中村きみえ議員の一般質問に対する答弁(要旨)

2012.6.15

写真1.農業政策について

【中村きみえ議員】

 後継者対策についてうかがいます。先日、私と野本議員は農政センターの協力をいただき、新規就農者の研修生と懇談しました。耕作放棄地を耕して、何を育て、どんな燃料を選択するか、自分たちの夢に向かって目を輝かせ話す姿がとても眩しく頼もしく感じました。市内の農家は60歳以上が男性で40.7%、女性では46.6%を占め、平成22年の農業従事者は3,959人で、5年前より21.5%減少し、後継者も60人しかいません。後継者育成は喫緊の課題です。千葉市の後継者育成の現状と課題、今後の解決策を伺います。

【経済農政局長答弁】

 後継者育成の現状は、職員が巡回指導や定年帰農者対象に技術研修会の開催、県主催の農業経営育成セミナー参加を促し、助成などで後継者を育成している。課題は、農作物の安定的生産技術の習得や施設整備、労働条件整備などがある。解決策では、「市農業推進行動計画」で新規就農者に農業機械等導入支援や定年帰農者の技術研修、営農指導を実施し、農業版ハローワーク事業もボランティア制度を導入し取り組んでいく。

【中村きみえ議員】

 生産者への対応についてですが、風評被害から、JAなどの直売所にも安全かとの問い合わせがあり、またニンジンなどの価格も買いたたかれて、原発被害の影響を受けているようです。東電が原木しいたけ農家に補償問題の説明会をしましたが、手続きが面倒で、利用しにくいようです。東電は無条件で補償をすべきですが見解を求めます。

【経済農政局長答弁】

 原発事故の影響を受けた農家には、東電は法律の基準で風評被害や出荷制限での損害補償を行っている。4月から出荷制限となった原木露地椎茸は、農政センターが実施した補償手続きの説明会で、東電の補償相談室が直接、被害農家に説明している。今後も県やJAと連携し、生産者が不利益にならないよう対応していく。

【中村きみえ議員】

 後継者育成には、遊休農地の活用も重要です。市のホームページで、どこの区に何件あり、問い合わせは何件で、成立しましたか。

【経済農政局長答弁】

 今年4月から市のホームページに花見川区と若葉区で各1件の遊休農地を掲載している。希望者から2件の問い合わせがあったが、貸し借りには至っていない。

【中村きみえ議員】

 各区0〜1か所程度の登録では、実際に利用する選択肢が狭まります。今後の見通しを伺います。

【経済農政局長答弁】

 「遊休農地情報」の掲載には、農業委員会が実施している農地所有者へのアンケート調査から、所有者を直接訪問し、同意を得た上で掲載している。今、新たに緑区の農地所有者を訪問し、掲載の意向を確認しているところだ。さらに「農業委員会だより」などで広く貸出しを呼びかけ、ホームページ掲載数を増やしたい。

【中村きみえ議員】

 遊休農地は468haあるようですが、個人の資産とはいえ、農地のままを希望する方も少なくないと思います。貸したい人と借りたい人のマッチングが課題ですが、どうですか。

【経済農政局長答弁】

 農政課と農業委員会に遊休農地利用相談窓口を設置している。農地所有者からは賃貸や売買等の意向を確認し、利用希望者からは地理的条件や営農計画を聞き取りしながら、両者の交渉が円滑に進むよう調整を図っている。

【中村きみえ議員】

 空いている土地探しは、困難です。新規就農者は、どこの土地で、どの種類の作物が適すのか、人数、収益性などのアドバイスが必要です。現在の研修スケジュールでは、3か月で何をつくるか決めなければなりません。現状の職員体制より、きめ細かな技術的支援をする専門職を増員し、充実させ、就農先と研修先が同じでスムーズに移行できる支援を求めます。お答えください。

【経済農政局長答弁】

 後継者の技術向上は安定した農業経営には不可欠だ。農政部職員でチームを構成し、巡回指導などの支援をしている。就農する農地は、研修地に近い場所にし、本人の意向や希望の農作物に適しているか等を考慮し支援していく。

【中村きみえ議員】

千葉市農業推進行動計画によれば、新規就農者を年間7人ですが、目標を大幅に引き上げるべきです。お答えください。

【経済農政局長答弁】

 持続可能な農業者となるには、一定面積の農地を確保し栽培技術の習得が必要になる。新規就農者を年7人目標にしているが、状況を検討しながら数値目標に結び付けていく。

【中村きみえ議員】

営農指導巡回回数も、平成26年度の目標を年に400回は、誰がどう巡回する体制か伺います。新規就農者は収穫に向け技術指導を専任配置の要望が寄せられています。市の対応を伺います。

【経済農政局長答弁】

 時期や指導回数などスケジュールを定めた営農指導計画を策定し、担当職員が計画的に農家を巡回指導している。新規就農者への技術指導は、農政センター職員が巡回指導や営農計画作成指導、栽培講習会開催など多面的支援を実施している。今後も気軽に営農相談ができるよう巡回指導に努める。

【中村きみえ議員】

 農業を始めるにも器具の購入や、自己資金なしでは難しいです。新規就農者の年間収支計画では100万から200万円程度で、これでは生活できません。新規就農者に、市から月に5万円、国から12万5千円を支援しますが、お金の心配をせず、専念できる環境を整えることが、意欲ある若い人を呼び込めるのではないですか。将来設計が成り立つ金額を上乗せすべきです。お答え下さい。

【経済農政局長答弁】

 新規就農者への支援金は、研修の2年目と3年目に奨励金として1か月当たり5万円、年間60万円支給しており、他都市と比較しても充実しているが、国の制度を見ながら検討していく。

【中村きみえ議員】

 風評被害から、JAなどの直売所にも安全かとの問い合わせがあり、またニンジンなどの価格も買いたたかれて、原発被害の影響を受けているようです。東電が原木しいたけ農家に補償問題の説明会をしましたが、手続きが面倒で、利用しにくいようです。東電は無条件で補償をすべきですが見解を求めます。

【経済農政局長答弁】

 農家が安心して生産・出荷できるよう、計画的な検査と結果の公表を行い、営農指導や融資制度の活用を通じ、農家経営を支援していく。

【中村きみえ議員】

 茨城県の龍ヶ崎市や日立市などは、市が独自に食品や土壌を無料で実施しています。市民の不安にこたえ、行政がこうした食品の検査を積極的に実施すべきです。お答えください。

【経済農政局長答弁】

 県の検査結果を生産農家や直売所へは、速やかに情報提供している。検査データの表示は、出荷者や出荷物の差別化の恐れがあり、計画的検査とホームページの活用で、消費者には情報提供していく。

2.食の安全について

【中村きみえ議員】

 食材の検査についてですが、原発事故の後、食の安全が脅かされています。4月から暫定規制値は、1キロ当たり500から100ベクレルとなり、市内の原木露地しいたけは出荷制限されました。1年3か月経過し、いまだに事故の収束のめども立たず、空間放射線量は、市内で比較的落ち着いているようですが、食材への影響が懸念されます。市内の食品は、保育所や小学校での検査、流通食品を毎週5検体が、いずれも基準値内で年間1ミリシーベルトを大幅に下回る結果としています。しかし、今も食物への影響は避けられず、可能な限りゼロが望ましいです。市民の食品の安全性への不安は解消できていません。
 4月から市民向けの放射線測定を行う施設がスタートしました。市民から食品などの検査依頼が多く、飛び込みなども含め予定の倍も実施しているようです。若いお母さん方も「子どもたちへの食事は大丈夫なのか」と不安で相談するケースも多いようです。柏市では、市民の食材などを検査しています。県環境財団では、1検体当たり2万円ほどかかるケースもあり、気軽にできません。千葉市も市民団体頼みでなく、検査体制を整えるべきですが、お答え下さい。

【保健福祉局長】

 本市では、中央卸売市場や市内スーパー等で販売されている、収穫期を迎え多く出回る旬の食品や学校等の給食食材を対象に幅広く検査し、結果を随時ホームページ上に公開して、市内流通の食品の安全性確保に努めており、持ち込み食品の検査体制整備は考えていない。

【中村きみえ議員】

 千葉産と明記し敬遠される状況は起こっています。確実に農業生産への影響があり、行政が農家を継続できる支援策を講じるべきではないですか。

【保健福祉局長】

 本年5月末までに、流通食材・学校等給食食材624検体を検査した。基準を超える食品は確認されていないので、安全性は確保されている。4月からは、新たな基準が設けられた乳児用食品や汚染が疑われたシイタケ、タケノコなどの検査を実施している。

【中村きみえ議員】

 出荷に当たり、データを示し生産物への正しい認識と理解を求める対策を講じるべきですが見解を求めます。

【保健福祉局長】

 検査結果の速やかな公表と保健所等に相談窓口の設置、放射性物質に関わる講演会の開催など、正確な情報提供に努めていく。

3.自然・再生可能エネルギーについて

【中村きみえ議員】

 原発の事故後、原発に頼らないエネルギー政策への転換が、今こそ求められています。党市議団は昨年12月議会で「千葉市自然エネルギー導入検討委員会設置条例」の提案をしました。千葉市で低炭素社会を構築していくために、調査検討が必要だからです。千葉市では5月29日に、環境審議会環境総合施策部会第1回再生可能エネルギー導入専門委員会が開催され、再生可能エネルギーの導入状況と今後の課題が示されました。そこで伺います。
 千葉市の再生可能エネルギーの導入状況は、市の公共施設のうち、何施設実施し、出力、発電量、電力消費量、電力自給率はどのくらいですか。政令市、東京23区での自然エネルギーの供給量の見解と今後の課題をお示しください。

【環境局長答弁】

 導入状況は、H23年度に総合保険医療センターなど市の27の公共施設に400KWの太陽光発電設備を導入した。施設の総発電量は、一般家庭約110件の年間電力使用量に相当する約40万KWで、27施設での総電力消費量約2千868万KWと比較すると自給率は約1.4%だ。
 H21年度に千葉大との共同研究で、本市の太陽光発電や太陽温水器での自然エネルギー総供給量は、調査時の18政令市と東京23区の中で17位と低位に位置している。今後の課題は、再生可能エネルギーの効率的導入に向け、現在実施中の太陽光発電や太陽熱利用の戸建住宅への導入助成、大規模開発や共同住宅建設時に面的導入を誘導する支援など、事業者等との連携を研究する必要がある。

【中村きみえ議員】

 政令市東京23区の総数19のうち17位です。千葉市は、平坦な土地で風力が弱く、温泉地などの熱源がないことを地理的自然条件としていますが、太陽光、水力を市内公共施設に導入した場合、千葉市の試算によれば、家庭などの総需要の2%に過ぎませんが、市内の戸建て住宅に設置すると21%まで飛躍的に向上できると示されています。今後の具体化はどう図りますか。

【環境局長答弁】

 今年度、環境審議会に設置した再生可能エネルギー導入専門委員会で、導入手法、市民・事業者への導入支援策など具体的方策を研究してもらう。環境フェスティバルなどのイベントを通じて、太陽光発電や太陽熱利用の効果等を広く市民に周知し、再生可能エネルギー導入の向上に努めていく。

【中村きみえ議員】

 市も再生可能エネルギーの導入は、地域経済の活性化と雇用創出につながると明記しています。例えば今年度太陽光パネル設置で市内業者を活用した場合、上乗せして助成しますが、その効果、実績を伺います。

【環境局長答弁】

 今年度から、地域経済活性化へ市内業者を利用した場合、1キロワット当り、1万円上乗せすることにした。200件の1次募集をしたら、市内業者の利用率は昨年と同じ6割になっている。市内業者を利用するようPRしていく。

【中村きみえ議員】

 長野県飯田市のように市民出資の会社を育て初期費用なしに太陽光パネルを設置し、地元業者の仕事確保につながる例もあります、行政がリーダーシップを発揮し、地域経済の活性化、雇用を増やす取り組みを進めていくべきではないですか。

【環境局長答弁】

 神奈川県が計画する学校などの公共施設の屋根を民間事業者に貸し出す制度など、再生可能エネルギー導入拡大への可能性を研究していく。

【中村きみえ議員】

 千葉市地球温暖化対策実行計画によれば、小中学校など市有施設へ再生可能エネルギー設備の整備を継続するとありますが、学校等の体育館をはじめ避難所が停電した場合、電気の供給の現状と市の対策について見解を求めます。

【総務局長】

 非常用井戸を整備する小学校では井戸用発電機を、その他の避難所では分散備蓄する発電機を活用することにしている。不足の場合は、市と災害協定を結ぶレンタル業者からの調達で対応する。

【中村きみえ議員】

 災害後、長期の避難生活では、現状の電力供給だけでは、困難な場合もあるようです。太陽光パネルに蓄電装置などを併用し、災害時に備え、北九州市では、全小中学校で太陽光パネルの設置がされています。教育委員会と連携し、対応するよう求めておきます。
 2010年度は国費と市費を半分ずつで、3キロワット当たり4万5千円負担し、11年度途中から、県費で2万円ほど財源が入ると市は、その分支出を減らし、2万5千円に下げました。品川区では、国から10万5千円、都が30万円、品川区30万円で合計70万5千円の補助です。千葉市では、国10万5千円、千葉市9万円で19万5千円と県の6万円分を飲み込んだため50万円以上も補助金の差が生じています。県からの補助分は上乗せし、市民負担を軽減し、助成件数も大幅に増やすべきではないですか。

【環境局長答弁】

 県の補助金は、多くの市民に太陽光発電設備を設置してもらうよう、上乗せではなく市の補助金に組み入れたものだ。今年度500件の助成を予定し、5月上旬に200件の1次募集をしたら、約1.6倍の申し込みがあった。市民ニーズは高まっており、申し込み状況を踏まえ助成制度の充実に努める。

4.保育について

【中村きみえ議員】

 待機児解消についてです。4月1日現在、待機児は123名と昨年の350名より65%解消できたと報道されました。市は、この間、11年度に386人分の定員増をしましたが、その他に入所希望者に、どんな対策を講じてきましたか。

【こども未来局長答弁】

 H23年度は新設7か所、定員増1か所の計8か所で施設整備し、386人の受け入れ枠拡大を図った。昨年11月の入所申込時や12月の入所面談などの際に、比較的入所の可能性が高い保育所を紹介し、第4・第5希望も含め入所希望の記載を勧め、家庭的保育、グループ型小規模保育、幼稚園長時間預かり保育など、保護者の状況に応じた様々な施設を紹介し対応してきた。3月下旬には、希望の保育所に入所困難な家庭すべてに連絡し、事情を聴いた上で入所可能な施設を紹介するなど細かな対応に努めた結果、多くの入所が可能となった。

【中村きみえ議員】

 千葉市では待機者への入所相談では、施設入所を誘導し、希望に沿わなければ、待機児でカウントしないようですが、どうですか。

【こども未来局長答弁】

 国の待機児童の定義は、特定の保育所のみを希望する場合は待機児童数に含めないとの基準があり、市としてもこれに基づいて算定している。

【中村きみえ議員】

 入所にあたり、近くの保育所を望み、入所支援が求められます。意に沿わないから待機児としないのは問題ではないですか。

【こども未来局長答弁】

 国の基準で待機児童数を出しているが、保護者の住所・勤務先・通勤経路等を勘案し、利用可能な保育所を案内するなど状況に応じた支援を行っている。

【中村きみえ議員】

 高架下の保育所、やはり電車の通過時には騒音が気になりました。子どもを保育する場所に本当にふさわしいと思っていますか。

【こども未来局長答弁】

 本年4月開園の民間保育園は、基準を満たした園庭があり、振動・騒音・採光など適切な対応が取られ、子どもたちの昼寝など安定した保育がされている。今回の事業者の整備計画では、窓をペアガラスにし、高架の支柱には緩衝材を使用し対策は十分講じられており、保育の実施上に問題はない。駅近くの利便性から保護者の好評を得ている。

【中村きみえ議員】

 親は、駅に近くて便利さを選ぶかもしれませんが、子どもを中心に考え、成長発達には、園庭があり、ゆっくりお昼寝ができる環境を保障すべきです。
 次に、保育をめぐる環境についてです。株式会社の参入、施設のスタッフはそれぞれ懸命に保育にあたられていました。しかし、職員が働き続ける収入が得られているのでしょうか。ある施設での決算を見ますと、業務委託費が月額100万円年間1200万円の支出、調理業務などで1547万円、講師料で470万円と突出しています。総支出の人件費の占める割合が42.5%となっていますがどう受け止めていますか。

【こども未来局長答弁】

 人件費の占める割合は、施設により調理業務委託費に人件費が含まれるので、総支出の人件費の割合を評価するには、個別に精査が必要だ。

【中村きみえ議員】

 株式会社では、利益を追求し、人件費が低く抑えられる傾向があり、一部の学校法人でも、同様の状況があるようです。保育を担う上で、適正な人件費の確保が求められています。JPホールディングスの山口社長は、保育所運営費等の規制緩和を求め、「株式会社の取り組みを阻害しているような運営費の使途制限、会計基準、配当制約などの規制は、直ちに見直されるべきである」と「子ども子育て新システム」の基本制度ワーキングチームで強く主張しています。人件費が低く抑えられた場合、保育の質を確保できますか。

【こども未来局長答弁】

 人件費は、法人内部の問題だが、保育の質の確保については保育士への研修の実施、障害児保育巡回指導員配置、施設の定期監査に保育士が同行するなど指導に努めている。また、保育士の加配や障害児保育への補助金交付、利用者へのアンケート調査による保育内容の検証など、保育の質向上に努めている。

【中村きみえ議員】

 施設への委託料で人件費を見ると、現場の保育士が一人当たりどれだけ保障されているのか、市は把握していますか。

【こども未来局長答弁】

 市は、民間保育園の経営状況の確認には、施設の定期監査で決算資料の確認や個々の職員に適切な給与等が支給されているかを確認している。

【中村きみえ議員】

 仮に年収200万程度のワーキングプアーの状況で働くことを、市は適正だと考えますか。公立の非常勤の保育士が常勤並みに働いた場合、年間223万2千円の収入になります。それよりも下回ることがあってはならないと委託先を指導すべきではないですか。

【こども未来局長答弁】

 労基法に違反しなければ、保育士の給与額決定は基本的には法人内部の問題だ。労基法等に抵触するなどの問題があれば指導を行う。

【中村きみえ議員】

 市は、人件費の詳細を把握し、質の確保できる金額を保障すべきです。社会福祉法人などは、全体の7割がほぼ人件費で、利益を上げられません。保育所での経験年数が長く、安定した保育運営をする施設では、ベテランの保育士さんへの配置があります。ベテラン保育士を雇った場合、公民格差を解消できるよう保障すべきですが、お答え下さい。

【こども未来局長答弁】

 公民格差は、給与格差是正へ保育士等の経験を運営費に反映させる制度で、施設職員の平均勤続年数に応じて運営費に加算される「民間施設給与等改善費」制度が設けられている。

【中村きみえ議員】

 公立保育所の建て替えを巡る問題についてです。6月1日から7月2日までパブリックコメントを募集しています。6か所の保育所の建て替えをはじめ、中長期保全計画と大規模改造の施設改善が示されています。施設改善にあたり、子ども一人あたりの面積、保育環境は守り、引き下げない方針とありますが、見解を伺います。

【こども未来局長答弁】

 市では、保育の質を確保するため、これまでも国の基準を上回る基準を定めており、これを引き下げる考えはない。今般の法律の成立による当該基準の条例化には、同様の基準を定めることにしている。5月に開催した市の社会福祉審議会の専門部会で了承されており、健全な保育環境の確保に努めていく。

【中村きみえ議員】

 財政難を理由に千葉市がこの間公立保育所の施設改善を怠ったことは明らかです。施設整備を行い、コスト最優先で建て替えし、民営化を進めるべきではありません。見解を求めます。定員を超える制限がなくなり、130%を超える入所は4か所もあります。詰め込んだ環境ではなく、安心して保育できる環境を担保すべきではないですか。

【こども未来局長答弁】

 「施設改善基本方針」で、リース方式での公設公営・民設民営、いずれかの手法で実施することになっており、民営化を進めるものではない。待機児童解消のため、定員弾力化で受け入れを実施しているが、児童1人当たりの面積要件は満たしており、必要な保育環境は確保できている。

【中村きみえ議員】

 民営化でなく、公的な保育所の建て替え、リース方式なら、10分の1のコストで済むのですから、積極的に実施すべきです。お答えください。

【こども未来局長答弁】

 建替えはリース方式で実施するが、整備手法は個別の保育所ごとに児童数・保育需要・立地条件・費用対効果等を総合的に勘案し検討していく。

4.千葉みなと駅周辺のまちづくりについて

【中村きみえ議員】

 熊谷市長は、市長選にあたって千葉市の保育をよりよくする会の公開質問状に対して、新規の認可保育所を募集する際、審査段階で保育士の待遇をよく精査し、保育士の定着率を高める工夫を運営者に求めていく回答に見合った対策を行うよう強く求めておきます。
 次に、中央港土地区画整理事業後のまちづくりについてうかがいます。中央港土地区画整理事業の教訓から市は今後どう検討していくのでしょうか。市が第2の幕張新都心と銘打っていたものの、総事業費532億円かけ事業が破たんし、地区計画も住居系の建築を許可しました。党市議団は、学校も保育所もない中で、どういう街をつくるのか、質しました。この地域の子どもたちは、近くにある学校にそれぞれ通い、保育所もいくつか整備したものの、町の特色がなく、個人の土地を勝手に整備し、パチンコ店の進出など住環境にはふさわしくない一体性のない街になりました。千葉市では、多額の税金を投入し整合性のない街づくりをしたことへの反省と教訓、今後の課題をうかがいます。

【都市局長答弁】

 当該地域は、準工業地域で工場や倉庫が建っていたが、S61年に京葉線千葉みなと駅が開業し、基盤整備がされないままパチンコ店やテニスクラブ等の商業・業務系の土地利用が進行したので、土地区画整理事業で基盤整備し、商業・業務系の土地利用を進める地区にしたものだ。
 バブル崩壊後の社会情勢の変化で事業が長期化し、当初の地区計画を変更することになったが、都市基盤が整っているので旅客船桟橋も活用した賑わいある街づくりを進めたい。
 課題は、土地区画整理事業は完成したが、港湾整備が当初見込みより大幅に遅れ、桟橋予定周辺の土地活用が進まず、パチンコ店などの利用を優先しているが、中央港地区周辺施設が一体となった具体案の検討や港湾施設を市が主体的に管理するための県との調整などがある。

【中村きみえ議員】

 県の美術館やポートパーク、ポートタワー、観光船の現状の観光客は何人ですか。

【都市局長答弁】

 H23年1月から12月までの1年間で、県立美術館約20万6千人、ポートタワー約11万1千人、観光船約2万人であり、ポートパークは把握していない。

【中村きみえ議員】

 市が調査したアンケートでも千葉港は、市民にとってコンビナートの港であり、観光とは言えません。観光船も一日1便、ポートパークはイベント時には活気がありますが、常時人が来る仕掛けはありません。ポートタワーのお土産屋さんは、以前と違ってリニューアルしましたが、平日はガラガラ、平場のレストランは閉店していました。今後旅客桟橋を設置し、入場者が増えますか。

【都市局長答弁】

 桟橋利用の旅客船や遊覧船を誘致することで観光客の増加が予想され、ポートタワーの入場者も増えるよう取り組みたい。

【中村きみえ議員】

 財政危機だと主張していながら、総事業費40億円、その内千葉市が約20億円も注ぎ、港湾整備を行なっても、観光の目玉とは、なり得ないことが明らかになったと思います。市民の声を良く聞いて、見直すべきです。

【都市局長答弁】

 桟橋整備を契機に、ポートパークやポートタワーなどの活性化を図り、中央港地区全体の賑わいを創り出すための組織づくりを進めている。早期整備を県に働きかけ、中央港地区の賑わいづくりの検討の中で、市民の意見は聞いていく。