もりた真弓議員の条例提案理由の説明

2012.6.7

写真 日本共産党千葉市議団のもりた真弓です。

 千葉市障害者雇用対策検討委員会設置条例(案)の提案理由の説明を行います。

 この条例の目的は、千葉市の障害者雇用の促進を図ることにあります。障害のある方が地域で自立して生活をしていくために、仕事に就き収入を得ることには大きな意味があります。「働くこと」は社会参加や地域貢献にとどまらず、生きがいや日々の生活の活力につながり、新たな可能性へと発展していくことも期待できます。

 現在千葉市では、厚生労働省から委託を受けた「障害者職業能力開発プロモート事業」及び「千葉障害者就業支援キャリアセンター」での「障害者就業・生活支援センター事業」の2つの事業を実施していますが、今後は、障害者の就労実態を細かく把握し、詳細な分析にもとづく就労支援という課題も担うことになるのではないかと考えます。そこで、さらなる障害者の雇用促進をめざして、検討委員会の設置を求めるものです。

 身体・知的障害者の雇用は、障害者雇用促進法で支援されていますが、発達障害などへの雇用は決して十分ではありません。行政としての就労支援とは福祉局・都市局・建設局・経済農政局はじめ関係する部局が役割を果たすことであり、NPO法人・民間企業団体と協力して雇用を確保することです。

 就労支援を進めるには、その方の障害特性や適性について把握するため、時間をかけてじっくりと向き合うことが必要ですが、就労前訓練を十分に行う実習先や人手が限られていては、思うような結果につながりません。

 東京の町田市では、複数の障害者就労支援センターがあり、見学させていただいたセンターでは、同じ法人内の施設で実習訓練を十分に行い、就労移行支援事業所・就労継続支援A型・B型など、利用者の障害特性に応じた支援が行われていました。5年前に開店したパン屋さんは地域にしっかり溶け込んで、幼い子供たちとお母さんたちの憩いの場として定着し、今年の5月5日子どもの日には待望の2号店が開店の運びとなったそうです。

 また、ワタミやブックオフなどからの求人案内を受け、2人〜6人までの複数人が3か月のアルバイト採用の後、正規の雇用へ採用になったとの話もありました。各施設と企業の採用担当者をつなぐ形で、あらかじめ障害のある人の特性や長所、企業が望む人物像やスキルを双方に伝えたことで就労に結び付いたとのことでした。

 障害者の就業には雇用する側と雇用される側の双方の理解と歩み寄りが必要です。近年、企業の求人情報や雇用に関わる制度などで企業との関係を持つなどの取り組みがなされ、そうした理解ある企業も増えつつありますが、まだまだ限られた企業や業種にとどまっています。

 加えて、今後は現在ある企業への就労支援とともに、障害のある方の能力が発揮できる場、新たな就労の場を作っていくことも、雇用対策において課題となってきます。障害のある方が生きがいを持って、長く働き続けることができる環境や地域との関係づくりなども総合的に判断・検討が求められます。また、地域で自立して生活をするための住宅の確保なども含め、広い視野に立った支援が必要と考えます。

 そこで、委員会では、特別支援学校や障害者施設・ワークホームなど関係団体はもちろん、市民・一般企業の代表者も含めた委員の参加で幅広く検討・協議し、きめ細かな専門性を生かした部会で、障害者代表や経営者代表等からの意見を吸い上げ、障害者の就労・雇用対策の抜本的充実を図ります。

 発達障害は、周りの理解や支えによって力を発揮し、十分に仕事ができる人も多くいます。

 長い間、制度のはざまに置かれ、十分に対応されてこなかった発達障害者等に対する、社会参加への“助走期間“となる相談、支援、就労の場を増やすなど、必要な調査・研究を含め一層の支援の充実が求められています。

 以上、障害者雇用促進のための対策検討委員会を設置する条例制定にご賛同いただきますよう申し上げ、提案理由の説明を終わります。