あぐい武夫議員の一般質問と答弁

2013.12.10

写真【あぐい武夫議員】
 日本共産党千葉市議団のあぐい武夫です。
 秘密保護法案が12月6日、廃案や慎重審議を求める圧倒的多数の国民の声を無視して、自民党・公明党によって、参議院本会議で強行採決されました。日本共産党市議団は断固抗議するとともに、多くの国民とともに撤廃を求めて奮闘するものです。
 それでは、通告に従い一般質問を行ないます。

1、公共施設見直し方針(素案)について
 まず、公共施設見直し方針(素案)についてです。
 国は、人口減少や少子高齢化などを踏まえ、現在の拡散的な市街地を見直し、集約型都市構造への転換を提起しています。その中で、公共施設の見直しも課題としています。千葉市は2012年1月、人口減少や少子高齢化、厳しい財政状況を踏まえ、「市の資産を貴重な経営資源ととらえ、統合・貸付・売却などを含む、いっそうの有効活用を図る」として、「千葉市資産経営基本方針」を策定しました。その中で、「資産経営の基本的な考え方」につて、3つの方向を明らかにしています。
 第1は、異なる用途の共同利用などの複合化や、複数施設の集約化などの効率的な利用をすすめること、第2は、余剰となる施設について、売却などの処分を行い、資産総量の縮減をすすめること、第3は、引き続き活用する資産について、計画的な保全を推進し、施設の長寿命化をすすめることです。
 第1と第2の「基本的考え方」は、公共施設を減らすというものであり、これに基づき今年9月、「千葉市公共施設見直し方針(素案)」が発表されました。
 この方針(素案)では、学校や保育所、公民館、図書館、コミュニティセンター、市営住宅など870もの主要な公共施設を対象に、30年間で総延床面積240.7万平方メートルの約15.7%を縮減し、約202.9万平方メートルとすることを目標に掲げています。
 その中で、「公共施設」について、わざわざ「公共施設(ハコモノ)」と記述しています。一般的に「ハコモノ」とは、莫大な税金を投入したにもかかわらず、採算の合わないムダづかいの建物のことを、揶揄して言った言葉です。こうした「ハコモノ」を積極的につくることをすすめている行政は、「ハコモノ行政」と批判されています。こうした言葉をあえて使っています。減らすやり方は、法的に目的や役割が異なっているにもかかわらず、公共施設を一緒くたにして、類似していることや近くにあることなどを理由に、統合や複合、売却などをすすめることです。
 結局、「公共施設見直し方針(素案)」は、人口減少や少子高齢化、そして厳しい財政状況が将来も続くことを大前提に、「資産経営」の観点から、市民に一番身近な公共施設を「ハコモノ」扱いし、30年後を念頭に減らして行く方針と言わなければなりません。千葉市の街づくりにとって、大きな政策転換であり、多くの市民を巻き込んで考えるべき重大な問題です。そこで、質問します。
 千葉市として、この方針(素案)につて、9月13日から10月15日まで、市民への意見募集をしました。9人の方から意見が寄せられています。公民館やコミュニティセンターなどは多くの方が利用していますが、なぜ、9人しか意見を寄せなかったのか。お答えください。

【財政局長】
 公共施設見直し方針(素案)についてお答えします。
 公共施設見直し方針は、具体的な個々の施設のあり方について言及したものではなく、今後30年間を見据えた、公共施設全体の見直しの基本的な考え方と方向性を示すものであるため、少人数の意見となったものと考えています。

【あぐい武夫議員】
 多くの人が意見を寄せなかったということは、この方針(素案)について、知らなかったということです。ホームページや市政だよりで発表しても、すぐに多くの人の認識にはなりません。知ってもらうには、知らせる努力と時間が必要です。
 方針(素案)発表直後から、わずか1か月間の意見募集では、意見を寄せる人が少ないのは当然です。これでは、方針(素案)に対する意見を聞いたことにはなりません。多くの市民の意見を聞く努力を、これからしていかなければなりません。ところが、その点で不安があります。
 公共施設見直し方針(素案)の対象施設は870もあり、ほとんどの市民が利用者、または関係者と言えます。まさに、市民全体の問題です。
 ところが、今後のスケジュールでは、今年度末までに方針(案)とし、来年度初めにパブリックコメントを取り組み、方針として決定する予定です。
 これでは、「家庭ごみの有料化」のように方針を決めてから、広く市民に説明する流れになる危険性があります。すべての市民に知らせ、市民を巻き込んだ慎重な議論ができるようにすべきです。お答えください。

【財政局長】
 公共施設の見直しにあたっては、市民や施設利用者のご理解、ご協力を得ながら進めていく必要があるものと認識しております。
 そのため、附属機関である資産経営推進委員会での審議状況や、総合評価の結果について、市ホームページ等により周知を図っております。
 また、今後、見直し方針(案)についてパブリックコメントを実施するほか、具体的な施設の再配置を進めるためのアクションプラン策定時における意見募集方法等につきましても、今後、検討して参ります。

【あぐい武夫議員】
 見直し方針(素案)への意見募集の教訓を踏まえれば、ホームページや市政だより中心では、多くの市民に広がりません。870もの施設は、どれも市民にとって、もっとも身近な施設です。施設利用者に直接知らせ、方針を決める前に、市民の声を十分に聞くべきです。「家庭ごみ有料化」のように、方針を決めてから、広く市民に説明するやり方は絶対におこなってはなりません。
 見直し方針(素案)は、策定過程だけでなく、内容的についても明らかにしなければならない問題点があります。
 そもそも地方自治体は、地方自治法に明記されているように「住民の福祉の増進を図ること」が基本です。その仕事を取り組むうえで、各種の公共施設が整備され、その役割を果たしてきました。そして、地域に深く根付いてきました。とくに公民館は、ほぼ中学校区に48館あり、もっとも身近な施設として、地域に根差してきました。
 稲毛区の都賀公民館には、「都賀公民館のあゆみ」として公民館の歴史を年表にして張り出しています。歴代の館長や、その時々の公民館まつりなどの取り組みが書き込まれています。地域に深く根差してきた公民館ということがよくわかります。
 この方針(素案)に対して、わが党の中村議員は代表質問で、「資産経営の観点だけで縮減するのは、地方自治法の『住民福祉の増進』の観点が欠如しているのではないか」とただしました。ところが、「公共施設の大半が老朽化しており、すべてを維持するのは困難」との答弁で、結局、資産経営の観点からの取り組みと言わなければなりません。改めて質問します。
 地方自治法が位置づける「住民福祉の増進」とは、地域に暮らす人々のくらしを豊かに向上させることです。現在、公民館やコミュニティセンターなどの公共施設は、利用率の違いはあれ、地域住民が様々なかたちで利用し、「住民福祉の増進」に貢献してきました。それにもかかわらず、これらの施設を減らせば、住民のくらしに大きな否定的影響を与えることは明らかです。
 しかし、資産経営の観点では、こうした住民の福祉、くらしの問題点をとらえ、十分に議論することはできません。
 地方自治法が掲げる「住民福祉の増進」の観点から十分に議論できるようにすべきです。お答えください。

【財政局長】
 本市では、これまでに整備してきた小・中学校や保育所、コミュニティセンターなどの公共施設の多くが老朽化しており、今後、集中的に更新時期を迎えることから、保有している施設のすべてを維持することは困難な状況となります。
 そこで、適切な市民サービスを持続的に提供していくため、公共施設の見直しに計画的に取り組むこととしたものです。

【あぐい武夫議員】
 結局、「老朽化しているから、すべてを維持するのは困難」との認識から一歩も出ていません。「資産経営」を最優先にしているからです。市民のくらしを守るために、財政をどうやりくりするのか、という発想ではなく、財政が厳しいから市民には、我慢してもらうとの発想です。地方自治体の基本は、市民に我慢を求めることではなく、住民福祉の増進を図ることです。この地方自治法の基本原則に立ち返るべきです。
 この問題は、推進体制にもあらわれています。
 公共施設見直し方針(素案)では、推進体制として、意思決定機関である資産経営会議と、調査審議し市長に意見を述べる資産経営推進委員会が位置づけられています。資産経営会議は市長、副市長、総務、財政、総合政策の各局長で構成し、推進委員会は、経営学や建築学などの学識経験者6人と公募市民2人が委員となっています。この構成メンバーからもわかるように、資産経営の観点からの議論が中心に成らざるを得ないと思います。
 公共施設には社会教育施設や福祉施設などがあります。しかし、なぜ、資産経営会議に教育長や保健福祉局長などを、また、資産経営推進委員会には、教育や福祉分野の学識経験者を参加させなかったのか。お答えください。

【財政局長】
 資産経営会議には、議題に応じて、施設を所管する局長等が出席し、意思決定過程における議論に参加しております。
 また、資産経営推進委員会については、個別の施設のあり方を議論するものではなく、本市の資産経営の取り組みに対して、特定の分野に偏らない立場で、総合的、俯瞰的な観点から助言、提言する付属機関として設置したものであるため、学識経験者として公共経営や建築等の専門家を委員としております。

【あぐい武夫議員】
 議題に応じて、教育長などが出席するといいますが、通常は、教育・福祉の観点で議論きる体制にないということです。
 870もの公共施設は、市民の教育・福祉・くらしにかかわる大切な施設です。ところが、その分野の専門家や関係者がいないところでの議論は当然、資産経営の観点からの議論になります。この点でも、自治体の仕事は住民の福祉・くらしを守るという原点に立ち返るべきです。
 公共施設を縮減するやり方にも、問題があります。公共施設見直し方針(素案)では、施設が隣接していることや用途が類似していることなどから、集約や複合化をしようとしています。
 公共施設は法律や条例に基づき設置され、それぞれの目的、役割が明確にされています。小中学校や公民館は教育基本法とともに学校教育法や社会教育法が、保育所は児童福祉法が根拠法となっています。コミュニティセンターには根拠法はなく、市のコミュニティセンター設置管理条例が根拠となっています。
 目的や役割が異なる公共施設を一緒くたにして、「隣接している」「用途が類似している」などとして、集約や統合することは問題です。例えば、公民館とコミュニティセンターの統合や、学校の空き教室に公民館やコミュニティセンターなどを入れることなどが想定されていますが、これでは、それぞれの施設の目的や役割が軽視される可能性があります。見解を求めます。

【財政局長】
 公共施設は、それぞれの目的や役割があって設置されておりますが、施設の設置目的は異なるものの、利用実態が類似した施設もあります。
 そのため、市民サービスへの影響に配慮しつつ、施設の立地特性や周辺施設の配置状況などを勘案しながら、類似機能の統合を含め、施設の効率性向上を図るための見直しが必要であると考えております。
 また、それぞれの施設の目的や役割の異なる施設の複合化を進めるに当たっては、動線や配置を工夫するなど、その目的や役割が果たせるよう、検討して参ります。

【あぐい武夫議員】
 「用途が類似している」と言いますが、見かけ上で、本質は違います。例えば、公民館もコミュニティセンターも部屋を借りるという点では、類似点はあります。しかし、公民館は、社会教育法で「実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする」と明記されています。
 一方、コミュニティセンターは、市の設置管理条例で「市民のコミュニティ活動のための施設」となっているだけです。目的は大きく異なります。それにもかかわらず、「用途が類似している」と言って、統合・集約などをすることは乱暴なやり方です。その発想はやめるべきです。
 次に、見直し方針(素案)の前提条件に矛盾があるという問題です。
 見直し方針(素案)は30年後を念頭に、人口減少、少子高齢化、税収の減少を大前提に、公共施設の縮減をめざしています。しかし、人口減少や少子高齢化は、社会の大問題であり、固定化するのではなく、打開すべき重要な課題として位置づけるべきです。千葉市の少子高齢化の流れを食い止め、人口を増やし活力のある千葉市をつくることが必要です。そのためにも、保育所、学校、公民館、コミュニティセンターなどの公共施設を地域に維持する努力が求められます。
 ところが、見直し方針(素案)は、身近な公共施設を「縮減ありき」ですすめるものです。これでは、地域の活力を奪い、魅力のない地域をつくり、ますます人口減少、超高齢社会につながるのではないのか。お答えください。

【財政局長】
 千葉市の少子高齢化の流れを食い止め、人口を増やし、活力のある地域をつくることは、必要であると認識しております。
 そのため、公共施設見直し方針策定後も、人口動態や市民ニーズを踏まえ、適宜方針の見直しを行うこととしております。

【あぐい武夫議員】
 少子高齢化を食い止めることが必要というのであれば、公共施設の削減を前提にするのでなく、公共施設を守り発展させることを真剣に考えるべきです。後で見直しするといっても、売却などで土地を失えば、取り返しのつかないことになります。
 見直し方針(素案)は、30年後を念頭に、具体的な数字を出しているのも問題です。30年間の大規模改修と建替えなどの費用を合計約6,839億円、調達できる金額は約4,176億円、その結果、不足金額は約2,663億円と算出しています。その数字を基に、870もの公共施設の延床面積240.7万平方メートルを15.7%縮減し、202.9万平方メートルにする目標を掲げています。
 今から30年前は、1983年で、バブル景気が始まる前です。それから今日まで、バブルの崩壊や政権交代、東日本大震災など激動してきました。また、世界は大国中心の時代から、世界の国々が対等・平等の資格で、世界政治の主人公になる新しい時代が開かれつつあります。
 こうしたことを踏まえれば、15.7%の縮減目標など具体的な数値を示すことは、現実的ではなく、数字の独り歩きなども起こり、問題ではないのか。見解を求めます。

【財政局長】
 公共施設の見直しにあたっては、中長期的な視点にたった目標を設定する必要があると考えております。
 素案の縮減目標については、資産経営推進委員会から「一定の前提条件でのシミュレーションであり、前提条件が変わればシミュレーション結果も変わることから、複数パターンの計算のもと、幅のある議論が必要である」との意見がございました。
 そのため、今後の経済成長や将来の人口動態により、現役資額が増加または減少した場合を含め、3つの縮減率を試算しております。
 今後、縮減目標の設定につきまして、引き続き検討を進めて参ります。

【あぐい武夫議員】
 結局、資産経営推進委員会からも、15.7%削減だけを目標にすることに異論がでたわけです。当然のことだと思います。「縮減目標の設定について、引き続き検討する」と言うのであれば、30年後の街づくりを、今から、具体的な数値目標を掲げて、描くことはやめるべきです。
 さらに、問題なのは30年後を描くだけではなく、すでに、見直し方針(素案)が実施されていることです。
 見直し方針(素案)のスケジュールでは、方針(素案)が方針となり、アクションプランがつくられ実施されるのは、2016年度からです。
 ところがすでに、今年度から、公民館やコミュニティセンター、いきいきプラザなど92施設について、データベースに集約した情報のうち、建物性能、利用度、運営コストの3点に着目し、「データ評価」と称して、課題が「あるか」「ないか」に振り分けています。「課題なし」は「継続利用」とされ、「課題あり」の施設は、さらに詳細なデータに基づき「総合評価」を受け、継続利用か、利用見直しかに振り分けら、廃止、売却もあります。92施設のうち、「課題あり」は66施設、71.7%にもなっています。48ある公民館では、33館、68.8%が「課題あり」とされました。
 その内容は、「データ評価の結果について」との表題で、すでに資産経営推進委員会に資料として提出され、市のホームページにも公開されています。
 これを見た公民館利用者の方からは、「うちの公民館が、もしかしたら廃止される」との驚きの声が上がっています。
 見直し方針(素案)では、公共施設の資産データ一元化を行い、その上で総合評価し、利用調整して、継続利用か、統合か、内部転用か、外部貸付か、処分か、そのどれかに振り分けるとしています。この方針(素案)は、まだ決まっていません。
 それにもかかわらず、多くの市民が知らないうちに、「見直し方針(素案)」を実施し、既成事実をつくることは、絶対に許されません。住民自治の精神を根底から否定するものであり、中止することを求めます。お答えください。

【財政局長】
 資産の総合評価は、建築性能や利用度、運営コストに基づくデータ評価により課題のある施設を抽出し、抽出された施設を対象に、総合評価において、施設需要の将来見通しや立地特性、周辺施設の配置状況などから、見直しの必要性と見直しの方向性を示すものであります。
 今回、総合評価において見直しとなった施設が、すぐに廃止となるものではなく、来年度、それらの利用調整を行い、周辺の類似施設の状況等を踏まえながら、そのあり方について検討を進めて参ります。

【あぐい武夫議員】
 今の答弁で「今回、総合評価で見直しになった」と言われましたが、「データ評価」や「総合評価」という取り組みは、見直し方針(素案)に位置づいている課題です。方針(素案)は、素案であって、まだ決まっていません。ところが、総合評価をすすめているということです。これは大問題です。まさに、市民を無視し、住民自治を根底から否定するやり方です。ただちに中止すべきです。
 決まってもない方針が、実施される中で、この「データ評価の結果」と「見直し方針(素案)」について、事実を知った公民館を利用する方から、驚きと不安の声が上がっています。そこで、公民館についてお聞きします。
 その方が、この内容を公民館の利用者仲間に伝えたところ、たいへんな危機感が寄せられたそうです。
 公民館は、社会教育法に位置づけられた施設で、社会教育をすすめる地域の学校であり、避難所にもなるなど地域住民の命を守るよりどころとなっています。
 公民館は身近にあることで、その役割を発揮します。千葉市は、ほぼ中学校区に公民館があり、全国的にもトップクラスで、社会教育の専門家からも評価されています。その公民館で、文化芸術、学習、福祉など多彩なサークル活動が行われています。地域から公民館がなくなることは、千葉市にとっても大きな損失です。
 公民館は、資産経営の観点から議論すべきではありません。見解を求めます。

【財政局長】
 公民館については、基本的に各中学校区に1館配置された、地域づくりの拠点となる重要な公共施設であると認識しております。
 しかしながら、施設の設置目的は異なるものの、コミュニティセンター、いきいきプラザなどの施設と利用実態が類似している面もあることから、施設の立地特性や周辺施設の配置状況等を勘案しながら、市民サービスへの影響に配慮しつつ、類似機能の統合を含め、施設の効率性向上を図るための見直しが必要であると考えております。

【あぐい武夫議員】
 「重要な公共施設と認識している」といいながら、結論は、類似施設との統合を含めた見直しです。公民館の重要性を認識いているとの答弁ではありません。
 公民館は、教育権・学習権を保障する地域の社会教育機関であり、学びを通して地域づくり・街づくりをすすめる拠点であり、学びを通して住民の自治能力を育てる施設です。公民館は、資産経営の観点から議論すべき施設ではありません。
 公共施設見直し方針(素案)は、策定の仕方も、内容も、扱い方も、問題ばかりです。多くの市民の中で、徹底議論をすることを強く求めます。

2、草野水路の水害対策について
 次に、草野水路の水害について、質問します。
草野水路は3年前の9月8日、台風10号による1時間70〜80ミリの豪雨で、稲毛3丁目付近で床上浸水などの水害を引き起こしました。今回の台風26号でも10月16日に、再び水路が溢れ出し、3軒が床上浸水となるなど、水害が発生しました。現場に駆けつけ、水が引くのを待って近づいて、水路のフェンスに引っかかった枯草などのゴミの高さを測ったところ、道路から一番高い所で60cm程もありました。
 周辺のみなさんに、聞き取り調査したところ、「警報機はまったく聞こえなかった。あれじゃ役にたたないよ」「避難勧告のことは、全然しらなかった。知っていても、家のことを考えると逃げられない」「避難勧告のことを知ったときには、すでに床下浸水で、外には逃げられなかった」「かさ上げの対策をやるといっていたが、やっていない」「台風が来るたびに、不安でしょうがない」「満潮の時刻は、前もってわかるのだから、市が情報を流せばいいのに」「応急手当で、土嚢を水路の周りに積んでほしい」など、切実な声が寄せられました。
 その後、10月26日には、台風27号が接近しました。幸い、台風は房総半島から離れ、大雨にもなりませんでした。しかし、周辺住民のみなさんは、「夜も寝られなかった」と、不安な夜を過ごしました。
 今回の水害の主な原因は、草野水路の嵩上げや水の流れをよくするための水路側面の凸凹を平らにする平滑化が完了していなかったことや、周辺地域の雨水が一気に草野水路に流れ込む状況を打開できていないことです。千葉市がこの課題に全力で取り組むことが求められています。
 まず、水路周辺のみなさんは、台風の接近や大雨が予想されるたびに、不安な思いを、毎年、毎年、募らせています。こうした住民の思いを、どのように受け止めていますか。お答えください。

【建設局次長兼水道局長】
 住民の方の不安な思いについては、重く受け止めており、水路周辺の皆様の不安を少しでも払拭できる様、対策を講じて参りたいと思っております。

【あぐい武夫議員】
 この3年間で2回も水害を引き起こしたことで、住民のみなさんは、水路が氾濫しなくても、「台風が接近する」と聞くだけで、「眠れない」との不安を訴えています。本当に重く受け止め、取り組むことを求めますが、それにふさわしく被害を受けた方への対応も改善すべきです。そこで、見舞金についてお聞きします。
 床上浸水や車の水没など、被害を受けた方は、たいへんな損失となっています。ところが、市からの見舞金は床上浸水だけが対象で、金額は3万円です。車が水没した方には、見舞金もありません。
 見舞金の対象を拡大し、金額もさらに引き上げることを求めます。お答えください。

【総務局長】
 災害見舞金は、地震・火災・風水害等の災害で、住家が全損・流失などの被害を受けられた方に対して、要綱に基づき支給しており、車などの動産については、他の政令市同様、支給対象としておりません。
 また、金額についても、他の政令市の支給額と遜色ないことから、現在のところ、増額は考えておりません。

【あぐい武夫議員】
 不在であれば、車は移動できず、水没すれば大きな損失となります。住民の思いを重く受け止めているなら、水没した車も見舞金の対象にすべきです。見舞金制度を改善することを求めておきます。
 3年前の水害を踏まえ、水路の嵩上げや、水路側面の平滑化が当面の対策として、住民に説明がされました。ところが、工事着工もされませんでした。なぜ、こんなに遅れたのか。早急に完了させるべきです。いつまでに完了させようとしているのか。具体的にお答えください。

【建設局次長兼水道局長】
 稲毛小学校脇の約260メートル区間の護岸嵩上げについては、平成24年度に発注しましてが、入札不調となったため、平成25年5月に再度発注し、平成26年1月末の完成を予定しております。
 また、国道357号側の山側約330メートルの区間については、護岸嵩上げや平滑化などを予定しており、平成26年8月末の完成を見込んでおります。

【あぐい武夫議員】
 稲毛小学校脇の嵩上げは現在、工事中なので明確な見通しがあるわけですが、問題は、まだ始まっていない国道357号の山側部分です。今度は、入札不調とならないように、この間の経験を踏まえ確実に入札を行い、できるだけ早く完成させるように求めておきます。
 この当面の対策が完了した場合、水路が満潮の影響を受けても、どのくらいの雨量に耐えられるのか。3年前や今年10月と同じ状況になっても、水害を食い止めることができるのか。お答えください。

【建設局次長兼水道局長】
 対策施設は、10年に1回程度の降雨に対応する施設設備であり、3年前や今年の台風26号による大雨に対しては、被害の軽減は図れるものの、水害を食い止めることは難しいと考えております。

【あぐい武夫議員】
 10年に1回の大雨というのは、1時間に53.4ミリと聞いています。ところが、3年前と今回の水害を食い止められないということは、大雨のレベルと頻度が上がってきているということなので、今までの構えでは対応できません。
 再び、水害を起こさないためには、草野水路流域での抜本的な対策が必要です。
稲毛3丁目の草野水路では海の満ち潮の影響があり、満潮と干潮では、水位の差は1m〜2mもあります。また、稲毛3丁目は、稲毛区の中で最も海抜が低い地域で、2.3mしかありません。最高地は長沼原町の33.6mです。しかも、稲毛3丁目の上流である小仲台8丁目では、2つの水路が合流しています。
 満潮時と豪雨が重なれば、周辺の雨水が一気に草野水路に流れ込み溢れ出します。
 これを回避するには、雨水を草野水路に一気に流さない対策が必要です。そのためにも、水路の現状や周辺の状況を把握することが大切です。
 小仲台8丁目でわかれる草野水路の源流を、それぞれたどると、一方は園生町と長沼町の境目、もう一方は京葉道路と東関東自動車道の宮野木ジャンクション下の林の中です。どちらも最後は地下水路になっています。
 ここから稲毛3丁目までは数kmあります。海の満ち潮の影響を受けるのは、稲毛3丁目のところまでで、それ以外は影響がなく、大雨の場合でも水位はそれほど高くなく、さらに水をためられる容量があります。
 そこで、この水路の部分を利用して、水をためるために、いくつかの堰をつくり、水が下流に一気に流れないように対策をとるよう提案します。
 また、草野水路につながるあやめ台調整池も、容量が大きいことから、大雨時、草野水路への流出をとめるべきと思うが、お答えください。

【建設局次長兼水道局長】
 堰をつくり、水が一気に流れないような対策については、流下阻害により上流部で新たな被害を引き起こすことが考えられますので、実施は困難であります。
 また、あやめ台調整池からの流出を止めることも、調整池周辺で、新たな浸水被害の発生が想定されることから、困難であると考えております。

【あぐい武夫議員】
 実施は困難といいますが、稲毛3丁目に一気に水を流さないためには、あらゆる可能性を追求すべきです。稲毛3丁目以外は、満潮の影響を受けない水路です。大雨でもまだ余裕があります。ここで、すべてを対応すべきだと言っているわけではありません。満潮時だけでも、ある程度の水量を抑制するために有効に活用すべきだと提案しているのです。真剣に検討することを求めておきます。
 さらに、雨水を一気に草野水路に流さないために、様々なところで、雨水をためたり、地下に浸透させることが重要です。学校、保育所、公民館、公園などの公共施設や、道路などもフルに活用して、大小の調整池や貯留槽、浸透桝を多数設置することを求めます。お答えください。

【建設局次長兼水道局長】
 水路への流出量を抑制することは、被害の軽減に繋がることから、公共施設等を活用した雨水流出抑制施設の設置について、検討して参ります。

【あぐい武夫議員】
 雨水貯留槽や浸透枡の能力が小さくても、多数設置されれば、大きな調整池の役割を果たします。是非、積極的に取り組むことを求めておきます。
 一般の家庭には、雨水貯留槽と浸透桝の設置をお願いすることが大切です。市には、雨水貯留槽と浸透桝の設置補助金制度があります。貯留槽は、2010年度から2012年度の3年間に、105基、145基、76基と設置されました。今年度は現在のところ67基です。これをさらに普及することが求められています。
 市民に水害の実態と合わせて、雨水を貯めることや地下に浸透させることが、水害対策にとっていかに重要であるかをアピールすることが必要です。
 そのために毎年、梅雨に入る前に、市民へのキャンペーンを行うことを提案します。お答えください。

【建設局次長兼水道局長】
 今後は、市販貯留槽を展示してある区役所などの公共施設に浸水被害の状況写真を掲示するとともに、梅雨入り前に、過去、浸水被害の発生した地域の流域上流部を含めた自治会を対象に、説明会を開催するなど、補助制度の利用促進に努めて参ります。

【あぐい武夫議員】
 雨水をためて活用すれば、節水や省エネにつながります。同時に、水害が起こっている地域の雨が集まって水害を引き起こしているわけですから、水害の実態を知ってもらうことは、雨水貯留槽と浸透桝を普及するうえで有効です。これも積極的に取り組むことを求めておきます。

 次に、高速道路とJR線に関して伺います。
 草野水路流域には、東関東自動車道路や京葉道路、JR総武線が通っています。ここに降った大量の雨は、すべて草野水路に流れ込んでいます。この雨水を一気に草野水路に流さないために、ネクスコ東日本やJR東日本に対して、高架下の土地に調整池や貯留槽などを整備するよう求めるべきではないのか、お答えください。

【建設局次長兼水道局長】
 草野水路流域で、浸水被害が発生している実情を踏まえ、ネクスコ東日本やJR東日本に対し、雨水流出抑制の協力を要請して参ります。

【あぐい武夫議員】
 高速道路もJRも高架となっていることから、雨どいのようなものです。これが水害にも影響していることは明らかです。
 マンション建設では、地下に大きな貯留槽をつくり、一気に流さない対策をとっています。ネクスコにもJRにも、流出抑制に責任を持つよう、正面から訴えるよう強調しておきます。
 こうした取り組みを推進するために、庁内に「雨水貯留・浸透事業推進会議」が設置されています。この推進議会は、庁内の下水や宅地、公園、土木など関係各課が参加する組織で、推進会議は年1回程度、その下にあるワーキンググループは年2回程度の開催と聞いています。
 豪雨の頻度が高まり、市内各地に水害が起こっている現状を踏まえ、この会議の位置づけをさらに高め、現地調査や市民との懇談など、活動を強化することを求めます。お答えください。

【建設局次長兼水道局長】
 雨水貯留・浸透施設の設置が更に推進出来るよう、関係各課との情報交換を積極的に行うなど、推進会議の活動を強化して参ります。

【あぐい武夫議員】
 活動を強化する上で、現場を調査し、住民の生の声を聞くことが力になります。是非、市内各地の現場に出かけるべきです。
 水害は、市民のくらしと財産を脅かす重大問題です。関係部局の奮闘を求めて、質問を終わります。