党市議団提出の予算組替案

 「議案第1号平成24年度千葉市一般会計補正予算(第5号)」、「議案第5号平成24年度千葉市市街地再開発事業特別会計補正予算(第2号)」、「議案第8号平成25年度千葉市一般会計予算」、「議案第9号平成25年度千葉市国民健康保険事業特別会計予算」、「議案第10号平成25年度千葉市介護保険事業特別会計予算」、「議案第11号平成25年度千葉市後期高齢者医療事業特別会計予算」、「議案第18号平成25年度千葉市市街地再開発事業特別会計予算」、「議案第22号平成25年度千葉市公債管理特別会計予算」、「議案第23号平成25年度千葉市病院事業会計予算」、「議案第25号平成25年度千葉市水道事業会計予算」について、市長は、下記により速やかに組み替えを行い、再提出することを要求する。

1 組み替えを求める理由

 第一に、自民党・安倍内閣が進める「金融緩和」、「財政出動」、「成長戦略」では、国民の所得が高まる保証はなく、日本経済が陥っているデフレ不況から抜け出すことはできない。それどころか、歴代自民党政権がつくりだした財政破綻の原因である、高速道路や大型港湾・ダム建設など大型公共事業を拡大し、軍事費まで増額しながら、国民生活にかかわる消費税増税や社会保障改悪の推進では、日本の経済と財政は重大な事態となる。

 第二に、大震災からの復興、原発「再稼働」、「TPP」参加、消費税増税、年金・医療・生活保護などの改定問題が重大な局面を迎えているとき、地方自治体は国の政治の防波堤となって、安全・安心して暮らせる環境づくり、市民負担の軽減、地域経済活性化へ地元業者の仕事と雇用を増やす施策に力を注ぐことが求められている。

 しかし、熊谷市長が提案した新年度予算は、4年間連続して財政健全化を最優先し、徹底した事務事業の見直しと公共料金値上げを実施する一方で、大型公共事業は続行している。これでは市民生活と地域経済はますます落ち込んでしまうばかりである。

 第三に、人口減少社会において、縮小型の都市計画を進め、少子高齢化のまちづくりを進める。

 よって、日本共産党千葉市議会議員団は、深刻な財政危機のもとでも、市民の暮らし・福祉を最優先する予算に転換することを求め、次の組み替えの基本方針及び内容により予算の再提出を要求する。

2 組み替えの基本方針

(1)「住民の福祉の増進を図る」ことを基本とする地方自治法の本旨に沿って、市民生活を向上させる。財政危機のもとであるが、福祉サービスを充実させる。熊谷市政4年間を検証して、過去に切り下げた市民サービスのうち一部を復活させる。

(2)新年度予算は、税収の落ち込み、地方交付税減額など、一般会計で前年度比1.7%減の厳しい予算となっている。国庫補助対象事業で地方負担額の70%から90%が交付される「地域の元気臨時交付金」を有効に活用し、市民福祉を向上させる。また、大型開発5事業に投資する合計約49億円を大胆に見直し、縮小するなどで市民の願いを予算化する。

(3)生活保護費を全額国負担にするよう強力に働きかける。

(4)国道直轄事業負担金及び県事業負担金の早期解消を図る。本市が不公平な扱いを受けている県単独補助金が本市に公平に支出されるまでの間、県事業負担金の支出を中止する。

(5)予算の重点を市民生活の安定のため、次の項目に置く。

 ア 福祉の維持向上

 イ 防災・減災・予防を重点に公助中心の対策として、災害時要援護者支援条例制定、安全安心のまちづくり

 ウ 行き届いた教育

 エ 地域密着・循環型公共事業の促進、雇用の増大、地域経済振興条例制定

 オ 情報公開・説明責任・市民参画を徹底

3 組み替えの内容

(1)急がなくてよい事業などへの歳出を削減するとともに、自主財源の確保を図る。

 ア 大型開発公共事業を見直して財源を確保する。

  (ア)千葉駅西口地区市街地再開発 (28億9,159万円)

  (イ)千葉港黒砂台線整備 (5,866万円)

  (ウ)蘇我特定地区整備 (6億7,400万円)

  (エ)新港横戸町線整備 (4億2,820万円)

  (オ)水道事業 

      霞ヶ浦開発事業負担金 (3億5,402万円)

      房総導水路建設事業負担金 (5億4,942万円)

 イ 国や県からの事業負担を見直し、財源を確保する。

  (ア)国道直轄事業負担金 (9億円)

  (イ)県事業負担金

      幕張メッセ建設事業負担金 (2億2,000万円)

      千葉港整備事業負担金 (3億3,394万円)

  (ウ)本市が不公平な扱いを受けている県単独補助金を速やかに支給させる。 (14億8,634万円)

 ウ 中止か凍結する事業

  (ア)国民保護協議会開催 (2万円)

  (イ)住民基本台帳ネットワークシステム維持管理 (7,985万円)

  (ウ)経済交流訪問経費  (53万円)

 エ 地方交付税、地方債を活用する。

 オ 自主財源を確保する。

  (ア)資本金10億円以上の法人に、市民税均等割制限税率を適用する。 (2億8,000万円)

  (イ)東日本高速道路株式会社、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に対する固定資産税又は都市計画税の応分の負担を求める。

 カ 基金からの繰入を15億円増やす。

    ただし、アからオまでの財源が確保された場合は繰入額を減額する。

以上、総額約97億円中、補助金等を差し引いた約54億円を以下の施策に組み替える。

(2)市民の暮らし・福祉を応援するとともに、地域経済活性化と雇用機会を増やす。

 ア 平成25年度見直し事業8事業中2事業を現行どおり継続する。

  (ア)高齢者・障害者世帯住替家賃助成

  (イ)「いきいき子育て」発行事業

 イ 平成22年度・23年度・24年度で見直した92事業中26事業を復活させる。

  (ア)高齢者予防接種(インフルエンザ)

  (イ)歯周疾患検診

  (ウ)グループホーム等世話人代替費補助

  (エ)民間社会福祉施設職員設置補助

  (オ)福祉タクシー

  (カ)音楽鑑賞

  (キ)難病疾患見舞金支給

  (ク)白内障補助眼鏡等費用助成

  (ケ)シルバー健康入浴

  (コ)はり・きゅう・マッサージ施設利用助成

  (サ)がん検診(精密検査)

  (シ)看護師等修学資金貸与

  (ス)ひとり親家庭等高校就学扶助

  (セ)母子家庭等児童入学及び就職祝金支給

  (ソ)高齢者住宅改修費支援サービス

  (タ)障害者住宅改造費助成

  (チ)敬老会等経費の一部助成 70歳以上を対象にする

  (ツ)老人つどいの家運営

  (テ)老人福祉バス運営

  (ト)古紙・布類の資源化(資源回収促進奨励補助金)

  (ナ)千葉市民産業まつり

  (ニ)民間保育園協議会補助金

  (ヌ)私立高等学校等教育設備整備補助

  (ネ)被保護児童生徒修学旅行支度費支給

  (ノ)東京フィル提携事業

  (ハ)舞台芸術鑑賞事業補助金

 ウ 公共料金改定・新設の中止

  (ア)一般廃棄物処理手数料(家庭ごみ手数料)有料化の中止

  (イ)国民健康保険料(介護納付金分)の値上げ中止

  (ウ)産科診療料金(分べん料)の引き上げ中止

 エ 福祉の維持向上

  (ア)敬老乗車券の復活

  (イ)国民健康保険料 一世帯10,000円の引き下げ

  (ウ)子ども医療費助成における保護者負担を廃止するとともに、通院医療費助成の対象については、当面小学6年生まで、さらには中学3年生までを目指して準備

  (エ)高齢者医療費助成は75歳以上無料化を目指して準備

 オ 防災・減災対策の充実、放射能対策の強化

  (ア)防災無線を充実し、戸別受信機を設置する。

  (イ)液状化対策を強化し、個人補償を行う。

  (ウ)津波への備えを強化する。

  (エ)学校・屋内運動場の耐震化を急ぐ。

  (オ)一般住宅・マンションへの耐震診断・改修事業を充実する。

  (カ)家具転倒防止金具の取り付けを全世帯の半数を目標に取り組む。

  (キ)放射線量測定値を毎時0.23マイクロシーベルトに定めて対策を実施する。子供の生活の高さで放射線量測定を実施し、各区役所に食品の測定器を設置する。

 カ 地域密着・循環型公共事業を促進し、雇用の増大

  (ア)住宅リフォーム助成制度の創設

  (イ)特別養護老人ホームの増設 

  (ウ)学校校舎、屋内運動場耐震工事の前倒し

  (エ)子どもルームの増設

  (オ)保育所を増設し、老朽化した木造保育所の建て替えをリース方式で推進

  (カ)1,000人の雇用の創出に向けた取り組み

 キ 安全安心のまちづくり、行き届いた教育

  (ア)生活道路の整備

  (イ)危険な交差点の改良

  (ウ)農産物の価格保障充実、後継者対策の重視

  (エ)少人数学級の推進

  (オ)給付型奨学金制度の創設

  (カ)就学援助制度を改善して利用の拡大

(3)不要不急の大型公共事業や見直しが必要な事業中、当初予算に計上した以下の事業に係る市債・債務負担行為を抑制する。

 ア 千葉駅西口地区市街地再開発事業

 イ 千葉港黒砂台線整備事業

 ウ 蘇我特定地区整備事業

 エ 新港横戸町線整備事業

 オ 水道事業