千葉市職員の給与に関する条例の臨時特例に関する条例の制定についての反対討論

2013.6.25
写真 日本共産党千葉市議団の佐々木友樹です。会派を代表して、議案第66号・千葉市職員の給与に関する条例の臨時特例に関する条例の制定及び議案第67号について反対の立場から討論を行ないます。
 この議案は、国家公務員の給与の減額を理由に地方交付税が削減されたことを受け、臨時の特例措置として千葉市の一般職の給与の減額を行なうものです。熊谷市長が独自に行なっている給与と退職手当の減額に加えて、新たに来月7月1日から来年3月末までの減額率が加わり、課長級で13.3%、係長級で7.7%となります。さらに管理職手当の減額を一律15%おこなう内容です。その影響額は11億6千万円です。「ちばぎん総合研究所」の試算に当てはめると、熊谷市長がこれまで独自にカットしてきた給与を合わせると93億円となり、約3万世帯の1カ月分の消費支出に相当する金額です。市内の消費がますます冷え込み、市内・地域経済へ深刻な影響を与えます。デフレ不況を悪化させ、税収にも影響が出ます。
 今年2月20日に「全国市長会の緊急アピール」を発表し、「地方公務員の給与は、公平・中立な知見を踏まえ、住民や議会の意思に基づき各自治体が自主的に決定すべきものであり、ましてや、地方の固有の財源である地方交付税を地方公務員の給与削減のために用いることは、地方分権の流れに反し、地方の財政自主権を侵すものであり、誠に遺憾である」と訴えています。
 1つめの問題点として、熊谷市長は、1月と2月の定例記者会見で、「ひも付きで交付税をコントロールするのは暴挙」「千葉市は率先して給与削減をしている」など国のやり方に厳しい批判をしてきました。第1回定例会の私の代表質疑の答弁でも、「復興財源捻出のため、一時的に減額措置をしている国家公務員の給与水準に地方公務員もあわせることを一方的に求め、それを前提として交付税を削減する国の方針は、『地方分権』を大きく逸脱するものであり、許されるものではありません」と答えています。
 こうした厳しい批判と発言をしていながら、今回の条例制定をして給与を減額することに道理が通りません。
 今回、一人当たりの平均額、課長級では75万円、係長級で32万円、主任主事等で21万円もの給与の減額を強いることによって、市民のために日々勤務に励んでいる千葉市職員とその家族の生活を著しく脅かすことになります。「子どもを大学に通わせている。これ以上減らされたら、生活費を切り縮めないといけない」「住宅ローン返済の計画を立てていたのに、さらに減額では生活設計が成り立たなくなる」「いっそうの倹約をしなければならない」などの声が上がっています。市職員のモチベーションを高めるどころか、やる気を奪ってしまいます。
 2つめの問題点として、地方自治法の原則からも問題であると言わざるをえません。市政のトップである市長自ら人事委員会制度を反故にし、強行したことであります。本来であれば、人事委員会の勧告が必要な案件です。市長はこれまで4回も人事委員会勧告なしで市職員の給与の減額を行なってきました。そもそも公務員は、憲法第28条の労働基本権が不当に奪われており、その代償機関として人事委員会による勧告制度があるわけです。千葉市職員労働組合に対して給与減額の正式提案があったのは6月5日で、翌日の組合の機関紙号外には「国の圧力に屈した当局」と掲載し、7日に第1回目の総務局との交渉が行なわれ、翌週11日には「前進回答なし、今までの独自カットの協力は何だったのか」と当局の姿勢を厳しく批判しています。「苦渋の判断」で妥結に至っていますが、人事委員会の勧告制度を無視して市職員の給与を減額することは不当です。
 3つめの問題点は、千葉市の姿勢が、国からの地方自治への介入に屈してしまい、結局は「国・政府いいなり」だという批判に対して、真摯に受け止める姿勢がないことです。今回の国からの減額要請については、地方六団体も、千葉県市長会・町村会も、国のやり方を厳しく批判していることは、市長自身の発言からも当然のことであり、その立場を貫くべきです。地方自治体が自主的に決定すべき職員給与について、国が引き下げを求めることや、地方交付税を使って国の政策を地方自治体に押し付けることは、国による地方自治への介入以外の何物でもありません。全国の自治体や県内の3自治体で、削減しない方針または見送りを決めている自治体もあります。仮に2014年度も同様の減額要請があった場合は受け入れず、代わりに生活保護や戸籍事務のような法定受託事務を拒否するということを、市長は21日の記者会見で述べています。今回の国の要請を受けてしまっては、市長が市職員と一丸となって、2期目に踏み出した市長の市政運営にあたることなどできるわけがありません。今こそ拒否をすべきです。
 それにも関わらず、国の言う通りに職員給与の減額を強行することは、地方自治を担う市長としての資格が問われます。
 最後に、市議会があまりにも軽視されていることです。二元代表制の一翼を担う市議会には代表者会議で報告され、今日25日の開会日で先議事項として審議を行ない、結論を出さなければならないことです。会期中に慎重に審議すべき内容にあるにもかかわらず、たった1日だけの審議で決定することは、市と市議会との関係からも汚点を残すことになります。7月以後に実施をする自治体があるわけですから、十分な審議を行なうことが必要です。
 以上の問題点を指摘し、議案第66号・千葉市職員の給与に関する条例の臨時特例に関する条例の制定及び議案第67号について撤回を求め、反対討論とします。

以上