もりた真弓議員の反対討論

2012.6.26

写真 日本共産党千葉市議団のもりた真弓です。
 会派を代表して、議案72号・「専決処分について」議案79号・「千葉市印鑑条例及び千葉市証明等手数料条例の一部改正について」を反対の立場から、また議案78号・暴力団排除条例の制定について修正を求めたことと、発議10号・「千葉市障害者雇用対策検討委員会設置条例の制定について」が否決されたことについて討論を行います。

 はじめに、議案72号・「専決処分について」です。
 これは平成23年度の国民健康保険事業特別会計において、118億5,000万円の累積収支不足が見込まれることから、平成24年度予算を増額補正し繰り上げ充用するもので、出納整理期間中の5月29日に専決処分で対応したものです。
 本来、会計の事務手続において、前年度の不足分を今年度分で繰り上げ充用し先取りで処理することは正常なあり方ではありません。国民健康保険のあり方をゆがめるもので認めることはできません。
 千葉市は国保事業の財政健全化に向けたアクションプランを作成し、平成26年度までの計画をあきらかにしています。保険料の値上げではなく、そもそも財政悪化の原因である「削減された国庫補助の増額」を国に求めるとともに、一般会計からの法定外繰り入れを行い、国保財政の改善を進めるべきです。

 次に、議案79号・「千葉市印鑑条例及び千葉市証明等手数料条例の一部改正についてです。
 外国人登録法が廃止され、外国人も住民基本台帳に登録されることになります。外国人住民の利便性の増進と行政の合理化が図れるとのことですが、外国人登録をしていた外国人すべてが住民基本台帳に登録されるわけではありません。居住実態がありながら、何らかの理由で在留資格が変わり、適法でないとされた外国人住民は、住民基本台帳から削除され、これまで受けていた行政サービスが受けられなくなる懸念があります。
 在留資格を有しない外国人であっても、基本的人権は原則として保障されるべきで、それが国際人権宣言と国際人権規約の立場です。今回の条例改正は、外国人住民への行政サービスを後退させる可能性があり、賛成することはできません。

 次に、議案78号・暴力団排除条例制定について、原案の第7条の「市民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない」との表現では十分とは言えず、第1条に「暴力団と関係のない市民及び事業者が自由や権利を侵害されることがないように」との文言を加えるよう修正案を提出いたしました。
 平穏な市民生活と健全な事業活動を進めるためには、暴力団を排除し、根絶していくことが求められています。先日、プロ野球の監督が元暴力団員といわれる人物に脅され、一億円を支払っていた問題があきらかになりました。脅しによって金銭を要求すること自体、反社会的な犯罪行為ですが、いかなる理由であれ暴力団を利することにならないよう、毅然とした態度で臨まなければなりません。
 議案質疑のわが会派への答弁で、先行自治体の例を挙げて「暴力団排除をより一層、強力に推進するため…、状況に応じ条例の見直しをする必要がある」と答えています。そうであれば、組事務所の開設・運営の禁止、訴訟の場合の補助など、市民の権利を守ることなどの改正が求められます。
 いかなる状況になった時にも、市民の権利の侵害があってはなりません。市民生活を守るための修正案が否決されたことはたいへん残念です。しかし、この暴力団排除条例によって、市民の安全が脅かされないように、慎重かつ実効ある運用を行うよう強く求めておきます。

 最後に、発議10号・千葉市障害者雇用対策検討委員会設置条例の制定について否決されたことについてです。
 千葉市は現在、第3期千葉市障害福祉計画を策定し、平成24年度〜26年度を目途に進めています。
 身体障害者、知的障害者の雇用は、障害者雇用促進法で支援されていますが、発達障害者についての支援はまだまだ不十分です。国立特別支援教育総合研究所の調査では、知的な遅れはないけれど、学習や行動上に問題を抱える児童・生徒は、全国に約60万人、義務教育段階の学級に1人〜3人の割合で在籍しているとのことです。
 発達障害者支援法の制定や障害者基本法の改定で、福祉サービスの対象に位置付けられ、ハローワークへの専門職員の配置や発達障害者支援センターの設置など、少しずつ就労支援が始まっていますが、その普及は少なく、利用できていない人も多くいます。
 発達障害者の就労カフェとして千葉公園にオープンしている喫茶店は、市内で初めて公共施設を使った就労体験の場として注目されていますが、担当部局だけでなく全庁的な協力があれば、施設の賃貸料の軽減など運営上の支援体制が整ったのではないでしょうか。条例の設置によって就労支援のあり方を改善できたのではないかと考えます。
 さらなる障害者の自立に向けて、今回の条例提案の意図をくんでいただき、就労支援策の検討を進めることを求め、討論を終わります。