佐々木ゆうき議員の一般質問



2014.3.13

1.美浜区における地域・住宅・福祉の課題について

写真 今回、美浜区の地域・住宅・福祉の課題について取り上げたのは、主にUR賃貸住宅や分譲住宅では、住民の高齢化が進み、空き家も目立つなど、その中でも高齢化への対策と今後のまちづくりへの対応が求められているからです。
 美浜区は、建設された団地への一斉入居によって、現在ではその方々が高齢者となり、その中でも、一人暮らし高齢者は約5千人と高齢者世帯に占める割合が多く、今後も増えることが見込まれています。
 区内に整備された住宅の約3割が公営住宅やUR賃貸住宅等の借家住宅で、共同住宅に住んでいる市民は9割となっています。バリアフリー化、集合住宅の建て替え、団地商店街の活性化などの課題は山積みです。計画的に整備に関わった市と県、UR、そして約40年住み続けてきた住民の方々との今後のまちづくりをどう進めるのか、課題を整理していき、将来を見据えたまちづくりが求められているのではないでしょうか。
 美浜区内の団地では、自治会や社会福祉協議会では様々な活動を通して、高齢者の見守り活動をしていますが、「孤立死」を防ぐところまで至っていません。自治会役員の高齢化もあり、対策が十分つくりきれていないのが現状です。
 URは、有識者等からなる検討会を設置し、UR団地を活用した医療福祉拠点の在り方を検討した結果、地域福祉拠点施設を形成するモデルプロジェクトを行なう団地の選定をすることとしています。また、職場の近接化によるまちの再生を位置づけています。
 再生可能エネルギーの活用については、多摩ニュータウンでは地域主導でエネルギーをつくろうという目的で、発電事業を担う多摩電力合同会社、いわゆる「たまでん」が設立し、ニュータウンに広がる集合住宅や公共施設の屋根という資源を活用して、エネルギーの地産地消を実現しようとしています。そこで、伺います。
 1つに、美浜区は、都市計画に基づき街や公共施設、ライフラインが整備された行政区ですが、集合住宅については更新時期をこれから迎えようとしている中で、千葉市として今後の美浜区のまちづくりをどのように進めようとしているのか。
 2つに、美浜区をモデル地区として、地域ごとの高齢化率、自治会組織率、一人暮らし高齢者、医療機関整備状況など、市のあらゆる数値を地図に落として「地域カルテ」をつくり、例えば、高齢化率が区内で高い磯辺3丁目や7丁目では生鮮食料品を購入できる店舗がないなど、美浜区で歪(ひず)みがある地域への対策を講じるべき時期にあると考えますが、見解を伺います。
 3つに、URとのモデル団地指定に向けた千葉市の考え方について、今後どのように対応しようと考えているのか。
 4つに、団地の再生について、若い世代のための住宅確保や共同住宅の46%を占める団地型5階建て住宅のバリアフリー化、医療・福祉施設整備については、千葉市が方針を持ち、URに提案できるようにするべきではないですか。
 5つに、UR賃貸住宅団地中心の地域では、住民、千葉市、URが協議会を設置して団地等の抱える課題について、情報を共有し、早くに議論を始めることが求められていると考えますが、見解を求めます。
 6つに、今回、新年度予算で提案されている地域運営委員会の設立だけでは追いつかなくなります。自治会等の地域リーダーの高齢化と若い世代への継承について、課題を出し合いながら、後継者対策を支援できる市の体制整備が求められているのではないですか。
 7つに、美浜区に整備された海浜ニュータウンへの再生可能エネルギーの導入についての研究も検討すべきと考えますが、見解を伺います。

2.液状化対策について

 液状化対策の進捗状況については、地下水位低下工法の実証実験の中間報告が示され、モデル地区での同工法の有効性が認められ、現在行なわれている観測で、梅雨の時季における地下水位の変動の確認を行なうとされています。検討地区では、地層の条件で、地下水位低下工法が採用できないとされ、もう一つの格子状地中壁工法の説明が行なわれています。格子状地中壁工法の対象となる磯辺8丁目の住民は、「費用が200万円の対策工法で次に来る地震に対応できるのか。建て替えをすでに行なっている宅地はどうするのか。合意が難しいのでは」「費用負担がなくなれば、合意も進むのではないか」と最終的には、これまで何度も触れているとおり、住民合意と費用負担への不安が出されています。そこで、伺います。
 1つに、モデル地区において地元との協議が行なわれ、事業計画書作成を行なう予定となっていますが、地下水位低下工法を実施するにあたって、課題はないのか。
 2つに、市が提案している格子状地中壁工法については、仮に国の補助があり、現段階で市の補助をしても約200万円とコストが高く、この工法は街区単位で実施しないと、対策効果が確保できないため、住民合意にコスト問題で支障となります。住民は不安を持っており、費用負担のさらなる軽減が必要です。千葉市として費用負担の軽減を実施すべきではないですか。
 3つに、先行して進んでいる磯辺4丁目63自治会のように住民の中での話し合いが進んでいない地域もあります。市が繰り返し、液状化対策の必要性と住民からの費用負担と効果についての不安を解消するための話し合い場を設置していくことが必要ではないですか。
 4つに、液状化対策事業の国の費用負担を明らかにさせて、費用負担軽減に取り組むべきではないですか。現状はどうなっているのか。
 5つに、地下水位低下工法ができない地盤の地域は、工法の選択の余地がありません。次善の策も検討することが必要ではないですか。環境研究センターによるボーリング調査や見解など、多角的に検討することが求められているのではないですか。
 6つに、モデル地区以外は、2015年度の工事着工に間に合わないところがほとんどとなると思われます。国へ適用期限延長の要望に取り組まれていますが、その概要と国から示されている内容について、伺います。

3.子どもルームについて

 社会保障審議会の放課後児童クラブの基準に関する専門委員会報告書が昨年の12月に提出され、「参酌すべき基準」である児童の集団の規模では、概ね40人までとするものの、40人を超えるクラブについては複数のクラブに分割して運営すること、1つのクラブの中で複数の集団に分けて対応するよう努めるとされ、大規模ルームが残る可能性があります。静養スペースが必須になっていないことや、千葉市では既に進めている入所への優先順位をつけて対応することも考えられるとして、待機児童を認める内容となっています。
 保育と同じく、子どもルームについても新制度には様々な欠点があり、子どものことを考えれば、新制度は撤回して公的な制度に戻すべきです。
 1つに、国に対して欠点がある「子ども・子育て支援新制度」の撤回を求めるべきではないですか。
 2つに、実施されたとしても、例えば保育は児童福祉法第24条に基づけば、実施責任は自治体に委ねられています。子どもの権利を保障するために、すべての児童に等しく最善の子育て支援を実施するという立場に立つべきではないですか。
 子どもルームについても、新制度のもとで条例化が必要になっています。放課後健全育成事業に従事する者及び員数については、厚生労働省令で定める基準に従い、その他の事項について基準を参酌するものとするとされています。2月2日に、千葉市学童保育連絡協議会主催の懇談会の際にも、現行のルームの基準から新制度への移行への課題、保育の充実やルームの改善点が出されていました。子どもルームの定員の明確化、施設改善、児童数に対応する指導員の配置が求められています。
 1つに、新制度移行に向けた条例化のスケジュールはどのようになっているのか。保護者への説明をどのように行なうのか。
 2つに、子どもルームにおける「従うべき基準」の従事する者及び員数への対応と、「参酌すべき基準」の児童の集団の規模についてどのように対応するのか、伺います。
 子どもの生活環境の改善について、今年初めに真砂東小子どもルームに伺いましたが、改善すべき点が多くありました。現状では建設されている状態での改善が困難なものも見受けられます。これを繰り返してはなりません。
 3つに、子どもが生活するスペースは、「1.65平方メートル以上の面積を確保するよう努める」となっていますが、屋外の下駄箱のスペースまでも含まれている。実際に生活するスペースについて1.65平方メートルを下回らないように施設設置すべきではないですか。
 4つに、保護者から出されている要望等にあるように施設改善や新規設置の際には、実際に利用する児童はもとより、子どもの生活環境の充実を願う保護者や指導員の声を踏まえて対応すべきではないですか。

(真砂東小ルームと幕張西小子どもルームへの対応について)
 真砂東子どもルームについては、12月議会でも取り上げましたが、厚生労働省の示す基準ではなく施設が一体となり、新年度大規模ルームとなります。幕張西小子どもルームについては、マンション建設等によってルーム利用希望者が増加し、昨年4月には定数が120名となっています。そこで何点か伺います。
 1つに、「児童の集団の規模は概ね40人までとする」とされています。千葉市は現行では人数規模は70人までとしていますが、厚労省基準や市のガイドラインからも施設を一体にせず、分割して運営すべきではないですか。真砂東子どもルーム整備の際に、なぜ最初から施設を分割して整備してこなかったのか。幕張西小子どもルームなど大規模ルームの教訓が生かされていないのではないですか。
 2つに、真砂東子どもルームについては、小学校の空き教室を活用するなど、子どもの生活環境の改善を進めるべきではないですか。
 3つに、施設の静音化の対応が求められていますが、千葉市の対応はどのように行なうのか。
 4つに、1施設で100人規模になるにも関わらず、事務スペースが狭隘化することへの対応をどのように考えているのか。改善が必要ではないですか。
 5つに、幕張西小子どもルームについては、今後も児童数増加が見込まれることから、保護者から要望されているAルーム60人、Bルーム40人、第3ルームの増設をすべきではないですか。

(磯辺小学校区の子どもルームについて)
 現在、磯辺地区子どもルームとわかしおルームがある磯辺小学校区については、企業庁用地の返還によって、子どもルームにも大きく影響があります。磯辺小学校内には子どもルームが新設できずに、児童は、磯辺地区とわかしおに通っています。新制度移行に伴い、利用希望児童は増加すると思われます。さらには、企業庁が所有する磯辺5丁目住宅用地の入札が行なわれ、落札した事業者からマンション等の共同住宅と店舗を整備する事業計画が出されており、計画では536戸の住宅が整備予定とのことで、人口増加が見込まれます。
 1つに、わかしおルームを現在の場所への継続設置を求めます。企業庁に継続利用を求めるべきではないですか。

 2つに、今後の児童の増加に伴う、この磯辺小学校地区の子どもルーム新設を検討すべきではないですか。

(2回目)

1.子どもルームについて

 新制度では、実施主体である千葉市が子どもルームにおいて、ニーズ調査を踏まえ、「従うべき基準」の従事する者と員数、「参酌すべき基準」の児童の集団規模と子どもが生活するスペースについては、「国から示された省令を基に、市の実状を勘案し、条例案を作成する際に検討」との答弁でした。新制度では6年生まで対象年齢が拡大されます。そこで伺います。
 1つに、条例案の作成にあたっては、現在の基準を切り下げることなく、むしろ国の基準を上回るものにしていくべきです。お答えください。
 2つに、対象年齢のルーム利用希望者が入れるものとなるように、子どもルームの量的拡充、あわせて指導員の配置などの質的拡充を図ることを求めます。お答え下さい。
 施設を一体とせず分割運営を求めましたが、真砂東小子どもルームについては「パーテーションを設置して60人、40人の2つのルームに分割し、運営する」とのことですが、保護者はそのことを望んでいるでしょうか。先日の保護者との懇談の中では、子ども一人当たりの生活スペース1.65平方メートルが下駄箱も含めて施設が整備されていることや、施設が一体ではインフルエンザなど感染症の不安があること。幕張西小子どもルームでは、利用児童が100名を超えている中で、1つのテーブルで10人がお弁当を食べている実態が示されています。「施設改善や新設の際には説明会を実施し、保護者の意見を聴取し、今後も丁寧な対応を心がける」だけでは納得できるものではありません。真砂東小子どもルームの静音化については「クッション材を敷く対応」としていますが、施設整備の際に、ルームの床にクッション材が設置されていないのは問題ではないでしょうか。
 3つに、子どもルームの実施主体は市であり、児童、保護者、指導員の意見や要望に応える責任があるのではないですか。「クッション材を敷く対応」ではなく、床にしっかりと埋め込んだ形での整備をすべきではないですか。
 4つに、現在、利用児童数が多く、70名を超える子どもルームについては、分割し、増設して進めていくことを求めます。
 磯辺地区の子どもルームについては、企業庁から「磯辺小学校に近い土地を譲り受ける代わりに、わかしおルームの継続利用は考えていない」とのことです。現ルームの統合は、企業庁と市の行政側の都合であり、子どもたちのために継続して利用できるように本来、県企業庁と交渉すべきであることを指摘しておきます。
 そして、5つに、磯辺地区の子どもルームを統合し、再び施設を一体にしてその中で分割運営することはあってはなりません。分割で施設増設をすることを求めます。

2.液状化対策について

 東日本大震災の長周期振動による液状化被害から3年が経ちました。ある学識経験者によれば、「東日本大震災での揺れと、将来起こりうる首都直下型地震の揺れは数倍違う」というように、地盤の液状化対策が今後も求められています。国が復興交付金の期限延長の動向を見守るだけでなく、明確になるよう引き続き求めるべきです。
 対策工法の選択の余地のない地域への対応では、「対策工法としては国から示されている液状化被害市街地におけるガイダンス(案)により、地下水位低下と格子状地中壁の2つの工法が実施可能」としていますが、そもそも国の示す内容が2つの工法に限られ、対策工法の高額な負担が、住民の合意に大きく影響しています。一体的な対策が困難な地域については、「個別に実施できる対策などについて情報提供を行うことも考えている」とのことです。
 最終的に「個別・個人の対策」に求めるのではなく、液状化被害の実状に応じて対策を講じることができるよう国に次善策を検討するよう求めるべきではないですか。お答え下さい。

3.美浜区における地域・住宅・福祉の課題について

 市内における高齢化率の伸び率では、地域によって差はあるものの美浜区は他の行政区よりも高い状況が続いています。先日伺った多摩ニュータウンでは、ある分譲団地の再生が行なわれましたが、周辺の高層のエレベーター付きのUR賃貸住宅であっても空き家が多い現状がありました。それは、多摩ニュータウンは丘陵地帯で起伏が多く、階段や坂の存在、近隣で買い物できるスーパーがないなど高齢者の生活にとっては厳しい条件が重なっているためと思われます。多摩と条件は違いますが、5階建ての団地では、1階や2階への住み替えは可能なものの、空きがなければそれもできません。地域を回ると、5階にある住居に空きが増えているように思います。空き家が増えると居住環境の悪化につながり、さらに空き家を招く悪循環となります。
 また、「美浜区内で歪みのある地域への対策については、それぞれの地域の持つ現状と課題などについて、様々な主体と行政が共通認識を持ち、共に今後のまちづくりを考えていくことが重要」との認識です。
 区の中では、幸町団地が福祉拠点施設整備では再生例として注目されています。高齢化への対応を考える時に、歩いて行ける距離にショッピングセンターや公民館、介護施設や医療機関等があるまちづくり、働く場所と住む場所を同じ地域にすることで、若い世代から高齢者までの各世代が共存できる仕組みが必要です。
 団地の活性化は、市のまちづくりに重要な役割を果たします。少子高齢化、人口減少、高齢化によるコミュニティの希薄化、都市基盤の老朽化などの課題は、区だけの課題認識にとどめず、市全体としての認識にしなければなりません。
 1つに、花見川団地では中層住宅に14基のエレベーターがモデル的に設置されています。高洲第1団地ではすでに設置されています。共益費への負担がありますが、高齢者世帯が住み続けられ、若い世代の入居も促進できるよう、住民の合意が得られたところについては、URに中層住宅で設置されていない住棟、団地への整備を求めるべきではないですか。
 2つに、先行して高齢化等の課題を研究・検証している他市のニュータウンの状況を踏まえ、区特有のUR賃貸住宅団地等の再生や全国の団地再生の事例をテーマにした職員研修、住民を含めた講演をおこなうなど、美浜区全体の「団地の再生と活性化」に向けた庁内検討会議の立ち上げるべきと考えますが、お答え下さい。