あぐい武夫議員の一般質問と答弁

2013.9.26

【あぐい武夫議員】

 日本共産党千葉市団の安喰武夫です。一般質問を行います。

1.公契約条例の制定について

 まず、公契約条例の制定について質問します。

 公契約条例の第一の目的は、自治体が発注する公共工事や委託業務などに従事する労働者の賃金の下限額(かげんがく)を、最低賃金法が定める金額よりも高い水準に設定し、受注者に対して、その金額以上を支払うよう求めることです。そのことによって、賃金の底上げをはかり労働者の生活を守り、公共工事や公共サービスなどの質を確保し、市民生活の向上をめざすものです。

 スクリーンにあるように現在、野田市を皮切りに、川崎市や相模原市など全国で7自治体が制定しています。

 こうした条例が制定される背景には、長期不況の中で労働者の賃金が下がると同時に、行政改革などで公共工事や公共サービスに携わる労働者の賃金も低下し、それに伴う、公共工事などの質の低下の問題があります。そうした中で、全国では、体育館の屋根の落下事故や市営プールでの死亡事故などが起こっています。

 スクリーンにある通り国土交通省の資料でも公共工事設計労務単価は年々下がっていることを示しています。全産業の男性労働者の賃金と比べても、建設業の男性労働者の賃金は、26%も低くなっています。これに合わせるように、建設職人のなり手も減り、いま、建設業界では、後継者の育成などで危機感を強めています。

 本来であれば、国が公契約法を制定し、対応するべきです。全建総連(全国建設労働組合総連合)の調査によると今年7月17日現在、公契約法等を求める意見書採択または条例を制定した議会は903議会となっています。それにもかかわらず、いまだに公契約法は実現していません。

 日本で最初に公契約条例を制定した野田市は、国への法律制定を強く求めていましたが、国の制定を待つのでなく、地方から国を動かす立場で、全国に先駆けて公契約条例を制定しました。そこで、伺います。

 公契約条例が7自治体に広がった背景について、市はどのようにとらえているのでしょうか。

【財政局長答弁】

 過度の競争による低価格入札が、労働者や下請け業者の賃金にしわ寄せされ、公共工事の品質や施設のサービスに影響を及ぼすといった問題意識が背景にあると考えております。

【あぐい武夫議員】

 まさに、その通りです。公共工事や公共サービスの現場で働く労働者の実態を放置していては、労働者の生活だけでなく、公共工事や公共サービスの質も守ることはできません。そこで、伺います。

 千葉市が発注した公共工事や委託業務などに従事する労働者の賃金や労働条件、社会保険への加入などについて、法律に基づいて行われるよう、市はどのような対策をとっているのでしょうか。

【財政局長答弁】

 契約締結時に、受注者に対し「従事する職員の賃金や労働条件について、最低賃金法などの労働関係法令を遵守する」旨の誓約書も提出を求めております。また、市の「下請けの適正化に関する指導指針」において、元請け業者に対し、雇用保険、健康保険及び厚生年金に加入し、保険料を適正に納付すること、健康保険や厚生年金の適用を受けない労働者に対しても国民健康保険や国民年金に加入するよう指導に努めること、また、すべての下請け労働者に対しても同様の措置をするよう指導や助言、援助を行うことを指導しております。

【あぐい武夫議員】

 それで、問題がなければいいわけですが、そうとはいえません。

 実際の現場では、下請けが何重にもなる「重層下請構造」となっている状況があります。そのために、生産性の低下や労務費へのしわ寄せ、施行責任の不明確化、品質低下などの問題が発生しています。

 受注者に「誓約書」を提出させたり、元請業者を「指導指針」で指導・援助するということですが、「誓約書」や「指導指針」通りに、実際に行われているのかどうか、どのように確認をしているのでしょうか。

【財政局長答弁】

 労働条件や賃金の支払い状況等の確認につきましては、膨大な資料提出や点検が必要であり、事業者と市の双方に業務量と処理コストが増加することから、実施しておりませんが、労働者から相談等があった場合には、調査を行って参ります。

【あぐい武夫議員】

 確認しなければ、実態がどうなっているのかわかりません。もちろん、現場の労働者が労働関係法令に基づいて働いているところはあると思いますが、現実は甘くはありません。国土交通省は「建設産業の再生と発展のための方策2011」の中で「重層下請構造は、間接経費の増加による生産性の低下・労務費へのしわ寄せ、施工責任の不明確化・品質の低下、安全指示の不徹底等による安全性低下といった問題を生じさせ、結果として経済的に不合理との指摘がある」とのべ、改善の必要性を認めています。その国土交通省が今年の3月29日に、「平成25年度公共工事設計労務単価」の公表に合わせ、各都道府県知事や政令指定都市市長、建設業団体の長に対して「技能労働者への適切な賃金水準の確保について」との文書を発表しました。また、4月8日に、「『平成25年度公共工事設計労務単価について』の運用に係る特例措置について」との文書を発表しました。この2つの文書について、わかりやすく基本点をお示し下さい。また、この2つの文書に基づき、千葉市はどのような対応をしているのでしょうか。

【財政局長答弁】

 2つの文書は、平成25年度の「公共工事設計労務単価」が前年度と比べ、大幅に上昇したことから、適切な価格での契約及び技能労働者等への適切な水準の賃金の支払い等を促進するため、国が各自治体に対し、新しい労務単価の早期適用などを求めたものであります。市の対応としましては、国に準じて新労務単価に係る特例措置を実施し、4月1日以降に市と当初契約を締結した工事等のうち、千葉市積算基準に基づき、旧労務単価で予定価格を積算したものについては、新労務単価による契約に変更するための協議を市に対し請求できることとしたものです。

【あぐい武夫議員】

 「『労務単価』が前年と比べ、大幅に上昇した」とのことですが、スクリーンにある通り、国は下げ続けていた「労務単価」を今年度は、職種によって違いはありますが、約15%引き上げました。2つの文書は、この新「労務単価」を自治体に徹底させ、旧「労務単価」で積算したものは新「労務単価」に変更するよう求めたものです。

 「労務単価」が上がったことは重要なことですが、大切なことは、公共事業や業務委託の質が確保され、現場の労働者の生活を守る賃金や労働条件が保障されることです。そのためには、法的な裏付けが必要です。本来なら国が公契約法を制定すべきです。しかし、それを待っているだけでは事態は変えられません。

 野田市の根本市長は議会で「条例制定後、最低賃金ぎりぎりの清掃業務の賃金引き上げなどの成果があった」とのべ、「野田市が先鞭をつけたという点で、川崎市、相模原市、多摩市で条例が制定され、少しずつ動きが広がっている」と報告しています。千葉市でも公契約条例が必要です。

 ところが、今年の第2回定例会での野本議員の代表質問に対して、民間企業への影響などさまざまな課題があることや、労働関係法令を遵守するよう指導していることから、考えていないという答弁でした。そもそも、公契約法や公契約条例は必要ないということでしょうか。

【財政局長答弁】

 労働者の賃金等、労働条件については、すべての労働者に対し、措置されるべきものであることから、国の法令整備によるべきであると考えております。

【あぐい武夫議員】

 繰り返しますが、国の公契約法制定を待っているだけでは、労働者の生活も公共工事などの質も守ることはできません。実際に公契約条例を制定し、成果を上げている自治体があるわけですから、千葉市も行動すべきです。

 国が今年度の公共工事設計労務単価を引き上げたのは、ダンピング受注の激化や労働者の賃金低下、建設労働者の減少などの要因もありますが、地方での公契約条例の制定など、地方からの動きも影響しています。全国初の野田市の公契約条例は、国が動かなければ、地方から国を動かそうという意義がありました。

 千葉市が国に公契約法の制定を求めているのであれば、千葉市も国を動かす立場に立って、何らか行動すべきです。お答えください。

【財政局長答弁】

 札幌市では、継続審議となっていた公契約条例案が、賃金格差が生じるなどと業界団体から等から強い反発を受け、撤回されたと伺っております。条例制定については、さまざまな観点に立ち、慎重に対応する必要があると考えております。

【あぐい武夫議員】

 慎重に対応するのは当然ですが、苦労している自治体があったからといって、一歩も足を踏み出さない理由にはなりません。公契約条例の制定は、労働関係法令を守らず、現場の労働者にしわ寄せする事態を打開しようという大義と道理のある取り組みです。わが会派は、2011年第2回定例会で公契約条例制定検討委員会設置条例を提案しました。公契約条例を制定するために、その第一歩として、建設事業者と建設労働者・団体を含む、公契約条例の制定を検討するための審議会を発足させることを提案します。

【財政局長答弁】

 審議会の発足については、考えておりませんが、関係団体等の要望・意見については、今後も把握して参ります。

【あぐい武夫議員】

 意見・要望を把握するだけで、足を踏み出さなければ、何にもなりません。関係団体の要望・意見は明確です。公契約条例の制定です。この切実な思いを受け止めて、その第一歩を踏み出すべきです。

 地方から国を動かす取り組みが生まれているわけですから、千葉市も第一歩を踏み出すことを重ねて強く求めておきます。

2.学校の普通教室へのエアコン設置について

 次に、学校の普通教室へのエアコン設置について、伺います。子どもたち、保護者をはじめ、学校関係者からの切実な願いです。

 学校へのエアコン設置については、22年前の1991年第1回定例会で、わが党のふくなが議員が音楽室へのエアコン設置を求めて以来、一貫して追求してきました。その後、2001年第3回定例会の野本議員の代表質問では「公共施設は全部エアコンがあり、家庭でもかなり普及している」と指摘し、教室へのエアコン設置を計画的にすすめるよう提案しました。当時の教育長は、「コンピューター教室,校長室,事務室は,平成12年度で設置が完了しており,現在,保健室,カウンセリングルーム等を優先的に設置しているところで,教室の設置については,今後の課題とさせていただきます」と答弁しています。

 それから12年が経ちました。その間に、他会派の議員のみなさんからも、学校へのエアコン設置を求める質問が行われました。

 私も2011年第3回定例会の一般質問で、エアコン設置を求めましたが、「校舎などの耐震化を最優先課題としてすすめているので、現在のところ予定はない」との答弁でした。ところが、今年の第2回定例会では、野本議員の代表質問で、学校の耐震化が来年度完了することを踏まえ、次の課題としてエアコンの計画的な設置を提案しました。しかし、今度は、校舎の外壁や屋上防水、消火栓などの老朽化への対応を理由に「エアコン設置の予定はない」との答弁でした。

 10年以上前は、特別教室などへの設置が最優先と言い、耐震化の実施中は、耐震化が最優先と言い、それにめどがつくと、校舎の老朽化の改修が最優先だと言うわけです。そこで伺います。

 普通教室へのエアコン設置についての答弁を振り返ると、次々と優先課題が変わり、エアコン設置は後回しになっています。結局、「エアコンは設置しない」との立場なのでしょうか。

【教育次長答弁】

 現在、児童生徒等の安全性の確保を最優先に、学校施設の耐震化を1年前倒しし、事業を進めていることから、普通教室へのエアコンの設置は困難な状況ですが、児童生徒のより良い学習環境の実現に向け、優先度の高い学校から、順次、音楽室にエアコンの設置を進めております。

【あぐい武夫議員】

 結局、「普通教室へのエアコン設置は困難」としか、答えないのは問題です。展望を語るべきです。普通教室へのエアコン設置は、子どもや保護者、教職員からの切実な願いです。日本共産党市議団の市民アンケートには、「エアコンをつけてほしい。最近の高温は異常であり、暑い教室で集中できるはずがない(花見川区40代)」「これだけ気温が上昇しているのだから、教室へのエアコン設置は、耐震化の次に実施すべきだ(花見川区60代)」「先日、授業参観に行った際、保護者みんな声をそろえて『あつーい』だった。これでは、子どもたちが熱中症になる心配があるし、勉強に集中できないと思った(中央区30歳代)」などの声が寄せられています。

 私も、この間、多くの方から、率直な声をお聞きしました。

「夕立や光化学スモッグのとき、窓を閉めるので蒸し風呂状態になる」「壁掛けの扇風機が2台あっても、風が届かない。届いても熱風しかこない」「床が冷たいので、寝転ぶ子どもがいる」「朝から30度を超えていて、勉強に集中できない」「気分が悪くなって、早退する子もいる」「体育が終わっても、涼しいところで休めない」「7月に入ると、体調を壊すことが多くなった」など、上げればきりがありません。

 このような率直な声に対して、どのような感想をお持ちでしょうか。

【教育次長答弁】

 温度が高いため、授業に集中しにくい、体調を壊しやすいなどの意見、要望があることは承知しており、そのため、子どもの体調によって水分補給その他、一人ひとりの健康面に配慮していくことが大切だと考えております。

【あぐい武夫議員】

 学校は勉強をすることが第一の目的です。ところが、その学校で、「授業に集中できない」「体調を崩しやすい」ということは、異常な事態になっているということです。その原因は明確です。高い気温と湿度です。

 普通教室が劣悪な環境であることは、誰もが認めるところです。子どもたちが勉強する上で、教室の気温や湿度などの環境は大変に重要です。そのために、文部科学省は、学校保健安全法に基づき、「学校環境衛生基準」を定めています。この基準では、温度と湿度は、どのような数値となっているでしょうか。

【教育次長答弁】

 教室等の温度は、10度以上、30℃以下であること、また、湿度は30%以上、80%以下であることが望ましいと示されております。

【あぐい武夫議員】

 この基準内にあっても厳しいと思います。例えば、気温29度で湿度75%の場合、不快指数80を超え、全員が蒸し暑さを感じます。部屋の環境は、学校に限らず、どこでも重要な問題です。国は、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」に基づき「建築物環境衛生管理基準」を定めています。この基準は、多くの人が集まる百貨店、店舗、事務所、学校など「特定建築物」に対して適用されます。学校の場合は、延床面積8,000平方メートル以上が対象なので、市内の小中学校は小さいため対象とはなっていません。しかし、この法律は、特定建築物以外に対しても、努力義務として求めています。この「建築物環境衛生管理基準」では、温度と湿度はどのような数値になっているでしょうか。

【教育次長答弁】

 建築物に空気調和設備を設けている場合は、居室における温度を17度以上、28度以下とし、居室における温度を外気の温度より低くする場合は、相対湿度は40%以上、70%以下に適合するよう空気を浄化し、その温度、湿度又は流量を調節して供給をすること、と定められております。

【あぐい武夫議員】

 この基準内であれば、それほど苦になりません。これが、エアコンを設置した場合の一般的な基準となっています。省エネのために室温28度が奨励されているのも、この基準からです。本来であれば、学校の普通教室でもエアコンを設置し、この基準を適用して快適に過ごせるようにすべきです。しかし、エアコンがないために、千葉市の夏は、教室を劣悪な環境にしてしまいます。そこで、千葉市の夏の客観的な状況について確認したいと思います。

 千葉市において、気温29℃以上で湿度71%以上の日は、夏休みの期間を除いて、年間、どれくらいの日数があったのか。また、30度以上で80%以上の日はどれぐらいあったのか。昨年までの3年間と今年について、気象庁のデータでお示し下さい。

【教育次長答弁】

 気象庁のデータによりますと、気温が29度以上で湿度が71%以上の日は、2010年は24日、2011年は38日、2012年は26日、2013年は21日で、また、気温が30度以上で湿度が80%以上の日は、2010年は1日、2011年は5日、2012年は5日、2013年は2日ありました。

【あぐい武夫議員】

 気温29度以上湿度71%以上の日が、夏休みを除いて7月と9月を中心に毎年、20日から30日は発生しています。気温30度以上で湿度80%以上の日は、かなり過酷な事態ですが、2011年と2012年には5日も発生しています。

 さらに、光化学スモッグ注意報の時は、窓を閉めなければならず、教室は大変な事態となります。スクリーンをご覧ください。今年は8回発生しています。うち4回は7月8日(月)から11日(木)までの4日間、連続して発生しました。気温は32.8度から34.5度、湿度は73%から76%の範囲でした。発生時間は早い日で11時20分からでした。注意報が解除されるのは早い日で、午後3時20分でした。ちょうど授業時間と重なっています。このような状態の中で勉強に集中できなくなるのは当然です。同時に、心配しなければならないのが熱中症の危険です。幼児・学童は体温調節機能が未発達であるために、低学年になるほど注意が必要です。

 教室での熱中症対策はどのようにしているのか。また、これまでに、教室で熱中症になった事例はないのか。

【教育次長答弁】

 各学校では、特に気温の高い日には、普段にも増して丁寧に健康観察を行い、一人ひとりの子どもたちの健康状態を的確に把握するとともに、こまめに水分を補給させるなど、熱中症予防に努めております。なお、本年度、熱中症の疑いと診断された報告は中学校1件です。

【あぐい武夫議員】

 熱中症の疑いが1件でもあったということは、本当に注意が必要です。

 教室で子どもの熱中症に注意しながら、授業をしなければならない先生も本当に大変です。保護者も、わが子が熱中症にならないか、心配でなりません。そして当事者である子どもたちが一番、過酷な環境にあるといわなければなりません。

 まさに生存権にかかわる問題です。私は2011年第3回定例会の質問でも指摘しましたが、憲法25条の「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」との条文に反する問題です。また、子どもの権利条約の第3条では、「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする」としております。子どもたちの最善の利益を考慮するならば、こんな劣悪な環境の中で勉強させてはなりません。

 このような認識があるのかどうか。子どもたちにもわかるように、お答えください。

【教育次長答弁】

 児童生徒一人ひとりが、いきいきと学校生活を送るために、学習環境の整備を図ることの大切さは十分承知しておりますが、現状の環境が必ずしも劣悪とは考えておりません。

【あぐい武夫議員】

 「劣悪な環境ではない」との認識は、あまりにもひどい答弁です。「劣悪」とは、どの辞書を見ても明らかなように、ひどく劣って、悪い状況を表す言葉です。ほとんどの家庭や仕事場、事務所にエアコンがある時代に、エアコンがないこと自体、大問題であり、しかも、教室は、気温が29度以上で湿度71%以上の日が、夏休み以外でも毎年20日以上となっています。今年は、夏休み以外で、最高気温が30度を超えた日は22日もありました。こういう中で、エアコンがない環境を「劣悪な環境」というのが常識です。認識を抜本的に変えることを求めます。お答えください。

【教育次長答弁】

 児童生徒にとって適切な教育環境を整える必要はありますが、現状の環境が必ずしも劣悪とは考えておりません。

【あぐい武夫議員】

 あくまでも認めたくないという答弁ですが、本当にそんな認識でいいのでしょうか。子どもたちや保護者のみなさんの前でも、堂々とこんなことがいえるんですか。

 繰り返しますが、憲法25条の生存権の観点からいってもエアコンは、今や必需品です。子どもの権利条約3条の「児童の最善の利益が考慮されるものとする」との観点からいっても、エアコンを設置してあげることが求められています。それにもかかわらずエアコンを設置しないで、猛暑の中、勉強させることは、子どもたちを「劣悪な環境」に置いていると言わざるを得ません。本来、こうした憲法や条約を持ち出さなくても、常識から言って、「劣悪な環境」と認識できるはずです。

 結局、猛暑の中で、がまんしながら勉強している子どもたちのことを本気で考えていないということです。その誤った認識を変えることを重ねて強く求めておきます。

 しかし、認識がどうであれ、子どもたちを熱中症の危険にさらさないことはもちろん、快適な環境の中で勉強に集中してもらえるようにすることが市の責任です。このまま普通教室の劣悪な環境を放置するようでは、次代を担う子どもたちを育てる学校の役割を果たすことはできません。ほどんどの家庭に普及しているエアコンの設置はまったなしの課題と位置づけ、取り組むべきです。お答えください。

【教育次長答弁】

 普通教室へのエアコンの設置は困難な状況ですが、現在、室温を下げるため、老朽化した屋上防水シート等の改修にあわせて、断熱材入りの防水シートへの張り替えや既存の防水シートに遮熱効果のある塗料の塗布、また、昇降口等にミストシャワーを設置するなどの対策を講じ、教育環境の改善に努めております。

【あぐい武夫議員】

 断熱材入りの防水シートやミストシャワーなどの設置は、ただちに行うべきです。しかし、抜本的な対策ではありません。普通教室の環境悪化の中で、苦しんでいるのは子どもたちです。子どもたちに責任をもつ、行政がエアコン設置の検討を避けてはなりません。国は補助金を設けて、エアコン設置を位置付けています。政令市では、さいたま、川崎、横浜、京都の各市が、県内でも市川、船橋、浦安、成田の各市が設置しています。第2回定例会の代表質問でわが党の野本議員が提案したように、2,662の教室に約80億円で設置できるわけですから、4年間なら年20億円でできます。国の補助金が入ればさらに、引き下げることができます。時代を担う子どもたちのためには、予算を優先的に使うべきです。それとも、子どもたちよりも、大型開発の方が優先されるのでしょうか。お答えください。

【教育次長答弁】

 厳しい財政状況の下、児童生徒等の安全性の確保を最優先に、学校施設の耐震化を1年前倒しし、事業に取り組んでいるところです。

【あぐい武夫議員】

 わが会派は今年の第1回定例会で、蘇我スポーツ公園の整備について、「未整備区域の用地と施設整備計画で約117億円を投入しようとしており、これだけの税金を投入してまで実施しなければならないのか」と追及しました。市民のみなさんは、117億円も使うなら、児童・生徒のために、約80億円でできるエアコン設置を優先させるべきだ」と思うはずです。「厳しい財政」を持ち出して、児童・生徒にがまんを押し付けるべきではありません。最後に、子どもたちの素朴な疑問を踏まえてお聞きします。いま、ビルや家が新築されれば、エアコンは当然設置されています。ところが、稲毛区の緑町小学校は改築され、屋上に太陽光発電設備まで設置されましたが、エアコンはありません。「ぜなのか?」と疑問が生まれるのも当然です。また、市は太陽光発電設備の設置のために学校の屋上を貸出し、電気をつくり、収入を得る取り組みを始めています。それにもかかわらず、学校の普通教室にはエアコンを設置する計画はありません。まったく道理のないやり方です。これでは、子どもたちも納得することはできません。小学校低学年からなど計画的な設置を検討すべきです。子どもたちも納得できる答弁を求めます。

【教育次長答弁】

 エアコンの設置については、児童生徒の学習・生活の場として、健康的で豊かな施設環境を確保するため、すべての学校の保健室や図書室、コンピュータ室などの特別室等への設備が完了しており、現在は、音楽室への設置を順次進めているところです。

【あぐい武夫議員】

 それは、繰り返しの答弁でわかっていることです。音楽室の次は、普通教室への設置を計画的に進めればよいことです。これでは、子どもたちも、まったく納得できません。どんな角度から質問しても、普通教室へのエアコン設置に一歩も踏み出そうとしない答弁は、何重にも道理にあわないことです。

 いま、エアコン設置問題は、「教育とは何か」が問われる重大な問題になっていると思います。もう一度、普通教室の実態と、児童・生徒、保護者、教職員のみなさんの切実な思いに耳を傾け、学校の役割の発揮と子どもたちの未来のためには、エアコン設置は避けて通れない課題であるとの認識に立つべきです。このことを再度、強く求めて質問を終わります。

以上