あぐい武夫議員の一般質問および答弁



2014.3.11

写真【あぐい武夫議員】
 東日本大震災から3年が経ちました。石巻市でボランティア活動をした日々を、あらためて思い出しています。破壊された民家の片隅に、誰かが見つけ、飾ったであろう家族の写真。泥の中から現れた幼稚園生のカバン。破壊された街に、幸せな暮らしがあったことを感じ、つらくなる思いでした。
 復興支援のために、新たな決意で取り組んでいくことを表明して、一般質問を行います。

1.若者への就職支援について

 先ず、若者への就職支援について質問します。
 総務省の労働力調査では、2013年12月の完全失業率は3.7%です。年齢別で見ると、15歳から24歳は5.9%、25歳から34歳は4.7%となっています。
 非正規雇用の比率は、2013年12月で37.5%です。若者は2人に1人が非正規雇用といわれています。また、3年目までの離職率を見ると、2010年3月卒業の高校生は39.2%、大学生は31.0%で高い数値です。
 こうした要因には、労働者派遣法の改悪やブラック企業の広がりなどがあります。
 非正規の若者からは、「正社員の面接に行っても、『なんで今までそんな働き方しかしてこなかったんだ』と、さげすまれるようなことを言われた」「就職できてもブラック企業じゃ意味がない」など、悲痛な声が寄せられています。
 2001年に施行された改正雇用対策法では、地方自治体が国、県と連携しながら、地域の実情に応じて雇用対策を講じるよう努力義務が規定されました。
 これを受け、千葉市も2012年10月に、「雇用促進マスタープラン」を策定しました。計画期間は2012年度から2021年度までの10年間で、その前半5年間は若年者の雇用対策を重点的に対応するとしています。
 そのプランでは、「若年者は、将来の日本を担う存在であり、若年者の失業・非正規雇用の増大は、将来の経済基盤や社会保障制度の脆弱化につながることから、若年者に対する就職支援は、喫緊に対応すべき課題」と訴えています。そこで質問します。
 「雇用促進マスタープラン」が策定されたことによって、若者への就職支援は、どのように強化されたのでしょうか。

【経済農政局長答弁】
 雇用マスタープランにおいては、国や県との連携を深め、それぞれの役割分担を明確にするとともに、国や県の施策を補完する市独自の施策を展開することとしております。
 市独自の若者の就職支援としては、就職相談やふるさとハローワークでの職業紹介のほか、平成24年度からは新たに合同企業説明会を実施しております。

【あぐい武夫議員】
 プロジェクターの写真は、ふるさとハローワークです。この施設はプラン策定前からあります。内容がどう強化されたかが問題です。
本来、若者への就職支援の強化によって、これまでの実績を超えることが求められます。「マスタープラン」の目標値は、これまでの実績の何倍で設定したのでしょうか。また、正社員の目標はそのうちの何割でしょうか。

【経済農政局長答弁】
 雇用マスタープランの3つの目標値は、プランの策定にあたり、今回初めて掲げたもので、そのうち、若者に関する目標値としては、新規高卒者就職面接会を通じた就職者数を設定しております。この面接会は、企業の高卒の正規社員の採用を主な目的に開催されており、平成33年度までの10年間における目標値を100人と設定したところですが、平成25年度までの2年間ですでに185人の就職実績に結びついております。

【あぐい武夫議員】
 実績の何倍かという答えがないようです。「マスタープラン」の目標値は、プロジェクターの表の通りです。6,000人のうち5,400人、9割を「ふるさとハローワーク」で達成するとしています。平均すると年間540人です。市の資料によると「ふるさとハローワーク」の実績は、すでに2011年度で587人、2012年度で580人となっています。どちらも540人を上回っています。つまり、「ふるさとハローワーク」が「マスタープラン」策定前の実績を続ければ、10年間の目標5,400人を軽く達成できます。
 また、新規高卒者就職面接会については、目標値は100人です。今の答弁によれば、すでに2年間でその1.85倍を達成しています。このことを踏まえれば、「マスタープラン」は、就職支援を強化するために策定した訳ですから、策定前の実績を大きく上回る目標を、新たに設定すべきです。また、正規雇用の目標値が明確でないようなので、当面、目標値の7割以上は正規雇用とすべきです。お答えください。

【経済農政局長答弁】
 現時点で、新たな目標値を設定することは考えておりませんが、雇用マスタープランの計画期間は10年間であり、前半の5年間が終了する平成28年度に、計画の進捗状況を評価することとなっておりますので、その時点で目標値の改定について検討して参ります。
 また、若者の正規雇用の比率向上を図るためにも、今後一層、国や県、関係機関との連携を強化して、各種就職支援に取組んで参ります。

【あぐい武夫議員】
 実績がすでに目標値の年平均を超えている訳ですから、早めに新たな目標値を検討することを求めておきます。
 若者への就職支援を強化する上で、予算も増やさなければなりません。「マスタープラン」策定前より、予算はどのくらい増えたのでしょうか。

【経済農政局長答弁】
 雇用マスタープランに基づき、若者への就労支援のための新たな事業として、平成24年度から合同企業説明会を実施しておりますが、本事業の予算額は300万円であります。また、平成26年度予算案には、企業見学バスツアー・33万円、キャリアプランニング事業・179万円などの予算を新たに計上しております。

【あぐい武夫議員】
 今の答弁では、予算の増減に答えていません。プロジェクターの表にある通り、雇用対策に使う労働対策費は、「マスタープラン」が策定された2012年度以降は、400万円ほど減っています。これでは取り組みを強化することはできません。大幅に増額することを求めておきます。
 次に、どう取り組むかについて、いくつか提案したいと思います。若者は、手軽なこともあり就職サイトや就職情報誌に頼っています。そのために、ブラック企業に就職する場合があります。だからこそ若者には、相談員の親身な支援が必要です。ところが若者は、ハローワークや市の相談窓口をあまり知りません。国、県、市の各種相談窓口を多くの若者に知らせるために、ポスターやリーフレットを作成し、高校や大学、駅、若者が集まる会場などで宣伝することを提案します。

【経済農政局長答弁】
 国・県・市で実施している若者に対する就職支援の情報については、ホームページなどにより広報しておりますが、より効果的な周知の方法として、若者にとって日ごろからなじみの深いツイッターやフェイスブックなどの広報媒体の活用も検討して参ります。

【あぐい武夫議員】
 ツイッター、フェイスブックでの広報は、大いにやるべきですが、紙媒体も宣伝力があるわけですから、検討することを求めておきます。
 宣伝の努力によって、若者が市のホームページをチェックしたとしても、満足できる情報が得られないと成果はあがりません。市ホームページの就職支援サイトをわかりやすく、充実させることが必要です。若者は、様々な就職の不安や悩みを抱えています。相談内容別に窓口を案内することや、若者が励まされる就職体験記をマンガで紹介するなど、思い切って改善してはどうでしょうか。また、美浜区にある地域若者サポートステイション(通称:サポステ)と、JR船橋駅前にあるちば若者キャリアセンター(通称:ジョブカフェちば)にリンクさせ、多様な若者の就職相談に応えるべきではないでしょうか。
 ホームページの作成に当たっては、ぜひ、就職活動をしている若者の声も聞いて、より良いものをつくるよう求めておきます。

【経済農政局長答弁】
 若者が、様々なニーズに応じた最適な就職支援メニューを利用できるよう、今後、市のホームページ上で、国・県・市、さらには、千葉地域若者サポートステーションや、ちば若者キャリアセンターなどの関係機関による就労支援情報を一元化し、見せ方にも工夫を凝らして、わかりやすく発信して参ります。

【あぐい武夫議員】
 次は、若者が就職をめざすための居場所についてです。「ジョブカフェちば」は、千葉県が設置したもので、相談員の支援とともに、セミナーやイベントなどを行い、若者同士が励まし合いながら取り組み、成果を上げています。ジョブカフェには、「孤独な就職活動の中で、ジョブカフェはあたたかい居場所でした。本当に利用して良かったと思います」などの喜びの声がたくさん寄せられています。千葉市でも、ジョブカフェの経験に学び、ジョブカフェと同じ役割をもつ就職支援センターを設置することを提案します。

【経済農政局長答弁】
 本市では、雇用マスタープランに基づき、国や県との役割分担により、地域一体となって若者の就職支援に取り組んでおります。今後も国・県、関係機関との連携を強化し、効果的、効率的な就職支援を実施して参ります。

【あぐい武夫議員】
 「ジョブカフェ」などとの連携を強化するということなのでしょうが、居場所となれば、市内に必要です。予算を増やして千葉市でも設置するよう要望しておきます。
 次に、若者が正社員になるためには、企業からの正規雇用の求人が増えなければなりません。昨年の第1回定例会の代表質疑で、我が会派の佐々木議員が、市内の企業に対して正規雇用拡大の要請をするよう市長に求めたところ、「千葉商工会議所等経済団体を通じ、市内企業に対し若者の雇用拡大を要望していく」との答弁でした。要請はどのように行われ、市内企業はどのように対応してくれたのでしょうか。

【経済農政局長答弁】
 千葉及び千葉南公共職業安定所管内の自治体や、千葉商工会議所などの商工団体等で構成する「雇用対策推進協議会」において、本市から、各種就職支援事業に関する説明を行う中で、特に、若者を対象とした事業である合同企業説明会について協力を要請してところ、今年度は50社の市内企業に参加いただいたところであります。

【あぐい武夫議員】
 合同企業説明会も重要ですが、正規から非正規の置き換えが起こっているわけですから、国、県とともに市も、企業に正規雇用を増やすよう要請していくべきです。同時に、若者への就職支援をすすめる上で、ブラック企業対策も重要な課題です。日本共産党は昨年の臨時国会に続き、今国会にも「ブラック企業規制法案」を提出しました。厚生労働省は昨年9月を「過重労働重点監督月間」とし、若者の「使い捨て」が疑われる企業等に対して集中的に調査しました。その結果、5,111事業場を調べ、4,189事業場、全体の82.0%に何らかの労働基準関係法違反があったことを発表しました。ブラック企業は、大量の離職者を見込んで、大量に採用することが特徴となっています。このことを踏まえ、ハローワークは来年度から、ブラック企業対策として、求人票に過去3年間の採用者数と離職者数を記入する欄を設けるとしています。千葉市としても、情報を収集し、若者にブラック企業を紹介しないことをはじめ、相談窓口などでの対応、合同企業説明会や各種のイベントにブラック企業が参加できないように対策をとるべきです。

【経済農政局長答弁】
 本市としましても、国などからの情報収集に努めるとともに、市の労働相談窓口においては、相談内容に応じて、監督指導権限を有する労働基準監督署を紹介するなど、適切な対応を図って参ります。また、合同企業説明会や企業見学バスツアーの実施に際しては、地元企業を中心に、本市が誘致した企業なども含め、優良な企業の参加を募って参ります。

【あぐい武夫議員】
 ブラック企業対策とともに、正社員を増やすためには今、国がすすめる労働者派遣法の改悪をやめさせることも重要な課題です。「雇用は正社員が当たり前」の立場に立って、他の政令市とともに、国に労働者派遣法の抜本的改正とともに、ブラック企業の規制強化を求めるべきではないのか。お答え下さい。

【経済農政局長答弁】
 政令指定都市市長会では、「平成26年度国の施策及び予算に関する提案」において、「正規雇用や長期的な雇用につながる新たな制度の創設」などについて提案を行っているところであります。また、「政令指定都市 雇用労働・勤労市民行政主管者会議」においては、労働行政に関する様々なテーマについて協議しておりますので、「若者の『使い捨て』が疑われる企業等への対応」についても、各市との意見交換を行って参りたいと考えております。

【あぐい武夫議員】
 意見交換に終わらず、国に効果的な規制を行うよう強く求めることを要望しておきます。「マスタープラン」では、「若年者に対する就職支援は、喫緊に対応すべき課題」と位置づけています。予算も目標も増やし、これまでの取り組みを量的にも質的にも高めることを、最後に強く求めておきます。

2.住民との公約について

 次に、住民との公約について質問します。
 市民に、市が実施を公約したにもかかわらず、市の都合によって、変更される事態が起こっています。我が会派の盛田議員が取り上げたように、花見川第5小学校の跡施設を住民に活用させるとの公約を変更し、5小の跡地を売却しようとしています。
 稲毛区では、プロジェクターの写真にあるように園生市営住宅跡地とその隣接する市の土地を合わせた約8,800平方メートルの敷地に新たな公園を整備するとの公約があります。私も2011年第4回定例会の質問で、この公約を確認しています。しかし、昨年の12月議会では、都市局長が「約3,200平方メートルの公園を整備し、残りの市営住宅跡地など約5,600平方メートルについては、売却を視野に入れて検討している」と答弁しました。公園面積を64%も削減する方向です。プロジェクターの表と地図に示した通りです。この園生地域では、まだ住民説明会も開かれていません。住民のみなさんからは「そんな話は聞いていない。約束が違う」との声が寄せられています。住民との公約を変更することだけでも大問題ですが、両方の公約変更には、市の土地の売却という重大な内容が含まれています。ここに視点をあてて質問します。まず、住民が要望し、住民との話し合いの中で確認された公約を変更しなければならない理由は何だったのか。花見川5小跡地については先ほど取り上げていますので、園生市営跡地についてお答えください。

【都市局長答弁】
 園生町の公園につきましては、これまで、市営園生町第1団地跡地と隣接する市有地等を合わせた、約8,800平方メートルの新たな公園を整備する計画としておりました。しかし、第6地区町内自治会連絡会から防災時に対応した広場や「かまどベンチ」などの防災施設を備えた公園を早期に整備してほしい旨の要望があることから、これに対応するため、防災機能が確保できる区域に面積を縮小し、整備を行いたいと考えております。なお、市営住宅跡地については、隣接の道路幅が狭いことなどの地域の課題を解決するとともに、残った市有財産の有効活用を図るため、売却も視野に入れて検討して参りたいと考えております。

【あぐい武夫議員】
 防災機能を確保するというなら面積を縮小するべきではありません。また、残った跡地部分を「有効活用」と称して売却することは、有効活用とは言いません。土地が存在してこそ、有効活用ができます。市営住宅跡地の「有効活用を図る」というなら、市民の願いに応えて、公約通り、8,800平方メートルの公園をつくるべきです。お答えください。

【都市局長答弁】
 この地区は園生小学校や小中台中学校などが避難場所・避難所として指定されており、災害時にはこれらの施設に避難することになっております。災害発生の際の身近な公園は、一時的に身の安全を守る避難の場所として、また、身近な防災活動拠点としての機能も持っており、公園の面積を縮小しても、周辺の避難場所・避難所などと連携して活用することにより、地域全体での防災機能を確保できるものと考えております。

【あぐい武夫議員】
 住民との公約では、「広域避難所にも活用できる公園」となっています。周辺は車が交差できない狭い道もあり、住民は、すぐに逃げられる広域避難所を求めています。また、周辺には広い公園がなく、新たな公園の設置が要望となっていました。ところが、公約を変更しようということです。園生市営住宅跡地については、住民への説明会がまだ開かれていません。たとえ、どんな理由があったとしても、市民との公約があるにもかかわらず、住民への説明や話し合いなしに、公約を変更する方向を打ち出すのは、住民自治の観点から問題とは思はないのか。お答えください。

【都市局長答弁】
 公園整備と、市営住宅跡地の土地利用計画の変更については、今後、住民説明会などを開催して、丁寧な説明を行いながら、ご理解をいただくことが重要であると考えております。

【あぐい武夫議員】
 公園予定地の6割以上も売却する方向を持ちながら住民説明会を開かないうちに、議会でそのことを表明することは、住民自治に反するといわなければなりません。このことを深く反省し、多くの住民が参加する説明会を開くことを求めておきます。
 次に、これらの事例に限らず、市の土地を売却することは、今後のまちづくりの多様な発展を閉ざすことになるのではないのか。お答えください。

【財政局長答弁】
 売却する市有地は、将来的に市としての活用が見込まれない土地であり、売却後は、民間活力により、その地域の活性化に資する面もあるものと考えております。売却にあたりましては、周辺環境に悪影響を及ぼさないために、風俗営業や指定暴力団等の事務所などの用に供することを禁止するとともに、周辺住民の生活環境の保全要望がある場合には、建設物の高さ制限や住宅系での使用に限るなど、用途指定を行っております。

【あぐい武夫議員】
 土地は売却すれば、住民のために活用できません。住民には、保育所や特養ホーム、地区ホールなど多様な要望があります。財政的にすぐできなくても、将来のまちづくりのために、土地は確保しておくべきです。まちづくりは、自治体の基本の仕事です。同時に、まちづくりのための土地確保は、財政問題もあり、困難な仕事の一つです。それにもかかわらず、市民の財産である土地を売却するのは、資産経営の観点を最優先にしているからではないのか。お答えください。

【財政局長答弁】
 まちづくりのための事業用地の確保は、重要な課題であると認識しており、その事業の趣旨、目的に応じた必要性や規模などをもとに、確保すべき用地を決定しております。

【あぐい武夫議員】
 土地を確保する観点を聞いているのではありません。まちづくりが基本の仕事である自治体が、まちづくりについての市民との公約を変更してまで、市の土地を売却するのは、なぜかという問題を聞いているのです。事例にあげた2つの土地は、活用の見込みのない土地ではなく、市民が具体的に活用を切望している土地です。それにもかかわらず売却するのは、資産経営基本方針にある、「資産総量の縮減」を最優先にしているとしか考えられません。

 市民の財産である土地については、「資産経営の観点」ではなく、住民の立場に立ったまちづくりの観点から対応すべきです。お答えください。

【市民局長答弁】
 旧花見川第五小学校の跡地は、全市民共有の貴重な財産であり、土地の売却や貸付けを含め、市民全体の利益を考慮した活用がなされなければならないと考えておりますが、地域づくりの観点からも、地域住民と十分な協議を行いながら、可能な限り地元意見等を取り入れた形での売却を検討して参ります。

【あぐい武夫議員】
 この質問は、土地の売却にかかわる基本問題として提起しました。本来ならば、財政局が答弁すべき内容です。財政局の関与なしに、各担当部局だけで、土地を売却する判断はできないと思います。そのことを指摘しておきます。結局、今回の2つの事例の根底にあるものは、住民の願いやくらしを守る立場よりも、財政問題を優先にする立場だと思います。
 最後に、質問しますが、今回の公約変更は、どちらも住民との合意は、まだできていません。公約変更のためには、当初の住民合意に向けた取り組み以上に、広く住民との話し合いを行い、誠実に住民の声を聞くことが重要です。当然、多くの住民との合意が得られない間は、実行に移すべきではありません。これも花見川5小跡地は先ほど議論がありましたので、園生市営跡地について、見解を求めます。

【都市局長答弁】
 住民の立場に立ったまちづくりの観点は重要であることから、今後も、丁寧な説明を行いながら、公園整備について検討を進めて参ります。なお、住民の皆様と合意形成ができない場合は、引き続き合意が得られるまで、時間をかけて説明して参りたいと考えております。
 地域の皆様への合意形成についきましては、地元自治会役員の方々と調整を進めており、本年3月下旬には、公園整備への関心が高い、市有地に隣接する全世帯を対象とした説明会の開催を予定しております。その後、周辺の自治会を対象とした説明会を開催し、丁寧な説明を行いながら、合意形成を図ったうえで、どのような公園とするのか地域の皆様と相談しながら進めて参ります。

【あぐい武夫議員】
 自治体はまちづくりが基本です。そのまちづくりは、住民自治を貫くことが必要です。だからこそ、市民の財産である土地は、住民の望むまちづくりに生かされるべきです。このことを最後に強く求めておきます。

3.公園へのトイレ設置について

 次に、公園へのトイレ設置について質問します。
 都市公園法は、第1条で、「都市公園の健全な発達を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする」と述べています。第2条では、遊具やトイレなどを「公園施設」と定義し、「都市公園の効用を全うするため」に設けられたものとしています。つまり、各種公園の目的は「公共の福祉の増進」のためであり、トイレなどの公園施設は、その目的を全うするためのものです。その中でも、トイレは、人が集まるところに必要なものであり、トイレがあれば、人は集まるし、公園の長時間利用も可能です。都市公園の中で街区公園は、一番小さなものですが、住民の最も身近な憩いの場です。子どもも高齢者も障がい者も、気軽に行けるところです。お祭り会場や避難場所にもなります。しかし、トイレがない公園は多く、地域住民のみなさんからは、「子どもを遊ばせたいのに、トイレがないので困る」「お祭りの会場にしているので、トイレはどうしてもほしい」などの声が寄せられています。
 ところが、住民がトイレの設置を強く求めても、「老朽化した遊具の交換が優先課題」との理由で、2009年度以降、設置は行われていません。プロジェクターの写真は、2008年度、最後にトイレが設置された稲毛区の緑町公園とそのトイレです。現在、公園へのトイレ設置は、バリアフリー法によって、車イスでも使える多目的トイレが義務付けられています。そこで質問します。
 街区公園へのトイレ設置は2008年度以前には、行われていました。公園におけるトイレの必要性について、どのように認識しているのか。また、多目的トイレの設置費用は1基どのくらいかかるのでしょうか。

【都市局長答弁】
 身近な街区公園は、主に近隣にお住いの皆様が利用することを想定し、整備していることから、大部分の公園ではトイレを設置しておりません。しかしながら、近年、一部の地域住民から要望があることから、公園の利用状況などを踏まえて、検討すべき課題であると認識しております。
 次に、多目的トイレ1基の設置費用ですが、高齢者や障害者などが円滑に利用できる洋式便器1基を備えてもので約800万円となっております。

【あぐい武夫議員】
 要望があるので検討課題とのことですが、町内自治会などからの公園へのトイレ設置の要望は現時点で、どこの区から何か所の公園に対して要望が上がっているのでしょうか。

【都市局長答弁】
 トイレの設置要望は、花見川区で2公園、稲毛区で6公園、若葉区で3公園、緑区、美浜区で各1公園の、合計13公園となっております。

【あぐい武夫議員】
 プロジェクターの写真は稲毛区天台5丁目のひかり公園です。次は、稲毛区の小中台町公園です。2012年11月ごろは、これらを含め7か所でした。それが今では、13か所に広がったということです。この状況を踏まえれば、老朽化した遊具の更新と対立させるのでなく、公園の目的を全うするために、トイレ設置を計画的に行うべきではないのか。お答えください。

【都市局長答弁】
 本市には現在、約1,100か所の公園緑地があり、この中には、遊具を含めた諸施設の老朽化が進み、多くの公園で更新時期を迎えております。このような中、利用者の安全を確保するため、現在は既存施設の更新を優先しておりますことから、今後、既存公園へのトイレの設置については、公園の利用状況や市民要望などを踏まえて検討して参ります。

【あぐい武夫議員】
 遊具の更新を計画的にすすめることは当然ですが、それを理由に、トイレの設置をすべて後回しにすべきではありません。検討課題でなく、同時に、すすめるべきです。子どもや高齢者、障がい者のみなさんが安心して公園を利用するためには、安全な遊具とともにトイレは不可欠です。同時に、多くの住民がトイレの設置を求めているところに、税金を使うことは道理のあることです。800万円で1基の多目的トイレを設置できるわけですから、市民の切実な願いを実現する立場に立って、税金の使い方を見直せば、計画的にトイレを設置する財源を生み出すことはできます。お答えください。

【都市局長答弁】
 既存の街区公園へのトイレの設置については検討すべき課題であると認識しており、今後、公園の利用状況や市民要望などを踏まえ、検討して参ります。

【あぐい武夫議員】
 「検討する」と繰り返しますが、もうその段階ではありません。長年、要望を続けているところもあります。設置する方向に足を踏み出すべきです。
 国に対しても、補助を求めるべきです。国は現在、既存のトイレのバリアフリー化のために、多目的トイレへの改修については、補助金を出しています。公園への新たなトイレ設置についても、補助金がでるように国に働きかけるべきです。お答えください。

【都市局長答弁】
 国に対しては、これまでも様々な支援をお願いしており、今後も東京都、政令指定都市で構成する、大都市公園緑地問題協議会などの場を活用して、意見交換を行って参りたいと考えております。

【あぐい武夫議員】
 この問題でも、意見交換に終わらずに、国に確実に要請することを求めておきます。

 公園は、市民にとって最も身近な施設です。トイレが設置されれば、子どもや高齢者、障がい者が集まりやすくなり、健康の保持や地域コミュニティーの活性化につながります。まさに、「公共の福祉の増進」という公園の目的にかなっています。

 公園へのトイレ設置を計画的にすすめることを最後に重ねて求めて、私の一般質問を終わります。