あぐい武夫議員の一般質問と答弁(要旨)

2013.3.13

写真 日本共産党千葉市議団のあぐい武夫です。一般質問を行います。

1.家庭ごみの有料化について

 家庭ごみの手数料徴収、いわゆる家庭ごみ有料化について質問します。

 ごみ問題の解決の基本は、ごみ問題が地球環境問題であるとの認識に立ち、市民、事業者、行政が連携・協力して、ごみの発生抑制、再使用、再生利用、いわゆる3Rを推進していくことです。ところが、家庭ごみ有料化は、この基本方向と逆行するものです。この間、市民のみなさんからは、様々な疑問や批判の声が寄せられています。

 「なぜ、千葉市は分別が甘いのか」「プラスチックの容器と袋が圧倒的に多い。分別できるといい」「ごみ袋が指定になったときに、すでに有料と認識した」「行政が、ごみ処理を無料でやるのは当たり前だ」「今まで、減らすために、がんばってきた人にしわ寄せしないでほしい」などです。今回の代表質疑や委員会の議論でも、家庭ごみ有料化は、納得できるものではありませんでした。市民の率直な声を出発点に、あらためて質問致します。はじめに、「家庭ごみ有料化の問題点について」質問します。

 まず、家庭ごみの有料化によって、ごみが削減される理由についてです。

 わが党の佐々木議員の代表質疑では、ごみ削減の理由を述べず、他市の事例に基づく数値を示しただけでした。ごみ有料化でごみが減る理由は、市民に経済的痛みを押し付ければ、ごみの排出量を抑制するだろうというものです。こうしたやり方は、住民が主人公の自治体にとって、問題だとは思わないのか。お答えください。

【環境局長答弁】

 市は、平成19年度から、焼却ごみ量を2つの清掃工場で処理できる25万4千トンまで削減し、老朽化した清掃工場の建設費用や維持管理費用を節減することなどを目標に、これまで徹底した分別と再資源化に向けた各種施策を展開することとして参りました。その結果、22年度までは順調に削減されて参りましたが、23年度に入り削減量が急速に落ち込み、今年度は4月から1月末現在19トンの増加に転じるなど、これまでの啓発活動だけでは大幅な削減が見込めない状況となっております。そのため、新たな施策として排出量に応じた、ごみ処理費用負担の公平性の確保、ごみの減量・再資源化の推進に効果的な施策である。家庭ごみ手数料徴収制度を実施したいと考えております。

【あぐい武夫議員】

 今の答弁では、問題という認識がまったくないようです。これは市政運営の基本にかかわることです。自治体の目的は「住民福祉の増進」です。その自治体が、市民に痛みを押し付けて、市の目標を達成しようというのは大問題です。こうした発想の根底には、市民のくらしに関心を持たない問題があると思います。今、給料や年金が減らされる一方で、各種の公共料金などが値上げされ、市民は生活防衛のための努力をしています。いくつか紹介すると、「朝、スーパーのチラシを全部確認し、一番安いスーパーに行っている」「昼間は暖房費がかかるので、公共施設で過ごす」などです。

 ある年金暮らしの女性は、「今でも、生活がやっとなのに、ごみ袋の値上げは困る」と訴えていました。1リットル0.8円の有料化によって、45リットル、50枚入りごみ袋が、ホームセンターなど安い所でも、約300円から1,800円にもなります。生活防衛のために、努力している人にとっては、痛い出費です。家庭ごみ有料化によって、経済的痛みをこうむる市民の実態について、市は認識しているのでしょうか。

【環境局長答弁】

 家庭ごみの手数料徴収は、減量に努力していただいた人ほど負担が少なくて済むようになり、不公平が是正されることや、ごみの発生抑制、再使用、再生利用の推進に向けた市民の意識向上に有効な施策であることから、ごみ減量効果が見込めるとともに、市民負担が少ない手数料額で実施したいと考えております。

【あぐい武夫議員】

 「負担が少ない手数料額」だといいますが、市民の実態を見ていません。やっとくらしている方はたくさんいます。今後は消費税増税の問題もあります。こういう方々の生活を本当に考えれば、有料化はできないはずです。市民のくらしの実態を真剣につかむべきです。

 その、くらしが厳しい市民から引き続き「税金の二重取りだ」との批判が出ています。廃棄物処理法では、一般廃棄物の処理は、自治体の基本的仕事です。市民は誰でもごみを出します。だからこそ税金で、ごみ処理をしています。それにもかかわらず、さらに手数料が徴収されれば、「税金の二重取り」と思うのは当然です。家庭ごみ有料化の法的根拠は、地方自治法第227条 の「普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものにつき、手数料を徴収することができる」との条文にあります。つまり、市のごみ処理は、「特定の者のためにするもの」だから、手数料を徴収してもいいということです。しかし、ごみを出すのはすべての市民ですから、ごみ処理は「特定の者のためにするもの」と理解できません。だから市民の中に、「手数料を取るのは、法律違反では」との意見があります。環境省や総務省は「法に違反しない」といいますが、市民から見れば、手数料徴収は、違法の疑いがあり、しかも税金の二重取りであり、納得できないことです。この市民の率直な意見、批判に、どう答えるのでしょうか。

【環境局長答弁】

 平成17年5月、環境省が「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的推進を図るための基本的な方針」の中で、市町村は一般廃棄物処理の有料化を推進すべきとしたことや、同年6月「市町村が条例によって手数料を徴収することは、法の規定に違反しない」との環境省・総務省からの統一見解が示されたことから、税金の二重取りに当るとは考えておりません。

【あぐい武夫議員】

 国がいいからと言って、市民の声を切り捨てるべきではありません。どこを向いて市政運営をしているのかが問われます。この質問は、昨年の6月議会でもしましたが、同じ答弁でした。結局、納得の行く説明はできないということです。

 次に、有料化導入にあたっての進め方についてです。

 昨年6月1日付けの「市政だより」は、「家庭ごみ有料化」を一番多くの市民にアピールした宣伝物です。その中の市長メッセージでは、「『家庭ごみの手数料徴収』がコスト的にも、効果的にも最も良い」とアピールしています。市民は当然「市長先頭に、家庭ごみの有料化をめざしている」と受け止めます。一方で、あと11,000トンの焼却ごみ削減のために、「どうしたらいいのか、知恵と力を貸してほしい」とのアピールはありませんでした。市民から「有料化ありきでは」との批判がでる出発点には、この「市政だより」があったのではないのか。お答えください。

【環境局長答弁】

 昨年6月1日号のちば市政だよりの記事は、昨年3月に策定した新たな一般廃棄物処理基本計画を広く市民の皆様にお知らせするとともに、市のごみ処理の現状と計画の個人事業として位置づけている、家庭ごみ手数料徴収の一般的な制度の概要について取り上げたものです。

【あぐい武夫議員】

 昨年の6月議会でも指摘しましたが、「市政だより」の大見出しは、「基本計画を改定しました」です。しかし、中身は「家庭ごみ有料化を実施したい」とのアピールでした。「有料化ありき」の紙面と言わざるを得ません。「有料化ありき」ではなく、建設的な議論を行うべきです。家庭ごみ有料化は、全世帯に経済的負担を求めるものです。その賛否は、多くの市民の声を聞いて、時間もかけ慎重に審議すべきです。ところがこの間、行われたことは、問題ありと指摘した「市政だより」の配布、市長の報告が中心となった各区2回だけの市長対話会などです。一部の自治会や管理組合で説明会が開かれましたが、広く行われたわけではありません。しかも、熊谷市長は、小中台公民館での市長対話会で、「決まった段階で、津々浦々で説明会を開く」と発言しています。わが党の代表質疑でも、「実施に向けては、十分な周知・準備期間を設けて、きめ細やかに取り組む」と答弁しています。有料化を決めてから、いくら時間をかけ丁寧な説明をしても、市民は有料化を受け入れるだけです。

 決める前に時間をかけて、全市民的に議論し、多様な意見を聴き、そのうえで、有料化するのか、それとも他の施策を実施するのか、慎重に審議すべきです。見解を求めます。

【環境局長答弁】

 手数料徴収制度の検討にあたり、これまで町内自治会連絡協議会ごみ問題検討委員会と約1年にわたる意見交換を行うとともに、制度に対する意見を頂いております。また、制度設計の段階から幅広く市民意見を伺うため、昨年6月から8月にかけ市内の12か所の公民館での市長対話会、8月から12月にかけての環境局による町内自治会やマンション管理組合などを対象に意見交換会を132回実施し、延べ3,000名以上の市民の皆様にご参加いただき、率直な意見交換が行えたものと考えております。

【あぐい武夫議員】

 市民に広く議論しているような答弁ですが、「有料化するのか、その他の施策をするのか」。そういうテーマで全市民的な議論はやられていません。しかも、意見交換会を132回実施したといいますが、町内自治会だけでも1,055団体あり、マンション管理組合は822あります。幅広い意見交換とはいえません。結局、「有料化ありき」の進め方です。やめるべきです。

 次に、冒頭で紹介したように「がんばってきた人にしわ寄せしないでほしい」との声があるように、家庭ごみの有料化は、市民との信頼関係を壊すという大問題があります。これまで、ごみが削減された根底には、市と市民との信頼関係がありました。

 千葉市は2003年8月、ごみ減量のための「ちばルール」を策定し、3Rの推進を呼びかけ、その担い手として、市民、事業者、千葉市を上げ、「相互の協力と連携の強化を図っていく」と強調しています。この協力・連携は、大きな成果を上げてきました。歴史を振り返れば、1992年10月の5分別収集とダストボックスの廃止は、3者の粘り強い議論と努力によって実現しました。さらに2006年10月に、雑紙などの分別収集が実施され、2006年度と2011年度を比較すると65,500トンも焼却ごみを減らしました。この成果も3者が協力・連携したからです。

 これまでの3者の協力・連携を大いに評価し、今後も、この流れを強化することこそ、ごみ削減を推進する力になると確信しますが、見解を求めます。

【環境局長答弁】

 焼却ごみの削減は、市の取り組みだけで実現できるものではなく、市民・事業者・市が一体となった取り組みにより初めて実現できるものであると考えております。今後も、各種施策を展開することにより、市民・事業者の皆様がごみの減量に対する関心をもち、一丸となって焼却ごみ削減の目標達成に向かっていきたいと考えております。

【あぐい武夫議員】

 この点では、やっと見解が一致しました。この流れこそ、すすめるべきです。ところが2009年10月、3者の協力・連携に溝をつくる事態が起きました。市民との十分な議論も納得もないままに、わずか2か月ほどで、可燃ごみの収集回数を週3回から2回にしたことです。今回の家庭ごみ有料化も、疑問や批判が出ています。このまま有料化を実施すれば、市民との信頼関係をさらに壊すのではないのか。お答えください。

【環境局長答弁】

 平成21年10月の収集回数の変更の際には、古紙・布類の収集回収の増などにより、市民の皆様のご理解とご協力をいただき、可燃ごみの量を削減することができたところです。家庭ごみ手数料徴収制度の導入にあたり、説明会など開催し、市民の皆様のご理解をいただきながら進めて参りたいと考えております。

【あぐい武夫議員】

 収集回数の削減に、多くの市民から異論があったのは事実です。2009年8月22日の廃棄物適正化推進員の説明会では、「推進員の委嘱状を8月にもらい、何も話がなくて10月1日に実施するというのはひどい」「今回の提案は一方的だ。いきなり決定で10月からはおかしい」などの意見がありました。こうしたことを反省しないで、有料化を導入すれば、市民との信頼関係はますます壊れることになります。真剣に反省すべきです。

 次に、家庭ごみ有料化によって、「ごみの排出量に応じた負担の公平性が確保される」という主張にも問題があります。ごみ削減に努力している人と、努力していない人がいることで、「排出量に応じた負担の公平性」が論議されるかもしれません。しかし、ごみ処理は、行政の基本的仕事です。ごみが一気に大量にでるなど特別な場合を除いて、納税者である市民に対して「排出量に応じた負担」を求めるべきではありません。お答えください。

【環境局長答弁】

 家庭ごみ手数料徴収制度は、排出量に応じたごみ処理費用負担の公平性の確保、ごみの減量・再資源化の推進に効果的な施策であると考えております。なお、従来から引っ越しや大掃除などに伴う一時多量ごみや粗大ごみは、受益者負担の観点から手数料徴収の対象としております。

【あぐい武夫議員】

 答弁になっていません。ごみ処理は、行政の基本的仕事と位置づけ、無料で行うべきです。「排出量に応じた負担」を求めるべきではありません。ところが、残念ながら千葉市ではすでに「排出量に応じた負担」になっています。冒頭で、「ごみ袋が指定になったときに、すでに有料と認識した」との声を紹介したように、市民にとっては、有料化になっています。そのために、ごみを削減しない人は、削減した人よりも、ごみ袋代を多く負担しています。

 市長との対話会の資料には「現在は、削減した人も削減していない人も同じ負担となっている」と書かれています。これは事実ではありません。こうした書き方は、ごみ有料化すれば、「不公平が是正される」との誤った認識を市民に与えるものとなります。資料の内容を訂正することを求めます。お答えください。

【環境局長答弁】

 現在の指定袋は、市が認定した業者が製造したもので、製造・流通・販売に係る経費などから商品としての価格が決められており、ごみ処理にかかる費用は含まれておらず、市税により賄われていることから、市長対話会の資料では「同じ負担」と表記させていただきました。

【あぐい武夫議員】

 訂正しないのは大問題です。市民は、ごみの排出量に応じて、指定袋を買っています。全員が同じ負担ではありません。事実でない資料を使って、市民を誘導することは絶対に許されません。市長対話会での説明は無効とすべきです。

 次に、今回の家庭ごみ有料化は、「不公平を是正する」ものではなく、ごみ削減に努力している人にも、一律に負担を増やすものです。ごみ削減の努力をしてこなかった人は、努力すれば、負担も減りますが、努力してきた人は、もうこれ以上削減できず、負担だけがのしかかります。「不公平を是正する」といいながら、努力している人に負担を強いることは、矛盾したやり方だと思わないのか。お答えください。

【環境局長答弁】

 ごみ排出量に応じて、指定袋一枚目から手数料を負担する、排出量単純比例型による手数料徴収は、ごみ減量に努力している人ほど使用する指定袋の容量が小さくなるなど、負担する金額が少なくなる仕組みであり、ごみ処理費用負担の公平性が確保されるものと考えております。

【あぐい武夫議員】

 これも、まったく答弁にはなっていません。削減に頑張っている人ほど、負担だけがのしかかるという事実を認めるべきです。本来、感謝し、評価すべき人に、負担を強いることは、矛盾したやり方そのものです。ごみ減量に努力している人と、努力していない人がいることで、不公平を感じるとすれば、この問題は、一律に負担を求めるごみ有料化では解決できません。市が取り組むべきことは、努力している人を評価し、その経験を大いに普及するとともに、努力していない人やルールを守らない人に対しては、啓発と指導を粘り強く行うことです。お答えください。

【環境局長答弁】

 市民による減量・資源化の取り組み事例を広報紙「ゴーゴーへらそうくん」に掲載するとともに、ごみの分別徹底に取り組む団体・個人を表彰するなど、普及啓発に努めております。一方、ルールを守らない人に対しては、平成24年度12月末日現在、204か所のごみステーションにおいて、4,287件の不適切排出ごみを開封調査し、143人に指導を行ったほか、ルール違反の多いごみステーションにおいて、町内自治会や廃棄物適正化推進員などと協力して、「ごみ出しマナー向上キャンペーン」を実施いたしました。

【あぐい武夫議員】

 ごみ削減に努力している市民も巻き込んで、そうしたキャンペーンをさらに行えば、矛盾だらけの有料化はまったく必要ありません。

 次に、家庭ごみ有料化の広がりについて質問します。

 国は2005年5月、廃棄物処理法に基づき策定されている廃棄物の減量や適正処理に関する「基本方針」を改正し、家庭ごみ有料化を推進することを方針としました。その後、環境省は2007年6月、「一般廃棄物処理有料化の手引き」を発行しました。こうした経過で、家庭ごみ有料化の自治体が広がってはいます。しかし、市民の反対で断念した都市もあります。千葉市も2004年に、啓発をもっと行うとして、取りやめた経緯があります。

 政令市でも有料化を検討したところは多くありますが、現在実施しているのは20市中、8市で4割にとどまっています。国が有料化を推進しているのに、政令市に簡単に広がらないのは、なぜなのでしょうか。お答えください。

【環境局長答弁】

 各自治体のごみ減量・リサイクルの取り組みについては、それぞれの地域のごみ処理の課題やごみ量の推移などから、有料化の実施について検討されていくべきものと考えております。

【あぐい武夫議員】

 家庭ごみ有料化が広がらない一番の理由は、市民に経済的痛みを押し付けるからです。ある意味、体罰のようなやり方です。そのために、ごみ削減の意欲を弱め、ゆがんだ意識をつくり、不適正排出や不法投棄なども起こります。そもそも、ごみ有料化だけで、ごみが減る確実な根拠はありません。すでに市民から、有料化になったら「袋に足でギュウギュウ押し込む」などの声が出ています。また、お金に苦労しない人にとっては、ごみ削減に意識がゆきません。また、慣れっこになり、リバウンドも起こります。一方、無料で千葉市よりもごみを削減している政令市があります。千葉市の一人当たりの焼却処理量は759gですが、広島市は651g、横浜市は671g、名古屋市は680gです。こうしたごみ無料の都市に学ぶべきです。これまでの答弁で明らかなように、家庭ごみ有料化は、市民が納得できない問題や矛盾ばかりです。家庭ごみ有料化を断念して、市民や事業者とともに、ごみ削減の施策を考える立場に立つことを求めます。お答えください。

【環境局答弁】

 すでに実施している他自治体の事例によると、家庭ごみ手数料徴収制度の実施により、可燃ごみ量が削減されていることから、ごみ減量に有効な施策であると考えております。また、不適正排出や不法投棄については、パトロールの実施などにより対策を充分に講じながら進めて参ります。

【あぐい武夫議員】

 同じ答弁を繰り返していますが、「有料化ありき」の立場はまったく変わらないようです。市民に説明責任を果たせない家庭ごみ有料化は断念すべきです。有料化しなくても、ごみを削減する展望は十分にあります。

 次に、「千葉市、市民、事業者の連携によるごみ削減の展望について」質問します。

 まず、先ほども強調したように、ごみ削減をすすめるうえで、市民と事業者と千葉市が協力・連携することが不可欠です。ごみが生み出され、排出される現場は、家庭であり、事業所です。ここで、ごみを抑制することが必要です。市の家庭ごみ有料化の提案では、実施時期を来年2月1日としています。そこで、家庭ごみ有料化の決定を急ぐのではなく、「ごみ減量のためには、何が必要か」とのテーマで、市民と事業者と千葉市が一体になって、議論を巻き起こすことを提案します。お答えください。

【環境局答弁】

 ごみ減量のための「ちばルール」に基づき、百貨店・大手スーパーを中心にレジ袋の削減、簡易包装の推進、白色トレイの店頭回収などの取り組みにより、ごみ削減の効果を上げております。現在、ちばルール協定店を地域と密着した商店街や小売店舗等にも広げ、地域特性に応じたごみの減量や分別を推進していくため、さらなる拡大を図っているところであります。

【あぐい武夫議員】

 「ちばルール」に基づいて、3者が一体となって成果を上げているということであれば、その方向をさらにすすめていくべきではないでしょうか。家庭ごみ有料化だけに、とらわれるのは、科学的とはいえません。昨年の第3回定例会で、わが党の野本議員は、科学的で確実なごみ削減の施策を提案しました。それは、プラスチック製容器包装の分別収集で9,500トン削減、事業系生ごみの再資源化で2,000トン削減、事業系紙ごみの再資源化で1,300トン削減、この目標を2016年度までに達成すれば、合計12,800トン削減でき、千葉市の目標である焼却処理量254,000トンを達成できます。

 まず、事業系ごみの削減について、質問します。

 廃棄物処理法と同法に基づく市条例は、事業者に対して「廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」と明記しています。千葉市は、この事業者と、「ちばルール」に基づき、協力・連携しています。その施策の一環として、千葉市は「ちばルール」行動協定書を小売業者と結び、ごみ減量を推進しています。そこで、伺いますが、千葉市と協定書を結んだ店舗は、市全体で何店舗あり、昨年度と今年度は、何店舗増えたのでしょうか。

【環境局答弁】

 平成25年3月現在、百貨店・大手スーパー等55事業社143店舗と協定を締結しており、平成23年度は6事業者13店舗、平成24年度は5事業者26店舗と新規に締結しました。さらに、先週3月8日には、市内50商店街、1,639店舗が加盟している千葉市商店街連合会とちばルール加入促進協定を締結したところであります。

【あぐい武夫議員】

 去年と今年だけでも39店舗、増えています。この条件を生かすべきです。

 昨年の野本議員の質問に対して、市長は、2011年度の数値として、事業系生ごみは前年度比約900トン再資源化され、事業系紙ごみは前年度比約500トン再資源化されたと答弁しました。そのうえで、「事業系生ごみ及び紙ごみの再資源化の余地が残されていることから、事業所への立入調査時の排出指導などで、さらなる減量・再資源化を推進し、早期の目標達成に努める」と述べています。事業系ごみの削減目標は2021年度までに、生ごみが2,000トン、紙ごみが1,300トンです。市長が「再資源化の余地が残されており、早期の目標達成に努めたい」と答弁しているのであれば、目標達成を2021年度まで伸ばすのでなく、前倒しして2016年度までに達成できるように、事業者と協力して挑戦してはいかがでしょうか。お答えください。

【環境局答弁】

 事業系ごみの焼却処理量は、平成23年度約75,500トンであり、千葉市一般廃棄物処理基本計画における平成28年度の目標74,000トンまで、残り1,500トンです。引き続き事業者への立ち入り調査時に、雑紙専用の収集ボックスをその場で設置するなど、紙ごみ分別の徹底を働きかけるほか、生ごみ及び紙ごみの分別・再資源化の取り組み事例についての情報提供や効果的な排出指導などを積極的に展開し、事業系ごみ削減目標の早期達成に努めて参ります。

【あぐい武夫議員】

 ちばルールの協定書を締結した店舗が増えているわけですから、前倒しして、H33年度、2021年度の目標をH28年度、2016年度までに達成するよう挑戦すべきです。

 次に、プラスチック製容器包装の分別収集についてです。

 千葉市は、プラスチック製容器包装の分別収集が難しい理由として、「約8億2千万円かかる」「容器包装リサイクル法の見直しが予定されている」ということを一貫して主張しています。プラスチック製容器包装の分別収集をまったく実施していないのは、20の政令市の中で、千葉市、静岡市、岡山市、福岡市の4市だけです。政令市の8割は、何らかの形で実施しています。千葉市は、他市と比べ遅れているとは思わないのか。お答えください。

【環境局答弁】

 プラスチック製容器包装の分別収集は、収集運搬及び選別保管などに要する多額なコストを自治体が負担する必要があること、また容器包装リサイクル法の改正などが控えていることから、すぐに実施することは難しいと考えております。

【あぐい武夫議員】

 また、困難な理由をのべていますが、遅れているのは事実です。政令市で8割が実施しているわけですから、あれこれ理由を付けて、先延ばしすべきではありません。また、この分野で遅れているために、市民の意識にも影響が出ています。各家庭には「プラスチック製容器包装識別マーク」が付いた商品がたくさんあります。これを分別収集すれば、各家庭の焼却ごみは確実に減り、千葉市全体では9,500トン減ります。我が家でも試しに、プラスチックを分別しました。やってみて驚いたことは、識別マークの付いた商品の多さと、写真に示したように可燃ごみが体積で半減したことです。あらためて、ごみ問題への意識も高まりました。市民からは、「分別できるマークがついているのに、分別できないのはおかしい」との声も上がっています。これを放置することは、市民のごみ削減に向けた意欲を奪うことになるのではないのか。お答えください。

【環境局答弁】

 分別マークは、多様な製品に表示されていますが、汚れや素材の違いから収集した容器包装の約50%しか資源化されず、残りは焼却処分されるなど、すべてが資源化できておりません。また、国では容器包装リサイクル法の改正により、容器包装以外の製品プラスチックも対象とすることを検討していることから、国の動向を注視したいと考えております。

【あぐい武夫議員】

 今の答弁は、どうせ半分は燃やすのだから、プラスチックを分別しても意味がないような言い方です。そういう認識こそ、ごみ削減の意欲を奪っています。反省すべきです。今こそ、「プラスチック分別は難しい」との枠から外に踏み出すべきです。まず、予算の問題です。ごみ処理は自治体の基本的仕事です。同時に、市民のごみ削減の意欲を引き出し、さらなるごみ削減の契機とするためにも、プラスチック製容器包装の分別収集のための約8億2千万円の予算は、確保すべきです。お答えください。

【環境局答弁】

プラスチック製容器包装の分別収集は、収集運搬及び選別保管などに要する多額なコストを自治体が負担する必要があること、また容器包装リサイクル法の改正があることから、予算については考えておりません。

【あぐい武夫議員】

 市の基本的な仕事であるにもかかわらず、約8億2千万円は出せないが、家庭ごみ有料化で、市民には約6億7千万円も負担させる予定です。まったく道理がありません。予算を確保すべきです。また、法律の見直しも理由にしています。容器包装リサイクル法が見直しされるのは、数年先ではなく、来年度です。家庭ごみ有料化を来年2月から実施するのではなく、多くの市民が望んでいるプラスチック製容器包装の分別収集こそ、今から準備すべきです。そのためにも、法律が見直されることを市民に知らせつつ、結果が分かり次第、市民も巻き込んで千葉市としての制度設計をつくり、早期に実施に移すべきです。お答えください。

【環境局答弁】

容器包装リサイクル法の検討状況については、市民の皆様に分かりやすく、ホームページなどで広報していきたいと考えております。

【あぐい武夫議員】

 単なる検討状況を知らせるだけでは、市民は納得しません。待っていた法律の改正ですから、プラスチック分別を市民とともに、どう取り組むのかも含めて方向性も示すべきです。これでは、本気度がまったく感じられません。費用対効果を理由に、いつまでもやらないのではないかと疑われます。本気で取り組むことを求めます。

 最後に、ごみ削減を根本的にすすめるためには、法律で「拡大生産者責任」を位置づけ、事業者に実施させることが必要です。拡大生産者責任とは、製品が廃棄された後の処理・リサイクルの段階まで、費用負担を含め、生産者の責任を拡大することです。ドイツなどの環境先進国では、法律に位置づけられ、実践されています。日本では、中途半端であるために、廃棄物の処理の多くを自治体が担っています。この状況を変えるためにも、明確な「拡大生産者責任」の導入が求められています。ところが、産業界の反対も強く、本格的な法制化になっていないのが現状です。こうした状況を踏まえ、千葉市として、全国の自治体と連携し、国に「拡大生産者責任」の法制化を強く求めるべきです。お答えください。

【環境局答弁】

 拡大生産者責任については、9都県市首脳会議や全国都市清掃協議会などを通じて、容器包装を分別しやすいよう製造事業者などに設計段階から義務付けることなど、製造・販売段階でのごみ減量の取組について明確にするよう、国に対し法制化を求めております。

【あぐい武夫議員】

 「求めている」とのことですが、もっと強力にすすめるべきです。現在、生産者がやるべきごみ処理の一部を自治体が担わされ、その費用の一部を市民が出しています。経済界の抵抗もあるわけですから、各団体とも連携して取り組みを強めることを求めておきます。

 今回の質問は、市民の率直な声から出発して行いましたが、今回も納得できる答弁ではありませんでした。家庭ごみ有料化が問題であることがより明確になりました。・自治体が住民に経済的痛みを押し付けて、市の目標を達成しようとする問題、・税金を納めている市民から、さらに手数料を徴収する税金の二重取りの問題、・ごみ削減を頑張っている人ほど、痛みがのしかかる問題、・有料化でごみ削減の意識がゆがむ問題、・「有料化ありき」による議論の問題などです。・有料化でごみが減る科学的根拠もありません。

 同時に、有料化しなくても、千葉市はごみを削減していける方向があることも明らかになりました。・プラスチック製容器包装の分別は可能なこと、・事業者も「ちばルール」に基づき取り組んでいること、・広島市、横浜市、名古屋市など、無料で千葉市より焼却ごみを減らしていること、・千葉市のごみ減量の歴史を見ても、実績があること。

 こうしたことを踏まえれば、有料化しなくても、市民、事業者、市が協力・連携すれば、立派にごみを削減していくことができます。

 家庭ごみ有料化は撤回し、3者が協力・連携して、3Rを進めていくことを強くもとめて、一般質問を終わります。