中村きみえ議員の「千葉市福祉の心に基づく

プログラム検討委員会設置条例」の提案理由



2014.2.20

写真 この条例は、千葉市で生活保護受給者などの自立のために、新たに千葉市福祉の心に基づくプログラム検討委員会を設置するための条例制定を行なうものです。

 具体的には、生活保護受給者の自立に向けた支援に関する事項等を調査検討し、その結果を市長に提言するものです。

 生活保護受給者の自立に対して「人間の尊厳」に基づいて、地方自治体が住民の立場に立って、福祉の心で対応できるようなプログラムを検討する委員会を設置するものです。

 長引く景気低迷、雇用環境の悪化によって、生活保護受給者は全国で215万人と増加傾向が続いています。千葉市においても10年前の約2倍にあたる14,711世帯、保護率20‰となっています。

国は、生活保護申請の門前払いを強める生活保護法の改悪を行ないました。生活困窮者自立支援法については、就労訓練事業の「中間的就労」は最低賃金を下回り、受け皿が少ない中で、どれだけ対応できるのかわかりません。また、生活保護の追い出しと水際作戦の道具になる恐れがあり、自立は「個人と家族の責任」とするのは社会保障の解体を示すものです。これでは、とても認められるものではありません。

 このように、国が生活保護受給者に対して、真の自立とは程遠い形で対応しようとしているときに、地方自治体の役割が問われています。

 北海道の釧路市では、母子世帯の保護受給率が高いために、母子の自立支援モデル事業を厚労省から提案されたことを受けて実施され、就労=自立ということではなく、まずは公園での清掃や介護事業所等でのお手伝い、障害者施設で人と交流し、成長していきながら、徐々に自立していく方向で、どうしたら自立していくことが出来るのか、試行錯誤を繰り返しながら取り組んでいることが報告されています。また、母子家庭の子どもたちが高校に進学できるように、学習の援助だけでなく一緒に学べる居場所を地域の方々と作る中で、生活保護を受給する人とそうでない人の対立した関係ではなく、寄り添いながら溝を埋めていくような、コミュニティを形成することで、閉じこもりがちな生活保護受給者の方の自尊心を取り戻し、生きがいを持てるようにする取り組みは、千葉市としても実施していく必要があると考えます。

 大阪府の豊中市では、「くらし再建パーソナルサポート事業」という生活困窮者自立支援制度に関連する取り組みが行われています。

 生活保護受給に至る前の課題が4つあり、(1)困窮・困難を早期に発見する。(2)様々な困難等の解決に対応する総合相談窓口の整備と多様な社会資源の開発・連携。(3)多様な就労準備支援策の充実。(4)中間的就労を含む多様な就労機会の創出(出口対策)があると言われています。こうした中で豊中市では、「困窮・困難を早期に発見」するために、税や保険・公共料金などの徴収窓口の皆さんと連携した相談体制づくりの試みがされています。

 総合相談窓口として、雇用労働課が担当する地域就労支援センターと、豊中市無料職業紹介所をベースに「くらし再建パーソナルサポートセンター」を開設し、雇用労働課が事務局となり、福祉事務所と連携して様々な困難を抱える受給者等の中長期支援を進めており、個々の生活環境、能力条件を加味して、具体的に仕事に就くことが出来るように対策を講じています。

 このような先進市を学んだうえで、千葉市として、生活保護受給者の真の自立のために、一人一人の条件をくみ取り、何ができるのかを福祉の心で対策を講じることが必要です。そのためにも検討委員会を設置して、具体化を図っていこうではありませんか。

 生活保護受給者一人一人の人権を尊重し、自立への対策を講ずるための委員会の設置です。ぜひ、ご賛同いただきますようお願いいたします。