中村きみえ議員の一般質問

2013.9.26

1.いじめ問題について

(1)いじめ防止対策推進法について

 いじめで自ら命を絶つ子どもの問題は深刻です。大津市でのいじめ自殺事件以降、いじめ対策の法制化が、強く求められていました。「いじめ防止対策推進法」が、与野党での協議もわずかな審議で可決され、見過ごせない問題点があります。

 法第4条で子どもたちに「いじめを行ってはならない」といじめを禁止しています。第25条ではいじめを行った子どもに対し「懲戒を加える」、第26条で「出席停止を命ずる」と厳罰化を明確にしています。さらに第15条には「道徳教育の充実を図る」ことがうたわれています。そこで伺いますが、

 1つに、こうした厳罰主義、道徳主義でいじめを解決できると認識していますか。

 2つに、法で定めている地方いじめ防止基本方針、学校いじめ防止基本方針、いじめ問題対策連絡協議会についての対応を伺います。

(2)いじめのない学校と社会を

 共産党は、いじめのない学校と社会をー日本共産党の提案を発表し(1)いじめは人権侵害であるということ。(2)憲法と子どもの権利条約をふまえ、子どもは、いじめられずに安全に生きる権利をもっていること。(3)学校及び教育委員会をはじめとする行政の、子どもにたいする安全配慮義務。(4)教育の自主性を大切にしながら、子どもの命最優先でいじめに機敏に集団的に対応する学校の責務。(5)いじめる子どもへの対応の基本を、いじめをしなくなり、人間的に立ち直るための、徹底した措置とケアとすること。(6)隠蔽を根絶するために、被害者、遺族等の、真相を「知る権利」を保障すること。(7)いじめ被害者に対する医療・教育のための予算措置、「35人学級」の完成、養護教諭などの増員など、行政に教育諸条件の整備を義務付けること。(8)重篤ないじめのケースに対応する、国レベルの「いじめ防止センター」(仮称)を設立すること。を提案しています。

 1つに、千葉市のいじめの実態・課題はどうか伺います。

 2つに、「子どもの命最優先で対応する」ことについてです。

 他市の例ですが、ある中学校で、金曜日の昼休み午後から教育委員会が視察する研究授業を控えているときに、生徒が「実はいじめられている」と担任の先生に打ち明けたそうです。しかし、先生は、「大丈夫か?」と聞き、その後「忙しいから来週しっかり話を聞く」と話したそうですが、その週末には自死したケースがあったようです。子どもの命を守れなかった先生の気持ち、先生の言葉を待つ余裕もなかった生徒の気持ちを思うと、いたたまれません。

 子どもが担任の先生に打ち明けた時は、すでにいじめは深刻化・進行していると、関係者は指摘しています。子どもの命最優先という当たり前のことが本当に現場で行えるためには、そのための体制の保障が必要です。

 6月議会のわが党の野本議員の代表質問で、こうした提案に沿って問題提起されましたが、教育委員会は、「対策を図っている、研修している」という答弁でした。きちんと対応できていれば、それに越したことはありません。他市のケースは、決して他人ごとではないと思います。教育現場は日常業務に追われ、個々に応じた対応を図るだけで長時間労働、過酷な勤務を強いられています。果たして、千葉市では、子どものわずかなサインも見逃さずに、いじめを未然防止し、命最優先で対応できる体制が整っているでしょうか。

 3つに、いじめ対応のための体制についてです。

 いじめの対応をしていくには体制の整備が必要になります。

 1.困難なケースを抱えている学校や大規模校にいじめ対応専任の先生の配置を図ることによって早期解決につながり、担任の先生をはじめとした負担軽減ができるかと思いますが見解を求めます。

 2.スクールカウンセラーは中学校を中心に行なわれていますが、小学校でも対応できるようにすべきではないか伺います。

 3.児童相談所の拡充も切実な課題です。職員体制の充実を求めます。 

 4.いじめ防止対策推進法第18条では「心理、福祉等に関する専門知識を有するものであっていじめの防止を含む教育相談に応じる者の確保、いじめへの対処に関し助言を行うために学校の求めに応じて派遣されるものの確保」がかかげられています。

 5.学校や教育委員会から独立した第三者的な公的な窓口が必要と考えます。

これら5点について、どう進めていくのか見解を求めます。

 4つに、財政措置についてです。

 同法第10条には、「国及び地方公共団体は、いじめの防止等のための対策を推進するために必要な財政上の措置その他の必要な措置を講じるよう努めるものとする」と定めています。先ほど述べた人員確保など市として必要な措置をどう講じていきますか。

2.健診について

 健やか未来都市ちばプラン案が、パブコメを終了し、今後、計画が示されます。

 千葉市民が健やかに暮らしていくためには、病気の早期発見・早期治療が大切で、健診の役割は重要となっています。そこで伺います。

 1つに、千葉市では健診をどう位置付けているのか、受診率何パーセントを目標としているのか、その根拠についてお示しください。

 2つに、全ての対象者が、受診できるようにどう把握していますか。普及啓発も含めた取り組みをお示しください。

 3つに、施設入所者への取り組みについてです。

 先日、施設入所者が、がんの発見が遅れ亡くなられました。施設でがん検診などが行うことが、義務付けられていなかったからです。入所者の健診の実態はどうなっているのか伺います。

 4つに、生活保護受給者は、無料で健診を受けられますが、対象者は何人で何人受診し、受診率は何パーセントですか。受診の取り組みと対応について伺います。

 5つに、腹部エコーの検査についてです。

 特定健診やがん検診では、通常腹部エコーの検査は行われません。しかし、空腹で超音波での検査で、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、子宮、卵巣、前立腺など様々な臓器の異常を検出することができ、痛みを伴わない検査となっています。

 市として実施を検討してみてはどうか伺います。また、この検査の普及啓発を求めますがお答えください。

3.保育について

(1)子ども子育て支援法について

 2012年8月に子ども子育て支援新制度が、2015年から本格施行となります。この制度について6点の問題点が指摘されています。

 (1)施設利用は当面の間は市町村が利用者と契約するものの、保護者の自己責任による。(2)施設事業者は、給付額の高い利用者と結ばなければ経営が厳しくなること。株式会社は、経営者の裁量で人件費を低く抑え、その利潤を株主配当が可能になること。(3)保育の必要度別に「公定価格が設定され、」追加徴収が可能となり保育料負担が増える。(4)経営者が経営を優先するあまり、低所得者家庭や障害児が排除されかねない。(5)保育する場所で保育条件が多様化する。保育需要の高い地域の市町村は、施設事業者に対する保育基準を低下させかねず、地域型保育の認可基準は自治体次第。(6)市町村が社福・株式会社と連携して保育所をつくることができ、公立の民営化、統廃合、企業参入が加速する。以上6点について市の見解を求めます。

(2)国の動向について

 子ども子育て会議基準検討部会で、小規模保育事業は有資格者が半数でも、一定の研修をすれば認めると言われています。これで、保育の質の低下を招くことにならないのか伺います。

(3)待機児童解消策と質の確保について

 保育所の待機児童解消は待ったなしの課題です。国も市も待機児ゼロを掲げた政策を進めていますが、認可保育園を増やすというより、現在ある認可外保育園を認可するために基準を緩和するような整備で、本当に保育の公的責任を果たし、質の確保ができるのか懸念されます。

 1つに、現在の待機児童は何人か。

 2つに、庭のない、もしくはあっても狭い保育園について伺います。

 近くに公園が、あっても、歩道がないため、利用せず、子どもたちは水筒を持ち交通量のある道路を渡って、十数分歩いて別の地域の公園まで出かけていると伺いました。市は、こうした実態をどう認識し、子どもたちが安全に遊ぶことができる環境をどう確保するのか伺います。

 3つに、高架下の保育園の件を質問した際、市は「保護者には好評だ」と答弁しました。3歳以上の入所定員と入所児童数をお示し下さい。

 4つに、待機児3歳未満児が圧倒的多数を占める中で、静岡市では希望した保育所に入れるまでの間、保育を保障するため、ゼロ歳から3歳までを対象とする待機児童園を運営しています。市が、保育に欠ける子どもたちに対し、公的責任を果たす例として参考にすべきではないかと思いますが、見解を伺います。

(4)保育士の待遇について

 この間、待機児ゼロを掲げた横浜市の保育の状況について伺いました。

 市内の認可保育所の運営費の調査をしたところ、2011年度の人件費は、社会福祉法人が70.7%に対して、株式会社は53.2%だったことが明らかになりました。

 1つに、千葉市では株式会社が11、有限会社が1ありますが、人件費の占める割合はどうなっているのか、社会福祉法人はどのくらいか、明らかにして下さい。

 2つに、私は2012年6月議会で、保育をめぐる環境について総支出の人件費の割合が、42.5%と低い実態を示したところ、こども未来局長は「個別に十分な精査が必要」と答弁しています。いったいどのように、精査したのか明らかにして下さい。

 3つに、市は民間保育園の保育士一人当たりの給与を把握していますか。実態調査はされたのか、伺います。

(5)株式会社参入と監査体制について

 厚労省は、子ども子育て支援3法で2015年から株式会社参入をしていきますが、2年前倒しして通知を送付しているようです。

 1つに、千葉市は、この国の通知によって、参入を進めようとしているのですか。

 千葉市にある株式会社が経営する他市の保育園では、「園長をはじめ、保育士全員が退職し、保護者が不安を感じている。」「オープン予定も2か月遅れ、隣の産業廃棄物の処理施設は、いずれ移転すると聞いていたのに、そのままとなっている」「お散歩に連れていった子どもを忘れて保護されていた」など、耳を疑うような実態が次々と出されています。

 子どもたちが健やかに育つためには、保育をする「保育士」の役割は欠かせません。このような株式会社が、儲け本位で福祉の分野に進出するのを、千葉市が認めたことは、重大な問題だと指摘せざるをえません。

 保育の質や運営が適正に実施されているのか監査の役割は重要です。

 2つに、千葉市の監査体制と監査件数とそれぞれの経営体についての頻度はどうなっているのか伺います。

 3つに運営費以外が保育以外に流用している懸念があることについて伺います。

資金収支決算書では、経理区分間繰入金で、他園の建設費の弾力運用や経理などの人件費、株主配当、内部留保などの本部会計に流用されることが懸念されます。目的外で使用はあってはならないと思いますが、見解を求めます。

 4つに、監査では、2012年6月議会では、「個々の職員に適切な給与等が支給されているか確認している」と答弁がありました。年収200万程度が適正だと思うのですか。

 5つに、株式会社の本部にまでは、監査は及ばず、これで果たして運営費が保育に関するものに使われるかチェックができないのではないですか。

4.花見川区の諸問題について

(1)検見川無線送信所跡地の活用について

 検見川の区画整理事業は30年目ですが平成24年度の決算は64%と遅々として進まず、地域住民からは、ぜひ市民に還元できる施設の整備が求められています。私は、無線送信所跡地の活用について、多目的ホールの設置を求める質問を先の2011年3月議会にて、行いました。答弁では、花見川区が集う場所について、花島・幕張コミュニティセンターのホールやほかの区の施設の活用がうたわれました。しかし、遠いために利用しにくいことや、コミュニティセンターの利用内容に制限もあり、花見川区の人たちが集える施設設置の願いは、切実です。

 200人ほどで延べ床面積1500平方メートル、概算で8億円との試算が出されました。地区ホール整備は、次期計画以降に先送りとなっていますが、その後市はどのように市民、関係者の意見を聴取し対応したのか伺います。

 検見川連合町会と検見川無線送信所跡地対策委員会は、自民・公明・民主・共産党と超党派の議員が関わり、平成19年度から、要望書を提出し、多目的ホールを求めてきました。今年度無線送信所の活用を検討する予算はつきましたが、その結果を待ち、それから旧中学校用地の活用にあたっての施設の整備計画を進めていては、もっと先送りされてしまいます。

 1つに、今後このテンポで進めて行ったら、一体何年先になりますか。

 2つに、送信所の結果待ちで事業を進めていくのではなく、送信所の活用方法についていくつか想定し、それに合わせて同時並行で、跡地の活用について検討を急ぐべきではないのか伺います。

 3つに、震災の影響から避難所として受け入れる施設になりうるような対策が加味されると思いますが、見解を求めます。

(2)マンション建設にあたっての周辺での風害対策について

 今年の6月から建物の絶対高さ制限が制定され、国道より陸側では高さ20メートル以上の建築物を新たに建設はできません。検見川3丁目のNTT跡地のマンションは、その前の駆け込み着工のために、10階建て30mを超える建設となり、風害が深刻化しています。6月議会で、環境改善を求めて陳情が出され、不採択となりましたが、今も「風の強い日は立っていられない」「シャッターが風で壊れる」「植え木が枯れる」などの被害は続いています。マンション建設前のシュミレーションでも、風の影響が予想されるとの結果が出ていました。しかし、住民が「被害」を訴えても、マンション建設が原因との立証は困難だとのことでした。今回は、議会への陳情後に行政・事業者が被害地域を回って、風害対策を検討しています。そこで伺います。

 1つに、マンションなどの建設に風量測定を行ない、建設後に影響が出た場合には、事業者に対応を図るよう行政が指導すべきだがどうか。

 2つに、風害対策として事業者が、植栽、防風パネルなど状況に合った対応を図るまで指導すべきですがどうか。

 3つに、世田谷区二子玉川再開発では、超高層ビルが林立し、風害で高齢者が転倒し骨折するなどの被害が出ており、区が専門家集団のアドバイスを受けながら、風量測定、風害対策として植栽・防風パネルなどを講じています。行政として風量測定なども含め、住民の安全な暮らしを守るため、あらゆる手立てを講じるべきではないか伺います。

<2回目>

 2回目は、順番を変えて質問します。

1.健診について

 健診は、企業では最低限の検査しか受けない場合もありますし、生活保護受給者の受診率は4.9%で到底周知されてはいません。

 長野県松川村では、2011年度平均寿命男性の部門で82.2才と日本一です。高校生まで医療費が無料で、高齢者の働く場があり、保健補導員が全戸訪問し、健診の声かけや減塩の食事改善、健康学習に取り組み、40から64歳の特定健診の受診率も5年間で40%から55%となりました。隣の池田町では、5年前の54.6%から昨年度65%まで上がり、脳、心臓血管の病気が大幅に減って、昨年度は前年度より医療費が半分近く減りました。健診結果を丁寧に説明し、フォローする、健診の自己負担を軽減しているのです。その結果病気が減り、長生きし、医療費まで削減できる、こうした好循環がのぞましいと考えます。千葉市もこうした先進市に学び、市民の実態把握し、受診の働きかけを強化すべきです。お答えください。

2.花見川区の諸問題について

(1)検見川送信所跡地について

 質問では、何年先か、お答えがありません。地元要望をどれだけ勘案していますか。地元の合意形成には、時間を要します。千葉市が、今年度の文化財調査結果に基づき、施設の規模、概要、運営、財源、防災の視点と様々な面で検討するでしょうが、計画策定に盛り込む際、早めに情報提供し、地元住民と相談し、早期に着手するよう努力すべきではないか伺います。

(2)マンションの風害問題についてです。

 周辺住民は、様々な被害にあっても泣き寝入り状態が続いてきました。今回、陳情が提出され、住民の苦情が明らかになり、業者もようやく重い腰を上げました。行政は、風量測定する際の基準がないなら、建設前後に風量測定する基準を定めて指導することを盛り込むべきです。今回のことを教訓にして対策を講じるよう求めます。お答えください。

3.いじめについて

 いじめの解決には、少人数学級を実現する対策を講じることが、必要です。秋田県では、30人学級、特別支援学級をマンツーマンで行なうことで、問題がつかみやすいと伺いました。国の動向を見るのではなく、市として独自に予算を付けて、教員配置を進めることで、いじめ対策を講じることができると考えますが、見解を求めます。

4.保育について

 子ども子育て支援法では、公的責任を放棄し、株式会社の参入を助長し、保育の質の低下を招くものです。

 千葉市の保育指標では「太陽の子を育てる」と掲げていながら、この間進めてきたのは、ビルや高架下の日の当たらない保育園の整備が多くあります。

 園庭があることで、土や水に親しみ、外遊びが保障され、災害時には避難場所にもなります。待機児解消ありきではなく、庭のある保育園を整備し、子どもたちが安心して過ごせる環境を保障すべきと考えますがお答えください。

 株式会社の保育園の決算で、ある保育園では、昨年度より投資有価証券が1050万円増額され、昨年度オープンした園では2800万円の資金収支が出ています。市の運営費が本社に流入されても、市は指導、関与しているのでしょうか。本来は、保育の質を高めたり人件費に充てることが望ましいのではないでしょうか。横浜市では、保育士の給与が低いと認識し、待遇改善のための手立てを講じました。千葉市も保育士の仕事に見合うだけの待遇改善できるよう指導すべきではないですか。