安喰武夫議員の一般質問および答弁(要旨)

2012.3.13

1.総合交通政策(案)及び施策の推進計画(案)について

<あぐい武夫議員>

写真 まず、総合交通政策(案)及び施策の推進計画(案)についてです。

 千葉市は2010年に、学識経験者や専門家による千葉市総合交通政策会議を設置し、千葉市の交通政策のあり方について議論を重ねてきました。同政策会議は昨年10月、「千葉市総合交通政策への助言・提言書」を発表しました。

 千葉市は、この「助言・提言書」に基づき、総合交通政策(案)及び施策の推進計画(案)を作成し、2月14日から3月14日までパブリックコメントを実施しています。

 そこで、質問しますが、総合交通政策(案)を作成するうえでの考え方、重視した視点について明らかにして下さい。

<都市局次長答弁>

 総合交通政策は、少子超高齢社会の到来、環境問題と市の財政状況から都市の魅力向上や活性化に資する交通体系を構築し、公共交通の一層の利便性向上を図る。重視した点は、交通ネットワーク形成の根幹や幹線ルートを位置づけ、公共交通維持が困難な地域への対応を図り、一元的な計画と運行を目指して、事業者や行政、地域住民などの関係者間で合意形成を図るなどガバナンスを高めることにある。

<あぐい武夫議員>

 先ほどの考え方の中に、「財政状況を見すえ」とありましたが、この点は非常に懸念するところです。スクリーンをご覧下さい。

 総合交通政策(案)は、基本方針の中に「本市の財政状況」を位置付け、厳しい財政について訴えながら、「交通政策においても、事業の選択と集中により、効率的に事業を推進していく」とあります。この考え方は、効率の悪いところはやめて、採算に見合うところに力を集中しようということなのでしょうか。お答えください。

<都市局次長答弁>

 効率的な事業の推進とは、10年の期間を設定する総合交通政策に位置付けた全ての施策を、初年度から同時には取り組めないので、施策の熟度、重要性、緊急性、有効性などから優先度を見極めて着手する時期を振り分け、実施するという意味だ。

<あぐい武夫議員>

 優先度を見極めて着手するということですが、そもそも基本方針に「財政状況」を入れること自体、ふさわしくありません。千葉市総合交通政策会議の「助言・提言書」の政策のあり方の中にも、「財政状況」という項目はありません。

 交通政策の基本方針というのは、「交通のあり方はどうあるべきか」の原則を示すものであって、「厳しい財政状況」を大前提に掲げて考えるものではありません。

 総合交通政策(案)は、第5章の「公共交通の維持が困難な地域への対応」の項目の中で、「行政の補助も含めて」としながらも、あえて「地域住民にも負担を求める」と明記しています。この政策を読んだ市民からは「市にお金がないから、住民が負担せよと言われているようだ」「お金が出せない地域は我慢しろということか」などの声がでています。そもそも交通とは、地域住民にとって、通勤や通学、通院、買物など、生活にかかせないものです。だからこそ、日本弁護士連合会などは、日本国憲法の基本的人権の一環として、誰もが安全で快適に移動する権利、いわゆる交通権を保障されるべきだと主張しています。基本方針では、こうした見地こそ位置づけるべきです。総合交通政策(案)の基本方針から「本市の財政状況」の項目を除くべきではありませんか。見解を求めます。

<都市局次長答弁>

 基本方針とは、総合交通政策に位置付けた施策に取り組む要件を明らかにするものだ。施策の推進には予算の裏付けは不可欠であり、市の財政状況も考慮する必要がある。

<あぐい武夫議員>

 予算の裏づけのために必要とのことでした。政策の具体化や実施段階において、その時点での財政状況を踏まえることは必要なことです。しかし、10年間を見通した政策を考える基本方針の中に財政状況を入れることはふさわしくありません。他の基本計画などでも、基本方針や基本方向などには財政状況はほとんど入っていません。

 結局、「厳しい財政状況」を基本方針に入れて、政策全体を縛ろうということです。それによって、交通の重要性を踏まえた政策展開が、「財政が厳しい」ということで歪むことになります。基本方針から「財政状況」を削除することを重ねて求めておきます。

 次に、政策を作成するうえで、市民の声をたくさんつかむことが必要です。

 総合交通政策(案)へのパブリックコメントは明日、3月14までですが、現時点で、どんな意見がよせられたのでしょうか。人数、件数、主な内容について、お示し下さい。

<都市局次長答弁>

 現在3名から5件の意見が寄せられている。公共交通の骨格的ネットワーク、乗り継ぎの改善、バス運行情報システムの推進、公共交通の維持が困難な地域への対応などへの意見だ。

<あぐい武夫議員>

 パブリックコメントは明日で締め切りですから、これからたくさん来るとは思えません。このわずかな人数で、市民の声を聞いたとはならないと思います。さらに、市民の声をつかむ努力を求めておきます。

 次に、公共交通の維持困難地域への対応についてです。

 総合交通政策(案)では、公共交通の維持困難地域への対応として、地域住民の自主的な活動への支援をするとしています。稲毛区内では、「宮野木地域から千葉医療センターや千葉駅方面に走るバスがない」「作草部・轟や、黒砂・緑町地域から、区役所に行けるバスがない」など、高齢者を中心に声があがっています。こうした声があるからといって、住民の自主的な活動が必ず起こるわけではありません。

 こうした地域については、地域住民の自主的な活動を待つのではなく、住民の中に入って声を聞き、地域にふさわしい具体的な交通政策を持つべきではないでしょうか。それとも、自主的な活動が起こらないところには、支援はしないということなのでしょうか。

<都市局次長答弁>

 バス交通などの維持・確保には、地域住民の公共交通の意義や重要性を認識し、地域住民自らが公共交通を支え育てるとの認識で利用する、自主的活動が不可欠だ。そのための組織づくりへの支援や、公共交通に関する専門家を派遣するなどの支援を行う。

<あぐい武夫議員>

 待ちの姿勢ではなく、組織づくりも支援するということなので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。その場合、困っている住民の声をよく聞くことが大切です。その点でお聞きしますが、今後、施策の推進計画(案)が実施段階になれば、地域住民の具体的な声や意見を十分に反映させることが必要です。特定の地域住民へのアンケートや、地域懇談会などを行うことを提案します。お答え下さい。

<都市局次長答弁>

 公共交通を維持・育てるには、地域住民の公共交通の意義や重要性を認識し、運営に参画するが重要だ。アンケートは地域活動の中で必要に応じて住民が主体に行うものだが、自主的活動は支援していく。

<あぐい武夫議員>

 住民が主体となることは必要なことですが、住民任せになってはなりません。市としても住民の声をつかむ立場に立って、積極的に支援していただきたいと思います。

 次に、公共交通の維持困難地域への対応の中で、「地域住民にも負担を求めていく」としています。具体的には、自治会からの協力金や沿線世帯でのフリーパス券購入、地元企業のバス車両への広告掲示などを提案しています。こうした取り組みがうまく実施できない場合には、バスの運行の継続や新規運行はできないということなのでしょうか。

<都市局次長答弁>

 地域住民が主体に、計画や運営に参画することが大切であり、地域での一定の負担は必要なことだ。地域住民が望む輸送形態や運行計画などを自ら検討し、運行経費に不足が出たら地域での負担の有無・運行の可否などを地域で話し合う必要がある。

<あぐい武夫議員>

 住民の話し合いで運行の可否を決めるということですが、現在運行している若葉区の3つと花見川区の1つ、計4つのコミュニティバスも、同じ方針でのぞむのでしょうか。また、この地域は、とくに公共交通の維持困難地域です。4つのバスは地域住民の生活を支える重要な交通機関になっています。様々な困難があっても、市の責任で運行を継続することを求めます。お答えください。

<都市局次長答弁>

 市が運行を委託する若葉区の3つのコミュニティバスは、利用者の低迷により地元運行協議会を開き運行ルートや本数などの見直し作業を始めている。見直した計画で運行し、利用状況を検証しながら将来的には地域での負担も協議することになる。花見川区で運行中のコミュニティバスは、民間バスの自主路線でもあり、事業者は今後も現状の運行を継続するとしているが、撤退する場合は地域住民が主体に計画づくりや運営に参画してもらい、住民参画型のコミュニティバスへ移行する協議を考えている。

<あぐい武夫議員>

 地元と協議していくとのことですが、協議の結果、廃止とならないようにしていただきたいと思います。この地域のバスは住民の生活にかかせないものです。とくに、高齢者にとっては重要です。様々な工夫も含め、市の責任で運行を継続するよう求めておきます。

 次に、行政の補助についてです。総合交通政策(案)は、公共交通の維持困難地域への対応として、住民の負担とともに「行政の補助も含め」とあります。「行政の補助」とはどのような内容を考えているのでしょうか。

<都市局次長答弁>

 利用者の運賃で賄えない部分は、地域全体での負担を前提に、一定の補助を考えている。その仕組みについて検討中だ。

<あぐい武夫議員>

 「一定の補助を行う」ということですが、その前提は、運賃の不足分を地域全体で負担するということです。地域によっては負担できないところもあります。これでは交通機関を走らせる展望は見えてきません。行政が住民の暮らしを守る立場に立って、ふさわしい補助をすべきです。お答えください。

<都市局次長答弁>

 補助の仕組みなどを検討中だが、地域全体での負担を前提に、全市的な公平性や持続可能な運行への仕組みを考えていく。

<あぐい武夫議員>

 地域全体での負担という前提に固執しているようですが、それではうまく行かないと思います。公共交通の維持困難地域へ、新たな交通機関を通すことは様々な困難があります。これを打開しなければ、住民のくらしを守ることはできません。住民が住めなくなれば、まちもなくなります。まさに、公共交通は、まちづくりの土台です。地域全体での負担を大前提にするのではなく、負担ができない地域もあるわけですから、市民のくらしを守る立場に立って、市の補助を充実させることを強く求めておきます。また、すでに、地域によっては、自主的な活動が始まっています。緑区土気地域では、交通問題プロジェクト会議を立ち上げています。ここでは、循環バスを走らせる具体的な計画を立案し、アンケート調査も行い、実現に向けて取り組んでいます。稲毛区内でも、社会福祉協議会の緑・黒砂地区部会が循環バスの運行を求める署名運動を始めています。こうした自主的な活動が始まっているところについては、さっそく支援すると同時に、具体的な要望があれば、積極的に応えるよう求めておきます。

2.社会教育施設としての公民館について

<あぐい武夫議員>

 次に、社会教育施設の公民館について伺います。

 千葉市は2010年11月に公民館利用に関する調査をしています。それによると、「公民館とコミュニティセンターでは設置目的が違う」との問いに対して、「イエス」と答えたのは、利用者で35.6%、インターネットモニターでは13.9%でした。違いがあまり知られていない現状があります。

 そこでまず、「社会教育法」を踏まえ、公民館の役割・目的を明らかにして下さい。また、類似施設と見られてしまうコミュニティセンターについても目的・役割を明らかにして下さい。

<教育次長答弁>

 公民館は、社会教育法で学習機会や学習の場の提供、社会教育関係団体の育成などを通じ、市民主体の地域づくりを行うことが主な目的だ。そこから、施設利用だけでなく地域の課題等さまざまな主催事業の実施を担っている。コミュニティセンターは、地域コミュニティの活動と連帯感醸成が設置目的であり、活動の場と機会を提供し、市民の主体的コミュニティ活動の促進や支援を行う役割がある。

<あぐい武夫議員>

 公民館が様々な主催事業を実施している点が、コミュニティセンターとの大きな違いだと思います。それでは、47の公民館が取り組んでいる定期講座や講演会などの主催事業について、この間の主なテーマについてお示し下さい。

<教育次長答弁>

 地域ニーズや社会的課題、ライフステージ間のバランス等を勘案し、子育て支援、自然観察、郷土の歴史、防災対策等をテーマに主催事業に取り組んでいる。

<あぐい武夫議員>

 このように、公民館とコミュニティセンターは法律や条例上の違いだけでなく、実態としても明確に違います。

 次に、社会教育施設にふさわしい公民館の運営について伺います。

 千葉市は、公民館の管理運営に教育委員会が責任をもっています。その理由、意義を明らかにして下さい。

<教育次長答弁>

 市民の学習意欲に対応し、学校や家庭、地域、関係部局との連携で社会教育施設としての公民館の管理運営ができるからだ。

<あぐい武夫議員>

 教育委員会が公民館を管理運営することは、もちろん法律で規定されています。スクリーンをご覧ください。

 「地方教育行政法」では、第23条で「教育委員会の職務権限」として、「第30条に規定する学校その他の教育機関の設置、管理及び廃止に関すること」「公民館の事業その他社会教育に関すること」と明記しています。第30条では、公民館は教育機関として位置づけられています。

 ところが、全国には公民館の管理運営を指定管理者が行っているところがあります。公民館や図書館など社会教育施設への指定管理者制度導入について、千葉市としてどのような考えをもっているのでしょうか。

<教育次長答弁>

 文科省から社会教育施設も指定管理者制度の適用が可能だと示されている。本市も他の公共施設同様に、社会情勢を踏まえて、果たすべき役割を確認しつつ、市民視点、納税者視点などから管理運営のあり方として検討すべきだ。

<あぐい武夫議員>

 導入を検討すべきとのことですが、問題だと思います。

 指定管理者制度は、小泉構造改革の流れの中で、「経費の節減」などをねらい「公の施設」への導入が実施されました。答弁にあったように平成17年、2005年には、社会教育主管部課長会議で「社会教育施設における指定管理者制度の適用について」という文書が出され、公民館など社会教育施設への導入が可能となりました。もちろん「できる」ということで、義務化されたわけではありません。導入したところでは矛盾も生まれています。2008年5月23日の衆議院文部科学委員会の「社会教育法等の一部を改正する法律案に対する付帯決議」では、「公民館、図書館及び博物館等の社会教育施設における人材確保及びそのあり方について、指定管理者制度の導入による弊害についても十分に配慮し、検討すること」との文言が入りました。ここでいう「指定管理者制度の導入による弊害」とは、どのようなことなのでしょうか。

<教育次長答弁>

 指定管理者制度の導入にあたり、長期的視野での運営、人材の育成等に配慮すべきとの趣旨だと理解している。

<あぐい武夫議員>

 つまり、長期的視野に立った運営や人材育成について、「弊害が生じるから配慮しなさい」ということです。このように社会教育施設への指定管理者制度導入には問題があります。本来、社会教育は、専門知識をもつ社会教育主事が地域住民と結びつき、時間をかけてすすめていくものです。期間が定められる指定管理者制度では、社会教育施設としての公民館運営は困難となります。

 公民館への指定管理者制度導入はやめるべきです。お答え下さい。

<教育次長答弁>

 市民サービスの向上、設置目的の効果的達成など総合的視点から、管理・運営のあり方を検討すべきだ。

<あぐい武夫議員>

 「検討すべきもの」とい立場は変わらないようです。教育委員会が指定管理者制度の導入を検討するということは、教育委員会の役割を自ら否定するような重大な問題だと思います。指定管理者の導入を止めるよう強く求めておきます。

 公民館の運営上、指定管理者制度導入とともに問題なのは、有料化問題です。「コミュニティセンターが有料化したので、公民館も有料化すべき」との意見がありますが、先ほど述べたように、公民館とコミュニティセンターは役割が違います。千葉市は現在、公民館の使用料を条例で、市民は「無料」としています。無料としている理由、意義を明らかにして下さい。

<教育次長答弁>

 学ぶ機会、それを生かす活動の場の提供、団体の育成推進という社会教育法の趣旨から無料としている。

<あぐい武夫議員>

 自治体によっては公民館を有料化しているところがあります。千葉市として、有料化について、どのような考えをお持ちでしょうか。

<教育次長答弁>

 公民館の利用状況、市民意見などを踏まえ、受益者負担の公平性など多様な視点から検討すべき課題だ。

<あぐい武夫議員>

 「検討すべき」とのことですが、先ほどの答弁にあったように、社会教育法の趣旨から考えれば、公民館は無料であるべきです。公民館は地域の教育機関であって、所得にかかわりなく教育の機会均等が保障されるべきです。受益者負担を持ち出して有料化すべきではありません。公民館の有料化はやめるべきです。お答え下さい。

<教育次長答弁>

 多様な視点から検討すべき課題だ。

<あぐい武夫議員>

 公民館が有料化され、指定管理者制度も導入されれば、公民館はただの貸し館業を行なう施設となってしまいます。社会教育主事については、今でも47館中12館に14人しかいません。これも問題ですが、法律上、公民館への配置義務がないわけですから、ゼロになる可能性があります。これでは、千葉市の社会教育は大打撃を受けることになります。利用者のみなさんからも「有料化され、指定管理者になると、公民館はどうなるのか」と不安の声が寄せられています。教育委員会が、社会教育施設としての公民館の役割、重要性を踏まえて、教育委員会の管理運営で無料の施設として発展させることを強く求めておきます。

 最後に、公民館の運営予算について伺います。

 公民館が社会教育施設として、定期講座や講演会など市民要望にそって取り組むには、予算が必要です。公民館の主催事業のための予算は1館平均どのくらいあるのでしょうか。

<教育次長答弁>

 H24年度予算では、主催事業での講師の謝礼である報償費は、1館あたり約14万円だ。

<あぐい武夫議員>

 年14万円ということですが、1ヶ月にすればわずか1万2千円程度です。これでは、住民の要望に応える事業はできません。予算をさらに増やすことを求めます。お答え下さい。

<教育次長答弁>

 公民館の役割である知識の循環や人と人とのネットワークづくりへ、予算を最大限に有効活用し、地域人材やボランティア、講座修了者の協力をうけ、関係部局と連携して事業の充実に努める。

<あぐい武夫議員>

 月1万2千円の予算を最大限に有効利用するといっても、これ以上は無理です。

 また、公民館が無料だからこそ、講師の方々もボランティアで取り組んでいただけるわけです。これ自体は素晴らしいことであり、感謝しなければなりません。

今、様々な社会問題が発生する中で、住民は専門的な知識も求めています。しかるべき専門家を講師に呼ぶには、さらに予算が必要です。

 予算の点でも、社会教育施設としての公民館の役割、重要性を踏まえて、増額するよう求めておきます。

3.民間工事現場の安全について

<あぐい武夫議員>

 最後に、民間工事現場の安全について伺います。

 まず、事業者倒産に伴う工事中断による危険な工事現場についてです。不況が続く中で、中小企業の倒産が後を絶ちません。会社が倒産したために、工事が中断される場合があります。その現場の中には、斜面を削り崖ができたり、大きな穴があき、危険な状態のままで放置されているところもあります。稲毛区柏台では、そうした事態が発生しています。千葉市内で、これまでに民間事業者の工事中断によって危険な工事現場が発生したことはないのでしょうか。また、発生したとして、市の対策はとられたのでしょうか。

<都市局次長答弁>

 宅地造成工事許可や開発許可に基づく工事で、危険な状態だとの通報を受けた事例はある。その際は、許可権者の千葉市が事業者を指導し、安全対策を講じさせている。

<あぐい武夫議員>

 市が許可する工事現場では、危険な現場が発生し、対策もとったということです。しかし、許可のないところは、把握していないということだと思います。

 それでは、千葉市内で、工事期間中も含め、斜面を削ってできた崖が崩れたことはないでしょうか。

<都市局次長答弁>

 市民からの通報や職員のパトロールで、斜面を削ったことで崩れた崖を確認したことはある。

<あぐい武夫議員>

 市内にも崩れた事実があるということでした。私も、そうした現場を確認しています。やはり崖は崩れる可能性があります。しっかりとした対策が求められます。

 こうした実態があることを踏まえて、稲毛区柏台における危険な崖への対策についてです。現場の写真をご覧下さい。崖の前の道路は柏台小学校への通学路であり、現場の地面には大きな穴があります。周辺の保護者のみなさんは、たいへん心配しています。まず、稲毛区柏台の工事中断によってできた崖の高さや、現場の穴の大きさなどを把握しているのでしょうか。また、子どもが現場に入って遊び、穴に落ちた状況などはつかんでいるのでしょうか。

<都市局次長答弁>

 近隣住民から、危険なので出入り部分に柵の設置を要望され、土地所有者に連絡し設置されている。その後、斜面にブルーシートの設置をとの要望を受け、再度連絡したが連絡が取れず未設置のままだ。崖の高さ8mと把握しているが、穴の大きさや子どもが穴に落ちたことは把握していない。

<あぐい武夫議員>

 現場については把握しているとのことですが、土地の所有者や工事を行った業者は今、どうなっているのか、状況を把握しているのでしょうか。

<都市局次長答弁>

 土地所有者とは依然連絡が取れず、造成工事事業者を把握できない状況だ。

<あぐい武夫議員>

 本来であれば、この危険な状態に対応するのは、所有者や業者です。ところが、連絡が取れず、どこにいるのか分からない状態になっているのですから、住民は困っているわけです。この崖は近隣に危険を及ぼす状態にあり、地域住民は「早く対策をとってほしい」と願っています。行政として放置するのではなく、安全対策をとるべきではないでしょうか。

<都市局次長答弁>

 今後、安全対策を庁内関係部局と協議していく。

<あぐい武夫議員>

 この問題で、千葉市は当初、地域住民の訴えに対して、開発許可などを必要としない工事なので、市は対応できないとのことでした。そのために対策は一歩もすすみませんでした。崖は大雨や地震などで、いつ崩れるかわかりません。住民は不安を抱えたまま生活しています。こうした自体の中で、住民が頼るところは行政しかありません。市民の安全、安心を守るのは行政の責任です。

 庁内関係部局で協議するということなので、確実な安全対策をとっていただくことを重ねて要望して、一般質問を終わります。