ふくなが洋議員の議案質疑と答弁(要旨)

2012.6.12

写真○ 議案第72号・専決処分について

【ふくなが洋議員】

 国民健康保険事業の特別会計の繰り上げ充用の専決処分についてうかがう。
 平成23年度33億7,576万円法定外繰り入れ、すなわち一般会計から繰り入れるものだが、平成23年度は1億164万円の黒字見込みとなっている。この背景はなにか。また、累積赤字はいくらか。
 平成21年度・22年度はなぜ繰り入れを実施しなかったのか。
 国保問題は、これまで高すぎる保険料、強制的な保険証の取り上げ・保険料の徴収など、自民党政権以来厳しい状況が続いている。
 民主党政権のもとでは国保料の値上げ、滞納制裁などがすすみ、この4月に国保給付財政を「都道府県単位」に統合する法案を国会で成立させた。こうした下、国保料の滞納世帯は全加入世帯の2割を超え、ペナルティーとして正規の保険証を取り上げられた世帯は、短期保険証・資格証明書を合わせ155万世帯にのぼる。一方、国保料の収納率は国民皆保険制度スタート以来、最低レベルだ。そこでうかがうが、国保の財政難を根本的解決を図らなければならないが、国保広域化の狙い、それで国保財政は改善するのか答弁を求める。
 国保財政危機の根本問題をどのように考えるのか。政府は、一般会計への繰り入れは「負担と給付の関係を不明確にする」と批判している。公的医療保険は負担と給付がリンクしないのは当然ではないのか。

【保健福祉局長答弁】

 H23年度収支は、徴収対策強化で保険料収入が増加し、65才以上の被保険者数に応じ交付金が増えたことから、単年度収支不足は昨年度比で約11億円減少する見込みだ。また、収支不足を上回る繰り入れをするので、累積収支不足は118億5千万円になる見込みだ。
 H21・H22年度は、一般会計が景気低迷で市税収入や税外収入が落ち込み、減収補填債を活用しても実質収支確保が厳しく、一般会計の赤字決算回避のため法定外繰入を見送ったものだ。
 国保の広域化は、高齢者医療制度改革と一体で検討されており、国の高齢者医療制度改革会議で、H30年度までに75歳以上を含め全年齢での都道府県単位化を図る案が出されている。広域化されたら、経営責任が市町村から新たな運営主体へ移り、財政運営が安定化するとされているが具体的な運営方法等が明確ではなく、財政面への影響については国の動向を見ていく。
 国保は高齢者や低所得者層の加入割合が高く、制度的に財政基盤が脆弱で医療費の増大が続くもとで、厳しい財政状況だと認識している。制度の抜本的見直しを国に求めていくとともに、市としても国保財政の健全化へ向け、アクションプランに基づき改善に努めていく。

○ 議案第78号・千葉市暴力団排除条例の制定について

【ふくなが洋議員】

 この議会で暴力団排除条例が提案されている。市民の安全安心にとって大事な条例なので質疑を行う。
 もともと「暴力団」の定義はどのようなものか。やくざ・反社会的集団・企業舎弟などと言われているが、どう違うのか。排除条例だから罰則が伴うが、その内容は。また、市民が相手を暴力団と確認する根拠は何か。
 市民生活のなかで、この条例はどんな利益をもたらすのか。なぜ条例を制定するのか。ほとんどの市民は、暴力団とは無縁の生活を送っている。その中で、何が必要なのか。
 例えば市内花火大会や夏まつりなどで街商を行う団体は、規制団体に入るのか。また、刺青があれば、暴力団と判断をするのか。真面目に街商を行う団体もあると聞くが規制するのか。
 これまで暴力団に対する規制は「暴力団対策法」など実施されてきた。その歴史的背景と、なぜ撲滅できなかったのかうかがう。
 全国や千葉市での暴力団の実態について説明を求める。また、暴力団のあり方も時代により変化しているが、その点はどうか。外国人による暴力団まがいの事件も心配されているが、対策は図られるのか。
 千葉市役所・議会などで、暴力団に関しどのような案件があったのか。また、市内で暴力団にからむ抗争事件はどうだったのか。
 先行した地方自治体で、暴力団排除条例の効果や課題・問題点はないのか。
 ふり込め詐欺、相撲賭博、芸能人と暴力団の関係、覚せい剤と条例の関連性について、それぞれ具体的にうかがいたい。
 組織的ではない反社会的団体の存在も指摘されている。これらの集団にも適用可能なのか。
 世の中には「悪い人」「良い人」がいるが、暴力団には「よい暴力団」はないと言われるが、暴力団は今後どうなって行くのか。
 現在、この暴力団排除条例には、有識者から異論・反論、問題点などが指摘されている。その指摘の内容と今回の条例はどうクリアされているのか。

【市民局長答弁】

 暴力団の定義は、「暴対法」で「団体の構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長する恐れがある団体」と規定している。「やくざ」は一般的に暴力団と同意に用いられている。罰則の内容は、中央区栄町及び富士見1・2丁目を暴力団排除特別強化地域に指定し、この地域で暴力団員だと知りながら、風俗営業等の特定接客業者が暴力団員に接客させること。用心棒にすること。営業を容認し対償に利益供与すること。「みかじめ」料を払うことや暴力団員がその相手方になることを禁止し、違反した者は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処するもの。市民が相手方を暴力団だと確認する根拠は、市警察に相談することになる。
 暴力団の排除は、市民の平穏な生活や事業活動の健全な発展に寄与することになる。警察等と連携し、市民・事業者・市が協力し暴力団との関係を遮断する仕組みや、資金獲得活動の規制で組織の弱体化を図る必要があり、条例を制定するものだ。市民に求められるのは、暴力団を「恐れない、資金を提供しない、利用しない」の「三ない」に基づき、行政・警察の取り組みと合わせて、暴力団排除の意識を高め、暴力団排除に取り組むことが重要だ。そのための情報等を市に提供するなど、市民の責務を規定している。街商の団体は、暴力団と関係ない健全な事業者は対象ではない。刺青は、その有無で暴力団員とは判断しないと警察から聞いている。
 平成に入り、暴力団の資金獲得や対立抗争事件への効果的対策が求められた背景には、H4年に指定暴力団構成員の不当行為のみを規制できる「暴対法」が施行されたことがある。この法律で、口止め料やみかじめ料の要求など、指定暴力団構成員が行う不当な行為は規制され、勢力は一時的に減少したが、横ばいの状況が続いている。暴力団は、同法の適用を逃れるため組織実態の隠蔽を強め、活動形態を不透明化し資金獲得活動を多様化させて、依然その勢力を維持し存続しつづけている。
 全国の暴力団勢力はH4年の約9万1千人が、H23年では約7万人になり、指定暴力団として現在21団体が指定されている。千葉県ではH22年末で約2500人、前年比約300人減少した。市内の勢力は、複数の組織が把握されているが構成員は公表されていない。近年、暴力団は組織実態を隠し、企業活動を装ったり、政治活動や社会活動を標榜するなど更に不透明になっている。証券取引や不動産取引など経済活動で資金獲得を巧妙に行っている実態がある。外国人による事件への対応は、暴力団まがいの犯罪は当然警察が対応することになる。
 市役所では、今年1月に暴力団員が生活保護費の不正受給で逮捕されたことがある。市内での抗争事件は、H16年5月に栄町で抗争事件があった。
 先行した自治体では、暴力団排除への強い姿勢を示し、市民の機運を高めている。課題や問題点は特にないが、H22年4月に条例をいち早く制定した福岡県は、H23年10月に暴力団排除を推進するため、北九州市・福岡市など主要な繁華街を特別強化地域に指定し、店舗への暴力団員の立ち入り禁止や事務所開設禁止区域拡大などの条例改定も行われたことから、状況に応じて条例の見直しも必要になると考えている。
 振り込め詐欺、相撲賭博、覚せい剤については犯罪なので、これらの情報を得た場合は、条例との関連に関わらず、当然警察に通報すべきだ。芸能人かどうかにかかわらず暴力団との関わりがある者は「密接関係者」として、条例の規定で市との契約等から排除されることになる。
 本条例は、市での暴力団排除に関する事項を定めるもので、暴力団と関係ないものには条例の適用はない。
 暴力団は、市民生活や事業活動に不当な影響を与える存在であり、警察が対応するとともに市民・事業者・地方公共団体など社会全体で排除に取り組み、弱体化や壊滅を図るべきものだ。
 この条例で表現の自由や人権が脅かされるのではないかとの指摘はあるが、条例はあくまで暴力団排除が目的であり、個人の権利を侵すものではない。特に7条で「条例の運用にあたっては、市民の権利を不当に侵害しないよう留意」すると規定している。

○ 議案第83号・訴えの提起について

【ふくなが洋議員】

 この案件は、千葉市中央区松ヶ丘の宅地に対する訴えを起こしたものだ。市民にわかりにくい議案であり質問する。
 千葉市が、なぜ松ヶ丘に土地を所有しているのか。歴史的な経過についてうかがう。
 この案件ついて、10年程前に改善策を求めた。平成12年の契約解除や当時の状況、どの様な対応を取ってきたのか。今回の訴えとの関係についてうかがう。
 他に同様の問題はないか。これらの土地に付随する権利として自由に売買できるが、売買や相続の問題等はないのか。
 市が所有する土地であることから、それなりの配慮が必要だ。問題解決をこじらせないためにも地権者の気持ちにそったルール作りが急がれるのではないか。
 この訴えを起こす前に、建物が売買される可能性を指摘されているが、その場合の対応は。

【財政局長答弁】

 松ヶ丘町の貸付地は、S22年に戦争引揚者用の県営住宅用地として県に貸付けたものだ。県は県営住宅を建設し貸付を開始、S29年からは入居者に対し建物の売却を始めた。その後、S45年1月に県から市へ、土地が返還されたため、市は同年4月に入居者と賃貸借契約を締結し、現在に至っている。
 当時の建物名義人の被告の父が、貸付料を滞納していたので支払いを催告したが、履行されなかったので、H12年3月31日に契約を解除した。その後も交渉を続け、14年中に契約解除前の貸付料は支払われたが、依然不法占有状態にあり、相続で権利義務を継承した被告等に対し訴えを提起した。
 松ヶ丘町の貸付地で、賃貸借契約を解除した事例は本件だけだ。借地権を売買する場合も市の承認が必要であり、相続も市に契約者変更の届出が必要なので問題はない。
 一定期間を超えて賃貸料の滞納があり、納付の見込みがない場合は、契約を解除する必要があるが、そのような状況に至る前に話し合いの場を設け、早期解決に努める。
 当該建物は、使用権限の無い土地の上に建築されており、通常売買は見込まれず、仮に売買された場合でも、新たな所有者相手に訴訟の継続は可能だ。

○ 議案第84号・和解について

【ふくなが洋議員】

 不適正な契約事項の問題だが、これはし尿処理などを行う千葉市衛生センターで、本来入札で行うべき案件を特定業者に随意契約で行わせたものであり、その請負契約を無効とし、その修繕費用を3,675万円として和解する案件だ。この問題は、新聞報道を見ても市民は理解できないと言われている。そこでうかがう。
 この案件が発覚した経過と問題点はなにか。
 告発文は、どのような流れのなかで出され、当局はどの様に対応したのか。
 このことで誰かが不当な利益を得たのか。
 この案件の責任はどのようになるのか。他に同様の案件はないか。
 原因・責任が明確にならないと再発防止は難しいと思うが、どのように考えるか。

【環境局長答弁】

 昨年12月、衛生センターの設備機器修繕契約が不適切だとの告発文を受け、衛生センター職員や設備機器修繕の請負者スイングK.K等事業者の聞き取り調査を行い、今年3月に衛生センターの設備機器修繕で不適切な契約事務があったことを確認した。5月に、本来なら競争入札にすべき建築設備等の修繕をプラント設備修繕に合せて随意契約で発注しており、本契約は無効だと判断。スイングK.Kに通知し、修繕の出来高に対する支払金額を定めた仮和解書を締結した。本契約の施行決定の際、建築設備等の修繕を意図的に隠し、プラント設備修繕のみの設計書を作成したもので、適正な契約事務の執行に反した重大な問題だと認識している。
 告発文が出されたのは、公益通報保護の観点から詳細は述べられないが、昨年12月に不適正な契約があった旨の告発文を受け取り、総務局と環境局で今年1月から3月まで該当職員やスイングK.K等の事業者の事情聴取を行った。今回の不適正契約により、不当な利益を得た者は現段階ではいない。
 公務員として守るべき法令に違反した契約事務の執行であり、関係した職員には厳正に対処する。今後二度と起こらないよう再発防止に取り組む。これまで、契約を無効にし支払金額などを和解した事案はない。
 今回の問題は、公務員としての自覚や法令順守意識の希薄から起きたもので、組織上・事務管理上の問題だ。今後、事務執行には法令を遵守し、市民の信頼を失墜させないよう職員一同気を引き締めていく。再発防止策として、(1)専決権者等が現地確認などの自主的点検を強化する。(2)各局に業者選定審査会等を設置し審査機能を強化する。(3)執行伺書、支出負担行為伺書の審査を徹底する。(4)契約書と仕様書を割印で連結するなど契約書類の差し替えを防止する。(5)1者随意契約の契約情報は窓口等で閲覧を徹底する。などの対策を講じていく。更に、環境局では管理監督者が各事業所を訪ね、事務執行体制や職員の勤務状況をチェックするなど再発防止に取り組む。