あぐい武夫議員の反対討論

2012.12.14

写真 日本共産党千葉市議団の安喰武夫です。会派を代表して、議案第132号、議案第150号から154号及び第173号に反対し、また、発議第24号が否決されたことと、請願第2号が不採択になったことに対して討論を行います。
 まず、議案第132号・千葉市競輪事業特別会計補正予算についてです。
 これに関する条例については9月議会でわが党は、従事員の生活を守る立場から反対しました。今回の補正予算は、債務負担行為で競輪場開催業務等の包括委託をするものです。これによって、従事員のリストラや賃金の引き下げなど、労働条件が切り下げられ、従事員のみなさんの生活悪化に直結します。
 従事員労働組合は、市との交渉の中で、「引き続き市の直営で」と要望し、生活を守るよう求めています。当然の要求です。
 従事員のみなさんは長年、競輪事業に貢献してきました。わが党の議案質疑に対して、市当局は「従事員の皆様による正確かつ親切な窓口応対等により、円滑に競輪事業が開催できており、非常に感謝しております」と答弁しています。
 今後、市の直接雇用が無理であるならば、長年の貢献にふさわしく、慰労金などを支給することを含め、誠意をもって対応すべきです。ところが、今回の補正予算には、そのような従事員への対応がまったくありません。
 この問題は従事員の生活にかかわる重要問題です。千葉市の都合によって、長年、千葉市のために働いてきた従事員の生活を脅かすようなことはすべきではありません。従事員の生活を守る立場に立って、誠実な対応をすることを重ねて求め、この議案には賛成しかねるものです。

 次に、議案第150号から154号及び第173号についてです。
 これらの議案は、地方分権一括法により、これまで法律で定めていた施設等の設置管理基準を国の基準を参酌しながら、地域の実情に応じて条例で定めるものです。
 これによって、地域の実情に応じて「義務付けや枠づけ」を見直すことができるわけです。この見直しは、施策の充実のために行うべきであって、基準の引き下げなどはすべきではありません。
 ところが、議案第150号から154号は、特別養護老人ホームなどの施設の設備や運営に関する基準、介護サービス等の事業の人員などを定めるものですが、廊下の幅の基準の引き下げや居室定員の緩和など問題があります。
 廊下の幅については、国基準は中廊下2.7m以上、片廊下1.8m以上となっていますが、今回の議案第150号、151号、153号、154号では、中廊下1.8m以上、片廊下1.5m以上と基準が引き下げられました。高齢者の施設では、廊下で車いすを押したり、歩行器を使ってのリハビリなどが行なわれています。廊下の幅を狭くすることは、こうした活動に支障をきたすことになります。また、議案150号から152号では、居室定員について、「市長が特に必要と認める場合には4人以下とすることができる」となっています。これは今後、一人部屋だけでなく、多床室もつくれるということです。居室の個室化は時代の流れであり、多床室ではプライバシーも守れず、人権侵害となります。市民サービスの低下は認められません。

 議案第173号は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例です。
 ここでは、保育所における基準を定めていますが、いくつか問題があります。
 まず、乳児室の面積について、千葉市は一人当たり3.3平方メートル以上としていますが、平成13年までは5.5平方メートル以上としていました。これは、千葉市として、「ゆとりのある保育を行うためには必要」との判断があったからです。ところがその後、待機児童解消のために、基準を後退させました。子どもたちの健やかな成長を願うなら、かつての基準にもどすべきです。
 保育室と遊戯室の設置についても、待機児解消につながれば、「遊戯室を保育室として使用することができる」としており問題です。遊戯室は、保育を実施するうえで必要な施設です。待機児解消ありきで、保育室に利用することは認められません。
 3歳以上児の食事の外部搬入を禁止していないことも問題です。自前で調理できれば、食物アレルギーの子どもや体調不良の子どもなどにも対応できます。子どもたちの健康を考えれば、食事の外部搬入は禁止すべきです。
 さらに1・2歳児への保育士の配置基準も問題です。「おおむね5人に対し保育士一人」としながらも、待機児解消を前提に、「やむを得ない事情がある場合、おおむね6人に1人」としています。
 結局、待機児解消ありきで、基準を引き下げ、緩和しています。子どもたちの健やかな成長を保障する立場に立てば、あってはならないことです。
 以上のことから、議案第150号から154号及び第173号は、基準の引き下げなど問題を含んでおり、反対するものです。

 次に、発議第24号千葉市障害者スポーツ振興検討委員会設置条例についてです。
 保健消防委員会では、わが党以外の反対多数で否決されました。たいへん残念なことです。この条例は、千葉市の障害者スポーツの振興を図り、障害者の福祉向上に資するため、千葉市障害者スポーツ振興検討委員会を設置するものです。
 委員会では、「主旨には賛同するが、スポーツ振興が教育委員会から市民局に移ったばかりなので賛同しかねる」「これからやっていくことであるが、障害者に特化するべきではない」などの意見が出されました。これらの意見から条例案の主旨については理解されたのではないかと思います。
 一年半前にスポーツ基本法が制定され、「スポーツは国民の権利」と明記されました。障害者がスポーツ活動に参加することは、障害者の健康増進、機能回復、能力の向上、生きがいのある生活を促進していくうえで不可欠であり、権利として保障されなければなりません。
 そのためには、国の施策として施設のバリアフリー化、器具・用具の拡充、施設使用料や交通費の助成、指導者・介添え者の活動支援をはじめ、条件整備を進める必要があります。競技者の活動拠点を設置することも急がれます。また、障害者のスポーツ活動は福祉と文化の両面から位置付けられます。
 千葉市もスポーツ基本法に基づいて、具体的に障害者スポーツを支援しなくてはなりません。こうしたことを踏まえ、今回の条例案では、「障害者スポーツ振興検討委員会」を設置し、障害者がスポーツ活動に参加するうえでの格差や差異を是正しようとするものです。
 こうした条例案の意義を認識していただくことを意見として述べておきます。

 最後に請願第2号についてです。
 この請願は、子どもの通院医療費助成を中学校3年生まで引き上げることや、窓口での300円自己負担をなくすことなどを求めるものです。この請願も、教育未来委員会では、残念ながらわが党以外の反対多数で否決されました。
 反対理由としては、「年齢対象が広がることは賛同するが、財政が厳しい中なので賛同できない」など、財政を理由にしたものでした。
 少子高齢化社会が大問題になる中で、子育て支援が重要課題となっております。ここに財政を優先的に投入することは、必要なことです。
 だからこそ、多くの市町村が、予算を付けて対象年齢の拡充をすすめています。県内では12月1日現在、中学3年生以上を助成している市町村は、54自治体中27自治体50%に達しています。小学校3年生までは19自治体35.2%です。
 千葉市が財政を理由に対象年齢の拡充をしなければ、子育て支援に消極的な市として評価され、市長がいう「子育てするなら千葉市で」との方針からも逆行することになります。県から不公正な扱いを受けている補助金に対して是正を求めるとともに、中学校3年生までの拡充をすみやかに実施することを求めておきます。
 以上で、討論を終わります。