佐々木ゆうき議員の反対討論 

2012.9.20

写真 日本共産党千葉市議団の佐々木ゆうきです。会派を代表いたしまして、「議案第92号・千葉市市税条例の一部改正について」、「議案第96号・千葉競輪場開催業務等包括委託審査委員会設置条例の制定について」、「議案第98号・千葉市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部改正について」、諮問第1号・「使用料の徴収に関する処分についての異議申し立てについて」を棄却することに反対の立場から、「発議第18号・千葉市水道あり方検討委員会設置条例について」が否決されたことについて、「議案第88号・平成24年度千葉市一般会計補正予算の防犯街灯補助事業費について」、「議案第103号・訴えの提起について」、意見を述べ、討論を行ないます。

 はじめに、議案第92号・千葉市市税条例の一部改正についてです。
 この条例改正は、東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る臨時特例に関する法律によるものであり、復興費用19兆円のうち、全国の自治体が行なう「緊急防災・減災事業」の地方負担分など年間8,000億円の費用をまかなう増税策として低所得者や被災者をふくめ個人住民税の「均等割」を引き上げるもので2014年から10年間、納税者1人あたり毎年度市民税と県民税をあわせて1,000円の増額となるものです。
 実際に単身世帯で課税標準額40万円の場合、1,000円の課税の税額に対する割合は2%、また単身世帯で課税標準額300万円の場合は0.3%となります。均等割にかかる市内納税義務者のうち、課税標準額が200万円以下は60.3%を占めていることから、低所得者ほど負担率が高いことが明らかです。
 被災者にも課税される今回の「均等割」の引き上げで、市内の被災者1万6,204人に、「幅広く」負担を強いるものです。この1万6,204人の市内被災者に、「均等割」引き上げ分を減免すれば、市の負担は約1,600万円であり、市内被災者への減免の適用を強く求めるものです。
 今回の条例改正は、低所得者ほど負担が重くなる不公平な税制であります。税制の基本は応能負担が原則であり、低所得者や被災者に負担を強いるべきではありません。

 次に、議案第96号・千葉競輪場開催業務等包括委託審査委員会設置条例の制定についてです。この議案は、千葉競輪場の開催業務等を2013年度から3ヵ年にわたり、包括的に委託する事業者の募集・選定する審査委員会を設置するものです。
 日本共産党は、ギャンブルもその産業も肯定するものではありません。しかし、今日の矛盾した社会の中で、ギャンブルをささやかな楽しみにしている人々が少なくないことも事実です。
 競輪は、オリンピック種目でもあり、日本共産党は健全なスポーツに発展させる政策を実行し、これらの人々がギャンブルをしなくてもすむような社会をめざすことを初めに表明しておきます。
 競輪や競馬、競艇などは、賭博・富くじ販売禁止の唯一の例外として、自転車競技法などで、国・都道府県・指定市町村に公営ギャンブルが定められています。この背景は、戦後の窮乏した地方財政、戦災都市の復興をはかるためとされ法律ができました。しかし競輪にとどまらず、競馬・競艇など公営ギャンブルは全国的に極めて厳しい状況にあります。
 市は、民間委託をすれば収入が増えて支出が減り、千葉市競輪事業特別会計から一般会計に1億3,000万円以上を繰り出し可能としています。それにもかかわらず、3年間の事業収益予想は、2013年2億3,600万円、2014年2億1,000万円、2015年1億7,100万円と、年々下降する流れです。
 実際には、従事員100名から50名へ勤務体制等の変更により削減し、月額5万400円から4万6,600円への減額、1日8,400円から7,600円の減額となり、賃金の10%カットを求めるものとなっています。
 民間包括委託によって、営業収益が上がり、展望が開けるわけではありません。廃止を検討しなければならない可能性を十分にはらんでいます。千葉競輪は100人の従事員を雇用し、開催時の関係者は約300人にもなります。この人たちの雇用を守ることは、千葉市の重要な課題でもあります。
 包括委託によって、人員削減、給与カットすれば、残された従事員のモチベーションはさがり、不況の中で仕事を失った方々は、厳しい生活を余儀なくされます。
 千葉市は、競輪の直営によって雇用を守るべきです。同時に、今後、廃止の必要性が出てくる可能性が十分にあるわけですから、今後の方向について、今から、従事員や関係者をはじめ、市民を交えた話し合いを十分に行なうことを強く求めておきます。

 次に、議案第98号・千葉市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部改正についてです。
 幕張新都心地域の大型店誘致について、56.4ヘクタールもの規模で、イオンの旗艦店が進出してきます。それに合わせた形で地区計画が提案されました。
 駐車場は何台確保したのか、企業庁が何年契約したのか不明で、3,000人の雇用についても正社員か非正規化の内訳もわかりません。大型店が進出した後、売り上げが落ちると撤退することを繰り返しているケースがあります。そのため周辺の商店街は影響を受けて、深刻な事態となっています。すでに商店街が疲弊し、景気が落ち込んでいる中で既存の商業施設への影響もあり、賛成できるものではありません。

 次に、発議第18号・千葉市水道あり方検討委員会設置条例についてです。
 水道事業は、住民の命とくらしに直接かかわる大切なものであり、身近で見える存在でなければなりません。震災時に水をすみやかに安定供給できることや、水質の安全面でも管理運営されることが重要です。県水との関係を今後どうしていくのか。千葉市の人口の約5%の水道経営のため、毎年一般会計から約10億円も投入し続けていること。5年後には、水道事業は破たんする可能性があり、今後どのようにすすめていくのかなど、水道事業の健全な経営も含めて、千葉市水道あり方検討委員会を設置して、市民参加で進めていくことを求め、提案しました。
 委員からは、「従来の運営協議会が、形骸しているのではないか、もう少し拡充できないか。県との関係もある。協議会の委員の意見を聞いて運営を」「大事な提案、主旨は否定するものではないが、委員になったこともあり、大事な案件については役割を果たしてきている。充実した審議が図れるように」との意見が出されたものの「発議には賛成しかねる」と否決されました。水道事業が多くの市民の命を支える飲み水をつくることを目的とした極めて公共性の高い事業であり、水道事業の現状を市民に情報公開をし、説明責任を果たし、市民参加で進めていくことが求められている時期にあるにも関わらず、発議が否決されたことは遺憾です。

 次に、諮問第1号・使用料の徴収に関する処分についての異議申し立てについてです。
 この案件は平和公園の墓地管理料の賦課決定の取り消しを求める異議申し立てを棄却する案件です。異議申し立ての理由は「墓地購入時管理費がないとのことで利便性が悪くても購入した」「千葉市側の事情で一方的に条件変更したことに同意をしていない」とのことです。
 墓地の管理料の一方的な有料化には、わが会派は桜木霊園や平和公園の歴史的な経過も踏まえて反対をしました。
 今回の異議申し立ての棄却の理由は「管理費負担がないために購入した等の主張は異議申立人の主観的かつ個人的な事情である」との千葉市の主張は、購入者全体の意思を無視するものあり看過できません。購入者全体に対する十分な説明をし、理解を求めるのが千葉市の取るべき態度であります。今回の異議申立人の理由については一定理解できるものであり棄却することには同意できないものです。

 次に、議案第88号・平成24年度千葉市一般会計補正予算の防犯街灯補助事業費についてです。
 この補正予算は、東京電力の電気料金の値上げに伴う防犯街灯補助金の増額であり、必要なことです。しかし、電気料金の値上げは、原発事故に起因するもので、国会の事故調査委員会報告では、「原発事故は人災」と明確に指摘しています。各地の公聴会でも、「原発事故の責任を電気料金の値上げで消費者に転嫁するのは不当だ」などの批判が出されました。これは多くの国民の声でもあります。また、電気料金を決める方法である「総括原価方式」については、原発事故の賠償も含まれるため、結果的に市民の負担増になります。
 今年4月、日本共産党の吉井衆議院議員の質問に、松原消費者担当大臣は「原価の範囲や水準が適正であるか、消費者に十分な情報提供がなされているかを精査して厳正に対応する」と答弁しています。
 電気はライフラインの一つであり、市民や自治体が不当な電気料金を請求されないように、千葉市が他の政令市とも連携しながら、国や東京電力に働きかけていくことを求めておきます。

 最後に、議案第103号・訴えの提起についてです。この議案は、生活保護費を不正に受給した者に対して損害賠償を求める訴えの提起です。
 今回の議案のような非常に特殊な事例を口実に、生活保護の申請抑制や扶養義務や調査を強化する流れがあります。
 いま千葉市がすべきことは扶養義務の強化ではなく、餓死や孤立死などの悲劇を生まないまちづくり、地域づくりこそ必要だということです。さらに、生活保護受給者が209万人へ増加したのは雇用破壊と貧困の拡大によるものです。いま病気や失業すれば誰もが一気に無収入になりかねない「滑り台」社会と言われています。憲法25条で保障された生存権の下、ケースワーカーの増員を図り、今回のような不正受給を無くし、生活保護を必要とする市民の生活を保障する機能を強めることが急務であることを指摘しておきます。
 尚、保健消防委員会で、ある委員が「生活保護のシールを自宅の玄関に貼って、保護を受けていることがわかるように」という発言がありましたが、これは重大な人権侵害であり、認められるものではありません。以上で討論を終わります。