ふくなが洋議員の代表質問に対する答弁

2012.12.6

1.市長の基本姿勢

【熊谷市長答弁】

○ 選挙について
 一票の格差が是正されない中で選挙を執行する事態は非常に遺憾です。こういう基本的なことを決定できなかった国会が選挙後に正常化され、国民の視点に立った建設的な国会になることを、まず、第一に期待しています。 また、各党の地方分権のビジョンの中で、基礎自治体への一層の分権を明確に示していただき、住民に身近なところで決めていけるようになることを期待しています。
 知事選挙については、県・市が協調して様々な課題の解決を図れるよう、今後の候補者の動向を注視して参りたいと思います。
 市長選挙については、私は、現在の任期を精一杯やり遂げるということが第一であると考えており、今の段階では申しあげられません。

○ 復興税について
 まず、被災地とは関係のない予算の使われ方については、現在、国において新たな基準での見直しが行われており、被災地の復旧・復興を最優先にするとともに、全国的に緊急に実施する必要が高く、即効性のある事業に絞って実施していくものと考えております。
 また、近いうちに予想される東海地震・首都直下地震・耐震補強を実施するために必要な財源については、本来、一般会計で予算化するべきと考えております。

○ 消費税について
 少子・超高齢化の進展に伴う労働力人口の減少など、わが国の現状と将来を踏まえますと、社会保障の充実及び安定化を図るための財源の確保は重要であり、国民の理解を得た上で将来にわたり安心できる社会保障制度を維持するための最小限の負担増は、やむを得ないものと考えております。

○ 消費税増税について
 消費税率の引き上げにあたっては、経済状況の好転が条件となっており、今後の経済成長等に向けた施策の実施状況を踏まえ、経済状況等を総合的に勘案した上で判断されるべきものと考えております。

○ TPPについて
 JAグループや日本医師会が反対していることは承知しておりますが、仮に、交渉に参加するとしても、現状では、関税撤廃の対象品目の絞り込みや、どのような国内対策が必要なのかといった具体策が示されておらず、参加の是非を議論することはできないものと考えます。 国は、様々な団体から寄せられた貴重な意見を、国民的議論に反映させ、議論を尽くしたうえで、慎重に対応するべきと考えます。

○ 原発問題について
 福島第一原子力発電所の事故により、今もなお避難を余議なくされている方々のことを思うと、原子力発電をこれまでどおり推進していくことは難しいと考えております。 一方で、エネルギー政策は、市民生活や経済活動に深く関係してくるので、将来を見据えた具体的なエネルギー計画に基づき、現実的なプロセスを経て、原子力発電への依存度を低下させていくことが重要であると考えております。現在、蘇我地区メガソーラー設置運営事業者の募集を行なっておりますが企画提案の中で、市内業者による設置運営、設置工事や維持管理業務等の市内業者への発注、さらに事業による地域活性化等を評価することとしており、地元経済の活性化や地元の雇用について考慮したものとなっております。
 地域での省エネへの取り組み、太陽光発電、ソーラー温水器などの設置支援では、町内自治会等で、LED防犯街灯を設置・管理する費用、個人が住宅に太陽光発電や太陽熱利用給油システムを設置する費用、雨水を貯めて庭の水やりなどに使用するための雨水貯蓄槽の購入や下水道への接続により不要になる浄化槽を転用する費用について、いずれもその一部の助成を行なっております。
 農協・生協・森林組合・労働組合・自治会などへの支援では、共同住宅に太陽光発電設備を設置する場合、管理組合への助成制度があります。その他各種団体の行う自然エネルギーへの取り組みについては支援を行なっておりませんが、今後効果的な補助制度について研究して参ります。
 住民・地元業者のコラボで地球温暖化防止や環境教育を推進することについてですが、地球温暖化対策実行計画の実施計画として、再生可能エネルギー等導入計画の策定を進めております。
 市民・事業者・行政が連携して地球温暖化対策に取り組むため、地球温暖化対策地域協議会を設立し、「エコメッセちば」など各種イベントへの参加により再生可能エネルギーの導入や温暖化対策の普及啓発を行なっております。
 千葉市の放射能汚染対策の実態についてですが、本市は「放射性物質汚染対処特別措置法」における汚染状況重点調査地域に指定されていませんが、市民の安全・安心を確保するため、「放射線医学総合研究所」などの研究機関から専門的な助言をいただきながら、市立小・中・高等学校、保育所(園)、幼稚園、公園等の空間放射線量率の測定や放射線測定器の市民貸し出しなどの対策を実施してきました。 測定結果では、国が目指す追加被ばく線量である年間1ミリシーベルトを大きく下回っております。また、流通食品や学校等の給食食材を対象として、幅広く検査を実施しておりますが、これまで基準を超える食品は確認されておらず、その検査結果については、速やかに公表しており、さらに、放射性物質に係る市民向け講習会の開催や市ホームページなどを通じて、正確な情報の提供などに努めているところです。
 次に、東京電力の責任は、極めて重いものがあるとのことですが、東京電力福島第一原子力発電所等の事故により、放射性物質が検出され、市民から健康や生活環境について心配される声が多く寄せられました。本市としても平成23年11月10日に東京電力に対し放射能汚染に起因した費用について要望を行なっており、本年4月には、農業集落排水処理場の測定費用、下水処理施設汚泥焼却灰処分費用、7月には、水道水の放射能測定費用、9月には、一般廃棄物処理施設等における放射線測定費用等について、請求を行なっております。
 また、本年11月16日には、食品衛生法に基づく検査費用及び学校給食等の検査費用について、基準が示されたところでありますので、今後も原因者負担の原則のもと、国が定める基準により、随時、請求を行って参りたいと考えております。
 農業の安全は、食の安全につながり、監視すべきとのことですが、安全・安心な農産物の提供と風評被害防止のため、千葉県と連携し、本市の主要品目である野菜、米、原乳に加え、シイタケなどについて計画的に検査を実施し、その結果を速やかに公表しています。また、放射線による風評被害に対しては、JA千葉県協議会を通じて東京電力に対し損害賠償請求を行い、これまで請求した金額のほぼ全てが農家に支払われております。 なお、現在、出荷が制限されている原木露地シイタケについては、安全が確認されるまでの間、流通されることのないよう、周知徹底を図っています。今後とも、千葉県やJA等関係機関との連携により、計画的な検査を実施し消費者の求める安全・安心な農産物の提供に努めて参ります。

○ 領土問題について
 領土に関する問題についてお答えします。尖閣諸島、竹島、北方四島が、わが国固有の領土であることは、国と見解を同じくするものであります。 問題解決については、国の専管事項でありますが、今後とも国が強い意志を持って交渉に取り組んでいくことが重要であると認識しております。

○ 新年度予算について
 新年度予算についてお答えします。まず、子ども医療費助成制度の拡大・充実についてですが、現在、小学校3年生まで助成対象としている通院医療費の対象年齢拡大などには、現在の事業費に加え、膨大な財源確保が必要となることから、市全体の将来的な財政に見通しの下で判断する必要があると考えており、国に対する子ども医療費助成に関する制度創設等について要望を継続するとともに、対象年齢拡大の可能性について検討して参ります。
 次に、市民負担を増やすことなく、予算を確保することについてですが、これまでも大型公共事業の見直しに当たっては、緊急性、必要性などの観点から、可能な限りの見直しを行なって参りました。 また、県との関係につきましても、あらゆる機会をとらえ、協議を重ねてきた結果、一定の改善がなされたものと考えておりますが、引き続き、他の県市間の課題も含め対応して参ります。今後も、市民負担の適正化を図りつつ、市民生活向上のための予算を確保して参ります。

○ 地域経済の活性化について
 地域経済の活性化についてお答えします。まず、各種統計調査がどのように活用されているかについてですが、人口や世帯数のほか職業や住居など20項目にわたる国勢調査結果は、「千葉市地域防災計画」においては、人口のほか従業地や住宅の建て方などの項目を、「千葉市都市計画マスタープラン」では、ほとんどの項目を基礎資料として活用しています。
 工業統計や商業統計など事業所系の統計は、「千葉市地域経済活性化戦略」など、主に経済施策の基礎資料として活用しています。また、これらの統計結果は市内の経済活動の結果を測定する「市民経済計算」の基礎データとしても活用しています。
 次に産業連関表の分析を用いて具体的な方針を打ち出すことについてですが、 昨年度末に策定しました本市地域経済活性化戦略においても、直近の産業連関表の分析結果を活用して、地域経済の活性化策について検討したところであります。また、年度当初の企業立地促進事業補助制度の拡充にあたっては、産業連関表の分析結果である、産業構造の特徴や経済波及効果のモデル分析などを基礎資料として課長しております。
 中小企業振興条例、公契約条例、住宅リフォーム条例の速やかな制定についてですが、様々な課題があることから、現在のところ考えておりません。引き続き、各種施策を積極的に展開し、地域経済活性化を図って参ります。

○ 震災対策と防災対策について
 震災対策と防災対策についてお答えします。まず、震災に備える予防対策について、本市の考えと、市内の液状化対策や個人資産への支援も実施して生活再建を図る時ではないかとのことですが、地域防災計画の共通編は、災害予防計画及び災害復旧計画から構成されており、市の行うべき事項、防災関係機関・公共的団体及び市民の行うべき事項を定めております。
 現在、東日本大震災を踏まえた地域防災計画の見直しを進めており、見直しの基本方針では、「より実効性のある計画」、「あらゆる可能性を考慮した計画」、「10年・20年を見据えた“災害に強いまちづくり”を推進した計画」、「国や県の基本方針や関係法令の改正との整合性を図る」の6つを定め、作業を進めており、地震等の被害にあってからではなく、事前に液状化対策や建物の耐震化などを行なっていただく減災の考え方を取り入れた計画となるような、見直しを進めている状況であります。
 自宅を避難場所にするしかない障害のある方などへの支援についてですが、災害時要援護者のうち、自宅で問題なく生活できる方以外の持続的な状況確認や生活支援が必要な災害時要援護者については、可能な限り最寄りの避難所に避難するよう促し、福祉避難所等で対応することとしておりますが、事情により自宅以外に避難できない方には、横断的な組織として設置された「市災害時要援護者支援班」により、情報伝達や安否確認などを行うほか、医療相談等が必要な場合には、巡回により支援を行なうこととしております。
 難病患者への特別な支援についてですが、現在、在宅で人工呼吸器の使用や酸素治療などを行なっている難病患者等を対象として、災害時における安否確認の方法や医療機関・医療機器管理会社による支援体制等について、家庭訪問などにより調査しているところであり、その結果を踏まえ、必要な支援について検討して参ります。
 次に、自己責任第一でなく千葉市の責任を明確にすることが基本ではないかとのことですが、地域防災計画の見直しの基本は、「自助・共助・公助の視点から役割分担を明確にする」ことを打ち出しており、特に大規模災害時は、公助を待つことなく行動できるよう、地域による共助、市民一人ひとりによる自助の役割を明確にしていきたいと考えております。市としても、平常時から減債の観点を地域防災計画の概要版として、市政出前講座やホームページなど様々な媒体を活用し、啓発に努めていくことも公助の役割と認識しております。
 次に、中小病院を災害医療支援施設に位置付けることについてですが、本市では、医師会と連携し、大規模災害発生時において、救護所設置前の初期医療活動や救護所では対応できない重傷病者を受け入れるため、市内の病院・診療所の内、60施設を「災害医療協力施設」として指定いております。
 次に、地域で高齢者・障害者の支援を行うための個人情報の公開についてですが、本市では、災害時要援護者支援計画に基づき、災害時の安否確認や避難支援に役立てるため、災害時要援護者名簿を作成し、関係課や民生委員に配布しているところです。横浜市や神戸市においては、要援護者から拒否の意思表示がない限り同意を得ているものとし、自治会等の防災組織に個人情報を提供する方式を検討していると聞いており、このような方法も参考として参ります。

○ ごみ有料化問題について
 家庭ごみの手数料徴収ではなく、プラスチック製容器包装の分別収集、大規模事業所の生ごみや事業系紙ごみの再資源化の推進により、3Rを徹底し、ごみの減量を推進すべきではないかについてですが、焼却ごみの削減については、これまでチャレンジ1000による町内自治会への説明会、古紙・布類の資源化を推進する家庭ごみ収集体制の見直し、ごみの分別・排出ルールの指導制度の運用など、徹底した分別と再資源化に向けた各種施策の展開により、順調に推移して参りましたが、本年度に入り焼却ごみ量は増加に転じるなど、削減ペースは急速に落ち込み、啓発活動のみでは大幅な削減が見込めない状況となっております。このため、一般廃棄物処理基本計画に位置付けている個別事業のうち、早期に実現可能でごみの減量に効果的な家庭ごみ手数料徴収の実施に向け、具体的な検討を進めております。また、大規模事業所の生ごみや事業系紙ごみの再資源化の推進につきましては、事業所への立ち入り調査時に、「雑紙」専用の収集ボックスを設置するなどの紙ごみ分別方法を周知するほか、排出指導を徹底するとともに、清掃工場における事業系ごみの搬入物検査を効果的に実施し、不適正搬入者へ行政指導、事業所ゴミを収集運搬する業者へ指導し、更に減量達成事業者に対する表彰制度の活用や事業所ごみを収集運搬する業者を通じた、事業者へのリーフレット配布事業などにより、分別徹底を強く働きかけ、事業系ごみの更なる減量・再資源化を推進して参ります。

【藤代副市長答弁】

○ 生活保護について
 生活保護基準についてですが、現在、国の社会保障審議会の基準部会において、一般低所得世帯の消費実態との比較検証などが行われており、その動向を注視して参ります。
 次に、貧困を拡大させないための施策についてですが、国に対し、生活保護制度が最後のセーフティーネットとして本来の役割を果たせるよう、雇用・労働施策や年金制度など社会保障制度全般の拡充を図ることなどを要望しております。
 次に、自立支援やケースワーカーの増員についてですが、現在、就労については、対象者の意欲や能力に応じて就労支援事業、就労促進事業、農業等就労・社会体験支援事業の3つの事業を行っており、今後も強力に推進していくこととしております。なお、国で策定中の生活支援戦略において、社会福祉法人やNPO等との連携について検討されていることから、この動向を注視して参ります。また、学習支援については、本年度から従来の中学3年生から希望する中学2年生まで対象を拡大し、事業のより一層の推進を図っております。さらに、ケースワーカーについては、毎年増員をしておりますが、今後も必要に応じ国の補助金を活用した非常勤嘱託職員等と併せ増員を図って参ります。

2、市民行政について

【徳永副市長答弁】

○ 空き家対策について
 住宅の空き家活用については、まず空き家所有者を特定し、活用が可能な状況にあるかを確認することが重要でありますので、情報を取得するための調査方法を含め検討して参ります。なお、高齢者やひとり親世帯などの方々に対しては、千葉県宅地建物取引業協会千葉支部の協力のもと、入居を拒まない民間賃貸住宅の情報を住まいアップコーナーで提供しております。
 次に、ごみ屋敷対策を推進すべきではないかとのことですが、ごみ屋敷とならないよう情報収集や現地調査により早期発見に努め、居住者に対し、ごみ排出指導を行っております。また、深刻化している場合は、居住者にごみの持ち込み禁止や適正なごみ出しについて継続的に説得するとともに、関係機関及び町内自治会の方々と連携を図りながら、対応できる部分については廃棄物を撤去しており、一定の成果が得られております。ごみ屋敷となり、地域の生活環境に支障が生じないよう引き続き迅速な対応に努めて参ります。
 次に、老朽家屋の撤去などの推進についてですが、空き家などの調査の結果、管理不全な状態が著しく、かつ危険な状況が認められ、修繕などによる改善が難しいケースについては、今議会に提案している空き家の適正管理に関する条例や関係法令に基づく指導の中で、所有者などと話し合い、家屋などの撤去についての理解を得ることも可能と考えております。また、老朽家屋の撤去を促進する施策についても、今後先進都市の事例などを参考に検討して参ります。

【藤代副市長答弁】

○ 住民票の交付について
 住民票の写しの交付に係る本人通知制度についてお答えします。事前登録による本人通知は不正取得を抑止する効果がある一方で、訴訟や債権差し押さえなどの準備をする際、住民票などを請求したことが相手方に知られることにより、財産を隠されたりする恐れが生ずるとの指摘があるなど、課題もあることから先進市などの状況を参考に今後検討して参ります。

○ 障害者スポーツ振興について
 スポーツ施設のバリアフリー化についてですが、「千葉ポートアリーナ」「こてはし温水プール」「アクアリンクちば」などの主要な施設については、エレベーターや身障者用トイレが設置されており、対応済みです。なお、未対応である「高洲市民プール」など建替えが見込まれる施設については、建替え時に実施することとし、その他の未対応となっている施設については、利用者の状況などを見極め検討して参ります。
 次に、高齢者スポーツの具体的な対応についてですが、H23年3月に策定した「千葉市スポーツ振興計画」の取組事業として、高齢者のスポーツ・文化の祭典である「全国健康福祉祭」に選手団を派遣しております。この大会を目標に、高齢者が積極的にスポーツに取り組むことで、健康の保持・増進、社会参加につながっているものと考えております。このほか、スポーツ教室については、高齢者向けのプログラムとして水泳や健康体操など6教室開催しており、来年度は種目や教室数を拡充する予定です。
 次に、障害者スポーツ基本指針を作成して、総合的なスポーツ振興を推進することについてですが、障害者スポーツについては、H27年度を目標年度とする「千葉市スポーツ振興計画」に基づき、各種教室の開催や全国障害者スポーツ大会への参加支援、スポーツ・レクリエーション団体への働きかけなどに取り組んでおり、基本指針については、今後研究して参ります。

3、保健福祉行政について

【藤代副市長答弁】

○ 障害者差別禁止法について
 障害に基づく差別を防ぎ、被害を救済する手立ての必要性についてですが、現在、内閣府に設置された障害者政策委員会差別禁止部会で検討されているところですが、差別にあたると思われる事案が多数存在する中で、既存の法律では十分な解決が図れないこともあり、差別を禁止するとともに、差別を受けた場合の紛争解決の仕組みを整備することが必要であると考えています。
 次に、どのようなことが差別に当たるか、また格差を埋めるルールの必要性についてですが、国の差別禁止部会の意見では、「障害に基づく差別」を障害等を理由とする「不均等待遇」と、障害者が障害のない者と同様に生活することに対する「合理的配慮の不提供」としております。具体的には、障害を理由として退職を強要することなどが「不均等待遇」にあたり、点字受験などが用意されていないなどが「合理的配慮の不提供」にあたると例示されております。また、障害者と健常者の格差を埋めるためには、何が差別にあたるのかの「物差し」を明らかにし、社会のルールとして共有することが重要と考えております。
 次に、合理的配慮をしない差別をなくす取り組みについてですが、現在、国では障害者政策委員会差別禁止部会の意見を踏まえ、法律制定の作業を進めていることから、その動向を注視し、適切に対応して参ります。

○ 障害者総合支援法について
 障害者総合支援法の問題と「骨格提言」に基づいた施策の推進についてですが、障害者総合支援法では、制度の谷間のない支援として障害者の範囲に難病の方を加えたほか、重度訪問介護の対象者拡大など「骨格提言」を踏まえて支援の充実が図られた部分もあります。また、「骨格提言」を段階的に実現するため、障害程度区分や障害福祉サービスのあり方を検討する規定が設けられていることから、国の動向を注視しながら適切に対応して参ります。
 次に、障害者虐待防止法の課題とこれまでの取り組みについてですが、判断能力が十分でなかったあり、意思表示が困難な障害者の場合などは、特に虐待事実の認定が難しく、問題が深刻化する恐れがあることから、被虐待者である障害者が発するSOSを見逃さないために、周囲の人々の障害者に対する理解と権利擁護に関する認識を高めていくことが重要であり、今後も引き続き周知・啓発を行うことが必要であると考えております。なお、法施行後から11月26日までに合計9件の相談等が寄せられておりますが、受付た相談等については、関係者への訪問調査や状況確認など適切に対応しております。
 次に、学校・保育所・病院等における対応についてですが、法では学校等の長や管理者が学校教育法など、それぞれに対応した法令に基づく権限により虐待に対処することとされていますが、障害者虐待防止センターに学校等を対象とする相談や通報があった場合には、学校等の長や管理者に対して連絡するとともに、連携して対応を図って参ります。
 次に、障害者虐待防止を図るための家庭支援についてですが、法では虐待防止のため擁護者等に対しても必要な支援を行うこととされていることから、障害者虐待防止センターは、家庭訪問を行う保健師やケースワーカーなどのほか、成年後見支援センター等の関係機関と連携して、支援に取り組んでまいります。
 次に、児童や高齢者虐待などもあわせて、総合的に虐待問題に対応すべきではないかとのことですが、虐待防止に関しては、障害者・高齢者・児童・配偶者を対象とする法律が異なる時期に個別に施行されていることから、本市でもそれぞれの法律に対応した体制を整備してきたところです。通報窓口の一元化は、市民にとって分かりやすいなどのメリットも考えられますが、異なる特性を持つ対象者からの相談等を総合的に受けることができる人材の育成など、課題も多いことから当面は現体制での円滑な運営に努めてまいりたいと考えております。

○ 生涯現役のための施策について
 シルバー人材センターの仕事の確保についてですが、センターでは就業機会創出員を配置し、積極的に企業訪問を実施しているほか、会員によるリーフレットの個別配布や街頭広報活動、市が行う各種イベント等の活用などにより、積極的にPRに努めております。また、高齢者の社会参加や費用対効果の観点から、庁舎内においてもシルバー人材センターの活用を図っているところです。
 次に、生涯現役の地域社会の取り組みを進めることについてですが、高齢者が知識や経験、技術を生かしながら、可能な限り社会の一員として関わっていくことは、生きがいにもつながるものと考えております。このため、本市ではシルバー人材センターに対する補助のほか、生きがい活動の場と機会を提供するいきいきプラザ・センターの運営、学習活動やボランティアを育成する場として、ことぶき大学校の運営を行っております。
 次に、高齢者が健康で活躍できるための支援についてですが、健康づくりや仲間づくりなどに取り組む老人クラブ活動に助成をしているほか、運動器の機能向上や認知症の予防となる「元気アップ教室」などの介護予防事業に参加していただくことで、高齢者ができるだけ長く元気で活躍できるよう支援しております。

○ 認知症対策について
 認知症の実態・課題についてですが、本市の認知症高齢者数の推計値は、H22年度が約19,0 00人、H27年度には約25,000人となると見込まれております。認知症の方を介護する家族からは、「症状が出ている時の対応方法がわからない」「本人に自覚がなく、受診させられない」などの相談が多く寄せられており、あんしんケアセンターや認知症疾患医療センター等が、これらの相談に対応しています。このほか、認知症疾患医療センターでは、医療や介護の関係者、あんしんケアセンターの職員などで構成する協議会を開催し、医療介護の連携に取り組んでおりますが、今後はこの連携を地域レベルで展開していくことが課題と考えています。
 次に、認知症の方を在宅で介護する方への支援についてですが、本市では地域包括ケアを進める中で、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や認知症デイサービスなどの整備を促進しております。また、認知症相談コールセンターでは、介護者からの悩みや不安についての相談を受け付けているほか、この10月にはあんしんケアセンターを増設して相談体制を充実させ、介護サービスや生活支援サービスなどの情報が身近で得られるよう努めております。
 次に、早期発見で進行を遅らせることについてですが、高齢者に身近な地域の「かかりつけ医」に対して、適正な認知症診断の知識、技術等を取得する「かかりつけ医認知症対応力向上研修」を実施し、通常の受診時に認知症が疑われる症状があった場合には、専門医につなげております。また、認知症疾患医療センターを設置し、医療相談や鑑別診断を行い適切な治療に結びつけるとともに、身体合併症などへの急性期対応を行っております。
 次に、本市における若年性認知症の実態と対応についてですが、すべてを把握することは困難ですが、介護保険では40歳から64歳までの方が「初老期における認知症」と診断された場合、要介護認定を受けることができます。これにより、H22年10月から本年9月末までに、認定を受けた方は183人おり、グループホームなどへの入居や訪問介護、デイサービスなどの在宅サービスを利用しております。また、保健福祉センター健康課で相談に応じるほか、認知症疾患医療センターやこころの健康センターでは、より専門的な相談を行っております。

○ 孤立死問題について
 孤立死の本市の実態の変化についてですが、県営・市営・URの公営住宅において、誰にも看取られずに死亡した件数は、H21年度が56件、22年度が51件、23年度が34件、本年度は11月27日時点で、県営・市営住宅において16件が確認されております。
 次に、障害者を含めたネットワークをつくることについてですが、現在、町内自治会や社会福祉協議会地区部会など複数の団体で見守り活動を行っておりますが、障害者を含めて行っている団体はあまり多くありません。今後、見守り活動の好事例を自治会等へ紹介していきたいと考えており、その際に対象に障害者の方も含まれることについても検討していただくようお願いして参ります。また、障害者やその家族のなかには、地域とのかかわりを望まない方もいることから、民生委員に日常の業務の中で見守っていただくことも大切であると考えております。

○ 自殺予防対策について
 行政・専門機関との連携、ネットワークなどについてですが、自殺を予防するためには、家庭・学校・職場・民間団体等と連携した地域全体の取り組みが必要と考えております。このため、学識経験者や警察、医療、福祉関係者はもとより、教育・労働・経済関係者なども幅広く参加する千葉市自殺対策連絡協議会において、庁内各課や関係団体の取り組み状況を確認・協議するとともに、情報の共有や相互の連携を図り、自殺予防に取り組んでいるところです。
 次に、自殺未遂者への継続的支援についてですが、全国調査では、自殺を図って救命救急センターに入院した方の約4割が過去に自殺を企てていることから、自殺未遂者に再び同様の行為をさせないことが重要であると考えております。そこで、こころの健康センターから自殺未遂者の情報提供を受け、個別面談や服薬管理などの継続的支援を行う取り組みを始めたところです。

○ 食中毒・感染症対策について
 予防のシステムづくりについてですが、予防にはあらかじめ市民が正確な知識を持って、手洗いなどを実行することが重要であり、食中毒や感染症の発生しやすい時期や季節を捉えて、市政だよりやホームページにより広く市民に周知しています。また、社会福祉施設や飲食店を対象にした講習会を開催し、サービスを提供する事業者に対し注意喚起や具体的な予防対策を指導しております。なお、新型インフルエンザなどの水際対策は「新型インフルエンザ等対策特別措置法」等に基づき、国が講じることとなりますが、発生した国の状況や渡航に関する注意など、必要な情報を適切に市民へ提供して参ります。
 次に、高齢者へのワクチン接種のPRについてですが、市ホームページや市政だよりへの掲載、医療機関や公民館、保健福祉センターなどへのポスターの掲示のほか、「介護保険料のしおり」に記載するとともに、民生委員に協力をいただき周知を図っております。また、11月初旬に実施した感染症予防講習会や出前講座の際にもチラシを配布し、周知に努めております。
 次に、食品衛生監視員などスタッフを増やし保健所機能を強化することについてですが、中国産冷凍餃子事件を踏まえ、保健所食品衛生課と食品衛生検査所を統合し、職員が機動的・効率的に業務を遂行することができるようにしたほか、業務量に対応して職員の増員を図るなど、保健所機能の強化に努めてきたところです。今後とも、職員の適正配置を行うとともに研修等を充実し、職員一人ひとりの資質向上を図って参りたいと考えております。

○ 動物愛護について
 本市の動物愛護の実態と問題・課題についてですが、近年飼い主のいない猫への給餌やそれに伴う鳴き声や排せつ物などに関する苦情が、動物保護指導センターに多数寄せられ、中にはエサを与えている者と近隣住民との間で争いになるケースもあります。本市としても、これらの問題の解決に向けて、各種の施策に取り組んでいるところです。
 次に、千葉市動物の愛護及び管理に関する条例を改正し、動物との共生社会を目指すことについてですが、本市では、飼い主のいない猫に係る諸問題を解決するため、エサやりの方法や排せつ物の処理などについて、地域の方に説明し理解を得ることに努めるよう定めて「猫と共に暮らすためのガイドライン」を作成し、セミナー等により普及啓発を行っております。また、飼い主のいない猫の繁殖を防止するため、千葉市獣医師会の協力で、猫の不妊手術を無料で実施するなど、すでに人と猫が共生できるまちづくりを推進するための施策に取り組んでいることから、こうした視点からの条例改正の必要性は低いものと考えております。
 次に、安易な引き取りをしないことや譲渡の拡大などの普及宣伝を進めることについてですが、飼い主から引き取る際には、職員が直接面談を行い飼い主の責任として、動物の終生飼養を指導するなど、安易に引き取らない取り組みを進めているほか、やむを得ず引き取った犬猫は新たな飼養者を探すためホームページに動物の情報を分かりやすく掲載し、譲渡の拡大に努めております。また、動物愛護は命の大切さや思いやりの心を育てる効果があることから、子どもを対象とした夏休み犬猫教室を開催し、啓発に努めております。
 次に、千葉市動物愛護推進協議会を設置し、動物愛護に関する団体などと人と動物が共生できるよう運動を進めることについてですが、すでに千葉県において動物愛護推進協議会を設置しており、市内で活動しているボランティアを動物愛護推進委員として委嘱し、飼い主のいない猫の適正管理についての助言等の活動を行っております。本市としましては、これらの推進員や県と連携して、引き続き人と動物が共生できるまちづくりの推進に努めて参ります。

4、こども未来行政について

【藤代副市長答弁】

○ 子育て新システムについて
 改正後の児童福祉法において、市の責任が後退したのではないかとのことですが、改正後の児童福祉法においても市町村は現在同様、保育の実施義務を担い、また「子ども・子育て支援法」においては市町村に対し、「子ども・子育て支援事業計画」の策定とこれに基づく保育の体制整備等を求めており、市町村の役割・責務は明確となっております。なお、H27年4月からの新制度の本格施行に向け、国は早急に新制度の詳細を示すものと考えておりますが、その動向を等を十分注視しつつ、必要に応じ国に要望するなど適切に対応して参ります。
 次に、規制緩和等に伴い、保育士不足、保育士の賃金低下の事態が生じているのではないかとのことですが、保育士確保のためには、保育士の育成とともに保育士が働き続けられるよう、処遇改善を図っていくことが必要であると考えております。こうしたことを踏まえ、民間の保育所給与額の決定は基本的には、法人の内部管理の問題ではありますが、これまでも9都県市首脳会議などを通じ「保育士の処遇改善及び人材育成に向けた制度の充実」等について、国に要望を行っており、今後も必要に応じ要望等を行って参ります。
 次に、保育士の処遇改善と専門性の確立等、保育の質を高めるための本市の支援についてですが、本市ではこれまでも、保育士の処遇改善に繋げるべく市独自の保育士加配や障害児保育に係る経費について助成を行って参りました。また、H21年度に保育指針改定に合わせて策定した「千葉市保育アクションプログラム」に基づき、保育の質の向上に向けた取り組みを充実・強化しております。さらに、「新たな子ども・子育て支援制度」においても、処遇改善を含む保育の質等の改善に取り組むこととされており、今後国が示す制度の詳細を踏まえ、保育の質の更なる向上に取り組んで参ります。
 次に、潜在保育士の復職支援についてですが、将来的に保育ニーズの一層の拡大も想定される中、保育士資格を有しながら保育士として就労していない、いわゆる「潜在保育士」を、保育サービスを担う人材として活用していくことが重要であると認識しております。そこで今後は、研修等、服飾支援が必要であると考えておりますので、先行自治体における取り組みの事例や効果等を検証のうえ、実施について検討して参ります。
 次に、保育所の待機児童解消のための取り組みについてですが、本市ではこれまでも「待機児童解消に向けたアクションプラン2010」等に基づき、認可保育所を集中的に整備し、さらに国の「先取り」プロジェクトにも参画するなど、各種施策を組み合わせ保育所入所枠の大幅な拡大等に着実に取り組んでまいりました。今後も、将来的な需要減や待機児童の偏在化等の状況なども考慮しながら、保育所整備を進めるとともに、今後国から示される「新たな子ども・子育て支援制度」における「認定こども園」等の制度を効果的に活用するなど、待機児童の解消に努めて参ります。

○ 幼稚園への支援について
 幼稚園就園奨励費の増額についてですが、H22年度、国では低所得階層への大幅な増額改正を行い、多くの政令市で国庫補助階層への上乗せ補助や市単独補助の全面廃止が行われた中、本市では市単独補助について、低所得階層も含めたすべての階層への支給を継続しており、園児1人当たりの支給額では、政令市の中でも高いレベルを維持しております。なお、「新たな子ども・子育て支援制度」の関係法の付帯決議の中でも、幼稚園に対する私学助成や幼稚園就園奨励費の充実に努めるものとされており、今後も国や他政令市の動向に留意し適切に対応して参ります。
 次に、園舎の耐震補強や津波が予想される地域への具体的な支援についてですが、私立幼稚園の耐震化をはじめとした施設整備については、国庫補助を所管している千葉県において「私立学校耐震化緊急促進事業」により実施されておりますが、今回の震災を受けH23年度については、国庫補助事業として「私立幼稚園耐震化緊急促進事業補助」を補正予算で追加するなど、耐震化の促進を図っているところです。本市においては、私立幼稚園の耐震化工事に伴う移転先としての学校統廃合施設の無償貸与や津波が予想される地域の幼稚園の緊急避難先としての学校施設や近隣の高層住宅等の確保など、様々な支援を行っております。

5、環境行政について

【徳永副市長答弁】

○ 浄化槽について
 まず、市内の設置基数の推移についてですが、H23年度、単独処理浄化槽は1万4,517基で、10年前の3万1,151基に比べ53.4%の1万6,634基減少し、合併処理浄化槽は4,128基で、10年前の5,741基に比べ28.1%の1,613基減少しました。苦情の件数と内容についてですが、近隣住民からの悪臭に関するものがほとんどであり、その都度、浄化槽設置管理者に適正管理を指導しております。
 次に、定期検査の受検率と今後の改善方法についてですが、法定検査は千葉県指定検査機関である千葉県浄化槽検査センターが実施しておりますが、浄化槽設置管理者が定期検査について知らない、必要と感じていないなどの理由から、千葉市内の浄化槽の受検率は、H23年度単独処理浄化槽が2%、合併処理浄化槽が14%となっております。また、千葉県内においても受検率が低いことから、千葉県浄化槽検査センターでは昨年度、法定検査専門委員会受験促進検討小委員会を設置し、受検率向上について検討を進めており、今年度から本市が作成した法定検査の受検依頼の文書を検査案内とともに、浄化槽設置管理者へ発送するなど対策を講じております。また、本市としても法定検査の重要性を周知するため、市ホームページへの掲載やリーフレットを配布するなど引き続き啓発を行うとともに、計画的な実態調査や千葉県浄化槽検査センター、浄化槽保守点検業者等と連携して受験指導を実施するなど受検率の向上に努めて参ります。

【熊谷市長答弁】

○ 航空機騒音について
 まず、飛行コースの見直しなど騒音対策を緊急に講じることについてですが、本年11月14日、「羽田再拡張事業に関する県・市町村連絡協議会」から国土交通省航空局長に対し、飛行高度の引き上げを速やかに実現すること、海上ルートへの移行、さらには首都圏での騒音共有の実現などの騒音軽減策について対応するよう申し入れました。年内にもこの申し入れに対する国土交通省の見解が示されることから、本市としては、引き続き国土交通省に対し、改善対策の早期実施を強く求めていきたいと考えております。
 次に、住民説明会を開催し直接市民の声を把握することについてですが、住民説明会の開催については、本来、事業者である国土交通省が実施すべきと考えており、これまでも説明会の開催を要請して参りましたが、開催は難しいとの回答であり実施されておりません。本市では、宮崎公民館でコミュニティ懇談会を行うなど、直接市民の皆様のご意見を把握するとともに、市政出前講座やホームページなどで航空機騒音の経緯や実情について市民に分かりやすく情報提供しております。なお、説明会の開催については、引き続き国土交通省に強く求めてまいります。
 次に、騒音対策が改善されない限り本市上空の飛行は行わないことについてですが、11月14日の国土交通省への申入書で、飛行高度の引き上げに加え、夜間早朝の騒音軽減を図るため運用方法や運用機材などに検討することを求めており、具体的な騒音軽減が進まず増便計画だけが先行していくことは容認できないと申入れをしております。
 最後に、航空機騒音の測定は平均値ではなく1機ごとの騒音レベルによる評価に改めることについてですが、本市では、飛行ルート下の住民が受けている騒音の実態を詳細に把握するため、1機ごとの騒音レベルを測定、評価しております。H25年度からは新たな環境基準が施行されることから、これに対応するとともに航空機1機ごとの騒音レベルである単発騒音暴露レベルに最大騒音レベルを併用した評価に基づく対応について、現在、具体的な制度がないことから、新たな課題として国へ検討を求めていきたいと考えております。

6、経済・農政行政について

【徳永副市長答弁】

○ 地域経済の活性化について
 本市も帯広市のように食と農業、商工団体などオール千葉市の取り組みで地元経済の活性化を図るべきではないかとのことですが、本市には、自家農園で収穫した農産物を直売所で惣菜や漬物、ジャム、ジュースなどに加工・販売している農家があり、中には6次産業化や農商工連携を志向する農家もあります。こうれらの農家に対しては、千葉県や金融機関などによる農商工連携セミナーや商談会などの情報提供を行うとともに、国の6次産業化総合推進事業に基づく様々な支援体制を活用し6次産業化を推進して参ります。また、農政センターでは付加価値の高い農産物の創出に向け、企業と農家と連携した健康食材の栽培試験などを行っており、引き続き特徴のある農産物の創出やブランド化の可能性を検討して参ります。今後とも関係団体等と連携して、商品・サービスの開発や販路開拓などに関する情報提供や各種支援を行い、農家所得の向上と地域経済の活性化に繋げていきたいと考えております。

7、都市行政について

【徳永副市長答弁】

○ サービス付き高齢者向け住宅の改善について
 なぜ、国土交通省と厚生労働省が連携して推進しているのかについてですが、高齢化が急速にすすみ、高齢の単身者や夫婦のみの世帯が増加している中で、安心して元気に住み続けるためには、設備の整った住宅と介護や医療など高齢者を支援するサービスを提供する住宅の確保が求められております。そのような背景を踏まえ、住宅を所管する国土交通省と医療や福祉サービスを所管する厚生労働省が連携して取り組むサービス付き高齢者向け住宅の制度が創設されたものであります。
 契約上での問題と入居者の人権を守るための独自条例の制定についてですが、高齢者の居住の安定確保に関する法律では、サービス付き高齢者向け住宅の登録に際し、入居契約の基準が定められており、書面契約や家賃等に関する事項など入居契約において、当事者間の紛争を未然に防止する規定があることから、契約上の問題はないと考えられるため現時点で独自の条例を制定することは考えておりません。

【藤代副市長答弁】

○ サービス付き高齢者向け住宅の改善について
 本市に寄せられた苦情についてですが、これまでに一部の入居者から「管理者から冷遇されている」との苦情が1件あり、入居者や管理者に確認したところサービス提供上、特に問題は認められませんでした。

8、消防行政について

【消防局長答弁】

○ 大震災後の消防力強化による災害対策について
 東日本大震災後の消防力の強化による災害対策についてお答えします。まず、予防原則を踏まえ消防行政はどのように改正されたのかについてですが、今後発生が懸念されている首都直下地震等の大規模地震に備え、発災時の初動体制等を規定した事前計画の見直しを行いました。また、緊急消防援助隊として多くの職員が被災地に派遣され、貴重な経験から得た教訓を今後の消防活動に生かすとともに、被災地となった仙台市消防局から講師を招き災害活動に対する講演会を開催するなど、職員の資質向上を図りました。さらに、大規模地震時における消防体制の強化を図る必要があることから、装備・資機材の充実を図ったところです。
 次に、仙台市の震災対策の教訓をどのように捉えて活かそうとしているのかについてですが、がれき、浸水等により陸上部隊による活動が困難であったことから、消防ヘリコプターによる情報収集、救出救護、空中消火活動が極めて有効であり、また民間業者による重機を活用したがれき撤去等の道路啓開作業が救助活動に不可欠であると伺っております。今後も消防ヘリコプターの有効活用を図るとともに、関係団体と協力し重機等を活用した救助訓練等を実施し、消防活動体制の強化図って参ります。
 次に、今後の震災対策を踏まえた住宅防災対策についてお答えします。まず、木造住宅の耐震化と併せて不燃・難燃化などへの指導を強化するべきではないかについてですが、消防フェア等のイベントや訪問住宅防火指導時に住宅用火災警報器の設置指導と併せて、内装材の不燃化等の指導を行っているところでございます。なお、イベント開催時に耐震化の普及啓発コーナーを設け、木造住宅の耐震診断・耐震改修のリーフレットを配布するなど普及啓発に努めております。
 最後に、2次被害を防ぐための感震機能付き分電盤の設置についてですが、震災後電力の復旧により通電状態のまま放置された電気器具から住宅火災に至ることが指摘されているところでございます。そのため、各種イベントや自主防災訓練において、地震時のスイッチの遮断や避難時のブレーカーの遮断について小冊子などを活用し指導しているところでございます。今後は、震災時の住宅火災を低減させるため、感震機能付き分電盤の設置についても推奨して参りたいと考えております。

9、教育行政について

【教育長答弁】

○ いじめ対策について
 養護教諭の増員と児童生徒の悩みなどへの対応についてですが、いじめられた児童生徒のみならず、いじめを行ったと思われる児童生徒が抱える不安や悩みなどの解決にあたっては、養護教諭やスクールカウンセラーの果たす役割が大きなものであると認識しております。養護教諭は、児童生徒に応じて県の公立小中学校定員配置基準により配置されることから、増員に向けては今後も県教育委員会と協議して参ります。
 次に、子どもの出席停止・警察との連携についての見解はとのことですが、いじめの内容により、触法事案等、緊急な対応が必要な場合は校長の判断のもと、児童生徒の生命・身体を守る観点から警察等へ相談し、解消に向けた連携を図っております。なお、出席停止制度は本人の懲戒が目的ではなく、学校の秩序を維持し他の児童生徒の義務教育を受ける権利を保障する観点から設けられており、当該児童生徒の生活及び学習の支援も必要となることから、この制度については慎重に取り扱うことが必要であると考えております。
 次に、教育委員会の加害者対策についてですが、いじめを行ったと思われる児童生徒への指導にあたっては、いじめの背景や指導経過等を把握した上で、心理的孤立感・疎外感を与えることがないように、担任やスクールカウンセラー等による面接・相談を行っております。また、保護者や関係機関の協力も得ながら、暴力や弱者を従わせるような行為は許されないことや、他人の痛みなどを理解させるために、根気強く継続的に対応するよう各学校を指導しております。
 教育委員会では今後も、いじめ等の相談があった場合には、実情把握に努め、スーパーバイザーや関係機関とも連携して、迅速かつ誠意をもって学校が対応できるよう支援して参ります。

○ 学校へのエアコン設置及び芝生化について
 学校へのエアコンの設置についてですが、現在学校施設の耐震化を喫緊の課題として取り組んでおりますが、限られた予算の中、より良い学習環境の実現に向け音楽室が住宅地に近接していること等により、窓を閉め切りにしないと授業などを行うことがでいない学校を優先に、順次音楽室にエアコンを設置して参ります。
 次に、校庭の芝生化についてですが、芝生化にあたあっては、グラウンドの不陸調整や散水設備などの初期投資に相当の費用を要することや、およそ4か月間に及ぶ養生期間中の使用制限、また地域住民の協力による管理体制の構築などの課題があります。しかしながら、子どもたちの健康や運動性を向上させ、健やかな成長が期待できるとともにヒートアイランド対策など地球温暖化対策に資するなどの効果が期待されますことから、引き続き検討して参ります。

○ 就学援助の充実について
 まず、状況把握と対策についてですが、義務教育費に係る家庭の負担感等については、担任をはじめとする学校職員が、その家庭状況について把握することが可能であると捉えております。なお、本市の就学援助の状況は、H22年度認定者数は6,031人、認定率7.92%、H23年度認定者数は6,470人、認定率8.45%と増加傾向にあります。今後とも、学校との連携を通して子どもたちの生活実態の状況把握に努めることにより、必要に応じて具体的な就学援助の充実が図られるよう、就学援助申請に係る周知や個々に応じた対策のあり方について検討して参ります。
 次に、積極的な周知に係る本市の対応についてですが、就学援助制度の周知については、新入学生に対しては、制度案内「就学援助制度のお知らせ」及び「就学援助申請書」を入学説明会において全ての保護者に配布しており、在校生には「就学援助制度のお知らせ」を毎年3月に児童生徒を通じて全ての保護者に配布されております。また、千葉市政だよりや教育だよりちば、千葉市ホームページに制度周知の記事を掲載しているほか、各区役所・保健福祉センターの窓口に「就学援助制度のお知らせ」を配架するなど、制度の周知に努めております。

○ 民間図書館について
 民間図書館については、関連がありますので一括してお答えします。NPO法人「情報ステーション」が運営する民間図書館は、船橋市を中心として、気軽に本に触れられる機会の提供とともに、コミュニティの構築による地域の活性化を目的に、県外1か所を含む10か所に設置されており、千葉市内にもH23年4月から中央区の千葉銀座商店街で1か所運営されていると聞いております。このような図書館との連携や支援等については、その活動内容や他の自治体の状況等を参考に、今後研究して参りたいと考えております。

<2回目>

【熊谷市長答弁】

○ 消費税について
 政府において、経済状況等を見極めた上で、その必要性について国民の理解を得るために、しっかりと説明する必要があるものと考えております。

○ 景気対策とデフレ不況について
 中小企業への資金融資をはじめ、福祉施設の整備や道路の舗装改良など、市民生活の向上に資するもので、かつ地元業者の育成や市内の雇用確保につながる事業について、できる限り予算を確保するよう取り組んでまいります。また、デフレ不況の要因については、白川日本銀行総裁が、少子高齢化とグローバル化という構造変化への対応の遅れを要因として挙げられており、現在、国政の場においてインフレ目標の設定や大胆な金融緩和などが議論されておりますが、デフレ脱却には、労働人口の減少や高齢化の進行などへの抜本的な対策が必要であり、政府においてそのための各種施策が推進されることを期待しております。

○ TPPについて
 TPPに参加しないことが食料自給率を向上させて、日本の農業を守ると考えないのかとのことですが、交渉に参加した場合、少なからず国内の農林水産業などへの影響があるものと思われますが、製造業など輸出産業と農林水産業のそれぞれへの影響を総合的に判断して、国益にかなう対応をするべきと考えます。

○ 原発問題について
 まず、大飯原発の再稼働、大間原発の建設についてですが、原発の安全性も含め、国のエネルギー政策の中で議論すべきものと考えております。
 次に、市内全域で放射能汚染について全く問題なく、現在・未来安全であると言えるのか分かりやすく、市民が理解できるよう説明をとのことですが、本市は、国が目指す追加被ばく線量である年間1mmシーベルト以下の地域であり、これまで放射能に関する専門機関から「健康に影響を与えるレベルではない」との評価を得ております。
 次に、正確な情報の提供について、安全との関連ではどのように説明をしているのか、被害の未然防止に向けての対応についてですが、これまで市内の空間放射線量率や流通食品等の検査結果を公表するとともに、リーフレットや講演会などを通じて、市民の放射線に対する理解が一層深まるよう取り組んでいるところです。今後も空間放射線量率の測定や流通食品の検査などを実施し、市民の安全と安心の確保に努めて参ります。

○ 地域経済の活性化について
 住宅リフォーム助成制度の創設についてお答えします。昨年の東日本大震災以降、震災に対する不安から、居住する住宅の耐震改修を希望する市民が増加していることから、施策の優先度を考慮し、今後も安全・安心の観点から「災害に強いまちづくり」のため、重点的に耐震改修助成事業を推進することとしておりますので、住宅リフォーム助成制度の創設については、現在のところ考えておりません。

○ 耐震対策について
 まず、地域で実施したアンケートの結果に対する千葉市の対応についてですが、地震などの災害発生時に自力避難が困難な高齢者や障害者などの要援護者の安否確認や避難支援などが迅速に行われるためには、日頃からあ地域と要援護者の関係づくり、地域での支え合いが基本となりますので、独自のアンケートが行われたことは、その地域の実情を把握する意味で重要なことであり、市にとりましても大変重要なデータであると考えております。なお、要援護者が予想を大きく上回る結果となったとのことですが、対象範囲を精査することや支援の手法について相談にのるなど、取り組みを支援して参ります。
 次に、情報の公開の速やかな実施についてですが、要援護者情報を公開することについては、提供の基準や提供先における情報管理など課題もありますが、他都市の事例を参考に検討して参ります。

○ 教育行政について
 教育委員の準公選制についてお答えします。他都市の事例を見ますと、当時の文部省から根拠条例の違法性を指摘されて中止に至っており、本市において実施する考えはありません。

【藤代副市長答弁】

○ 生活保護について
 生活保護基準の引き下げに関する2点のご質問については、関連がありますので、あわせてお答えします。現在、国の社会保障審議会の基準部会において、一般低所得世帯の消費実態との比較検証などが行われており、その動向を注視して参ります。

○ 障害者スポーツ振興について
 まず、スポーツ施設のバリアフリー化を障害者参加のもとで見直すことについてですが、施設の整備・改修にあたっては、障害者が利用しやすい施設となるよう十分配慮して参ります。
 次に、障害者スポーツの指針の策定についてですが、現段階では予定しておりませんが、全ての市民がスポーツに親しめる環境づくりを推進するため、他都市の事例を研究するとともに、庁内で十分な連携を図って参ります。

○ 障害者虐待防止法について
 まず、障害者虐待防止に関する専門家のアドバイスや特別なチームによる対応についてですが、障害者や養護者への具体的支援については、区及び本庁の障害福祉関係職員で構成する個別ケース会議で検討されますが、必要に応じて相談支援事業者や弁護士、警察等の関係者を支えて協議することとしております。
 次に、学校・保育所・病院等との連携による効果的な対応についてですが、学校等で行われる虐待に対しては、それぞれの法令に基づき対応することとなりますが、障害者虐待防止センターが通報を受けて学校等に連絡する際には、通報者が不利益を受けないよう配慮するとともに、虐待の早期解決のために協力して参ります。

○ 生涯現役のための施策について
 本市では、高齢者保健福祉推進計画に基づき、生きがいづくりや社会参加、生涯にわたる健康づくりなどの観点から各種施策を実施しているところであり、今後もその推進に努めて参ります。

○ サービス付き高齢者向け住宅の改善について
 まず、契約されたサービスなどが保障されているのかについてですが、サービス内容や人員配置等については、登録申請時に提出させるとともに、その後も定期的に報告を求めるほか、現地調査を行い必要に応じ、指導して参ります。
 次に、介護保険サービスについてですが、介護サービス事業所に対する実地指導等の機会を通じて、適切なサービス提供について引き続き指導して参ります。
 次に、提供されるサービスの体制についてですが、サービス付き高齢者向け住宅で、介護サービスや食事の提供を行うものについては、有料老人ホームとして位置づけられることとなるため、これらについては、法律に基づく指導のほか、千葉市有料老人ホーム施設運営指導指針に基づく指導が可能であると考えております。
 最後に、市の相談窓口についてですが、住宅の基準や構造など住宅管理に関する相談には住宅政策課が、入居者の処遇や食事の提供などサービスに関する相談には高齢福祉課が対応しております。

【教育長答弁】

○ いじめ対策について
 まず、競争教育を一掃して深く考える力や人間への信頼を育むことについてですが、本市ではこれまでも人間尊重の教育を基調に、自ら考え、自ら学び、自ら行動できる力を育むことを教育目標として、児童生徒の思考力・判断力・表現力を育むとともに、望ましい集団活動を通じて、互いを信頼する心を培って参りました。今後も、子どもたちが「千葉市で学んでよかった」と思える学校教育を目指し「わかる授業・楽しい教室・夢広がる学校づくり」の充実に向けた諸施策を推進して参ります。
 次に、教育への政治支配に反対すべきではないか、教育委員会を否定する動きについての考えは、とのことですが、個人の精神的な価値の形成を目指して行われる教育において、その内容は中立公正であることが極めて重要と考えます。このため、教育行政の執行にあたっても、個人的な価値判断や特定の党派的影響力から中立性を確保することが必要と考えます。
 最後に、「いじめ」を止めるまで対応しきることを重視するべきではないかとのことですが、いじめが発生した場合は、当事者等からの話を丁寧に聞き、事実関係を正確に把握するとともに、個別の指導を通じていじめの非に気づかせ、被害者への謝罪の気持ちを醸成するなど早期解決に向け、各学校を指導しております。また、再発防止に向けては、当該児童生徒に対し、よりよい人間関係や社会性を育む教育活動を進めるとともに、個別の面談等を通して予防的な生徒指導を実施しております。