ふくなが洋議員の一般質問と答弁



2014.3.13

1.生活保護法と生活困窮者自立支援法について

写真【ふくなが洋議員】
 昨年の12月6日の衆議院本会議で、生活保護法の一部改正と生活困窮者自立支援法の2法案が、自民党・公明党・民主党・維新の会・みんなの党などの賛成多数で強行可決されました。生活保護の「水際作戦」を法制化し、貧困と格差を促進するものです。この2法案は、国会審議などで正当性、道理のなさが明らかになりました。人間性を尊重しない、尊厳のない強制的なやり方は絶対に認められません。
 参議院の厚生労働委員会で可決されたとき、附帯決議で「生活保護の運用は現行と変わらない」「水際作戦と受け取られることがあってはならない」とされています。
 にもかかわらず、申請拒否や扶養義務の強制などの水際作戦が強化されるものであり、改正そのものが必要ないと関係者の声がわき上がっています。そこで伺います。
 千葉市は生活保護法と生活困窮者自立支援法の成立について具体化をやめるべきではないのか。

【保健福祉局長答弁】
 生活保護法の改正は、支援を必要とする方には確実に保護を行うという生活保護制度の基本的な考え方を維持しつつ、就労による自立の促進や不正・不適正受給対策の強化等を行うものです。一方、生活困窮者自立支援法は、生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、生活が困窮している方に対し自立相談支援や学習支援事業の実施、住宅確保給付金の支給やその他の支援などを行うものです。これらの制度がセーフティネットとして十分に機能するよう事業の連携を図り、一体的な支援を行って参ります。

【ふくなが洋議員】
 わが会派は、この議会で「千葉市福祉の心に基づくプログラム検討員会設置条例の制定」を提案させていただきました。そのなかでの釧路市と豊中市の先進事例を、わが会派も評価しています。そこで、千葉市における釧路市と豊中市の実践の評価と、厚労省の対応について伺います。

【保健福祉局長答弁】
 釧路市では、生活保護受給者を対象に就労体験や意欲向上プログラムなど総合的な就労支援を行っております。豊中市では、福祉部局だけではなく市民部局が中心になり、生活困窮者全体を対象に職業紹介等を中心とした就労支援に力を入れております。これらの事例は、生活保護や新しい生活困窮者対策における先進事例として、国が主催する全国会議などにおいて、たびたび紹介されております。

【ふくなが洋議員】
 さらに、千葉市においてどのように生かして行くのか伺います。

【保健福祉局長答弁】
 両市とも先進的な取組みを行っており、その成果を今後の本市の生活困窮者対策の参考にして参りたいと考えております。

【ふくなが洋議員】
 さらに、確認しますが、親族による扶養義務の強化などを盛り込んだ改悪生活保護法において、「改定後も今までの運用はかわらない」との政府答弁でしたが、千葉市においても政府答弁と同じと考えていいのか伺います。

【保健福祉局長答弁】
 今回、法定化された扶養義務者への通知は、明らかに高い収入があって、福祉事務所が家庭裁判所の審判等を活用してまで、費用徴収を行うことが確実であると判断する場合など、明らかに扶養が可能と思われるにもかかわらず扶養を履行していないと認められる場合に限ることとされており、これらの運用は、改正前と変更はありません。

【ふくなが洋議員】
 貧困からの救済を最優先で実施するべきです。今回の改悪は、不正受給を警戒して、制度を利用しにくくする狙いがあるのではないか。また、書類不備を理由に申請を受け付けないことになるのではないか。

【保健福祉局長答弁】
 国からは、保護申請の意思が確認された方に対しては、速やかに申請書を交付するとともに、申請手続きについて助言を行うことや、保護の申請書類が整っていないことをもって申請を受け付けないということのないよう適切な対応を求められております。また、障害等で文字を書くことが困難であるなど事情がある方に認められている口頭申請についても、従来と同様に認められております。従いまして、法律上認められた保護の申請権を侵害しないことはもとより、侵害していると疑われるような行為自体も厳に慎むべきであることについては、法改正後も変わるものではありません。

【ふくなが洋議員】
 申請者の扶養義務のある親族に、扶養を断る理由の説明を求めたり、新族の収入や資産を勤務先や金融機関に照会することで、親族に迷惑がかかると申請を断念させるなど、扶養義務を負う人の支援を前提とすることにならないのか。

【保健福祉局長答弁】
  今回の法改正において、扶養義務者に対し、保護開始にあたっての通知や開始後の報告徴収についての規定が新設されております。しかしながら、扶養についての考え方は、従来と変わるものではなく、扶養は保護に優先して行われるものではありますが、それを受けなければ生活保護の受給することができないという保護の要件とはなっておりません。

【ふくなが洋議員】
 生活保護制度は困、窮者が必要な保護を受けることができる国民の権利であり、千葉市はその責務を果たさねばならないのではないか。

【保健福祉局長答弁】
 生活保護法は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的としております。本市としても、必要な方には確実に保護を実施していくという基本的な考え方を維持しつつ、適切な保護の実施に努めて参ります。

2.障害者権利条約に関わる問題について

【ふくなが洋議員】
 昨年の12月4日、国連の障害者権利条約批准の承認案が、参院本会議で全会一致で可決成立しました。今回の障害者権利条約の素晴らしさは、制定過程にあるとされます。わたしも議会で何回も質問してきました。障害者の合言葉「私たち抜きに私たちのことを決めないで」のフレーズです。そして、障害のとらえ方が画期的です。これまでは、障害を原因や種類でとらえてきました。条約は障害と社会との関係のなかで起こる「生活のしづらさ」を障害とする。「インクルーシブ」(わけ隔てのない)という言葉も織り込まれました。
 さらに、障害のない市民の生活水準との平等性や公平性を最も重視していることです。そこで伺います。
 障害者権利条約批准で、国の法律の整備や千葉市の障害者施策はどのように変わるのか。

【保健福祉局長答弁】
 国においては、条約の批准に向けて、障害者基本法の改正や障害者差別解消法の制定など国内法の整備を進めてきたところでありますが、批准したことにより、平成28年4月に施行する障害者差別解消法に基づくガイドラインの策定をはじめ、障害者の権利実現に向けた取り組みが一層強化されるものと考えております。本市においても、条約の趣旨や、現在、障害者の生活の不便さなどを把握するために実施している実態調査の結果等を踏まえ、新年度、「障害者計画」及び「障害福祉計画」を策定いたします。
 また、障害者差別解消法に規定されている障害者に対する「差別的取扱いの禁止」や「合理的配慮の実施」などについて的確に対応するため、今後の国の動向等に注視するとともに、障害者団体へのヒアリング等を実施しながら、必要な研究を行ってまいります。

【ふくなが洋議員】
 作業所で働く障害者の年収は、60%の人が年金を含んでも100万円未満です。千葉市の実態を明らかにし、障害のある人の生活水準をどのように改善するのか。

【保健福祉局長答弁】
 平成24年度の市内障害者施設等における平均工賃は、月額で14,026円と低く、年金収入を合わせたとしても自立生活を送るには困難な状況にあります。このため、授産製品の品質向上や販売機会の拡大などにより、工賃向上を図るほか、一般就労を希望する障害者の就職を支援しております。
 また、福祉手当、医療費助成など各種の手当や助成により、経済的負担の軽減に努め、障害者の生活水準の改善を図っているほか、大都市心身障害者児福祉主管課長会議を通じ、国に対し、障害者の所得の確保に係る施策について、引き続き要望しております。

【ふくなが洋議員】
 東日本大震災では、障害者の死亡率は全住民の2倍になりました。先の議会で、要支援者名簿の外部提供が条例化されました。この事とあわせて、障害者の具体的な支援策の説明を。

【保健福祉局長答弁】
 避難行動要支援者名簿の活用などにより障害者の避難支援等に向けて取り組むほか、指定避難所での避難生活が困難な障害者等を支援するために開設する「拠点的福祉避難所」について、現在、128か所の高齢者・障害者施設を指定しております。また、一般避難者向けの備蓄品とは別に、「簡易エアーマット」や「紙おむつ」などを備蓄するほか、障害者の特性に配慮した避難所運営を行うため、コミュニケーションボードなどの情報伝達用具の整備もすすめております。

【ふくなが洋議員】
 障害者が65歳になると、障害福祉施策から介護保険サービスに切り替えられ、不便になる。この介護保険優先の原則は、憲法違反になるとの裁判が起こされています。この裁判の内容の説明と千葉市の考え方について伺います。併せて、この介護保険優先こそ障害者権利条約違反と考えないのか。

【保健福祉局長答弁】
 裁判の詳細は把握しておりませんが、新聞報道等によれば、障害福祉サービスを無料で利用していた重度障害者が、65歳となり、介護保険の適用が優先され、1割の自己負担が新たに生じたこと等を不服として提訴したもの、と承知しております。利用者負担の問題など、障害福祉サービスと介護保険制度の適用関係については、他の政令市等とともに、国に対して、制度の見直しを要望しているところであります。

【ふくなが洋議員】
 障害者虐待防止法が施行されて1年になります。千葉市も障害者権利条約の視点から、深刻な千葉市における障害者虐待の被害実態と防止策について伺います。

【保健福祉局長答弁】
 平成25年4月から26年1月末までに受け付けた障害者虐待に関する通知等の件数は19件であり、このすべてに対して、現地訪問等の調査を実施した結果、虐待と認定したのは3件です。虐待認定したケースについては、虐待を行っている者に対し、虐待行為であることを認識させ、虐待をやめさせる指導を行ったほか、1件については被虐待者を一時保護しています。また、防止については、障害者施設等への実施指導に際し、利用者の状況を確認するとともに、職員を対象に虐待行為の意識づけや適切な支援方法の習得を目的とした研修会を開催しているほか、ポスターの掲示とリーフレットの配布等により、虐待の予防と早期発見に努めています。

【ふくなが洋議員】
 難病助成の見直しも大問題です。難病の医療費助成の対象を現在の56から約300へと増やすが、重症患者らに絞るなどの改悪が進められています。今回の改悪は、難病患者を社会全体で支える理念に反しています。この制度改悪に対する見解を求めるとともに、千葉市独自の支援を求めるものです。

【保健福祉局長答弁】
 難病患者への医療費助成の見直しは、難病疾患間の不公平感の解消を図るなど、公平で安定的な医療費助成の仕組みを構築することを目的に実施するものと理解しています。
 また、即認定者に対しては、施行後3年間の経過措置があり、その後も高額な医療費を継続することが必要な軽症者には助成が行われるなど、一定の配慮もされておりますので、市独自の支援につきましては、現在のところ考えておりません。

【ふくなが洋議員】
 障害者権利条約を新たなものさしにして、障害の有無にかかわらず安心して生きられる社会の実現のために、千葉市はその先頭に立つべきです。

3.聴覚障害問題と手話言語条例について

 以前から、聴覚障害者にとって、手話は言語として重要な役割を持っています。やっと手話が言語として認め、その普及を促す条例が鳥取県や北海道の石狩市で制定されて、認められることになりました。全国30万人の聴覚言語障害の人や関係者の喜びは大きいものがあります。そこで伺います。
 千葉市の鳥取県や石狩市の手話言語条例の制定についての評価と、千葉市における課題について。

【保健福祉局長答弁】
 鳥取県等の手話言語条例は、手話は独自の言語体系を有する文化的所産であるとして、その普及を総合的かつ計画的に推進するものであり、「障害者の権利に関する条約」や「障害者基本法」の趣旨に沿った条例であると認識しております。手話言語条例に関する課題としては、平成28年4月に施行される「障害者差別解消法」の規定に基づき、法施行までに、障害者その他の関係者の意見を反映させて策定されることになっている、国の基本方針、対応要領、対応指針との整合を図る必要があるものと考えております。

【ふくなが洋議員】
 手話に対する認知・理解をどのように広げるのか。

【保健福祉局長答弁】
 毎年、聴覚障害者団体や手話サークル等が中心となって、ハーモニープラザで、市民が手話に親しめる「手話まつり」を開催しているほか、小・中学生等を対象として開催される「福祉講話」を活用し、手話に対する理解促進に努めております。

【ふくなが洋議員】
 手話通訳者の関係で伺います。千葉市では現在、何人通訳者がいるのか。その身分や収入について明らかにするとともに、待遇の改善を求めます。

【保健福祉局長答弁】
 本庁と各保健福祉センターに各1人、あわせて7人の手話通訳者を設置しておりますが、すべて非常勤嘱託職員で、報酬は月額202,500円となっております。

【ふくなが洋議員】
 手話言語法の制定を全日本ろうあ連盟は求めています。そのために、千葉市においても条例制定が求められます。

4.アルコール健康障害対策基本法について

 先の国会で、酒害の低減、防止を目的にしたアルコール健康障害対策基本法が成立しました。依存症患者の団体の願いが実りました。酒害者の救済、酒害防止の運動は、1世紀前から進められています。今回のアルコール健康障害対策基本法(アルコール基本法)は、酒害対策を進めるために、国・自治体、酒類製造販売業者、国民、医師等の責務を定めています。そこで伺います。
 厚生労働省研究班は、アルコールによる社会的損失の金額、アルコール関連死の推定を何人としているのか。

【保健福祉局長答弁】
 厚生労働省研究所班によるアルコール社会的損失の金額は、年間4兆1,483億円、アルコール関連疾患等の年間死亡者数は、約3万5千人と推定しています。

【ふくなが洋議員】
 千葉市として、アルコール基本法の制定に伴う推進計画策定と、千葉市の現状を明らかにしていただきたい。

【保健福祉局長答弁】
 平成25年12月に制定された本基本法では、国において法施行後2年以内に基本計画を策定し、さらにその計画に基づき、都道府県が実状に即した推進計画を策定するよう努めるものとされています。策定につきましては、他市の状況等を踏まえながら、研究して参ります。
 また、本市の現状ですが、「健やか未来都市ちばプラン」におきまして、「飲酒は健康に影響があることを知り、正しくお酒と付き合います」をキャッチフレーズに掲げ、飲酒に関する知識や多量飲酒の健康影響・社会影響などについて普及啓発を図ることとしております。

【ふくなが洋議員】
 アルコールの社会問題として、飲酒運転、児童虐待、家庭内暴力、一気飲み、認知症、うつ病、自殺との関係や千葉市の実態についてうかがいます。

【保健福祉局長答弁】
 アルコールの過剰摂取によって、理性の働きが低下して攻撃性が増すことで事故や暴力などにつながる危険性が高いことや、アルコール依存症とうつ病の合併は頻度が高いこと、睡眠薬等との併用による自殺の危険性が高まるなど、アルコールは様々な社会問題の原因となるものです。本市の実態としては、精神保健福祉相談におけるアルコール依存に関する相談が、平成23年度は153件、平成24年度は244件と増加傾向にあります。
 また、本市が実施する様々な相談では、依存による本人の健康障害だけでなく、家庭内暴力や経済的困窮など家族への深刻な問題や重大な社会問題が見受けられ、その対応も課題となっております。

【ふくなが洋議員】
 未治療の依存症患者への治療、医療施設の充実、被害の発生や再発防止への取り組みにはどうか。

【保健福祉局長答弁】
 精神保健福祉相談において、未治療のアルコール依存疾患者の家族等からの相談があった場合には、治療の必要性を説明するともに、必要に応じて本人に面談して受診を促すなど、早期の治療に繋がるよう努めております。医療施設の充実については、本基本法が制定され、医師や医療機関の責務が定められたことや、今後、国が定める基本計画や県が定める推進計画により取り組まれることと考えております。再発防止等の取組みについては、こころの健康センターの講演会や「市民健康づくり大会」において、飲酒と健康に関する知識と普及啓発を図るとともに、アルコール依存症の方には精神保健福祉士や保健師の訪問や「断酒会」等の自助グループの利用を勧めるなど、再発防止への支援に取り組んでいるところです。

【ふくなが洋議員】
 今後も、アルコール健康障害対策が医療施設の充実とともに進むことを求めるものです。

5.子ども権利条約にかかわる問題について

 子どもに最大の利益を保障する視点から伺います。
 最初に色覚検査の問題です。小学校の色覚検査廃止から10年経過しました。色覚問題をこれまで取り上げてきました。不必要な禁止規定の廃止なども求めきました。今日、色覚異常を認識しないまま進学や就職に直面するケースが増えています。そこで伺います。
 色覚検査が廃止されて、子どもの進学や就職に問題があったケースはないのか。また、色覚検査の千葉市の実態と検査が廃止された背景はなにか。

【教育次長答弁】
 色覚検査が千葉市で廃止された背景ですが、学校保健安全法施行規則の一部改正により、本市においても平成15年度から削除しました。なお、色覚検査の廃止により、進学や就職に問題があったケースについては、把握しておりません。

【ふくなが洋議員】
 2001年の労働安全衛生規則の改正で、雇用時の色覚検査は原則廃止されて、国は色覚の違いで採用制限をしないように指導をしています。過去の一斉検査で、心に傷を負った子どもも多くあります。希望者には、工夫した検査を実施するべきではないのか。

【教育次長答弁】
 本市における色覚検査は、児童生徒及び保護者の希望に応じて、学校医による健康相談として実施しております。なお、色覚検査は、個別に行うなど、児童生徒のプライバシーの保護に十分配慮し、実施することが必要であると考えております。

【ふくなが洋議員】
 色覚異常の子どもに、教育上の配慮や補正レンズの使用についての見解を伺います。また、社会的差別の実態についても伺います。

【教育次長答弁】
 教育上の配慮については、文部科学省が監修した教員向けのリーフレットを活用し、板書について工夫することなどで、不都合のないようにしております。なお、色覚異常を補強するレンズの使用並びに、社会的差別の実態については、承知しておりません。

【ふくなが洋議員】
 次に、全国学力テストの公表の問題です。
 小6と中3を対象にした全国学力テストでの、学校別の成績が公表される懸念が指摘をされています。そこで伺います。
 国連の子ども権利委員会は、日本の教育のありように警鐘を鳴らしています。すなわち、高度に競争的な学校環境が、子どものいじめ、精神障害、不登校、中途退学、自殺を助長しているとの指摘をどのように考えるのか。

【教育次長答弁】
 児童生徒の問題行動や不登校の背景には、社会情勢の変化に伴い、家庭や学校、友人、地域社会など、児童生徒を取り巻く環境などの様々な要因が存在しているものと認識しております。

【ふくなが洋議員】
 学力テストの公表は、学校の序列化やテスト偏重の教育にならないのか。学校教育は、子どもを丸ごと人間として育てる役割があります。友達どおしの信頼関係、異質な人との協力ができる力をつけることが大切ではないのか。

【教育次長答弁】
 全国学力・学習状況調査は、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育指導の充実や学習状況の改善に役立てること等を目的としております。また、学力に加え、学習意欲や生活の諸側面等に関する質問紙調査も併せて実施していることから、その結果を総合的に判断し、学校・家庭・地域が協力し、児童生徒に「生きる力」を育んでもらうことが大切であると考えます。
 なお、調査結果の公開に関しては、学校の序列化や過度な競争が生じないようにするなど、教育上の効果や影響等に十分配慮することが重要であると捉えております。

【ふくなが洋議員】
 問題は、2000年前後に学力の低下が表面化し、学力の質が議論されて、どういう学力を身につけさせるのか、現場での模索もありました。現在は、どのような学力を形成するのか、学校地域で考えなくなったことではないのか。学力の内実の議論がなくなり、質ではなく学力テストの点数だけに目が向いていくのではないか。

【教育次長答弁】
 本市では、これまでも「夢と思いやりの心を持ち、チャレンジする子ども」の育成を目指して、「自ら考え、自ら学び、自ら行動できる力をはぐくむ」ことを教育目標に掲げて、「わかる授業、楽しい教室、夢広がる学校づくり」に向けた諸施策に取り組んで参りました。
 今後も、本市の児童生徒の「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」のいわゆる知・徳・体の調和のとれた教育を重視することにより、「生きる力」の育成を目指して参ります。

【ふくなが洋議員】
 子どもに豊かな学力を保障するには、競争ではなく教員の数を増やし、1クラスの人数を減らして、創造性を重視し、教員は自主的な研修に参加できるようにすることが必要ではないのか。

【教育次長答弁】
 本市では、これまでも「夢と思いやりの心を持ち、チャレンジする子ども」の育成を目指して、「自ら考え、自ら学び、自ら行動できる力をはぐくむ」ことを教育目標に掲げて、「わかる授業、楽しい教室、夢広がる学校づくり」に向けた諸施策に取り組んで参りました。
 今後も、本市の児童生徒の「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」のいわゆる知・徳・体の調和のとれた教育を重視することにより、「生きる力」の育成を目指して参ります。

【ふくなが洋議員】
 こうしたことを踏まえて、テストのための教育にならないようにするため、千葉市は公表すべきではないと考えないのか。

【教育次長答弁】
 「平成26年度全国学力・学習状況調査実施要綱」の概要において国は、調査結果を公表する場合の配慮事項として、(1)公表内容、方法等は、教育上の効果や影響を配慮して適切なものとなるよう判断すること。(2)単に数値のみの公表は行わず、分析結果を踏まえた改善方策についても公表すること。(3)数値を一覧にしての公表や各学校の順位付けは行わないこと。(4)児童生徒の個人情報の保護や学校・地域の実情にも応じた必要な配慮を行うこと。
 としております。本市の公表の在り方については、その趣旨を踏まえ、慎重に検討して参ります。

【ふくなが洋議員】
 次に、教育委員会のあり方の問題です。
 中教審の答申を受けて、教育委員会制度が政府与党で議論されています。一般行政から独立した執行機関の教育委員会を廃止するのが一番の問題です。戦後の教育行政は、戦争への反省から出発したのです。戦前の教育が無謀な侵略戦争に国民を動員する役割を果たした反省から、その過ちを2度と繰り返さないための制度であり、教育は中央、地方を問わず、政治権力が動かしてはならないことを原則としています。そこで伺います。
 戦後の教育委員会制度は、どのような経過で誕生したのか伺います。

【教育次長答弁】
 戦前の教育行政は専ら国の事務とされ、地方では知事や市町村長が国の教育事務を執行しておりましたが、教育の地方分権、教育行政への民意の反映を図るため、昭和23年に「教育委員会法」が制定され、教育委員会制度が誕生しました。なお、同法では、教育委員は直接選挙により選任され、教育予算編成の強い権限等が付与されていたことなどから、政治的確執の持ち込みや委員会と首長・議会との摩擦が問題となるなど、是正の要求が高まり、昭和31年、同法に代わり、現在の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が制定されております。

【ふくなが洋議員】
 最近の地方政治における高校の教科書採択への介入や、自治体首長の教育委員会人事への介入などについての見解はどうか。

【教育次長答弁】
 教育基本法で規定されているように、「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行わなければならない」ものと認識しております。

【ふくなが洋議員】
 教育員会は、住民の意思に基づいて、子どもみんなが成長できる教育をつくりだす本来の役割があるのではないか。

【教育次長答弁】
 戦後、教育行政への民意の反映などを図るため教育委員会制度が誕生し、その後、現地の地方教育行政法が制定されており、地域住民の意向を教育施策に反映することが教育委員会本来の役割の一つと考えております。

【ふくなが洋議員】
 首長が教育施策を決定して良いと考えるのか。

【教育次長答弁】
 首長に権限が集中すると政治的中立性が保てないおそれがありますが、教育は地域住民にとって、関心の高い分野であることから、首長と教育委員会が共通の目標を持つことは重要であると考えております。

【ふくなが洋議員】
 時々の政治権力が都合のよい教育をしてはならない。これは歴史的な教訓とされています。教育委員会は、子どもの命と権利を守る開かれた機関になるべきです。

6.ベルク千葉浜野店出店計画について

 現在、中央区村田町1102番地先に、株式会社ベルクが店舗新設計画を進めています。これまで、大規模小売店舗立地法に基づく地元説明会が開催されてきました。開店予定日は今年の6月19日とされています。住民からは、「なぜ、住宅に隣接して店舗が建設されるのか」「重大な環境問題がある」として、建設反対ではなく、店舗を「これまでパチンコ店があった茂原街道側に移すように」との強い要望が出されています。そこで伺います。
 ベルク千葉浜野店の村田町への出店計画は、どのような計画の下で行われてきたのか。

【経済農政局長答弁】
 同店は、埼玉県大里郡寄居町の株式会社ベルクが中央区田村町110番地に出店を予定しているスーパーマーケットで、店舗面積が2,092平方メートルの大型店を計画していることから、大規模小売店舗立地法に基づき、平成25年10月18日付で本市に対し新設の届出を提出しております。届出書によりますと、計画地は、県道14号線の茂原街道に面し、JR内房線浜野駅から約350メートル東に位置する面積8,892平方メートルの敷地で、用途地域は「第二種住居地域」となっており、以前はパチンコ店がありました。建物は鉄骨造り地上1階建て、営業時間は9時から24時まで、商圏は半径2キロメートル、1日あたりの来客数は約2,700人で、うち、自動車での来店は895台と予測しております。駐車場は国の定めた指針で算出した必要台数89台に対し、敷地内の平面駐車場に加え、屋上にも駐車場を設置し、147台分を確保する計画になっています。大規模小売店舗立地法に基づく手続きの状況は、平成25年11月1日に届出の公告を行い、平成26年3月3日までを新設届の縦覧期間とし、同時に市民等からの意見の提出を受け付けました。今後は、大規模小売店舗立地審議会を開催し、提出を受けた意見等を参考に、国の指針等を勘案し、交通、騒音、廃棄物等に関する市としての意見策定について審議する予定です。

【ふくなが洋議員】
 地域住民とは建設について、合意はとれているのか。取れていないとしたら、合意に至らない問題は何か。

【経済農政局長答弁】
 店舗設置者は、近隣住民等に対し、計画の内容を周知するため、説明会を2回開催しております。近隣住民からは、店舗の配置、騒音等について計画を見直してほしいとの意見・要望があり、本市は、店舗設置者に対し、誠意をもって速やかに対応するよう求めて参りました。店舗設置者は、要望に一部応じる形で、建物の配置修正を行ったほか、生活環境保持のための各種対応策の提示や、店舗運営に関する説明を行うなど、現在も、近隣住民との協議を続けています。なお、今回の計画に対し、「市長への手紙」による意見が4件、大規模小売店舗立地法に基づく意見が1件提出されていることから、一部の近隣住民の納得が得られていない状況にあるものと理解しております。

【ふくなが洋議員】
 法的に問題がなければ、地域の要望を無視して建設をしてよいのか。

【経済農政局長答弁】
 建築基準法、都市計画法等の関係法令に違反がない場合、大規模小売店舗立地法には、店舗の建設について、公権力の行使に関する規定がないことから、市として建設を規制することはできません。

【ふくなが洋議員】
 周辺住民との合意形成に向けて、千葉市は、住民の立場で最大の努力をするべきではないのか。

【経済農政局長答弁】
 周辺住民から意見・要望があった場合は、店舗設置者に対し、誠意をもって速やかに対応するよう求めてきましたが、今後も同様に対応して参ります。