日本共産党が提出した意見書

平成25年第1回定例会
No.1

 (提出年月日)平成25年2月7日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

貧困の連鎖を拡大する生活保護基準引き下げ案の撤回を求める意見書(案)

 安倍内閣は、社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会がまとめた報告書をもとに、生活保護費の食費や水光熱費、被服費など生活に欠かせない扶助費を標的にした削減を打ち出している。
 報告書では、生活扶助費が一般低所得世帯の生活費を上回るケースもあると試算しているが、比較対象となった低所得世帯は生活保護基準を下回るか、基準ぎりぎりの生活であるにもかかわらず、生活保護を受給できずにいる世帯でもあり、その低所得世帯と比べて「高い」、「低い」などと生活扶助費の引き下げを論ずるのは、低所得世帯の生活実態を直視しない現実離れの暴論である。
 生活保護は、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を国民に保障し、その責任を憲法第25条として政府に課したものである。「最低限度の生活」を政府の思惑で、低下させることなど許されるものではない。
 しかも、生活保護基準の引き下げによる影響は、生活保護受給者だけにとどまらない。勤労者の最低賃金はもとより、住民税非課税限度額とも連動し、基準引き下げによって非課税だった低所得者が課税されることになる。それが、保育料、国民健康保険料、介護保険料などの負担の増加、就学援助の打ち切りなど、高齢者や子育て世帯に影響することになるのは必至である。
 これ以上、生活を維持する最低限のラインを引き下げたら、貧困の拡大に拍車をかけることになる。
 よって、本市議会は国に対し、貧困の連鎖を拡大する生活保護基準引き下げ案の撤回を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年  月  日

千 葉 市 議 会


平成25年第1回定例会
No.2

 (提出年月日)平成25年2月7日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

国際的に通用しない歴史認識を改めるよう求める意見書(案)

 安倍首相が政権発足直後の昨年末、戦前の「植民地支配と侵略」を反省した1995年の村山首相(当時)の「談話」や、「従軍慰安婦」問題について謝罪した1993年の河野内閣官房長官(当時)の「談話」について、見直しを示唆したことは、戦後の日本が憲法第9条を掲げ、国際社会に貢献し信頼を得てきた国民全体の努力を台なしにする行為と言わなければならない。
 「村山談話」とは、戦後50年目に当たり村山首相が閣議決定を経て、「国策を誤り、植民地支配と戦争によってアジア諸国民に多大の損害と苦痛を与えた」とする「おわび」を表明したものである。
 「河野談話」は、当時の宮沢内閣挙げての「従軍慰安婦」問題の調査に基づき、「慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」ことを認め、河野内閣官房長官の談話として公表したものである。
 日本の首相が、侵略戦争と植民地支配への反省を見直し、「慰安婦」の強制を否定することは、「多大の損害と苦痛を与えた」アジア諸国民のみならず、国際的信頼を失墜させることになる。
 米国の新聞ニューヨーク・タイムズは、直ちに社説で「日本の歴史を否定する新たな試み」、「過去の偽造」、「恥ずべき欲求」と批判したのを初め、韓国・中国・英国からも懸念の声が上がっている。
 安倍首相は第1次政権当時の2007年、「慰安婦の強制はなかった」との答弁で国際的な問題となり、「河野談話」の継承と元「慰安婦」におわびせざるを得なかった経緯があるにもかかわらず、再び確信犯的に同じ誤りを繰り返そうとしている。万一、「見直し」が具体化されるならば、日本はアジアのみならず、世界での政治的・道義的地位を失うことになる重大さを自覚すべきである。
 よって、本市議会は国に対し、国際的に通用しない歴史認識を改めるよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年  月  日

千 葉 市 議 会


平成25年第1回定例会
No.3

 (提出年月日)平成25年2月7日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

「金融緩和策」より国民所得をふやすよう求める意見書(案)

 安倍内閣は、「デフレからの脱却」として「緊急経済対策」を打ち出し、いわゆる「アベノミクス」に基づく金融緩和、財政出動、成長戦略を実行しようとしている。
 政府が日本銀行に対して求め続けた大規模な金融緩和策では、ついに物価上昇2%に達するまで、市中に資金を供給し続けることが決められた。しかし、これまでも金融緩和策は繰り返し実施されてきているが、供給された資金は景気回復にも雇用改善にも結びつくことはなく、金融機関や大企業にとどまるだけであった。
 この間、大企業は「停滞の20年」と言われる大不況のもとでも、国からのリストラ支援策や減税の恩恵を受けながら、260兆円もの莫大な内部留保をため込んでいる。「大企業がもうかれば、雇用や賃金もよくなる」などと言う「トリクルダウン」政策が通用しないことは事実が証明しているのである。
 さらに大規模な資金供給を実施したとしても、大企業の内部留保が積み増しされたり、金融機関などによる投機を駆り立てるだけで、景気浮上には何ら役立たないばかりか、投機による急激な物価上昇の危険性さえはらんでいる。
 日本経済が長期にわたり低迷を続けているのは、国民所得が年々低下し続け消費が落ち込み、内需が冷え込んでいるからである。こんな時に物価だけが上がり、その上消費税増税まで押しつけられたら、ますます日本経済のひずみは拡大し、国民の暮らしは成り立たなくなるのは明らかである。
 消費税増税を中止し、大企業や大資産家に応分の負担を求め、大企業がため込んだ内部留保のほんの一部を雇用拡大や賃金引き上げに活用することこそ「経済再生」の確かな道なのである。
 よって、本市議会は国に対し、「金融緩和策」より国民所得をふやすよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年  月  日

千 葉 市 議 会


平成25年第1回定例会
No.4

 (提出年月日)平成25年2月7日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

自衛隊法の改悪をやめるよう求める意見書(案)

 政府・与党は、アルジェリア人質事件を口実にして、海外での邦人保護のため、自衛隊の派遣要件や武器使用基準を緩和する自衛隊法の改定を国会に提案しようとする重大な動きがある。
 今回の事件では、10名もの邦人犠牲者が出るなど痛ましい事態となり、テロリストの蛮行を厳しく糾弾しなければならない。しかし、今回の事件は、自衛隊法の不備による対応が問題になったわけではない。
 日本政府が在外邦人の安全のために、受入国と在外公館との緊密な連絡で、正確な情報収集を行う外交努力が求められており、在外公館職員数の強化が必要とされているのである。また、テロの口実とされる貧困や飢餓、大国による国際的無法行為をなくすための外交努力、そして国際的な警察・司法の力で、国際的テロリストを孤立させていくことが必要なのであり、武力行使ではテロの報復と連鎖を生むだけである。
 自衛隊法を改悪し、邦人救出を理由に重武装した自衛隊が行動することになれば攻撃対象になりかねず、武器を使用しての強行的な救出を認めれば、交戦の危険性は一層増大することになる。
 よって、本市議会は国に対し、アルジェリア人質事件を口実にした、自衛隊法の改悪をやめるよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年  月  日

千 葉 市 議 会


平成25年第1回定例会
No.5

 (提出年月日)平成25年2月7日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

共通番号制度(マイナンバー)法案の撤回を求める意見書(案)

 安倍政権は、前臨時国会で廃案となった共通番号制度(マイナンバー)法案を再提出しようとしている。
 政府は「番号制度」の目的を「国民が公平・公正さを実感し、国民の負担が軽減され、国民の利便性が向上し、国民の権利がより確実に守られるような社会を実現する」として、全国民と外国人居住者に対し、社会保障と税の分野で共通する番号をつけ、個人の情報を政府と地方自治体が一括管理・活用できるようにするものである。
 これには、「重大なプライバシー侵害の危険のある制度」だとして、日本弁護士連合会が「強く反対する」とのコメントを発表するなど、抗議の声が巻き起こり、審議未了による廃案に追い込まれたものである。しかるに、再び今国会へ提出しようとする動きは容認できない。
 消費税増税と社会保障の「一体改悪」路線を推進している安倍政権のもとで、共通番号制度(マイナンバー)法案の成立は、「福祉の充実」のためではなく、「徹底的な徴税」と「社会保障費の削減」のためであることは明らかである。
 また、罰則の強化などでセキュリティーに対応するとしているが、情報流出は防ぎようがなく、「絶対安全」はないのである。
 さらに、システム構築にかかる費用、維持・管理費は莫大であり、「大企業の利益確保のため」との批判さえある。
 重大なのは、国民一人一人の氏名・住所・生年月日・顔写真・家族構成・勤務先・所得・納税・病歴など、あらゆる情報が把握できる「国民総背番号制」につながる危険性があり、到底容認できるものではない。
 よって、本市議会は国に対し、共通番号制度(マイナンバー)法案の撤回を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年  月  日

千 葉 市 議 会


平成25年第1回定例会
No.6

 (提出年月日)平成25年2月7日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

年金2.5%削減の中止を求める意見書(案)

 昨年、国会は2.5%の年金削減法を含む国民生活に直結する重要法案を成立させた。その中でも、とりわけ年金2.5%削減の実施は、深刻なデフレ不況のもとで、苦しい暮らしを余儀なくされている高齢者の生活を圧迫し、悲惨な結果を招くことが危惧されている。
 年金は、各地方自治体の高齢住民に直接給付される収入であり、その削減は地域経済に大きな影響を及ぼすとともに、消費を一層冷え込ませ、「デフレ不況からの脱却」どころか、さらに深刻なものとなるのは明らかである。
 さらに、今準備されているデフレ下のマクロ経済スライドの実施などは、際限のない年金削減への流れに道を開くことになり、年金制度への信頼をさらに低下させ、若者を中心に進む年金離れに拍車をかけると懸念されている。
 よって、本市議会は国に対し、年金2.5%削減の中止を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年  月  日

千 葉 市 議 会


平成25年第1回定例会
No.7

 (提出年月日)平成25年2月7日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

「武器輸出三原則」を守り国際平和に貢献するよう求める意見書(案)

 安倍政権は、米国などが共同開発している最新鋭戦闘機F35の部品を日本企業が製造し、米国へ輸出しても「武器輸出三原則」には抵触しないとする方針を固めたことが明らかになった。その部品を組み込んだF35戦闘機がイスラエルなどに配備されたとしても問題ないとするものである。
 「武器輸出三原則」は、1967年に当時の佐藤政権が「国際紛争当事国などへの武器輸出を禁止する」とした三原則を示し、1976年には三木政権が「国際紛争当事国以外にも武器輸出は慎む」とした政府統一見解と合わせて、長い間、日本の武器輸出を事実上禁止する原則としてきたものである。
 ところが、自民党政権は、対米技術協力や「ミサイル防衛」に関連する日米共同開発を例外として認め、民主党野田政権時代には「国際的な武器の共同開発」も例外にするなど、「三原則」を次々と空洞化してきた経過がある。
 野田政権でさえ、共同開発した武器を第三国へ輸出するには、日本の事前承認を義務づけ、「国際紛争等を助長するのを回避する」としていたものを、ついに、安倍政権では、日本企業製造の部品を使ったF35戦闘機の国際紛争当事国イスラエルへの輸出を認めることになる。そればかりか、日本は、米国からF35戦闘機を自衛隊に大量購入することを決めているが、日本国内の組み立て施設で日本企業にF35戦闘機を製造させようとする米国の狙いも、明らかにされている。そうなれば、憲法第9条とともに武器禁輸を国是としてきた日本の国際社会での信頼を失うことになる。
 よって、本市議会は国に対し、「武器輸出三原則」を守り国際平和に貢献するよう求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年  月  日

千 葉 市 議 会


平成25年第1回定例会
No.8

 (提出年月日)平成25年2月13日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

北朝鮮による核実験強行に抗議する決議(案)

 北朝鮮は2月12日、3度目の核実験を強行したことは、核兵器のない平和な世界を求める国際世論と「核実験またはいかなる挑発もこれ以上実施しない」よう求めた国際連合安全保障理事会決議第2087号への重大な挑戦と言わなければならない。北朝鮮は「以前と異なり爆発力が大きく、小型化・軽量化された」と伝えている。昨年末の「ロケット」発射の強行とあわせて、北朝鮮が他国への核攻撃能力を持とうとする意図は明らかである。北朝鮮の今回の核実験強行は、どんな理由をもってしても正当化できるものではない。
 この間、国連安保理事会は2006年と2009年の核実験強行後、核実験を非難し、核開発の放棄を要求した決議第1718号、第1874号を採択している。これらの決議に対し何度も繰り返すことは、到底許されない。これでは、ますます国際社会から孤立するだけである。
 よって、本市議会は北朝鮮に対し、核実験の強行に厳重に抗議するとともに、北朝鮮も参加する6カ国協議に復帰し、朝鮮半島の非核化及び北東アジアの平和と安定に努力するよう強く求めるものである。
 以上、決議する。

平成25年  月  日

千 葉 市 議 会


○ 全会一致で採択された決議

北朝鮮による核実験の実施に厳重抗議する決議

 北朝鮮は、2月12日、3度目の核実験を強行した。我が国を初め、世界各国が再三にわたり強く自制を求めていたにもかかわらず、実験が強行されたことは、我が国の安全のみならず、国際社会の平和と安定に対する重大な脅威であり、断じて容認できない。
 今回の北朝鮮の挑発的行為は、先般1月22日に全会一致で採択された、「核実験またはいかなる挑発もこれ以上実施しない」よう求めた国際連合安全保障理事会決議第2087号を初めとする一連の決議に明らかに違反するものであるとともに、日朝平壌宣言や平成17年9月の六者会合共同声明にも違反するものである。
 また、北朝鮮は、昨年4月と12月にはミサイル発射を行い、さらには、拉致問題に関しても、平成20年に合意した調査のやり直しにいまだ着手していないなど、挑発的かつ不誠実な行動を続けている。
 よって、本市議会は北朝鮮に対し、核実験を強行したことに厳重に抗議するとともに、六者会合に復帰し、朝鮮半島の非核化及び北東アジアの平和と安定に努力するよう強く求めるものである。
 また、国に対し、このような暴挙を許すことなく、北朝鮮に対して厳重に抗議するとともに、国際社会と緊密に連携して北朝鮮との諸懸案の解決に向け、今後も全力で取り組むよう強く求めるものである。
 以上、決議する。

平成25年2月20日

千 葉 市 議 会