もりた真弓議員の条例提案説明

2013.2.20

写真 発議第1号 千葉市災害時要援護者支援検討委員会設置条例について
 この条例は、震災発生時に特に配慮を要する「災害時要援護者」(高齢者、障害者、乳幼児等)が、安心して暮らすことのできる地域づくりの推進を図るため、対象となる要援護者の支援について検討委員会を設置するものです。
 いつ何時、大災害が襲ってくるかは分かりません。平常時から、市民のいのちと財産を守る災害対策を確立し、事前に災害時要援護者への手立てを準備しておくことは自治体としての大事な役目です。
 阪神淡路大震災や、東日本大震災などの未曾有の大災害をはじめ、全国で発生した多くの自然災害は、かけがえのない多くのいのちを一瞬で奪い、その後の避難所生活でも少なくない犠牲者をうんでいます。東日本大震災の1年後の2012年4月10日の新聞記事によると、当時、年齢が明らかで死亡が確認された方、7,935名のうち55.4%が65歳以上であるとのことでした。また障害者については、震災後6か月後にNHKが調べた数によれば、一般の死亡者が1.03%であるのに対して、障害者は2.06%と倍の数値となっています。高齢者や、障害者等、要援護者全員を対象とした対策が求められています。
 国では、こうした自然災害の「犠牲者ゼロ」を目指すための早急な取組の一つとして、「災害時要援護者の避難支援対策の促進」を掲げています。しかし、震災前に要援護者情報を整備した自治体はほとんどなく、支援する側の福祉関係者などに個人情報が適切に開示されず高齢者・障害者の安否確認に役立ちませんでした。個人情報保護法や個人情報保護条例との関係で慎重に対応するあまり、多くの自治体が要援護者台帳の整備に二の足を踏んでいる状況です。
 災害時要援護者名簿の作成においては、おおむね(1)手上げ方式、(2)同意方式、(3)関係機関共有方式の3通りの方法があります。手上げ方式では、支援者の確保や、実際の災害の時に申請をしていない他の緊急者との優先順位が課題となります。また同意方式だと、防災関係部局、福祉関係部局、自主防災組織、福祉関係者など縦割りのそれぞれの部署が、何度も同じ個人情報を取得する必要があります。要援護者本人が2度も3度も同じことを答えなければならず、さらにそれを外部の支援者と結び付けるためには、個人情報保護条例に係る審議会の承認が必要です。その点、関係機関共有方式は、平常時から福祉関係部局が保有する情報等を、防災関係部局、自主防災組織、民生委員など関係機関が共有します。実際の支援を行う際には、地域全体の情報が把握できるため救助のムラをつくらず、行政の責任において調査し、支援を行う方式と言えます。ただし、外部に情報提供を行う際には、個人情報の漏えい等の可能性が高いので、法規範性の確保として、条例化が望ましいとされています。
 震災後、各自治体でも要援護者支援の検討が行われています。政令指定都市では、神戸市議会が昨年12月の第四回定例議会に、民主、自民、公明、自民党神戸の与党4会派が「神戸市における災害時の要援護者への支援に関する条例の件」を提案し、この第1回定例議会の成立を目指しているとのことです。また、横浜市もこの2月定例市会に「横浜市震災対策条例案」を提出するなど、それぞれの自治体で準備が進められています。自治体の地域ケア及び災害支援の仕組みは、一朝一夕にはできない大変手間のかかる課題であるため、多くの市民の理解を得られる地域支援のあり方がもとめられています。
 災害時に、高齢者及び障害者の救助が適切に行われるためには、普段から高齢者や障害者の救助が必須であることを十分に認識してもらうことが重要です。また行政は、積極的に高齢者及び障害者に対する救助を行える環境を整備することが必要です。検討委員会の設置で様々な課題を解決し、一日も早く災害時要援護者の支援に対応できるよう、災害時要援護者支援検討委員会の設置をもとめ、提案理由の説明といたします。
 みなさまのご賛同をよろしくお願いいたします。