佐々木議員の一般質問



2014.6.16

写真1.教育委員会制度について
 2014年度は小学校教科書採択、2015年は中学校教科書採択の年となります。文部科学省は今年1月17日に、「義務教育諸学校教科用図書検定基準及び高等学校教科用図書検定基準の一部を改正する告示」を公布しました。
 検定基準の改正の内容は、社会科・地理歴史科・公民科について、
(1)未確定な時事的事象については特定の事柄を強調し過ぎないこと。
(2)近現代の歴史的事象のうち通説的な見解がない数字などは通説的見解がないことを明示すること。
(3)閣議決定や最高裁の判例がある場合には、それに基づいた記述をすること
として、2014年度検定から適用するとしています。
 文科相も属していた「日本の前途と歴史教育を考える会」が「南京大虐殺は通常の戦場以上でも以下でもない」「『慰安婦』は単なる売春行為」と述べ、首相が教育基本法に最適だとする育鵬社の歴史教科書の執筆者が「南京事件は教科書で教えない方がいい。教育基本法がいかされていない」と述べています。戦後日本の原点は、侵略戦争と植民地支配の反省とその誤りの清算にあります。子どもたちにゆがんだ歴史観をおしつけることは、断じて認めるわけにはいきません。
 教科書検定では、家永教科書裁判における訴訟の内容がとりわけ重要です。最大の争点であった「教科書検定は憲法違反である」という主旨の主張について、最高裁は教科書検定については合憲としましたが、検定内容の適否については国の裁量権の逸脱があったことが認められた32年にもわたる裁判でした。
 また、八重山採択地区協議会において採択する教科書が一本化されない事態が生じ、竹富町教育委員会は、軍事力に基づかない平和を重視する中学校公民教科書が採択しました。これに対して文科省などはこの結果を無効として教科書無償措置の対象から除外し、政治介入を繰り返しました。結果は、教科書採択地区を分離することで、文科省が指摘する「違法状態」は解消されることとなります。
 1966年のユネスコ特別政府間会議における「教員の地位に関する勧告」では、「教職員は専門職としての職務の遂行にあたって学問上の自由を享受すべきである。教員は生徒に最も適した教材および方法を判断するための特別の資格を認められたものである。教育当局の援助をうけて教材の選択と採用、教科書の選択、教育方法の適用などについて不可欠な役割を与えられるべき」として、教科書は教員が採択することが位置づけられています。そこで、伺います。
 1つに、歴史・公民教科書は、戦前の日本の侵略戦争の反省のもとで、現行の日本国憲法に基づいて、作成されることは当然ではないですか。見解を求めます。
2つに、文部科学省が検定基準を変えることについて、憲法の原則と乖離するのではないですか。
 3つに、憲法は、国民の教育を受ける権利を定めています。教育は何よりも子どものためにあるもので、子どもたちの学習し成長する権利にこたえ、それを満たすためのものです。戦前の「教育は国家のためにある」として時の権力の都合で教育を左右することはあってはならないと考えます。安倍政権が進める教育委員会制度「改革」ではなく、憲法や子どもの権利条約が生かされる教育委員会の役割を発揮すべきと考えます。お答え下さい。
 4つに、来年は、中学校教科書の一斉採択があります。沖縄県竹富町教育委員会の教科書採択に見られる教科書に象徴されるような教育への政治介入があってはならないと考えるが、教育委員会の立場を明確に示していただきたい。
5つに、教科書採択については、1966年のユネスコ特別政府間会議における「教員の地位に関する勧告」で、教科書は教員(教室・学校)が採択するとされています。教育委員会としてこの立場に立った教科書採択としているのか。

2.平和行政について
 市民団体等が開催する原発や憲法についてのイベントへの後援申請を拒否する自治体が相次いでいます。千葉市は、「平和行事の共催及び後援に関する基準」を4月に変更しています。その内容は、「一般的に論点が分かれているとされる思想、事実等について主観的考えを主張すると認められるときまたはそのおそれのあるとき」と取扱い基準にあえて設けています。これは政治の中に自治体が身を置いてしまうことであって、地方自治の根幹に関わる問題です。
 自治体には本来、憲法尊重擁護義務があります。後援を認めたときと今回で千葉市の判断は変化していて、その整合性についても説明が求められます。「行政として政治的に中立的な立場を維持するために基準を設けた」としていますが、最近の原発問題、憲法問題などの政治動向に配慮したのなら、市が政治判断をしたことになり、地方自治の放棄ともいえる行為になりかねません。
 1つに、1月の市民団体の平和集会の後援を新聞報道では「拒否」したとなっていますが、その経過について伺います。
 2つに、後援を認めた時と今回の取扱い基準変更についての整合性について説明を求めます。
 3つに、市が「後援」するかどうかは公務となります。公務である以上、憲法第99条の自治体には憲法尊重擁護義務を履行するように、あるいは反しないように判断しなければなりません。これに照らして、千葉市が政治動向に配慮し、政治的判断をしたことにならないのか、伺います。
 4つに、「事実等について主観的考えを主張すると認められるとき」については、そうした主観的考えだけの市民が参加しているのではありません。異なる意見を持っていても参加し、意見を出し合う、議論を保障することが自治体に求められているのではないですか。
 5つに、市はこれまで憲法記念日などに日本国憲法の存在意義、重要性を確認し、国民・市民にイベントを開催していますか。今後開催しようとしていますか。

3.子どもルームについて
 子ども子育て支援新制度を前にして、子どもルームについても条例化がされます。保護者としてみれば、新制度が実施されたとしても、希望する児童全てが入所でき、児童一人あたりの面積1.65平方メートルを下回らず、安心して健康的な生活が送れるように、対象児童拡充に伴う施設の増設や改善を求めるのは当たり前のことです。
 先日、雨天時に再度、真砂東小子どもルームに伺いました。1施設100名定員をアコーディオンカーテンで仕切られると圧迫感を感じて、おやつや遊びの時間にはアコーディオンカーテンはすべて開けて対応されています。子どもたちの声が響き、指導員も大きな声を出さなければ子どもたちに伝わりません。真砂東小子どもルームは、固定・子機電話がAルームとBルームそれぞれに設置されていますが、事務スペースが同じであるために、どちらに掛かってきたのかわからないことも見受けられました。根本的に解決されていません。千葉市では厚生労働省が示す「児童の集団の規模はおおむね40人までとする」という方向ではなく、ルームを統合し、新しい施設にした場合には大規模化しています。ただちに改善すべきです。
 1ルームの人数を概ね40人として、超える場合には施設分割、同一建物で分割する場合には、事務室、電話、炊事場等をそれぞれに設置して、互いの声が聞こえないように完全分割することが必要です。
 NPO法人の運営するルームについては、現状でも市からの補助がないために、指導員の確保が困難な状況の中で、新制度に移行した場合には、市の補助で、基準を下回らないための支援が求められます。
 そこで、伺います。
 1つに、子どもルームにおける子どもの生活環境の整備を行うのは自治体の役割であり、新制度においても保障はされるのか、お答え下さい。
 2つに、条例化について、子どもルームごとの説明会の開催を求めるがどうか。
 3つに、子どもルーム入所を希望する児童が入れるように整備すべきではないのか。受け入れ対象児童を6年生まで拡充するという制度の主旨にのっとって、保障すべきではないですか。
 4つに、新制度における受け入れ基準点数表の取り扱いをどうするのか。高学年まで一緒にふるいにかけることはせず、入所希望通りに受け入れるべきではないのか。
5つに、慢性的な指導員不足でなり手がいないことについても、根本的解決のためには指導員の処遇改善が求められます。これまでも指摘しているように経験給の導入と基本給の昇給をすべきです。お答え下さい。
 6つに、真砂東小子どもルームも幕張西小子どもルームも大規模化が改善されていません。保護者は、「現場の判断だけでは問題であり、市は大規模化の認識を持つべき。子どもの生活環境をコストとして考えているのか」という声が出されています。大規模化の現状を改めて、予算をつけて施設増設で改善を図るべきではないのか。

 8つに、NPO法人運営の学童保育について、新制度移行に向けた中で、どのような位置づけとなるのか。市が補助を行い、指導員の確保と利用料の軽減を図るべきです。お答え下さい。

4.液状化対策について
 2015年度までに市街地液状化対策事業の事業実施期限が迫っています。液状化対策のまちづくりは住民参加と住民合意が基本であり、住民の不安を残したまま強行してはなりません。また、期限の延長についての国からの回答が示されないままとなっています。
 6月2日から8日にかけて美浜区稲毛海岸にある千葉県環境研究センターの一般公開が行なわれ、昨年12月に行なった千葉西高校における地層断面調査の結果が出されています。同センターの報告によれば、液状化・流動化現象は埋め立てられた地層の上層部分で起こっていますが、貝殻片が密集した層では液状化現象がほとんど見られず、地震時に高まる水圧を発散したと推定されるとしています。厚い泥層の上では沈下がなく、軽微な被害で済む場合を示している。液状化部分は厚さ30センチ程度であり、その特定の地層の透水層構造を明らかにするために、連続的に地層を採取する調査が必要としています。
 今後実施されようとしている地区についても地層の詳細な調査が求められています。そこで、伺います。
 1つに、液状化対策事業の進捗状況について、伺います。
 2つに、液状化対策推進委員会の報告では磯辺8丁目と真砂5丁目についても地下水位低下工法の可能性を探るとしていますが、今後の具体的な取り組みについて示していただきたい。
 3つに、市職員だけでなく、国の技術職員派遣を要請し、住民説明会等への人員の配置をして、住民と一緒になって液状化対策とまちづくりを検討すべきではないですか。
 4つに、千葉県環境研究センターの調査結果にあるように地層は複雑です。今後の事業実施に向かう地区における地層の詳細な調査が必要と考えますが、液状化対策推進委員会または市として、どのように考えているのか、伺います。
 5つに、詳細な調査と住民合意には時間がかかります。2015年度末までの市街地液状化対策事業の実施までに残り1年9カ月となっています。復興庁・国交省へ自治体・地域の実態に合わせて事業の延長を求めていくべきではないですか。

(2回目)
1.教育委員会制度について

 もともと教育委員会は戦後の1948年、選挙で選ばれた教育委員たちが、その自治体の教育のあり方を決めるという民主的な制度として発足しました。戦前の中央集権型の教育行政を改め、教育の自主性を守るため、教育行政を首長から独立させたものです。
 その後、公選制は廃止されましたが、教育委員会には「首長からの独立性」が残されています。例えば、島根県松江市では、教育長が漫画『はだしのゲン』を学校図書館から撤去させた時、教育委員会がその決定を取り消しています。これらは、教育委員会が独立した行政機関だからこそできることです。
 そうした教育委員会の独立性が発揮されているのにも関わらず、教育委員会制度改革として、政府の法案では、その自治体の教育政策の基本となる「大綱」を決定する権限を首長に与えるものとなっています。答弁では、「日本国憲法の精神に則り、基本的人権が尊重されるよう、人間尊重の教育を基調として進め、今後もこのような役割を推進していく」とのことでした。法案が具体化されれば、教育委員会の独自性は大きく損なわれてしまいます。国や首長が露骨に教育内容に介入する仕組みをつくるものであり、憲法に保障された教育の自由・自主性を侵害するものにほかなりません。
 1つに、教育委員会の「首長からの独立性」について改めて教育委員会の見解を伺うとともに、教育の自由・自主性の役割を今後も果たすべきです。お答え下さい。
 2つに、教科書採択について、採択される歴史・公民教科書に対して、政治権力による教育内容への介入があった場合には、憲法を生かして毅然と対応していくべきではないですか。
 3つに、特に教科書を使う教員が教科書展示会に参加するための保障をすべきです。お答えください。

2.平和行政について
 平和を望む市民にとって、憲法で保障された国民の知る権利を保障しなければならないと考えます。賛成や反対の意見とその議論を保障することは、住民自治にもつながります。
 憲法尊重擁護義務は、日本国憲法第99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」とされ、日本国憲法は、国の最高法規であり、このことを守るために、憲法に反する法令に効力をもたせず、公務員に課しているものです。
 千葉市が憲法尊重擁護義務を果たそうとすれば、日本国憲法の存在意義、重要性を確認し、イベントを企画し、国民・市民に広めることが自治体にも求められているということを指摘しておきたいと思います。

3.子どもルームについて
 条例案について、「公開で開催される社会福祉審議会福祉専門分科会における意見聴取、パブリックコメントを行なうなど広く意見を聴取する予定であり、ルームごとの説明は考えておりません」との答弁です。
 保護者は、新制度となっても「安心して生活が送れる子どもルームの充実を実現してほしい」と願っています。
 市政だよりやホームページ、ツイッターなどの媒体を活用することはもちろんですが、利用している児童の保護者や希望する保護者全員へ周知し、制度の内容や条例案について説明すべきです。お答え下さい。
 保育環境の改善では、大規模化が解消されないままとなっています。市内で100名定員以上のルームでは、別棟や仕切りで対応されているものの、「児童の集団規模概ね40人」には程遠い状況です。慢性的な指導員不足と、大規模化ルームを継続させることは許せません。大規模化に対しての認識を持っているのであれば、大規模ルームについては予算をつけて、複数のルームを設置して対応すべきではないですか。お答え下さい。
 受け入れ対象児童の拡充については、「受け入れ手法等を検討していく」としていますが、拡充によって「潜在的な待機児童」の掘り起こしにつながり、現在のルームでの対応では待機児童を増加に対応できるでしょうか。条例とともに事業計画の策定の中で希望する児童が受け入れられるよう、また指導員の配置など質的な拡充が図られる条例と計画にすべきです。お答え下さい。
 統合される磯辺地区の子どもルームについては、児童はもとより保護者や指導員の意見が反映されるように求めておきます。
 NPO法人運営の学童保育であっても、児童の健全な育成を図り、保護者の仕事と子育ての両立を支援するための放課後児童健全育成事業に基づき運営されていますが、保護者の利用料等と市民からの寄付等で運営され、厳しい運営状況にあります。新制度を機にNPO法人運営の学童保育において指導員の複数配置と待遇の改善、利用料の軽減にむけて、市がしっかりと支援をすべきではないですか。

4.液状化対策について
 国の技術職員派遣の要請については、「制度では復興交付金、対策工法では液状化被害市街地におけるガイダンス案等で、国の知見にもとづき地元説明を行なっている」とのことですが、応援の人員について、今年3月18日の参議院の東日本大震災復興特別委員会でのわが党の田村智子参院議員が、浦安市において「専門的な疑問にも答えるということも必要」との質問に対し、復興大臣は、「液状化事業に関する経験や知識を有する他の自治体職員の派遣についても、浦安市から御要望があれば適切に対応していきたい」と答弁しています。
 千葉市としても、地域の状況に応じて、要請すべきではないですか。
 検討地区である磯辺8丁目と真砂5丁目の今後の具体的な取り組みについて、地下水位低下工法の可能性を探るとの方針が液状化対策推進委員会から示されたものの、「同工法の実現性を検討し、地元との具体的な協議をしたい」と答弁され、「事業実施が見込まれる地区の地層の詳細な調査が必要」との認識です。地元との協議や事業実施に向けた調整のために繰り返し説明を行なうなど、担当者も努力されていると思います。
 2015年度の事業完了では、現在の進捗状況ではモデル地区だけに留まってしまいかねません。事業のめどさえも立っていない地域があるのですから、繰り返し事業の延長を求め、地域と一緒になってまちづくりを進めるというスタンスを持って国へ求めるべきです。お答え下さい。