安喰武夫議員の一般質問および答弁(要旨)

2012.6.19

写真1.フランチャイズ加盟のコンビニエンスストアの位置づけ、支援について

【あぐい武夫議員】

 みなさんこんにちは。日本共産党千葉市議団の安喰武夫です。
 まず、フランチャイズ加盟のコンビ二エンス・ストアの位置づけ、支援について質問します。これは新しい問題提起でもあります。
 フランチャイズ方式、略してFC方式とは、ある事業を開発した企業が契約に基づき、その事業のノウハウなどを別の事業者に提供し、統一した看板で経営指導をしながら事業を展開するやり方です。ノウハウなどを提供する企業がフランチャイズ本部、その提供を受け、本部に上納金であるロイヤリティーを払う事業者が加盟店です。FC産業はコンビ二やファーストフード、不動産など多様な業種に広がっています。今回の質問ではコンビ二を取り上げます。コンビ二は地域に多数あり、住民の生活になくてはならない存在となっています。
 千葉市は、こうしたコンビニの利便性の高さを踏まえ、市民サービスの窓口として位置づけ、市県民税や固定資産税など市税の納付窓口としています。また、災害時の帰宅困難者への支援で提携しています。それぞれの取り組みにおける現状と課題について明らかにして下さい。

【財政局長答弁】

 市税のコンビニ収納は他政令市でも導入しており、本紙もH18年度より開始し、利用件数が年々増加、H23年度は約45万円、収納件数全体の22%を占めている。休日や夜間でも納付でき利便性の高い方法だが、金融機関窓口や口座振替に比べ収納手数料が高く、収納確認に時間がかかる課題がある。

【総務局長答弁】

 現在、コンビニ事業者10社と災害時の「帰宅困難者支援に関する協定」を締結、「帰宅支援ステーション」として、水道水とトイレの提供、道路情報等の提供を受け、災害発生時に多数の帰宅困難者が店舗内で支援を受けた場合、従業員への負担軽減が課題となる。

【あぐい武夫議員】

 やはり、コンビニは便利なので納付が年々増加しています。また、災害時、とくに深夜であれば、従業員への負担は心配するところです。
 コンビ二は、FC本部から24時間・年中無休を求められ、それをオーナー家族とパート、アルバイトが担っています。24時間・年中無休の営業を続けるだけでも大変な苦労です。閉店するコンビにも後を絶ちません。コンビニは銀行や郵便局と違い、経営上も従業員の雇用も不安定な状況にあります。深夜の強盗などの危険もあります。かつて、店員による公金の横領事件も起こっています。千葉市は、様々な問題を抱えているコンビ二にあえて市税の納付を委託していますが、問題は起こっていないのでしょうか。

【財政局長答弁】

 収納開始当初は、店員の着服などのトラブルはあったが、現在は納付者がレジでタッチパネルに触れ確認するシステムに改善され、問題は起きていない。

【あぐい武夫議員】

 問題がないということですが、今後も市民サービスの窓口として位置付けていくのであれば、コンビニが抱える問題につて実態を把握することが必要と考えます。コンビニは、商店街の活性化の視点からも無視できない存在となっています。担当部局も決め、研究することを求めておきます。FC産業は拡大していますが、日本には公正なFC契約が結ばれるように規制する法律がありません。そのために加盟店からは「ロイヤリティーが高すぎる」「違約金が高くてやめられない」などの声があがっています。FC本部と加盟店が「共存共栄」を図ることが求められています。FC法制定の要求は、全国FC加盟店協会や日本弁護士連合会なども提起しています。日本共産党は2000年11月に、「フランチャイズ取引適正化法に関する政策提言」(案)を発表し、FC法の制定を求めてきました。千葉市も国にFC法の制定を求めることを最後に要望しておきます。

2.加曽利貝塚を特別史跡に指定する取り組みについて

【あぐい武夫議員】

 次に、加曽利貝塚を「特別史跡」に指定する取り組みについて伺います。
 加曽利貝塚については、加曽利貝塚博物館が発行する説明パンフレット「加曽利貝塚」がわかりやすく説明しています。このパンフは残念ながら品切れです。加曽利貝塚は、直径130mの北貝塚と長径170mの南貝塚が連結したもので、日本最大規模です。土器や土偶、石器だけでなく、貝のカルシウムが酸性土壌を中和しているために、人骨なども溶けずに出土しています。まさに、「縄文時代のタイムカプセル」です。また、縄文中期の北貝塚から出土した加曽利E式土器と、後期の南貝塚から出土した加曽利B式土器は、2つの時代を知る土器形式の標準遺跡となっています。こうした加曽利貝塚の意義を踏まえ、千葉市は現在、国の「特別史跡」に指定するよう、今年度1,040万円の予算を計上し準備を始めています。今年度から3年かけて、出土した遺物などの資料を再整理し、2015年度に国に申請するものです。
 加曽利貝塚は国の指定史跡ですが、特別史跡に指定されるには、国宝級の価値が認められなければなりません。特別史跡は全国に61件あり、縄文遺跡では青森県の三内丸山遺跡と長野県の尖石(とがりいし)遺跡の2つです。貝塚遺跡はまだありません。そこで、質問します。
 加曽利貝塚を「特別史跡」に指定する方針は、どのような経過で具体化されたのでしょうか。また、市文化財保護審議会の審議内容や、加曽利貝塚の保存と研究などを行なっている加曽利貝塚博物館友の会や土器づくり同好会などの市民団体への対応についても、明らかにして下さい。

【教育次長答弁】

 加曽利貝塚は、国内を代表する縄文遺跡であり、議会や多くの方の意見を踏まえ、県や文化庁と相談のうえ特別史跡をめざすことにし、今年度より再整理を開始した。
 市文化財保護審議会には、今年3月の審議会で報告し賛同を得た。博物館友の会や土器づくり同好会などの市民団体へは、総会等で経過報告を行った。

【あぐい武夫議員】

 審議会や市民団体には「報告した」ということは、事後報告ということです。本来であれば、専門家も加わる文化財保護審議会で審議すべきです。市民団体にも方針を決める前に、意見を聞くべきだと思います。今日、加曽利貝塚が保存されているのは、日本考古学協会も巻き込んだ大きな市民運動があったからです。加曽利貝塚は1963年、買収した民間企業が南貝塚の一部を破壊したことから、市民による保存運動が起こり、「加曽利貝塚を守る会」が設立されました。
 同会は署名運動にも取り組み、1万768名の署名を衆参両院に提出しました。特別史跡への取り組みも、市民の協力を得ながら進めることが必要です。そのためにも、関係する市民団体などとも連携しながら取り組むべきと考えます。お答えください。

【教育次長答弁】

 特別史跡指定には、地域での盛り上がりが不可欠だ。郷土意識の醸成や地域活性化に資するものであり、市民団体等と連携していきたい。

【あぐい武夫議員】

 多くの市民は、加曽利貝塚を特別史跡にしようとしていることを知りません。「特別史跡」がどういうものかも、わかりません。多くの市民が加曽利貝塚を守ったように、市民と連携して取り組んでいただきたいと思います。
 次に、特別史跡の範囲についてです。加曽利貝塚だけを単体で特別史跡にしていいのでしょうか。さらに検討が必要です。千葉市内には100か所以上の貝塚があります。全国の中でも貝塚密集地域であり、「貝塚の街」です。しかも国の指定史跡の貝塚は、加曽利貝塚を筆頭に、月の木、荒屋敷、花輪、犢橋の5つの貝塚があります。これらの貝塚では分業が行われ、交流がありました。加曽利貝塚に隣接する坂月川は泥炭湿地帯で、丸木舟など木製品の遺物があるといわれています。こうした遺跡群の中心に加曽利貝塚があり、1994年3月には、(仮称)縄文の森基本計画が発表されています。この計画は、加曽利貝塚を中心に、野外博物館・フィールド・ミュージアムとして整備するものです。残念ながら、実現には至っていませんが、この計画を生かすことを踏まえ、「貝塚の街ちば」を位置づけながら、加曽利貝塚を中心とした貝塚群を特別史跡としてめざすことを提案します。いかがでしょうか。また、稲毛区のモノレール穴川駅に隣接する園生貝塚も貴重な貝塚の一つです。国の指定史跡にすべきです。お答え下さい。

【教育次長答弁】

 学史的位置付けや発掘調査の成果などで、現実的に特別史跡に指定される可能性が高い加曽利貝塚の申請を行うものだ。園生貝塚は、千葉市を代表する縄文貝塚の1つであり、所有者の意向を踏まえて検討していく。

【あぐい武夫議員】

 当時、加曽利貝塚は、多くの貝塚と交流があって存在していました。ぜひ、貝塚群の中の加曽利貝塚として位置づけていただきたいと思います。園生貝塚は、周辺で宅地開発がすすんでいます。ぜひ、国の指定史跡として守っていただきたいと思います。
 特別史跡に向けては、貝塚群をつくった縄文人たちの文化をアピールすることも大切です。約1万3千年続いた縄文時代は、自然と共存してきた時代であり、戦争のなかった平和な共同社会であったともいわれています。環境問題、原発事故、地域紛争などが起こっている現代社会にとって、人類の未来を考える上で縄文文化を知ることは意義あることです。資料の再整備をするとともに、未来につながる縄文文化をアピールすべきではないでしょうか。お答え下さい。

【教育次長答弁】

 博物館を中心に、再整理で得た成果等を反映させながら、自然と共存した縄文時代の人々の知恵や暮らしぶりをアピールする講演会や指定に向けたイベントを開催していく。

【あぐい武夫議員】

 自然と共存するというテーマは、未来にとって重要なテーマです。大いにアピールしていただきたいと思います。「戦争がなかった」という点では議論があるようですが、ほとんどの縄文遺跡では、集団と集団がたたかう戦争の痕跡が発見されていません。いずれにしても、未来に示唆を与える縄文文化を様々な方法で発信していただきたいと思います。
 特別史跡とするためには、様々なハードルを越えなければなりません。担当部局の体制を強化するとともに、市を挙げて取り組むために、他の部局とも連携した体制をつくるべきです。いかがでしょうか。

【教育次長答弁】

 学術面だけでなく、観光面や経済効果の観点を踏まえ、加曽利貝塚の魅力を有効活用するため全庁的に連携を図っていく。

【あぐい武夫議員】

 「特別史跡」に指定するためには、様々な場面でアピールすることが必要です。ところが、千葉市の公式サイトのトップページには、「加曽利貝塚」の写真も「貝塚の街ちば」の言葉もありません。「魅力・観光」をクリックしても出てきません。「国宝級の価値」を認めてもらおうといいながら、これでは、加曽利貝塚が千葉市にあることさえ伝えられません。千葉市の様々なパンフやリーフなどに、一言入れるだけでも違います。ぜひ、各部局が連携して取り組むよう重ねて求めておきます。
 最後に、「加曽利貝塚」に関連する施設などの整備についてです。加曽利博物館は老朽化しています。博物館発行の説明パンフ「加曽利貝塚」は品切れです。国の指定史跡である5つの貝塚も多くが未整備のままです。予算を増額して、博物館の改修や駐車場の整備、パンフレットの増刷、案内板の整備などを取り組むべきです。お答え下さい。

【教育次長答弁】

 再整理の成果等を活用した展示内容の更新や分かりやすいパンフレットの製作、案内板の設置等検討していく。

【あぐい武夫議員】

 「特別史跡」の指定に向けて、加曽利貝塚博物館や埋蔵文化センターなどを見学する人が増えることも重要です。案内板の設置や説明パンフの作成は急ぐべきです。貝塚は造りたくても造れない、まさに千葉市の宝です。こういうところにこそ、しっかりと予算を付けることを重ねて求めておきます。

3.家庭ごみの有料化について

【あぐい武夫議員】

 次に、家庭ごみの有料化について、質問します。
 6月1日付け「市政だより」の1面トップは、「千葉市一般廃棄物(ごみ)処理基本計画を改定しました」との見出しで、家庭ごみの手数料徴収、有料化について特集しました。
 この紙面を見た市民からは、「くらしが大変なときに、また、市民に負担をかけるのか」との声が寄せられています。さらに、消費税増税問題が緊迫しています。市民のくらしを守る政治こそ求められています。ところが、千葉市はこの間、コミュニティセンターの有料化や墓地管理料の有料化、介護保険料・国保料の値上げなど、次から次へと市民への負担を増やしています。今度は、ごみの有料化です。ごみ処理は税金でまかなうものであり、「税金の二重取りだ」との批判があります。この批判に対する見解を求めます。また、家庭ごみ有料化が市民の重い負担になるとの認識はないのか。お答え下さい。

【環境局長答弁】

 環境省は「市町村は一般廃棄物の有料化を推進すべき」とし、条例で手数料を徴収することは「法の規定に違反しない」との環境省・総務省の見解が示されているので、「税金の二重取り」には当たらない。家庭ごみ手数料徴収は、排出量に応じたごみ処理費用負担の公平性確保、ごみ減量・再資源化推進、焼却ごみ削減で、将来の清掃工場建設費が節減できる。

【あぐい武夫議員】

 「税金の二重取りに当たらない」といいますが、環境省や総務省の見解は、手数料を取ってもいいというものです。手数料を徴収して、その分、税金をまけるんですか。そんなことはないはずです。市民にとっては二重取りとなることは明らかです。この事実を認めるべきです。
 それから、有料化の理由を聞いたのではありません。市民の重い負担になるとの認識があるのか聞いているんです。答えないということは、認識がないということです。市民の痛みがわからないようでは、市民の理解を得ることは絶対にできません。
 次に移りますが、本日、議会開会前に、あたらしい千葉・みんなの会が「家庭ごみ有料化を中止し、市民の協力のもとで減量化に努めること」を求め、2,242筆の要望署名を市長あてに提出しました。短期間でしたが多くの共感が寄せられました。
 「市政だより」での報道直後から、電話やメールでの問い合わせや抗議の声が寄せられています。6月14日までに48件ありましたが、賛成は3件のみ、反対11件、どちらでもない31件です。昨年、日本共産党千葉市議団が取り組んだ市民アンケートでも、有料化が減量に役立たないと答えた市民は383人、63.8%でした。ごみ減量のために協力し、分別の努力をしてきた市民の世論から考えても、有料化すべきではありません。見解を求めます。

【環境局長答弁】

 手数料徴収は、減量に努めた人ほど負担が少なくなり不公平が是正される。ごみ減量・再資源化も推進されるので導入を検討している。今後、市長との対話会や地区連絡協議会、出前講座など市民との意見交換を行い、そこでの意見を反映しながら計画を進めたい。

【あぐい武夫議員】

 不公平がなくなるといいますが、努力してきた人も負担を求められます。がんばってきたから無料になるわけではありません。不公平の是正をいうのであれば、分別が不十分な人への啓発に努めるべきです。市民の世論は、有料化ではなく、「市民との協力で減量をすすめてほしい」との思いです。市民を信頼して、有料化はやめるべきです。
 次に、「市政だより」の報道にも問題があります。「ちば市政だより発行規則」によれば、「市政だより」発行の目的は、第1条で「市政に関する必要な事項を市民に周知させ、その理解を深めるため」となっています。「市政だより」は討論誌ではなく、市が決めた内容で必要なものを市民に広く知らせるための広報誌です。ところが6月1日付け「市政だより」1面は、「ごみ処理基本計画を改定しました」との見出しで、家庭ごみの有料化だけを特別に取り上げています。
 「ごみ処理基本計画」は、焼却ごみ1/3削減をめざす計画で、ごみの排出抑制や分別の徹底、さらなる分別など総合的な対策を掲げています。家庭ごみの有料化は、その中のほんの一部の対策です。本来であれば、「ごみ処理基本計画」の全体像を報道すべきです。ところが、まったく決定事項でもない、しかも市民の中に疑問や反対意見がある家庭ごみ有料化を、規定方針のように報道することは、市民に誤った情報を流すことになります。実際に、市への問い合わせの中には、「料金はいくらか」「いつから実施されるのか」などの声がありました。今回の報道のあり方は、「ちば市政だより発行規則」に逸脱した報道といえないのか。見解を求めます。

【環境局長答弁】

 ちば市政だよりは、市政に関する事項を市民に周知し理解を深めるために発行している。6月1日号は、ごみ処理基本計画を市民に知らせ、計画の内容を紹介したものだ。

【あぐい武夫議員】

 今回の「市政だより」の内容は、だれが見ても、基本計画の内容ではなく、家庭ごみの有料化です。明確に「発行規則」の逸脱です。こんなことを許せば、市民に負担を強いる問題は、毎回、「市政だより」の一面トップに載せられてしまいます。このような編集が二度とないように、「発行規則」を厳守することを求めておきます。
 次に、「市政だより」の記事にも問題があります。「市政だより」は「焼却ごみが減らず、1/3削減が達成できなければ」、建設費約180億円、維持管理費年約6億円かけて北谷津清掃工場を建て替えなければならないことを訴えています。市長メッセージでも「多額の税金を投入し建て替えをするかを決めなければならないタイミングに来ています」と述べています。
 「市政だより」の紙面をみると、「北谷津清掃工場の建て替えを避けるためには、家庭ごみの有料化を実施しなければならない」と受け取れます。
 市民の中には「清掃工場の建て替えで、脅されているようだ」との声もあります。こうした報道のしかたを問題と思わないのか。お答え下さい。

【環境局長答弁】

 稼働後34年経過している北谷津清掃工場を建替えず、建設費・維持管理費の節減には、ごみ減量が必要であり、ごみ処理計画の施策の1つとして手数料徴収を掲載したものだ。

【あぐい武夫議員】

 ごみ減量の必要性を清掃工場の建て替え問題に矮小化させてはなりません。環境問題として、しっかり位置づけるべきです。また、「建て替えしないために、有料化を」ではなく、「建て替えがなければ、福祉・教育を充実できます。そのために、さらなる分別・徹底を」と呼びかけるべきです。その方が、市民の力を引き出せます。脅しのような論立てをやめることを求めておきます。
 次に、「市政だより」は「皆さんのご協力で、順調に削減されてきた焼却ごみですが、削減幅が年々小さくなっています。平成23年度は約2,000トンしか削減できませんでした」として、焼却ごみ量の推移のグラフを載せています。平成22年度の焼却ごみ量は、26万7,229トンです。今回改定された「ごみ処理基本計画」の18ページでは、平成23年度の中間目標値を28万5,598トンとし、「平成22年度実績で平成23年度の計画値をすでに達成しており」と記述しています。このように、すでに平成22年度で23年度の中間目標値を達成しているにもかかわらず、「市政だより」では報道していません。それどころか、削減幅が2,000トンと小さくなっていると強調し、有料化を求めるのは大問題です。訂正して、正確な情報を流すべきではないのか。お答え下さい。

【環境局長答弁】

 焼却ごみを25万4,000トンまで削減を目標に、雑紙分別や町内自治会への説明会、家庭ごみ収集体制の見直し、分別の徹底と再資源化に向けた各種施策を展開してきた。23年度に入り焼却ごみ削減量が急速に減り、啓発だけでは大幅な削減は見込めず、新しい施策として手数料徴収を知らせたものだ。

【あぐい武夫議員】

 訂正しようという気がないのは大問題です。中間目標の達成を評価もしない、教えもしない。削減幅が少ないからと発破をかける。一番やる気をそぐやり方です。正確な情報こそ、市民に伝えるべきです。
 そのほかにも問題があります。「市政だより」は、有料化を導入した市の焼却ごみ量の推移例を紹介しています。有料化後、毎年、削減が進んでいる事例です。グラフの最小値を40万トンとしているために、急な傾斜になっています。市の名前は明らかにされていません。
 この事例は、京都市だそうですが、家庭ごみの減量のグラフではなく、事業系ごみも含めた全体のグラフです。家庭ごみだけで見ると、これほどの削減率にはなっていません。また、グラフの最小値をゼロにすると、傾斜はゆるやかになります。グラフの使い方も誤ったイメージを与えるもので、問題です。本来、家庭ごみの有料化の効果を示すならば、家庭ごみの焼却量で示すべきです。市の名前を公表せず、グラフも家庭ごみ有料化の効果を示すものではないものを使って、家庭ごみを有料化すれば、減量がすすむとの印象を与えることは大問題です。この点でも訂正し、正しい情報を流すべきではないのか。お答え下さい。

【環境局長答弁】

 ごみ処理計画での焼却ごみ削減目標は、家庭系・事業系を含めたもので、焼却量全体を削減する。市政だよりのグラフは、有料化を導入した政令市の1つの例として紹介した。

【あぐい武夫議員】

 この点でも、訂正しようという答弁がありません。家庭ごみが有料化されても、事業系ごみは影響を受けません。削減効果を判断するには、家庭ごみで行うのが当然です。市のホームページに公表している有料化した政令市のグラフは、家庭ごみだけです。その中に、京都市もあります。最小値はゼロのグラフです。「市政だより」では、削減幅が大きく見えるように、意図的におこなったと思わざるを得ません。京都市の名前を、あえて隠したのも、そのためだと考えてしまいます。正しい情報こそ流すべきです。
 市長メッセージも問題です。市長メッセージの中で、「家庭ごみの手数料徴収がコスト的にも効果的にも最も良い」と述べています。有料化しても、確実にごみが減るわけではありません。
 一時的には減りますが、リバウンドしたり、その後は横ばいなどの状況が全国での経験です。有料化した政令市も同様の状況です。家庭ごみの有料化がごみ削減に「最も良い」と断言するのは事実と違うのではないのか。お答え下さい。

【環境局長答弁】

 焼却ごみ量の削減量が減少し、雑紙など古紙・布類の収集量も横ばいで、啓発活動だけではこれ以上の削減は見込めない。手数料を徴収している政令市8市の削減状況は、どの市でも有料化後5〜30%程度の削減効果が見られ、効果的な施策の1つだと考える。

【あぐい武夫議員】

 市長メッセージでは「効果的な施策の一つ」とは言っていません。政令市のグラフを見ても、有料化時は一定減りますが、その後は、削減幅が小さくなります。有料化が「効果的な施策の一つ」と言うのであれば「有料化ありき」を押し付けるべきではありません。他の施策も考えるべきです。
 次に、市長との対話会についてです。「市政だより」の2面に、「家庭ごみの手数料徴収(有料化)」をテーマに、市長との対話会が6月30日から8月18日まで、各地の公民館で12回行われると発表しています。各定員は50人で、合計600人です。抽選で落選した市民は関心のある方々であり、議論に加われないのは問題です。「家庭ごみ有料化」だけをテーマに、しかも小規模に対話会を行うのは、民主的な手続きとはいえません。市民全体を巻き込んで、「ごみ削減」をテーマに、大小の集会やシンポジウムなどを取り組むべきではないのか。お答え下さい。

【環境局長答弁】

 対話会は、手数料徴収に限定したものではない。改定したごみ処理計画の内容や市のごみの現状、焼却ごみ削減のメリット、焼却ごみ削減へ雑紙分別作戦などの町内自治会への説明会、家庭ごみ収集体制見直しなど、主な取り組みの紹介を行う。今後も出前講座などで市民との意見交換や各種イベントを活用し、発信していく。

【あぐい武夫議員】

 だれが見ても、手数料徴収に限定した内容です。「有料化に限定したものではない」と言い切るなら、「ごみ削減」で、真剣な論議をすべきです。各種イベントの活用も必要ですが、市民から呼ばれるのを待つのでなく、「ごみ削減」をテーマに、積極的に大小の集会やシンポジウムを開くことを重ねて求めておきます。
 ごみを削減するうえで、プラスチックと剪定枝、生ごみの分別が決定的に重要です。平成19年度の一般廃棄物処理基本計画では、プラスチックと剪定枝の分別を平成22年度から実施するとなっていました。生ごみは平成24度で実施判断となっていました。ところが、今回の基本計画では先送りされました。実施していれば、大きく焼却ごみの減量が進んだはずです。これらを実施せずに、ごみ削減幅が小さくなったからといって、市民に家庭ごみの有料化を押し付けるのは、道理がありません。全世帯を対象にした、プラスチックと剪定枝、生ごみの分別こそ行ない、千葉市の責任を果たすべきです。お答え下さい。

【環境局長答弁】

 プラスティック・剪定枝・生ごみの分別再資源化は、実施には多くの費用が必要だ。プラスティック製容器包装の再資源化は、国が容器包装リサイクル法の改定を予定している。剪定枝の再資源化は、原発事故で剪定枝を原料に堆肥・腐葉土の生産・利用の自粛要請がある。生ごみ分別収集は、効果的な収集方法などを検証中であり、未実施の3事業は国の動向や費用対効果を見極めて検討したい。

【あぐい武夫議員】

 分別は「費用がかかる」からできなかったといいながら、市民には有料化を押し付けるのは道理がありません。市民は税金を払っているわけですから、計画に基づいて実施すべきでした。
 プラスチックの分別では、容器包装リサイクル法の改正も理由にしていますが、改正されなくても現在の法律でできます。プラスチックを分別している自治体はたくさんあります。市の責任を果たさないで、市民にだけ負担を押し付けるのはやめるべきです。今回、改訂された「ごみ処理基本計画」の目的は、あくまでも焼却ごみ1/3削減であって、家庭ごみの有料化ではありません。6月1日付けの「市政だより」で家庭ごみの有料化だけが求められ、十分な議論もないままに、今後の議会に条例が提案され、実施になることは絶対に許されません。一昨年の可燃ごみの収集回数の削減のときには、短期間で実施され大問題となりました。その教訓を生かすならば、多くの市民を巻き込んで、真剣な議論を十分にすべきです。
 家庭ごみの有料化ありきでなく、分別の徹底とさらなる分別をすすめるために、広範な市民を巻き込んでの議論を起こし、その結果、家庭ごみ有料化しなくても、ごみは減らせるとの世論が広がれば、家庭ごみの有料化はきっぱりと断念すべきです。お答え下さい。

【環境局長答弁】

 6月末から8月の市長との対話会や6月末予定の地区連絡協議会との意見交換、随時実施の出前講座などでごみ処理計画の内容や市のごみの現状など、これまでの主な取り組み・施策などを紹介することにしている。

【あぐい武夫議員】

 「有料化しなくても、ごみは減らせる」との世論が広がったときには、「断念するのか」と聞いているんです。答えないのは、有料化ありきの立場の表明です。
 それでは、端的に質問します。熊谷市長は今年の第1回定例会で、家庭ごみ有料化について、平成24年度中に条例改正し、25年度に導入すると答弁しています。次の9月議会で条例を提案するのか。お答えください。

【環境局長答弁】

 提出時期は、手数料の額・制度の仕組みを市民と意見交換し、制度設計を決めた後提出する。

【あぐい武夫議員】

 否定しないのですから、9月議会での提出もあるということです。市民は6月1日付けの「市政だより」で「家庭ごみの有料化」を提案され、内容は有料化ありきで、先ほどから述べたように不適切なものでした。もし9月議会に条例が提案されれば、その間わずか3か月です。市民は十分に議論することはできません。それにもかかわらず、9月議会で決議されたら、市民は有料化を押し付けられるだけです。これでは、市民との参画や共同という市政運営の基本が根本から欠落してしまいます。家庭ごみの有料化は、一地域や一分野の行政課題ではなく、96万市民全体の問題です。多くの市民が意見を十分に表明するうえでも、9月議会の条例提案は許されません。9月議会での条例提案は中止すべきです。お答え下さい。

【環境局長答弁】

 各種の機会に市民と十分な意見交換を行っていく。

【あぐい武夫議員】

 3か月ぐらいで、市民との十分な意見交換はできません。ごみ収集の回数削減の教訓をまったく学んでいません。今度は、市民に財政的負担を強いるものです。短期間で強行するということになれば、民主主義の否定です。有料化に理解を示す人でも、こんなやり方では納得できないと思います。幾重にも道理がない家庭ごみの有料化は、撤回しかありません。このことを厳しく指摘して、次に移ります。

4.特別養護老人ホームの整備について

【あぐい武夫議員】

 最後に、特別養護老人ホームの整備についてです。
 超高齢化社会を迎え、介護問題が大きな社会問題になっています。老老介護が広がり、介護殺人まで起こっています。特別養護老人ホームに入れない問題も、重大な問題です。「いつになったら入れるのか」「いつまで待たせるのか」。ご本人や家族のみなさんは、たいへん辛い思いをしています。そこで、質問します。
 千葉市における特養ホームの待機者数は何人でしょうか。全体の人数と区ごとの人数をお示し下さい。また、当面の特養ホームの整備計画について明らかにして下さい。

【保健福祉局長答弁】

 4月1日現在の千葉市の待機者数は、全体で1,947人、中央区429人、花見川区377人、稲毛区330人、若葉区314人、緑区314人、美浜区183人となっている。第5期計画ではH26年度までに605人分整備する計画だが、施設が少ない区では国有地等を活用し整備することにしている。

【あぐい武夫議員】

 約2,000人の待機者に対して、整備が3年間で600人程度です。高齢化社会は急速にすすんでいますから、待機者をなくすためには、さらに位置づけを高め、スピードをはやめることが必要です。
 次に、昨年9月議会で、わが党の中村きみえ議員の質問に、「整備量の少ない区への対応に対して、国・企業庁・UR都市機構の所有地などについて協議をすすめている」との答弁がありました。当面の整備がすすんだ場合、施設数でどこの区が一番整備の少ない区になるのでしょうか。

【保健福祉局長答弁】

 現時点で活用できる見込みの高い国有地等に整備したら、稲毛区が最も少ない区となる。整備地が特定されていないものもあり、今ははっきりしたことは言えない。

【あぐい武夫議員】

 稲毛区が最も少なくなるということでしたので、ぜひ、整備を積極的にすすめていただきたいと思います。そこで、稲毛区轟町5丁目には、機動隊の跡地で7100平方メートル以上もの空地があります。現在、国の土地となっており、活用方針は未定です。こうしたところも活用して、稲毛区に特養ホームの整備を求めます。お答え下さい。

【都市局次長答弁】

 今後の待機者数や要介護者数の状況、高齢者グループホームなど他の介護サービスの参入状況を見ながら、整備の必要性を検討していく。

【あぐい武夫議員】

稲毛区には4つしか特養ホームはありません。必要性はますます高まっていますので、しっかりと検討していただきたいと思います。