もりた真弓議員の一般質問および答弁

2012.12.10

写真1.市政だよりについて

【もりた真弓議員】

 市民への情報提供を役割とし、市政への理解を深め、協力を呼びかける手段の一つでもある市政だよりですが、配布方法や周知のための工夫など課題もあります。
 市政だよりは現在、約35万部を印刷し、一般新聞への折り込みと、公共施設への常設配置、モデル地区として自治会等へ委託して配布をする方法、個別の配達体制でポスティングする方法の4つをとっています。しかし、経済状況の悪化により、各家庭での一般紙の購読は減少し、公民館や市民センターなどの公的機関から離れていて、市政だよりを取りに行くことが困難な方もいます。千葉市が行おうとする施策や、必要な情報がすべての市民に十分届いているとはいえません。
 すべての市民に確実に情報が届くように、また、「行政と市民をつなぐ市政だより」との位置づけで、取り組むことが求められているのではないでしょうか。
 今回の質問に先立って、埼玉県草加市の松原団地で、市政だよりを戸別配布しながら、ポストに郵便物が溜まっていないか、変わった様子はないか、確認しながら配っている取り組みについてお話を伺ってきました。
 高齢化率の高い松原団地では、孤独死の事件をきっかけに包括支援センターと地元自治会、そして、行政も加わり相談を重ねてきました。
 団地の空き店舗となった商店街の一角に、住民の相談等を受ける場所をつくり、週3回はサロンとして、誰でもが立ち寄れる場所としても活用されています。市政だよりの戸別配布を見守りの視点でおこなっていることは、千葉市でも参考になるのではないかと思って質問いたします。そこで、うかがいますが、
 1つに、市政だよりの果たす役割について、うかがいます。
 2つに、一般紙への折り込みでどのくらいの家庭まで届いているのか、おたずねします。
 3つに、ホームページで市政情報を得ている人数はどのくらいあるのか、うかがいます。
 4つに、モデル地区の取り組みの現状と課題、今後の計画についてうかがいます。
 5つに、高齢者対策・安否確認の一つの手段として、市政だよりを位置づけている他自治体の取り組みについての見解と、千葉市での取り組みに生かすことについてうかがいます。

【市民局長答弁】

 市政だよりについてお答えします。
 はじめに、市政だよりの果たす役割についてですが、市政に関する重要な施策をはじめ、市民の方々が必要する多くの市政情報を、広く市民の方々にお知らせし、その理解を深めていただくものであります。
 次に、一般紙の折り込み数ですが、11月現在約30万5千世帯となっております。
 次にホームページにより市政情報を得ている家庭についてですが、市ホームページのセッション数、いわゆる述べ訪問者数では、本年4月から11月の月平均で、59万7千件であり、1日当たりですと約1万9千件であります。
 次にモデル地区の取り組みの現状と課題、今後の計画についてですが、市民配付モデル事業は、各家庭への到達率の向上を図るための一つの手法として、昨年の9月から実施しており、平成23年度は5団体、24年度は、9月からの追加募集を含め、6団体で実施しており、約2万8千世帯への配布を行なっております。
 課題としては、応募団体のほとんどが集合住宅地区で戸建て住宅地区での導入が進まないこと、また、実施数でも6団体にとどまっていることであります。
 今後は、市民配付モデル事業の効果や課題を検証していくとともに、到達率の更なる向上を図るための手法を様々な角度から検討して参りたいと考えております。

【保健福祉局長答弁】

 市政だよりの質問のうち所管についてお答えします。
 市政だよりの配付を利用した見守りについての見解と、本市の施策に反映することについてですが、埼玉県草加市の取り組みは、高齢者の異変の発見につながるものと考えており、現在実施している市民配付モデル事業を活用できるか研究して参ります。

【もりた真弓議員】

 市政だよりの役割については「市政に関する重要な施策」や「市民の方々が必要とする多くの市政情報」を、「広くお知らせ」し「理解を深めるもの」との答弁でした。たいへん重要な市民と行政をつなぐ役割と位置付けられています。
 しかし、一般新聞の折り込みは約30万5千世帯、千葉市の世帯数は約41万2,700世帯ですので、世帯全体の4分の3までです。また、ホームページの訪問者は平均で月に約59万7,000件で、すべてが千葉市の市民かというとそうではありません。たとえそうだとしても千葉市の人口は96万3,500人ですから、半分を超えるか超えないかぐらいでしょうか。新聞折り込みやホームページで重複していることを考えるとすべての家庭、すべての市民に情報が届いているとは言えない状況です。そこでうかがいます。
 1に、本来は、各家庭に市政だよりが届くことが必要ではないのか、うかがいます。
 2に、できるだけ多くの方にと工夫されているようですが、全世帯となるとなかなか行き届かないところがあります。今後どのように到達率を向上させるのか、うかがいます。
 3に、本来は各世帯に届けられれば、到達率も向上すると思います。市民配付モデル事業を検証するとのことですが、モデル地区から要望や意見などは寄せられているのか、うかがいます。
 4に、配布地域の形態や配付員の高齢化など、どの地域にも共通の問題かと思います。モデル事業の取り組みの改善点など、実施地域の意見を活かすために懇談などしてはどうでしょうか。
 確実に各家庭に届くということでは、大事な事業だと思います。丁寧な聞き取りと対応をしていただきたいと思います。
 また、この事業を活かして、高齢者の見守りの視点での取り組みとして、今後、市政だよりの市民配布モデル事業の活用を研究していただけるとの答弁でした。
 1に、高齢者対策・安否確認の手段として、具体的に検討していることがあればお示しください。また、課題は何かもあわせてうかがいます。
 2に、今後、市民局(広報課)と保健福祉局、ほか等で、庁内で合同の会議を持ち、高齢者の見守り事業について、地元の協力も得ながら進めることを求めるがいかがでしょうか。
 地域の高齢化とそれに伴う孤独死などの問題は、どこでも起こりうることです。特に、高齢化率の高い地域や、見守りに積極的な地域など、対策を急ぐ地域もありますから、その地域の条件に合わせて、協力を得られるよう行政の支援を求めて次に移ります。

【市民局長答弁】

 市政だよりについては、できるだけ多くの方々に情報をお知らせすることが必要であると考えておりますので、新聞折り込みのほか、公共施設など324か所へ約1万5千分部、配架するとともに、ホームページへの掲載や市民配付モデル事業を実施しております。また、事情により配架やホームページでの入手が困難な方へは、ポスティングによる配布も行っております。
 到達率のさらなる向上を図るため、市民配付モデル事業を検証するとともに、配架場所の拡大や民間による市域全体でのポスティングなど、他都市の事例も参考にしながら様々な角度から検討して参ります。
 市民配付モデル事業実施地区のうち、集合住宅地区については、特に要望・意見はございませんが、集合住宅を含む戸建て地区からは、配付範囲の広さと配付員の高齢化など、配付の負担に関する意見が寄せられております。
 モデル事業実施地区とは、アンケート調査を実施するとともに、日頃から代表者を通じ、意見をお伺いしているところです。

【保健福祉局長答弁】

 ひとり暮らし高齢者などの安否確認の手法の一つとして、現在、地域を巡回して業務を行なうライフライン事業者や、郵便・新聞配達事業者などから、異変の通報を受ける仕組みづくりについて検討を進めているところです。なお、課題としては、どのような異変を通報対象とするのか、また、個人情報保護との関係をどのように整理するのかなどがあります。高齢者の見守りの視点から市民配付モデル事業を活用できるかどうかについて、市民局など関係部局と協議して参ります。

2.放射能汚染対策について

【もりた真弓議員】

 一昨年3月11日の東日本大震災による福島原発事故では、千葉市にも少なくない影響がありました。空中の放射線量の高さが大きく取り上げられ、ホットスポットといわれる柏や松戸、流山などで放射線量の測定が行われ、千葉市でも市民の不安の声にこたえる形で小中学校・保育所・幼稚園・公園等の測定が行われました。全市でこれまで1,141地点の測定が行われたことで、千葉市内でも放射線量の高い地域とそうでない地域があること、高い数値が記録されたところも、清掃作業である程度の効果があることもわかりました。
 今年になって、市民団体によって公園や調整池、小・中学校の土壌調査が行われ、花見川区のある小学校の屋内運動場の雨どい付近の土壌から29,000ベクレルと高い数値の放射能が発見されています。結果を受けて、小学校では学校とPTAが夏休み中に対応しています。
 千葉市として、教育委員会として、今回の対応を学校任せ・保護者任せにしてよかったのか、また、今後の対応はどう図るのか、行政の姿勢が問われていると思います。
 そこで、うかがいます。
 1つに、今回、市民団体の調査で、小中学校からかなり高い数値の放射線を放出する土壌が出たことについて、どう受け止めているのか、おたずねします。
 2つに、学校の保護者や近隣の地域への周知等は行われたのか、議会等への報告はおこなわれたのか、情報公開の点で問題はないのか、うかがいます。
 3つに、今回の除染作業(清掃作業)で、屋体雨どい付近の土の撤去、袋詰め、埋め込むための穴の掘削、埋め込みなどすべてを学校と保護者で行ったとのことですが、千葉市として適切な対応と考えているのか、うかがいます。
 4つに、花見川区、稲毛区など放射能の影響を受けていると推測できる学校施設や保育所、幼稚園、公園など子どもたちが生活する場所において、千葉市が土壌調査などを実施し、情報を公開し、適切な除去作業をすることが求められているが、どうか。

【環境局長答弁】

 放射能汚染対策についてお答えします。
 はじめに、市民団体の調査で、小中学校からかなり高い数値の放射線を放出する土壌が出たことへの受け止めについてですが、周囲から雨水が流れ込む雨どい直下などにたまった土壌は、放射性物質が濃縮しやすいことから、空間放射線量率が局所的に高くなることがあります。今回の事例は、このことが原因と考えられますが、民間団体が本年7月から9月にかけて行った調査の報告によると、土壌調査で一番高い数値であった箇所の空間放射線量率は、地表から1メートルの高さで毎時0.24マイクロシーベルトであり、その他の測定箇所でも国が示している簡易な除染等が必要となる毎時1マイクロシーベルト以上の数値ではありませんでした。
 なお、土壌の除去による環境整備後、市が10月に測定した結果は、地表から50センチメートルの高さで、0.13マイクロシーベルトに低減していることを確認しています。

【教育次長答弁】

 次に、学校の保護者や近隣の地域への周知等や議会等への報告は行われたのか、情報公開の点で問題はないのかについてですが、今回の事例は、国が示している簡易な除染等が必要となる数値を下回っており、国への連絡も必要とされないことから、関係機関等への報告は行っておらず、情報公開の点でも問題ないものと考えております。
 なお、学校では、周囲より高い空間放射線量率が測定されたことや環境整備により、低減したことなどについて、9月から11月にかけて学校だより等により保護者への周知を図っております。
 次に、今回の清掃作業をすべて学校と保護者で行ったことは、千葉市として適切な対応と考えているのかについてですが、今回の事例については、除染が必要な箇所ではありませんが、情報を共有する中で、保護者の理解のもと、協力を得て実施したものであり、市としては、問題となる対応ではなかったと考えています。

【環境局長答弁】

 最後に、子どもたちが生活する場所において、土壌調査などを実施し、情報を公開し、除去作業をすることについてですが、国から示されている「当面の福島県以外の地域における周辺より放射線量の高い箇所への対応方針」では、空間放射線量率の測定により除染等の対応を判断することとしていること、また、土壌の放射性物質の量を測定しても人体への影響は評価できないことから、現時点では、土壌調査を実施する考えはありません。なお、本市は、これまで、小・中学校や保育所(園)、幼稚園、公園などの空間放射線量率を測定し、周囲より高い数値を示した箇所については、清掃等による環境整備を行い、放射線量率の低減に努めているところです。

【もりた真弓議員】

 放射能汚染の数値の高い低いはあっても、3.11の福島原発事故以降、「変化がある」ことは事実です。だからこそ地域の方、特に子どもたちへの影響を心配する方から声が寄せられているのです。
 土壌から高い数値の放射線量が測定されても、「国が示している簡易な除染等が必要となる数値ではない」との答弁でした。また、「国への連絡も必要とされないことから、関係機関等への報告も行なっていない」とのことでした。しかし、放射線量などを表す単位は、専門的でなかなか理解しにくいものです。「情報公開の点で問題ない」とのことですが、実際に放射性物質汚染対処特措法で国が指定廃棄物として処理する8,000ベクレルの3倍を超える数値が出たことで驚き、不安に思った市民がいることは当然ではないでしょうか。そこでうかがいます。
 1に、市民団体がおこなった今回の調査は、小学校10校、中学校5校とのことですが、測定結果を受けて対応した学校は何校で、どんな内容だったのか、うかがいます。
 2に、市民団体は、7月と9月の2回に分けて小中学校を測定した後に、保育所での調査をしたいとの意向を伝えています。市民団体から調査の申し出があった保育所の測定はなぜ断ったのか、うかがいます。
 3に、千葉市では「現時点では、土壌調査を実施しない方針」だから断ったとのことですが、その理由では学校で調査を行ったことの整合性がとれないことになります。
 学校の作業は、空間放射線量の測定と土砂の除去や埋設です。教育委員会は「今回の清掃作業」を「適切な対応」と捉えているようですが、通常の草取りなどとは作業内容も作業量も違うのではないでしょうか。
 4に、「子どもたちが安全・安心な学校生活を送る上で必要な環境整備」とのことですが、作業で取り除いたのは、放射能で汚染している土壌です。学校の通常の環境整備には存在しない項目ではないでしょうか。原発事故で放射能が飛び散らなければ、しなくていい作業だったはずです。しかも、袋に詰めた土砂の量が半端ではないのですから、学校の負担もかなりあったと想像できます。ある小学校では、側溝土砂を除去して袋詰めしたものが40袋になり、プール東側の空地に1メートルの穴を掘って埋設しています。ある中学校では、吹きだまりの表土と芝生を20センチ程度はぎ取り、袋詰めしたものが約200袋になり、自転車置き場の脇に埋めています。また、ある小学校では、側溝にコンクリート平板をかぶせて対応しています。
 埋設時に大型機械を使わざるを得ない状況があったり、コンクリートの側溝のふたを用意したりと、少なからず費用もかかっているとのことですが、これも学校や保護者負担で済ませてしまうのか、うかがいます。
 5に、費用負担の考え方ですが、放射線量を低減する作業に関わる対策なのですから、学校や保護者会の負担にするのは釈然としません。千葉市は、空中放射線量率の測定で判断し「現時点では、土壌調査は実施しない」としています。今回の市民団体の調査は、千葉市内の汚染状況を知る一つの材料と受け取れるもので、それによって土砂の除去作業も行われたのです。「測定を市民団体任せにし、高めの数値が出たら清掃作業を行う」という姿勢に市民の理解が得られると思うのか、うかがいます。
 6に、「放射線量の低減に努める」というなら、「ミニホットスポット」ではないかと思われる場所や、保育所・幼稚園など、きめ細かい調査はするべきではないでしょうか。
 7に、市民の「不安の声」に応える必要があると思うがどうか、お答えください。
 8に、千葉市が作成したリーフの中に「放射線を受ける量はできるだけ少なくすることが望ましいと考えられる」とあります。国の基準がどうであれ「目に見えないものだから、測定は丁寧にしてほしい」土壌調査も「そこにある放射性物質を知る大事な手がかり」だというのが、子を持つ親の気持ちです。「安全」「大丈夫」この言葉を信じさせられ、何十年も騙されてきて、それが今回の原発事故につながったのではないでしょうか。土壌調査を千葉市が行わないとしても、千葉市は調査依頼を断るべきではないと思うがどうか、お答えください。
 リーフでいくら周知してもぬぐえないのが「不安」です。行政が市民の不安をいかに解消するかが問われていることを指摘し、市民団体が行う調査まで断る姿勢は、「市民の知る権利」を認めないもので、改めるよう求めて次に移ります。

【教育次長答弁】

 本年8月から10月までに示された測定結果を基に学校と協議し対応したのは7校です。その主な内容は、○空間放射線量率が高いと指摘された場所の線量確認、○土砂除去等実施後の線量確認、○土砂等の埋設場所の線量確認、○埋設場所の記録による引き継ぎ、等であります。

【こども未来局長答弁】

 国から示されている「対応方針」では、空間放射線量率の測定により除染等の対応を判断することとしていること、また、土壌の放射性物質の量を測定しても人体の影響は評価できないことから、本市において、現時点では、土壌調査を実施しないという方針のもと、保育所での測定をお断りしたものです。
 なお、園庭や放射性物質がたまりやすいとされる側溝雨水ますなどの空間放射線量も、特段問題ない測定結果であり、今後も、日々の清掃や環境整備により、子どもたちにとってより安心な生活環境の整備に努めて参ります。

【教育次長答弁】

 子どもたちが安全・安心な学校生活を送る上で必要となる教育環境整備の一環として、保護者のご理解やご支援にもとづいて実施したものであります。
 学校からは、今回の費用は大型機械使用のための経費ではなく、保護者会の善意のもと、謝礼として支払われたとの報告を受けております。
 コンクリー平板については、学校で対応したものと伺っております。

【環境局長答弁】

 本市が行ってきた空間放射線量率の測定や、放射線測定器の市民貸出しにおける測定の結果などから、除染等の対策が必要な箇所は確認されておりません。
 しかしながら、学校、保育所(園)、公園などでは、子どもたちや保護者の皆様などに、より安心して過ごしていただけるよう、雨どい出口付近や吹きだまりなど周辺より放射線量が高くなりやすい場所の清掃などに取り組んでいるところであり、今後も、必要な環境整備に努めて参ります。
 全ての市立所・中・高等学校、保育所(園)、幼稚園と、公園等の空間放射線量率の測定を実施してきましたが、引き続き、各施設管理者等からの要請などにより、追加測定を実施しているところです。今後も、施設管理者と連携を図り、必要な対応を図ってまいります。
 市内の空間放射線量率の測定結果や市の取り組みなどを公表するとともに、放射線に関する専門機関の協力により、リーフレットの作成や講演会の開催などを通じて、市民の放射線に対する理解を深め、不安の解消に取り組んでいるところです。今後も、市民が安心して生活できるよう正確な情報発信などに努めて参ります。
 空間放射線量率測定により除染等の対応を判断することとしており、土壌の放射性物質の量を測定しても人体への影響は評価できないため、現時点では、土壌調査を実施する考えはありません。

3.公立保育所について

【もりた真弓議員】

 千葉市には公立の保育所が60か所、民間の保育所が56か所あります。待機児童解消のために、多くの保育施設を建てることが求められ、今年度も7つの新たな保育所が建設中です。
 一方で既存の保育施設の老朽化も激しく、ドアが閉まりにくい、雨漏りがする、トイレがくさいなど施設整備を求める声は切実です。先日、千葉市が「公立保育所の施設改善に関する基本方針」で位置付けている、木造6か所の公立保育所の施設整備の一つ目として、寒川保育所の建て替えが発表されました。建て替えと同時に、公立保育所を民間園へと変更するものです。保護者への説明会はすでに2回行われていますが、なぜ、公立保育所のままの建て替えではないのか、疑問の声が寄せられています。
 1つに、保護者への説明会で出された意見や、受け止めはどうだったのか、うかがいます。
 2つに、公立保育所の存続でなく、民間に委託することを公的保育の後退とは考えないのか、うかがいます。
 3つに、今後、残りの木造保育所は、どのように建て替えを進めるのか、うかがいます。
 4つに、「公立保育所の施設改善に関する基本方針」では、木造以外の公立保育所についても、大規模改造・改修で計画的な改修を行い、施設の長寿命化に努めることにしています。計画通り実施可能なのか、うかがいます。

【こども未来局長答弁】

 公立保育所について、お答えします。
 まず、保護者説明会で出された意見や受け止め方についてですが、寒川保育所の建替えに関し、「公立保育所の施設改善に関する基本方針」をはじめ、民設民営による整備運営手法、運営法人の選定条件、保育の引き継ぎ、移管までの期間やスケジュール等について、保護者説明会を行なうとともに、アンケートによりご意見を伺いました。保護者の方々からは、民間移管後の設備や保育内容の充実、民間運営法人への引き継ぎを円滑に行うこと、また寒川保育所の職員の今後の処遇への配慮を求めること等のご意見があり、寒川保育所の建替えについておおむねご理解いただいているものと考えております。
 次に、民家に委託することの見解についてですが、保育につきましては、市の直営又は民間委託による運営主体にかかわらず、児童福祉法第24条に基づき、市が実施責任を負っているものであり、法令等に基づく基準や保育所保育指針にのっとり実施することから、公的保育の後退とは考えておりません。
 次に、残りの木造保育所の建替えについてですが、整備・運営手法については、個人保育所ごとに、就学前児童数、保育需要、立地条件、費用対効果等を総合的に勘案し、公設公営、または、民設民営により実施することとしております。
 次に、大規模改造・改修の実施についてですが、「大規模改造・改修計画」については、築30年以上の鉄筋コンクリート造の34施設を対象としており、構造・屋根等の外部改修、トイレ・給食設備等の内部改修を行なうなど、施設の維持保全を図ることとしております。実施にあたりましては、緊急度に応じた優先度を踏まえ、実施計画に基づき、計画的な改修に努めて参ります。

【もりた真弓議員】

 今回の寒川保育所の建て替えの問題点は、公立で建て替えると莫大な費用が掛かるので、「公立ではなく民間で」ということです。お金がないからという理由で、公立保育所を減らしていいのでしょうか。保護者への説明会でも、また、寒川保育所の保護者アンケートでも民間としてスタートすることになることに意見・要望が寄せられています。千葉市が行なった寒川保育所の保護者アンケートには、建替え後の園舎に求めることや、建替え後の保育所に引き継いでほしい園の特徴、移管する法人と選考委員への意見や要望、千葉市への意見がA3用紙2枚にぎっしりとまとめられています。その中に「現在の寒川保育所のすべてを引き継いでください」といった意見がありました。私はこの意見は、保育所の運営主体が変わり、先生が変わり、保育環境が変わるということを受け入れることができない、保護者の思いだと感じました。
 そこで、うかがいます。
 1に、アンケートにある「公立保育所とそれ以外で一番違うのは、ベテランの先生が受け持ってくださること」との意見をどう受け止めているのか、うかがいます。
 2に、職員についてですが、施設長は10年以上の勤務経験、その他の保育士も認可保育所での十分な勤務経験を求め、保育の質を確保するとのことですが、民間園としてのスタート時に、年齢バランスが取れた職員体制を整えても、その後、何十年もその職員体制を維持できるのか、うかがいます。
 いったん民間園に移行すれば、その後は当然施設を運営する法人の裁量に任されます。職員の確保など、民間園の経営に関することに、千葉市が立ち入ることはできません。「民間移管すれば利益の追求とコストカットを優先すると思う。人件費の削減が始まり、人材の確保が難しくなると思う。経営者の交代が頻繁に起きないか心配」とアンケートにも寄せられています。先々の職員体制にまで千葉市が責任を持つことなどできないでしょう。
 それでは、別の視点でうかがいます。
 1に、「ボランティアやお年寄りの方が保育園に来て、遊んでもらえるのは続けてほしい」「老人と児童の関わりは良いと思います」「今も地域の方との関わりがあるので、今後も行事を行う等して頂きたい」などアンケートに書かれています。これまで寒川保育所が積み上げてきた、地域とのかかわりを大切に思う保護者・住民の声があるが、別の事業者になることで継続性は保たれるのか、うかがいます。
 2に、民間移管の1年前から引き継ぐとのことですが、寒川保育所は築42年の保育所です。42年間地域の方と育んできた保育所と地域のつながりや歴史を重くとらえていただきたい。地域の信頼も厚く、慕われ、頼られている寒川保育所を廃止し、新たに民間園にするには納得できる理由が必要です。うかがいますが、民間にできて公立にできないことは何か、お答えいただきたい。
 3に、多様な保育サービスは、今も公立保育所で実施しているし、むしろ障害児の受け入れなどにも積極的です。それでは逆に、公立保育所だからできることは何か、うかがいます。
4に、公立保育所でなければできない「セーフティネット」的な役割、蓄積された経験とノウハウこそ、今必要なのではないのでしょうか。子育てが困難な時代に、一人親世帯や若い親の悩みを受け止めることのできる保育所こそ望まれているのではないでしょうか。公立保育所のそうした大事な役割がありながら、民間に移行するということは、結局、寒川保育所の建て替えはコスト優先で決めたということなのか、お答えください。
 5に、「0・1歳児の受入れ、定員の拡充、多様なサービスを同じコストでできる」ことを並べて、保護者と地域の「寒川保育所の存続」を願う声を、押さえつけてしまったと感じます。お金がないから民間に任せるという姿勢で、今後の公立保育所はどうなってしまうのか、千葉市が改造・改修を予定している、築30年以上の34か所の公立保育所も大変心配です。予算がないことを理由に先送りされるのではないかと不安の声も聞いています。大規模改造・改修計画は何年で実施できるのか、うかがいます。

【こども未来局長答弁】

 質の高い保育を確保し、保育所を継続的に運営するためには、ベテラン保育士を含めた年齢バランスの取れた職員体制が重要であると考えております。
 運営法人の公募に際しては、施設長については、認可保育所での施設長経験や10年以上の勤務経験、その他の保育士についても、認可保育所での十分な勤務経験を求めるなど、厳しい条件を付しております。
 施設の職員体制につきましては、施設を運営する法人が、法令や基準等に則りながら、職員の配置や採用等に意を用いながら、施設運営に適切な体制を整えて参るものと考えております。
 寒川保育所の建替えにあたっては、保護者や地域の方々への十分かつ丁寧な情報提供を行なうとともに、民間移管の1年前から、新しい施設長と主任保育士が、引き継ぎに着手し、日々の保育はもちろんのこと、寒川保育所で行われている地域活動や行事への参加を重ね、地域との関わりをしっかりと把握することで、ご理解とご協力を得られるように努めて参ります。
 保育については、公立保育所か民間保育園にかにかかわらず、法令等に基づく基準や保育所保育指針に則り実施することから、差異はないものと考えております。
 なお、今回の寒川保育所の建替えに際しましては、新たに、0・1歳児の受入れ、定員の拡充や、多様な保育サービスの対応が求められることから、民設民営の整備運営手法を採用するものです。
 保育は法令や基準に基づき実施されますことから、差異はないものと考えますが、これまで本市公立保育所が担ってきた「セーフティネット」的な役割や、蓄積された経験・ノウハウを活用した保育を実施して参ります。
 寒川保育所の建替えについては、将来にわたり保育需要が見込まれるとともに、寒川保育所の現状のまま公立保育所として建て替え、運営を継続する場合とほぼ同等の経費によって、新たに、0・1歳児の受け入れ、定員の拡充、延長保育の時間延長や一時預かりなどの多様な保育サービスの提供を実現できることから、民設民営の整備運営手法を採用することとしたものです。
 「大規模改造・改修計画」の対象となる保育所については、平成25年度から改修を実施していくこととしております。実施にあたっては、緊急性に応じた優先度を踏まえ、実施計画に基づき、計画的な改修に努めて参ります。

【もりた真弓議員】

 保育所と学校は公共施設で、同じように子どもたちが日常過ごす施設です。しかし、耐震や建て替えなど施設管理においての位置づけも、軽視されているといわざるを得ません。国の責任もありますが、自治体として公的保育の維持向上のために、責任を果たすことを求めて、一般質問を終わります。