日本共産党が提出した意見書

平成
No.1

 (提出年月日)平成25年8月29日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

憲法第25条に基づく社会保障制度の拡充を求める意見書(案)

 社会保障制度改革推進法に基づいて設置された社会保障制度改革国民会議は、8月6日に最終報告書をまとめ、安倍晋三首相に提出した。国民会議が提出した報告書の内容は、医療・介護・年金・保育の各分野にわたり、全世代に痛みと我慢を求めるものとなっている。その内容は、70歳から74歳の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げ、「要支援1・2」認定者を介護保険給付から外し、介護保険利用者の利用料引き上げ、年金支給額引き下げ、年金支給開始年齢先延ばし、保育では株式会社化を認め公的保育の責任を放棄し、負担増と給付削減を求めているのである。

 国民会議設置の根拠である社会保障制度改革推進法では、社会保障の「納付(負担)に見合った給付」を掲げ、改革方向は「自助・共助を基本とする自己責任」、「効率化・重点化」、「社会保障費の財源は消費税で」を基本に推進する、としている。これでは、国民に対し一方的に増税や負担増の痛みと給付削減の我慢を強いる計画しか出てこないことになる。

 憲法第25条は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(生存権)を保障するために、国は社会保障の「向上及び増進に努めなければならない」として、国の義務を明確にしているのである。

 その立場からの社会保障の再生と拡充、財源確保が求められている。社会保障の再建には、軍事費や大型開発などの無駄と浪費の一掃と、富裕層・大企業優遇の不公平税制を正せば財源は確保できるのである。さらに、応能負担に基づく税制改革と国民の所得をふやす経済改革を実行すれば、消費税に頼らずに社会保障を先進国並みの水準に引き上げることができるのである。

 よって、本市議会は国に対し、国民に痛みを求める制度改革はやめて、憲法第25条に基づく社会保障制度の拡充を求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年  月  日

千 葉 市 議 会


平成25年第3回定例会
No.2

 (提年月日)平成25年8月29日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

消費税増税をやめるよう求める意見書(案)

 2014年4月からの消費税増税の判断材料である、内閣府の4〜6月期の国内総生産(GDP)速報値が発表された。経済成長率が名目・実質ともにプラスになったものの、民間設備投資は6期連続のマイナスとなっている。消費支出の伸びは「電気・ガス代の値上がりなどで消費支出がふえただけ」とも言われており、雇用者報酬の伸びは前期を下回っている。

 政府が「経済状況等を勘案して」と言うのなら、国民の暮らしを直視し、消費税の増税は断念すべきである。

 消費税率が2015年10月に10%に引き上げされたら、国民の負担増は13.5兆円にもなる。それだけ購買力が奪われることになり、経済への影響は1997年の消費税増税の際の教訓が示すように、日本経済に重大な影響を与えることは明らかである。これだけ、非正規・不安定雇用が蔓延するもとでの増税は、暮らしも地域経済も取り返しのつかない打撃を受けることになる。

 本市では、課税所得200万円未満の世帯が全体の約6割を占めている。アベノミクスの金融政策により、大企業と富裕層ばかりが莫大な利益を得ながら、雇用や消費改善につながる見通しは立っていない。その上さらに、低所得者ほど負担が重く逆進性のある消費税が増税されるなら、貧困と格差は一層拡大し、本市の経済も税収も深刻なものとなる。

 今必要なのは、消費税増税を中止し、国民の所得をふやす景気対策による税収拡大と大企業・大資産家優遇税制の是正で、消費税に頼らない財源対策に転換することである。

 よって、本市議会は国に対し、消費税増税はやめるよう強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年  月  日

千 葉 市 議 会


平成25年第3回定例会
No.3

 (提出年月日)平成25年8月29日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

政治の責任で「ブラック企業」の一掃を求める意見書(案)

 苛酷な労働環境のもとで、若者を心身の限界まで働かせて使い捨てる「ブラック企業」が社会問題化している。長時間労働とサービス残業が常態化し、パワーハラスメントなども加わって、心も体も病む若年労働者がふえており、対策が緊急に求められている。

 原因は、労働者を保護するルールが弱いからである。労働基準法では、残業の上限がなく、労使協定を結ぶと、企業は思うがまま長時間残業を命ずることができることになる。また、企業に労働時間の把握や管理を義務づける規定がないこともサービス残業の横行を許すことになっているのである。

 厚生労働省が6月に発表した2012年度の労災認定件数を見ると、仕事のストレスなどによる精神疾患での労災認定者は475人(うち自殺者93人)で、前年度比46%増で過去最多の事態である。労災認定された人の残業時間は、月100時間以上〜120時間未満が66人、120時間以上〜140時間未満が46人、160時間以上が46人となっており、29歳以下の若者の自殺者が21人もいるのは重大である。入社して2か月後に過労自殺した26歳の女性は、深夜残業が月140時間を超える勤務状態だったと言われている。このような異常な日本の労働環境を懸念して、国連の社会権規約委員会は今年5月、長時間労働を防止する措置を講ずるよう勧告するほど深刻である。政府もようやく4,000社の実態調査を始めることになったのである。

 ところが、政府は大企業の要望に沿った成長戦略として、長時間残業を助長する労働時間の規制緩和や解雇自由化を図ろうとしている。これでは「ブラック企業」の根絶どころか、拍車をかけるものであり、許されるものではない。

 よって、本市議会は国に対し、「ブラック企業」の一掃のために政治の責任を果たすよう強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年  月  日

千 葉 市 議 会


平成25年第3回定例会
No.4

 (提出年月日)平成25年8月29日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

原発事故による汚染水漏れの抜本対策を求める意見書(案)

 東京電力福島第一原子力発電所の重大事故から2年半、事故は「収束」どころか、300トンもの汚染水漏れが発覚した。その汚染水の一部は「海に流出した」とも言われている。

 福島県知事は「国家としての非常事態」だと指摘したが、その危機的内容は国民全体にも大きな衝撃を与えている。東京電力の「汚染水漏れに気づかなかった」、「タンクを総点検する」などのコメントには、「漏出は早くからわかっていたはず」、「また隠蔽したのか」との強い批判が起こっている。タンクから漏れ出した高濃度汚染水が地中にしみ込み、地下水によって海へ流出している可能性があり、一刻も早い抜本的対策が求められている。

 東京電力は事故直後から、汚染水の地下水への浸透・拡散防止対策の重要性が問題になりながら、莫大な費用が必要だからと計画を縮小させ、必要な対策よりコストを優先させたと指摘されている。また、以前から地下貯水槽からの漏水の事実を把握しながら、国への報告を怠っていたり、既に4月の時点で、ボルトでつないだ急ごしらえのタンクからの漏水がありながら、十分な対策を講じてこなかったのである。

 これらのことから、東京電力任せでは、世界が不安視する高濃度汚染水の海洋流出という重大事態への対応はできないのは明らかである。

 よって、本市議会は国に対し、下記の事項について強く求めるものである。


  1. 事故の「収束宣言」を撤回し、非常事態との認識で汚染水を初め事故対策の抜本的改善を図ること。
  2. 事故対策は、政府が全責任を負う立場から、東京電力には資料の全面公開を求めるとともに、専門的英知を総結集して問題の解決に当たること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年  月  日

千 葉 市 議 会


平成25年第3回定例会
No.5

 (提出年月日)平成25年8月29日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

秘密保全法案の提出断念を求める意見書(案)

 安倍政権は、秋の臨時国会に秘密保全法案の提出を目指し、作業を進めていると報道されている。民主党前政権が準備し、法曹界や報道関係者などの強い反発から、国会提出を断念した秘密保全法案の骨格は変わらないとされているが、その対象は軍事分野のみならず「国の安全」、「外交」、「公共の安全及び秩序の維持」にまで広げ、違反者は最長で懲役10年と重罰化するものである。罰則の適用対象には、一般公務員だけでなく閣僚や副大臣、政務官の政務三役や軍事産業などの民間企業の契約者も検討されている。

 国家機密の外部流出防止と言いながら、実際は国政の重要な情報を国民から隠そうとするものであり、国民や報道関係者の「知る権利」を侵害することになる。「知る権利」は、憲法が保障する国民主権の原理や民主主義の実現に不可欠な権利であり、「公益」、「公の秩序」の範囲内で保障されるものではない。憲法第9条の改定や集団的自衛権の行使などに連動した秘密保全法の制定は、国民の知る権利、報道の自由など基本的人権が抑圧されると危惧され、今回も日本弁護士連合会など法曹界や日本ジャーナリスト会議など報道関係者から提出断念を求める行動が起こっている。

 よって、本市議会は国に対し、国民の目・耳・口を塞ぐ危険がある秘密保全法案の提出断念を強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年  月  日

千 葉 市 議 会