において、第1に、がん研究の推進と予防・診断・治療などに係る研究成果の普及・活用、第2に、がん患者の居住地域にかかわらず適切な医療が受けられる体制整備、第3に、患者の意向を尊重した治療方法等が選択されるような医療提供体制の整備を基本理念に、2007年に「がん対策基本法」が施行されました。この基本法に基づいて、がん対策推進基本計画が策定されました。

 がん医療や医療機関の整備、がん予防、早期発見など7つの個別目標が掲げられています。

 国は今年6月までに、がん対策推進基本計画の見直しを行ない、閣議決定する予定です。計画に基づき、国や自治体は目標達成の施策が義務付けられます。

千葉県においても、県がん対策推進計画を2008年3月に策定し、県民と医療・福祉関係者、行政が協力し、総合的・計画的ながん対策を推進しています。また、「力を合わせてがんに打ち克つちば」を目指すとして、2009年10月にがん対策の個別目標をアクションプランに盛り込みました。

しかし、千葉市においては、がん対策基本法やがん対策推進基本計画に基づく条例も基本計画もありません。

 島根県は全国で初めて「がん対策」関連の条例を、「がん対策基本法」成立前に議員提案で制定しています。自主的な「がんサロン」が28ヶ所ほど運営され、昨年4月には「がん対策推進室」を設置して、がん対策の位置づけを高めています。

出雲市では、「がん撲滅対策推進条例」を制定し、医療機関の連携を進めて、胃がんの血液検査や肺がんヘリカルCT検診などを実施しています。とりわけ若い世代に検診を受けてもらうために、休日のショッピングセンターでの「女性のがん予防キャンペーン」を実施するなど工夫しています。

 千葉市においては2002年12月に、「新世紀ちば健康プラン・健康日本21千葉市計画」を策定しています。それは、「健康なまちの実現」をめざして、「一次予防に重点をおいた健康づくり」と「親と子が健やかに暮らせる社会づくり」を総合的・効果的に推進するために、市民や行政、関係機関・団体などが一体となって取り組むものです。

また、社会経済情勢の変化を踏まえて、関連法や県の計画が見直され、それに基づき、千葉市も2010年2月、市の計画の中間評価や見直しをしています。その中の、がん対策については、がん検診の受診者数に増加は見られるものの、精密検査受診率については全体的に低いとされています。

2009年度の受診率22.9%から2010年度受診率27.1%へと上昇していますが5割を超えないと、死亡率の低下につながらないといわれています。

専門家は、がん検診が市民に十分知らされていないことや、検診費用への支援が十分でないなどの問題を指摘しています。

千葉市には、千葉県がんセンターや千葉大学付属病院など、がん診断・治療の専門病院が整備されており、医療機関に恵まれています。

 千葉市が、がん対策推進条例を制定することにより、こうした関係機関と一層の連携を図り、千葉市の特性に応じたがん対策を推進することができます。がん予防や早期発見のための市民への受診環境の整備や検診費用への支援に取り組むことで早期発見・早期治療ができます。また緩和ケア、在宅療養など、それぞれの時期に応じた対策を講じることで、医療費の減少にもつながります。がん対策を「新世紀ちば健康プラン・健康日本21千葉市計画」中の1項目に留めることなく、市が積極的にがん対策推進条例を制定し、がんによる死亡率の低下につなげることが求められています。

以上が提案理由の説明です。ご賛同のほどよろしくお願い致します。

以上