中村きみえ議員の代表質疑に対する答弁(要旨)

2012.2.28

【熊谷市長】

○ 新年度予算の概要について

 新年度予算は、雇用や税源涵養効果が期待できる企業立地促進など経済対策や、介護予防ケアマネジメント等の安心ケアセンターを倍増し介護施策を充実、ひとり親家庭のファミリーサポートセンター利用の際の助成制度を創設で子育て支援するなど、安全で安心な暮らし実現へ真に必要な分野に特別枠を設け、重点的に予算配分する一方、財政再建路線を堅持し将来債務を減少する予算編成になった。

○ 消費税増税について

 消費税は、少子高齢化に伴う労働人口の減少など国の現状と将来を踏まえると、福祉の向上を図るための安定的な財源確保が必要だ。社会保障を含め国民負担のあり方や国・地方の税源配分、増税の前提である行政改革の推進など、国政の場で十分な議論が必要だ。国民の理解を得て、将来の安心な社会保障制度維持のため、最小限の増税はやむを得ないと思うが、導入時期は景気に十分な配慮が必要だ。

○ TPPへの参加について

 TPPでは、貿易立国として発展してきたわが国が、今後の発展に向け各国と連携を深めることは必要なことで、TPP交渉参加も1つの選択肢だが、日本への影響は自治体として判断できる状況ではなく、国が情報を提供し、国民的議論を深め対応すべきだ。

○ 新年度予算の特徴と問題点について

 高齢者インフルエンザ予防接種は、H13年度から実施し市民に定着しているので、周知方法を見直し全対象者から新規対象だけにする。また、ホームページ・市政だよりへの掲載や医療機関・市有施設等へのポスター掲示、リーフレット配布、電話相談窓口開設で円滑な接種が進むよう取り組む。

 中学生音楽鑑賞の休止は、子どもたちの文化を学ぶ機会として実施してきたが、中学校の音楽鑑賞教室は、在学中に全中学生が鑑賞できないことがあり、一旦休止した。H24年度から中学でも、新学習指導要領の全面実施で、音楽科での伝統音楽に関する学習が重視されている。今後、文化に触れることは重要だと考えているので、音楽鑑賞のあり方を総合的に検討していく。

 市民サービスカットは、市民生活への影響は極力少なくなるよう配慮し、事業効果が薄れた事務事業や代替可能な事業を見直したものだ。今後も議会や関係団体、市民の理解を得て必要な見直しを行い、真に必要なサービスを将来にわたって提供できるよう努めていく。

 公共料金の値上げは、増大する保険給付費に対応し、自主財源を確保するため国保料を改定する。第5期介護保険計画策定に伴い、介護サービス利用者増で保険給付費増加に対応するため介護保険料を改定するなど、持続可能な保健制度へ必要な見直しを行う。市民生活への影響に配慮し、市民の理解が得られるよう丁寧な説明に努める。

○ 災害などへの対策について

 液状化対策については、千葉市も参加している「液状化対策自治体首長連絡会議」として、国に対し民間宅地等の液状化対策費の支援を要望した。先日、参院総務委員会が千葉市の液状化現場を視察した際、液状化対策には住民負担が課題であり、負担軽減が必要だと直接述べた。市としては、公共施設と宅地の一体的対策は街づくりの1つであり、住民負担軽減にどんな支援できるか検討している。本年度中に作成する液状化対策事業概要で具体的支援内容を示し、H24年度から住民に説明を開始したい。

 学校施設は、児童生徒が過ごす生活の場であり、災害時の避難所になる。今後起きうる地震への安全安心確保へ、耐震化を加速される必要がある。しかし、耐震診断や設計可能な委託先が限られている。また、建築物耐震診断判定委員会の判定には時間が必要なため短時間での耐震化は困難だ。速やかに耐震化を図るため、計画の1年前倒しでH26年度までの完了を目標に、補強対象棟数を平準化し、毎年度約70棟の耐震化工事を進める。

 原発・放射能対策は、福島第一原発事故を受け、国は再生可能エネルギーの普及拡大を内容とするエネルギー基本計画を見直ししている。その中で原子力発電の位置付けを検討することになるので、国の動向を注視する。

 JFE事故は、多発している状況から1月16日にJFE所長に直接、事故の原因究明と設備の総点検の実施、組織体制強化、バックアップ体制の拡充、住民への適切・迅速な情報提供を求める文書指導を行った。JFEは、19日に所長直轄の防災特別プロジェクトチームを立ち上げ、設備の総点検や事故発生原因を究明し、3月末までに結果を取りまとめることになっている。1月30日には、県と市が合同で立ち入り検査を行い、事故原因究明の進捗状況と再発防止の対応状況を確認した。必要な改善で再発防止策がとられるよう指導していく。耐震対策では、耐震改修促進計画の対象施設なので、毎年耐震化状況の報告を求め、必要に応じて指導している。危険物施設は、消防法令でコークス炉の耐震措置を講ずることになっており、立ち入り検査ではその状況の確認と指導を行っている。

 蘇我スポーツ公園は、市民の提案・意見をもらい、周辺自治会や事業者で、活用・運営検討会を開き、意見交換を行った結果、見直し計画を策定し23億円の縮減を図り整備しているので、事業の廃止は考えていない。

○ 大型開発について

 大型開発について、西口再開発事業は来年度完成を目指し、ビルA棟の工事に着手している。千葉港黒砂台線も早期開通に向け工事を進めている。両事業で、駅西口の賑わいを創り、臨海部へ交通アクセスも改善されるので、早く事業の完成を目指す。蘇我特定地区では、臨海部のスポーツ公園がスポーツ振興と防災拠点として重要であり、今後も計画的に進めていく。蘇我駅の既存自由通路橋脚の耐震補強工事を計画しているが、予想される大規模地震に対応するために必要な事業だ。新港横戸町線は、すでに本線4車線、福道2車線が完成し、今後も地元と協議し合意された環境対策である道路緑地・公園整備、生活道路の整備を計画的に進めていく。

 西口再開発事業は、事業化まで長期間経過したが、着工している駅前広場や千葉港黒砂台線整備を続けることで、市民の利便性を図ることができる。ビルA棟は、臨海部への玄間口にふさわしい駅前ビルを建設し、賑わいづくりと権利者の生活再建を図るもので、着実に工事を進めていく。

 A棟の名称は市民投票を実施し、2614票の応募があった。選定作業を実施しロゴマークも検討中だ。

 西口再開発事業は、JR千葉駅ビルの建替えとあわせ、中心市街地の活性化につながるものだ。B棟は、社会経済状況やA棟・駅ビルなど周辺状況を踏まえることにし、今回予算に計上した関連経費は、賑わいづくりの手法を検討する費用だ。

○ 市長のマニフェストについて

 マニフェストへの姿勢は、厳しい財政状況の中、全市民にこれまで同様のサービスを行うことは困難であり、真に必要な人のための事業になるよう、効果が不明な事業や代替可能な事業を見直した。「財政再建」と「市民の命と幸せを大事」の実現へ引き続き取り組む。「大型開発の見直し」は、これまでの進捗状況や事業効果を勘案し、最大限見直した。魅力ある都心の形成や地域経済活性化の観点から、早期完成へ計画的に取り組む。新基本計画では、様々な課題に的確に対応し、社会構造の転換期にあたり、未来を見据えた街づくりを進めることにした。そこで、多様な保育需要への対応、あんしんケアセンターの整備などを位置づけ、活力を生む企業立地の促進などを位置付けた。また、福祉の充実・向上を図るために、しっかりした行財政の構築が不可欠だ。事業のリニューアルや行財政改革を進め、持続可能な都市の実現を目指す。

○ 市民生活優先の予算について

 カットされた事業の復活は、限られた財源の中で議会や関係団体などの意見を聴き、市民への影響に配慮しながら見直したものだ。真に支えが必要な市民には、重点的に予算を配分し福祉の向上に努めていく。

 千葉市元気サイクルの実施は、福祉施設整備や額校施設の耐震化、生活道路の整備などは地元業者の育成や雇用確保につながるので、できる限りの予算確保を図り、高齢者住宅サービスなど7事業で市内業者活用の場合助成割合上乗せなどを予算化した。4月からは、「小規模修繕業者登録制度」をスタートさせ、地元業者の受注機会拡大に努めていく。

 国・県負担金等では、公共事業は地域経済活性化や雇用創出に一定の効果があるが、緊急性・事業効果・費用等から早期供用が可能なもの以外は、事業の廃止や規模縮小など見直した。負担金は、受益の範囲内での一定の負担には合理性があるが、地方分権の観点から、必要があれば負担割合を国・県へ要望する。また、県内他自治体と異なる扱いの県単独補助金は、一定改善されたので、今後の状況を見極めて対応する。

○ ごみ減量について

 焼却ごみ削減は、徹底した分別と再資源化で順調に削減してきたが、今年は削減幅が少なくなっている。市民・事業者が焼却ごみ削減に取り組んでいるが、さらに削減するには排出抑制や再資源化の新たな施策が必要だ。生ごみの再資源化の推進は、4地区で実施しているモデル事業を拡充していくが、プラスティック製容器包装の再資源化は、法の大幅改正が予定されており、剪定枝等の再資源化は、放射性物質の暫定許容値が設定され、集荷・施用できない状況で、早期実施は難しい。家庭ごみの有料化は、排出量に応じた費用負担の公平化が図られ、排出抑制とごみ減量への意識向上につながる。他市の状況からも削減につながっており、効果は大きい。廃棄物審の答申を踏まえ、早期実現へ検討していく。導入には十分な周知・準備期間を設ける。

【藤代副市長】

○ 東大緑地植物実験所の跡地について

 当該地は貴重な緑を有しているが、しらさぎ公園や花見川千本桜緑地など周辺の公園整備状況を踏まえ、公園としての整備は考えていない。大賀ハスへの愛着と存続を求める5万人の署名を重く受け止め、東大に対し対応を求めていく。

○ 介護保険について

 第5次計画期間の保険料は、高齢化の進行でサービス利用者が増加し、介護給付費が増えると見込まれ、保険料の大幅な上昇は避けられないが、保険料段階を細分化し高所得者の保険料を引き上げ、低所得者の負担を抑える工夫を行った。国には、公費負担割合の見直しや実態を踏まえて財政調整交付金を第1号被保険者の負担が過大にならないよう、国庫負担分と別枠で財政処置を講じるよう要望している。

 特養ホームの整備は、策定中の第5期事業計画で地域バランスに留意し、整備することにしている。H24年度は、整備量が最も少ない美浜区に、UR都市機構の「幸町団地の再整備区域」と区に所有の「公務員宿舎跡地」を活用し、2施設160人分整備する。

○ がん対策への対応について

 H21年度に、2千人を対象に健康診査に関するアンケート調査を実施した結果、未受信の理由で最も多かったのは「通知が来なかった」だった。これを受け、登録者に加え節目年齢の人や65歳以上全員に、受診券を一括送付するようにした。その結果、H22年度には自己負担額を上げたにも関わらず、受診率は前年度比4.2ポイント上昇、本年度も上昇の見込みだ。受診環境整備に努めていく。

 肺がん検診は、国の指標で胸部X線検査を実施しているが、市独自にはH20年度から、喫煙歴や慢性的に咳・たんが続くなど、COPD(慢性閉塞性肺疾患)に関する質問項目で該当者には、胸部CT検査などの精密検査を受けるよう勧めている。

 生活保護受給者への対策は、一般対象者と同じく検診対象者や節目年齢の人に、受診券と案内冊子を郵送している。本人の健康維持と医療費削減の観点から、疾病の早期発見・早期治療は必要であり、ケース訪問時にもさらに周知を図る。

 ターミナルケアの24時間対応は、千葉県が計画に基づきがん診療連携拠点病院や協力病院、緩和ケア対応病院、24時間対応の在宅療養支援診療所などで「がんの循環型地域連携システム」の構築を進めている。本市は、新年度に「在宅医療推進連絡協議会」を設置し、医療・介護・福祉分野の連携体制構築に取り組む。

○ 地区ホールのあり方について

 文化の振興は、人々の相互理解や心のつながりを深め、心豊かな社会形成に寄与するもの。地域特有の文化芸術活動や地域コミュニティの形成拠点施設が地区ホールだと認識している。既存の市施設や民間施設の活用で文化振興に努める。

○ 子どもの医療費助成について

 昨年8月に、通院医療費助成の対象を小学3年まで拡大し険制度と同じにした。子どもの健康と福祉向上へさらに拡大するのは有意義だが、助成対象を小学終了まで拡大した場合、さらに4億4,100万円、中学終了までなら約7億8,800万円必要になり、現在の財政状況では実施は難しい。将来の財政見通しや国の「社会保障と税一体改革」の動きや県の助成基準などを注視し、子育て施策全体の中で判断していく。

○ 保育所について

 「子ども・子育て新システム」は、実施主体としての市町村が「給付の保障・事業の実施」権限と責務を位置付けている。そこで市町村の関与下で、保護者自ら施設を選択し、契約することが基本になる。障害等の特別な支援が必要な場合は、市町村が利用調整や施設斡旋、優先的利用、応諾義務などの公的契約制度を導入する。幼児教育と保育の質を保障するために、利用者負担は「応能負担」を基本に、実費徴収がされる場合でも低所得者には、公費での補足給付などが予定されている。詳細は、今国会に関連法案を提出予定であり、情報収集しながら市民に不利益にならないよう適切に対応する。

 保育所の老朽化対策は、保育環境確保のために計画的・効率的な施設改善へ審議中であり、3月中に「基本的な考え方」をまとめる。改築は、環境の変化で子どもへの影響が大きく、慎重な議論が必要だ。リース方式も含め手法について審議している。審議結果を基に、具体的な改築計画や大規模改造計画を策定し、早期着手に努める。老朽化での緊急的・計画修繕は今後も適切に対応する。

 施設建替えが必要な6か所の保育所は、円滑な改築実施へ市民・保護者に公表し、説明時期や方法、要望等への対応なども審議中だ。現在策定中の「基本的な考え方」を基に、保育需要や立地条件を勘案し、保育所ごとに整備計画を策定予定だ。当該保育所の全保護者と地域住民には丁寧な説明を行う。

 保育への民間企業の参入は、国の制度改正で、H12年度から社会福祉法人以外でも参入できることになった。本市でも、H20年度から民間企業なども含め事業者を公募している。事業者の選考には、保育や児童福祉の学識経験者、地域福祉関係者、公認会計士で構成する「審査委員会」で審査し選定している。開園後の定期監査も、株式会社等の民間企業は年2回実施しており、保育の質は確保されている。今後も利用者へのアンケート調査等で質の確保に努める。

○ 子どもルームについて

 現在、全小学校区に子どもルーム設置を目指している。24年度末では全116小学校区中、109校区・123か所の設置となり、残り7か所だ。学校の統廃合が予定通り進めば、25年年度では残り5か所となる。待機児童数は、4月1日現在でH21年度は131人、22年度は100人、23年度は79人と、受け入れ枠を拡充し着実に減少している。今後も増設・施設改善で受け入れ枠を拡充に努める。

 指導員の手当導入は、基本的に非常勤嘱託職員に準じており、報酬額は勤務年数ではなく経験給の導入は難しい。今回のリーダー手当は、関係機関との連絡調整や災害時の指揮などリーダーの役割があり導入するものだ。

【徳永副市長】

○ 原発・災害対策について

 食品測定器の設置では、これまで流通食品や学校給食食材など385検体を検査したが、新基準値を超過するものはなかった。保健所にゲルマニウム半導体検出器を整備し、乳児用食品等へ対象を広げ、学校・保育所等の給食の丸ごと検査を実施、市民に結果を公表する。検査に適した環境で正確な測定が必要であり、各区役所に設置することは考えていない。

 放射線量が高い場所への対応は、内閣府・文科省・環境省の3省からの通知、福島県以外の「放射線量の高い個所への対応方針」で、地表から1mでの空間放射線量率が1μSv/h以上が確認された場合、簡易除染を実施する。0.23μSv/hへの対応など、国の基準より厳しい基準を市独自に設定するのは困難だ。市民からの通報には、再測定を実施し1μSv/h以上が確認されたら、速やかに情報公開し簡易除染を実施する。これまで、1μSv/h以上の数値は確認されていない。

○ 地域経済活性化について

 雇用奨励補助は、あらたに市内に誘致することで地域経済の活性化、雇用創出、税源の涵養を図るもの。企業立地をさらに進め、他市に負けないインセンティブとして加えたものだ。既存の中小企業は、ハローワークの紹介で雇用する場合の助成制度は、国の若年者を正規雇用化した際の特別奨励金や高齢者の雇用への助成など様々な制度があり、活用を促していく。

○ 商店街の支援策について

 商店街から要望があった事業計画を精査し予算化しており、商店街の事業計画量で毎年予算の増減がある。H22年度から24年度は微増だ。市産業振興財団と連携し、市内商店街を個別訪問して、会長と意見交換する中で、活性化の先進事例の紹介や商店街ニーズ掘り起こしを行っている。

○ 新規就農対策について

 新規就農者推進事業は、H18年度から取り組み、研修終了した8人が就農した。H24年度に国の制度を活用し、支援する農業者は6人予定しており、新たな担い手の経営安定に効果があると考えている。

 千葉市の制度では研修期間中の2年間、1か月5万円、年60万円支援する。国も2年間、150万円支援するが、国は支援の併用の可否など詳細な方針が出ていないので、動向を見極めたい。

○ 太陽光発電について

 H24年度の助成件数500件は、昨年度の実績を踏まえ設定した。実施には、助成単価1kW3万円は継続するものの助成件数等は、応募状況を踏まえて対応する。

○ 耐震改修制度について

 H22年現在、対象戸建住宅は約15万4千戸存在し、耐震性に問題があると推測される戸建住宅は、約4万3千戸であり、耐震化率は約72%だ。

 喫緊の課題である住宅の耐震改修助成制度を拡充し、予算を増やして重点的に取り組む。地域経済の活性化や市内業者の育成・振興のため、高齢者住宅改修支援サービスや7事業で市内業者を活用したら助成割合を上乗せするなど、施策の優先度に考慮し他予算内容にしている。

 木造住宅の耐震改修は、H23年度予算では20件だったが、大震災の影響で申請が増え43件助成した。H24年度は例年の予算件数を50件にし、内容の充実を図る。分譲マンションは新たに助成対象に加えたが、他都市の実績も参考に1棟にした。

○ 自転車対策について

 第9次、市交通安全計画で警察や学校等と連携し、自転車の安全利用を推進しており、自転車利用者が守るべき5原則、「自転車走行は車道が原則、歩道は例外」「車道は左側通行が原則」「歩道走行時は歩行者優先で車道寄りを徐行」などの普及へ、交通安全教室を開催している。市政だよりや各種キャンペーンの機会に安全利用のルールを周知、啓発活動を実施している。また、事故再現を取り入れた交通安全教室などで、利用者に交通安全意識の醸成を図り、自動車運転者にも車道走行の自転車との事故防止の安全教育を強化する。

 今、市民ボランティアと自転車走行環境マップ作成へ現地調査を実施している。調査結果を基に、自転車レーンを基本に利用者の安全性やネットワークに配慮した計画を策定予定だ。計画策定にはワークショップを開催し、利用者の意見を取り入れていく。

【総務局長】

○ 災害へのソフト面の対応について

 戸別受信機は、電波環境が良好な条件下で室内へ確実に情報を伝える手段の一つだが、無線基地局を移設し、電波状況を改善した上で導入の可能性を検討したい。市民が災害時に情報を収集できるよう整備することは重要なことだ。防災行政無線のほか、安心メール・エリアメール・ホームページ・広報車・掲示・回覧板などの手段で情報を伝えるが、地元のテレビやラジオ局との「協定」を見直し、市民が必要とする災害情報を提供できるよう整備する。

 自主防災組織が見結成な地域には、アンケート調査や個別説明会を開催し、防災訓練の見学を勧めるなど結成促進に努め、今年度は新たに21の自主防災会が結成され、929団体・全世帯に対し63.3%となっている。

 災害弱者への支援は、「要援護者支援計画」に基づき、避難支援体制構築と福祉避難所指定を進めている。支援が必要な人が安全に避難できるよう、自治会等が「支え合いカード」を作成し、安否確認や情報提供、避難支援を行う事業を全市的に推進している。福祉避難所は、各小学校区に「福祉避難室」の指定や「拠点的福祉避難所」を市立施設21か所指定した。民間施設にも広げていく。消防局では、火災発生時に自力での避難困難者の安否確認や消防隊での救出救助・避難支援を行うので、所在や連絡先、かかりつけ医療機関などの情報を指令システムのGISに組み込み対策を講じる。

【財政局長】

○ 確定申告の雑損控除について

 雑損控除の確定申告は、税務署で受付るが、先の震災で被災した市民がおり、申告手続きは税務署と協議し、総合保険医療センターと美浜区役所で3日間、延べ5回説明会を開催した。昨年12月には、雑損控除対象や控除額の計算方法、手続、説明会日程などを記載した「納税だより」を自治会で回覧し、新聞や「市政だより」、ホームページで説明会開催を知らせ、雑損控除に必要な添付書類を知らせた。

【建設局長】

○ 生活道路の整備について

 土木事務所は、市民生活に欠かせない道路維持管理や整備を行う部署であり、計画的な橋梁耐震補強等の事業費を除いた道路新設改良費は必要な予算を確保し、市民生活に支障がないよう取り組む。

【消防局長】

○ 共同運用消防司令センターについて

 共同運用消防指令センターの業務は、県北東部・南部ブロック20構成消防本部からの派遣職員で119番通報を受け持つので、119番入電時は発生場所が表示される「位置情報システム」や災害発生場所を受け持つ職員の3者通話ができる機能、事前に登録した目標物などで発生場所を特定する機能など減等で効率化を図り、警防部門や予防部門へ職員を再配置することで、消防力の充実強化を図る。

 共同運用消防指令センターでは、指令システムの高機能化で受信能力向上や通信員確保が図られる。また、20構成消防本部の災害情報が集約されることや部隊の運用状況が一元的に把握できるので、ゲリラ豪雨など一時的に集中する災害や大規模・広域的な災害に、隣接消防本部相互で速やかに応援体制が確立されるので、市民の安全に寄与するものだ。

【教育長】

○ 統廃合問題について

 学校適正配置実施方針では、統合校は施設・設備面で新設校と同程度の設備を整備する。大規模改修を基本に、リニューアルすると決めている。今回の工事は、耐震性確保やエレベーター増設、プール改修、内外装の老朽化部分の更新、給食室やトイレの床のドライ化を行う。

 地元代表協議会には、対象地区の自治会、小中学校のPTAなど保護者組織、地域の青少年育成団体など学校に関わる各種団体代表者で構成している。協議内容は、各団体へ持ち帰り、意見収集を行い、地域や保護者等の意見を幅広く反映できる仕組みになっている。

 地元代表協議会は、小規模校のメリット・デメリットなど統合の必要性を十分時間をかけ協議している。統合の合意ができたら、統合の組み合わせ・時期・統合校の位置へ協議を進めている。

 議事録や会議資料は、すべて一般に公開されている。学校・自治会・幼稚園等の単位で個別説明会も実施している。保護者や住民からの意見聴取では、随時、地元代表協議会に報告しているので、地域の多くの声をもとに協議されている。

○ 学校給食について

 調理業務の委託校では、柔軟な職員配置と民間ノウハウや専門性で労働力が安定し、栄養職員は調理業務に従事せずにすむようになり、児童への個別栄養指導や相談に係る時間が増え、学級担任と連携し「食に関する指導」の充実が図られている。

 常勤調理員の年齢不均衡など給食運営上の諸課題を解決し、安全安心・魅力ある給食を安定供給するため、先進事例などを踏まえ、給食調理業務の民間委託を開始した。委託化の推進で栄養職員を中心に食育の充実が図られ、委託した学校での児童・教職員のアンケート結果からも、魅力的な給食が提供されている。

○ 高等特別支援学校整備について

 対象の生徒は軽度の知的障害があり、公共交通機関を利用し自力通学可能な生徒だ。募集定員は、1学年4学級・32名、3学年合計96名で、H25年度は第1学年のみ市内全域から募集する。職員確保は、生徒数に応じて国の定数標準法で教職員が配置されるので、県教育委と協議しながら専門性の高い教職員を配置したい。

<2回目>

【熊谷市長】

○ 消費税について

 国民のセーフティネットである社会保障制度を維持するには、消費税などの安定財源が不可欠だ。低所得者に対する影響への対応など、今後の「一体改革」論議を注視したい。

○ TPP参加について

 交渉参加の是非を判断するには困難だ。政府は日本への影響など情報を提供し、国民的議論を深めるべきだ。

○ 公務員給与カットについて

 減額処置で地域経済に大きく影響するとは考えられないが、市民への影響を軽減するためにやむなく実施しているものだ。減額措置の早期緩和へ努力していく。

○ 災害への対応について

 福島第一原発の事故後、9都県市として安全で環境に優しい再生可能エネルギーの普及拡大を国に要望し、湾岸4市で東電に原発事故の関する情報開示を要望した。原子力発電の位置付けは、国で審議中であり動向を注視したい。

 液状化対策は、街づくりのひとつであり、住民の負担軽減へ支援を検討している。液状化対策の事業概要の取りまとめの中で、具体的支援内容を示して行く。

○ 大型開発について

 マニフェストで示した通り、これまでの進捗状況や事業効果などを見て、すでに最大限見直した。

 千葉西口再開発は、A棟敷地で買収した面積は1,426平方メートルで、取得額は約71億4,200万円、現在の評価額は約9億4,200万円、およそ8分の1になっている。B棟敷地は、買収面積2,815平方メートルで取得額は約62億9,800万円、現在の評価額は約9億9,900万円、およそ6分の1になっている。

 B棟は、A棟が完成し、駅前広場や都市計画道路開通、駅ビル建替え後の状況を見ながら賑わい創出手法も含め敷地活用方法を検討していく。

 蘇我スポーツ公園では、非常時には迅速な情報伝達とアリーナなど安全な施設へ誘導するため、スピーカーなど放送設備を設置中だ。18,000人収容のアリーナでの避難誘導は、試合運営者や指定管理者が安全確保に努める。広く市民の声や近隣事業者・自治会の協力を得て計画を見直したものであり、今後も整備を進めていく。

○ 熊谷市政の3年間について

 市税収入の伸びが見込めない一方、扶助費の増加、公債費の高止まりなど厳しい財政状況が続く。市民が必要とする事業を推進し、自立し持続可能な市になるため、市民生活への影響が少なくなるよう配慮しながら、健全財政を目指す。

 受益者負担の適正化、事業の安定的な継続を市民への影響に配慮しながら、見直すことにした。高齢化の進展で介護や認知症対策を強化し、新年度予算では、総合的な相談へ介護予防ケアマネジメントを行うあんしんケアセンターを倍加し、医療・介護機関の連携で認知症患者への対応を強化するため、認知症疾患医療センターを開設する。

○ ごみ減量について

 更なるごみの減量へ、町内自治会への説明会や廃棄物適正化推進員の協力で分別の徹底と、ごみの排出抑制へ周知・啓発を図る。プラスティックの再資源化は、国が容器包装リサイクル法の改正が検討されており、国の動向を注視たい。

 家庭ごみの有料化は、負担の公平化を目的とするものだ。減量化に取り組む市民の不公平感をなくすものだ。市民の意識改革を進める有効な手段だ。ごみ処理費用が削減されれば、必ずしも

負担増にはならない。実施に向けては十分な周知・準備期間を設け、市民理解と協力を求めていく。

【藤代副市長】

○ 東大緑地植物実験所の跡地について

 当該実験所は、市街地の中に残された貴重な緑地である。市としても維持・保全する方法を東大と協議していく。

○ 保育所について

 国は、新システムで要保護児童、障害児等の特別支援を要すると判断した場合は、市町村が関係機関と連携し、調整を行い、利用可能な事業者を斡旋することになる。事業者には当該子どもの受け入れを要請することになる。新システムでも市として、実施主体と設置認可・指導監督等の主体としての責務を果たしていく。

 公立保育所の建替えは、老朽化が著しく保育環境からも早期改築が必要だ。現在、「基本的な考え方」を3月中に取りまとめへ審議中なので、条件が整った保育所から順次計画を策定し、早期改築工事に着手する。その際、待機児童解消へ定員増や「一時預かり」、「延長保育の時間延長」など機能の充実も検討していく。

○ 子どもの医療費助成について

 子育て施策は、限られた財源の中で、優先順位を見極め予算配分している。子どもの医療費拡大は、相当の財源が必要だから将来的財政見通しのもとで判断する。

【徳永副市長】

○ 原発・災害対策について

 食品は国の通知により、県主体に出荷段階で農産物等の検査を実施しているが、市民への食品の安全確保から流通食品も検査している。今後、飲料水や乳児用食品などを新たな基準値に対応するため、保健所にゲルマニウム半導体検出器を整備し、検査を行う。低濃度の放射性物質の測定には、約1.8tの重量検出器、外部の放射性物質の影響を受けにくい場所への設置、液体窒素の取扱知識や測定技術が必要などがあるため、各区への設置は考えていない。

 これまで学校・保育所・公園等での清掃活動や環境整備の中で、放射性物質がたまりやすい個所への対応を図ってきた。12月からの市民の積算線量計測定では、国の基準である年間追加被ばく線量の1mmSvを下回っているが、基準を上回った場合は簡易な除染を実施する。

○ 企業立地について

 中小企業の果たす重要な役割は認識しているが、今回の雇用励補助の新設は、奨企業立地促進の一環であり、企業を市内に誘致するためのものだ。既存の中小企業支援は、資金融資制度や各種施策があり、活用の推進に努める。雇用は国の各種助成制度があるので、制度の活用を促す。