あぐい武夫議員の一般質問

2012.9.27

写真 日本共産党千葉市議団のあぐい武夫です。一般質問を行います。

1.児童虐待防止の取り組みについて

 まず、児童虐待防止の取り組みについてです。
 厚生労働省が今年7月に発表した2011年度の全国の児童虐待対応件数は、速報値ですが、59,862件で過去最高となりました。2010年度より3,478件増えています。統計を取り始めた1990年度から21年連続の増加です。
 また、2010年度の死亡事例件数は、82件98人でした。毎年、多くの命が失われています。貧困の広がりなど、社会情勢の悪化の中で、児童虐待は、どこでも起こる可能性があります。子どもの命は絶対に守らなければなりません。不幸な子どもをつくってはなりません。児童虐待防止は社会全体で取り組まなければならない重要課題です。そこで、伺います。
 千葉市での児童虐待対応件数の推移はどうなっているのか、過去3年間の件数を明らかにして下さい。
 児童虐待防止法では、虐待の種類を「身体的虐待」「育児放棄であるネグレクト」「性的虐待」「心理的虐待」の4つに分けていますが、千葉市における2011年度の種類別の件数と割合をお示し下さい。

【こども未来局長答弁】

 対応件数は、H21年度360件、22年度436件、23年度572件だ。
 H23年度の種別件数は、身体的虐待192件33.6%、性的虐待6件1%、ネグレクト114件19.9%、心理的虐待260件45.5%だ。

【あぐい武夫議員】

 千葉市でも年々増え、今では心理的虐待がトップになっています。
 悲惨な児童虐待の報道が増えると同時に、千葉市の取り組みもあり、市民の認識も高まりつつあると思います。近隣住民からの児童虐待に関する通告はどのように変化しているのでしょうか。ここ3年間の通告件数をお示し下さい。

【こども未来局長答弁】

 通告件数は、H21年度148件、22年度196件、23年度242件だ。

【あぐい武夫議員】

 住民の通告件数も年々、増えています。さらに、市民ぐるみの取り組みが大切です。そのためにも、児童虐待への認識を深めることが重要です。
 児童虐待防止法は、虐待が著しい人権の侵害であり、心身の成長と人格形成に重大な影響を与え、将来の世代の育成にも懸念を及ぼすとしています。児童虐待の相談に乗り、解決のために対応してきた千葉市として、児童虐待の重大性について、どのような認識をお持ちでしょうか。

【こども未来局長答弁】

 児童虐待は、児童の心身の成長や人格形成に影響を与えるだけでなく、命に関わる重大な人権侵害であり、許されない行為だ。また、世代間連鎖で次の世代まで影響する深刻な問題だ。今後も児童虐待防止と撲滅に向け全力を尽くす。

【あぐい武夫議員】

 今の答弁にあったように、児童虐待は、子どもの命に関わる極めて重大な人権侵害です。この認識を持つことが、児童虐待防止の取り組みの出発点だと思います。
 また、児童虐待防止法は、国や自治体の責務を明記し、児童虐待の予防、早期発見、児童の保護と自立支援、市民への啓発活動などを求めています。千葉市としてこの3年間、力を入れてきた児童虐待防止の取り組みは、どのようなものでしょうか。

【こども未来局長答弁】

 未然防止・早期発見へ、新生児訪問、2か月児訪問、乳幼児健診時の相談や、検診未受診者へ専門職の訪問を強めている。社会全体での取り組みが必要であり、「オレンジリボンキャンペーン」の街頭活動やパンフ配布などで、通告への協力を市民に周知・啓発している。組織体制は、迅速に対応と保護のため、児童相談所で児童福祉司・心理判定員など専門職員の増員や警察OBなどの配置で、継続的な組織強化を図っている。こども未来局の創設で、子ども家庭支援室・児童相談所・各区こども家庭課が連携し、スムーズな対応に努めるなど、体制全般を強化している。また、外部機関とも必要な情報交換や支援内容の協議を行う「地域協議会」を設置、関係機関相互の連携強化などで児童虐待防止に努めている。

【あぐい武夫議員】

 様々な取り組みがされているようですが、その大前提に、子どもの人権を守る意識を持つことが大切です。
 児童虐待に対して「しつけ」との言い訳がよく聞かれます。この認識を変えることが必要です。子どもを一人の人間としてとらえ、子どもの人権を守る立場に立つことが、児童虐待を見抜き、防止する出発点です。そのためにも、日本も批准している子どもの権利条約を、多くの市民に理解してもらうことが大切です。また、子どものいじめ問題を解決する上でも重要です。
 千葉市は、子どもの権利条約をどのように位置付けているのでしょうか。また、子どもの権利条約の普及啓発はどのように取り組んでいるのでしょうか。

【こども未来局長答弁】

 子どもの権利条約は、子どもが人権を持った1人の人間として尊重され、調和の取れた発達ができるよう保護と援助を促進することを目指すもの。千葉市は、この条約の主旨を尊重し、子どもの人権に配慮しながら健やかに育つ環境づくりに努めている。普及啓発は、母子健康手帳や子育てハンドブック、児童虐待防止啓発リーフ等に条約の主旨・内容を掲載し、広く周知を図っている。

【あぐい武夫議員】

 子どもの権利条約を位置づけていることはわかりますが、もっと位置づけを高めることが必要です。
 熊谷市長は「子育てハンドブック」のあいさつの中で、「『子育てをするなら千葉市で』と選んでいただけるようにしたい」と述べています。千葉市こそ、子どもの権利条約を大いに重視する必要があります。
 子どもに関する発行物などに、条約のポイントなどを掲載したものはありますが、主な条文を具体的事例もあげながら、わかりやすく解説する市民向けパンフレットはありません。
 子どもの「生きる権利」「守られる権利」「育つ権利」「参加する権利」などの条文解説とともに、子どもの権利条約ができた背景・経過・意義、日本が批准してからの法令改正の動きなどを掲載したパンフレットをつくることを求めます。
 また、このパンフレットについて、市民に広く配布し、子どもの権利条約の普及啓発を強めることを求めます。さらに、職員に対しても研修などを活用して人権意識を高めることが必要であると考えます。お答えください。

【こども未来局長答弁】

 保健福祉センターの窓口で子育て家庭に配布し、民生児童委員や青少年育成委員など子どもに関わる人に配布、オレンジキャンペーンの街頭活動で、市民にも配布している。市職員も人権意識を高めるため、職員研修で人権意識の啓発をテーマに講義している。今後も掲載手法・内容等を工夫し、より分かりやすいものへと検討する。

【あぐい武夫議員】

 各種パンフレットなどについては、子どもの権利条約の掲載方法や内容を工夫するとのことですので、それ自体は必要なことです。ぜひ取り組んで頂きたいと思います。
 子育てハンドブックでは、子どもの権利条約は最後のページです。これはトップに掲載する必要があります。イクメンハンドブックにも是非、子どもの権利条約を掲載することを求めておきます。
 同時に、すべての市民に、子どもの権利条約を理解していただくためには、適切な資料がどうしても必要です。そのためにも、子どもの権利条約に関する専門のパンフレットが求められています。ぜひ作成し、そのパンフを活用した普及啓発を行なうことを重ねて強く求めておきます。
 次に、児童相談所の体制の強化について伺います。
 児童虐待対応件数が増加する中で、児童相談所の職員の仕事量も精神的負担も増大しています。「精神的にも続けるのは大変」との声もあります。
 しかし、子どもの命にかかわる大問題だけに、どんな困難があっても対応しなければなりません。そのためにも、職員の増員が不可欠です。この3年間、職員は全体で何人から何人に増員されたのでしょうか。うち児童福祉司は何人から何人になったのでしょうか。お答えください。

【こども未来局長答弁】

 過去3年間で、児童相談所の職員は38人から43人に増員し、うち児童福祉司は17人から19人になっている。

【あぐい武夫議員】

 職員が43人に、児童福祉司が19人に増えていますが、これで十分とは言えません。児童福祉司については、児童福祉法施行令で1人当りの担当区域を「人口おおむね4万から7万までを標準として定める」としています。
 児童福祉司の担当区域の人口を4万人の基準にして、96万市民に対して24人の児童福祉司を配置できるよう、予算を増やし、さらに職員を増やすべきではないでしょうか。お答えください。

【こども未来局長答弁】

 市の児童福祉司1人当たりの担当区域は、人口約5万人であり、国の基準を満たしているが、一層の強化に努める。

【あぐい武夫議員】

 子どもの命にかかわる問題ですので、ぜひ、一層の体制強化を図っていくべきです。
 次に、児童虐待防止にかかわる関係機関の連携についてです。
 児童虐待防止は、児童相談所だけでは対応、解決できません。児童虐待防止にかかわる関係機関の連携が必要です。千葉市は児童福祉法の改正に基づいて、2009年度から千葉市要保護児童対策及びDV防止地域協議会を設置しました。
 当協議会の意義・役割、参加している主な関係機関、さらに体制と運営の基本について、お示し下さい。

【こども未来局長答弁】

 協議会は児童虐待の早期発見・適切な保護を図るため関係機関が連携、必要な情報交換・支援内容の協議を目的に設置している。参加機関は、児童相談所、児童福祉・母子保護・社会援護等の庁内関係機関、地域、教育、医療、警察、司法、人権擁護、DV被害者救済、NPO等の幅広い機関が構成員だ。
 当協議会は、代表者会議、実務者会議、個別ケース検討会議の3層構造体制だ。代表者会議では、全市的な児童虐待、DV対応の検討や実務者会議の活動状況の評価を行っている。実務者会議は、区単位で虐待事例の定期的な状況確認、情報交換、援助方針の見直し等を行っている。個別ケース検討会議は、個々の家庭や児童の課題把握や実際の支援計画の策定等を行っている。

【あぐい武夫議員】

 多くの関係団体が連携して取り組んでいることは重要なことです。
 当協議会は活動を始めて3年以上が経ちました。これまでには、連携する上での様ざまな苦労や試行錯誤もあったと思います。これまでの取り組みをどう評価しているのか、どんな成果があったのか。お答えください。

【こども未来局長答弁】

 協議会設置当時と比べ実務者会議開催回数を増やし、関係機関相互の連携を充実させている。実務者会議で扱うケース全てに関し詳細な台帳を作成、関係機関の情報共有、援助方針策定を容易にしており、個別ケース検討会議で支援計画決定にも資するなど改善してきた。これらによって複数の機関がケースの状況を把握し、様々な視点から検証することで、子どもの危険性をつかみ、安全・有効な援助方針を検証するなど成果を挙げている。

【あぐい武夫議員】

 ぜひ、この取り組みを発展させていくべきです。
 そのためにも、各関係機関の研修会の中に児童虐待防止をしっかりと位置づけると同時に、各関係機関の構成委員が、連帯感を強め、共通認識に立って取り組めるように、全体が一堂に会する研修会や講演会などを開くことが必要と思います。お答えください。

【こども未来局長答弁】

 協議会の代表者会議で、関係機関の構成員が集まり、全市的な児童虐待の現状と対応について共通認識を深めている。個別ケース検討会議では、ケースに関わる機関と児童相談所やスーパーバイザーが参加し、支援計画を共有して対応の質の強化を図っている。児童相談所でも保育所・幼稚園・学校等、子どもに関わる機関の特性に応じた研修を実施し、児童虐待に適切に対応できるよう連携している。

【あぐい武夫議員】

 代表者会議などは、特定の方の集まりです。各関係機関には、多くの方々がいるわけですから、一堂に会して学び、共通認識のもとで、取り組むことは意義あることだと思います。ぜひ、検討するよう要望しておきます。
 次に、当協議会と市民との連携についてです。
 当協議会が十分に機能を発揮していれば、市民がどの関係機関に通告・相談しても、連携して対応してくれるわけですから、市民にとっては、たいへん頼もしい存在となります。当協議会がそうした組織になるように努めるとともに、市民にも当協議会を知ってもらい、協力を求めることが必要です。
 千葉市発行の児童虐待防止キャンペーンのリーフレットには当協議会の紹介はありますが、もっと押し出してもいいのではないでしょうか。11月のオレンジリボンキャンペーンの中でも、当協議会の位置づけを高めるべきです。また、児童虐待防止に取り組むグループや個人が、当協議会とつながり、協力関係をつくれるように、工夫が必要と思います。お答えください。

【こども未来局長答弁】

 啓発リーフ等に、協議会について掲載し、オレンジリボンキャンペーンの中で周知している。虐待防止に取り組むグループや個人と協議会の協力関係は、当該する子どもや家庭の個人情報への慎重な対応が必要だ。NPO団体からも構成員が出ており、個別ケース検討会議でも個人情報に留意しながら、協議会の構成員以外の関係者の参加も求めて、より適切な支援計画を策定している。

【あぐい武夫議員】

 まだ多くの市民は、当協議会のことを知りません。当協議会を知ってもらい、市民との協力関係をつくっていくことが大切です。そのことを最後に求めておきます。

2.アルコール工場跡地へのマンション建設にかかわる交通問題について

 次に、稲毛区稲毛東4丁目のアルコール工場跡地へのマンション建設にかかわる交通問題についてです。
 建設予定の高層マンションは14階建て、3棟、929戸で、工事期間は3年間の予定です。
 地元住民のみなさんは、マンション建設で住環境が脅かされるとして、改善を求めてきました。住民集会とデモは2回も行っています。ところが、事業者は、周辺住民との「工事協定」を結ばないうちに、8月1日から工事を強行しました。
 町内自治会などでつくる高層マンション問題協議会は、ニュースで「強引で横暴なやり方で工事着工」と、抗議の声をあげています。また、工事着工に伴う交通問題について、たいへん危惧しています。
 浅間通りから工事現場への入口は1本しかなく、しかも道路幅は6メートル、歩道はありません。とくに、稲毛中央外科医院わきの、急こう配の坂道が交差する変則十字路は、たいへん危険です。写真の左側が急こう配の坂道です。工事中も工事後も交通問題は重大問題です。そこで、伺います。
 住民のみなさんは、こうした交通問題を踏まえて、今年の第1回定例会に、高層マンション問題協議会として、「高層マンション建設計画に関する陳情」を提出しました。この陳情は、都市建設委員会において全会一致で採択されました。その内容は、関連道路の安全対策を求めるものです。
 この陳情を踏まえ、千葉市はこの間、どのような対応をしてきたのでしょうか。

【都市局次長答弁】

 事業者に対し、陳情の内容を通知し、その対応を要請している。事業者からは、敷地南側のマンション出入口になる総武線高架下につながる道路で、敷地に接する部分は、幅員約3.6mから6mに拡幅し、更に敷地内に2mの事業者管理の歩道設置すると回答されている。稲毛東5丁目側道路の蓋なしU字溝を、歩行空間確保のため蓋付きに改良し、敷地内の階段を増設するよう指導している。

【あぐい武夫議員】

 「指導している」ということですが、千葉市自身の取り組みも求められます。
 住民のみなさんが一番、「あぶない」と指摘する、1本しかない工事現場につながる道路の安全対策は、とくに重要です。現在、交通整理要員が配置されていますが、十分とはいえません。坂道が交差する変則十字路の改善や、道路内の電柱の移設など、具体的な対策が求められます。建設後も含め、お答えください。

【建設局次長答弁】

 建設工事完了後の交通状況などを踏まえ、検討する項目だと考えている。

【あぐい武夫議員】

 工事完了後、改善を検討するとのことですが、当面の工事期間中があぶないわけですから、今から改善に取り組み、事故が起こらないように、安全対策の実施をすべきです。
 次に、巨大マンションの建設工事には、大型車両とともに、長さ12m、幅2.5m、高さ3.8m、総重量20tを超える特殊車両も使われます。
 特殊車両を通行させるためには、道路法により道路を管理する自治体の許可を受けなければなりません。千葉市は、どのような許可条件を出したのでしょうか。お示し下さい。

【建設局次長答弁】

 市が管理する道路の通行時間を指定すること、徐行の厳守、建設地周辺3か所の交差点部への誘導員の配置などが許可条件となっている。

【あぐい武夫議員】

 この許可条件を無視して特殊車両が通行すれば、住民の安全・安心が脅かされます。
 業者に許可条件を守らせることが必要です。千葉市は、許可を出した責任として、許可条件が守られるように、あらゆる手立てを講ずるべきです。お答え下さい。

【建設局次長答弁】

 特殊車両の出入り時間や誘導員配置状況などを適宜、工事元請業者から報告させ、確認している。

【あぐい武夫議員】

 ただ報告を受けるだけでなく、現地確認もするよう求めておきます。
 工事車両は、特殊車両よりも、ダンプカーなど大型車両が圧倒的に多く使われます。交通事故や騒音、振動、道路の損傷などが心配されます。
 道路管理者として、道路パトロールを強めることを求めます。また、道路の損傷は、沿線への振動被害を引き起こします。道路に亀裂が入るなど痛んだ場合には、早めの補修など適切な対応を求めます。また、事業者の責任についてはどう考えているのでしょうか。お答え下さい。

【建設局次長答弁】

 道路のパトロールは、道路状況の把握へ、市が定期的に行うパトロール路線に組み入れ実施している。道路補修が必要だと判断した場合、速やかに対処するよう指導して行く。事業者の責任は、「協定書」に基づく協議書の中で、工事に起因する損傷は事業者が修復することになっている。

【あぐい武夫議員】

 被害を最小限にするためには、早めの対応がガキです。情報収集も強めるよう、要望しておきます。
 次に、工事車両が多数通行することによって、予想もしない事態が起こるかもしれません。住民のみなさんから、危険な場所が指摘される可能性もあります。その場合、住民や業者と話し合い、改善するよう求めます。また、カーブミラーの設置や道路の安全表示など、すぐにでも実現できることは、優先的に実施するよう求めます。

【建設局次長答弁】

 工事車両に起因する安全対策は、事業者の責任で対処すべきと考えている。住民から危険な場所など指摘された場合、速やかに事業者へ伝えていく。

【あぐい武夫議員】

 事業者の責任は当然ですが、市ができる対策はすぐに実施すべきです。この点でも事業まかせにならないように、指摘しておきます。
 次に、安全対策を行ううえで、「工事協定書」の締結が重要です。
 工事が始まっているにもかかわらず、事業者と住民との間の工事協定は、いまだに締結されていません。住民の安全を守る上で、工事協定書の締結は不可欠です。
 千葉市として、住民と業者の間に入って調整する考えはないのでしょうか。お答えください。

【都市局次長答弁】

 工事協定は、工事中の安全対策など地元住民と事業者で結ぶ紳士協定であり、市が建築紛争の調整をする斡旋の場で、事業者から協定締結に誠実に地元住民と協議するとの回答を得ている。現在も住民代表との協議が進んでおり、市としても早期に締結できるよう指導する。

【あぐい武夫議員】

 事業者が誠実に対応していれば、協定書の締結なしに、一方的に工事をすすめることはありません。市民の安全にかかわる問題です。早期に締結されるように、指導を抜本的に強めることを求めておきます。

3.日本たばこ産業所有地の売却に伴うまちづくりについて

 次に、日本たばこ産業所有の売却に伴うまちづくりについてです。
 日本たばこ産業は今年6月、JR稲毛駅東口近くの広大な所有地を売却するために公募手続きを始めました。用地には大きな倉庫などが残っています。
 これに対して、千葉市は、市としての土地利用についての考え方を明らかにし、購入を検討する企業にお知らせしています。
 この開発は、今後の稲毛区のまちづくりにとって、様々な影響を与えることが予想されます。そこで質問します。
 日本たばこ産業の所有地の面積、JR稲毛駅東口から一番近い所の距離、また、法律上、どんな建物が建てられる用地なのか、概要をお答えください。

【都市局次長答弁】

 当該地は、約6.3haで、JR稲毛東口からは約200mだ。用途地域は、第二種住居地域であり、住宅や共同住宅、事務所、ホテル、床面積が1万u以下の店舗などが建設可能だ。

【あぐい武夫議員】

 この用地について、千葉市は、購入を検討している企業に対して、どのような土地利用の考え方を示したのでしょうか。また、その考え方によって、企業をなんらか規制することができるのでしょうか。

【都市局次長答弁】

 市は、JR稲毛駅に近い場所にバスバースやタクシープールなど既存の駅前広場を補完する施設の整備、東口周辺の交通円滑化へ新港横戸町線と幕張町弁天町線を結ぶ道路整備が必要だと説明した。また、生活機能拠点の機能強化と賑わいの創出へ、敷地の半分以上を商業的土地利用にすることなどを伝えた。
 市の考え方にあった事業計画となるよう規制はできないが、建物用途や高さ制限の緩和、容積率の付加などインセンティブに地区計画を活用し、周辺環境に配慮した計画になるよう誘導する。

【あぐい武夫議員】

 この用地の開発は、稲毛区のまちづくりに、大きな影響を与えることは確実です。商店街への影響もあります。なによりも地域住民の住環境を悪化させてはなりません。
 その点で、まちづくりで大切なことは、そこで暮らしている地域住民の思いや要望を踏まえて進めることです。千葉市は、今回の土地利用についての考え方をまとめるにあたって、地元町内自治会や商店会などから、意見や要望を聞いていないとのことです。千葉市として、住民アンケートや意見・要望を聴く会などを取り組むことを求めます。お答えください。

【都市局次長答弁】

 JR稲毛駅周辺のまちづくりの基本計画を位置付けた新基本計画の策定には、市民ワークショップ、区民検討会など市民参加の取り組みを行っており、市民の要望を反映したものだと考えている。市の考え方で事業計画を進める場合は、都市計画の手続きの中で市民に意見を聞くことにしている。

【あぐい武夫議員】

 新基本計画の策定時は、この用地の売却計画は公にはなっていませんでした。そういう時期に、市民の声を聞き、反映したといっても、聞いたことにはなりません。
 私が住民の方から聞いたところ、「夜は、タクシーが道路にならび、ひどい」「駅近くの保育園に子どもを預けて、駅から通勤したいが、保育園に入れない人が多い」「高齢者施設ができればいいのに」などの声が寄せられました。
 JR稲毛駅周辺はここ十数年の間に、マンションが増え、駅近くの保育園は、区内でも待機児童が一番多い施設となっています。交通渋滞もひどくなっています。もちろん高齢化がすすんでいる地域もあります。空き店舗も増えています。
 こうした状況を考慮しただけでも、渋滞の解消をはじめ、保育所や幼稚園、高齢者施設の整備などを考えていく必要があります。千葉市として今後、子育て施設や高齢者施設などを要請していく考えはないのでしょうか。

【都市局次長答弁】

 今後、具体的な事業計画の内容が明らかになったら、必要に応じて事業者に要請していく。

【あぐい武夫議員】

 ぜひ、住民のみなさんの生の声を聞いて、切実な要望を集め、事業者に伝えるべきです。
 同時に、今後、開発業者がどのような施設をつくるにしても、地域住民とのトラブルや紛争が起こらないようにすることが必要です。アルコール工場跡地へのマンション建設計画の教訓に学び、事業の推進にあたっては、地域住民との話し合いを十分に行い、地域住民に不利益が及ばないようにすることも、正面から要請するべきです。お答えください。

【都市局次長答弁】

 事業推進に当たり、事業計画の内容を周辺住民に十分説明するよう指導していく。

【あぐい武夫議員】

 開発において紛争が起こるところは、どこでも事業者が住民との合意なしにすすめるからです。アルコール工場跡地へのマンション建設計画でも、同じ事態が起こっています。日本たばこ用地は、直ぐ隣に大きなマンションが複数あるなど、周辺に多くの住民が暮らしています。しかも、広大な用地であり、長期間の工事が予想されます。明らかに、地域住民に大きな影響を与えます。
 千葉市が、事業者に住民合意を何よりも大切にするよう、指導することを最後に、重ねて求めて質問を終わります。