もりた真弓議員の代表質疑に対する答弁(要旨)

2013.9.18

【熊谷市長】

○ 市長の基本姿勢、アベノミクスについて

 内閣府の国民経済計算(GDP統計)は、3四半期連続プラスとなり、月例報告でも景気の基調判断が上方修正傾向にある。各種経済指標は先行き明るさを示す内容で、地方自治体でも税収などの増加が期待されている。今後、中長期的に経済成長力を高めるには、成長戦略を確実に推し進め、構造改革・規制緩和などの日本経済の体質改善の取り組みや市場等から信頼を得られる経済成長と財政規律のバランス確保、労働人口の減少や少子高齢化などへの抜本的な対策が必要だと考えている。

○ 市長の基本姿勢、消費税増税について

 消費税率の引き上げは、家計消費が落ち込むなど経済成長のマイナス要因となり得るので、税収にも影響を及ぼす可能性があると認識しているが、政府は増税の実施について中長期的な経済動向を見極め慎重に検討しており、秋に出される政府の判断を中止したい。

 少子・超高齢化の進展で労働力人口の減少など、国の現状と将来を踏まえれば社会保障の充実・安定化を図るために財政確保は重要だ。将来へ安心できる社会保障制度の維持のため最小限の負担増はやむを得ない。

○ 市長の基本姿勢、社会保障制度改革について

 社会保障制度改革国民会議の報告書では、少子高齢化の中で、制度の持続可能性を高めるため、介護保険給付の重点化・効率化の観点からまとめられたものだ。要支援者に対する介護予防給付は、市町村の実情に応じ、住民主体の取り組みを活用し柔軟・効率的にサービス提供できるよう、受け皿を確保しながら移行させるとされているが、具体的な制度改正内容は明らかにされていない。国は、社会保障審議会介護保険部会で、具体的内容を審議中であり、その動向を注視する。

 医療費の70歳以上の自己負担をH20年度の改革で、すでに2割負担とされており、国の予算措置で1割に据え置かれたものだが、その措置を解除することは世代間の公平性の観点からやむを得ないもの。高額な医療費の場合は、自己負担限度額があり、負担は一定の軽減措置がある。

 医療保険制度は、70歳以上の被保険者には自己負担限度額で軽減されており、外来の自己負担限度額は70歳未満で原則月80,100円だが70歳以上は12,000円、さらに市民税非課税世帯は8000円で相当に配慮されている。

 公的年金制度は、社会保障制度の中では市民生活にとって重要な役割があり、なくてはならない制度だ。年金制度の将来的な見直しは、「社会保障と税一体改革」で議論され、基礎年金の国庫負担割合2分の1の恒久化、短時間労働者への厚生年金適用拡大、年金額の本来水準への引き下げなどの法改正が行われた。国の検討状況を注視し、市としても全国都市国民年金協議会などを通じ、年金事業の円滑な執行を国に要望していく。

○ 市長の基本姿勢、TPPと地域経済について

 今年3月の政府の「統一試算」に合わせ千葉県が影響額を試算しているが、県内の農林水産業の産出額の約4分の1に相当する1,069億円の減少が見込まれる。しかし、本市では直近の統計データを持っておらず、国や県が行ったような試算はやっていない。これらの試算結果からも市内農畜産物の産出額や農業従事者のみならず、関連産業の雇用機会も少なくない影響があると考えられる。

 国際入札の拡大が市の官公需に与える影響について、今判断するのは難しい。H24年度の630万円以上の物品調達の契約件数は14件、総額は約7億2,500万円、全体に占める割合は件数で約3%、金額で約67%だ。630万円以上の役務の契約件数は740件、総額は約423億9,400万円、全体に占める割合は件数で14%、金額で91%となっている。6億3千万円以上の建設工事の契約はない。

 貿易立国として発展した日本が今後、力強い経済成長を実現するには各国と連携を深め、新たなルールをつくることが必要だ。TPP交渉で、協定の解釈不一致等の紛争を解決する際の手続きを定める「紛争解決」分野で、企業が投資相手国に損害賠償を求められるISDS条項など、地方公共団体に影響を与える内容もあり、国は経済成長や豊かな生活の実現、国益にかなう最善の結果を求め、交渉力を駆使することを期待する。

○ 市長の基本姿勢、決算について

 H24年度決算は、経済の低迷で市税収入の減少や地方交付税が予算額を大幅に下回り、扶助費等が増加したため、当初想定しなかった退職手当債の発行や市債管理基金への償還を一部見送るなど厳しい収支状況だった。収支が厳しい中でも待機児童解消へ保育所整備を進め、待機児童を大幅に減少させた。高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせる地域包括システム構築を進め、あんしんケアセンターを倍増させ、児童・生徒の安全確保へ校舎等の耐震補強工事を進めるなど、予算の重点配分で市民生活・福祉向上を図った。全ての市民サービスをこれまでと同様に行うことは、中長期的に困難であり、真に支えが必要な人に予算を配分し、事業効果が薄れた事業や他の事業で替えられる事業は、サービス低下を抑えながら見直した。

 国保会計の不用額については、予算で見込んでいなかった東日本大震災の被災地への支援金が約17億8,000万円交付され、一般会計からの繰入金に不用額が生じたもの。支援金がなかったら約36億円の繰入金が必要だったことになり、23年度決算より実質収支が悪化していた。保険料改定は必要だった。

 給与の減額措置を行うことで、職員のモチベーションの低下、民間給与の引き下げを招き、消費活動を鈍らせて地域経済に影響を与えるなどの意見があることは知っている。しかし、本市の厳しい財政状況から市民への影響を軽減し、財政健全化を実現するには職員給与の減額を求めざるを得ない。できるだけ早く本来の形に戻せるよう、市の財政健全化に努めていく。

○ 市長の基本姿勢、大型開発について

 大型開発は、緊急性・必要性などの観点から見直しを行った上で、市民生活向上や街の魅力を高めるため必要な事業に予算を配分したもの。

 千葉駅西口B棟の建設は、再開発事業で取得した駅前の貴重な土地を建設用地に取得したので、駅前の賑わいづくりに早く有効活用する必要がある。その手法として、ビル建設に必要な資金や人員調達が軽減できる特定建築者制度の導入や市の費用負担がない事業提案を公募する。その提案を学識経験者等による市の「業者選定委員会」に諮り、その意見を踏まえて今年度中に事業者を選定する予定だ。市民参加は考えていない。

 蘇我スポーツ公園は、本市で初めての運動公園であり、市民の健康づくりとスポーツ振興に寄与する施設として整備している。また、予想される大規模災害時の広域防災拠点機能も兼ね備えている。H23年11月に、市長マニフェストで市民の協力も得て見直しを行い、整備計画をつくったものだ。今後も計画的に整備を進める。

 これまで蘇我スポーツ公園整備の縮小や都市モノレールの延長凍結などの見直しを行ってきた。その一方で、効率的な予算配分を行い、市民サービス低下を抑えながら事務事業を見直し、職員の協力で給与カットを実施し、市民負担の公平性や受益者負担原則から必要な公共料金見直しを行ってきた。今後も市民への影響を考慮しながら事業の見直しや公共料金の適正化に努めていく。

○ 市長の基本姿勢、子どもの医療費助成について

 通院医療費の対象年齢拡大は、小学6年生まで拡大すれば新たに約3億6千万円、中学3年生まで拡大すれば新たに6億3千万円必要になるので、市全体の将来的な財政見通しの下で判断する必要がある。しかし、子どもの健康保持の推進や子育て世代の経済的負担軽減、また少子化の進行の中、子育て世代の本市転入促進のために有効な施策の一つだと認識している。H26年度にはまず小学6年まで拡大したい。中学3年までの拡大は、市民や議会の意見を聞きながら制度の在り方も含め慎重に検討していく。

 これまで、知事や副知事との度重なる協議や市議会の協力でH23年度に補助率6分の1から4分の1へ引き上げた。子どもの医療費助成に関し、首都圏の他政令市の状況は、さいたま市が県の補助制度の対象外になっていること。横浜市・川崎市・相模原市では本市と同水準であることを勘案すると、さらに引き上げを求めるのは難しい。だから県との協議は今は行っていないが、今後、他政令市の状況を注視し、時期を見て県との協議を検討していく。

○ 市長の基本姿勢、ブラック企業について

 このような企業は、労働法に抵触するような労働を恣意的・意図的に強いたり、極端な長時間労働などで若い世代を中心に、働く人の「使い捨て」が疑われ、近年大きな社会問題になっている。

 最近では、就職活動中の若者が情報の少ない中小企業に対し、警戒心を高める傾向にあり、本市でも優良な企業の人材確保に影響を及ぼしかねないと懸念している。

 厚労省では、9月を「過重労働重点監督月間」として、若者の使い捨てが疑われる企業に集中的に監督指導等を実施している。H26年度予算の概算要求では、夜間や休日でも相談を受ける常設窓口の設置など、対策強化のための関連経費18億円を盛り込んでいる。今後の国の対応を注視していきたい。

 本市では、蘇我勤労市民プラザに労働相談室を開設し、雇用や労働条件など様々な相談に対応している。稲毛区役所内のふるさとハローワークでは、職業紹介だけでなく、就労・生活相談を行っている。このような企業には、過重労働などで若者が健康を脅かされたり、退職に追い込まれることがないよう、監督指導権限がある労働基準監督署など関係機関と連携しながら対応していく。

○ 市長の基本姿勢、公正な行政について

 この度の最高裁決定を真摯に受け止め、再発防止へ取り組みを進め、市政への信頼回復に努めていく。

 事件後、外部の有識者を入れた入札制度検証委員会の検証結果を基に、入札参加資格等審査会の審査方法を見直し、同審査会の議事録を公開するほか、警察との連携強化など具体的改善を行った。市長が守るべき政治倫理基準を定め、その権限や地位での影響力を不正に行使し、自己や特定の者の利益を図ることがないよう、政治倫理条例を制定し、市職員にも守るべき倫理原則、利害関係者との禁止行為などの基準を定め、公務員倫理に対する職員の意識を高めるため、職員倫理条例を制定した。これら個別の取り組みの他、事件の再発防止へ市政の透明性を高め、開かれた市政実現が不可欠なことから、自らが市民に集会や会合に出向く出前講座や対話会などをはじめ、あらゆる機会に市民に市の情報を公開・発信するように努めている。

○ 災害対策について

 防災会議に多様な意見を反映できるよう構成に配慮し、自主防災組織や災害ボランティア団体代表者、都市基盤工学、社会福祉や地域防災等の専門分野の大学教授など研究者、市社会福祉協議会、市国際交流協会の地域連携コーディネーターを新たに委員として参加してもらう。様々な分野の視点、地域の生活者の多様な視点、専門的見地からの意見を反映した防災対策で防災力を向上させていく。

 耐震化は、市の「耐震改修促進計画」で、建築物の耐震化目標を定めており、家具転倒防止金具は、取り付け困難な高齢者・障害者世帯に助成する。各家庭では、家具や大型家電製品等の転倒対策の実施を重点項目として啓発していく。学校での防災教育の普及は、学校と地域が連携した防災訓練などの体験を通じて、自らの安全な行動が取れ、地域の防災活動に貢献できるよう、発達段階に応じて意識高揚に努める。

 6月に改正された災害対策基本法で自助・共助での自発的防災活動を促進し、ボトムアップ型で地域の防災力を高める。必要に応じ地区居住者等からの提案で地区防災計画の策定が定められた。

 その計画内容は、対象範囲、活動体制、地区居住者等の防災訓練、物資や資材の備蓄などがあり、詳細は今後、国が示すとされている。防災会議では、地区居住者等の自発的防災活動の内容を最大限尊重していく。国のガイドライン等が示され次第、市民に提案手続きをホームページ等を通じて知らせていく。

 高齢者や障害者世帯への所得制限緩和とその実施時期は、高齢者世帯の分布等を基に見直しの検討を進めている。

 マンホールトイレは、避難所となる学校に11か所、のべ55台分整備しており、今年度からH28年度までに合計43か所、のべ215台分整備する計画だ。その他の学校への設置は、今後地域防災計画の見直しの中で検討していく。設置訓練の実施は、これまで避難所運営委員会等で一部設置訓練を実施したが、今後、設置している避難所では避難所開設・運営訓練等の機会に設置訓練を実施したい。

○ 市庁舎建替えについて

 572億円の費用は、新築費用約275億円と、庁舎竣工後50年間の維持管理費用約297億円を合わせたライフサイクルコストで、長期間にわたり使用する建物をコスト面から比較検討し、最適な手法を選択するため算出したものだ。新築費用の275億円は、手法は異なるが概ね市債や民間資金で調達は可能だ。

 本庁舎は市の総合防災拠点であり、災害発生時の安全性、業務継続性が重要な機能だ。提案された耐震補強工事は、本庁舎と議事堂棟の柱・梁・基礎の耐震性を高めるもので、壁や天井など非構造部材の耐震化や主要設備の更新、配管類の改修工事は含まれていない。中央コミュニティーセンターの改修工事も入っていない。提案の耐震補強工事では、本庁舎の最も重要な業務継続性が確保できない。

【藤代副市長】

○ 災害対策について

 増加しているゲリラ豪雨は、突発的・局所的で予想が難しく、河川の氾濫や土砂災害等の他、地下街や地下鉄、道路などの都市機能をマヒさせる大きな損害をもたらしている。

 Xバンドレーダーは、局所的な雨量をリアルタイムに観測可能なもので、適切な河川管理や防災活動に役立てるために有効とされている。本市でも気象情報提供会社からの情報とあわせ、急な大雨による災害対策に役立てている。被害を最小限にとどめるためには市民に正確な情報を提供する必要があり、市のホームページで紹介しているが、今後も積極的活用を働きかけていく。

 ゲリラ豪雨は短時間で激しい雨が降るため、被害を最小限にするためには正確な情報を迅速に入手することが重要だ。電子メールを活用し防災情報を提供している「安心メール」への登録や、市内気象情報や被害情報などを市民が共有し、被害を減らす目的の「ちば減災プロジェクト」のサイト活用を呼びかけている。市のホームページで提供している「危険マニュアル」の風水害対策で、都市型水害の危険性や対応等を周知・啓発している。

 ゲリラ豪雨は、雨水管の排水能力を大幅に上回る雨が集中的に降るので、公的なハード面での対応には限界があるが、市民生活に与える深刻な影響を与える浸水被害をできるだけ軽減する必要がある。そのため、浸水被害を検証し効果的な軽減策を検討するとともに自助での防水板や浸透施設設置なども促進していく。

 道路側溝や集水桝詰りは、大雨での道路冠水の要因になるので、定期的に清掃することが重要だ。しかし、ゲリラ豪雨などでは事前の対応が間に合わない場合もあり、過去道路冠水が発生した地区の集水桝脇に、市民へのごみ除去のお願い表示シールやポールを設置している。今後も新たな冠水か所には、表示シールやポールを設置し、ホームページなどで協力を呼びかけていく。

 竜巻は、ほかの気象災害と比較して発生頻度が低く、予測の精度も低いこと、発生から短時間で大きな被害を及ぼすことから、限られた時間内で安全確保を図る必要がある。

 本市では、平時から気象情報をテレビ・ラジオ等で確認するよう呼びかけるほか、「安心メール」で竜巻注意情報を配信し、頑丈な建物内に避難するなど身の安全を図るよう周知している。国では、竜巻などの突風の予測精度の向上へ気象レーダーを強化し、対策の抜本的な見直しを行うとしており、状況を注視していく。

 災害見舞金については、「見舞金の支給等に関する要綱」で、本市に生活の拠点が有る人に地震・火災・風水害等の災害で住家が全壊・全焼・流失した場合、5万円を限度に支給する。半壊・半焼・床上浸水の場合は3万円を限度に支給することにしている。他の政令市との比較でも遜色なく、改定は考えていない。

○ 特別養護老人ホームについて

 国有地への整備事業者に選定された法人と次点の法人の点差は、美浜区稲毛海岸の国家公務員宿舎跡地では1点、花見川区畑町の旧畑町通勤寮跡地では2点だった。

 特養ホームの整備法人は、公募で公正に選定してきたが、国有地を活用した整備の場合、法人が土地を所有する必要がなく運営上有利なため、全国的な注目を集め結果的に市外法人の参入が増えたと考えている。今後の公募も市内外から広く応募が見込まれる中、より良いサービス提供と地域経済活性化の観点も重要だと考えており、市内法人に限定した公募は難しいが、審査項目の在り方を検討していく。

○ 財政健全化の取り組みについて

 滞納整理にあたり、地方税法やその他法令に従い、滞納者の申告や調査により納付資力を見極め、資力がありながら納付しない滞納者に対し、財産の差し押さえや裁判所に法的措置申し立てを行うなど、債権確保に努めている。一方、災害や病気などにより、一時的に納付困難な場合には適正な期間での分割納付も認めている。滞納処分ができる財産がない場合や滞納処分で生活が窮迫する恐れがある場合は、処分を停止するなど実情に応じた措置を講じている。

 事業目的がなくなった市有財産は、各所管が当該市有財産の周辺住民に、適宜説明するとともに全庁的な利用要望調査を行っている。利用要望のない場合は、有償貸付や公募処分を行うなど、有効活用に努めている。資産規模が大きい学校跡施設などは、地域住民の意見も聞きながら、市としての利活用を検討し、利活用がない場合は売却・貸付を行っていく。

○ 保健福祉行政について

 生活保護の今度の基準改定は、国が物価の下落や給与収入の減少で生活保護を受けていない世帯の生活費水準の低下を勘案して実施したもの。引き下げ幅を10%以内にし、3年かけて段階的に実施するなど必要な緩和策措置が取られている。

 行政不服審査法5条に基づき、保護の決定と実施に関する事務に基づく処分は、審査庁である都道府県に。同法17条で審査請求は処分庁のある市を経由してもできることになっている。本市では、市民が不服審査請求を行う際には、窓口で適切に受け付けるよう、保護の実施機関の各区社会援護課徹底している。

 千葉市では、審査請求書が提出された場合の対応を明示した指示文書を全ケースワーカーに配布し、その徹底を図っている。

 難病見舞金は、外部評価で事業の在り方を検討した結果、見舞金支給で構成意欲の助長を図るとの事業目的は妥当性に乏しいとの理由で、H22年度で廃止した。生活保護世帯の児童生徒への修学旅行支度金は、小学生3000円、中学生5000円を支給する制度だったが、小学校では宿泊での修学旅行は実施されておらず、H21年7月から生活保護制度で学習支援費が創られ、中学生は月額4430円支給されるので、H22年度で事業を廃止した。

 敬老会補助金は、敬老会の開催が世代間交流やコミュニティの活性化、さらに高齢者の外出促進につながるので、実施団体の経費負担を軽減するよう改め、より多くの地域で敬老会が開催できることを期待したものだ。

○ 子育て支援について 

 千葉市は「保育アクションプログラム」で、保育士等の自己評価の推進、特別支援を要する子の支援強化、研修の充実、保育内容を監査する仕組みの構築など、保育の質向上に努めている。

 保育士の配置、乳児室の面積確保、障害児への対応など、国基準を上回る基準を設け、民間保育園での保育の質向上のため研修事業を助成するなど、現状の保育の質を低下させないよう維持・確保する市の基本方針で、保育を実施している。認可外保育施設にも運営費や研修事業への助成を行い、巡回指導で保育に関する日常的な助言・指導、指導監査や現地調査を毎年実施することで、保育の質の維持向上を図っている。グループ型小規模保育事業には、国基準では必要のない、保育士の1名以上配置を義務づけるなど、様々な事業で児童福祉法2条に基づく責任を自覚し、質向上に努めている。

 現状では、点在化する待機児童にピンポイントで対応するため、駅近くの便利な場所に比較的小規模な保育所を整備する一方、定員増の促進、分園の設置など将来、子ども数が減少し供給過剰な時に定員調整を柔軟に行えるよう、既存施設の有効活用を待機児童対策の柱に据えている。今後も、駅近くの便利な場所に小規模保育所の設置、既存施設の有効活用など、責任を持って保育所整備を行っていく。

 保育は、児童福祉法24条で市の直轄か民間かに関わらず、市の責任のもと法令等に基づく基準や保育指針に則り実施している。施設形態に関わらず、監査指導や研修会等で保育の質確保・向上に万全を期すよう努力する。

【徳永副市長】

○ 京葉コンビナートについて

 京葉コンビナートは、千葉市から富津市に広がる世界有数のエネルギー・素材産業の集積地で、千葉県の経済や雇用を支える重要な地域だ。しかし、近年の国内需要の減少、円高や新興国の台頭でコスト競争力の低下などから、石油化学プラントや製鉄所の相次ぐ生産縮小計画などがあり、企業では、生産効率の最適化のため生産拠点の統廃合など、他地域のコンビナートとマザー工場の地位を争う動きが加速され、今後の経済や雇用へのマイナスの影響が危惧される状況だ。県を筆頭にコンビナート企業に支援策や規制緩和等の議論を深めるため、湾岸地域の自治体もメンバーに加わり、企業の競争力強化への検討を始めたところだ。また、本市への影響は、現時点では市内企業に変動があるとの情報はないが、隣接する自治体のコンビナート企業の関連会社が、市内に立地していることから、関係自治体や県と連携しながら規制緩和や企業への支援策について議論していくことが重要だ。

 コンビナートに立地する企業は、規模から見ても日本有数であり、地域経済や雇用への影響、関連会社を含めた関係者への福利厚生や地域社会への貢献など、果たす役割は大きなものがある。今後も、地域社会に対する貢献、CSR活動への取り組みを期待するが、持続的にその役割が果たせるよう適切な支援の在り方を関係自治体と協議していく。

○ 家庭ごみ有料化について

 説明会は、町内自治会やマンション管理組合を対象に個別説明会や中学校区ごとに実施し、開催時間は、制度説明に20分、質疑・応答に40分、合計1時間程度が目安となっている。質疑・応答が時間内に収まりきれない場合は、時間を延長してできる限り答えており、問い合わせ先も示している。説明会は、市民に直接説明する重要な機会なので、制度導入の経緯や目的・仕組みを丁寧に説明して理解・協力が得られるよう努めている。

 千葉市廃棄物減量等推進審議会の答申や市民からの意見を受け、満3歳未満児がいる世帯に支援する。家庭ごみ有料化を実施した他政令市の事例や紙おむつ業界の資料、子育て中の職員からのデータなどで、配布する袋の大きさと枚数を設定した。満3歳未満児への支援は他政令市の事例でも最長であり、配布するごみ袋枚数の変更などの予定はない。

 事業系生ごみは、H28年度までに22年度比1000トン、33年度末に2000トンを再資源化し、ごみ量を削減させる計画目標に対し、24年度は22年度に比べ2400トン再資源化している。

 事業系紙ごみは、H28年度までに22年度比600トン、33年度までに1300トンを再資源化し、ごみ削減計画目標に対し、24年度は22年度に比べ約1000トンを再資源化した。着実に資源化が進んでいるが、事業系生ごみと紙ごみの再資源化の余地は残されており、事業所への立ち入り調査時の排出指導の徹底や清掃工場での搬入物検査の効果的実施、収集運搬業者の事業者へのリーフレット配布など、分別徹底を働きかけ、事業系ごみの減量・再資源化を促進していく。

 プラスチック製容器包装は、国が法律の見直しを進めており、改正内容を見極めながら、分別・再資源化の際に見込まれる費用8億円の費用対効果を勘案して検討していく。

 家庭ごみ手数料徴収制度は、一般廃棄物処理基本計画で位置づけられた事業のひとつであり、削減効果が期待できる施策なので、市民に理解・協力を得て予定通り26年2月から実施する。

○ 稲毛海浜公園の民間事業者募集について

 稲毛海浜公園検見川地区は、人工海浜「検見川の浜」に面し、海を挟んで富士山やスカイツリーが見えるなど、東京湾を一望できる恵まれたロケーションがある。3つの人工海浜の中心にあり、当該地区の活性化と本市北西部の湾岸エリア全体の魅力向上に寄与するもので、この地区のポテンシャルを生かした民間企業からの事業提案を公募することにした。

 公募の内容は、地区全体の開発コンセプトを決め、再整備基本計画平面図を作成し、自ら整備・運営する施設を提案することになる。その際、海の見えるレストランは必ず含めることが条件になる。その他は、都市公園施設なら自由に提案できる。募集要項は、8月9日に公表し11月11日に締め切る。年内には事業者を決定したい。H26年度に施設整備を行い、27年度に供用開始できるよう取り組んでいる。この事業の推進で、検見川地区の魅力が高まり、訪問者も増え、地域経済振興の一助になる。

○ 脱法ハウスについて

 国交省では、建築物の安全確保の観点から情報受付窓口を設け、具体的な物件の情報収集を行っている。千葉市では、国交省の指導により、本年6月14日から情報収集に努めているが、今のところ市内での情報は入っていない。

 脱法ハウスが存在した場合は、建築基準法に適合しているか現地調査し、不適合な部分は是正指導することになる。居住者の経済状況等は様々なことが想定され、賃貸住宅を探していたら市住宅供給公社の「すまいアップコーナー」での相談をすすめる。

【志村教育長】

○ 子どものインターネットの関わりについて

 契約は各家庭の任意であり、実情の把握はできないが、都市部の普及率は高いと思う。スマートフォン利用は、不特定多数が簡単に書き込むことが可能で、内部が外部から見えにくいなど、児童・生徒の成長過程で様々な問題に発展する懸念がある。

 各学校では、道徳の時間や中学校の技術・家庭科で、情報の安全な利用を含めた情報モラル教育に取り組んでいる。この学習で、児童・生徒が被害者・加害者にならないため、不必要な持ち込みなどを注意し、利用時の危険回避を指導している。教育委員会では、各学校が適切に指導できるよう、総務省の「違法・有害情報相談センター」のチラシを配布し、管理職研修やメディア主任研修会等で、ICT全体に係る情報モラル教育研修を行っている。なお、今後はネット・メディアリテラシーの理解を深めるため、家庭と連携しながら啓発活動を進める必要がある。

 各学校では、地域の実情や発達段階に応じて、情報モラルコンテンツや情報カリキュラムを利用し、教育活動を通じて指導している。必要に応じて、警察や企業、NPO法人等から講師を招へいし、児童・生徒や保護者対象に研修会を実施している。児童・生徒のトラブル回避や被害に合わないよう指導を徹底し、保護者への啓発が必要だ。保護者説明会や懇談会などの機会を通して繰り返し指導し、トラブル対応の理解を深めていく。

○ 子どもの経済的困窮について

 就学援助の申請時に生活保護対象につなぐ支援体制については、保護者の死亡等、児童生徒の家庭環境の変化で相談を受けた場合は、生活保護などの制度を周知している。

 保健福祉局で、新たな生活困窮者支援対策を進めており、今後本格実施する予定の当該制度の状況を勘案し、生活保護基準額改定の影響や他政令市の動向を踏まえ、今後の対応を検討する。

○ 公民館について

 インターネット予約システム導入にあたり、利用者の利便性や公平性向上、公民館の役割である団体育成・支援も重視した。優先的に使用できる定期使用団体の登録は、条例・規約に基づき、公民館の持つ学びを通じた地域づくりの拠点施設として役割から、公民館文化祭への参加や学んだことを教え合うなど、地域への学習成果の還元を求めるもので、使用条件を拡大するものではない。

 指定管理者制度導入は、公民館の役割が、地域人材のコーディネート機能や防災拠点機能なども求められており、今後の公民館の管理運営の在り方を市民ニーズの多様性、本市を取り巻く財政状況、人口動態などから、安定性・継続性・有効性の観点で総合的に検討していて、指定管理者制度の導入は、有力な方策だと考える。受益者負担も他施設や他市の状況から総合的に検討している。

○ 平和教育について

 平和を愛する心を育てることは、学校教育全体で取り組むべき課題だ。社会化や道徳教育での指導と人間尊重教育、国際理解教育等を通じて、児童生徒がお互いを尊重し、国際社会の中で世界の人々と手を携えていくための資質や能力育成に努めることが重要だ。戦争体験者の高齢化が進む中、平和教育の充実を図るため、学校教育の果たす役割は大きい。

 各学校では、社会科や総合的な学習時間に空襲や被爆の様子などを、戦争体験者から話を聞くなど、市独自に作成した社会科資料集を活用し、戦争の悲惨さや平和の大切さを指導している。千葉空襲写真パネル展の開催やビデオ・DVD等の貸し出しは、関係各部局と連携し、教科等主任研修会等で紹介するなど、今後も活用を図っていく。

<2回目>

【熊谷市長】

○ 国政との関係について

 消費税増税について、わが国の現状と将来を踏まえると社会保障の充実と安定化を図る財源確保は重要だ。安心できる社会保障制度の維持に最小限の負担増はやむを得ない。

 社会保障制度改革は、少子高齢化が進展する中で、持続可能な社会保障制度確立に必要な改革を進めることは、国民の福祉向上と増進に不可欠だ。

○ 決算について

 市民生活への影響を極力少なくするよう配慮しながら、事業効果が薄れた事業、他で代替可能な事業は見直した。今後も議会や関係団体・市民の理解を得ながら見直しを行う。

 職員の給与カットは、本市の危機的な財政状況の回避に、また国の一方的な地方交付税の削減が市民福祉に影響を与えないよう、職員の理解のもとで時限的・緊急避難的にやむなく実施した。今後本市の財政状況を見ながら早く解消できるよう財政健全化に努める。

 大型開発は、これまでも緊急性・必要性の観点から可能な限り見直してきた。今後も必要な分野には重点的に予算配分し市民生活向上にう努める。

○ 子育て支援について

 首都圏の政令市の足並みを揃えることが、県との協議の前提だ。他政令市の状況等を見ながら県との協議は検討していく。

○ 災害対策について

 避難所でのトイレ対策は食料や飲料水の確保とともに重要な問題だ。今年度からH28年度までに計画的に整備を進めるほか、全ての避難所に配備したトイレキットの使用や拠点の備蓄倉庫に配備した簡易トイレとワンタッチトイレで対応する。H29年度以降のマンホールトイレの設置は、地域防災計画の見直しの中で検討する。

【藤代副市長】

○ 災害対策について

 災害で被害を受けた人への支援は、国の統一的支援で、被災者生活支援法により住宅再建に支援金を支給し、災害見舞金支給に関する法律で弔慰金等の支給、生活資金の貸し付け、税の減免、軽減措置等の支援があり、県・市でも住宅再建の利子補給や税の減免など様々な分野で支援をしている。災害見舞金は、他市と同様に支給しており増額は考えていない。

○ 特養ホームについて

 サービス利用者である高齢者の利益を重視し、老人福祉法など関係法令の趣旨から法人所在地が市内と言うだけで加点するのは慎重さがいる。社会福祉施設建設や運営で市内経済の活性化や雇用確保の観点で適切に評価することは重要であり、審査項目の見直しを検討したい。

○ 保健福祉行政について

 難病見舞金は、重症患者を障害者の「福祉タクシー事業」や「自動車燃料費助成事業」の対象二する措置をとってから廃止した。修学旅行支度金は、生活保護世帯の児童にかかる修学旅行の宿泊費・交通費・見学料の費用が就学援助制度で実費負担されており、これまで支度金で賄われてきた費用は、他の支援費で代替可能だと判断し廃止した。扶助費の削減は、生活保護を受けていない世帯の生活費水準が下がったことから実施されたもので、激変緩和措置もとられている。

 敬老会補助金の見直しにあたり、町内自治会や社会福祉協議会地区部会、昨年度開催した団体等への説明会で意見を聞きながら進めた。見直しの趣旨が理解されるよう努めていく。

【徳永副市長】

○ 家庭ごみ有料化について

 事業所への立ち入り調査時の排出指導の徹底や清掃工場での搬入物検査の効果的な実施、収集運搬業者の事業者へのリーフレット配布、事業系生ごみの資源化推進、剪定枝の資源化ルート構築など、各施策を展開していく。

 事業系生ごみの分別資源化は、すでにH33年度の計画目標を達成しており、事業系焼却ごみの約50%を生ごみが占めているので、食品関連事業者への登録再生利用事業者に生ごみ排出を誘導するなど、一般廃棄物処理基本計画に位置づけられた計画を効果的に実施し、生ごみの減量・再資源化に取り組んでいく。

○ 稲毛海浜公園について

 募集要項は8月9日に公表しており、現段階で防臭要件を大幅に変更するのは、民間事業者の応募意欲を低下させることになる。市としては事業者が決定した段階で、市内の食材調達や雇用への配慮を申し入れたい。

【志村教育長】

○ 就学援助について

 他政令市の動向を踏まえながら、子どもの経済的困窮の状況等を確認し、今後の対応を検討していく。

○ 公民館について

 今後の制度設計に生かすため、今年度中に公民館に関する市民アンケートを実施する。その結果を踏まえ社会教育委員会議や公民館運営審議会で意見を聞いていく。

○ 平和教育について

 戦争体験者に貴重な体験談を語り継いでもらう機会を設け、平和教育の充実を図っていく。