ふくなが洋議員の反対討論

2013.9.19

 上程された議案14件中4件について反対討論をおこない、発議第23号については否決をされたので可決を求めて討論を行います。

議案第87号・補正予算中保育システム改修事業について

 最初に、保育システム改修事業7,160万円についてです。

 これは子育て新システムにおいて給付制度に対応した支給認定制度や事業者の確認制度に係る機能を導入するものです。

 子育て新制度は保育所の待機児童が深刻な時になぜ市町村の保育実施義務をなくすのかの重大な問題を抱えています。

 私どもは「子ども・子育て新制度」の導入はやめて公的保育の責任を果たすことを強く求めてきました。

 さらに新制度は市町村が保育の実施に責任を持つ公的保育制度を解体して、保育を市場化・産業化をすることが柱になっています。新制度は利用者の就労時間などに応じて保育の必要性を認定するもので実態を見ない無責任なものであり、現在でも反対意見が広がっています。

 そして新制度はこれまでの市町村の保育の義務を責務に変えるものであり認められません、これまでの保育実施義務の規定は極めて重いものです。

 待機児の解消が深刻な事態なのは認可保育所をつくってこなかったことにあります。厚労省は「多様な受け皿を増やす」としていますが希望的観測であり市町村の役割を大きく後退させる保育システム改修事業補正予算は認められません。

議案第91号・千葉市国民保険条例の一部改正について

 この改正はこれまでの保険料率を明示方式から告示方式に変更することで議会での審議ができないまま、自動的に保険料が値上げされることになる大きな問題があります。

 国民健康保険制度は他の医療保険制度に入れない人々を支える重要な役割があり,低所得者を対象とした医療保険制度は日本では生活保護の医療扶助しかありません、生活保護の一歩手前のセーフティネットのとして医療を保障しています。

 現在、千葉市がやるべきことは国保料を払える金額にすることであり、国保の中身がより充実をさせる方向で皆保険制度を守ることです。

 国保料は加入者が支払えるかどうかの視点から設定をすべきです、必要な医療費を加入者に負担させる視点から保険料を算定すれば保険料は高くなり国保料を滞納せざるを得ない市民をうみだすことになります。国保は負担能力が高くない市民が集まる仕組みになっており国庫支出金それなりに投入されなければ維持はできません。

 国保は加入者だけの保険料で運営されているわけではありません。ここに大きな意味があります。国保に国庫負担が投入されるのは「国保が社会保障として運営されている」ことを意味しています。ここが民間の保険と大きく異なる所です。

 自助や相互扶助では決して支えることのできない市民の医療保障を図り受診する権利、健康になる権利、生きる権利を保障する公的医療保険として国保は歴史的に整備されてきたものです。

 国保は社会保障の一環です。1957年に国民皆保険計画が発足して1958年に国保法が改正されました。その第1条には「この法律は国民健康保険事業の運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と明記しています。

 今回の議案のように相互扶助や自己責任論を持ち出して国保料の値上げを求めるのは筋違いです。

 千葉市における国保の深刻な問題は、国保料を4年間に3回値上げをおこないました。また差し押さえ件数は2009年14件から2012年では1007件と72倍と大幅に増やしました。さらに国が千葉市への国庫補助金を2007年度の50%から25%にしたためです。

 また熊谷市長が2010年度に国保会計への一般会計からの繰り入れをゼロのしたことも国保会計を厳しくしたのです。現在、国保事業を都道府県単位にする広域化動きは公的医療をさらに抑制するものであり認められません。

 確かにこれまで述べてきたように国保制度は大きな問題を抱えています。この問題の改善の方向は国民健康保険の理念である「誰でも、いつでも、どこでも」保険証一枚で受診できる世界に誇れる皆保険制度を充実させていくことと社会保障である国保の運営に国が責任をもつ以外に国保料問題の解決はあり得ません。

  こうした点から国保料の告示方式には賛成できません。

議案第94号・千葉市ユース・ホステル設置管理条例の廃止ついて

 千葉市のユース・ホステルは「青少年の健全な旅行を推奨して低廉な経費で規律正しく宿泊させて交歓をさせる施設」として世界的にも認められた施設です。

 そして千葉市のユース・ホステルは地域にも開放されており評価をされています。

わが会派は慎重にもっと関係者や利用団体の意見・要望を聞くことが必要と考え継続を主張しました。

 今求められるのは、ユース・ホステルの持つ意義を見直して今後のあり方を検証・協議をすべきです。このことを再度訴えるものです。

議案第95号・千葉市保育所設置管理条例の一部改正について

 寒川保育所の位置を変更して廃止を行い、今後民設民営で運営をおこなうとしています。

 今議会では補正予算において待機児童解消加速度プランで認可外保育施設支援事業、保育士等処遇改善臨時特例事業、潜在保育士再就職支援研修事業などが提案されていますがこうした事業については以前から改善を私どもは提案してきました、さらに充実させなければなりません。

 条例の一部改正の背景にある子育て新制度の目的である公的保育を解体して市場化を図ることについては到底認めることはできません。

 こうした中、寒川保育所について、とにかく民営化する方針は関係者から疑問の声が多く寄せられています。

 千葉市の公立保育所は障害児保育を切り開き病児保育を誘導するなど豊かな保育を実施してきた歴史があります。

 保育士は子どもの命を預かり養護と教育を行い人間の基礎をつくる専門性が高い仕事です。そこでは公立保育所ならではの保育があります。引き続き公設公営の保育所として地域に支えられた素晴らしい保育実践を行うことが求められます。

 千葉市の保育の歴史や実践から、この議案には賛成しかねるものです。

発議第23号・「千葉市被保護者等住居・生活サービス提供事業の業務の適正化等に関する条例制定検討委員会の設置条例」について

 審議した保健消防員会では「問題認識はある」「内容はその通り」「重要性は認識している」「必要性は認める」との発言でしたが「時期尚早」「効果がはっきりしない」等の理由でわが会派と市民ネット以外は反対となり残念ながら否決されました。

 この条例の設置は生活困窮者から生活保護費を不当に徴収する「貧困ビジネス」の規制を行うとともに適正化をはかり、被保護者の自立支援を図ることを目的にしています。正面からの反対がないのは千葉市がこれまで無料低額宿泊施設問題について議会で議論を積み重ねてきた経緯があるからだと思います。

 しかし、御承知のように根本解決には程遠い状況があり一層深刻化をしています。

そこには社会福祉法で規定する宿泊施設が届け出で良しとする厚労省の見解がある一方で日弁連はこの見解に対し真っ向から否定して見解が分かれている重大な問題があります。さらに厚労省の通達や社会福祉法の解釈をめぐり地方自治体が混乱させられている実態もあります。

 こうした現状を見るならば条例提案は否決されましたが、千葉市は今後被保護者を無料低額宿泊施設に誘導することはやめて自立できる施設を保障するべきです。そして自立に向け現在深刻な市内の空き家対策とも連動させ地域の安全・安心を生み出すことです。さらに貧困ビジネスの実態を明らかにし、市内の関連する施設を千葉市が把握して指導ができるようにして被保護者の自立支援を行う重い責任が課せられています。今回の決算でも明らかになっていますが生活保護費の増大が千葉市財政に大きな影響を与えています。

 この問題の解決は上からの保護費の削減ではありません。貧困ビジネスの規制と適正化以外に被保護者の自立支援の道はないと考えます。

 今後も条例提案の内容に沿って改善を図ることを求め討論を終わります。