中村きみえ議員の一般質問と答弁(要旨)

2013.3.11

写真1.防災対策について

【中村きみえ議員】

(1)地域防災計画案についてです。

 2年前の本日3月11日、東日本大震災が起こりました。千葉市では、千葉市地域防災計画の修正案が公表されました。見直しの基本方針は、より実効性のある、あらゆる可能性を考慮し、減災の考え方で、自助・共助・公助の役割分担を明確にし、10年後、20年後を見据えた「災害に強いまちづくり」を推進。国や県の基本方針や関係法令の改正との整合性を図る。とあります。計画を定めたものの、災害時、真に実行力のあるものでなければなりません。共産党市議団は、(1)防災計画の重点を、応急的・復旧的対策から予防的防災の重視へと転換すること(2)基幹的防災インフラ施設中心から地域コミュニティーの防災性向上へ転換すること(3)自助・共助の思想から脱却し「住民の生命・身体・財産を災害から守る」という行政の責務を明確にすること(4)地域防災計画は、津波・液状化等の対策を強め、防災無線・避難場所の整備など抜本的に見直すこと、以上4点を掲げ予算要望で求めました。計画が多岐にわたるため、今回はいくつかに絞って質問します。

 第1は、予防的防災の重視へ転換を図ることについてです。

 1つに、社会的条件の千葉市の土地利用について、「宅地の細分化やミニ開発も依然として多く、防災整備上ふさわしくない。今後は、ミニ開発によるスプロール等の進行を抑制していくような身近な市街地環境をよりきめ細かに誘導する必要がある」と述べています。具体的にはどう対応しますか。

 2つに、防災ビジョンの計画の理念は、「被害を出さない」、「被害を軽減する」「避難・援助を円滑にする」など減災の視点からの取り組みが強調され、基本目標の第一に「被害を発生させない、拡大させない、都市空間の整備・強化」とありますが、新年度予算でどう反映しましたか。

 3つに、急傾斜地への対策は、遅々として進みませんが、その原因は何か、どう対策を講じていきますか。

 4つに、木造密集市街地への対策を住民合意のもと、改善を図ることが必要ですが、見通しはあるのか伺います。

 5つに、千葉市耐震改修促進計画では平成22年に住宅は84%、民間特定建築物は88.7%で、平成27年度までに90%の目標ですが、どう進めますか。

【都市局長答弁】

 まず、身近な市街地環境をよりきめ細やかに誘導する必要があるとの指摘に対する具体的対応についてですが、現在の都市計画法では、市街化区域における500平方メートル未満の開発行為は、許可の対象外となっており規制することはできませんが、小分けにして開発することが全国的にも問題となっておりますので、その有効な対策の制度化について、大都市開発行政主管課長会議等で課題として取り上げ議論するとともに、国土交通省に要請しているところであります。

 都市空間の整備・強化の新年度予算への反映についてですが、都市において公共空間を確保し被害を拡大させない役割をもつ取り組みとして、これまでも、市街地再開発事業、土地区画整理事業による面整備事業や道路事業、公園事業などそれぞれの分野において、必要な予算を計上しておりまして、新年度においても引き続き、これらの事業予算を確保し、取り組みを進めることとしております。

 木造密集市街地の改善の見直しについてですが、改善すべき密集住宅市街地13地区を選出し、そのうち2地区については、重点密集市街地として国の整備基準をもとに整備を検討し、本年度は道路の概略設計をもとに地区住民に対しての説明会を3月末に開催する予定となっております。地区の整備に向け、皆さんのご理解、ご協力を得るように推進しているところです。また、耐震化に向けた周知・啓発活動として、今年度は、防災関連イベントを活用するほか、密集住宅市街地13地区の住戸に対し啓発文書を配布しております。なお、引き続き、密集市街地において、優先的に耐震化の啓発を進める地区に対し、順次、啓発文書を全戸配布し、周知を図ってまいります。

 平成27年度までに90パーセントの耐震化の目標を目指し、具体的にどう進めていくのかですが、建築物の耐震化に向けた周知・啓発活動として、啓発文書を配付するとともに、病院、百貨店など、多数の者が利用する一定規模以上の民間特定建築物や緊急輸送道路沿道建築物の所有者に対して、個別対応による指導等に努めて参りました。その結果、助成制度を活用した住宅の耐震改修の増加や、民間特定建築物についても耐震化が促進されてきております。新年度からは、新たに緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断助成を行なうことから、未診断建築物の所有者に周知を図り、耐震化に向けて推進して参ります。なお、国では、「建築物の耐震改修促進に関する法律の一部を改正する案」が、今国会に提出される予定であり、この動向を注視し、さらなる耐震化率の向上に努めて参ります。

【建設局長答弁】

 防災対策のうち、急傾斜地の対策についてお答えします。

 まず、進まない原因についてですが、民地の中に施設を建設することから、その位置の決定や境界の確定について、関係者全員の同意が得られにくいことや受益者負担金が伴うことなどが原因と考えております。

 次に、対策についてですが、崩壊危険区域内の急傾斜地は、土地所有者個人が維持管理を行なうことが基本となっておりますが、市としても早期に事業を実施することが必要であると考えております。そのため、土地所有者の防災意識の向上を図るとともに事業の理解を深めてもらうことを目的として、今後も、事業のPRと説明会を積極的に行うとともに、他都市の事例などを踏まえ、受益者負担金のあり方についても調査して参ります。

【中村きみえ議員】

 第2に基幹的防災インフラ施設中心から地域コミュニティーの防災性向上へ転換することについてです。

 1つに、幹線道路網の整備について、まずは、市民に身近な道路整備をすべきと考えますが見解を求めます。

 2つに、防災備蓄は、毎年8万食更新し、39万食あるようです。各家庭で備蓄する啓発も必要ですが、そもそも災害時に、身の危険を防護し、避難が最優先の時、食料の確保はできません。市は、これで十分だと認識していますか。

 3つに、狭隘地域に消防車が到着するまで、消火栓の近くにホースなどを確保し、住民が消火活動をいち早く実施したいと申し出があります。自助・共助を強調するなら、住民の不安にこたえ先進市のように実施を早急に検討すべきではないですか。

【建設局長答弁】

幹線道路網の整備は、災害時の防災活動拠点及び広域避難場所等へのアクセス機能や、火災時の延焼防止の機能も有するので、進めて参ります。また、市民に身近な生活の道路も、地域防災に利用されることから、蓋付側溝への改修や狭あい道路の拡幅など、実情に合わせた道路整備を行い、両整備にバランスよく予算を配分して参りたいと考えております。

【総務局長答弁】

 市の防災備蓄品の考え方ですが、現行の地域防災計画に基づき、首都直下の東京湾北部地震による被害を想定し、避難者約19万5千人の2食分として、約39万食備蓄しており、不足する場合には、小売店や物流事業者との物資供給に関する協定や、九都県市などの都市間の相互応援協定で対応することとしております。なお、今後は「千葉県地域防災計画」や、県が策定した「災害時の緊急物資等に係る備蓄・物流の基本指針」及び「災害時の緊急物資等の備蓄に関する計画」を踏まえるとともに、現在、国の中央防災会議におきましても、想定する地震や被害状況などの見直しが行われておりますので、今後示される被害想定や、他都市の状況も研究し、必要に応じて本市の計画備蓄量についても、適宜、見直しを行なって参ります。

 狭隘地域において、消火栓の近くにホースなどを確保して、住民が消火活動をいち早く実施できるように検討すべきとのことですが、市民が行う初期消火は炎が天井に届くまでが限度の範囲で、小火器やバケツリレーを行なうこととしており、天井に火が移ったら避難を優先させることが大事であります。

 消火栓とホースをして行う消火活動は、この初期消火の限度を超えるところであり、機器を操作する上で怪我や事故の危険性のほか、その他の第三者に対する損害賠償制度がないという問題がありますので、これらの問題を整理し、他都市の事例を参考として今後も調査・研究してまいります。

【中村きみえ議員】

 第3に自助・共助の思想から脱却し「住民の生命・身体・財産を災害から守る」という行政の責務を明確にすることについてです。

 1つに、被害の軽減策の落下物等対策の中では、地震災害において、屋内・屋外の落下物、倒壊物による人的被害を指摘し、阪神大震災で家具転倒の被害から家具転倒防止金具の助成・設置推進を掲げ、重点項目として啓発しています。しかし、対象者を狭め、周知が不十分で、実施が進んでいません。周知の仕方の工夫と昨年12月議会で実施を約束しましたが、所得制限は、どの程度緩和しますか。

 2つに、職員の体制についてです。区役所をはじめ、災害の被害状況に応じて職員の招集が示されていますが、妊婦さんや子育て中、病気を抱えた職員などは除外できると示されています。市役所職員の定数削減をしていますが、災害時、実働できる職員が少ない体制で、最前線で対応できますか。保健師や消防職員等の大幅増員を求めますが見解を伺います。

 3つに、地域で安心して住み続けるためにも地域包括支援センターを中学校区に1箇所整備すべきです。お答え下さい。

 4つに、災害弱者への対応についてです。災害時要援護者の対策では、居宅に取り残された高齢者・障害者等の災害時要援護者の迅速な発見や安否確認に努めるとありますが、誰が、誰をどのような体制で救出するのか、日頃から、情報共有が必要ですが、見解を求めます。

【保健福祉局長答弁】

 防災対策についてのうち所管についてお答えします。家具転倒防止対策事業の所得制限についてですが、現在、緩和した場合の対象者数や影響額等のシミュレーションを行い、対応を検討しているところです。

【総務局長答弁】

 職員の体制についてですが、職員の配置にあたっては、業務量に見合った適正な配置に努めており、災害時には、地域防災計画に災害の規模に応じた市職員の配備基準を定め必要な体制をとることとしております。なお、市職員だけでは対処し得ないと判断された場合には、広域連携体制により、他の自治体に応援と要請するとともに、関係機関等の協力を得ながら、必要な体制を確保するように努めてまいります。

【保健福祉局長答弁】

中学校区ごとにあんしんケアセンターを設置することについてですが、「あんしんケアセンター」は、高齢者人口の将来予測などを基に、昨年10月、24か所に倍増したところであり、当面は、業務を適切に実施させることが重要と考えておりますが、今後も高齢者人口の推移等を見ながら、対応を検討して参ります。

【中村きみえ議員】

 第4に地域防災計画は、津波・液状化等の対策を強め、防災無線・避難場所の整備など抜本的に見直すことについてです。

 1つに、津波対策についてです。県の津波予測図は、神奈川県を大きく下回り、木更津の3.0m、千葉市中央区の2.9mを除いては、東京都の予測より低くなっています。計画では想定以上の津波が押し寄せる場合を指摘していますが、県の予測図より、高くなる認識をお持ちですか。

 2つに、津波避難ビルについて、現在、52か所指定されていますが、津波が来た場合、商業施設が集積する海浜幕張地域で、指定していません。いざという時、どう対応しますか。

 花見川を遡上する場合、避難ビル指定を、もっと進めるべきですが見解を求めます。

 3つに、防災行動力の向上として自主防災体制の強化が、述べられており、平成24年12月現在、自主防災組織は、67.4%と約3分の2に過ぎません。災害時自主防災組織と連携し、対策を図ることが強調されていますが、残りの3分の1の未加入地域に、今後どう対策を講じますか。見通しをお示しください。

 4つに、東日本大震災では、若者をはじめ、多くのボランティアに支えられ、様々な支援が行われました。ボランティアの方がスムーズに支援活動ができるような取り組みは万全ですか。

 5つに地震対策計画の中で、危険物・有害物対策について「千葉県石油コンビナート等防災計画」に基づき行うことが指針として示されました。液状化の対策は、「関係法令により要求されていない敷地部分や護岸等においても、地盤改良などの液状化対策の推進に努めるものとする」と示されていますが、実効性の担保が課題だとされており、液状化・側方流動防止の対策も取られていません。県に、事業所への踏み込んだ指導と抜本的な対策を講じるよう求めるべきではないですか。

【総務局長答弁】

 災害時要援護者の迅速な発見や安否確認に努めるとあるが、誰が誰をどのような体制で救出するのか、日頃から、情報共有することが必要ではないかについてですが、被害が大きくなればなるほど「公助」の手が遅れることが想定されるため、町内自治会や自主防災組織など身近な市民の皆様が支援者となり、安否確認や救助活動を行えるよう、日頃から情報を共有することは重要と考え、本市では、「千葉市要援護者支援計画」に基づき、平成23年度から平常時からの備えとして「災害時地域支えあい事業」を全市で取り組むよう啓発に努めております。

 県の予測図より、高くなるという認識があるかとのことですが、県の津波浸水予測図では、本市の浸水地域は、極めて少ないものとなっておりますが、万一の備えといたしまして、津波避難ビルの指定をするとともに津波ハザードマップの作成、海抜表示の設置を進めているところです。

 海浜幕張地域の住宅地周辺以外の施設の指定がされていないが、いざという時に、どう対応するかとのことですが、高層建物が多い地域であること、標高も3mから5mであること、さらに、県津波浸水予測図でも浸水地域でないことなどから、現在は、津波避難ビルの指定は行っておりません。しかしながら、海浜幕張駅周辺帰宅困難者等対策協議会に参加しているビル所有者と、帰宅困難者対策と併せて津波避難ビルの指定についても協議を進めている状況です。

 花見川を遡上してくる場合、避難ビルの指定を、もっと進めていくべきとのことですが、 県の津波浸水予測図では、花見川流域沿いの浸水は極めて少なく、住居までは浸水しないとされておりますが、県の地域防災計画において「堤防の嵩上げや構造強化等を必要に応じて実施する」と明記されておりますので、河川管理者である千葉県に対し要望を行なってまいります。さらに、市民の皆様へは、河川には絶対に近づかないことや高台への避難、地震・津波に関する正確な知識などの啓発を行なってまいります。

 自主防災組織残りの3分の1の未加入の地域では、今後どのような対策を講じていくのかについてですが、各区役所において結成できない理由や説明会開催の希望についてアンケートを実施するとともに、必要に応じて地区連協ごと又は個別の説明会を開催しております。

 自主防災組織設置に向けた支援制度などを内容とした出前講座を開催し、自主防災組織の必要性をアピールしております。今後、避難所運営委員会の設立・運営を通して、自主防災組織未加入の地域に対しても、積極的に声掛けや防災訓練への参加を呼びかけるなど、自主防災組織の結成を促進して参ります。

 次に県に対して、事業所への踏み込んだ指導と抜本的な対策を講じるように求めるべきではないかとのことですが、千葉県で策定する「石油コンビナート等防災計画」において危険物施設等の耐震対策における液状化対策として、関係法令により要求されていない敷地部分や護岸等においても地盤改良などの液状化対策を推進する旨明記しております。

 石油コンビナート等特別防災区域内の液状化対策について、区域一体の対策を推進することは重要でありますことから、今後も、石油コンビナート防災本部会議等を通じ対策が図られるよう引き続き要望して参ります。

【保健福祉局長答弁】

 ボランティアに対する取り組みについてですが、一般ボランティアは、市社会福祉協議会が、「災害ボランティアセンター」などを開設して受け入れることとなっております。このため社協では、初動対応を確認するためのセンター設置運営訓練を実施しているほか、センター運営のノウハウや活動現場でのリーダーの養成を目的に、「災害ボランティア講座」も開催しております。これらに加え、現在、従来のボランティア活動マニュアルに代え、新たにセンターの設置運営について定めるマニュアルの策定を進めており、今後も社協と連携して受け入れ体制の整備に努めてまいります。

【中村きみえ議員】

 防災対策についてです。仙台市では、津波の被害で避難所に人が詰めかけ、食料供給は、間に合わず、備蓄を大幅に増やします。被災地の教訓に学び、千葉市もそうすべきです。お答えください。

【総務局長答弁】

 仙台市では、東日本大震災の際に、一部避難所において備蓄食糧が不足したことから、それまでの想定避難者数17万9千人を、実際の震災時のピークの避難者数10万6千人に減らした一方でこれまで1日分としていた備蓄を2日分とし、段階的に整備する予定と聞いております。本市では、想定避難者19万5千人の1日分約39万食の見直しは行っておりませんが、震災時の教訓を踏まえ、避難所開設時の初動対応に必要な最低限の食料、飲料水について、区役所や消防署など15か所の拠点倉庫に加え、284か所すべての避難所に配備したところです。備蓄量については、本年1月、千葉県が「災害時の緊急物資等の備蓄に関する計画」を発表したことから、この内容を精査し、本市が整備すべき備蓄量について、見直して参ります。

【中村きみえ議員】

 災害弱者への対応や自主防災組織結成への働きかけは、膨大な業務量ですが、そのための体制はできていますか。

【総務局長答弁】

 災害弱者への対応については、防災・危機管理、保健福祉、区役所等の関係課長で構成する「災害時要援護者対策推進部会」を設置し、全庁的な体制で取り組んでおります。また、自主防災組織結成への働きかけは、防災対策課が全市的な普及啓発を、また各区のくらし安心室が町内自治会など地域への働きかけを行なうなど、本庁と区が連携して行うとともに、一時的に人員が不足する場合は、他の部署からの応援態勢を組むなど、弾力的に対応して参ります。

【中村きみえ議員】

 仙台市では10年で1割職員削減し、負担が重かったようです。被災地支援の職員が極めて厳しい勤務状況のため亡くなる事件も起こったようです。住民を守るための職員こそ、増員し万全の体制を取るべきではないですか。

【総務局長答弁】

 職員の体制についてですが、業務量に応じた適切な職員配置に努めておりますが、災害時において、市職員だけでは対処しえない場合には、他の自治体からの応援や関係機関等の協力を含め、必要な体制の確保に万全を期してまいります。

【中村きみえ議員】

 木造密集地を初め、防災対策を実施するにあたって、建物崩壊や火災から市民の命を守るため、木造住宅の耐震改修と併せて住宅リフォーム助成制度など作り改修を進めるべきではないですか。

【都市局長答弁】

 耐震改修と合わせた住宅リフォーム制度の創設についてですが、平成23年3月に発災した東日本大地震以降、木造住宅の耐震改修助成件数が増加していることから、平成25年度当初の予算では助成件数を50件から100件に増やして計上しております。また、助成内容についても、今年度から、所得制限の撤廃や補助率の見直しなどにより、制度を拡充したところであり、木造住宅の耐震改修と住宅リフォーム助成制度を併用することについては、現在のところ考えておりません。

【中村きみえ議員】

 今回の質問を通じて、防災対策が、残念ながら、防災対策課や危機管理課任せで、全市的な問題として受け止めた構えになっていないと感じます。市民の生命と財産を守るのは地方自治体の使命です。災害対策が「絵に描いた餅」とならないよう全職員が、地域防災計画に基づき、常にその問題意識を感じて、市長を先頭に全庁挙げて取り組むべきですが、お答え下さい。

【総務局長答弁】

 地域防災計画では、災害時の職員参集基準や班ごとの役割を定め、各藩の災害時の対応マニュアルについても、所管局において作成し対応することとしておりますが、4月上旬には、改訂する地域防災計画に基づき、全庁的に計画の周知を行なうとともに、課長研修等を通じて、所属長に対してさらなる意識付けを行なってまいります。

【中村きみえ議員】

 市民の命と財産を同時に守る立場を貫くよう求めます。

2.保育所について

(1)待機児解消策について

 報道によれば、熊谷市長が、再選の出馬にあたり、1期目の成果で、待機児童数を過去10年で最少の123人に減少させたと紹介されています。昨年2月9日入所不承諾は、694人でした。幼稚園などの入園も含め対応した方を除けば、残りは381人。待機児対象外の258人はカウントされず、実態は381人だと指摘してきました。2月1日現在、第1希望のみの市内の待機児は1258人にもなります。

 4月からすでに待機児がいます。新年度予算で新規開設・定員増で330人増やしましたが、1つに、これで十分だと思っていますか。

 2つに、計画の大幅修正を求めますがお答え下さい。

(2)施設の環境について

 市内の保育所は、駅ビルの中や庭なしの保育園を増やし、待機児解消をすれば、保育環境は後回しでよいのか伺います。

(3)寒川保育所について

 千葉市は平成24年10月4日、寒川保育所の建替え、民営化を発表しました。公立保育所の老朽化のため木造6カ所の建て替えが計画され、仮設保育所利用のために、予定より早めに今回の問題が浮上しました。この間、自治会長や保護者への説明会は行われているようです。現地を見ると、寒川保育所前の道路は、歩道もなく、子どもを連れて歩くのは、大変危険です。まして、定員増で0、1歳児を受け入れた場合、ベビーカーも含め、小さいお子さんを連れての行き来は、安全面で、今以上に心配されます。寒川土地区画整理事務所が、すぐそばで、駐車場として利用できるスペースはありますが、地域住民は、「そんなに定数が増えるなんて聞いていない。」「狭い中で定員を増やして、今までと同じように地域交流できるのか」などという声も伺いました。保育所の老朽化した施設は早急に改善しなければなりません。寒川保育所を単なる建て替えではなく、民営化するのは問題です。先の12月議会でももりた議員の質問に対して公立保育所が果たすセーフティーネットの役割について市は、認める立場をとりました。しかし、今回50名定員を90名に増やし、メニューや対象児の年齢拡充などを掲げ、民間での実施を迫り、問題です。

 1つに、地域住民への説明会を行い、定員の大幅増員は見直すべきですがお答えください。

 2つに、数百メートル先に、県の駐車場用地がありますが、土地の交渉をして、施設の建替えをしてはどうか伺います。

 3つに、コスト優先で民営化すべきではありません。お答えください。

【こども未来局長答弁】

 保育所についてお答えします。まず待機児童対策についてですが、今年度の新規開設・定員増で十分なのか、と、計画の大幅な修正を求めることについては、関連がありますので併せてお答えします。保育所の入所待ち児童数は、4月から3月までの1年間に出産や転入、また、潜在的な保育需要の顕在化等により増加して参りますが、施設整備による653人の定員増のほか、3月末の児童の卒園や、きめ細やかな保育所への入所あっせんなどにより、本年4月には、その相当数の入所が可能となり、入所申込数が増加してはいるものの、待機児童数の減少が見込まれるところであります。平成25年度も、引き続き「アクションプラン2010」に基づき認可保育所の整備等を行なうとともに、「子ども・子育て支援新制度」の詳細に十分留意しつつ、実施に伴う市町村事業計画策定等、準備を進める中で、今後の待機児童対策について検討して参ります。

 施設の環境について、待機児童を解消すれば、保育環境は後回しで良いのかとのことですが、待機児童対策に重点的に取り組むとともに、「保育の質を低下させることなく、維持・確保する」という本市保育の基本的な考えの下、児童の安全確保と、心身の健全な成長のため、乳児室の児童1人当たりの面積を3.3平方メートル確保するなど、国基準を超えた本市独自の基準を堅持し、良好で快適な保育環境の整備に努めております。

 寒川保育所について、まず、地域住民への説明会を行い、定員の大幅な増員は見直すべきとのことですが、これまで、自治会や保護者の方々への説明のほか、保育所の近隣住民の方々に対しまして、「寒川保育所の老朽化が著しいため、現在の場所に新しく園舎を建て替え、定員増を行なうこと」、「建て替えは民設民営の方法で行うこと」、およびそのスケジュールなどについてご説明しており、概ねご理解をいただいております。また、定員増については、周辺地域の将来にまで含めた保育需要の状況を踏まえ、とりわけ、寒川保育所で、現在受け入れていない0・1歳児を受け入れることとするなど待機児童解消のため、定員拡大を図るものであります。なお、建て替え後においても、地域の方々のご理解とご協力をいただきながら、引き続き、地域の子育て支援拠点としての機能を充実・強化させて参ります。

 県の駐車場用地に建替えをしてはどうかとのことですが、今回の建替えに際しては、児童の安全を最優先に、近隣の民間保育園が建替えのために使用している施設を活用して現在の場所に新園舎を整備するものであり、保護者にもご理解をいただいております。

 最後に、コスト優先で民営化すべきではないとのことですが、公立保育所の建替えについては、「公立保育所の施設改善に関する基本方針」に基づき、リース方式による公設公営と民設民営の、いずれかの整備手法で実施することとしており、今回の寒川保育所の民設民営の整備手法については、児童数、保育需要、立地条件、費用対効果等を総合的に勘案して、決定したものであります。

【中村きみえ議員】

 保育所、待機児解消策について、今後対策を検討するようですが、例えば、幕張本郷は、私も議員になってから何度も取り上げ、ようやく開設です。しかし、4月から待機児があります。そもそも、本郷地域や新検見川駅周辺に必要だとの指摘を市は認めず、募集しても、業者が決まらず、開設まで遅れに遅れました。必要な場所への確保は、法人任せとせず、市が責任を持って対応すべきではないですか。

【こども未来局長答弁】

 本市では、保育の実施の責務を果たすべく、これまでも、「アクションプラン2010」等に基づき、待機児童が多い地域を選定し、計画的かつ集中的に整備を進めてきており、その際には、まず、市有地の活用について検討し、あわせて、千葉県宅地建物取引業協会千葉支部にご協力をいただき、不動産情報の提供を行なうなどの取り組みを実施してきているところであります。今後とも、待機児童の状況を見極めながら、計画的に認可保育所の整備を進めて参ります。

【中村きみえ議員】

 保育所の環境について、千葉市の保育所の理念は何ですか。

【こども未来局長答弁】

 本市は、児童福祉の理念に基づき、「豊かな心と創造力を培い、未来を拓くたくましい子どもを育てる」ことを保育目標とし、日々、保育を実践しております。

【中村きみえ議員】

 保育指標は、「太陽の子を育てる」です。なぜ庭のないビルの一室に子どもを押し込めるのですか。庭付きの環境を保障すべきではないのか、理念に反していませんか。

【こども未来局長答弁】

 本市の認可保育所は、全て、乳児室や保育士配置等、国基準を上回る保育環境により、良好な保育の質を維持しております。また、点在化する保育需要等に対応するため、周辺に待機児童の多い駅などに小規模保育所を整備する際、園庭については、利用方法や安全対策に十分配慮し、公園等で代用することにより、「遊び」の場を確保しております。今後とも、本市の保育目標である、「豊かな心と創造力を培い、未来を拓くたくましい子どもを育てる」べく、保育士の専門的な指導・援助により、保育の質を確保して参ります。